[文書名] 森喜朗総理大臣とジョージ・W・ブッシュ大統領による共同声明
本日、森総理大臣とブッシュ大統領は、日米二国間関係の強さを再確認した。両首脳は、日米関係は友情、相互信頼及び民主主義という共通の価値観に基づくものであるとの確信を表明した。両首脳はまた、このような強固な絆の存在が日米両国が遺憾なえひめ丸の事故のような問題に取り組むことを可能にしているとの見解を共有する。両首脳は、日米同盟関係はアジア太平洋地域の平和と安定の礎であることに留意した。両首脳は、米国のプレゼンスが地域の安全にとって引き続き不可欠であることにつき意見の一致を見、同盟関係の一層の強化に共に取り組むことを約束した。
両首脳は、日本と米国が合わせて世界経済の約40%を占めることに留意し、両国及び世界全体の繁栄を促進するために協力することの重要性を再確認した。両首脳は、両国経済が直面する諸課題に対処することの必要性を認識した。総理大臣は、引き続き適切な経済政策を遂行するとともに、企業債務及び不良債権の問題に効果的に対処することを含め、日本経済の再生及び金融システムの強化のための構造改革及び規制改革を精力的に促進する決意を改めて述べた。大統領は、米国における持続可能な成長を支えるために適切な政策を取ることの重要性を再確認した。これは両国及び世界経済にとり利益をもたらすものである。両首脳は、規制緩和、構造改革及び外国直接投資を促進することの重要性につき意見が一致した。両首脳は、グローバルな、地域的な及び二国間の経済及び貿易問題を検討する日米間の対話を強化するための新たな方策を探求すべく協力することで意見が一致し、また、この努力に両政府の外からの意見をとり入れていくことが、両国関係を強化し、両国の経済状況を改善させるであろうことを認識した。両首脳は、また、WTO新ラウンドの本年の立上げに向けて緊密に協力することに合意した。
森総理大臣とブッシュ大統領は、大量破壊兵器と弾道ミサイルの拡散による脅威が増大していることを認識した。このような脅威に対処する包括的な戦略の一環として、軍縮の分野を含め外交的努力を強化することの重要性について両首脳は意見の一致を見た。両首脳は、また、このような脅威に対処するため、防衛システム、拡散管理の強化及び拡散対抗措置を含む効果的な措置をとる必要性につき再確認した。両首脳は、日本及び米国が弾道ミサイル防衛技術に係る共同研究を既に実施していることに満足の意をもって留意した。両首脳は、ミサイル防衛に関し、同盟国との間で及び他の関係国との間で緊密な協議を行うことの重要性について意見の一致を見た。
両首脳は、アジア太平洋地域における不確実性のために、二国間の防衛協議及び計画についての検討作業に精力的に取り組むことを含む緊密な二国間の協力が必要であることに留意した。両首脳は、1996年の日米安全保障共同宣言及びこれに関連する新たな日米防衛協力のための指針、SACOプロセス等の取組の下での、同盟関係を強化するコミットメントを引き続き実施することの必要性を再確認し、また沖縄に関する諸問題につき引き続き緊密に協力することで意見の一致を見た。両首脳は、また、日米同盟関係が安定を促進するために、また、生起することのある新たな諸課題に対応するために、何が最良の方法かを定義する上で戦略対話が重要な一歩となることにつき意見の一致を見た。両首脳は、直面する地域的問題について緊密に協調することを約束すると共に、北朝鮮に関し、日米二国間においても、また、日米韓三国間においても、緊密な協議と調整を維持することが特に重要であることを再確認した。
総理大臣と大統領は、地球的規模の問題に関する両国の協力がこれまでに生み出した重要な成果に留意し、この協力を継続する必要性を認識した。両首脳は、両国が世界最大の援助供与国であることに留意し、21世紀における国境を越えた諸課題に対処するための共同努力を強化することで意見の一致を見た。両首脳は、効率性の向上を目的とする国連安保理改革推進に関する両国のコミットメントを表明した。この関連で、両首脳は、日本の安保理常任理事国入りのため引き続き協力することで意見の一致を見た。
大統領は、総理大臣からの大統領に対する早期の訪日招待を感謝をもって受諾した。