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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 北朝鮮に関する日米外相共同声明

[場所] ワシントンDC
[年月日] 2005年2月19日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

 アメリカ合衆国国務長官及び日本国外務大臣は、北朝鮮が無期限に六者会合への参加を中断し、核兵器を製造したことを公に宣言した2005年2月10日付け北朝鮮外務省声明に関し、深い懸念を表明した。

 閣僚は、北朝鮮の核計画は、国際的な核不拡散体制への深刻な挑戦であると共に、日本を含む北東アジア地域の平和と安定への直接の脅威であることを確認した。

 閣僚は、北朝鮮に対する基本政策を再確認しつつ、六者会合を通じ、核問題の平和的且つ外交的解決を引き続き目指すことへのコミットメントを改めて表明した。

 閣僚は、北朝鮮に対し、早期に、無条件で六者会合に復帰し、信頼のおける国際的な検証の下、ウラン濃縮計画を含むすべての核計画の完全な廃棄を行う旨コミットするよう強く求めた。

 閣僚は、北朝鮮の声明は、国際社会からの北朝鮮の孤立を一層深めるだけであり、六者会合を通じた核問題の平和的解決に向けた関係国による努力に反するものであることで一致した。

 閣僚は、これまで北朝鮮が述べてきた、近隣諸国及び国際社会との関係の正常化への関心は、六者会合への即座の復帰及び北朝鮮の核計画の廃棄を通じてのみ可能となることで一致した。

 閣僚は、このような方途をとることが、北朝鮮にとって多数国間での安全の保証、北朝鮮の人々の生活の改善並びに近隣諸国、地域及び世界との新たな関係構築に向けた進展を得るための最善の方法であることに留意した。

 閣僚は、北朝鮮のミサイル計画に懸念を表明し、いかなる状況に対しても準備を整えておくために、引き続き、情報を共有していくことを決定した。閣僚は、北朝鮮に対し、拉致問題を迅速且つ完全に解決するよう強く求めた。アメリカ合衆国国務長官は、アメリカ合衆国が拉致問題に関する日本の立場を完全に支持することを再確認した。

 閣僚は、また、日米安全保障体制が引き続き力強さ及び活力を有することを再確認し、同体制が地域の平和と安定に対する挑戦を阻止及び対処する能力を有することへの信頼を表明した。