[文書名] 日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定に基づく弾道ミサイル防衛協力に関する交換公文(米国との弾道ミサイル防衛協力取極)
(略称)米国との弾道ミサイル防衛協力取極
平成十六年十二月十四日 東京で
平成十六年十二月十四日 効力発生
平成十七年六月三日 告示
(外務省告示第三七九号)
{目次は省略}
(日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定に基づく弾道ミサイル防衛協力に関する交換公文)
(日本側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本大臣は、千九百五十四年三月八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定(以下「MDA協定」という。)に言及する光栄を有します。同協定は、各政府が、他方の政府に対し、援助を供与する政府が承認することがある装備、資材、役務その他の援助を、両政府の間で行うべき細目取極に従って、使用に供するものとすることを特に規定しています。
日本国政府及びアメリカ合衆国政府は、弾道ミサイル防衛が日本国及びアメリカ合衆国両国の防衛政策における重要な課題であることを認識し、千九百九十六年二月二十三日に東京で署名された日本国政府による弾道ミサイル防衛についての研究の効果的実施に必要な情報のアメリカ合衆国政府より日本国政府に対する供与に関する交換公文及び千九百九十九年八月十六日に東京で署名された弾道ミサイル防衛技術に係る共同研究に関する交換公文に基づき、弾道ミサイル防衛に関する協力を推進してきました。
弾道ミサイル防衛に関するアメリカ合衆国政府の政策は、同政府が、二千四年及び二千五年に弾道ミサイル防衛能力の当初の一式をアメリカ合衆国並びにその友好国及び同盟国を守るために配備し、それ以降は、技術的進歩を勘案し、必要に応じて追加的な弾道ミサイル防衛能力を配備するというものです。弾道ミサイル防衛に関する日本国政府の政策は、同政府が、弾道ミサイルによる攻撃に対して日本国における生命及び財産を守るため、本質的に防衛的な性格を有し、かつ、他に代替手段のない弾道ミサイル防衛システムを導入するとともに、千九百九十九年八月十六日に署名された前記の交換公文に従って実施されている共同研究の将来における開発及び配備の段階への移行については、その時点における国際関係の状況及び他の要素を勘案して別途決定するというものです。
この関連で、日本国政府及びアメリカ合衆国政府の代表者は、最近、各政府の前記の政策の範囲内で行われる弾道ミサイル防衛に関する両政府間の協力(以下「協力」という。)について前記の細目取極を行うため討議を行いました。この討議の結果に関する日本国政府の了解は、次のとおりであります。
1 3の規定に基づき行われる実施細目取極に従い、各政府は、他方の政府に対し、協力の実施を支援するために情報、装備及び資材をそれぞれの国の法令に従って相互に提供する。いずれかの国によって輸出管理が行われている情報、装備及び資材は、それぞれの政府の関係当局が事前に許可を適正に与えた場合に限り、当該実施細目取極に従って提供される。両政府は、協力の実施のために必要な資金を共同して負担する。
2 この了解は、MDA協定及び同協定に基づく取極(千九百五十六年三月二十二日に東京で署名された防衛目的のためにする特許権及び技術上の知識の交流を容易にするための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を含む。)に従って実施される。
3 この了解を実施するため、両政府の権限のある当局の代表者は、実施細目取極を行う。当該実施細目取極につき、日本国政府の権限のある当局は、防衛庁であり、アメリカ合衆国政府の権限のある当局は、国防省である。
4 この了解及びこの了解に基づき行われるすべての取極に基づき日本国政府及びアメリカ合衆国政府が行う財政上の債務の負担及び支出は、それぞれの国の憲法上及び法律上の規定に従った予算の承認を得たところにより行う。
本大臣は、前記の了解がアメリカ合衆国政府により受諾される場合には、この書簡及び受諾する旨の閣下の返簡が両政府間の合意を構成するものとみなし、その合意が閣下の返簡の日付の日に効力を生じ、かつ、いずれか一方の政府による終了の通告の受領の日の後六箇月が経過する時まで効力を有するものとすることを提案する光栄を有します。
本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
二千四年十二月二十四日に東京で
日本国外務大臣 町村信孝
アメリカ合衆国特命全権大使
ハワード・H・ベーカー・Jr閣下
(米国側書簡)
(訳文)
書簡をもって啓上いたします。本使は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本使は、アメリカ合衆国政府が前記の了解を受諾することを同政府に代わって確認し、閣下の書簡及びこの返簡が両政府間の合意を構成するものとみなし、その合意がこの返簡の日付の日に効力を生じ、かつ、いずれか一方の政府による終了の通告の受領の日の後六箇月が経過する時まで効力を有するものとすることに同意する光栄を有します。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
二千四年十二月十四日に東京で
アメリカ合衆国特命全権大使
ハワード・H・ベーカー・Jr
日本国外務大臣 町村信孝閣下
(参考)
この取極は、昭和二十九年三月八日に署名された相互防衛援助協定(現行条約集覧及び条約集第一一五一号参照)及び同協定に基づく取極に従い、弾道ミサイル防衛に関する協力についての日米両政府間の基本的了解を確認したものである。