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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 規制緩和及び競争政策に関する日米間の強化されたイニシアティブ第三回共同現状報告

[場所] 
[年月日] 2000年7月22日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文] 

規制緩和及び競争政策に関する日米間の強化されたイニシアティブ第三回共同現状報告

 1999年5月3日、日米両国政府は日米間の新たな経済パートナーシップのための枠組みの下、規制緩和及び競争政策に関する日米間の強化されたイニシアティブに関する第二回共同現状報告(第二回共同報告)を発表した。第二回共同報告において両国政府が更なる規制緩和促進の決意を再確認したことに基づき、両国政府は積極的な規制緩和の促進と効果的な競争政策の実施の重要性を認識し、規制緩和及び競争政策に関する強化されたイニシアティブ(強化されたイニシアティブ)の実施に対し相当なリソースを投入し続けてきた。

 強化されたイニシアティブの3年目には、日米両国政府は、上級会合並びに6つの専門家会合(電気通信、住宅、医療機器・医薬品、金融サービス、エネルギー、競争政策・流通・透明性及び政府慣行に関する案件を含む構造問題)を開催してきた。双方通行の対話の原則及び具体的な進展の達成という目的にのっとり、日米双方は、多岐に亘る規制緩和項目について見解及び関心事項を交換した。こうした努力の一環として、1999年10月、両国政府は要望書を交換した。

 日本政府は、一連の規制緩和措置をとってきており、その最新かつ最も重要なものとして、2000年3月31日に閣議決定された規制緩和推進3か年計画の最後の改定があげられる。この報告書には、強化されたイニシアティブの下での対話に関連する日米両国政府による主要な規制緩和及びその他の措置が列挙されている。両国政府は、過去1年間に強化されたイニシアティブの下で達成された進展を歓迎した。日米両国政府は、これらの措置は競争力のある製品及びサービスの市場アクセスを改善し、消費者利益を増進し、効率性を高め、経済活動を促進するとの見解を共有する。強化されたイニシアティブの下でとられる措置は、国際的な義務と整合的に、競争的な外国の製品及びサービスに対し無差別待遇を提供するものである。

 両国政府は、更に規制緩和を促進する決意を再確認する。両国政府は、いずれかの政府の要望に基づき、双方に都合の良い時期に、この報告書に含まれている措置を取り上げるために会合する。


「強化されたイニシアティブ」の下で日本政府によってとられた規制緩和及びその他の措置

I. 電気通信

A. 相互接続

1. 1998年5月15日の規制緩和及び競争政策に関する日米間の強化されたイニシアティブに関する第一回共同現状報告B. 1. (3)にしたがい、長期増分費用方式(LRIC)に基づく料金の導入に先立ち、郵政省は、NTT地域ネットワークの接続料の引下げを促進し、2000年2月25日に、1998年度と比べ総額1,770億円に上る更なる1999年度の接続料の引下げを認可した。これは過去最大の年間引下げ額であり、アナログ交換について4. 1%(GC接続、180秒間)~11. 2%(ZC接続、180秒間)、ISDNについて27. 5%(ZC接続、180秒間)~32. 6%(GC接続、180秒間)、専用線について46. 7%(1. 5Mbps、メッセージ・エリア内)の値下げが含まれている。

2. 郵政省は、NTTドコモとその他の事業者との接続の円滑化を図る措置をとることが必要な場合には、2000年度に公正で透明性のある接続の導入方法について検討する。2000年度における郵政省の接続制度の見直しにおいて、郵政省は、NTTドコモを「指定電気通信事業者」とするか否かを決定する。郵政省は、この手続きにおいて、利害関係者に意見を提出する機会を提供する。

3. 1998年5月15日の規制緩和及び競争政策に関する日米間の強化されたイニシアティブに関する第一回共同現状報告B. 1. (3)にしたがい、日本政府は、電気通信事業法を改正するための法案を2000年3月31日に通常国会に提出し、同法案は2000年5月12日に採択された。

4. 郵政省は省令を改正し、「モデルケースA」(1998年度との比較で、GC接続は22. 5%、ZC接続は60. 1%の引下げ)に基づく接続料の引下げが3年間で段階的に実施されるようにする。これに関連し、郵政省は、1999年度トラフィックデータを用い、ZC交換機とGC-ZC伝送路については80%、及びGC交換機とその他の機能については70%の引下げを最初の2年間に前倒しするNTT東日本及びNTT西日本の計画を歓迎する。この計画に基づいて、最終計算は実施待ちながら、1998年度料金との比較で、GC料金は2001年度迄に約20%の引下げが見込まれ、ZC料金は2001年度までに約50%の引下げが見込まれる。

5. 郵政省は、2000年度接続料を2000年4月1日に遡及して実施することを申請するというNTT東日本及びNTT西日本の計画を歓迎する。

6. 郵政省は、減価償却率、入力値の選択及び価格や、ローカルループの原価算定の研究を含む「モデルケースA」の見直しに関する検討を2000年秋に開始し、2002年に終了させる。郵政省は2001年度トラフィックデータを用い、改訂されたLRICモデルをアンバンドルされたローカルループの料金設定の基礎として適用することや、更なる接続料引下げを実施することについて2002年4月1日に遡及適用する可能性と共に2002年中に決定する。

7. 郵政省は、ノントラフィックセンシティブ(NTS)コストをどのように回収するかに関する研究を2000年中に開始し、NTSコストを現在の従量制接続料で回収すべきか否かについて2002年中に決定する。この過程において、郵政省は、改訂されたLRICモデルが、1)我が国のユニバーサル・サービスの確保に支障を生じず、2)NTT東日本及びNTT西日本の経営に破壊的な影響を与えず、3)従量制接続料から定額エンドユーザ料金への、コスト回収のあり得べき移行に対して幅広く公の支持を得るように、適切な考慮を加える。

8. LRICモデルの見直しを行う研究会は、関心のある事業者の研究への広範な参加を含む、開かれた透明性のある手続を非差別的に使用すると共に、パブリック・コメント手続を使用する。

9. 日本政府は、改訂されたLRICモデルの時宜を得た適用について、2002年10月までに米国政府と意見を交換する。

B. 競争の促進とインターネットの利用米国政府と日本政府は、インターネット加入者へのアクセスに関する競争的事業者の懸念と、代替ネットワークの実現可能性に与える小売料金と着信の政策の影響について対話を開始した。

C. アンバンドリング/コロケーション

1. アンバンドリング

a. 郵政省は、インターネットサービスを含む地域競争を促進するために、アンバンドルされたメタル加入者回線及びISMとの接続に関して、接続料や技術的条件といった条件がNTT東日本及びNTT西日本の接続約款に含まれるよう、NTT東日本及びNTT西日本の局舎内のMDF及びISMを標準的接続箇所として指定するよう省令を2000年に改正する

b. デジタル加入者線(DSL)技術の普及を促進するために、郵政省の研究会は、2000年7月、NTT東日本及びNTT西日本がDSLサービスを提供するための全国的な接続を認めるようにし、これにより、可能な場合には、試験区域を拡大し、DSL技術の全般的な導入を促進できるよう、提言した。これに加えて、研究会は、DSLサービスの7営業日の開通目標期間、及び競争事業者がサービスを始めるために必要な情報をNTT東日本及びNTT西日本が早急に開示するためのシステムを提言した。

c. 郵政省は、競争を促進するための光ファイバーのアンバンドルに必要なルール作りに関する課題に関し、2000年秋に検討を始め、2001年夏迄に終了させる。

 2. コロケーション

a. 郵政省はNTT東日本及びNTT西日本のコロケーション料金を市価ベースから簿価ベースへ変更する省令改正を行い、2000年2月25日にその料金を認可した。

b. 1999年度のNTT東日本及びNTT西日本の接続約款の認可に際し、郵政省は、競争事業者が自らの装置のためにコロケーション空間へアクセスすることを、競争事業者の装置が接続に必要であると証明されていないというNTT東日本又は西日本の主観的な評価によってNTT東日本及びNTT西日本が拒否することを禁じる為の措置を講じた。c. コロケーションの機会を更に改善するために、郵政省は、1)接続事業者にコロケートされている施設の工事や保守を迅速に行うことを許容し、2)競争事業者にNTT東日本及びNTT西日本の建物内にコロケートされている自らの装置への24時間アクセスを提供するために必要な手続を、接続約款に記載することをNTT東日本及びNTT西日本に求める省令改正を行う。また、郵政省の省令案によれば、NTT東日本及びNTT西日本は、要請された場合には、コロケーション要望に対する回答及びコロケーションのための工事のNTT東日本及びNTT西日本の標準期間やコロケーションに利用可能な空間に関する情報開示手続を約款に記載することを求められる。郵政省はこの改正を2000年5月に電気通信審議会に諮問した。競争事業者がコロケーションのための空間が利用可能であることを見るためにNTT東日本及びNTT西日本の建物に立ち入ることが許されるべきかどうかについては、現在電気通信審議会において議論がされている。

D. ネットワークの柔軟性1. 郵政省は、1999年12月24日、電気通信ネットワークの構築に関心を有する者の理解を促進するために、ネットワーク構築に係る現行の制度・実例及び関連事項をまとめた「電気通信事業者のネットワーク構築マニュアル」を公表した。

2. 郵政省は、1999年12月24日、ネットワーク構築の柔軟性向上の検討を深める観点から、1)以下に概略する2つの措置を講ずること、2)その際の留意点(公正競争や利用者利益確保のための措置等)、及び3)これら以外のネットワーク構築の柔軟性向上のための措置などにつき、意見の募集を行った。

a. 第一種電気通信事業者が、自己のネットワークの一部に他の電気通信事業者から利用者契約約款ベースで調達した電気通信回線設備を利用し、ネットワーク全体を一体的に第一種電気通信事業者として運用することができるようにすること。これにより、第一種電気通信事業者が事業運営上他の電気通信事業者から容量ベース(波長ベースを含む)で回線を調達することが可能となる

b. 電気通信事業者が第一種電気通信事業及び第二種電気通信事業を行う場合に別会社の設立を求める「別会社要件」を撤廃し、第一種電気通信事業者が第二種電気通信事業を、あるいは、第二種電気通信事業者が第一種電気通信事業をそれぞれ独立した事業として同一主体が行うことを認める。

3. 郵政省は、電気通信事業者のネットワーク構築の柔軟性向上のため、2000年末までに上記2つの措置について、検討を終了し、必要な措置を講ずる。

E. 線路敷設権及び既存事業者設備へのアクセス

1. 日本政府は、1999年度において、線路敷設に関する苦情を受け付け、広範な意見を聴取しつつ、我が国における線路敷設権及び既存事業者設備へのアクセスを巡る状況並びにそれらを改善するための1998年度に提案された措置以外の手段の必要性のレビューを行った。その結果は、2000年3月27日に公表された。

2. 日本政府は、2000年度において、引き続き、線路敷設に関する苦情を受け付け、関係事業者の協力を得られる範囲内で、必要な事項を調査し、苦情申立者に適宜取りまとめた形で回答する。また、苦情等を通じて問題点が明確化された場合には、適切な対処方法について検討する。

3. 日本政府は、2000年度も関係省庁レビュー会議によるレビューを継続し、引き続き、電気通信事業者やケーブルテレビ事業者による線路敷設の円滑化に努める。

4. 日本政府は、2000年3月27日に公表されたレビュー結果に記載された事業者等による自主的な改善策等について2000年9月末までの現状を調査し、2000年10月中に公表する(外務省ホームページ(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/economy/husetsu/index.html)に掲載)。

II. 住宅

A. 建築規制・基準

1. 建設省は建築規制における中間検査制度を1999年5月1日に実施した。建設省は準防火地域内の木造3階建て共同住宅の建築に係る性能に基づく建築基準を同日に実施した。2000年6月、性能規定を導入する改正建築基準法が施行された。建設省は建築基準法改正に伴って、耐火建築物の性能ベースの要件を満たす木造の4階建共同住宅及び兼用住宅の建築が可能となるよう、当該要件について明確にした。日本政府と米国政府は特殊建築物の性能要件に関する技術的話し合いを引き続き行う。

2. 建設省は2000年の2月と3月に、建築基準法改正実施のため政令作成に際しパブリックコメント手続を行った。さらに、将来制定される政令や告示に対してもパブリックコメント手続を実施する。

3. 1999年12月、建設省は、告示1059号に明記された規定に適合する防火壁で区画されている建築物は許容される面積の算定に際して別の建築物とみなされることを明らかにした。

4. 建設省は、2000年6月、建築方法及び建築資材に関する試験データの全国的な受容及び評価を行う承認・指定性能評価機関制度を実施し、その際潜在的応募者とのディスカッションの機会を提供することにより、実施の円滑化を図った。

5. 2000年6月に、建設省は構造及び不燃材料、準不燃材料、難燃材料等の内装材料の性能を評価するために、適切なISOの試験方法を採用した。

6. 1999年度に、建設省は日米両国において多くのセミナーに参加し、日米の建築業者や消費者に、現在進行中の改革と建築工法及び材料の選択肢の拡大について知らせた。

7. 1999年7月5日、建設省は米国に、アルミニウム製防火窓の認定手続に関する情報を提供した。建設省は、米国から全ての必要な試験データが提出された後6ヶ月以内に、米国の機械打ち釘とステ-プルの日本国内における使用を認める予定である。建設省は米国の試験データの提出を待っているところである。建設省はまた、合板の既存の調整係数をOSBと一致させ、それにより同一性を達成する観点からOSBの既存の調整係数を再評価するために必要な最終報告の提出を待っているところである。

8. 1999年7月、海外の検査機関に対してJASの登録格付機関(RGO)及び/あるいはJASの登録認定機関(RCO)としての機能を付与する改正JAS法案が国会を通過した。同月、農林水産省は、構造用合板に関し、強度等性能を重視したJAS規格の改正を実施した。

B. 住宅政策

1. 1999年12月9日、「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」が国会で承認された。当該措置法(2000年3月1日に施行完了)により、定期借家制度を選択肢として挿入するよう借地借家法が改正された。当該措置法は、定期借家制度に基づく契約を行った当事者(賃貸人及び賃借人)を法定更新(自動更新)及び正当事由の要件の適用除外とし、さらに、特約により賃借増減請求権について適用除外とすることを可能とするものである。

2. 2000年5月、さらなる土地の有効高度利用を図るため、都市計画法と建築基準法が改正された。この改正により、商業地域内の住宅を含めた敷地において、未利用容積の活用を促進するための新しい手法が創設された。

3. 2000年12月までに、建設省は、中古住宅の維持・補修が価格査定に反映されるよう財団法人不動産流通近代化センターによる評価制度の強化に対する支援を開始する予定である。

4. 1999年の12月、建設省は米国に建設省の住宅政策には輸入製品に対する差別がないことを確保するために必要な措置を講じたことを伝えた。

5. 住宅金融公庫法の改正を経て、2000年度中に、一定の良質な中古マンションについては償還期間を30年から新築と同じ35年に、同様に一定の良質な中古戸建て住宅については償還期間を20年から25年に延長する予定である。

III. 医療用具・医薬品

A. 革新性の認識より効果的でより費用効率的な治療を患者にもたらすような革新的な製品の導入を妨げないよう、医薬品及び医療用具の革新性の価値について再確認する。

1. 日本政府は薬価改革について、2002年4月1日までに施策をまとめることを目標に、革新的な製品の取扱いを含め、先発品・後発品の取扱いと併せて、議論を行い、進展させ、実行する。これにあたり、革新性の推進と革新的医薬品の利用可能性の増大を目標として、米国製薬業者を含めた関係者と、薬価制度、類似薬の選定過程及び製品評価の科学的な根拠について引き続き研究する。この過程は、市場の役割とともに、より効果的でより費用効率的な治療を患者にもたらすような製品の価値を認識するものである。

2. 医療用具の機能別分類制度改革に際して、日本政府は、2000年3月1日の中医協の方針に従い、不均衡な負担が生じないよう、価格の過大な変動を吸収するための、中医協の保険医療材料専門部会により議論される対策に基づく適切な措置(同一機能複数価格を含む。)を講じる。それらの措置は、中医協の承認を条件とし、他の機能別区分制度の改革と併せて2000年10月に実施される。また、日本政府は、医療用具の技術革新についての医療上の効果に基づく付加的な機能上の違いを真剣に考慮する。

B. 承認手続

1. 厚生省は、医療用具の承認審査過程に関して作業の重複を防ぎかつ、円滑な手続きが促進されるよう、医薬品医療機器審査センター(以下「審査センター」という。)、(財)医療機器センター(以下「機器センター」という。)及び医薬安全局審査管理課における作業を引き続き調整する。日本政府は、2000年4月に医療用具の審査区分を分類し直し、「新医療用具」、「改良医療用具」及び「後発医療用具」の3つとすることとした。これにより、日本政府は、「新医療用具」及び「改良医療用具」の申請については機器センターにおける同一性調査を免除し、審査センターでの審査のみ行うこととする。日本政府は、「後発医療用具」に関しては、原則、機器センターでの同一性調査のみで審査されるように措置をとる。また、申請を行う前に、審査官は、申請者の求めに応じ、適切な医療用具の区分についての質問に答えることとする。さらに、厚生省は、要求するデータに他社の企業秘密に関する情報が含まれることがないようにするなど、1999年12月1日付け第1677号医薬安全局審査管理課長通知の実施が柔軟に行われるよう、医療用具の分野毎に、申請者が同一性を判断するために必要な事項のリストの作成を、業界の意見を聞きながら行う。

2. 厚生省は、データに関する申請者の負担を最小化する目的で生物学的適合性試験の要件について米国業界の意見をきく。

3. 日本政府は、一定の放射線療法の臨床試験が開始できるようにした。

4. 厚生省は、2000年3月、臨床試験が不要とされるペースメーカー及び整形インプラントの範囲に関する質疑応答を含む通知を発出した。厚生省は、業界とも協議し、今後どの製品群をとりあげるかを決定する。

5. 最近、新医薬品承認審査の全体の速度が最近改善され、審査期間は短縮されている。第一回及び第二回の共同現状報告でも一致したように、厚生省は、2000年4月1日から新医薬品の承認審査の標準的な処理期間を12ヶ月に短縮した。この目標を満たし、円滑で迅速な新医薬品の承認を促進するため、厚生省は、

a. 医薬品機構により提供される相談の積極的な活用により新医薬品承認申請の質の向上を促し、

b. 厚生省の考え方に基づき、医薬品機構が事前相談で指導した内容が承認審査過程で矛盾なく維持されることを確保する。

6. 厚生省は、新医薬品の承認審査中に当該新医薬品の追加の効能に関する承認申請を行うことを認める。

7. 厚生省は、一部変更承認申請に関する審査中に当該医薬品の追加効能に対する一部変更承認申請を行うことを認める。

8. 厚生省は、新医薬品の最初の承認申請の審査期間中に、追加効能を含む当該新医薬品に関する臨床試験を継続することを認める。

9. 厚生省は、中央薬事審議会の調査会を1999年11月に廃止し、審査官と申請者間の継続的かつ直接的なコミュニケーションを認める審査センターのチーム審査体制を強化した。

10. 厚生省は、必要に応じ、申請者は自らの新医薬品承認申請について、厚生省の上級職員と協議する機会を提供していくことを継続する。

11. 厚生省は、中央薬事審議会の医薬品特別部会を二分した。これにより、年間最大16回の開催頻度とすることとする。

12. 厚生省は、体外診断用医療用具を含む体外診断用医薬品と医療機器とを審査する特別部会を設置した。

13. 厚生省は、申請者が個別の医療用具又は新医薬品の申請がどのくらいの時間で処理されるかの予見性を得られるように申請者との対話を続けていく。

C. 外国臨床データの受け入れ1. 医薬品の承認に係る外国臨床データの受け入れに関し、日本政府は、医薬品機構その他による相談の機会を提供し、日米EU医薬品規制整合化国際会議(ICH)E5ガイドラインに基づく外国臨床データの受け入れを促進する。

2. 1999年11月に発出された厚生省の通知により、承認後にデータや患者記録が公表される際に、企業秘密を含む個人及び法人の権利を保護することが明確にされている。

3. 厚生省は、ICHE5ガイドラインに定義されているようにICH及び臨床試験の実施の基準に適合し、外挿性の評価のための比較ができるデータが得られる条件の下で、ケース・バイ・ケースの判断により、新規のブリッジング試験を含まないブリッジング・データ・パッケージの提出の可能性があることを肯定する。

4. 日米EU医薬品規制整合化国際会議(ICH)のガイドラインに基づき1998年8月に発出された厚生省通知により、新医薬品の承認のために必要な外国臨床試験データの受け入れが拡大した。この過程は継続される。

5. 日本政府は、新しい医療用具及び医薬品の承認に関する臨床試験の実施の基準に適合する臨床試験データは、国内又は外国で実施されたかを問わず、受け入れてきている。この過程は継続される。

D. 償還手続

1. 2000年3月1日に中医協で決定された骨子(「平成12年度保険医療材料制度改革の骨子」)に基づき、①明文化された区分の定義(A1からC2まで)、②暫定価格の設定、③新区分導入までの適切な原則4ヶ月以内の暫定価格設定を含む、一般的な明文化された原則に基づく、医療上の効果があると評価された新たな機能区分創設のための明文化された手続、④機能区分の定義の明確化による「日本にとってはもはや新しくない製品」の取扱い、及び⑤保険適用までのタイムクロックを含む医療用具の迅速、効率的かつ透明な保険償還手続の策定に、医療用具に対する機能別区分見直し及び機能別分類の導入とともに取り組み、それらの対策を2000年10月に同時に実施するよう取り組む。これらの取り組みに際し、日本政府は、米国製造業者を含む関係団体の意見も真剣に考慮する。日本政府は、高度先進的な技術の日本市場への導入促進のために、米国業界を含む利害関係団体の見解に配慮しつつ、中医協の承認を条件として、2000年10月以降、3月1日の中医協で方針が示されたC2製品の取扱いとともに、医療用具の新たな機能区分の導入時期について、引き続き検討を行う。米国政府との対話は必要に応じ継続する。

2. 医療用具及び医薬品の価格の決定に対しての不服の申し立ての手続を2000年10月に実施する。この手続は文書により明確に設定されるものとする。判断は、明文化された価格設定ルールの適切かつ正確な適用に基づくものとする。

3. 薬価算定組織及び保険医療材料専門組織の設置と実施に関し、厚生省は、米国製造業者を含む関係業界の意見も十分に踏まえつつ、中医協の承認の下、組織に関与する委員が客観的な科学的専門性を持ち、利害の抵触がないものとなり、委員構成としてもバランスのとれたものとなることを確保する。組織の委員は、中医協の承認のもと選任される。価格を算定し、価格設定及び不服申し立てにかかる決定に責任を有する厚生省は、米国製造業者を含む関係業界に、厚生省に対して直接アクセスする機会を引き続き提供する。

E. 透明性医療政策の検討における透明性を確保するために、厚生省は外国の医薬品・医療用具製造業者からの要望に応じて、関係審議会や関係検討会における意見表明を日本の製造業者と同等に行う機会及び厚生省のあらゆるレベルの職員との意見交換を行う機会を引き続き提供する。厚生省は、外国の製造業者を含む製造業者と共に、そのような機会が有意義なものとなるよう最大限の努力をする。

F. 栄養補助食品1. 2000年3月9日をもって、厚生省は、ビタミンB6、B12、K、パントテン酸、葉酸、ビオチン、亜鉛、クロム(III)、セレン、銅、マンガン、モリブデン及びヨウ素のカプセル及び錠剤が食品とみなされるためには、ビタミン又はミネラル製剤のそれぞれの一日摂取量がある一定の量以下でなければならないという要件を廃止した。

2. 厚生省は、以下の方法により、1996年3月18日に「市場開放問題苦情処理推進本部」(OTO)により勧告された日本におけるビタミン、ハーブ、ミネラルなどの栄養補助食品市場の自由化の推進のための措置を引き続き制度化し、実施する。

a. 医薬品に使用された賦形剤の安全性に関するデータが存在する場合は、食品衛生法に基づく食品添加物の安全性評価に際し、これを考慮に入れる。

b. ミネラル、ビタミン及びハーブに関し、これらが栄養又は、健康に有益であるとする科学的データあるいは情報がある場合は、その有益性に関する表示を認める。

3. ハーブ、ミネラル、ビタミン、賦形剤及び栄養又は健康に有益であるとする表示を承認する上で必要とされるデータ及びその判断を行う際の基準の公表、並びに、日本における製品の評価及び承認のための外国データ及び情報の利用の範囲について、米国企業及び米国政府を含む利害関係者に対し見解及び意見を述べる機会を与えつつ、厚生省において議論する。これら議論の進捗については、MOSSに報告される。

G. 医療サービス

 日本政府は、医療システムの効率向上を目指し、広告や提供されるサービスの範囲を含め、医療サービス分野の規制緩和に努める。

IV. 金融サービス

A. 特定の措置我が国の金融システム改革プログラム(日本版「ビッグ・バン」)は、1996年11月に橋本前総理のイニシアティブにより開始され、フリー、フェア、グローバルの理念の下に抜本的な金融自由化・規制緩和を行うことにより、我が国金融市場の活性化を目的としている。現在までに、プログラムに盛り込まれた措置のほぼ全てが既に実施に移されている。

1. 過去の共同現状報告において報告された措置に加え、以下の措置が実施済みである。

a. 投資運用実績の標準化された形での正確な比較を可能にし、投資信託に関する情報公開を改善するための、民間評価機関へ基準評価額等のデータを提供する仕組みを確立すること(1997年4月)1999年11月末現在では、18の評価機関に対して情報の配信を行っているなど、かかるパフォーマンス評価情報が投資者の商品選択の際の判断材料として活用される機会は今後ともますます増加するものと期待している。

b. 「規制の設定又は改廃に係る意見提出手続」(1999年3月23日閣議決定)で規定される通り、金融サービスに関する全ての規制案について、広範囲にわたる、または、複雑な規制案については、適当な募集期間を設定しつつ、30日程度の意見募集期間を設定すること。日本政府は、寄せられた意見に関して真摯に検討を行い、原則として、最終決定した規制の公布時までに、意見の採用・不採用にかかわらず、その検討結果を公表する。また、日本政府は、運営、組織、データ処理その他の手続上、大きな変更が必要となる規制については、最終決定された規制の実施日までに十分な移行期間を設ける。

c. 「規制緩和推進3ヵ年計画」(1998年4月1日閣議決定、1999年3月30日改定、2000年3月31日再改定)に沿い、既存の金融サービスに係る規制に関して、継続的な見直しを行うこと。日本政府は、「規制緩和推進3ヵ年計画」で確立した方針の下、国内外の関係機関から寄せられた意見・要望を考慮して、不断に金融サービスに係る規制に関する見直しを行い、必要があればそれらを改正する。

d. 金融庁は事務ガイドラインの第0-6項「法令解釈等の照会を受けた場合の対応」において、所管の事務に関する照会に回答する仕組みを定めている。照会には、法令の解釈や、金融機関が行おうとしている業務や実務や取引が法令の下で認められているか、適法であるか、あるいは、照会者が示した事実を前提とした場合に金融庁の事務当局が処分を具申するかどうかも含まれる。金融庁は、照会者に対し応答の案を用意するよう求めることもできる。この手続の下で、金融庁は、先例的価値を有するとみなされる照会については書面の提出を求める。金融庁は、不完全な照会、瑣末な照会、金融庁として確認できない事実ないし状況に依存する照会、その他回答が適当でない照会を除き、全ての書面照会に回答し、ビジネス上の秘密等の保護のために適宜の措置をとった上で、照会と回答の内容を一般に入手可能にする。金融庁は、照会に回答しないこととした場合には、合理的な期間内に照会者に対し説明を添えてその旨を連絡する。この仕組みのためのリソースが増し経験が積み重ねられるにつれて、他の国のノーアクション・レターや公表ガイドラインにおけるように、この事務ガイドラインに基づく照会が規制過程における透明性と予見可能性の向上に益々重要な役割を果たすようになっていくものと、金融庁は期待している。

e. 金融会社(ノンバンク)の社債、CPの発行による調達資金の使途制限の撤廃(1999年5月20日)

f. 銀行・信託銀行の証券子会社、及び銀行・証券会社の信託銀行子会社の業務範囲制限の完全撤廃(1999年10月1日)

g. 株式売買委託手数料の完全自由化(1999年10月1日)

h. 保険会社による銀行分野参入制限の撤廃(1999年10月1日)

i. 厚生年金基金及び国民年金基金について、資産運用者間(投資顧問会社を含む)で運用委託先を変更する場合において、証券現物移管を可能とする規定の整備(2000年6月1日)

2. さらに、我が国の金融システム改革は2001年までに完全に実施することになっており、今後以下の措置を実施する予定。

a. 保険業と金融他業態の相互参入の完了となる銀行による保険分野参入制限の撤廃(2001年3月までに実施予定)

b. 年金福祉事業団の承継基金について、十分なリスク管理体制が構築された場合には、資産運用者間(投資顧問会社を含む)で運用委託先を変更する場合において、証券現物移管を可能とする規定を整備、及び、年金福祉事業団の承継基金の資金運用について、リミテッド・パートナーシップ・スキーム以外の新たな信託スキーム(特定信託)を導入(2001年4月1日までに施行の予定)

c. 特定目的会社(SPC)による流動化対象資産を拡大するとともに、より使い勝手のよい制度に改める等の制度を整備すること。(「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律等の一部を改正する法律案」は、2000年5月に国会で成立し、2000年11月末までの政令で定める日に施行予定。)

3. さらに、以下の事項について検討中である。認可投資顧問業者が投資家の判断を踏まえて顧客資産を合同運用することが可能となるよう、投資家保護に十分留意しつつ、現行規制を見直すこと。なお、1998年12月より、認可投資顧問業者が投資信託委託業を兼業し私募投資信託を設定することにより、複数の年金基金資産について実質的に合同運用することが可能となっている。

B. 保険

1. 行政手続及び慣行の改善

a. 金融庁は、認可申請や届出に対する迅速かつ効率的な商品審査が図られるよう各般の努力をしている。また、金融庁は、商品認可・届出に関するものを含め、行政手続法に沿い保険事業者の要請があった場合には指導を書面で行っているほか、監督上の立場からみて適当と思われるときには書面方式を含めた保険事業者との連絡をとっている。透明性の重要性を認識し、金融庁は、1999年8月に保険事業者の使用のための任意のチェックリスト方式を導入している。チェックリストの目的は、届出に対する審査を早めることと届出対象商品の審査の基準を保険事業者のために明確にすることである。また、既に米国においては一般的に実施されているように、商品の審査に際しては、金融庁は一般的ルールとして申請・提出のあった順に対応して審査を行っている、ただしこれは審査完了の順序を決定するものでも予測させるものでもない。

 b. 日米両政府は、両国における効率的な審査や審査の基準を含め最高の規制の仕組みや実務を追求するため、両国の規制当局が見解・経験・専門知識を交換するよう協力している努力を歓迎する。日米両国は、世界の保険市場における急速な環境変化に対応していくため、保険分野における引き続いての適切な規制緩和と消費者や事業者の利益のための迅速かつ効率的な商品審査への最大限の考慮を行うことの重要性について、共通の見解を有する。

 c. 金融庁の最近の規制緩和は大半の企業分野商品に関するもので、そのうち特定の企業分野商品については一たび届出手続が完了すると、保険会社はもとの保険商品の目的の範囲内での「特約自由方式」や「自由料率・標準料率」を活用でき、その場合には事業者はその商品に関する修正を金融庁に届け出ることが必要でない。これに類似して、多くの米国の州では企業分野の規制機能を再構築する法律を採択したり実施している。

 米国連邦議会は最近、「グラム・リーチ・ブライリー金融近代化法」を成立させたが、これは各州の保険規制を更に調和することを奨励している。とりわけ、同法は各州が現在の保険仲介業者システムを改善しない場合には全国的な免許システムの導入を求めるものである。この法律の成立に呼応し、NAIC(全米保険長官会議)はこの3月に「ステイトメント・オブ・インテント」を採択しており、これは将来の保険規制に関し、とりわけ保険商品の市場までのスピードの改善や適切な場合には事前認可制度に重心が置かれた状態からの移行のための対応を求めている。

 類似した(それぞれの)目標を念頭に、金融庁は、商品審査についての更なる規制緩和と現実の商品審査の更なる期間短縮を基本指針としてもち、人的その他の関連リソースを最も良く活用する必要性を認識する。

 金融庁はまた、

(1)企業分野商品と保険契約者保護への適切な配慮を踏まえた適切な家計分野商品についての届出制への移行について、1999年12月14日に規制改革委員会が出した報告書に応じて検討すること(同報告書ではこの検討は2001年度末までに完了することが期待されるとしている)、

(2)保険契約者の保護と裁量的要素の最小化への適切な考慮を踏まえ、保険商品の審査の基準の明確化を含め、企業分野商品の届出制について、1999年12月14日に規制改革委員会が出した報告書に応じて見直しをすること(同報告書ではこの検討は2000年度末までに完了することが期待されるとしている)を継続する考えである。

2. 簡保(簡易保険)

a. 郵政省が引き受け又は委託により販売する保険商品又は特約は、法律に規定するところによっており、その拡張又は変更は、法律で認められた商品及び特約の範囲内での限定的な変更を除き、国会の承認を要する。

 b. 簡易保険の将来については、簡易生命保険法の目的規定及び行政改革プログラム(1996年12月25日閣議決定)の基本的な考え方を踏まえ、1998年の中央省庁等改革基本法において、総務省と郵政事業庁、さらにその後、総務省と新しい公社へ事業が引き継がれ、実施されることとなっている。

 c. 第147回国会において、郵便局において原動機付自転車及び250cc以下の二輪自動車の自賠責保険を民間損害保険会社から受託して取り扱う法律が成立した。郵政省は、現在、既に国会によって認められたもの以外の損害保険商品を販売するための法律案を策定する計画を有していない。

(1)当該法律は、自賠責保険の普及拡大を目的として、上記の保険を郵便局で取り扱えるようにするものである。

(2)この法律においては、郵政事業庁がこの業務を行う際には、郵政事業庁が保険業法の関連規定の適用を受けることとされている。

(3)この業務に関し、郵政省は、委託を受ける民間損害保険会社の募集に当たって選定基準を公表し、選定に当たっては外国損害保険会社について差別的取扱いを行わない。郵政省は、民間保険会社の要請に基づき、委託会社を選定する際に使用する選定基準について、当該民間保険会社に説明を行うため、会合を持つことを確認する。

d. 郵政省は、1994年10月の日米保険措置IV. (4)b. 及びVIIに規定された内容を改めて確認する。

e. 郵政省は、簡保商品について、その拡大又は変更のための法律改正を国会に求める提案の作成に関し、外国保険事業者を含む民間利害関係者の要請に基づき、当該利害関係者に説明を行うため、会合を持つことを確認する。

V. エネルギー

A. エネルギー分野の構造改革

 日本政府及び米国政府は、日本のエネルギー分野の規制緩和計画及び米国における進行中の構造改革に関し意見交換を行い、エネルギー分野における規制緩和の目的はより競争的な市場環境を導入することであり、それにより一層効率的、合理的かつ低価格のエネルギー供給が図られるとの認識を共有した。両国政府はまた、エネルギー分野の規制緩和の実施にあたっては、公共の福祉、エネルギー安全保障及び環境への潜在的な影響に留意すべきとの点でも認識が一致した。こうした共有された認識に基づき、日本政府はエネルギー分野における一連の規制緩和措置をこれまでに実施してきており、また今後も実施する予定である。

B. 電力分野

 電力分野の規制緩和については、2000年3月21日から、改正電気事業法に基づき特別高圧需要家に対する小売供給の自由化が実施された。日本政府は、自由化された小売市場における公正かつ有効な競争を確保するため、以下の措置を実施し、また実施する予定である。1. 2001年1月より、通商産業省電力・ガス事業部の政策課が政策立案を、電力市場整備課が規制を担当する(課名は暫定的なもの)。通商産業省は、人員を適切に配置することにより、新たに規制緩和された電力市場に関するルール、規制及びガイドラインを実施・施行する。

2. 通商産業省及び公正取引委員会は、1999年12月に共同で策定・公表した適正な電力取引についての指針を実施・施行する。また、競争上の問題を生じうるような行動についての更なる経験が得られた上で、指針を適切に拡充・明確化する。

3. 通商産業省は、1999年12月に策定・公表した、託送料金算定及び送電線への公正、透明かつ非差別的なアクセス等の条件に関する行政ルールを実施・施行する。また、電力会社から今後届け出られる託送約款を審査し、これが関連する行政ルールに従い設定されていない場合には変更命令を発動する。

4. 通商産業省は、託送約款に関する情報等、通商産業省及び電力会社が公開すべき情報を明確にするため、1999年12月に策定された電気料金に関する情報公開ガイドラインを実施する。

5. 通商産業省は、新たに規制緩和された電力市場に関し通商産業省に持ち込まれた苦情について、1999年12月に策定された紛争処理ガイドライン及びその準則に基づき公正かつ中立的に処理し、紛争処理に付された問題について通商産業省のホームページに掲載する。

6. 日本政府は、電力分野等における独占禁止法の適用除外を撤廃するため、独占禁止法第21条を廃止する法案を国会に提出し、同法案は2000年5月12日に成立した。

7. 公正取引委員会は、電力、ガス分野に関する規制緩和の実施状況について効果的で継続的な監視活動を行うために十分な資源を配置する。また、今後も競争促進的な規制改革を積極的に推進する。

8. 通商産業省は、今回の特別高圧需要家に対する部分自由化の成果について、制度開始後概ね3年後を目途に検証する予定。

C. ガス分野

 ガス分野の規制緩和については、1999年11月19日から、改正ガス事業法に基づき大口需要家に対する小売供給の自由化範囲が拡大された。日本政府は、競争的なガス市場を構築すべく、以下の措置を実施し、また実施する予定である。1. 日本政府は、ガス分野等における独占禁止法の適用除外を撤廃するため、独占禁止法第21条を廃止する法案を国会に提出し、同法案は2000年5月12日に成立した。

2. 既存の公益事業者が所有しているガス導管への公正、透明かつ非差別的なアクセスのための規制の枠組みを整備した。

3. 通商産業省は、2000年3月23日に紛争処理ガイドラインを策定した。また、通商産業省及び公正取引委員会は、2000年3月23日に共同で適正なガス取引についての指針を策定した。

4. 通商産業省は、公正、透明かつ非差別的な接続供給料金算出のための計算方式の在り方について、透明な手続の下で検討を行う予定。

5. 通商産業省は、ガス分野における規制改革の実施状況について、改正ガス事業法施行後概ね3年後を目途に検証する予定。

VI. 流通

A. 通関/輸入手続

1. 日本政府は、貨物の日本への輸入手続のコストを削減し、その手続を迅速化するために、以下を含む種々の措置を採用してきた。

a. 臨時開庁承認の標準申告件数を、1時間当たり20件から60件に引き上げ、これにより、より多くの輸入申告を行う者は臨時開庁手数料負担を著しく削減することを可能とした。

b. 1999年10月、海上保安庁及び関連する地方港湾当局との間で船舶の入出港届のための共通化された電子様式を導入した。

c. 1999年10月に海上貨物通関情報処理システム(Sea-NACCS)を更改し、海上コンテナ貨物について、貨物の保税地域への搬入確認と同時に輸入許可の取得を可能とした。

d. 2000年4月より外国為替及び外国貿易法に基づく輸出入の許可及び承認について、電子申請を可能とする新たなシステム(JETRAS-貿易管理オープンネットワークシステム)の本格運用を開始した。

2. 日本政府は、通関手続をより進んだものとし迅速化するため次のような施策を実施する。

a. 引取申告と納税申告を分離することにより、承認された輸入者が、指定された貨物について納税申告の前に引き取ることを可能とする簡易申告制度を2001年3月までに導入する。承認された輸入者により輸入される指定された貨物について、新しい手続は以下を提供する。

 (1)引取申告時の申告項目数の削減。

 (2)納税申告の期限を引取許可の翌月末まで延長。

 (3)輸入通関のペーパーレス化の推進。

b. 税関手続のより一層の迅速化を図るため、2001年に航空貨物通関情報処理システム(Air-NACCS)を更改する。

B. 小売及びサービス1. 通商産業省は、大店立地法(大規模小売店舗立地法)の一貫性があり、透明で、予測可能な施行を円滑化するため、第2回共同現状報告に記載されている措置に加え、以下の措置を講ずることとする。

a. 通商産業省は、2000年5月23日に、同法の適用に関する関係者からの苦情を受け付け、その解決の円滑化を図る相談窓口(大規模小売店舗立地法相談室)を、本省及び8箇所の各通産局に設置した。通商産業省は、その相談窓口の名称や場所等の必要な情報を公表した。

b. 通商産業省は、これまで大店立地法の趣旨・内容について、数度にわたる会議の場で、都道府県および政令指定都市に対して説明を行っており、また、その職員に対しては、実務面の研修を行ってきた。通商産業省は、引き続き、法の施行や相談窓口の役割に関する必要な情報提供を行う。

c. 通商産業省は、大店立地法における大型店を巡る生活環境に関する全ての事項について、地方自治体の関係部署が密接に連携して取り組むことを勧奨する。各地方通商産業局の担当職員は、この取組を支援する。

d. 通商産業省は、大店法の廃止から大店立地法の施行への移行が、これらの法律の枠組の中で円滑に行われるよう努める。

2. 酒販売店

 酒類小売業免許に係る需給調整規制について、人口基準は1998年9月から段階的な緩和を着実に行い2003年9月1日をもって廃止し、また、距離基準は2000年9月1日をもって廃止する。

VII. 独占禁止法と競争政策

A. カルテルに対する執行

 公正取引委員会はカルテルの抑止と排除にコミットしている。この観点から、公正取引委員会は、

1. 電子ベースでの証拠収集能力を向上させることによるもの、及び、2000年3月17日に国会で可決された、審査局に配属される職員を増やす2000年度予算案の提出によるものを含め、カルテルの証拠収集能力を高めるために、2000年度にさらなる努力を行う。

2. 2000年度に、立入検査の実施、審査段階及び審判における証人取調べ並びに証拠分析についての審査官の能力を改善するため、研修を強化する。

3. 国際カルテルに対し一層積極的な行動をとる。

4. 違法に審査活動を妨害する行為に対し、独占禁止法第92条の2、第94条及び第94条の2の規定を積極的に行使する。

B. 談合を排除するための措置

1. 警察庁は、これまで、都道府県警察に対して、談合の疑いのある行為について厳正に捜査するよう指導し、その目的のために必要な支援を行ってきている。警察庁は、引き続き、都道府県警察に対して、このような行為を積極的に捜査するよう指導するとともに、刑事上の談合の疑いのある行為を効果的に捜査するため、都道府県警察に対して必要な支援を行う。

2. 公正取引委員会と警察庁は、両当局間での連絡体制を整備しており、2000年度には、入札談合行為の審査(捜査)に関する協力をどのように改善するかについての検討に係る協議を開始する。

3. 法務省は、引き続き、入札に関する情報を含む秘密情報を漏洩したり、談合行為を非合法的に幇助したことが発覚した公務員に対する積極的かつ厳正な告発を奨励する措置を取る。

C. 独占禁止法違反行為に係る民事的救済の整備

1. 昨年10月、公正取引委員会が開催した「独占禁止法違反行為に係る民事的救済制度に関する研究会」は、独占禁止法違反行為に対する私人による差止請求制度を導入することの是非、及び、独占禁止法第25条の損害賠償請求制度の改善方法に関する最終報告書を取りまとめた。同報告書には、以下の点を含め、多くの結論が記載されている。

a. 不公正な取引方法(独占禁止法第19条違反)については、私人による差止請求制度を導入することが適当である。

b. 私的独占、不当な取引制限及び事業者団体の禁止行為(独占禁止法第3条及び第8条違反)を構成する違反行為を私人による差止の対象とすべきかどうかについては、私人による差止の有効性、独占禁止法第25条の規定に基づく訴訟の対象となる違反行為類型との整合性を更に検討した後に判断されるべきである。

c. 事業者団体の禁止行為に対する損害賠償請求訴訟を認めることが適当である。

2. 日本政府は2000年3月21日、私人に以下の行為を認める法案を国会に提出した。この法案は、2000年5月12日、国会で可決された。

a. 不公正な取引方法の規定(独占禁止法第8条第1項第5号及び第19条)に違反する行為を行った者に対し、裁判所から差止命令が出されるよう求めること。

b. 独占禁止法第6条(特定の国際的協定又は契約の禁止)に違反する行為を行った事業者及び独占禁止法第8条第1項(事業者団体の禁止行為)に違反する行為を行った事業者団体に対して損害賠償請求訴訟を提起すること。

D. 規制緩和促進のための措置1. 公正取引委員会は、電気事業、ガス事業等を含め、規制緩和が進行している事業分野において、競争を促進する上で積極的な役割を果たす。

2. 公正取引委員会の政府規制等と競争政策に関する研究会は、2000年秋までに、公益事業分野における競争の改善策に関するアドバイスを含む最終報告書を発表する。

3. 公正取引委員会は、部分的又は全面的に規制緩和された産業における、独占禁止法に違反する形で他の会社の事業活動を排除又は支配する支配的企業による行為を含む規制緩和の便益を損ねる違反行為に対して、積極的に独占禁止法を運用する。

E. 独占禁止法の適用除外の縮減

1. 日本政府は、独占禁止法第21条を廃止する法案を国会に提出した。この法案は2000年5月12日、国会で可決された。これにより、電気事業、ガス事業、鉄道事業等の自然独占事業とされる事業分野についての独占禁止法の適用除外が廃止される。

2. 日本政府は、産業再生法が、何ら独占禁止法に取って代わるものではなく、また、同法に基づき主務大臣が認定した行為に対する公正取引委員会による独立した独占禁止法の執行を損なうものでもないことを確認する。

3. 公正取引委員会は、企業秘密その他の秘密情報については保持しつつ、同委員会が産業再生法第5条に基づいて検討し、その後認定された共同申請について述べた意見を公表することを、個別事案ごとに検討する。

F. 合併審査の改善1. 合併審査の過程における透明性を高めるため、公正取引委員会は、事前相談に対する回答の公表後適切な時期に提出されたものも含め、合併計画について関係第三者から提出のあった意見を参酌する。

2. 公正取引委員会の合併審査を改善するため、日本政府は、合併審査を担当する公正取引委員会の職員を4名増やすこととなる2000年度予算案を国会に提出した。右予算案は2000年3月17日に可決された。

G. 流通関連措置

1. 公正取引委員会は、大規模小売店に関する地方政府の政策の実施について競争政策の観点から注視し、小売業における反競争的な共同行為に対して厳正に独占禁止法を適用する。

2. 公正取引協会は、公正取引委員会と協力して、2000年4月28日に、独占禁止法遵守プログラムの指針の改訂・改善版を公表した。同指針は、企業が独占禁止法に抵触するおそれのある行為を防ぐのに効果的な独占禁止法遵守プログラムを設定することを確実にさせるモデルを企業に提供するものである。

3. 公正取引委員会は、企業から自発的に要請があった場合には、当該企業の独占禁止法遵守計画を検討し、最も高水準の独占禁止法の遵守を確実にするにはどのように当該計画を改善すればいいのかについて助言を与える。

4. 公正取引委員会は、2000年から2001年の時期において、製造業者と流通業者との資本関係その他の相互関係を調査・分析することを含め、流通分野における効率性を向上させ競争を促進するための措置を採る。

H. 公正取引委員会の独立性

 日本政府は、公正取引委員会を総務省の中に置く2001年の中央省庁再編に際し、以下を確認する。

1. 日本政府は、幹部を含む職員の採用、昇進及び配置並びに執行に関する決定及び政策に関する公正取引委員会の独立性が、2001年の中央省庁再編後も維持されることを確保する。更に、日本政府は、予算の編成、適切な支出の決定及び法的事項に関する立場の形成・調整・伝達に関する手続との関連で、公正取引委員会が現在総理府の中で有している裁量も同様に維持されることを確認する。

2. 日本政府は、総務大臣が所管する分野についての独占禁止法の執行活動が、公正取引委員会によって独立して決定されることを確保する。また、日本政府は、公正取引委員会が現在、独立して競争政策の立案を行うことができること及び、競争唱導活動を通じたものを含めいかなる分野に関しても競争政策案件について独立した見解を表明することができることが、総務省において完全に維持されることを確保する。

3. 公正取引委員会は、総務省の管轄下の分野を含む全ての分野において、合併・買収及びその他の企業活動に対し独占禁止法を執行する完全で自由な権限を有する。

VIII. 法律サービス

1. 法律サービスに関する認識日本政府は、国際金融センターにおいて適切な法律サービスが重要であること及び国際取引におけるニーズに応え得る法律サービスのインフラが十分かとの指摘があることを認識している。

2. 現行制度に関する意見交換日本政府は、更に改善すべき制度上の問題点の有無について検討するため、このセクションの第1項に記載された指摘にも適切に配慮しつつ、日弁連及び外国法事務弁護士協会との意見交換を開始した。

3. 法曹人口の増加日本政府は、司法試験の合格者を増やすのに必要な措置を講じ、その結果、合格者数が1999年度から1,000人程度へ増加した。さらに、日本政府は、「規制緩和推進3か年計画(改定)」(1999年3月30日閣議決定)において取り上げられているとおり、司法試験合格者の1,500人程度への増加につき、現在調査・検討を進めているところである。また、司法制度改革審議会においても、司法試験合格者の適正な増加の必要性を認識している。

4. 弁護士及び外国法事務弁護士による業務広告の自由化米側要望をも踏まえた日本政府の要請等を背景に、日本弁護士連合会は、2000年3月、弁護士及び外国法事務弁護士の業務広告について、誤導のおそれのあるもの等一定の例外を除き、これを自由化する会則等の改正を行った。これにより、弁護士等は、例えば、取扱い業務、経歴、報酬等を、新聞、雑誌、インターネット等を通じて広告することが可能となった。

5. 司法制度改革審議会の設置日本政府は、21世紀における我が国社会の複雑・多様化、国際化等に伴い、司法の役割はより一層重要なものとなると予想されるため、司法の機能を社会のニーズにこたえ得るように改革することが不可欠であると考えた。日本政府は、このような認識に基づき、このセクションの第1項に記載された指摘にも適切に配慮しつつ、司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議するため、司法制度改革審議会を内閣に設置した。同審議会は、昨年7月に設立されて審議を開始し、同年12月に公表した論点整理において「弁護士制度の在り方」「法曹人口の適正な増加」「法曹養成制度の在り方」等を論点項目として掲げている。同審議会は、本年10月を目途として中間報告を公表し、これに対する各界の意見を踏まえ、来年7月までに、内閣に最終意見書を提出する予定である。

IX. 透明性とその他の政府慣行

A. 政策評価制度

1. 日本政府は、政府の透明性を向上させ、政府の国民に対する説明責任を徹底し、行政の質を向上させるため、2001年1月の中央省庁再編に合わせて全政府的な政策評価制度を導入する。この制度においては、各府省において政策評価担当組織を設置し、必要性・優先性・有効性等の観点から政策を評価する。これらの評価結果は公表される。更に、総務省は、各府省が行う政策評価の総合性及び厳格な客観性を担保するための評価を行い、各府省に対して必要な勧告を行う。この総務省の評価結果についても公表される。

2. 日本政府は、総務省の政策評価の公正性及び中立性を確保するため、外部の専門家からなる政策評価・独立行政法人評価委員会の設置準備を進めている。

3. 日本政府は、この政策評価制度を充実・強化するため、引き続き努力し、また、必要に応じこの制度を見直す。

B. パブリック・コメント手続

1. 日本政府は、「規制の設定又は改廃に係わる意見提出手続(「パブリック・コメント手続)」(閣議決定)を、1999年度初めから実施している。総務庁は、2000年度第1四半期に、1999年度におけるパブリック・コメント手続の実施状況のフォローアップを行った。日本政府は、その結果を7月に公表する。総務庁は、フォローアップに次の事項を含めた。

a. 意見の募集期間

b. 意見を踏まえた規制案の主要な修正

c. パブリック・コメント手続を採らなかった場合の理由

d. 審議会等が既に実質的に同様の手続を採ったときなど、意志決定過程の特例に基づき、各省庁がパブリック・コメント手続を実施しなかった事例

2. 総務庁は、パブリック・コメント手続の実施状況のフォローアップ結果について一般からの意見を受け付ける。

C. 行政手続及び慣行1. 日本政府は、規制緩和推進3か年計画に沿って、引き続き行政手続法の遵守を促進し、申請手続に関連する行政手続及び行政指導の透明性・明確性を高める。

2. 総務庁は、1999年6月に、「行政手続の公正及び透明性の確保に関する調査結果に基づく勧告」を公表したところであり、この勧告に関する各省庁の措置状況を取りまとめ、公表する予定である。

D. 特殊法人の情報公開日本政府は、特殊法人の情報公開の法案化に関する検討、報告を行うため、1999年7月に政府の行政改革推進本部の下に特殊法人情報公開検討委員会を設置した。同委員会は、2000年7月を目途に最終報告を提出する。

X. 自動二輪車

A. 高速自動車国道における自動二輪車の速度制限

 警察庁は、1998年度及び1999年度に行われた調査結果を考慮し、2000年度末までに高速自動車国道における自動二輪車及び軽自動車の速度制限を毎時80キロから毎時100キロに引き上げるとの基本的立場である。警察庁は、この基本的立場についてパブリック・コメント手続を実施した。

B. 高速自動車国道及び自動車専用道路における自動二輪車の二人乗り警察庁は、高速自動車国道及び自動車専用道路における自動二輪車の二人乗りの禁止の解除の可否についての調査・検討を開始することを決定し、できるだけ早期に結論を得ることとした。


「強化されたイニシアティブ」の下で米国政府によってとられた規制緩和及びその他の措置

I. 規制緩和・競争政策およびその他措置

A. 貿易関連措置

 1. 再輸出管理

a. 米国は、日本の輸出管理の有効性を認識し、引き続き、日本に対して、商務省の関連規制の下で許可可能再輸出(例外規定)及びデミニマス・ルールを適用する。また、米国政府は引き続き輸出管理の合理化と透明性の確保につとめる。

b. 輸出管理の透明性を確保するために、商務省は、引き続き、日本語ウェブで提供する再輸出管理に関するガイダンス(案内)を改良し、発展させ拡張する。また、日本語及び英語のパンフレットを含む他の媒体や東京の米国大使館商務部や各地の人員を通じて、ガイダンスや説明を提供する。ウェブサイトには、デミニマス・ルール(米国製比率の予備的なガイダンス及び測定法)及び用語の定義並びにソフトウェア及び技術に関する米国製比率の測定に関するガイダンスが掲載される。米国商務省は、日本語ウェブサイトに掲載する情報の範囲について、定期的にレビューを行い、日本の再輸出者が輸出管理規則(EAR)に基づく米国の許可手続及び自ら義務を理解するのに十分な情報をウェブサイトから得られるようにする。

c. 米国政府は、再輸出者が独自の計算により、再輸出品について、規制対象となる米国製比率がデミニマスの範囲内であると判断する場合には、許可証を要求しない。詳細については、輸出管理規則(EAR)の734. 4(米国製比率のデミニマス)および736. 2(b)(2)(一般的な禁止2)を参照。商務省は、本件について日本政府との議論に応じる用意がある。

d. 日本の再輸出者が適切な情報を入手できるよう確保するために、米国は、日本の再輸出者が米国輸出管理に関して入手可能なガイダンスの水準及びわかりやすさを向上させる努力をしている。米国政府は、日本の再輸出者の要望に応じ、個々のケースにおいて適用される規則を遵守するために必要な具体的な情報の入手の確保や、技術とソフトウエアに関するデミニマス手続を合理化し簡素化するための最適な方法について検討を行う。

2. 商用衛星及び関連物品並びにそれらの技術情報の規制a. 米国政府は、米国製通信衛星の打上げ監視に関するPL-105-261に基づく強化された規制を、北大西洋条約機構(NATO)加盟国又は日本を含む主な非NATO同盟国において又は同国民によって打ち上げられる米国製衛星には機械的には適用しない。それでもなお、当該強化された規制は、適切な他の輸出規制と同様に、米国の安全保障及び対外政策の促進のため、場合によっては適用される可能性がある。

b. 米国政府は、商用通信衛星の許可に関する状況を改善するため、以下に示す措置をとる。

(1)国務省は、日本政府からの要望及び米国防衛産業からの情報提供を考慮に入れた、商用衛星及び関連物品並びに技術情報に対する特別許可基準を作成し、公布した。国務省は、国防総省と調整して、NATOと日本を含む主な非NATO同盟国向けの衛星に関する輸出手続を合理化し、簡素化する。国務省は、日本政府によって提案された具体的な提案をこれらの過程において考慮する。

(2)上記「合理化及び簡素化」は、許可手続期間を短縮するための努力を含む。加えて、「合理化及び簡素化」は、米国企業が日本企業に、過去において提供したことがあるか、あるいは日本企業が容易にかつ規制なく他のNATO及び非NATO同盟国から入手できる技術データ、衛星、その関連物品(あるいはそれらの同等品)に関する許可手続を簡素化する努力を伴う。また、「合理化及び簡素化」は、衛星及び関連物品の日本企業への輸出又は日本企業からの輸入に関連する技術情報のための許可期間の短縮及び同許可手続の簡素化への努力をも指す。

(3)加えて、米国申請者とその日本側の取引先が全ての技術援助の完全な範囲と期間を詳細に特定できるという条件の下、防衛取引管理局(ODTC)は、一度の処理で取り扱うことができるより包括的な許可申請を検討することもありうる。また、そのような検討がなされるには加えて、ハードウェアの数量、型式、価格についての品目毎の集計とともに、提供されることとなっている全ての技術情報のリストを提供することが条件になる。

c. 国務省ODTCは、情報の移転を制限し、その他の制約を強いている許可承認書上の条件(制限及び但書)を再検討するよう求める米国企業(日本企業と契約している企業を含む)による要求を判断する。これらの判断は、国防総省と協力してケース・バイ・ケースで行われる。

3. 時計の関税率算定方法

a. 国際貿易委員会(ITC)は、時計の関税算定方法に関する米国関税率表の検討準備にあたり、追加的なデータ及び分析を含む日本のコメントを引き続き考慮する。この見直し作業は2000年夏までに終了する。

b. ITCは、最終報告書と共に日本政府の意見及び要望を議会に提出する。米国政府は、本件に関し、日本政府との対話を継続する。

4. 時計の原産地表示規則

a. 米国政府は、1999年6月、時計の原産地表示として消えないインクによる表示を認めるために、米国関税率表を改正した。

b. 国際貿易委員会(ITC)は、最終報告書と共に日本政府の意見及び要望を議会に提出する。米国政府は、本件に関し、日本政府との対話を継続する。

5. 商標に関する税関規則

 通関書類における商標のリスト化に関する税関規則19CFR141. 86(a)の改正案を最終規則として採用するか否かの決定において、米国政府は1999年12月13日付けで日本政府が提出したコメントに十分配慮することとする。米税関当局(USCS)は改正案を最終決定した後、米国官報で結果を公表する。最終決定に基づく改正が実施されたなら、USCSは実施に関する日本からの質問に回答することをいとわない。本件改正は、実施に際し貿易への不必要な障壁となるべきではない。

6. 繊維品に関するNAFTA原産地規則米国政府は、繊維品に関するNAFTA原産地規則についての日本の懸念に関し、日本政府と協議を行ってきた。米国政府は、日本側の要求通り、本件に関する日本の懸念を、是認することなしにメキシコ政府とカナダ政府との協議において伝達した。米国政府は、日本政府の求めに応じて、繊維製品のNAFTA原産地規則に関する日本政府にとっての新たな関心事項について追加的な意見交換を行う。

B. 調達に関する規則

1. 連邦バイ・アメリカン法及び同趣旨の地方政府法令米国政府は、バイ・アメリカン規定の問題が日本政府にとって重要であることを認識し、この分野において引き続き日本政府と対話を行う。米国政府は、鉄道車輌調達の問題に関して日本政府と日本の産業界代表と会合を持ち意見交換を行う用意がある。

2. 自動車ラベリング法

a. 米国政府は、日本政府の要望に基づき、運用措置の改定を含む自動車ラベリング法プログラムに関する追加的な意見交換を行う。こうした意見交換において、米国政府は日本政府の意見を考慮に入れる。

b. 要望に基づき、米国政府は、運用措置の改定を含む自動車ラベリング法プログラムに関し、利害関係者と会見し、意見交換を行うための意味のある機会を設ける。

C. CAFE(企業平均燃費)規制

1. 米国政府は、日本政府の要望に基づき、運用措置の改定を含むCAFE(企業平均燃費)規制に関する追加的な意見交換を行う。こうした意見交換において、米国政府は日本政府の意見を考慮に入れる。

2. 要望に基づき、米国政府は、運用措置の改定を含むCAFE(企業平均燃費)規制に関し、利害関係者と会見し、意見交換を行うための意味ある機会を設ける。

D. メートル法(SI単位)の採用米国政府は、民間部門並びに連邦及び州政府レベルにおけるメートル法の使用を拡大、増加するための措置を引き続き講じる。また、当面の間、米国は以下の措置を講じる。

1. 商務省の国立標準研究所(NIST)及び計量に関する全米会議(NCWM)は、2000年1月1日以降、米国の消費材にメートル法のみの表示を認めるという改正された包装・表示に関する統一規則(UPLR)の完全実施に向け、調整をはかる。

2. 公正包装および表示法(FPLA)を改正するための法案を議会に提出し、同法の適用を受ける製品にメートル法のみの表示というオプションが認められるようにする。

3. 米国政府は、(メートル法転換法が施行された25周年にあたる)2000年末までに、メートル法普及プログラムの進捗に関する25周年記念レポートを公表する。

E. 特許

 米国政府は、先願主義への移行、早期公開制度及び再審査制度のさらなる改善、並びに特許協力条約(PCT)上の実務に整合した発明の単一性に関する規則の採用についての日本の要望に対し、引き続き十分に考慮することを保証する。

 F. 制裁法米国政府は、マサチューセッツ州のミャンマー制裁法に関し、個々の州による法律はこの分野に関する連邦政府の政策と整合的であるべきであるとの立場を確認する。2000年6月19日、最高裁判所は全員一致で本件州法が違憲であることを確定する判決を下した。最高裁判所は、専占を理由として判決を下し、マサチューセッツ州法は連邦のミャンマー制裁法に抵触し、専占されていると判断した。米国は、連邦政府及び州政府がこの種の案件に関し緊密に調整することが重要であることを確信している。

 G. 流通

1. 通関米国政府は、APEC税関手続小委員会(SCCP)において日本政府及びカナダ政府と協力して開発される輸入手続の所要時間調査に参加する。

2. 酒販売免許米国政府は、日本の焼酎を含む輸入アルコール飲料の販売に関し、カリフォルニア当局が関連のWTO及び他の諸規則を認識することを確保するために、カリォルニア州との対話を継続する。

H. 競争政策競争的な市場の力が最大限働くことを確保する努力として、司法省は定期的に、反トラスト法の適用除外が引き続き適切であるかどうかに関して見解を表明し、正当な根拠がある場合には反トラスト法適用除外の廃止に努める。2000年3月22日、ハイド委員長より提出された、外航海運業者に対する反トラスト法の免除を廃止する法案に関し、米国下院司法委員会はヒアリングを開催した。司法省はそのヒアリングにおいて法案を支持する証言を行った。

I. 法律サービス米国においては、23の州とコロンビア特別区が外国法コンサルタントについての規則を有している。国際ビジネスの促進の観点から、米国政府は、すべての州が、外国法コンサルタントについての規則を採用することを支持する。

J. 領事事項

1. 米国政府と日本政府は、領事事項に関する懸念事項に対応しうる措置についての議論を継続する。

2. 日本政府は、一般的に、特定の分野の米国の移民関係の規則・規制に関する自らの見解を知らしめるために、既存のパブリック・コメント手続を利用できる。詳細は司法省移民帰化局のウェブサイト(www. usdoj. gov)にある。

3. 米国政府はH1-Bビザ取得のためのプロセスを改善し、手続全体を簡素化するために可能な措置について検討している。さらに、現在、米国議会は、H1-Bビザの年次発給数の増加を検討している。

4. 到着・出発記録、または「I-94」に関し、移民帰化局は滞在許可期間の延長申請の処理期間の短縮化に努めている。現在行われている「入国管理に係る便益再生のためのプログラム」の一部として、移民帰化局は滞在延長の申請処理の簡素化にも努めている。

5. 1996年の社会保障局の政策の変更は、労働許可を持たない外国人居住者に対する社会保障番号の発行に影響を与えた。

6. 日本人を含め、合法的に滞在する全ての外国人は、一つの州の運転免許証取得のための要件を満たしている場合には、米国の全ての州及び管轄地域において運転免許証を取得することができる。しかし、殆どの州が、申請者が社会保障番号を所持している場合にはその提示を求めているため、社会保障番号を所持していないと申告する申請者は、社会保障局において社会保障番号を申請するようにとの指示を受ける可能性がある。申請者が社会保障番号に不適格であるような州においては、社会保障局はその旨を示したレターを外国人申請者に直ちに発出する。外国人申請者は、そのレターを社会保障番号の代わりに州の運転免許証発行当局に対して提示できる。

 7. 社会保障局及び州は、社会保障番号なしに運転免許証及びその他の文書を取得することに係る州毎のプロセス及び手続に関する情報を引き続き提供する。

 II. 住宅米国政府は住宅製品の試験方法の採用に関して権限を有していない。しかしながら、地方自治体とモデルコードを作成する関係機関に対し、試験方法の開発・改良にあたり、ISOの試験方法を考慮することを引き続き奨励する。米国政府は日本政府に本分野における進捗を報告する予定である。

III. 電気通信

A. 外国事業者の米国電気通信市場への参入に関する審査基準米国政府及び日本政府は、米国電気通信市場への参入に関する審査基準の透明性に関する対話を開始した。1999年に、連邦通信委員会(FCC)は、785件の国際サービスの認証を付与したが、そのうち200件以上は、外国からの投資が10%以上を占める事業者に関わるものであった。これらの申請のうちの745件は簡素化された手続によるものであった(14日後に自動的に付与)。外国事業者に関する命令の発効以来、米国への参入を拒否された申請者はいない。

B. 国際精算料金に関するベンチマーク米国政府は、コストを上回る計算料金の問題に対処することを目指す多数国間のフォーラムに引続き積極的に参加し、市場の現実を考慮し、開発途上国が競争的な世界的電気通信市場に移行することを支援して、この問題を解決するための確かな努力に貢献する。

C. 州レベルの規制米国政府は、州レベルの申請手続の相違に関する日本の懸念及び一層の調和の要請について議論するため、日本と全米公益事業委員協会(NARUC)との対話を促進した。米国政府はこれらの問題に関する対話を引き続き促進する。日本が表明した懸念は、2000年3月のNARUCの会合において、NARUCのリーダーシップによる議論の議題の1つとなった。この会合においては、報告様式のモデル化を研究課題の1つとして取り上げることの適否が議論された。NARUCは、外国規制当局が準会員としてNARUCに加わり、相互の関心事項を議論するためにNARUCに参加することができるプログラムを確立した。

D. 州際アクセスチャージ5月31日、FCCは、総額32億ドルのアクセス・チャージの米国内での値下げを命じた。新しいアクセス・チャージ制度に参加する地域ベル会社については、交換及び伝送のためのアクセス・チャージを1分当たり0.55セントに引下げることが義務づけられた。この料金は、郵政省のLRICモデルによって開発された郵政省の「ケースB」料金の約半分のレベルであり、米国のLRICに基づくモデルの範囲内でもある。この新たな制度への参加を拒否する米国事業者は、彼らのアクセス・チャージ料金算定根拠となるLRICの検討結果を提出するよう求められ、その料金は、2000年7月1日まで遡及される。

E. FCCのハイブリッド・コスト・プロクシィ・モデルの透明性FCCは、ハイブリッド・コスト・プロクシィ・モデルを含むいかなるLRICモデルの今後の開発についても、透明性及び意見招請の機会を確保する。

F. 接続料算定方式等へのアクセス米国は、接続協定及びモデルに関する広範な情報を含む全50公益事業委員会及びナショナル・レギュラトリー・リサーチ・インスティテュート(NRRI)のデータベースに電子的にアクセスする方法に関する情報を日本政府に提供した。

G. インターネットサービスに係る国際費用負担の在り方(ICAIS)米国政府及び日本政府は、2000年5月のAPEC電気通信大臣会合において、ICAISの原則を支持した。米国政府は、日本政府とともに、「インターネット接続がグローバルな情報基盤に不可欠な要素であること」、「ネットワーク・サービス・プロバイダー間のインターネット費用負担は商業的に交渉されるべきこと」しかし、「支配的事業者あるいは事実上の独占状態が存在する場合、政府は、公正競争を促進するための役割を果たすべきこと」を確認する。APECにおいて、インターネットサービスに係る国際費用負担の在り方に関するいかなる適切な勧告についてもコンセンサスが得られるよう、米国政府は、日本政府とともに、APECの議論が意義あるものとなるように努力する。

H. ドメインネームの登録及び管理のための公正な競争環境米国政府及び日本政府は、インターネット・ドメインネーム・システムの民間管理について議論した。米国政府及び日本政府は、米国政府並びにドメインネーム及びIPアドレスの割当に関するインターネット法人(ICANN)との取決めの下でのネットワーク・ソリューションズ社(NSI)の義務の精力的な執行が、ドメインネーム・サービス市場における健全な競争の利益を消費者が手にすることを保証するのに必要であるという見解を共有している。米国及び日本の民間部門は、競争的なドメインネーム登録業者及びICANNの世界的プロセスへの参加者として新たな市場に参加している。米国政府及び日本政府は引き続き、2国間で協議し、政府諮問委員会(GAC)に参加し、他のGACメンバーとともに政府の懸念に関わるICANNの活動に関するアドバイスを作成し提供する。

I. インテルサットへのダイレクトアクセスFCCは、コムサット以外の事業者に対し、国際衛星サービスのために、米国からのインテルサットへのダイレクトアクセスを認める措置を講じた。

IV. 医療用具・医薬品

1. 医薬品製造品質管理規則(GMP)食品医薬品庁(FDA)は、情報交換や様々なやりとりを通じて、GMP相互承認協定と同様の協力に関する措置を促進すべく、厚生省とともに取り組んできた。FDAと厚生省は、この取り組みの重要性を理解しており、この協力のプロセスを推進し、さらに技術的な対話を継続する。さらに、FDAと厚生省は、日米EU医薬品規制整合化国際会議(ICH)のような国際的な整合性に関する会合においても、積極的に取り組んでいる。

2. 臨床試験の実施の基準FDAは、特にICHにおいて、臨床試験の実施の基準(GCPs)に関する協力的な活動を継続し、厚生省を含む外国規制当局からのGCPsに関する情報に係る要望に対して適切に対応していくことを継続する。

3. 安定性試験データのタイミングFDAは、新医薬品承認申請に際して、パイロット・スケール生産により得られた安定性試験データを受け入れている。

V. 金融サービス

A. 外国証券従業員に対する簡素化された試験の導入証券取引委員会は、ニューヨーク証券取引所(NYSE)、全米証券業協会(NASD)、及びアメリカ証券取引所(ASE)における外国証券従業員に対する簡素化された試験案を、1996年1月11日、1996年4月12日、1997年9月15日にそれぞれ承認した。この簡素化された試験を運営する全米証券業協会(NASD)は、日本証券業協会(JSDA)と協力して、応募者の登録資格や懲罰記録などを確認するために必要な情報を入手する手続策定を行っている。JSDAとNASDの話合いが決着すれば、上記の証券取引所は、日本の証券従業員が米国内で証券業務を行うための免許についての簡素化された試験制度を受け入れる見込み。(なお、日本の証券従業員は地方債に関する業務を行うことはできない。)

B. 新発外国債の登録要件

1. 1933年証券法は、米国内でのすべての証券の提供、販売は、例外が適用される場合を除いて、SECに登録されるべきことを規定している。同法は、米国債や外国株式と同様に外国債についても適用される。登録要件に関する例外規定は、一定の類型の証券取引について適用されるが、外国債に関する特別の例外規定は存在しない。

2. 当該法律の表Bは、米国内において公募を行う外国政府に関する情報開示要件を規定している。これらの要件は比較的限定されており、商業や非政府の発行者らに適用されるような細かな法則及び規定にはなっていない。実際のところ、外国債発行者は、発行する債券がマーケットで広く受け入れられやすくなるよう表Bの要求を越えた追加的な情報開示を行うのが一般的である。外国債発行者は、SEC規則415に基づく「一括」登録の資格を有しないが、SEC解釈通牒により、表Bに属する発行者で過去5年間のうちに証券登録を行い元本または利息の支払いを怠ったことのない者に対し、同様の手続を適用することとされた。

3. しかし、外国政府は、米国外で発行され40日の還流制限期間以降に米国で売られた証券については登録の義務がない。また、外国政府は証券法に明記されている特定の証券取引についても登録義務の免除を受けることができる。多くの外国政府は、「公募を伴わない発行者の取引」に対して登録の免除を規定している証券法第4条(2)を援用している。第4条(2)に基づいた外国債の提供の多くは、機関投資家への大規模証券の私募発行である。

 C. 市民権要件国法銀行法72条は、「国法銀行の取締役は米国市民でなければならない」と規定している。外国銀行の子会社あるいは関連会社である国法銀行の場合、通貨監督庁長官はその裁量により、取締役総数の半数未満であれば市民権要件を免除することができる。通貨監督庁(OCC)は市民権要件による弊害が最小限に留まるような方法で適用していく。市民権要件を有する多くの州も、各々の州法にしたがいつつ、市民権要件を免除している。

 D. 外国銀行に対する検査1999年10月、連邦政府銀行関連省庁は外国銀行の一定の支店及び代理店について、検査周期を12ヶ月から18ヶ月に伸ばす規則を採用した。18ヶ月の検査周期は、総資産2億5千万ドル以下で、国内の銀行に適用されるような追加的適格基準を充たす外国銀行の米国支店及び代理店に対して適用される。

E. 金融近代化

 クリントン大統領は、1999年11月12日、グラム・リーチ・ブライリー法に署名した。金融持株会社になろうとする外国金融機関につき、内国民待遇及び競争機会均等の原則は、同法において明確に採用された。日本の銀行及びその他の外国銀行が充たす必要がある要件は、米国の銀行が充たすべき要件に匹敵するものである。同法の下で、連邦準備制度理事会は、国内銀行に適用する要件に匹敵する自己資本及び経営に関する基準を、金融持株会社になろうとする外国銀行に対して適用することになる。金融持株会社でない外国銀行で20条子会社を設立したものに関しては、同法により以前より可能であった引受け業務やディーリング業務が引き続き維持される。

 F. レギュレーションKの改正に関する要望

 上記の外国銀行の米国支店に対する検査周期の延長以外に、レギュレーションKに関する進展はこの1年間なかった。しかしながら、グラム・リーチ・ブライリー法との関係で、連邦準備制度理事会が、次の1年内にレギュレーションKのサブパートBの改正のための作業を行うことが予想される。