データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日米安全保障協議委員会(「2+2」会合)発出文書,共同発表

[場所] ニューヨーク
[年月日] 2000年9月11日
[出典] 外交青書44号,368−369頁.
[備考] 
[全文]

1.マデレーン・オルブライト国務長官、ウイリアム・コーエン国防長官、河野洋平外務大臣及び虎島和夫防衛庁長官は、2000年9月11日、ニュー・ヨークにおいて、日米安全保障協議委員会(SCC)の会合を開催した。閣僚は、アジア太平洋地域の戦略環境及び日米同盟に関連する問題につき協議を行った。

2.閣僚は、アジア太平洋地域における最近の好ましい発展を歓迎する一方で、依然として不安定性と不確実性が存在していることを認めた。日米双方は、2000年7月の首脳会談においてクリントン大統領及び森総理により示された認識を強調しつつ、日米同盟が、この地域の平和と安定を維持する上で果たす極めて重要な役割を再確認した。閣僚は、両国の価値の共有と共通の展望が、両国の長く、そして成功している同盟関係の証である緊密な協力関係を可能にしつつ、日米関係の土台となっていることで一致した。

3.日米双方は、6月の南北首脳会談を歓迎するとともに、この進展が継続し朝鮮半島の緊張緩和につながることに強い期待を表明した。閣僚は、このような可能性を高めるために日米韓3ヶ国間の連携が極めて重要であることを再確認した。また、日米双方は、アジア太平洋地域の安定と繁栄にとり、中国がこの地域において肯定的かつ建設的な役割を果たすことが極めて重要であるとの共通の認識を再確認した。

4.オルブライト長官及びコーエン長官は、日本の接受国支援の主要な部分である新たな特別協定に対する謝意を表明した。米軍部隊の前方展開がこの地域の平和と安定を確保する上で極めて重要な役割を果たしていることに留意しつつ、閣僚は、日本の接受国支援が在日米軍の効果的な活動に対して重要な貢献をしていることを強調した。

5.日本及び米国は、日米防衛協力のための指針の実施面での進展において、同盟関係における新たな成果を達成した。とりわけ、4閣僚は、計画についての検討作業の進展及び緊急事態において二国間のより良い調整を確保する調整メカニズムの設置を歓迎した。弾道ミサイル及び関連技術の拡散が継続していることに懸念をもって留意しつつ、日米双方は、この問題に関し、引き続き外交努力を重ねていくことの重要性を強調した。双方は、弾道ミサイル防衛技術に係る共同研究を継続することを再確認した。

6.在日米軍の駐留に係る問題について、日米双方は、在日米軍施設及び区域に関連する個別の問題に取り組み、また、米軍と地域社会との間の「良き隣人関係」を構築する上で、すべての関係者が行ってきた努力を評価した。日米双方は、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保するため、これらの努力を維持し及び強化することの重要性を認識した。

7.日米双方は、SACO最終報告の実施につき、これまでの進展に留意しつつ、2000年7月に森総理とクリントン大統領が一致したとおり、同最終報告の実施につき着実な進展の継続が重要であることを強調した。日本は、1999年12月の閣議決定に従い、普天間飛行場の移設・返還に係る問題を取り上げた。1996年の日米安保共同宣言で述べられているとおり、日本及び米国は、国際的な安全保障情勢における変化に対応して、防衛政策並びに日本における米軍の兵力構成を含む軍事態勢について引き続き緊密に協議していくことについても再確認した。

8.日米双方は、地域住民並びに在日米軍関係者及びその家族の健康及び安全を確保することの重要性を強調しつつ、米軍施設及び区域に関連する環境問題につき検討した。日本と米国は、環境原則に関する共同発表を発出することで一致し、これらの原則の下で、環境保護のための協力を強化していくことへのコミットメントを表明した。