データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日米間の「規制改革及び競争政策イニシアティブ」に関する日米両首脳への第六回報告書

[場所] 
[年月日] 2007年6月6日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

 2001年6月に始められた「日米規制改革及び競争政策イニシアティブ」は、現在6年目を終えようとしている。イニシアティブは、規制改革を通じて経済成長を促進するための二国間のフォーラムとして設置された。イニシアティブは毎年、広汎な分野別及び分野横断的な事項を扱い、成果は首脳への報告書を通じて年一回報告される。

 イニシアティブは、日米両政府間の双方向の対話の原則に基づいている。

 2006年12月の両政府間での要望書の交換の後、このイニシアティブの下に設置された作業部会は、知的財産権、流通、特殊法人の民営化、情報技術、競争政策、貿易投資関連措置、商法、電気通信、領事事項及び医療機器・医薬品を含む主要な分野における改革について議論を行ってきた。2007年4月には、このイニシアティブの下に提起された一連の問題を一層前進させるため上級会合も開催された。

 作業部会及び上級会合の後、それぞれの政府の要望に対応する前進を記録するとともに、将来採られることになる措置を明確にするために、この首脳への報告書は作成された。

 今回の首脳への第六回報告書は、規制に関する決定を早めさせ、透明性を高め、市場アクセスを改善させ、競争を強化し、ビジネスの障壁を低減させ、そして個人情報を保護するのに寄与する改革を含む、幅広い問題にわたる前進を提示している。報告はまた、模倣品及び海賊版の問題に対処するため、また、アジア大洋州地域においてより高度な規制及び透明性の基準の実施を促進するための共同措置も反映している。両政府は、二国間、地域及び多国間の議論の場における協力を引き続き向上させていく決意を確認する。

 両政府は、更に規制改革を促進する決意を再確認するとともに、いずれかの政府の要請に基づき、双方の都合の良い時期に、この報告書に含まれている措置を取り上げるために会合する。


目次

日本国政府による規制改革及びその他の措置

I.電気通信   3

II.情報技術   6

III.医療機器・医薬品   14

IV.金融サービス   23

V.競争政策   26

VI.商法及び司法制度改革   30

VII.透明性   35

VIII.その他の貿易に関する政府慣行   37

IX.民営化   40

X.流通   44

米国政府による規制改革及びその他の措置

I.ダンピング防止措置   48

II.投資関連措置   48

III.流通と関税手続   49

IV.領事事項   52

V.特許制度   57

VI.政府調達   59

VII.基準・規格   60

VIII.域外適用   62

IX.競争政策   63

X.司法制度   65

XI.サービス   65

XII.金融サービス   68

XIII.電気通信   70

XIV.情報技術   73

XV.医療機器・医薬品   76



日本国政府による規制改革及びその他の措置

 日本国政府は、イノベーションの力とオープンな姿勢により日本経済に新たな活力を取り入れ、経済成長を目指すとの安倍内閣の基本方針の下、構造改革を加速させ、以下を含めた諸政策に取り組んできている:

-経済財政諮問会議が、2007年1月に、新たな「創造と成長」への道筋を示す「日本経済の進路と戦略」を策定

-同会議が、2007年4月に、成長力強化の鍵となる生産性を向上させる「成長力加速プログラム」を策定

-アジア・ゲートウェイ戦略会議が、2007年5月に、日本の将来像をアジアと世界の架け橋となるゲートウェイ国家として示し、アジアの成長と活力を日本に取り込む「アジア・ゲートウェイ構想」を策定

-イノベーション25戦略会議が、2007年5月に、イノベーションにより持続的成長と豊かな社会を実現するための、2025年までを見据えた長期戦略として、社会システム改革と戦略的な研究開発を一体的に推進する「イノベーション25」を策定

-規制改革会議が、2007年5月に、今後3年間の改革の方向性を提示する第一次答申を提出

 日本国政府は、経済財政諮問会議や規制改革会議の議論、「アジア・ゲートウェイ構想」や「イノベーション25」等を踏まえ、引き続き、規制改革に積極的に取り組んでいく。

I.電気通信

A.競争促進

1.日本国政府は、これまで、電気通信分野において、著しい技術革新に沿った競争政策を遂行してきた。その結果、世界の中でブロードバンドサービスが最も高速かつ購入しやすく、技術的に最も高度化した電気通信市場の発展を促進してきた。日本では、ブロードバンドサービス契約数に占めるFTTH契約数の割合が増加し、2006年12月末時点のFTTH契約数が790万を超えるとともに、平均伝送速度も高速化しつつある。さらに、2007年3月末時点で、第3世代携帯電話の加入数は6,900万を超え、IP電話の利用数は1,400万を超えている。

2.総務省は、2005年10月より「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」を開催し、2006年9月、同懇談会によりとりまとめられた報告書を公表した。同報告書の提言を踏まえ、総務省は(1)指定電気通信設備制度(ドミナント規制)の見直し、(2)接続料算定方式の見直し(3)次世代ネットワーク(NGN)の接続ルールの在り方、(4)移動通信市場における競争促進(5)ネットワークの中立性(6)ユニバーサルサービス制度の将来像を含む2010年代初頭までに実施する施策についてのロードマップである「新競争促進プログラム2010」を策定し、これを着実に実施している。

3.総務省は、以下を含む様々な取組を通じて、日本の携帯電話市場をより競争的なものとしている。

 a.2006年11月1日から施行されている改正された電気通信番号規則に基づき、2006年10月24日、携帯電話事業者間での番号ポータビリティ制度が導入された。

 b.2007年2月、仮想移動体通信事業者(MVNO)事業への参入を促進するため「MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン」が改定された。改定ガイドラインは、MVNOが卸電気通信役務を利用する場合や事業者間接続を申し込む場合について、電気通信事業法の適用関係を明確にしている。

 c.2005年11月、総務省は新規移動体通信事業者に周波数を割り当て、2007年3月には新規移動体通信事業者がサービス提供を開始した。

 d.2007年1月、総務省はモバイルビジネス研究会を設け、同研究会において、モバイルビジネスの市場環境における変化を促す要素を明らかにし、モバイルビジネスの活性化を通じた新規市場の創出策を提言することとしている。

4.2007年4月、総務省は、「新競争促進プログラム2010」に基づき、「競争セーフガード制度の運用に関するガイドライン」を公表し、指定電気通信設備の範囲の妥当性及び包括的なNTTグループに関する公正競争要件の検証(保有する設備若しくは技術又はその職員を活用して行う業務の認可に関する規制の枠組みに関する事項を含む)を定期的に行うこととした。本制度に基づく第一回目のレビューは、2007年度中に行われる。

5.2007年3月、ユニバーサルサービス制度の将来像に関する研究会は、IPネットワークへの移行に伴い、将来のユニバーサルサービスの対象範囲・提供主体の在り方、コスト算定及びコスト負担方法の在り方等を含む検討課題を選定した。

B.固定接続

1.長期増分費用方式(LRIC):総務省は、2007年度に適用される長期増分費用方式に基づく接続料について、パブリック・コメント及び情報通信審議会の答申を踏まえ、2007年2月に接続料規則を改正した。同年3月、総務省は当該規則に基づき算定された接続料を認可し、当該接続料は同年4月から適用されている。その結果、GC接続は3分あたり4.69円で前年度比7.1%の減少、IC接続は3分あたり6.55円で前年度比4.2%の減少となった。

2.次世代ネットワーク(NGN):総務省は、「新競争促進プログラム2010」に基づき、本格商用サービスの開始時期を念頭に置きつつ、NGNに係る相互接続ルールの在り方についての検討を開始する。

3.Fiber To The Remote Terminal(FTTR):総務省は、パブリック・コメント手続きを経て事業用電気通信設備規則の細目を定める告示を改正すると共に、2007年1月、VDSLサービスの提供のために電柱上における接続を可能とするNTT東西の接続協定を認可した。

4.ユニバーサルサービス:総務省は、適格電気通信事業者(NTT東西)が公表する基礎的電気通信役務収支を踏まえ、2006年11月、基礎的電気通信役務支援機関が申請した交付金及び負担金を認可した。接続電気通信事業者の負担金は、当該事業者の稼働電気通信番号数当たりおよそ月額7円と決定とされた。

C.移動体接続

 NTTドコモの接続料は過去10年間にわたって継続的に引き下げられており、発信者課金制度を採用する先進国の中で最も低いレベルまで下がっている。2007年3月、NTTドコモの接続料は、前年度と比較して同一のドコモグループ会社内に適用される接続料が2.7%、会社外に適用される接続料が2.3%、それぞれ引き下げられる旨、総務省に届出があった。

D.先進技術及びサービスの促進

1.情報通信審議会は、2006年12月、5GHz帯の無線アクセスシステムの技術的条件につき、免許不要の利用を含め、答申を行った。また、2007年4月、高速無線LANの導入に係る関係省令等の改正について答申を行った。

2.情報通信審議会は、2006年12月、2.5GHz帯を使用する広帯域移動無線アクセスシステムの技術的条件につき答申を行った。2007年5月、総務省は広帯域移動無線アクセスシステムの免許方針案について要件を満たすシステム及び申請者の条件を含めパブリック・コメントを行った。

E.電気通信機器の貿易の促進

1.適合性評価

 a.2007年2月、日米両国政府は電気通信機器の適合性評価に関する相互承認協定(MRA)の交渉を終えて、署名した。

 b.2007年2月、日米両国政府は、日本の適合性評価機関が電磁両立性に関して行ったIT機器および産業科学医療用機器(ISM機器)の適合性評価結果の受け入れを可能とする措置の策定に関して、書簡の交換を行った。

2.型式認証:総務省は、追加的アンテナについて同じ認証番号において認証を受けることを認める無線LANに関する新たなルールの準備を進めている。

II.情報技術

A.IT及び電子商取引の政策立案

1.IT政策計画:2007年4月25日、経済財政諮問会議は、ITイノベーションを促進するさらなる措置を含む成長力加速プログラムを公表した。IT戦略本部は、新たなIT重点計画の公表を2007年夏に予定し、同計画案に対するパブコメ期間を設けたところであり、提出された意見を考慮する。日本国政府は、引き続き、政策決定過程における民間部門のリーダーシップと積極的な参加を促すような方法で、IT新改革戦略及び重点計画を含む主要なIT政策の推進及び実施を継続していく。

2.民間インプット:日本国政府は、IT及び電子商取引政策の策定及び実施において民間部門から多様な意見を求め、考慮することの重要性を理解している。IT戦略のようなIT政策は、民間部門の構成員が参加するIT戦略本部及び評価専門調査会において立案・評価されている。また、IT戦略本部は、パブリック・コメントの手続を行うことにより、民間部門を含む利害関係者から様々な意見を求めてきた。日本国政府は、引き続き、IT及び電子商取引政策の立案における初期及びその後の段階において、民間部門の関心を有する者がインプットを与える有意義な機会を提供していく。

3.技術的中立:2005年及び2006年の報告書において、日本国政府は、民間部門に最大限の柔軟性を与え技術革新を奨励するために、特定の技術を過不当に推進、強制又は選好しない方法(技術的中立)で、IT分野に関連する法令、規則、ガイドラインを実施することが一般的に重要である、との見解を米国政府と共有した。日本国政府はこの考え方を引き続き適用していく。また、日本国政府は、国際標準の策定活動において、民間部門と緊密な連携を行うとともに、IT政策の実施において、策定された国際標準を考慮していく。

4.国際整合性:日本国政府は、国境を越える電子商取引を更に促進するための環境を醸成することが重要であると理解している。日本国政府は、引き続き、電子商取引及び関連するインターネット技術に関する政策及び法的枠組みと国際的慣行との調和を図るよう努める。

B.知的財産権の保護強化

1.エンフォースメントシステム

 a.法定損害賠償制度:日本国政府は、著作権の保護を強化し権利者の損害立証責任を軽減するため、侵害行為に対して法定損害賠償制度を利用することを含め、更なる措置の検討を継続し、知的財産推進計画2006に記載されているとおり、2007年度末までに結論を得る。

 b.著作権保護期間延長:日本国政府は、著作権保護期間延長について、国際的な動向や権利者・利用者間の利益の均衡等の関連要因を考慮しつつ検討を継続し、知的財産推進計画2006に記載されているとおり、2007年度末までに著作権保護期間の在り方について一定の結論を得る。日本国政府は、レコードの保護期間の延長について、他のすべての著作物と同等とすべきとの米国政府の懸念を認識する。

 c.職権の付与:日本国政府は、著作権侵害罪について、公訴する際の被害者(権利者)の告訴要件が著作権侵害罪を訴追する際の実質的な障害となり得るかなどを含め、捜査・起訴のための適切な制度の在り方について検討を継続し、2007年度末までに一定の結論を得る。

 d.偽作版:日本国政府は、特に大学校内における無許諾の本の複製に関する問題について、米国政府と議論を継続する。また、日本国政府は、科学的、技術的、医学的な出版に関する著作権保護の例外やあり得る新たな例外の影響についても議論する。

 e.映画の海賊版:著作権法の罰則の適用により、私的使用目的の場合についても、映画館における音声・影像の録音・録画行為の処罰を可能にすることを定める法律案が2007年5月23日に国会で可決された。

2.デジタルコンテンツの保護:日本国政府は、政府活動における著作権侵害を禁止するため、ファイル交換技術の濫用等に対応し、また、政府により使用されているソフトウェア、その他のデジタルコンテンツ資産を含む知的財産を保護する適切な内部規則や通達を策定している。日本国政府は、この問題について、米国政府と引き続き情報交換を行う。

 日本国政府は、国際条約との整合性を保ちつつ私的使用の例外を引き続き適用する。また、日本国政府は引き続き米国政府に「アクセスコントロール」に関する検討についての最新情報を提供する。

3.IPマルチキャストに係る法定実施権:日本国政府は、今般の法改正はIPマルチキャスト放送による同時再送信が円滑に実現されるよう、権利の保護にも適正な考慮を払いつつ、必要最小限の範囲で権利関係の見直しを行ったものであり、著作権に関する世界知的所有権機関条約(WCT)及び実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(WPPT)の規定に則ったものであることを確認した。また、日本国政府は、米国政府が、新たな技術やビジネスモデルについて、市場を基盤とした解決策に委ねていることの重要性を認識する。

4.私的使用に関する例外:日本国政府は、ピア・ツー・ピアネットワーク上でアップロードされる著作物及びレコードの著作権及び著作隣接権侵害への対応として、利用可能化権が存在することを確認した。また、日本国政府は、この措置が著作権に関する世界知的所有権機関条約(WCT)及び実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(WPPT)の規定に則ったものであることを確認した。さらに、日本国政府は、関連する条約上の規定及び技術的な発展を踏まえて、私的使用の例外範囲の解釈を明確にするよう引き続き努力する。

5.著作権法における教育例外条項:日本国政府は、教育機関、教員及び学生に対する著作権法上の「教育例外条項」のガイドラインを公表し、例外となる実例を提示し、著作権法改正法における例外条項の範囲を明確にした。日本国政府は、この事項における例外の範囲について、書籍及び雑誌の無許諾複製に関する問題を考慮しつつ、米国政府と引き続き議論する。

6.特許手続き

 a.審査請求制度:日本国政府は、米国政府と3年審査請求制度の適用に関して議論を継続する。

 b.特許出願審査:日本国政府は、審査プロセスでのワークシェアリング効率を向上させるための有効な手段に関し、米国政府と情報交換をする。

 7.商標権:日本国政府は、地理的表示の保護に関する日本の慣行について米国政府と議論を行う。

C.知的財産権の保護及び執行における日米協力の強化

1.日米両国政府はこれまで、世界における知的財産権の保護及び執行を強化するべく、緊密に協力してきた。日本国政府は、APECの場を、アジア・太平洋地域における知財権の保護及び執行の強化に関して米国政府と緊密に協力する主たるフォーラムとして引き続き活用し、また、その他のWTOを含む適切な国際フォーラムの場においても知財権保護を前進させるために引き続き協力する。

2.これまで日米間の協力は、本年のAPECにおいて更なる成果として発展することが期待される「APEC模倣品・海賊版対策イニシアティブ」及びこれに基づく5つのモデルガイドライン、「日本国経済産業省と米国商務省の共同イニシアティブ」、WTOTRIPS協定の透明性確保の要請、中国の知的財産権保護・執行に関する措置に係る米国のWTO協議要請についての我が国の第三国参加要請等、数々の成果をあげている。

3.日米両国政府は、本年4月に行われた日米首脳会談において、知的財産権分野に関する日米協力を強化していくという共通の立場を確認しており、日本国政府は、世界規模で知的財産権の一層の保護を促進するため、二国間、地域、及び多国間フォーラムの場において、米国政府と引き続き協力する。

4.日本国政府は、2005年7月に小泉前総理大臣がG8グレンイーグルズ・サミットで提唱した模倣品・海賊版の拡散に対処するための国際的な約束に関する構想について、米国政府と引き続き協議する。

D.オンラインセキュリティの促進

1.プライバシー:個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)は、2005年4月に施行された。各事業分野に共通する最小限の要素を示している同法に基づき、各省庁は、各事業分野毎のガイドラインを策定している。日本国政府は、同法の実施に関し、透明性を確保し、民間部門の自主的な取組を尊重するとともに、事業者等のよりよい理解を促進することが極めて重要であると認識している。個人情報の保護に関する基本方針において、内閣府は、同法の施行状況について、施行後3年を目途として検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講じると記されている。国民生活審議会は、産業界、民間団体、関係省庁、非営利団体及び学術界からの複数回にわたる意見聴取を行い、個人情報保護に関する議論を行ってきた。同審議会は、同法の有効性の再検討を行い、場合によって履行の向上のための施策を提言するため、2007年夏に文書(報告書)を公表する予定である。

 a.2007年2月、内閣府は、ホームページに掲載されている事業分野ごとのガイドライン一覧に、ガイドラインの中で任意の取組を求めている規定については、事業者による自主的な取組を強く促しているものの、当該規定の不遵守によって個人情報保護法で定める罰則が課されるものではない旨の記述を追加した。

 b.2006年6月、内閣府は、2006年度における個人情報保護法の施行状況について、関係省庁からの報告を取りまとめ、その概要を公表した。内閣府は、事業者の同法遵守についてのよりよい理解に資するため、引き続き詳細な情報を提供するよう努める。

 c.日本国政府は、個人情報保護法の施行状況の再検討について、透明で一貫性があり、効果的なものとするよう努力する。2006年7月、国民生活審議会は、「個人情報保護に関する主な検討課題」を整理・公表し、その後、任意のパブリック・コメント期間を設けた。同審議会による同法の施行状況の再検討を可能な限り効果的かつ透明なものとするため、内閣府は、パブリック・コメントの募集及び受領した意見の公表のほか、国民生活審議会のスケジュールや議事録を載せた新たなウェブサイトページを作成した。同審議会は、引き続き議論と検討を行い、2007年夏に報告書のとりまとめを行う予定である。

 d.米国政府及び日本国政府は、個人情報の保護、説明可能かつ効率的な国境を越えるデータ流通の確保の重要性、及びプライバシーに関する柔軟な方針形成の価値を認識しつつ、多国間の枠組みに参画し、プライバシー等の課題について、意見交換や合意形成を行う。

2.オンライン上の迷惑、欺瞞行為及び詐欺:日米両国政府は、企業及び消費者に悪影響を及ぼし、IT及び電子商取引の導入と円滑な機能を妨げるスパム、フィッシング及びその他の形態によるオンライン詐欺に対し懸念を有する。オンライン上の迷惑行為は、社会全体での大幅なコストを発生させるとともに、オンライン取引に不可欠な消費者の信頼を失わせるおそれがある。日本国政府は、オンライン上の迷惑・詐欺行為の対策を目的とした活動を引き続き推進する。

 a.日本国政府は、インターネット・サービス・プロバイダやモバイル事業者といった民間事業者と緊密に協力し、多面的なスパム、フィッシング対策等を推進している。

 b.経済産業省の「CHECKPC!」キャンペーンは、フィッシングやその他オンライン不正行為からPCを守るために、必要な対策を実施することの重要性を消費者に訴える日本国政府の取組の一例となっている。

 c.日本国政府は、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(迷惑メール法)を精力的に執行しており、その摘発状況については警察庁や都道府県警察のホームページで公表している。都道府県警察はこれらの事例について報道発表を行っている。

 d.総務省は、テクノロジー企業及びインターネット・サービス・プロバイダが日本においてスパムをフィルター及びブロックするための新技術を開発及び活用するにあたって、憲法における通信の秘密の規定と電気通信事業法がどのような影響を与えるかについて、民間部門の理解の向上を支援してきている。この取組の一環として、総務省はこれらのスパム対策技術の導入に関する法的整理について説明する英語のウェブサイトを作成している。

 e.日米両国政府は、サイバー犯罪に関する条約(サイバー犯罪条約)の原署名国である。米国は、2006年9月29日に同条約を批准した。日本の国会は、2004年4月に同条約の締結を承認した。日本国政府は、同条約を実施するために必要な国内法を改正するための法案が国会で可決され次第、同条約を締結する予定である。

 f.スパムやフィッシング等のオンライン上の迷惑・詐欺行為は、グローバルな性格を有していることから、日本国政府は、OECDやAPECといった国際機関や二国間協議の枠組みを活用し、継続的な情報交換を通じて、米国政府との協力を強化する。両国政府の生産的な協力の例としては、消費者保護及び執行のための国際ネットワーク(ICPEN)の文脈における米国連邦取引委員会(FTC)と日本の関係当局による、消費者の理解を助けるためのE-consumer.govウェブサイトの日本語訳の作成が挙げられる。日米両政府は、スパム、フィッシング及びオンライン詐欺に関するベスト・プラクティスを向上させるために、引き続き情報と経験を共有する。

3.政府の情報セキュリティ:日本国政府は、情報システムの調達に関して、情報セキュリティの新たな方針や基準を策定する場合には、府省庁間及び政府と地方公共団体間の整合性を考慮し、必要性と内容にしたがって案文についてパブリック・コメント手続きを行う。

E.医療におけるIT及びeアクセシビリティ

1.医療におけるIT:2007年3月27日、厚生労働省は、2001年に策定した旧グランドデザインを更新し、「医療、健康、介護、福祉分野の情報化グランドデザイン」(新グランドデザイン)の最終版を公表した。

 a.厚生労働省は2007年度より、異なる医療情報システム間での相互運用性の検証を行い、その検証結果を公表し、標準規格を採用した医療情報システムの普及を促進する取組を支援する方針を、新グランドデザインの中で示している。医療のIT化において、今後も日本国政府は適切かつ現実的な範囲で、技術的中立を確保するため、引き続き最大限努力する。また、厚生労働省は、相互運用性の検証等の情報をすべての利害関係団体が享受でき、その取組に十分に参画できる様に、ウェブサイトに掲載する等、引き続き時宜を得た開かれた方法で、情報を提供していく。

 b.厚生労働省はホームページ上で、新グランドデザイン案について、2007年2月13日から3月2日までのパブリック・コメント期間を設け、受け取った意見を公表した。米国政府は米国政府及び利害関係者に対して、この重要な案について意見を表明する機会が与えられたことを評価した。日本国政府は、当該グランドデザイン案については、改正行政手続法に規定されたパブリック・コメント手続きの対象ではないものの、少なくとも30日のパブリック・コメント期間があれば、利害関係者が意見を表明するのに十分な時間を確保するのを助けたであろうとの米国政府の見解について留意する。

 c.経済産業省は、政府が支援するプロジェクトの調達に関する情報を同省のホームページに掲載し、幅広く適格な業者の参加を受け入れることとしている。経済産業省は、2006年秋から東海地方で実施している地域医療情報ネットワークを構築するプロジェクトの成功に適格な業者が貢献できるよう、2006年5月に同プロジェクトの調達に関する情報をホームページに掲載した。更に経済産業省は、2007年3月に、同プロジェクトの進捗に関する情報をホームページに掲載した。各省は、プロジェクトの本格的着手や参加募集に先立ち、政府が支援する医療情報システムを開発または紹介するためのプロジェクトに関する情報をそれぞれのホームページに引き続き掲載する。

2.eアクセシビリティ:日本国政府は、年齢や身体的障害に伴うデジタルディバイドを減少することが重要であると理解している。関係府省は、国内指針策定、国際標準化活動、また、助成・支援事業を含む適切な措置を推進している。日米両国政府は、アクセシビリティへのそれぞれのアプローチの理解を深めるため、現在及び将来のeアクセシビリティ政策や活動に関する意見を交換してきている。日米両国政府は、適宜、ビデオ会議や専門家が他の業務で互いの国を訪れた際の会合等の方法を用いて、情報交換を深めていく。

F.政府のIT調達改革

 「情報システムに係る政府調達の基本指針」(基本方針)は、2007年3月1日、各府省情報化統括責任者連絡会議(CIO連絡会議)において決定された。基本指針が適用される2007年7月1日から、CIO連絡会議は、その構成員や政府調達組織にこれを遵守させることとなる。総務省は、基本指針への十分な理解を促すための実務手引書を作成・配布する。内閣官房は、毎年度、基本指針の改定を決定する際の判断に資するため、基本指針の進捗状況を把握するフォローアップ調査を行う。過去、情報システムに係る政府調達府省連絡会議は、連絡会議取決め事項の実施状況に関するフォローアップ調査の実施結果を公表してきた。

1.基本指針では、IT調達契約における責任についての適切な範囲を設定し、明確に定義づけることを規定している。また、この目的を達成するため、法律専門家の助言を受ける旨規定している。

2.知的財産推進計画2006に基づき、日本国政府は、産業技術力強化法を改正し、政府の委託において開発されたソフトウェアに関する知的財産権を受託者に帰属させることを可能とする法案を国会に提出した。国会は、2007年4月27日に同法案を可決した。

3.基本指針に基づき、各府省の調達担当が遅滞なく「情報システムに係る政府調達例データベース」に登録されることが求められる情報は拡充され、調達計画書、調達仕様書、入札公告情報等の事項が含まれることとなる。日本国政府は、競争入札と随意契約の比率の変化、国庫債務負担行為や総合評価落札方式(OGVM)を採用した契約数など、拡充した政府調達事例データベースにおけるIT調達の傾向の特定及び調査に資する情報の分析方法、及び結果の公表方法についての検討を可能な限り速やかに進めていく。

4.各府省は、「公共調達の適正化について」(2006年8月25日付財計第2017号)に基づき、随意契約案件(IT調達以外の案件も含む。)の契約先、契約金額、随意契約とした理由などの情報を、各府省ホームページにおいて公表してきている。また、各府省は、随意契約の理由について点検・見直しを行い、随意契約によることが真にやむを得ないものを除き、原則として一般競争入札に移行した。随意契約の理由は、各府省のホームページにおいて公表している。基本指針は、会計法(1947年)等の法令に基づき、原則として、一般競争入札による調達手続を行うと規定している。日本国政府は、引き続き、IT調達慣行においてこの原則を十分に取り入れるよう努めていく。

5.基本指針は、落札者の決定後、速やかに締結すること、及び契約日の遡及は行わないことを規定している。

6.総務省は、基本指針案を取りまとめるにあたって、2006年12月23日から2007年1月18日までパブリック・コメント期間を設け、ホームページ上に受領した意見を掲載した。また、2007年1月11日には、事業者に対して、基本指針に関する説明会を開催した。日本国政府は、基本指針の改定の提案について、関心を有する者が意見を述べ、策定に参加するための有意義な機会を引き続き提供する。

III.医療機器・医薬品

A.日本の保健医療制度の変更

 日本国政府は2006年度に新健康フロンティア戦略及びイノベーション25を通じて保健医療制度の変更を提案し、また経済財政諮問会議の民間議員が医薬品の研究開発、臨床試験、審査及び償還価格について提案を行った。厚生労働省及び中央社会保険医療協議会(中医協)等の審議会が日本の保健医療制度の変更を検討し実行する際には、米国業界を含む業界は、厚生労働省に対して意見を表明することができ、厚生労働省は、その意見を考慮するものとする。日本は2007年1月、製薬企業の競争力を強化するために革新的な新薬開発のための官民対話を開始した。この対話には厚生労働大臣、経済産業大臣、文部科学大臣、製薬企業、国立高度専門医療センター(ナショナルセンター)と大学の代表が参加した。米国業界は2007年1月と4月に開催された対話に参加し、この対話は定期的に開催されることとなっている。医療機器の競争力を強化するために、これらの関係省庁、医療機器業界、ナショナルセンターと大学の代表は、日本が2007年4月に開始した官民対話に参加している。

B.医療機器及び医薬品の価格制度改革及び関連事項

 厚生労働省は(特段の記載がなされている場合を除き)2007年度に、保険償還価格に関して次に示す措置を実施することにより、革新的な医療機器及び医薬品開発を評価することを検討する。

1.医薬品

 a.中医協:厚生労働省は、中医協の薬価専門部会に、国籍にかかわらず適切な委員を引き続き任命する。

 b.薬価算定組織:薬価算定組織の開催前に、厚生労働省においては、あらかじめ十分な時間的余裕を持って、経済課が米国業界を含む業界に対して説明を行い、保険局の考えている論点を適切に説明することを確保する。

 c.価格制度改革:厚生労働省は米国業界を含む業界に日本の薬価制度改革の提案に関する意見を表明できる機会を与え、またそれらの意見を考慮する。

 d.イノベーションの評価:厚生労働省は米国業界を含む業界とイノベーションの評価を改善する方法について議論する。この議論には、外国平均価格調整制度の最近の変更及び厚生労働省の加算の程度が、新薬のイノベーションに与える影響について吟味することが含まれる。

 e.頻回改定:厚生労働省は、中医協が保険償還価格改定の頻度の問題を議論する場合、米国業界を含む業界に対し、厚生労働省及び中医協に対して意見を述べる機会を引き続き与える。厚生労働省は、米国政府が、医薬品及び医療機器の保険償還価格が毎年改定されうるようないかなる制度にも強い反対を表明したことに留意する。

 f.市場拡大再算定:厚生労働省は米国業界を含む業界と市場拡大再算定の問題について引き続き議論を行う。

 g.データ保護期間:厚生労働省は、2007年4月1日付けで、新有効成分含有医薬品の標準的な再審査期間を6年間から8年間に延長した。再審査期間中は、同一の有効成分を含有する医薬品の承認申請には、新医薬品と同様の試験データを添付することが求められることから、本措置は事実上データ保護期間を延長するものである。

 h.流通:外資系企業の代表を含む日本製薬工業協会の流通適正化委員会の5人の委員が医薬品の流通改善に関する懇談会(流改懇)に参加している。厚生労働省は米国業界を含む業界に対して意見を述べる機会を引き続き与える。

2.医療機器

 a.医療機器の外国平均価格参照制度:厚生労働省は米国業界を含む業界に対して(1)外国平均価格参照制度が適用される機能区分の数、最大価格引き下げ制度や価格計算に用いるデータ等、外国平均価格参照制度における構成要素、(2)中医協に依頼されたアジア調査を含む医療機器の価格償還に関する意見を述べる機会を引き続き与える。

 b.機能区分:厚生労働省は米国業界を含む業界と機器の技術、性能及び臨床上の利益の差異を反映した機能区分の拡大することについて引き続き議論する。

 c.C1及びC2の価格算定:厚生労働省はC1及びC2の価格算定の手順について米国業界を含む業界からの提案について議論する用意がある。

 d.画像診断装置:厚生労働省は画像診断に係る先進的な装置及び技術について引き続き適切に評価する

 e.体外診断薬:厚生労働省は2007年、米国業界を含む体外診断薬業界と体外診断薬の保険償還やその制度の見直しのルールを含めた体外診断薬関連の問題について議論するために勉強会を開催した。厚生労働省は米国業界を含む業界に対して体外診断薬の問題に関する意見を述べる機会を引き続き与える。

3.血液製剤:厚生労働省は米国業界を含む業界と血液製剤に関連した償還価格の問題について議論する用意がある。

C.医療機器及び医薬品の制度改正及び関連事項

 革新的な医療機器及び医薬品は、しばしば、米国及びEUに導入後何年も経ってから、日本へ導入される。日本国政府は、研究開発の強化、臨床試験の活性化及び承認審査の円滑化により、これらの遅滞を解消することを意図する。厚生労働省は2007年度中(特段の記載がなされている場合を除く。)に以下の措置を講じることにより、規制制度を改善する。

1.医薬品

 a.医薬品医療機器総合機構の拡充:厚生労働省は、医薬品医療機器総合機構(総合機構)がその審査担当者数(2006年10月1日時点で193名)を2010年3月31日までに236名増加させるとの目標を達成することを確保する。総合機構は2007年度に58人、2008年度に80人、2009年度に98人の審査担当者採用を計画している2007年4月1日からの手数料値上げは新たな審査担当者の採用の財源となる。新たな審査担当者はさまざまな領域における専門性を有する者である。総合機構のパフォーマンスの状況について、厚生労働省及び総合機構は、米国業界を含む関係者と引き続き意見交換する。

 b.医薬品の世界同時開発:医薬品の世界同時開発を促進するため、厚生労働省は2007年4月に日本の国際共同治験の規制の考え方に関するガイドライン案を公表したところである。厚生労働省及び総合機構は、日本を含めた医薬品の世界同時開発がどのようにすれば最も良く実現しうるかについて、米国業界を含む関係者と引き続き意見交換する。

 c.医薬品の治験環境の改善:2007年4月、厚生労働省は、治験推進の中心的役割を担うであろう10カ所の中核病院と30カ所の拠点医療機関のネットワークにおける治験に係る人材の充実を含む、日本における治験を推進するための5カ年計画を公表した。

 d.医薬品のパフォーマンス目標とメトリクス:総合機構は、引き続きパフォーマンスの目標及びメトリクスを公表する。2007年4月1日から開始される総合機構の体制強化に伴い、2011年度末までに次に示す審査パフォーマンスの目標を設定する。

  (1)申請前のドラッグラグを1.5年短縮

  (2)審査期間を1年短縮

 これにより、医薬品の開発から承認までの期間を計2.5年短縮する。ここで申請前ドラッグラグとは、日本と欧米における新有効成分含有医薬品の申請日の差をいう。目標を達成するため、総合機構は、企業に、治験相談機会を需要に応じて最大年1200回提供する。また、2009年3月31日までに、総合機構は治験相談の待ち時間を約3ヶ月から約2ヶ月に短縮する。総合機構のパフォーマンスの状況について、厚生労働省及び総合機構は、米国業界を含む関係者と引き続き意見交換する。総合機構は、引き続き米国業界を含む業界に必要な審査・相談のパフォーマンスデータを提供する。

 e.総合機構の医薬品滞貨の削減:総合機構は、その設立当時(2004年4月)の新医薬品申請にかかる滞貨139品目を2007年3月末現在で20品目まで減少させている。設立以降申請のあった品目についても、適切かつ迅速に審査を進めているところであり、2009年3月末の中期目標期間終了時の目標(審査事務処理期間12ヶ月を申請の80%について達成)達成に鋭意努力している。総合機構は新医薬品申請の滞貨を減少させるために全ての試みを行うことを継続する。

 f.未承認薬使用問題検討会議:厚生労働省は米国業界を含む業界に未承認薬使用問題検討会議の性格と運営について説明する。

 g.医薬品製造に係る変更:厚生労働省は、2006年12月審査管理課課長通知をもって、新医薬品や生物学的製剤等を除く医薬品については、新たな外国製造所認定が必要ない製造所の追加のみを行おうとする場合、及び製造方法の軽微な変更のみを伴う製造所の追加/変更のみを行おうとする場合、3ヶ月を目途とする迅速処理を行うこととした。厚生労働省と総合機構は、この問題について、米国業界を含む関係者と意見交換する。

 h.ワクチン:2007年3月、厚生労働省は、国内で必要とされるワクチンの開発と供給を促進するため、ワクチン産業ビジョンを発表し、同ビジョン及びそのアクションプランをフォローアップするワクチン産業ビジョン推進委員会を設置したところである。当委員会の委員には、日本及び外国産業界の代表が含まれている。厚生労働省は、同委員会において米国業界を含む関係者との見解の交換を進めながら、規制について、米国業界を含む業界と意見交換を行う。

2.医療機器

 a.医療機器審査担当者:厚生労働省は、総合機構が医療機器審査担当者を増員し、彼らが担当分野において専門家であることを確保するという中期目標の達成を確保する。厚生労働省は総合機構が医療機器の審査担当者数(2006年11月1日時点で27名)を2009年3月31日までに8名増員を確保する。

 b.医療機器申請の滞貨:総合機構は、その設置時の医療機器申請の滞貨のほぼ90%を既に処理した。総合機構は医療機器申請の滞貨の減少のために全ての試みを行うことを継続する。

 c.医療機器の臨床データ:厚生労働省の方針は、できる限り外国臨床データを受け入れることである。日本の医療機器GCPと同等又はそれ以上の基準に基づいて当該臨床試験が実施された場合には、当該外国臨床データを受け入れるという旨の知を2006年3月31日に発出した。医療機器の申請において、日本における補完的な臨床データを総合機構が要求する場合には、申請者にその決定の科学的な背景について明確に説明する。ICH-GCPは、医薬品に関連したGCPであり、当該ガイドラインへの準拠は求めていない。米国の医療機器GCPの規制に基づいて実施され、米国-FDAに受け入れられた医療機器の臨床データは、日本の医療機器GCPに整合したものである、という考え方は厚生労働省に一般的に受け入れられている。

 d.医療機器の一部変更申請:厚生労働省は、承認事項の一部変更申請が必要な一部変更はどのような場合であって、総合機構に届け出るのみですむ一部変更はどのような場合であるか、業界に対して明らかにする努力を継続する。厚生労働省は、医療機器の品質、安全性又は有効性に影響を与えるであろう変更について一部変更申請を要求する。厚生労働省、総合機構、米国業界を含む業界は、一部変更の定義の問題、申請と軽微変更届出の問題、一部変更申請審査中の一部変更申請を可能とする問題を含んだ、業界の関心のあるあらゆる問題について議論するための実務レベルのタスクフォースを2007年2月に設置した。当該タスクフォースが、提言をとりまとめた後、厚生労働省は、一部変更承認と届出に関する要求事項について公表し、明確にする。

 e.医療機器の原材料データ:厚生労働省は、原材料の安全性と生物学的安全性(バイオコンパティビリティ)を確保するために必要な最低限の情報を要求する。2007年2月に、厚生労働省、総合機構と米国業界を含む業界は、本件や他の問題について議論するための実務レベルタスクフォースを設置した。

 f.QMS査察:厚生労働省は、総合機構が、外国製造所の査察を含む品質管理監督システム(QMS)実地調査を、製品の承認を遅らせないよう最善の努力を尽くして実施することを確保する。それ自体では医療機器を構成しない構成部品を生産する造所に対しては、原則として、QMS実地査察は行われない。外国製造業者の認定に関しては、原材料又はその他の構成部品を供給する企業には、原則として、外国製造業者登録は要求されない。

 g.新体外診断薬:厚生労働省は、ある条件下で医薬品や医療機器について適用可能な仕組みである製品の承認申請後の治験における新体外診断薬の使用について、米国企業を含む業界と協議する機会を提供する。

D.血液製剤

 厚生労働省は、医薬品や血液製剤の需要は、医療上の必要性に応じ、市場によって形成されるものと認識している。2006年度、厚生労働省は、需給計画等のテーマについて、米国業界を含む血液製剤の業界と年2回の話し合いの場を設けることとした。

E.一般用(OTC)医薬品

1.制度改正:厚生労働省は、2009年6月までに省令を改正し、施行することにより、改正された一般用医薬品販売制度を策定・実施する。厚生労働省は、制度の策定・実施について、米国業界を含む関係者と意見交換を行う。

2.広告:厚生労働省は、米国業界を含む業界からの、一般用医薬品の広告に影響する法律及び他の規則に関するコメントを考慮に入れる。厚生労働省は、(1)一般用医薬品を含む医薬品の販売促進と広告に関する厚生労働省の政策及び(2)全国医薬品等広告監視協議会(六者協)の活動に関し、米国業界を含む業界と情報交換を行うための窓口を指定した。

F.栄養補助食品

1.啓発及び情報提供目的の説明

 a.日本の栄養補助食品の制度はFAO/WHO合同食品規格計画(コーデック委員会)のガイドラインに合致したものであるが、厚生労働省は、引き続きコーデック委員会を通して国際基準の動向に配慮し、健康強調表示の公正さの確保を図る。

 b.厚生労働省は、特定保健用食品(FOSHU)の制度について、引き続き業界に説明を行い、申請書類の書式に関する問い合わせにも応じる。厚生労働省は海外での臨床試験データについて、日本国外で集められた関連の証拠が日本人に適用できるものであれば、受け入れる。厚生労働省は、特定保健用食品ならびに栄養機能食品(FNFC)制度やその他関連事項について一層の理解を促進するために、今後とも米国業界も含む業界と議論する機会を持ち、対話を行う。

 c.厚生労働省は、市場開放問題苦情処理体制(OTO)の勧告を踏まえ、消費者の求めに応じて独立行政法人健康・栄養研究所のデータベースの正確な情報を提供するシステムを2007年度までに構築するよう業界と協働している。

2.食品添加物の指定:日本国政府は、食品添加物における国際的調和の重要性を認識する。(40ページ参照「VIII.その他の貿易に関する政府慣行:D-5食品添加物の安全性評価」)

 a.日本国政府は、米国業界を含む業界による食品添加物の申請プロセスの質問に応じ、また、新規の指定及び基準改正の提案について意見交換を行う。

 b.日本国政府は、可能な限り効率的な方法で、食品添加物の指定について進めるよう努力する。

3.食品添加物の最大許容量

 a.厚生労働省は、安息香酸及びソルビン酸等の食品中に自然に存在する成分については、それを含有していることをもって、直ちに食品添加物の使用基準の違反とする立場はとっていない。そのような場合には、輸入者より、その成分が天然由来として原材料に元々どの位存在するかを示す文献やデータの提供を受け、それにより判断を行うこととしている。

 b.厚生労働省は、天然由来の食品添加物成分が検出されたことにより当該貨物が検疫所に停留させられることについて、より包括的な事前相談の提供や検疫所間の情報の共有化の改善を行うことによって、引き続きその手続きの改善を行う。

4.輸入手続

 a.厚生労働省は、輸入時に輸入者が補足で提出する書面の様式については、当該20第6回報告書日本国政府による措置食品が薬事法に規定する医薬品や医薬部外品ではない旨を輸入者が検疫所に示せるものであれば、その形式を問うものではないことを確認した。輸入者は各検疫所によって異なる補足様式を使用する必要はない。

 b.厚生労働省は、検疫所における手続きの効率化について、文書及び情報の共有化の改善に努めてきたが、引き続き改善に取り組む。

 c.厚生労働省は、事前相談窓口の設置数を6検疫所から13検疫所へと増加させた。

5.輸入関税

 a.ビタミンを基にしたほとんどの栄養補助食品は、12.5%の関税を課される「2106.90.295.4」の関税番号に分類され、他の多くの栄養補助食品は、15%の関税を課される「2106.90.299」の関税番号に分類される。対照的に、これらの成分が関税区分「3003」や「3004」の医薬品として輸入される場合には、無税となる。日本国政府は、医薬品と同じ成分を有する栄養補助食品を含む関税水準の問題について、WTO交渉の中で包括的な取組を続けていく。

 b.日本国政府は、この問題に対し、米国と引き続き議論をしていく。

G.化粧品及び医薬部外品

1.医薬部外品の規制

 a.厚生労働省は、米国業界を含む業界に対して、業界が、薬用化粧品中に含まれる有効成分リスト(含量及び製品カテゴリー)を公表する可能性に関する意見を求める。厚生労働省は、本件に関して、米国側と引き続き情報交換する。

 b.厚生労働省は、添加物がどのように医薬部外品承認申請において評価されるかも含め、医薬部外品の規制について、米国業界を含む業界と引き続き意見交換する。

 c.業界から新たな承認基準について具体的な提案がされれば、厚生労働省は真摯に検討する。

2.広告及び表示

 a.厚生労働省は、化粧品の効能の拡大に関するものを含め、化粧品の効能のあり方について米国業界を含む関係者と引き続き意見交換する。

 b.厚生労働省は、化粧品及び医薬部外品の広告及び表示についての規制の策定及び改正につき、米国業界を含む業界からのコメントを考慮する。

 c.厚生労働省は、六者協の役割に関する事項を含む、全都道府県に対する規制及び通知の執行につき、米国業界を含む業界と意見交換を行う。

3.透明性及び規制手続

 a.厚生労働省は、生理用品基準の改正について、2008年2月までに公布・施行することを目途に、薬事食品衛生審議会への諮問その他必要な措置を講じる。

 b.厚生労働省は医薬部外品の承認基準又は化粧品基準の改正の際、米国業界を含む業界からの意見及び要望を引き続き考慮するとともに、改正と施行の予定されるスケジュールを引き続き説明する。

 c.厚生労働省は、医薬部外品及び化粧品を輸入する際に必要な届出の改善につき、米国業界を含む業界と引き続き意見交換する。

 d.厚生労働省は、医薬部外品の承認までの期間の短縮について、米国業界を含む業界と引き続き意見交換する。

 e.厚生労働省は、動物実験に関する要求事項を含む医薬部外品に関し、必要な安全性データの要求事項について、米国業界を含む業界からの質問に答え、明らかにする。

 f.厚生労働省は、そのウェブサイトを可能な限りタイムリーに更新し、新規の又は改定された通知や事務連絡を含む規制要件及び登録手続に関する詳細な情報を日本の関係団体に提供する努力を継続する。厚生労働省は、そのウェブサイトにも掲載されておらず、日本の関係団体にも提供されていない新規の又は改定された規制、通知又は事務連絡が、米国業界を含む業界から個別に要求された場合、原則として産業団体を通じて対応することを継続する。

IV.金融サービス

A.日本の金融・資本市場の国際競争力の強化

 日本国政府は、国際金融センターとして日本の競争力をいかに高めるかに関して検討を行う複数のワーキンググループを立ち上げてきた。2007年1月、日本の金融・資本市場の国際金融センターとしての魅力を更に向上させていく観点から、幅広く検討を行うため、金融審議会の下に「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」が設置され、スタディグループにおいては、内外の利害関係者に意見表明の機会が与えられた。米国は、日本の金融・資本市場の競争力を強化し、より魅力的なものとするための日本国政府の取組を歓迎しており、また、あらゆる利害関係者との対話が継続されるよう望んでいる。

B.特定措置

1.信用情報機関のための法制度の整備:2006年12月に国会で可決された改正貸金業法は、消費者金融会社による信用情報利用の拡大や信用情報機関の強制的な使用を求めている。様々な消費者金融会社の信用情報機関を通じて、金融庁は、消費者金融会社が信用調査のためにより多くの情報を持つことができるよう、消費者金融会社に対する信用リスクの観点から完全な信用情報が利用可能となるように取り組んでいる。

2.ファイアーウォール:銀行と証券の垣根、いわゆるファイアーウォール規制については、経済財政諮問会議や金融審議会において議論がされたところである。その議論を踏まえて、金融審議会は、金融グループ内の効率的な事務運営の達成、顧客のニーズに対してグループによる最適なサービスの提供、効果的なリスクマネジメントのためのグループ内での適切な情報共有、競争の問題(例えば、銀行の優先的地位の濫用等)や利益相反の防止といった論点を考慮しつつ、ファイアーウォール規制の見直しについて、十分に検討していく。

 金融庁はコングロマリット監督指針を2005年6月に公表し、2006年7月及び2007年3月に改訂を行った。金融庁は、許容される経営組織、プルデンシャルリスク管理や顧客サービス向上のためのグループ会社間での情報共有も含めて、コングロマリット規制は、国際金融センターとしての競争力強化に向けた日本の取組に関連する事項であることを認識している。そのようなものとして、金融庁は、経済財政諮問会議や金融審議会における議論も踏まえつつ、コングロマリット監督指針の実施に関して、外国金融機関も含めた利害関係者からの意見聴取を継続する。

3.確定拠出年金

 a.日本国政府は、老後の所得保障、労働の流動性及び投資教育という観点から国内23第6回報告書日本国政府による措置の確定拠出年金について、その重要性とそれを改善することの価値を認識している。厚生労働省は2006年10月よりこの分野の専門家から構成される企業年金研究会を設置し、企業年金制度の機能について現在の状況の検証を行っているところである。

 b.この研究会においては、企業年金に関する様々な課題が議論されており、確定拠出年金制度に関する議論としては、非課税限度額、被雇用者拠出、特定の状況下における60歳前の積立金への早期アクセスや加入者への投資助言サービスが挙がっている。

 c.2006年11月27日に開催された第3回目の本研究会会合において、在日米国商工会議所(ACCJ)を含む関係団体から確定拠出年金制度の改善に関する要望と意見陳述が実施されたところである。

 d.さらに、本通常国会において、被用者年金制度の一元化等を図るための改正法律案が提出されたが、この法律案には、確定拠出年金法の改正項目である個人型確定拠出年金からの中途脱退に関する規制緩和が含まれている。

 e.厚生労働省は今まで実施されたさまざまな制度及び規制の施行状況の進展を適切に考慮しつつ、確定拠出年金制度の改善について努力を継続していく。

4.投資顧問及び投資信託の規制枠組みの調和化:金融商品取引法においては、これら2つのビジネスの規制の仕組みは統合されている。加えて、日本証券投資顧問業協会、投資信託協会の間のプロジェクトにおいても、これらの2つのビジネスの規制の仕組みのいくつかの面での調和化を提供している。自主規制団体レベルでの規制環境の調和を高めるために、日本国政府は、日本証券投資顧問業協会、投資信託協会でのさらなる連携に向けて、必要な支援を行う。

5.投資信託の併合及び償還:投資信託の併合は、2006年12月に国会を通過した「信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」による改正により可能となる。施行規則案が作成され、2007年4月にパブリックコメントにかけられたところであり、現在、金融庁は施行に向けて政令、内閣府令の整備作業に取り組んでいる。

 繰上げ償還を含む投資信託の解約は、現行の投資信託及び投資法人に関する法律において、受益者に重大な影響を与えるものであることを考慮して整備された、受益者の異議手続が十分確立することを前提とした上で、認められている。

6.機関投資家の大量保有報告制度:大量保有報告制度の特例報告については、2006年にその見直しが行われ、2007年1月より施行されている。金融庁は株式の大量所有等の取引に係る実務の動向を引き続き注視するとともに、市場に与える阻害要因も考慮しながら、新しい制度の下で適切な情報開示が確保されるよう努めていく。

C.透明性

1.ノーアクションレター及び一般法令照会:2005年10月に行われた金融庁によるノーアクションレター制度の変更後、5つのノーアクションレターが処理され、回答までの平均日数は20日間であった。一般的な法令解釈にかかる書面照会に関しては、2005年4月の制度導入以降、照会事例はない。金融庁は、ノーアクションレター制度の利用をどのようにして向上させるかについて、金融業界と意見交換する取組みを行っている。金融庁は、外国の利害関係者との継続的な対話を通じたものを含めて、ノーアクションレター制度の実効性を改善するための努力を継続する。

2.金融商品取引法制の透明性及び実効性の確保:金融庁は、2007年4月に金融商品取引法制に関する政令案・内閣府令案等をパブリックコメントにかけた。金融庁は、講演及び業界団体や国内、海外の利害関係団体との公式、非公式の接触を通じて、規則について金融業界に情報提供する取り組みを行っている。

 米国は、規制の実効性を高め、また金融市場におけるイノベーションその他の変化に対応するための規制の見直しに向けて、さらに規制の妥当性・実効性を確保するために、金融庁が、引き続き関係者との有意義な対話に努めるように求める。

3.検査プロセスの透明性:2005年7月、金融庁は、検査プロセスの透明性の向上を図る観点から、検査実施の基本的なアプローチと手続きを定めた金融検査に関する基本指針を策定・公表した。また、適切な検査運営に役立てるため、金融庁は「検査モニター制度」を導入し、被検査金融機関から、当該検査の執行状況や、より一般的に検査プセスに対する意見を聴取する機会を設けている。

 さらに、検査を実施するに当たっての検査官の手引書となる検査マニュアルについては、2006年6月の保険検査マニュアルの全面改訂、2007年2月の預金等受入金融機関に係る検査マニュアルの全面改訂、2006年7月の信託検査マニュアルの策定を行っている。これらのマニュアルは、金融機関を含む様々な業界の関係者によるワーキンググループでの議論を経て完成した。それらは、パブリックコメントを経た上で、現在、公表されており、透明性の高いプロセスが確保されている。これらの段階に先立って、2005年7月には金融検査評定制度を創設したところである。

V.競争政策

A.独占禁止法の執行強化

1.独占禁止法違反行為に対する抑止効果の強化:独占禁止法違反行為に対する抑止効果の強化を図るため、

 a.公正取引委員会は、犯則調査権限の導入を踏まえ、2005年10月に公表した「独占禁止法違反に対する刑事告発及び犯則事件の調査に関する公正取引委員会の方針」に基づき,悪質かつ重大な独占禁止法違反行為等に従事した会社及び個人に対する摘発及び告発を積極的に行うこととしている。

 b.これに関連して、公正取引委員会は、2006年度において、名古屋市営地下鉄に係る土木工事の入札談合事件を含む2件について刑事告発を行った。前記事件において、公正取引委員会は、2007年2月及び3月、5社及び5人を告発した。

 c.2006年度において、公正取引委員会は、6件の入札談合及び3件の価格カルテルに対して行政措置を採り、計165社に対して、過去最高となる363億円の課徴金納付命令を行った。

 d.企業によるカルテル行為に対して刑事罰及び行政措置の両方を規定する現行制度の継続については、内閣府独占禁止法基本問題懇談会が検討を行っているところである。公正取引委員会の竹島委員長は、2006年10月、現行制度を維持すべきであるという同委員会の見解を表明した。

 公正取引委員会は、2007年夏に取りまとめられる内閣府独占禁止法基本問題懇談会の報告書やそれまでの当該懇談会における議論を踏まえ、独占禁止法違反行為の抑止のための制度について検討する。当該懇談会の報告書に応じて同委員会が採ることとなる次の措置を検討するに当たって、同委員会は、この問題及び当該報告書によって提起される他の問題について、同委員会に寄せられるあらゆる見解を考慮に入れる。

 e.検察官の教育として、検事専門研修において、検察官は、独占禁止法違反事件等の捜査処理に関し、公正取引委員会から迎えた専門家による講義を受けている。

2.課徴金減免制度の利用の促進

 a.公正取引委員会は、2006年1月4日から2007年4月30日までの間、100件以上の課徴金減免申請を受理した。公正取引委員会は、引き続き、課徴金減免制度の効果を最大化し、積極的な利用を促進することとしている。

 b.これに関連して、公正取引委員会は、(1)首都高速道路公団発注のトンネル換気設備工事に係る入札談合事件(2006年9月課徴金納付命令)、(2)国土交通省,独立行政法人水資源機構及び農林水産省発注の水門設備工事に係る入札談合事件(2007年3月排除措置命令及び課徴金納付命令)、(3)名古屋市営地下鉄に係る土木工事の入札談合事件について、課徴金減免制度の適用を受けた事業者名等を公表した。

3.独占禁止法の運用の透明性及び遵守の促進

 a.公正取引委員会は、パブリック・コメントを求め、寄せられた意見を考慮した上で、2007年3月28日、「企業結合に関する独占禁止法の運用指針」の改正を公表した。改正されたガイドラインは、セーフハーバーに関する基準を見直し、輸入圧力等の評価に関する枠組みを洗練することによって、企業結合審査の手続の透明性や予見可能性を高めている。

 b.公正取引委員会は、「特許・ノウハウライセンス契約に関する独占禁止法上の指針」(1999年公表)を全面的に改定した「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針」(原案)を、パブリックコメントを求めるために公表した。公正取引委員会は、当該パブリックコメント手続により寄せられた意見を踏まえ、2007年夏に、当該指針の内容を最終決定する予定である。

4.独占禁止法適用除外制度の見直し

 a.近年、米国・EU等の諸外国において国際航空をめぐる独占禁止法適用除外制度見直しの動きがあることを踏まえ、公正取引委員会は、「政府規制等と競争政策に関する研究会」において、独占禁止法の適用除外を含めた国際航空市場における競争政策上の問題について検討を開始した。当該研究会は2007年末までに、報告書を作成・公表する予定としている。

 b.さらに、公正取引委員会は、2005年1月から外航海運市場における競争実態について適用除外制度を含めた検討を行っており、2006年12月、当該適用除外制度を維持する理由は今日では成立していないとする旨の考え方を公表した。また、同考え方では、外航海運市場における適用除外制度が、海上運送法に規定されていることから、同制度の要否については、公正取引委員会のみの判断によるのではなく、国土交通省での検討と判断が必要である、としている。公表された公正取引委員会の考え方を踏まえて、国土交通省は、所管省として、本適用除外制度の在り方について必要な検討を行う。

5.公正取引委員会の職員の能力及び資源の強化:公正取引委員会は、人員と予算を着実に増やしている。公正取引委員会の人員は、2008年3月31日には合計765名となる予定で、2007年3月に比べ、28名増員となっている。公正取引委員会は、今後も引き続き、研修や実務経験の蓄積等を通じて職員の審査能力及び経済分析能力の向上を図り、適切な形で体制強化を図る。

B.公正取引委員会の審査及び行政手続の公平性の確保

1.排除措置命令の執行停止決定の発出:独占禁止法第54条は、公正取引委員会は、必要と認めるときは、審判手続の間、当該排除措置命令の全部又は一部の執行を停止することができる旨規定している。執行を停止する必要性があるかどうかを判断するに当たって、公正取引委員会は、個別の事案ごとに、命令を速やかに執行することの必要性、執行停止が競争回復に悪影響を与えるか否か、命令の執行によって関係人に原状回復が極めて困難又は不可能であるという事態が生じるか否か等を総合的に考慮する必要がある。

 2.審判手続における信頼性の確保:公正取引委員会は、審判官として、弁護士及びその他外部の法曹資格者を積極的に採用することとしている。2007年4月1日現在、審判官7名中4名が法曹資格者となっている。その結果、各審判の審判官の合議体には法曹資格者を含むこととなる。

3.株式取得:当事会社が、「企業結合計画に関する事前相談に対する対応方針」に基づき、他の会社の株式を取得するための具体的な計画について事前かつ非公式な相談を求める場合、公正取引委員会は当該計画について必要な審査を行い、同委員会が当該株式取得に対して独占禁止法に基づく執行活動を行う意思があるか否かについて回答をする。

4.下請代金支払遅延等防止法に基づく措置における事前手続:公正取引委員会は、下請代金支払遅延等防止法に基づいて発出される勧告を公表している。同委員会は、当該公表措置を発出する前において、当該措置の名宛人に対し、反論のための意見を述べ、証拠を提出する機会を引き続き与える。

5.独占禁止法基本問題懇談会:同懇談会は、2006年7月に「独占禁止法における違反抑止制度の在り方等に関する論点整理」を公表し、国内外の関係者に対して、パブリック・コメントを求めたところであり、また、在日米国商工会議所などの海外経済団体を含め、これまでに有識者及び関係者からヒアリングを行ってきている。同懇談会は、これまでに関係者から出された意見も踏まえて議論し、2007年夏までに報告書を作成する予定である。

C.談合対策

1.利益相反の防止-天下り・談合

 a.内閣は、2007年4月24日、能力・実績に基づく人事管理の徹底及び国家公務員の求職活動・あっせん等の再就職に関する規制を含む国家公務員法等の一部を改正する法律案を閣議決定し、4月25日に同法案を国会に提出した。

 b.また、内閣は、地方公務員についても、能力実績主義の人事管理の実現及び再就職管理の適正の確保を図るため、地方公務員法の一部改正法案を2007年5月29日に閣議決定し、国会へ提出した。

 c.公共事業に対する国民の信頼を確保するため、国土交通省の入札談合再発防止対策の一部として、

  (1)国土交通省は、2005年10月より、国土交通省発注の公共工事の受注実績のある企業に対し、退職後5年間は、国土交通省退職者を当該企業の営業担当部署に就任させないよう要請している。

  (2)国土交通省は、2006年12月より、すべての潜在的入札参加者に対し、国土交通省退職者が2005年10月以降に当該営業部署において雇用された場合には、そのような者の情報を報告することを求めている。

 d.国土交通省は、2007年1月、入札談合に関する事実関係の調査及び今後の入札談合防止対策について検討するため、国土交通事務次官を委員長とし、外部の専門家が参加する「入札談合防止対策検討委員会」を設置した。2007年3月、同委員会は、以下のような入札談合防止対策をとりまとめた。

  (1)コンプライアンスの徹底

  (2)一般競争入札方式の拡大(例:一般競争入札方式の適用は、2005年度では金額ベースで全体の契約額の約35%であるのに対し、2008年度にはおよそ90%に拡大する見込み。)

  (3)指名停止期間及び建設業の営業停止期間の延長による入札談合等不正行為に対するペナルティの強化

  (4)水門設備工事に係る談合事件に関与した企業や今後、国土交通省の公共事業に関して同様の談合事件が生じた場合にそれに関与した企業について、2005年7月に発表された再就職に関する自粛措置の適用拡大

2.行政上の措置減免の拡大:国土交通省は、2006年2月、特定の入札談合事案に関し公正取引委員会の課徴金減免制度の適用を受けた企業について、公正取引委員会による開示によって当該企業が課徴金減免制度の対象となった事実を国土交通省が認識した場合には、当該企業に対する指名停止期間を半分に短縮する行政上の措置軽減を実施することとした。また、2006年5月23日に閣議決定により改定された「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」は、「独占禁止法違反行為に対する指名停止に当たり、課徴金減免制度の適用があるときは、これを考慮した措置に努めるものとする」と定めている。同閣議決定を踏まえ、指針の対象となる中央政府機関、政府関係機関及び地方公共団体は、行政上の措置軽減を実施することが期待されている。この点を認識しつつ、日本国政府は2007年度中に、同閣議決定の実施状況に関する調査を実施し、その結果を公表する。

3.調達慣行の改善

 a.総務省と国土交通省は、地方公共団体の調達実務の改善の取組を支援する。

 b.総務省及び国土交通省は、2007年3月末、地方公共団体に対し、公共工事の入札及び契約の一層の適正化を進めるため、一般競争入札の拡大、電子入札の導入、入札契約関係情報の公表の促進をするなどの措置をとるよう要請した。更に、総務省は、不正行為を行った者を入札に参加させないことが出来る期間を「3年間」に引き上げることを検討している。

VI.商法及び司法制度改革

A.近代的な合併手法を通じた効率的な企業再編と株主価値の推進

 会社法の「合併等対価の柔軟化」に関する規定が2007年5月1日に施行された。これにより、外国会社は、当該外国会社の日本子会社(すなわち存続会社)が日本の対象会社(すなわち消滅会社)の株式に対する対価として当該外国会社の株式を用いる三角合併によって、当該対象会社の株式のすべてを取得することが可能となった。

 1.法務省令の改正によって、外国会社の株式その他の存続会社の株式以外の対価を用いる合併に関し、合併の事前情報開示義務が拡大された。すなわち、このような合併における対象会社は、合併承認のための株主総会決議に先立って、所定の基本的事項に加えて、従前よりも詳細にわたる事項を対象会社の株主に対して開示することが義務付けられることとなる。日本国政府は、かかる改正を内容とする法務省令案に関するパブリック・コメント募集手続を2007年3月13日から4月11日まで実施し、当該改正は2007年5月1日に施行された。

2.当該法務省令によれば、譲渡につき制限のない外国会社の株式が合併対価として用いられる場合には、日本国内の会社の株式を対価とする合併の場合と同様、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成による株主総会の特別決議によって承認されなければならないとされている。

3.日本国政府は、2007年3月23日、税法令を改正し、クロスボーダー三角合併についても、内外無差別を原則とし、国内会社間の合併と同様に会社資産の譲渡益課税の繰延べを認めることとした。同法令によると、(1)合併法人たる存続会社が合併の直前に実際に事業に従事しており、(2)合併法人たる存続会社と被合併法人たる対象会社との間の「事業関連性」の要件を満たすなどの場合には、日本の税制上、三角合併の結果として発生する被合併法人たる対象会社及びその株主の譲渡益の認識を繰り延べることとしている。また、これらの要件を判定する際の具体的な要素については、2007年4月13日公布の財務省令において、より詳細に規定されている。

4.日本国政府は、必要に応じて課税繰延べの要件を見直すことを視野に入れ、課税繰延べのルールが、三角合併の利用に関し、すべての投資家に対して与える影響を見守ることとする。

B.望ましいコーポレートガバナンスの強化

1.積極的な議決権代理行使の推進

 a.日本国政府は、上場企業のコーポレートガバナンス強化の重要性を認識している。

 b.金融庁は、活発な議決権代理行使を促すための証券取引所の取組を支持している。東京証券取引所は、上場企業に対して、議決権代理行使の書類を株主総会の3~4週間前に株主に提供すること等を通じて、議決権行使の促進に向けた環境整備をするように促す取組を行ってきている。日本国政府は、効果的な議決権行使ができるよう十分に早い時点で、株主が議決権行使の書類を受け取ることを可能にするために、規制上の変更の可能性も含めて、さらにいかなる措置が適切に採られうるかについて、証券取引所との対話に携わっていく。

 c.国内外の投資家が適確に議決権を行使できる環境を整備する観点から、東京証券取引所は、外国及び機関投資家向けの電子投票プラットフォームを運営する会社を設立した。当該会社は、当初は2005年12月に終了する会計年度を採用する企業からサービスを開始し、既に200社を超える上場企業が当プラットフォームに参加している。東京証券取引所は、今後も上場会社が電子投票プラットフォームに参加することを勧めていく。

 d.日本国政府は、企業価値を増加させるメカニズムとして、ミューチュアル・ファンド及び投資信託の運用者による議決権の代理行使の促進を支持する。金融庁は、投資信託協会に対し、会員企業による議決権の代理行使実績の結果概要を公表するよう促してきており、昨年、投資信託協会は、議決権代理行使に関する調査を実施し、その結果を発表した。公表は、本年以降も継続的に行われる予定である。

 e.厚生労働省は、厚生年金保険法及び確定給付企業年金法において、年金基金の資産運用管理者が受託者責任を課されており、受託者責任には議決権をもっぱら受益者の利益のために行使する義務が含まれると考える。厚生労働省は、1997年及び2002年の年金基金の資産運用管理者の役割及び義務に関するガイドラインの見直しを含め、年金基金の資産運用管理者の受託者責任に関する同省の見解を明らかにする機会を探求していく。

2.株主利益の保護

 a.2006年12月13日に施行された改正後の公開買付制度では、公開買付対象者の役員に対して、当該公開買付けに対する立場を開示する意見表明報告書を公表することを求めている。更に、改正後の公開買付制度では、対象者は、意見表明報告書において買収防衛策の導入・発動に関する方針を記載しなければならない。

 また、対象者が役員の利益相反を回避するためにとった方策についても、同報告書で開示することを求めている。日本国政府は、公開買付けへの対応や買収防衛策の導入に関する証券取引法の要件を順守することを通じて、役員の利益相反が回避されることを期待しており、そのような目標の達成に向けて新制度の実効性を注視していく。

 b.東京証券取引所は、2007年4月に改訂された「上場制度総合整備プログラム」において、企業行動規範を東京証券取引所ルールとして制定することを発表し、2007年中に最初の行動規範を発表することとしている。また、東京証券取引所は、懇会を通じて、社外取締役の必要性に対応し、また、社外取締役の定義を狭めることによって社外取締役の独立性を確保するような行動規範の採用について検討する意向である。

 c.金融庁は、上場会社のコーポレートガバナンス向上の重要性を認識しており、その目的を実現する上での証券取引所の役割や、社外取締役の独立性の確保も含め、証券取引所における制度整備に向けた取組について、必要に応じて、証券取引所と意見交換を行う。

 東京証券取引所、大阪証券取引所、ジャスダック等いずれの証券取引所も、マザーズ、ヘラクレス等の新興市場上場企業を含めた上場企業に対して、いかなる買収防衛策についてもその詳細を迅速に開示することを求める規則を採用しており、また、上場企業が株主の利益を著しく損なうような買収防衛策を導入することを禁じた上場・上場廃止規則を導入してきている。

3.委員会設置会社制度の強化:会社法は、委員会設置会社制度を採用している上場会社の取締役会の権限に関し、所要の意思決定権をその監査委員会に適切に与えている。例えば、会社法は、会計監査人の選任は株主総会決議によらなければならないとしつつも、委員会設置会社制度を採用する会社の監査委員会に対し、株主総会に提案する会計監査人の選任議案の内容の決定権を与えている。さらに、取締役による会計監査人の報酬の決定については監査委員会の同意を要する(すなわち監査委員会が拒否権を有する)。

C.日本において適法に事業を行う外国企業に対する保護

 日本国政府は、会社法第821条が外国会社に与える影響を引き続き注視し、日本における外国会社の適法な業務に対して悪影響が及ばないようにするために必要があれば、同条の改正を前向きに検討していく。

D.専門職法人及び支店の設立の許容

1.法務省は専門職法人の設立が日本弁護士には認められているものの外国法事務弁護士(外弁)には認められていないという現在の法律専門職法人制度が、日本で業務を行っている外弁に不利益をもたらしているとする米国政府の懸念を理解する。

 法務省は、外弁の専門職法人の設立に関し、外弁代表者からの要望を受け次第、外弁が弁護士専門職法人と同じ根拠に基づき、また、同じ利益を享受できる専門職法人を組織することを容認する関係法令の改正に向けた措置を採ることを視野に入れて、日弁連と協議を行う。

2.法務省は、国際的な法律サービスの傾向の観点から、日本弁護士、外国ローファーム及び日本の外弁パートナーが、日本国内で別の日本の専門職法人を組織することなく、日本の国内法に従って職員が配置された複数事務所の設置が認められるべきかどうかに関して、日弁連や外弁とさらにヒアリングを重ねること等を含め、引き続き検討する。

E.弁護士が本邦外のインターナショナル・リーガルパートナーシップに自由に参加することの容認

 法務省は、弁護士がインターナショナル・パートナーシップのメンバーになることの法的な影響について、その有無も含め真摯に検討している。そのため、法務省は、2007年度中、インターナショナル・パートナーシップの実務について鋭意、調査研究を行う。

F.仲裁及び裁判外紛争解決手続きの促進

1.日本国政府は、外弁、外国弁護士及び非弁護士が仲裁法に基づく仲裁手続において準拠法又は紛争の内容にかかわらず主宰者となることが許されていること、仲裁以外のADR手続において、その業務が裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律に基づいて法務省によって認証されたときには、外弁、外国弁護士及び非弁護士は、認証された業務に係るADR手続の主宰者となることができること、さらに、外弁は、ADR業務について法務省の認証を受けているか否かにかかわらず、外弁の権限の範囲内で、又は、外弁の権限の範囲外のADR手続にあってケース・バイ・ケースで、ADR手続の主宰者となることができることを確認する。

2.日本国政府は、日本で行われるいかなる国際ADR手続においても、外弁が、少なくともその代理が外弁法と矛盾しない範囲において、当事者を代理することができることを確認する。

3.裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(ADR法)は、国際的規範や慣行に矛盾しない方法でのADRの促進を念頭に入れたものであり、日本を国際的な紛争解決の中枢として確立するという目標に寄与する方法で施行されるものである。

 日本国政府は、ADR法の施行に関する、規則及びガイドラインの制定に当たり、パブリック・コメント手続を実施した。今後も、日本国政府は、ADR法の施行に関連する法令、規則及びガイドラインの制定及び改正に当たり、パブリック・コメント手続を実施することを確保する。

4.日本国政府は、日本仲裁人協会が仲裁人に対する倫理規程を策定するに当たり、関係者からの意見募集を行ったものと承知している。

VII.透明性

A.透明性に関する慣行

 日本国政府は、より大きな貿易・投資の機会のための必要条件として、開かれた、かつ透明なビジネス環境の重要性を認識する。高い透明性の基準は、説明責任、安定性、及び統治の公平性と効率性に対する信頼を確保し、経済成長に資するものである。日本国政府は、また、各省庁が透明性を確保する際には一貫性及び予測可能性が必要であるとの米国政府の意見に留意する。日本国政府は、高い基準の透明性の慣行を目指してさらに取り組むとともに、米国政府と日米規制改革及び競争政策イニシアティブの分野横断別作業部会において、透明性に関するベスト・プラクティスにつき議論し、意見交換をしていく。

1.政策策定における市民参加-審議会:日本国政府は、審議会等に関する強い透明性基準を策定することにより、審議会等の透明性やアクセスを高めるべきという米国政府の見解を認識している。

 a.すべての審議会等及びそのメンバーリスト並びに関連情報は、「電子政府」の総合窓口(http://www.e-gov.go.jp)を通じて、電子的にアクセスが可能となっている。

 b.日本国政府は、引き続き、審議会等の透明性やアクセスに関する「審議会等の整理合理化に関する基本的計画」(平成11年4月閣議決定)等に則った取組を推進していく。

2.パブリック・コメント(意見公募)手続:日本国政府は、改正行政手続法に基づく意見公募手続が、行政上の命令等制定過程における透明性・公平性を高めるため、意見提出にとって意義ある機会を効果的に提供することを確保する必要性を認識している。

 a.行政手続法の規定には、以下のことが含まれている。1)各省庁が、一般からの意見提出にとって意義のある機会を提供するために、原則30日以上の意見提出期間を設定すること、2)命令等を決定する前に提出された意見を各省庁が十分に考慮すること。

 b.日本国政府は、意義ある制度運用のためには改正行政手続法に基づく意見公募手続及びその実施について一般に更に周知するとともに、一般からの質問や懸念に対応することも重要であると考えている。さらに、総務省は、各省庁における意見公募手続の実施状況について年次調査を行い、これを公表するとともに、各関係省庁と密接な連携を図り、必要に応じ、制度のよりよい実施を奨励し促していく。

3.規制及びその執行における透明性:日本国政府は、法の適用に関する様々な基準や情報を提供することにより、法や規則の解釈や解説の容易な入手を確保するとともに、民間部門が規則について十分な情報を得ることの重要性を認識する。日本国政府は、各省庁が一般的に適用される規則の解釈を市民に入手可能なものとするよう、明確に義務付ける必要性があると米国政府の意見に留意する。

4.法案策定への市民によるインプット:幾つかの府省は、その判断で、策定中の法案に対し、法案が国会へ提出される前に、パブリック・コメント手続やその他の措置を活用して、一般市民によるインプットの機会を設けてきた。

5.日本法令の外国語訳:2007年3月23日、日本国政府は、内外の有識者の意見等も勘案の上、翻訳整備計画(2006年度から2008年度)を改定した。この改定により、従前の計画に約50本の日本法令翻訳が追加され、3年間で合計約250本の法令が翻訳されることとなった。計画に従い、日本国政府は、2007年4月の時点で約80本の法令を翻訳しており、順次、内閣官房のウェブサイト(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/hourei/data1.html)で公開している。日本国政府は、今後とも継続して、関係者にとって重要な法令を適切な時期に翻訳していく。

6.策定規制の実施:日本国政府は、利害関係者が十分に変更に対応できるよう、施行前に十分な余裕を持って施行日を設定することで、最終規則の公表からその施行日まで合理的な期間を引き続き確保する。

7.構造改革特区:日本国政府は、下記の取組を続ける。

 a.成功した特区が日本経済のより広い範囲に対して最大の経済効果を確実にもたらすよう、必要な措置を採ること。

 b.特区において成功した規制の特例措置を可能な限り迅速に全国規模で展開し(日本国政府は、2007年3月31日現在で71の特例措置を全国展開した)、特区の規制の特例措置の適用に係る全ての過程を透明性を持った形で運営すること。

 c.特区の実施について地方公共団体や外国企業と相談すること。

 d.受け入れられた提案と採られた措置についての情報を公表すること。

 e.可能な限り英語での情報提供を行うこと。

B.国際協力

 日米両国は、APEC各メンバーの国内法体制においてAPEC透明性の基準が完全に実施されること、及び、APECの透明性に関するモデル措置を将来の貿易協定の参考として活用することを、引き続き各メンバーに対し協力して働きかけていく。また、アジア太平洋地域におけるビジネスや投資環境の改善に資する高い基準での透明性を促進するため、日本国政府は、その他の方策を通じて、米国政府との協力を強化していく。

VIII.その他の貿易に関する政府慣行

A.保険の窓口販売

1.2004年3月31日の金融審議会第二部会報告書を踏まえ、2005年7月8日に保険業法施行規則が改正された。

2.この改正により、2005年12月22日に銀行の窓口において一部の保険商品の販売が解禁され、銀行を通じた保険販売に関する消費者保護のための弊害防止措置が導入された。金融庁は、2007年12月まで、弊害防止措置の実効性についてのモニタリングを行った上で、すべての保険商品の銀行における販売を解禁し、全面解禁に先立ち関連する技術的な準備を行う予定である。

3.日本国政府は、銀行窓販に関わる規制が、消費者保護を確保するとともに、特定の商品や販売方法、サービス提供者を優遇することなく公平に実施されることが重要であると考えている。

4.金融庁は、中小金融機関の営業形態等に配慮して、その保険募集制限先の範囲を緩和するとともに、事業資金の融資業務と保険募集業務の担当者分離規制を緩和するための特例措置を講じる中、保険契約者の被害を限定するために、中小金融機関に対して保険金額の制限(生命保険、第三分野それぞれ1,000万円を限度額とする。)を設けることとした。米国政府は、2007年12月の全面解禁前に、第3分野における1,000万円の上限について、検討を行い、そして必要があれば、見直しを行うという日本国政府のコミットを歓迎する。

金融庁は、銀行による保険販売の規制を検討する過程で、国内及び外国の保険会社や銀行、保険募集人の団体、中小企業者の団体、消費者代表を含む幅広い利害関係者からの意見を考慮し、保険業法の関係政省令の改正案をパブリック・コメントに付した。金融庁は、銀行による保険募集の状況をモニタリングする過程において、必要に応じて、保険会社(外国保険会社を含む。)、銀行、その他の幅広い利害関係者からの定期的なヒアリングを行う。

B.共済

1.いわゆる無認可共済については、2006年4月1日に施行された改正保険業法により、法の適用範囲が拡大されて、無認可共済がその対象に含められ、少額短期保険業者制度が導入された。

2.この制度見直しの検討過程において、金融庁は金融審議会を開催し、外資系保険会社と意見交換を行ったほか、政令府令改正案をパブリック・コメント手続に付した。

3.改正保険業法は、その施行日から5年以内に、金融庁が少額短期保険業者について見直しを行う旨規定している。この見直しを行うにあたり、金融庁は、必要に応じて、その検討に関する情報や、外資系保険会社を含む保険会社や他の関係者が意見を表明する有意義な機会を提供する。

4.共済に関し、日本国政府は、米国政府の以下の要望を認識する。

・日本国政府は共済を金融庁が所管する競合他社と同一の法律、要件、基準を適用し、また、同一の監督者によって監督することで、共済と他の民間企業との間の平等な競争条件を確保すること。

・近い将来、金融庁以外の省庁が規制する各共済の規制と監督の整合性を評価し、民間の保険サービス提供者を監督する際の金融庁の基準との適合性を判定するための検討が行われるべきであり、またそのような検討は、利害関係者に対して意見表明や意見交換を行う有意義な機会を与えるなど、透明な形で行われるべき。

C.保険契約者保護機構(PPC)

1.2006年4月1日に施行された改正保険業法により、保険会社が破綻した場合に資金援助の財源として政府補助を含む保険契約者保護機構(PPC)制度の存続期間が延長された。また、改正法は、2006年4月1日から3年以内にPPCの財源制度についての見直しを行うこととなっている。

2.この見直しを行うにあたり、金融庁及び日本国政府の関連審議会等は、民間の利害関係者(外資系保険会社を含む。)に対して、要請に応じて、その見直しに関する情報を提供するとともに、意見表明や意見交換の有意義な機会を提供する。

D.農業関連の政府慣行

1.植物防疫

 a.世界に広く分布する有害動植物についての評価:日本国政府は米国政府によって特定されたレタスに関連する検疫対象4害虫のうちの1種類について、非検疫有害動植物のリストに追加した。日本国政府は、国際基準に基づき、世界に広く分布する有害動植物の日本による評価プロセス全体の一部として、米国政府が優先する残り3種の害虫の検疫ステータスを決定するため、病害虫危険度解析(PRA)を引き続き実施する。

 b.共同でのリスク評価:日本国政府は、両国それぞれのPRA専門家による対話を行うことは有意義との理解を米国政府と共有するとともに、両国政府が以前実施した日本産柿のリスク評価に関する共同作業について両国政府共に評価しており、適切な場合に、リスク評価に関する問題への対処について共同作業を継続することを期待している旨留意する。

2.残留基準規制の実施方針:日本国政府は、輸出国における農薬及び動物用医薬品の規制や管理体制が我が国と同等であることが確認されれば、残留農薬等の違反確認の際、国内と同様、輸出国の特定の違反者(例えば、製造者、加工者等)に限定して強化された検査を課すことが可能であると認識している。

この取組を進めるため、日米両国政府の間で情報交換及び技術的協議が行われている。

3.動物性食品:日本国政府は、米国政府と協力して、これらの問題について、科学に基づいた解決に向けて努力する。

4.農業バイオテクノロジー

 a.IPハンドリング:日本国政府は、遺伝子組換え農産物の商業目的での栽培を過去に行っていたが、現在では商業栽培が行われていない輸出国からの農産物について、表示の要件を除外するにあたっては、以下の手続きが必要であることを確認した。

  (1)当該輸出国政府が、当該国において遺伝子組換え農産物の商業栽培を行っていないことを盛り込んだ公式な文書を提出する。

  (2)日本国政府が関連する調査会へ報告する。

  (3)日本国政府が「食品表示に関する共通Q&A(第3集:遺伝子組換え品に関する表示について」の修正を行う。

 日本国政府は、米国政府より、現在、米国では遺伝子組換えばれいしょの商業栽培は行われていないことを示す関連データと情報を受け取った。日本国政府は、遺伝子組換えばれいしょについて、2007年夏の食品表示に関する調査会に報告し、米国政府は、これをサポートする情報を提供する。日本国政府は、上記のプロセスを用いて、米国のばれいしょ及びその製品に対する表示要件に関して適切な決定を行うため、米国政府とともに作業してきている。

 b.飼料の承認システム:

  (1)日本国政府は、遺伝子組換え飼料の承認システムに関する申請者のニーズを考慮するための措置を講じてきており、最近では遺伝子組換え技術利用飼料の小委員会を年間5回程度開催している。

  (2)日本国政府は、告示によって安全性審査に係る手続を公開しており、また、農林水産省は、企業からの申請を随時受けている。

  (3)日米両国政府は、承認されていない飼料の存在が飼料の貿易に深刻な問題を引き起こし得るという理解を共有する。そのような貿易上の問題の発生を回避するため、両国政府は、遺伝子組換え飼料の承認システムの実施における効率性と予見可能性を改善するよう、情報交換及び相互協力を行う。

5.食品添加物の安全性評価

 a.国際的に(例えば、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)によって)安全性が確認され、かつ汎用されている食品添加物46品目及び香料については、業界からの申請がなくても日本国政府が指定等の検討を進めており、厚生労働省は、2003年以降これまでに食品添加物7品目及び香料12品目について、食品安全委員会の評価結果を受けて、その使用を認めた。

 b.米国等諸外国から審議の促進要望があったポリソルベート類については、指定のための必要な手続き、特に食品安全委員会における評価が着実に進捗している。厚生労働省としては、基準を策定した上で最終的な指定を行うとともに、残りの物質についても、引き続き食品安全委員会と協働していく。

 c.日本国政府は、食品安全委員会における食品健康影響評価及び薬事・食品衛生審議会での規格基準等の審議が迅速かつ円滑に進められるよう関係データの提出等に関し、貿易パートナーに協力を要請する。

IX.民営化-郵政民営化

A.郵便貯金・郵便保険に対する対等な競争条件と金融システムの安定性

1.日本郵政株式会社、郵便事業会社、郵便局会社、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命の財務情報は、他の民間企業と同様に、会社法、銀行法、保険業法、その他の関係法令を含めた規制の下で開示されることとなり、また、公開資本市場において取引される場合は、40第6回報告書日本国政府による措置金融商品取引法(証券取引法)の開示規制を受けることとなる。移行期当初から、金融庁は、銀行法及び保険業法に基づくゆうちょ銀行及びかんぽ生命に対する監督・検査について唯一の権限を持ち、金融サービス又は保険商品の販売に従事するときを含め、他の銀行や生命保険会社に適用されるものと同じ基準を適用する。従って、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命には、リスク管理条件及び金融庁の完全な監督を含め、民間の金融機関と同様の免許、情報開示、監督の基準に実際に客観的に適合するための措置がとられる。このため、金融庁は監督局に1名の室長及び11名の職員による新しい室を設置する。さらに、郵便局会社は、預金の受入や貸付、為替取引等又は保険商品の代理又は媒介を行う場合には、その職員を含め、金融庁の監督を受ける。ゆうちょ銀行、かんぽ生命、日本郵政株式会社及び郵便局会社の相互の取引関係は、アームズ・レングス・ルールを含め、銀行法及び保険業法の義務に服することとなる。銀行法及び保険業法の下での会計規則の適用にあたっては、これらの4会社は、銀行法及び保険業法の「特定関係者」の要件に該当する。

2.郵政民営化関連法は、損益が明確にされることを確保し、他の事業により影響を受けるリスクを排するため、新たに設立される郵政金融会社と非金融法人との間の事後的な内部相互補助を防止するように設計されている。郵政民営化関連法によれば、2007年10月1日以降、旧契約と新契約を分離する観点から、ゆうちょ銀行・かんぽ生命とは別に旧契約を管理する独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が設立されることとなる。ゆうちょ銀行やかんぽ生命が破綻した場合の旧契約については、預金保険機構及び生命保険契約者保護機構の対象外とされている。日本郵政公社は、2007年9月30日の財務諸表を独立した会計監査人による監査を受けて作成し、公表することとなる。独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構に承継される資産及び負債は、評価委員会の評価を受けることとなるが、この評価は、原則として、時価基準で行われることとなる。日本国政府は、この評価の適時かつ意義のある開示が重要であるという見解を米国政府と共有する。また、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構は、独立行政法人通則法に基づき、毎年の財務諸表を、日本の一般会計原則に従い、独立した会計監査人による監査を受けて作成し、公表することとなる。民営化関連法は、承継された民営化前の契約から生じる資産運用は、2007年10月から預金及び再保険契約により、ゆうちょ銀行とかんぽ生命に委託されることを規定している。2007年10月以降、これらの預金及び再保険契約は、銀行法及び保険業法に基づき、金融庁の検査・監督に服するととなり、商業ベースの取引となる。預金・再保険の契約については、実施計画の中で定めることとしており、実施計画については、内閣総理大臣及び総務大臣が認可の段階で内容を審査する。両大臣は実施計画を認可しようとするときは、郵政民営化委員会の意見を聴取するとともに、財務大臣にも協議することを求められる。こうしたプロセスによって、預金・再保険契約を通じてゆうちょ銀行・かんぽ生命に対して不当に利益が移転することのないように担保されている。

3.郵政民営化を規定している法律上、郵便局会社がかんぽ生命以外の民間保険会社と生命保険募集委託契約を締結することやゆうちょ銀行以外の民間銀行と銀行代理店契約を締結することは可能である。郵便局会社のネットワークを利用する点において、ゆうちょ銀行と他の民間の銀行や金融機関との間で、また、かんぽ生命と他の保険会社との間でイコールフッティングは現に確保されているところである。日本国政府は、郵便局会社とゆうちょ銀行やかんぽ生命との関係が、アームズ・レングス・ルールやその他の民間企業に適用される規則に則った公正なものとなることを確保する。

4.2007年10月1日以降、ゆうちょ銀行が受け入れる預金及びかんぽ生命が募集を行う生命保険商品には政府保証は付されない。郵政民営化委員会は、民営化後も「暗黙政府保証」が残存するというパーセプションは預金者・保険契約者等の誤解に基づくものであること、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命が政府保証が存在しないことを説明すべであること、更に政府においてもそうした誤解の払拭に向けて最大限の努力を行うべきであるとの所見を示している。日本政府は委員会の所見を適切にフォローし、必要に応じて措置をとることとなる。民営化以降、「政府保証がある」といった虚偽のことを告げてそれらの商品を販売する行為は、銀行法及び保険業法において禁止されている。

5.独占禁止法は、日本郵政公社に対して引き続き適用され、さらに、同法は、他の民間会社に適用されているのと同じ根拠に基づき、また、同じ基準に従って、新たな郵政民営化会社に対して適用されることとなる。この点において、公正取引委員会は、日本郵政公社の業務を注意深く見守っており、さらに、新たに設立される郵政民営化会社関しても同じく見守っていく。公正取引委員会は、日本郵政公社の民営化及び新しい日本郵政公社の民営化会社の運営に関連する競争政策の論点について、同委員会としての考え方を、適切なときに引き続き表明していく。

6.日本国政府は、社会・地域貢献基金は、社会・地域にとってその実施が真に必要であるが、民間企業では実施困難なサービスに対して資金を交付するものであり、郵便局会社、郵便事業会社、ゆうちょ銀行又はかんぽ生命に不当な特典を与えるものではないことを再確認する。また、地域貢献業務の実施に当たっては、郵便局会社は、実施計画を作成し総務大臣の認可を受けるとともに、認可後遅滞なく実施計画を公表することが義務付けられている。さらに、計画期間の終了後3ヶ月以内に、郵便局会社は、地域貢献業務の実施状況に関する報告書を公表することが義務付けられている。上で述べたとおり、日本国政府は、地域貢献業務の適性な実施及び基金の設置・運営の透明性を確保するための措置を講じる。

B.競争条件及び新商品導入

 ゆうちょ銀行及びかんぽ生命は、銀行法及び保険業法等の民間金融機関と同じ法令が適用され、これに加えて、移行期間中は郵政民営化法による業務制限が課されることとなる。ゆうちょ銀行及びかんぽ生命の民営化当初の業務範囲は日本郵政公社と同一のものとしている。将来の業務範囲の拡大は、内閣総理大臣(権限は金融庁長官に委任)及び総務大臣が、郵政民営化委員会の意見を聴取した上で、決定するという透明・公正な手続きを経なければならない。ゆうちょ銀行及びかんぽ生命の業務範囲の拡大について主務大臣が決定を行う際は、適正な競争関係及び両社の経営状況が考慮されることとなる。かんぽ生命による新たな又は変更された保険商品の導入、ゆうちょ銀行による新たな元本無保証型商品又は新たな貸付業務の導入は、上記のプロセスを通じて審査されることとなる。ゆうちょ銀行及びかんぽ生命が新商品を販売する際には、リスク管理やコンプライアンス態勢等、民間金融機関と同様の義務や基準に服さなければならない。上で述べられている通り、郵政金融機関の業務範囲の拡大について主務大臣が決定を行う際を含め、郵政民営化プロセス全体を通じ、日本国政府により、郵政金融機関と民間金融機関との間の対等な競争条件が確保される。民営化のプロセスと実施は日本のWTO上の義務、特にGATSの内国民待遇原則に従うべきという考え方を米国政府が有していることを日本国政府は知っている。

C.宅配サービスに対する対等な競争条件

1.日本郵政公社又は郵便事業会社が行う国際物流事業に係る貨物の通関手続きについては、他の民間会社と同様の申告納税制度が適用される。日本国政府は、国際郵便物に係る通関制度について見直しを行い、20万円超の国際郵便物に対し、原則として、申告納税方式を適用することとしている。日本郵政公社によって提供されるEMS及び類似の国際エクスプレス・デリバリー・サービスに係る通関の規則と手続は、民間エクスプレス業者が提供する類似の貨物に対するのと同様に適用されるべきであるとの米国政府の考え方を、日本国政府は知っている。

 2.日本郵政公社は、郵便事業と国際物流事業を区分して、それぞれの収支の状況を公表するべきである。また、郵便事業会社は、郵便事業とその他の事業を区分して、それぞれの収支の状況を公表するべきである。日本国政府によって執られるこれらの開示措置は、内部相互補助が起こっているかどうかを客観的に評価できるような方法で行われる。郵便事業会社によって提供されるEMS(と類似の国際エクスプレス・デリバリー・サービス)とその他の商品との間で内部相互補助が起こらないことを確実にするために、必要な全ての公開措置を行うべきであるとの米国政府の考え方を、日本国政府は知っている。

D.透明性

1.日本国政府は、適切な方法により一般公衆に対し郵政民営化に関する法律、規則、ガイドライン及びその他の情報を提供することを含む郵政民営化プロセスにおける透明日本国政府による措置性の確保の重要性を認識している。郵政民営化委員会は、郵政民営化の諸問題に関して利害関係者より意見を聴取する機会を提供してきた。郵政民営化委員会の委員長は、郵政民営化プロセスにおける委員会の審議の透明性の重要性を考慮し、委員会が必要と判断した場合には、引き続き利害関係者より意見を聴取する機会を設ける旨を表明している。

 郵政民営化推進室、総務省及び金融庁は、民間部門の利害関係者に対し、その要請に基づき、関係職員と意見交換を行う機会を引き続き提供することとする。日本国政府は、郵政民営化委員会の独立性を認識しつつも、郵政民営化委員会の透明性の重要性も認識している。

2.日本国政府は、行政規則、行政決定、行政ガイドライン及びその他の措置の準備及び施行に関し、行政手続法に基づくパブリック・コメント手続きの必要に応じた活用及びその他の方法により透明性を確保する。行政手続法については、日本国政府は、パブリック・コメントが行われた場合には、提出された意見を十分に検討し、適切であれば、措置案を最終決定する前にその意見を反映させることを保証する。日本郵政株式会社は、2007年4月27日に内閣総理大臣及び総務大臣に実施計画を提出し、認可申請を行った。日本国政府は預金契約や再保険契約を含め、実施計画は、請求があれば、情報公開法に従って開示されることを保証する。日本国政府は、利害関係者が上に述べた手続を通じて、そのような文書を閲覧する有意義な機会を持つことができ、適時に見解を表明できるということを認識している。その計画の重要な部分が最終的な決定が下される前に適時に入手可能とされるべきであるという米国政府の期待を日本国政府は知っている。

3.郵政民営化委員会議事規則では、原則として、郵政民営化委員会が、議事要旨及び詳細な議事録を適時に公開することを規定している。郵政民営化委員会は、これまでの会合ごとに、事前の議題の公開、会合後の記者ブリーフィングや議事要旨及び詳細な議事録の公開を行ってきた。郵政民営化委員会事務局は、委員会の各会合前に、会合の議題を引き続き公開する(関係するウェブサイトでの公開を含む。)こととする。

4.両政府は、更に規制改革を促進する決意を再確認するとともに、いずれか一方の政府の要請に基づき、郵政民営化関連法の施行に伴い発生する諸問題について取り上げるために、双方の都合の良い時期に会合する。

X.流通

A.空港着陸料

1.空港使用料は空港管理者と航空会社の議論を通じて決定される。成田国際空港については、2005年に着陸料は引き下げられ、IATAにより受け入れられた。2006年10月、今後の国際拠点空港の在り方について議論するため有識者懇談会が立ち上げられ、2007年3月に報告書がとりまとめられた。特に報告書では、少なくとも必要最小限の規制の必要性等、空港サービスに係る料金設定の際に考慮すべき事項が記載されている。報告書は国土交通省のHPで公表されている。

2.ICAOの理事会声明に基づき、我が国の空港における着陸料は、基本的には航空会社による空港施設の利用に係るコストを賄うために課されており、国管理空港の場合、機材の重量及び騒音値を賦課基準として算定している。また、その最終決定内容は、航空路誌(AIP)へ記載される前に、IATAに対してその趣旨等につき説明がなされている。

B.空港の建設及び運営(成田)

 成田国際空港株式会社は、2004年に民営化され、利益に対する強い志向を持っている。成田国際空港株式会社の2007年3月期の利益は103億円であった。成田国際空港株式会社は、効率的でコスト意識のある手法でB滑走路の拡張を実施している。この事業により、成田空港の容量が拡大され、より大型の航空機によるB滑走路の利用が増進される。このことから、この事業は、成田国際空港をより活用したいという強い要求を有している航空会社や他の国々から支持されており、また、成田国際空港株式会社の利益を増大させることになる。

C.税関手続

1.速達荷物に関する税関手続き:財務省関税局は、これまで、予備審査制や到着即時輸入許可制度の導入など、通関手続を簡素化・迅速化する様々な措置を講ずるとともに、マニフェストによる輸出入者の申告を可能としている。さらに、主要空港の通関部門に担当職員を1週間・24時間駐在させる等の措置を通じて、通関の円滑化に取り組んできている。

2.税関への申告

 a.2001年に関税局は、コンプライアンスの優れた者と税関に認定された輸入者について、引取申告と納税申告を分離する簡易申告制度を導入した。日本国政府は、この制度の対象範囲が通関業者を含むよう拡大されるべきとの米国政府の見解に留意する。

 b.日本国政府は、NACCSの利用者が急送貨物の通関申告を貨物が蔵置されている場所に限定されず、都合のよい税関官署で行うことが認められるべきとの米国政府の見解に留意する。

D.デミニミス

 日本国政府は、現行の免税輸入限度額を引き上げるべきとの米国の見解に留意する。E.

E.宅配車両向け駐車スペース

1.平成18年6月に施行された新駐車対策法制については、交通渋滞、交通事故及び違法駐車の減少において成功を収めてきている。

2.各都道府県警察においては、地域住民や運送事業者等の関係者からの要望を踏まえた駐車規制を実施してきているが、「交通の安全と円滑」と「駐車の必要性」(貨物の集配に従事する運送業者の駐車の効用を含む。)に配慮してきている。一方、警察庁は米国業界を含む業界からの緩和措置に関する要望について認識している。

3.新駐車対策法制の最も重要な狙いの一つは、放置車両を減少させることにある。駐車監視員は標章を取り付ける前に、車内やその間近における運転者の有無を確認するよう、また、標章をとりつける前に運転者が戻ってきた場合には、警告にとどめるよう指導されている。貨物の積み卸しを目的とした5分以内の駐車は、運転者が車内もしくは、その間近にいるかぎり、法律上許容されている。

4.警察庁は物流の重要性を認識し、各都道府県警察が、適当な場合には貨物自動車を駐車規制の対象から除くこと等を可能とした。また、同庁は米国業界を含む業界からの要望を考慮し、貨物自動車に関するものを含めた駐車規制及び駐車許可手続きの運用の改善についても検討を継続していく。加えて、同庁は各都道府県警察に対し、駐車規制の実施にあたっては貨物自動車等に関して、緩和措置を採ることの重要性を改めて周知する。

5.日本国政府は、都市部の施設と交通管理を改善するため、引き続き以下に取り組む。

 a.道路管理者等関係機関に対して、既存の荷捌き用の駐車ベイの維持及び更なる整備を促す。

 b.地方公共団体が、一定の用途・規模の建築物を新築、改築するときに商用車としたものを含めた駐車施設を設置する条例を定めることを推奨する。

F.改正道路運送車両法の即時実施

 2006年5月、登録識別情報制度を新たに導入するために、道路運送車両法が改正され、同制度は2008年11月までの2年6ヶ月以内に施行される見込みである。2006年6月、日本国政府は登録識別情報制度導入のための具体的な方策を決定するため、利害関係者と政府関係者からなる「登録識別制度の導入に係る検討会」を立ち上げた。

G.大規模小売店舗に影響を及ぼす法律

1.改正都市計画法が、2007年11月30日に全面施行されるのに先立ち、日本国政府は、改正法の運用指針を、透明かつ公正な方法で作成した。日本国政府は米国政府に対し、地方公共団体が、民間部門及び利害関係者が意見を述べる機会を含む都市計画手続を通じ、透明かつ公正な方法で、都市計画法の運用指針に則して法を運用することが期待される旨を説明した。

2.日本国政府は、改正都市計画法の施行後、時宜を得た方法で、かつ民間部門及び利害関係者が意見を述べる機会を含む方法で、都市計画法が商業調整システムを復活させ、又は大規模小売店舗というビジネスモデル自体を規制するように運用されていないことを確かめることを含め、改正法の影響を評価する。米国政府は同法の影響を評価するタイミングについて要望し、日本国政府は当該事項に関する見解を表明した。

3.日本国政府は、中心市街地活性化法の目的と制度について説明した。



米国政府による規制改革及びその他の措置

I.ダンピング防止措置

A.米国政府は、米国のダンピング防止に関する法律、規則及びその他の措置がWTO協定上の義務に整合的なものとなることを確保する。

B.2006年2月8日、継続的ダンピング及び補助金相殺法(バード修正条項)の撤廃を規定する2005年赤字削減法が発効した。2007年10月1日より前に通関した産品に係る税については、バード修正条項が廃止されていないものとして、同条項に基づき分配される。2007年10月1日以降に通関した産品については、最終的に確定した税が、影響を受けた米国製造業者に対し分配されることはない。日米両国政府は、税の分配に関する問題について協議した。

C.WTO(DS322)における「ゼロイング」問題に関しては、米国政府は、紛争解決手続きにおける米国の履行の一環としてこの問題を検討していることに言及する。

D.米国政府は、熱延鋼板紛争におけるWTOの勧告及び裁定を履行する法律が成立するよう、引き続き、議会と緊密に協力していく。この点に関し、米国政府は、2005年7月20日のDSB会合で検討された、譲許の停止の承認を求める日本の決定に関する二国間了解に留意する。

E.2004年12月3日、1916年歳入法第801条(1916年ダンピング防止法)が撤廃された。米国政府は、1916年ダンピング防止法に関する日本国政府の懸念を認識している。

F.米国政府は、その他特定の米国のダンピング防止に係る問題に対する日本国政府の懸念について、自国の見解を説明した。

II.投資関連措置

A.エクソンフロリオ条項

1.米国政府は、エクソンフロリオ条項に対する日本国政府の懸念、とりわけ関連規則の予見可能性、すでに完了した取引の法的安定性及び適正な手続の確保に関する懸念を認識する。米国政府は、同条項の運用に当たっては、日本国政府の懸念に配慮する。

2.米国政府は、CFIUSの見直し過程を改革するために議会に提出された法案についての日本国政府の懸念、及びこの議論が外国から米国への投資を阻害しうるのではないかとの懸念に留意する。米国政府は、外国からの投資の経済的利益を認識しており、外国からの投資を歓迎する開放的な経済システムを確約している。

III.流通・税関手続

A.海事テロ対策

 米国政府は、日本国政府との間で、安全保障上の考慮と国際貿易促進の必要性とのバランスをとることの重要性について、理解を共有する。国際供給網及びそれを支える海上輸送システムの安全性と効率性は、世界全体の繁栄のために非常に重要である。この観点から、米国政府は、この問題に関する日本国政府の要望に留意し、テロ対策強化に向けた取組みと迅速、円滑且つ効率的な流通とのバランスを図ることを確約している。また、米国政府は、公共の安全を高める一方、現代のビジネス慣行を補完する共通の手続及び基準を構築するため、国際社会と協働することを確約している。米国政府は、世界税関機構(WCO)の「国際貿易の安全確保及び円滑化のための基準の枠組み」実施するための能力向上を支援するための日本の尽力、またコンテナー・セキュリティ・イニシアティブ(CSI)に関して我々が享受している支援に感謝している。日米次官級経済対話の下に設置される日米スタディ・グループは、日米両国が国際貿易の安全確保及び円滑化に向けて協力できる方策に積極的に取り組む。

1.貨物情報の事前電子提出:事前情報及び戦略的なインテリジェンスは、貨物の船積み前に安全及び保安に対する潜在的な危険を有する輸送貨物の識別を可能にする。こうした貨物検査に関するリスク管理方式は、国際的に認知されたベストプラクティスとなりつつある。現代的なビジネス情報システムの進歩は、潜在的な脅威を解消する様々な機会を提供し、次第に、供給網におけるより早い段階でのリスク分析の機会を作り出している。米国政府は、米国通商法の事前電子貨物情報提出要件の実施規則を策定する上で、貿易関係業界と緊密に連携してきた。この要件は、ビジネスプロセスにおいて、修正を要するものと認知されつつ、徐々に実施されてきた。これらの要件は、情報分析を可能とする合理的な時間枠を定めているので、海上輸送システムには安全な貨物のみが入ることとなる。また、事前電子情報は、貨物データを既知の遵守業者による輸送を認識し、促進するために利用することにより、リスク分析努力を向上させる。そして、事前情報は、未知の不遵守貿易主体により焦点を絞ることを可能にする。米国政府は、間部門が新たな要件に適応する際に、この方式が、供給網におけるリードタイムを短縮するための輸入者の努力に悪影響を及ぼしかねないとの日本国政府の懸念に留意する。貨物情報の事前電子提出の規制緩和に関する日本国政府の要望に留意し、米国政府は、引き続き、安全対策と効率的な流通の両立を高めるために努力し、より広範な国際貨物輸送に係る要件の国際的な均一性を高めるため、国際海事機関や世界税関機構といった機関を通じて国際社会との協働を継続していく。

2.C-TPATは、国際供給網の安全性を強化及び改善する協力的な関係を構築するための官民共同による任意の取組みである。米国政府は、事前に電子的に提出された貨物情報及び法執行機関の情報システムに基づき全ての貨物を検査している。参加者は、脅威に関する分析の緩和及び低い検査頻度といった利益を享受したが、C-TPATは、安全措置を向上させた参加者に対しより大きな利益を提供するための階層型の利益付与システムの導入によって精緻化された。米国政府は、より具体的な利益がC-TPAT参加者に与えられるべきであるとの日本国政府の要望を十分に理解し、引き続き、C-TPAT関連規則の実施と更なる見直しの過程において透明性を向上させる取組みへの民間部門の関与を促進する。

B.バイオテロ法及び関連規制

1.2002年公衆衛生安全保障及びバイオテロリズム法(バイオテロ法)は、米国食品医薬品局(FDA)に対し、第307条(輸入食品発送の事前通知)を含む同法の4つの規定を履行するための規則を制定する権限を与えた。FDAと税関国境保護局(CBP)は、2003年10月に事前通知に関する暫定最終規則案を共同で発表し、バイオテロ法で定められているとおり、同規則が2003年12月12日に発効する一方で、関係者に対し、同最終規則案の規定についてコメントを提出する追加的な機会を与えた。FDAとCBPは、執行にかかる裁量の行使についての履行指針を2003年12月に発表した(この履行指針は、最近では2005年11月に改訂された)。FDAは、最終規則を制定していく中で、暫定最終規則案に対する意見募集期間に受け取った、日本国政府からのコメントを含むすべてのコメントと共に、履行指針が取り扱う分野について、これら規則が貿易に与える影響を可能な限り少なくしながら、バイオテロ法やその立法過程と整合し同法の目的を達成する規定を策定するという目的のもとに、慎重に検討している。

2.米国政府は、2003年12月にFDAが最初に発表した履行指針(最近では2005年11月に改訂された)において、非商用差出人から非商用目的のために米国に輸入され又は輸入のために提供される食品については、FDAやCBPは基本的に規制措置をとらないこととしており、それらの輸送手段が国際郵便であれ宅配便であれ、FDA及びCBPは、事前通知が行われていなくても基本的にそれら食品の輸入を差し止めないこととしていることに留意する。http://www.cfsan.fda.gov/~pn/cpgpn6.html参照。

3.FDAの目標は、事前通知に関する最終規則をできるだけ速やかに発表することである。最終規則案は現在、米国政府内部で検討中である。

4.在日米国大使館は、日本の食品加工業者、郵便その他の宅配サービス業者及び一般の日本国民が、バイオテロ法の履行について高い関心を有していることを認識し、評価している。在日米国大使館は、大使館のウェブサイトに、日本の食品加工業者及び発送人に影響を与えうるバイオテロ法関連のあらゆる重要な進展に関する英語と日本語両方のウェブサイトへのリンクを提供するとともに、バイオテロ法の履行のための手続き等につき、日本国民に対して、電話による相談など日本語による支援を行う。在日米国大使館は、バイオテロ法に関する広報活動をいかに効率的・効果的に改善していくかについて、日本国政府及び利害関係者と更に議論することを歓迎する。

C.商品プロセス費

 米国の商品プロセス費は提供された役務の概算の費用にその額を限定されている。米国政府は、商品プロセス費が提供された役務の概算の費用を超えるべきでないとの日本国政府の要望に留意する。

D.酒類に関する規制

1.蒸留酒容器の容量規制:米国政府は米国において販売される蒸留酒製品の容量規制に関する日本国政府の懸念について留意し、また日本国政府の当該規制の改正要請について留意する。米国政府は日本国政府に対し、連邦規則第27編70.701(c)に基づき、何人にも認められている容量に関する規制を改正するための嘆願書提出の手続きならびに規則に関する情報を提供した。日本国政府は、望む場合には、連邦規則第27編第70部に示された手続きを始めることで、プロセスを開始することができる。

2.米国への輸入酒類の表示承認証明<:米国政府は見本市や販売促進のための商用サンプル用酒類の輸入に関する日本国政府の懸念について留意する。連邦規則第27編27.49及び27.74に規定される現行の規制は、表示承認証明書(COLA)なしではごく限られた量のサンプルの輸入しか認めていない。米国政府は2007年3月29日に、見本市用又は商用サンプル用を目的とする場合において、COLAがなくても、一定の条件を満たせば、免許を有する輸入者によるサンプル用酒類の輸入が許される旨の、酒類タバコ税貿易管理局(TTB)通知「見本市あるいは販売促進又はその双方のためのサンプルの輸入」を発出した。TTBは量に関して上限を設定していないが、当局は申請について、ケースバイケースで審査し、その量が販売サンプル用として適切な量であることを満足していなければならない、ことに留意する必要がある。本通知は改正ではなく、長期間行われていた実務を明確化したものに過ぎない。

3.酒類の消費場における販売許可:米国政府はカリフォルニア州およびニューヨーク州における日本産しょうちゅうの小売に関する日本国政府の懸念について留意する。連邦酒類管理法によれば、酒類の小売は主に州法の管轄下におかれる。

 a.米国政府は日本国政府に対し、日本国政府にはカリフォルニア州政府およびニューヨーク州政府に対して、日本産しょうちゅうをビール及びワインの免許をもって消費用に販売することを許可する、又はビール及びワインの免許をもって小売場で販売できるよう、それぞれの州法の適用除外又は改正を嘆願する選択肢がある旨情報提供してきた。

 b.米国政府はカリフォルニア州政府に対して、「ソジュ」と表記されたアルコール分24度を越えない蒸留酒で米国に輸入されるものに関して、限定的な例外規定をカリフォルニア州法は設けている(カリフォルニア企業職業法23398.5節)とする日本国政府の勧告について、当該州当局の関心を促すよう接触してきた。これに対し、カリフォルニア州政府は、「しょうちゅう」について、商品に「ソジュ」と明記され、アルコール分が24度を超えないものであれば当該例外規定の対象たりうることをさらに通知してきた。

 c.酒類の小売は主に州法の管轄下におかれるものの、米国政府は、ソジュの販売に適用されているような形でのビール及びワインの消費場用免許によるしょうちゅうの販売許可に関し、日本国政府の懸念をカリフォルニア州政府およびニューヨーク州政府に対して伝える。

IV.領事事項

A.査証手続

1.ビザ更新手続の効率化:2006年1月に発表されたライス・チャートフ・イニシアティブにおいて言及されているとおり、米国政府は、合法的な旅行者がビザを取得し、更新することを容易にしつつ、安全を強化することのできる技術を可能な場合に利用して、ビザ手続を円滑にする方法を積極的に探求している。

 a.米国内でのビザ更新手続は2004年7月、生体情報を搭載したビザの発給とビザ申請者の面接が義務づけられたこと等の理由により、停止された。ビザ当局は、米国内でビザ申請者から生体情報を収集する手段を有しておらず、米国内での面接も行っていない。米国政府は、この決定がビザ保有者に与える影響について日本国政府から表明されている懸念を理解する。米国政府は引き続き、これらの懸念に対応する方策を検討する。

 b.米国国務省は、今夏に試験的に導入する予定のオンラインでのビザ申請手続等を通じて、投資・貿易(E)ビザの申請手続を迅速化し、より多くの公館において第三国の国民からの更新申請を受け付けることを可能とする方法を探求している。日米両国政府は、引き続きビザ関連事項に関する定期的な対話を行う。

2.ビザ取得可能な在日米国公館の拡大:米国政府は、日本国内におけるビザ取得可能な公館を拡大すべきであるという日本国政府の要請に応え、2006年4月から在札幌米国総領事館で月に1度、非移民ビザの申請手続を開始した。在札幌総領事館では2006年4月以来、需要に応えるべく、878件の非移民ビザ申請を処理してきているが、ひと月当たり2日間申請予約を受け付けているので、1日当たり25件の予約が入っていることとなる。また、米国政府は、2007年5月9日から在福岡米国領事館で限定的なビザ申請手続を開始した。

3.ビザ発給及び有効期限

 a.米国政府は、Lビザに関して、相互主義の観点から日本国政府が提起している懸念に留意する。Lビザは米国市民権移民局が承認した申し立ての効力を越えることはできない。市民権移民局の規則では、申し立ては3年間のみ有効であることが規定されている。

 b.米国政府は、Eビザの資格要件に関する日本国政府の要望を認識している。

 c.米国政府はビザ申請に関連した予約や手続に要する時間を短縮させる上で大きな進歩を成し遂げてきている。現在、ビザを必要とし、ビザの資格を認められた日本人の殆どが、ビザ申請手続の開始から1週間以内にビザを取得している。

B.運転免許証

1.Real ID法:

 a.国土安全保障省は、2005年5月11日にブッシュ大統領の署名により成立し、2008年に施行される予定のRealID法に基づき、各州政府が運転免許証やその他の州発行の身分証明書を発行する際に従うべき最低基準を設定する規制を定める過程にある。

 b.すべての州は、国土安全保障省との間で、運転免許証申請者の法的地位を確認するためのシステム(SAVE)を利用する外国人運転免許証申請者の法的地位を確認するための覚書を結んだ。RealID法は、一定期間米国に滞在することを認められた外国人に発行される運転免許証や州政府発行の身分証明書の有効期間は、滞在許可期間を超えてはならないと規定する。

 c.現時点では、各州が新法の規定をどのように執行するかは定かではない。同法は、国土安全保障長官に対し、運輸長官及び各州と協議の上、規則の制定、同法遵守の確認及び同法の下での各種許可を行う権限を付与している。国土安全保障省は、2007年3月8日に政府官報において規則案を公示した。規則案は2007年5月8日までパブリック・コメント手続に付されており、日本国政府は2007年5月8日、RealID法の規則案に対するコメントを米国政府に提出した。米国政府は、日本国政府の懸念を理解し、日本国政府等から提出されたコメントを規則策定過程において検討する。国土安全保障省は引き続き、規則が制定されていく中で、利害関係者からの情報を求めるとともに、各州は同法を執行していく中で、現在各州の運転免許証に関する規則が日本人や他の国の国民に影響を及ぼしている問題についても検討するべきであるという日本国政府の要請を認識する。

 d.米国政府は、運転免許証の有効期間に関する日本国政府の懸念に細心の注意を払っている。しかし、米国政府は、RealID法の用語の意味を、法の文言及び議会の意思と矛盾しないように解釈しなければならない。

2.各州の制度の改善

 a.米国政府は、国際運転許可証、ジョージア州における運転免許証の没収法、マサチューセッツ州の同乗者同行義務、テネシー州の自動車運転証明書などの各州の運転免許証に関する規則について、日本国政府が懸念を有していることを認識している。

 b.ジョージア州及びマサチューセッツ州の措置はすべての人に適用されるのであり、特別に外国人に向けられた規則ではない。米国政府は、没収された運転免許証の廃棄処分についての日本国政府の懸念に留意し、ジョージア州に接触し、懸伝えた。ジョージア州は、ジョージア州法40-5-1条で義務づけられている通り、運転免許証を没収・破棄していることを確認した。運転免許証に関する法規は州によって決められているため、州法について連邦政府は非常に限定的な影響しか及ぼすことができない。

 c.テネシー州においては「テネシーID」を取得することが可能であるが、これは自動車運転証明書とは異なる書類であり、国土安全保障省が発給する合法的滞在資格を証明する適当な書類を保有する同州居住者であれば何人も取得することができる。

C.出入国管理

1.米国税関国境警備局は、事前に審査を受けて承認された米国入国の航空旅客を対象にした、新たな税関国境警備局入国審査システムとしてUSPASSを開発した。USPASSは、停止されたINSPASSプログラムに代わる、すべての危険度の低い国際航空旅客の手続を処理するための米国の主要プログラムとなるであろう。

2.税関国境警備局は2007年にUSPASSを試験的に実施することを計画している。ジョン・F・ケネディ国際空港、ヒューストン・インターコンチネンタル空港及びワシントン・ダレス国際空港からの入国者が利用対象者となる見通しである。試験結果の評価を経て、USPASSは他の場所にも拡大され得る。

3.USPASSとは、登録者が機械読み取り式の渡航文書を提示し、生体認証のための指紋情報を提出し、自動キオスクで申告することにより、渡航が容易になるというシステムである。この手続を問題なく終了させることにより、渡航者は、選択的又はランダムな二次審査の対象とならない限り、直ぐに荷物受け取りの上、空港から出ることができるようになる。

4.USPASSの試験プログラムに参加するか否かは自由である。試験プログラムは、当初は米国市民及び永住権者のみ参加が可能となる見通しである。税関国境警備局はUS-VISITを取り込む形でUSPASSを開発した。将来的には、米国入国時にUS-VISITの手続を経ることが求められているUSPASS参加者については、同手続を、US-VISIT出国キオスクと共通化させたUSPASSキオスクにおいて行えるようにする。

5.プログラムの参加資格は、オンライン申請を通じて申請者から提供された人物情報に基づく税関国境警備局による身元調査と、それに続く面接と生体情報収集を問題なく完了させることによって認められる。

6.税関国境警備局はSENTRIの申請・登録プロセスを改善するために、SENTRIの充実化を実施している。プログラム参加資格の有効期間は2年間から5年間へ延長された。現在、申請者は保護されたウェブサイトを通じて電子的に申請を提出することができる。申請者の身元調査はすべて、個々の登録センターではなく、単一の中央調査センターによって行われている。税関国境警備局は申請・更新の未処理期間を18ヶ月間から1ヶ月間までに減少させた。税関国境警備局は引き続き、通関手続地点におけるSENTRI参加者用の使用可能レーン数を拡大させるべく努力する。

D.ICチップ非搭載の緊急旅券及び「帰国のための渡航書」の扱い

1.米国税関国境警備局は2005年9月、日本国政府に対し、非機械読み取り式の緊急旅券が発給されているビザ免除対象国の国民に対して同局が臨時の入国許可を与える条件を通知した。このようなビザ免除対象国の旅行者は以下の条件を充たさなければならない。1)本国の外で旅券を紛失し、もしくは盗難に遭い、又は期限切れを迎えていること、2)紛失し、又は盗難に遭った旅券に代わるものとして政府機関により発給された緊急旅券を提示すること、3)本国に帰国するために米国に留まることなく直行すること、4)本国へ帰国するための確定した航空券(又はEチケットの記録)を所持していること、5)通常の場合であれば米国への入国が許可されること、6)臨時の入国許可が認められた場合、許可手数料として65ドルを支払うこと、である。

2.ビザ免除対象国の発給する機械読み取り式の緊急旅券・公用旅券・外交旅券はビザ免除措置による渡航をするのに有効である。これには日本の臨時の渡航書も含まれる。加えて、ビザ免除対象国の発給する緊急旅券・公用旅券・外交旅券については、デジタル写真と電子チップ搭載の要件の対象とならない。非機械読み取り式の緊急旅券を提示するビザ免除対象国の国民は、許可手数料を支払うことで臨時の入国許可が与えられ得る。緊急旅券については、生体情報搭載の要件を充たす必要はない。

E.滞在許可証(I-94)

1.I-94更新手続の迅速化

 a.米国政府は、滞在許可証の時宜を得た更新の必要性についての日本国政府の懸念を理解する。

 b.日本国民は法令に基づき、すべての外国人と同じ便益を受ける。現在の滞在許可延長の手続に要する時間は約60日間である。15日間での手続完了を保証するプレミアム・オプションも設けられているが、本オプションを利用するには別途1000ドルの手数料が必要である。

2.I-94の有効期間の延長・自動更新

 a.米国政府は、I-94の有効期間を延長するべきとの日本国政府の要請に留意する。

 b.米国市民権移民局は、2006年度から未処理件数の削減を優先させており、未処理件数を削減する目標の達成に向けて大きく前進している。

 c.市民権移民局は、(1)国家の安全保障の確保、(2)未処理件数の削減、(3)顧客サービスの改善の3点を優先している。中でも、市民権移民局は2003年に設立されて以降、電子申請システム及びその便益を拡大し、全申請の50%がその恩恵を受けるようになると共に、申請者が自らの申請の現状についての情報をUSCISのウェブサイトを通じて確認できるようになった。市民権移民局は、これらの努力を継続する。

 d.米国政府は殆どのE-1ビザ保持者及びE-2ビザ保持者がしばしば米国外へ渡航し、これらの者が有効なビザを保持していれば、米国に再入国する際に、追加的に2年間の滞在許可期間延長が認められることにも留意する。

F.社会保障番号(SSN)

1.社会保障番号取得期間の短縮化:

 a.SSN発給の手続に要する時間を改善するため、2007年1月にすべての社会保障庁の現場部門では、電子的追加照合(EAV)プロセスと呼ばれる、移民資格証明文書を確認するためのより効率的なシステムの使用を開始した。EAVプロセスは、長間を要する書類を用いたG-845照合プロセスに替わって採用され、既に外国人へのSSN発給手続に要する時間を減少させている。G-845照合プロセスは現在では、国土安全保障省がEAVプロセスを通じて証明文書を確認できない場合にのみ、使用している。国土安全保障省は現在、EAVによる照合に対し15営業日以内に返答を送付しており、これは書類を用いた手続と比較して大きな進歩である。

 b.社会保障庁は国務省と協働して、入国時登録(Enumeration at Entry)手続の対象を特定の非移民ビザのカテゴリーに拡大することで、同手続を改善する措置を講じてきている。社会保障庁は今後あり得べき更なる対象拡大も視野にいれて、この過程の検証を行う。

2.駐在員家族への社会保障番号の発給:米国政府は、駐在員家族へのSSNの発給に関する日本国政府の懸念を十分に理解する。米国政府は国土安全保障省の就労許可を得、あるいはSSN発給のための有効な非就労の理由があれば、社会保障番号の有資格者であると認める。社会保障庁のウェブサイト(http://www.ssa.gov/pubs/01012.html)において、外国人向けのSSNに関する質問集へのリンクとともに、SSN及び社会保障カード取得のための規則の情報を提供している。

G.納税者番号(ITIN)

 米国内国歳入局は納税者番号(ITIN)に関する日本国政府の懸念に留意し、納税者番号の発行における過度の遅滞が不便さをもたらしうることを正しく認識する。米国政府は、納税者番号を取得しようとしている個人に対し、個人所得税の確定申告書を添付するという要件を充たすことなく納税者番号の発行が認められる例外規定の適用を受けることを十分検討するよう奨励している。4つの例外規定のうちのいずれか1つの基準に該当すれば、1年中いつでも納税者番号の発行を受けることができる。詳細な説明は「IRS Publication 1915 – Guide to Understanding ITIN」に記載されている。本出版物は、FormW-7とともに、内国歳入局のウェブサイト(www.irs.gov)において、「ITIN」で検索することによって見つけることができる。

V.特許制度

 日米両国政府は、効果的かつ実体的な特許法の調和に向け相互に支援することを再確認する。米国政府は、日本国政府との議論を喜んで継続し、この分野における日本側の要望を考慮していく。米国政府は、特許問題に関して米国議会との協力を適切に継続していく。

A.先発明主義

 米国は、米国の先発明主義が独特の制度であることを認識している。先願主義はほとんどの国で採用されているが、米国内では依然として議論がある問題である。先願主義を採用する法案(H.R.1908及びS.1145)が、現在米国議会で審議されている。米国は、日本及び他のWIPOの先進国Bグループの国々との間で、先願主義の観点から起草された条約草案に関する協議を含む特許法の調和について、引き続き協議に従事し、参加していく。

B.早期公開制度

 米国は、早期公開制度への例外事項の適用について評価を行っている。この問題はまた、前述の法案(H.R.1908及びS.1145)においても扱われている。

C.再審査制度

 前述の法案(H.R.1908及びS.1145)にも盛り込まれている付与後の異議手続の実施に関する新しい規定を含め、米国の再審査制度の変更については、引き続き、幅広く議論する。

D.発明の単一性

 米国政府は、発明の単一性の決定基準が特許協力条約(PCT)の基準よりも厳しいということを認識しており、現在、発明の単一性基準に関するより緩和された要件の採用を検討している。

E.ヒルマー・ドクトリン及び特許法第102(e)条

 米国政府は、日本国政府がヒルマー・ドクトリンおよび特許法第102(e)条に関する懸念を有していることを認識する。米国政府は、これらの問題が米国、日本および他のWIPOの先進国Bグループの国々との間で実施されている実体的な特許法の調和に向けた協議において議論されている点に留意する。米国はこうした議論に、引き続き、参加していく。なお、これらの問題は、上述の法案(H.R.1908及びS.1145)においても扱われている。

F.先行技術の情報開示義務

 米国政府は、先行技術の情報開示義務に関する日本国政府の懸念、とりわけ2006年7月に発表されたIDS要件の規則変更提案に関する懸念を認識する。翻訳に関する日本国政府の懸念について、米国政府は、英訳は容易に用意できる場合に限り提出を求められるという点を指摘する。情報開示義務の期間を短縮するとの日本国政府の要望に関して、現時点での米国政府の見解では、特許出願中及び特許権付与前の期間、出願人は、常に特許性につながる資料とされている情報について時宜を得た形で開示しなければならない。米国政府は日本国政府の見解に留意し、特許出願人に対して不当な負担を課さないことを確保するとの観点から、諸措置が適切かどうかについて評価を行う。

G.植物特許

 米国政府は、特許法と植物の新品種の保護に関する国際条約(UPOV条約)第6条で要求される新規性要件の相違に関して、日本国政府が表明した懸念について留意する。米国政府は、UPOV条約に即した新規性テストで日本国政府が重要とする側面、及び日本国政府より示された懸念への対処方法について、日本国政府と協議していきたいと考えている。

VI.政府調達

A.米国政府は、WTO政府調達協定(GPA)の対象となる調達に対しては、連邦バイ・アメリカン法(BAA)の適用を控えている。米国政府は、GPAの対象とならない調達にのみバイ・アメリカンの優先性を適用している。米国政府は、バイ・アメリカンの制約に関する日本国政府の懸念に留意する。

B.米国国防省(DoD)は、議会によって新たな国内の制約が課されることに反対する。GPAの米国附属書Iの付表1では、対象品目のリストとともに、国防省に関する除外事項が明記されている。さらに対象品目は、国防省調達規則(DFARS)225.4-70(http://www.acq.osd.mil/dpap/dfars/html/current/225_4.htm)にリストとして記載されている。BAAに関しては、同省が相互的な防衛調達に関する覚書(RDPMOU)を結んでいる国の防衛製品は、両当事国が相互の産業界に対して同じ程度まで防衛調達の障壁を除去することに合意しているため、国産品とみなされる。連邦バイ・アメリカン法、ベリー修正条項、及び特殊金属の制限を担当する国防省の当局者は、質問に対する一義的な窓口となっている。

C.2005年「安全で責任のある柔軟かつ効率的な交通標準化法:利用者のためのレガシー(SAFETEA-LU)」は、2005~2009年の高速道路及び交通機関に関する連邦の陸上運輸計画を承認し、高速道路及び交通機関への補助金に関する一定の制限の適用を継続させた。そのようなプロジェクトがGPAの適用基準額を上回る場合は、GPA締約国の供給業者は、入札に参加することができる。しかしGPAの米国附属書Iの付表2における注釈5には、「本協定は、大量輸送及び高速道路プロジェクトのための連邦資金に関連した制限には適用されない」と記載されている。したがって米国政府は、それらのプロジェクトのための連邦資金に関連したバイ・アメリカンの制限については、その適用を控えることはせず、よって、その制限は引き続き適用される。米国政府は、連邦輸送局がSAFETEA-LUに基づくバイ・アメリカン要求の規則制定案を最終規則とするにあたり、日本国政府から提出されたものを含めて、提案に関するパブリック・コメント募集期間に受領したすべての意見を検討しているとの説明を行った。

VII.基準・規格

A.コンテナ重量制限

1.米国政府は、連邦法によって定められる州間高速道路の重量制限が輸送コストに影響を及ぼしうるという日本国政府の懸念に留意する。

2.先に運輸省連邦高速道路局(FHWA)と日本国政府代表者の間で話し合われたように、米国の各州は、国際商取引(他国発または他国向け)として運ばれるコンテナに積載された貨物を「分割不能な積荷」とみなすことを選択することができる。すべてではないが様々な州が、この選択肢を採用している。したがって、州の政策によって、国際商取引として運ばれるコンテナに分割不能な積荷としての許可を交付することが可能であれば、州は州間高速道路の輸送を許す重量超過許可を交付することができる。各州は、高速道路交通インフラの運用と維持に責任を持ち、どの経路が重量超過物の輸送に耐えられるかという最も詳しい知識を保持しているため、各州は現時点で重量超過物の輸送を許可する権限を保有しており、また州に留保された憲法上の権限にしたがい、今後もそれを保有し続けるべきである。FHWAは、港湾と最終目的地との間の商業的輸送を円滑にするための広域許可の制定について、州と協働してきており、今後もそれを継続する。

3.FHWAは、ISO規格が本来自主的なものであり、いかなる政府もその使用を強制されないということに留意する。米国政府は、厳格なプロセスを経て公布されてきたトラックの寸法と重量の法案や規則及び規制を施行するために、州と協働するという法的責任を負っている。米国政府は、コンテナ重量制限の国際的な調和の重要性を認識している。

4.日米両国政府は、この問題に関する意見及び情報の交換を継続する。FHWAの商業者のサイズ・重量チームは、連邦の重量制限について日本国政府との協働を進んで継続し、その他の懸念についても進んで協議を行う。米国政府は、米国内での移動の主要経路を示した地図をインターネット上で提供している。(http://hepgis.fhwa.dot.gov/hepgis_v2/Highway/Map.aspx)米国政府は、出発地点から最終目的地までのコンテナ輸送のためのハイウェイ経路の選択を容易にする地図ツールを政府のホームページで提供するという、日本国政府の提案に留意する。

B.メートル法の推進

1.米国国立標準・技術研究所(NIST)は、引き続き、米国経済全体でのメートル法(SI)の使用を推進し、自主的なメートル法の使用に対する障壁を除去すべく作業し、教育的情報、指針、及び政府出版物を通じて国民のメートル法理解を増進する。

2.ラベル表示に関しては、現在、米国の州の90%以上は、自動車用付属品、衣料品、家庭用家具など、自らの排他的管轄に属する包装にメートル法のみの単位を使用することを許可している。NISTは、残る3州においても自主的なメートル法のみの表示を許可するように法規の改正を促進するため、それらの州との協力を行っている。連邦政府ベルでの措置に関しては、NISTは、引き続き、メートル法のみのラベル表示を許可する公正包装表示法(FPLA)の改訂に向けて産業界及び国民の支持を高めるために努力する。NISTの作業部会は、2005年後半に本件に対する問題意識を喚起することを目指した「許容されうるメートル法のみのラベル表示」と題する報告書を改訂した。

3.新技術に関しては、NISTは最近、米国航空宇宙局(NASA)のメートル法使用方針の研究に協力を行った。2007年前半にNASAは、国際的パートナーとともに月への再訪問実行する際、月面行き及び月面上のすべての活動にメートル法を使用すると発表した。この決定は、NASの技術者及び専門スタッフ、契約業者、ならびに米国航空宇宙産業でのメートル法の使用を増大させるという結果をもたらす。またNISTは、内部および産業界のナノテクノロジー専門家とも協議を行い、この新興分野ではメートル法のみの使用を支持するというコンセンサスを得た。NISTは、データの解釈を容易にするため、学出版物で非SI単位が用いられる場合には、同等なSI単位を記載することを引き続き勧告していく。

4.NISTは、貿易と通商を促進する上でメートル法のより一層の使用を望む日本国政府の優先分野事例の提供を歓迎し、今後も奨励する。

C.工業製品に対する環境規制の統一化

1.米国環境保護庁(EPA)は、工業製品に対する環境規制の統一化に関する日本国政府の懸念に留意する。

2.議会は、資源保全回復法(RCRA)を通じて、固形及び有害廃棄物の管理に関する連邦レベルの規制を確立することをEPAに義務付けた。これを受けてEPAは、州に対し、RCRAの下で求められる最低限の連邦基準を満たす計画であることを条件として、固形及び有害廃棄物計画を実施することを認可することができる。州は、固形及び有害廃棄物の管理に関して、各州の必要にもとづいて、EPAによって定められる規制より厳格な規制を定めることができるが、緩やかな規制を定めることはできない。

3.廃棄物管理に関連してRCRAの下で求められる最低限の連邦基準、及び州レベルで追加される規制に関する規制対象業界の理解を助けるため、EPAは、オンラインおよび印刷物での文書、規制全文へのアクセス、研修コースなどを含めて、様々な情報資料を提供している。例えば廃棄物に関するEPAのウェブサイト(http://www.epa.gov/epaoswer/osw/stateweb.htm)は、固形及び有害廃棄物の管理の規制並びにガイドラインに関する各州の情報へのアクセスを提供している。同様に、EPAの米国環境コンプライアンス支援クリアリングハウス(http://cfpub2.epa.gov/clearinghouse/index.cfm)は、廃棄物管理と他の問題の両者に関する州レベルの環境規制へのアクセスを提供し、民間部門による環境規制の理解と遵守を助ける他のツールも提供している。

4.EPAは、州および地方のパートナーに、基準設定、執行、遵守に関する情報を含めて、環境マネジメントのベストプラクティスに関する情報を引き続き提供していく。またEPAは、州レベルの環境規制の比較を容易にする一元的なポータルサイトを作るという日本国政府の要請にもとづき、EPAのウェブサイトを通じて州レベルの規制へのアクセスを向上させることの可能性を引き続き検討していく。

D.飼料規制及びサーベイランス

 米国政府は、日本国政府と協力して、これらの問題について、科学に基づいた解決に向けて努力する。

VIII.域外適用

A.再輸出規制

1.米国の再輸出規制は、すべての国々に適用され、これらの規制の策定と実施を定める米国の法律は、いかなる特定の国に対しても免除を認めていない。しかし産業安全保障局(BIS)は、米国の再輸出規制に関する日本国政府の要望に対応して、以下のことを行った。

 a.2003年、日本語に翻訳した再輸出ガイダンスを同局のウェブサイトに掲載した。

 b.特に再輸出規制に焦点を当てた2日間の教育的なアウトリーチセミナーを2007年2月東京で開催した。

 c.BISの日本語ウェブサイトに掲載された情報が使いにくい部分があるという懸念について日本国政府から具体的な事例が示された場合には、可能な限り改善を促進するという意志を表明した。

2.米国の企業には顧客へ輸出管理品目番号(ECCN)を提供する米国の法的義務はないが、BISは、以下を含め、米国の輸出者がこの情報を提供する別の方法を検討している。

 a.ECCNを提供することが優れた顧客サービスであるということを、技術諮問委員会(TAC)のうちの1つを通じて産業界に提案しており、今後6つのTACすべてに対してこの提案を行っていくことを検討する。

 b.電子的な品目番号請求フォームに、同局のウェブサイトでECCNを公開することの可否を申請者に尋ねるための記入欄を追加するという可能性について検討を開始した。

B.制裁法

1.イラン制裁法:米国政府は、米国の貿易相手国の懸念を真剣に受け止める。日本国政府から提起された問題点への回答として、米国は、イラン制裁法(かつてのイラン・リビア制裁法)はイラン石油部門に対する投資に反対する米国の政策を反映したものであり、法の規定は同法の対象とされている活動を行った者に対して適用されるのであり、国籍による区別は無いことを述べた。同法が米国の国際法上の義務と整合的な形で適用されるべきとの問題意識を米国議会が有していることは、同法の立法経緯が示している米国政府は、日本国政府との対話を歓迎する。

2.1996年キューバの自由と民主主義連帯法(ヘルムズ・バートン法)

 a.米国政府は、1996年キューバの自由と民主主義連帯法に関する日本国政府の懸念を理解する。同法の制定以降、大統領は本法第3章(没収財産に関する取引を行った者に対し、民事訴訟を提起することを認める)の適用延長が米国の国益にとって必要であり、キューバの民主主義への移行を促進するとの認識に基づき、6か月ごとに第3章の実施停止期間を延長してきている。適用延長の期間は同法306条の規定で決められており、6か月を超える延長を一度に行うことはできない。

 b.直近では、2007年1月17日に、大統領が同法に則り、同法第3章の実施停止期間を2007年2月1日から更に6か月延長する旨の書簡を議会に発出した。

3.地方レベルの制裁法:米国政府は、州及び地方政府による制裁措置を真剣に受け止め、これらを注視している。ここ何年もの間、米国政府は、州及び地方レベルでの制裁の取組みが連邦政府の外交政策を支持するものとなることを確保すべく、州及び地方行政府に働きかける多大な努力を行ってきている。米国政府は、その国際的な義務及び政策上の懸念を十分考慮し、今後も必要な場合にこうした努力を継続する。

IX.競争政策-反トラスト法適用除外

A.2007年4月2日、反トラスト法近代化委員会(AMC)は、連邦反トラスト法が近代化63第6回報告書米国政府による措置されるべきかどうかについての3年間の包括的検討の結果に基づいて、その報告書及び勧告を議会及び大統領に対して提出した。反トラスト規制の適用除外及び免除に関するAMCの結論は、以下の勧告を含む。

 1.反トラスト規制に係る法定の適用免除は望ましいものではない。これらはめったに認められるべきではなく、問題の行為によりその行為者が反トラスト法上の責任を課され、かつ、当該行為が、消費者及び米国経済全体における自由市場の利益を上回る特別な社会的目標を満たすために必要となることが明らかである場合に限り、また、そうであり続ける限りにおいて認められるべきである。

 2.裁判所は、すべての反トラスト法適用免除及び適用除外について、狭く解釈するべきである。

 3.議会は、届出料金法理(ケオー法理(Keogh doctrine))が規制産業分野において引き続き適用されるべきか否かを評価すべきであり、また、規制当局がもはや届出料金について審査を行わない場合には、法律によって当該法理が適用されないようにするべきか否かについて検討すべきである。ケオー法理は、規制当局に届け出られ、承認を受けた料金が、反トラスト法違反の結果であるという主張に基づいて、原告が反トラスト三倍額賠償訴訟を提起することを禁止している。行政府及び議会は、AMCの報告書を検討しており、反トラスト法適用除外及び免除に関する勧告を含め、AMCのすべての勧告について注意深く検討を行う予定である。

B.米国連邦反トラスト当局は、米国消費者の利益のために競争を促進する観点から、連邦反トラスト法の適用除外及び免除に係る適切な範囲について自らの見解を述べる機会を引き続き模索する。これに関連して、2006年11月、連邦取引委員会(FTC)は、政府による行為を促す一定の私的行為に対して反トラスト法の執行を除外するとしたノエール・ペニントン法理(Noerr-Pennington doctrine)の妥当な限界について、法執行の観点から、スタッフ・レポートを公表した。当該レポートは、(1)政治的な場以外において単に行政手続上の行為を求める申立て、(2)政治的な場以外において政府の意思決定者に対して虚偽陳述を行うこと、(3)政治的な場以外において、正当な根拠なく政府の行為を繰り返し要請する行為であって、競争者を害するため、統治機構上の手続の結果というよりも、むしろ当該手続を利用するような形態のものが、同原則の適用範囲に含まれないようノエール・ペニントン法理の範囲を明確にすべきであると勧告している。また、当該報告書は、連邦取引委員会が、その法執行活動や裁判所に対する意見書の提出を通じ、ノエール・ペニントン法理の適用を明確にし、限定すべきであると勧告している。

C.2007年3月30日、米国運輸省は、(i)米国・EU(アイスランド、ノルウェー、スイス及びリヒテンシュタインを含む)間、(ii)EU加盟国と米国との間の航空サービスに係る合意の適用を受けるEU加盟国の海外領土と米国との間及び(iii)米国・オーストラリア間の旅客及び貨物運送サービスについて、米国及び外国の航空事業者間でのIATA運賃会議を通じた旅客及び貨物運賃、サービス条件並びに旅客及び貨物運賃の適用条件に係る協議及び合意に対する反トラスト法適用免除の付与を継続しないとの決定を発出した(http://dmses.dot.gov/docimages/pdf100/463755_web.pdf.参照)。

D.米国郵政公社による特定の行為を反トラスト法の適用対象とするとの条項を含む郵政改正法が2006年に制定された。

X.司法制度

A.米国政府は、不適切な製造物責任訴訟や不合理な損害賠償によって企業が過度の負担を強いられることがないようにすることを、引き続き確約する。

B.2007年2月、米国最高裁判所は、オレゴン州第一審裁判所がタバコ製造企業に対し、詐欺的行為によって原告を死亡に至らしめたとして、7950万ドルの懲罰的損害賠償金を支払うよう命じた判決の合憲性が争われたフィリップモリスUSA対ウィリアムズ事件(127S.Ct.1057(2007))の中で、その意見を明らかにした。米国最高裁判所は、訴訟の当事者以外の者に生じた被害について被告を罰する目的で懲罰的損害賠償を用いることは、憲法の「法の適正手続」条項によって禁じられていると判断した。この決定は、懲罰的損害賠償が認められ得る根拠を限定するという効果を持つ。

XI.サービス

A.海運業

1.1920年商船法及び日本の港湾状況に関する報告要求:日米両国政府は、1920年商船法に関し意見交換を行った。米国政府は、日本の港湾状況に対する関心を繰り返し表明しているところ、日本の港湾状況及びその前向きな進展についての情報を得るために、日本国政府と引き続き協議及び情報交換を行う。そして、日本の港湾状況につき連邦海事委員会(FMC)に対し、随時報告する。

2.1998年外航海運改革法:米国政府がこれまで1998年に商船法に付け加えた文言は、新たな権限を与えたものではない旨述べてきたことにつき、米国政府は説明した。むしろ、こうした文言は、米国貿易における輸送業者の差別的で不公正な競争慣行に対応するために、単にFMCの既存の権限を明確にしたものである。したがって、米国政府は、米国の法律に明記されているこの政策を変更する予定はない。

3.新運航補助制度:日米両国政府が意見交換をおこなったところ、米国政府は、日本国政府に補助対象船舶リスト及びこの重要な国家安全保障対策のいかなる変更について引き続き、情報提供することを確保する。運航補助制度に関する情報は米国運輸省海事局(MARAD)のウェブサイトで公開されている。http://www.marad.dot.gov/programs/index.html

4.各種貨物留保措置:日米両国政府は、アラスカ北岸産出原油の輸送を米国籍船にのみ認めることとした法律を含む各種貨物留保措置について意見交換を行った。米国政府は、貨物留保等の措置が国際海運市場における自由かつ公正な競争の条件を歪めるおそれがあるとの日本国政府の意見に留意した。これらの問題について、米国政府は次の通り説明した。米軍貨物の輸送を含めて貨物留保法が適用される米国政府所有貨物は、外洋航海を伴う米国の対外貿易全体の1%未満である。また、2000年4月以降、アラスカ原油の産出の輸出はない。それ以降は、アラスカ原油のすべては精製及び米国内消費のため米国西海岸市場へ輸送されている。

B.法律サービス

1.2006年8月、米国法律家協会(ABA)は、外国リーガルコンサルタントの資格承認及びその実務のためのモデル規則を改正した。現在のモデル規則は,申請人が、外国において少なくとも5年間、適法に法律実務に携わり、公認された法曹会の正会員であったことを要求している。職務経験が当該申請の7年以内に得られたものであることは,もはや要件とされていない。

さらにこのモデル規則は、申請人の最低年齢要件の規定や、州の資格承認機関に外国弁護士の原資格国がその州の弁護士に対して対等の待遇を与えているかどうかを判断基準とすることを許容する規定を廃止した。

2.米国法律家協会は、モデル規則に基づいた外国リーガルコンサルタント制度を採用することを全ての州に奨励することを目標に、引き続き、各州の法律家協会及び各州の最高裁判所との積極的な対話を行っていく。

3.2006年8月2日、米国の各州及び地域の最高裁判所長官がメンバーとなって組織される最高裁判所判事会議において、未だ外国リーガルコンサルタントの資格承認及びその実務を容認していない各州の最高裁判所に対して、これを容認する規則の採用を検討するように求める決議を採択した。

C.州別建設業許可の調和・統一化

 米国の連邦制度に基づき、連邦政府は各州の境界内で行われる建設業許可の発行に対する権限を有していない。米国政府は、米国州建設業者許可団体協会(NASCLA)における全国建設業者許可試験プログラムを創設する取組の進捗について留意した。同プログラムは、試験実施者に対し、実施する試験がNASCLAによって認証される前に、営業状況・財務状況、試験の開発及び試験事務手続に関する監査に合格することを求めている。最初の試験は一般建設業者に対するものであり、2007年末までには利用可能になることが期待されている。NASCLAは、申請手続、州政府の責務、試験実施者の責務及びNASCLAの職員を含む、試験のためのインフラを整備してきている。また、NASCLAは、試験情報を州政府間での試験情報の利用の円滑化及び許可手続の迅速化に資するデータベースを開発している。米国政府は日本国政府に対し、引き続き本件に関する情報を適切に提供していく。

D.保険業

1.全米保険監督官協会(NAIC)は、免許と監督のプロセスを調和させることの利点を認識する。州の実務を調和させ、監督基準と保険商品のプロセスを合理化するためのNAICの努力は、「2003年規制の近代化のための行動計画」の下で引き続き進展している。以下の点は、その計画においてこれまで達成された重点事項である。

 a.標準化された届出義務と米国全州内での免許の統一基準の採択に加え、NAICは金融監督基準及び認定プログラム(米国の全管轄区域における基準)の実施を継続し、年金、再保険、長期介護保険、健康保険に関するものを含めモデル法と全国的なガイダンスを洗練化する。

 b.2007年3月現在、30の州議会が州際保険商品監督取決めを採択し、その発効に必要とされる採択州の数を超えた。州際委員会は、生命保険、年金、障害保険、長期介護保険の分野における州政府の監督上の判断のスピードと効率性を高めるため、統一国内商品基準と中央提出登録手続を整備する。NAICは、この取決めのより多くの採択を促すため、引き続き州政府と共に取組む。取決めを採択する立法措置は、このほか10州の議会に提出されている。保険商品ファイリングについては2007年6月に開始予定。

 c.コロンビア特別区、プエルトリコを含む、合計51の保険当局が、保険料率と様式の電子届出制度を活用している。この制度は、保険業者の申請のために、スピードと効率性を高めるための電子制度である。承認までは平均23日間かかる。2006年末現在、この制度の下269,101件の電子届出があった。

2.NAICの再保険タスクフォースで公式に議決された2006年12月の提案の後、NAICは、米国における再保険規制について幅広い見直しを行ってきた。その中で、タスクフォースは、担保要件を決める手段として広範なリスクやクレジット基準に基づいた企業格付けプロセスを用いる提案を進めている。

 a.その提案によると、担保要件を決定する一つの要素として、国際的な金融格付会社から付与された格付が利用されるようになる。それによって、非米国会社に対しては100%以下の担保を積むことを要求する仕組みになる。

 b.その提案は、米国の再保険規則に関するより広範な改革の一部として実行され、2007年9月までに完了する予定とされている。提案の草案については、次のタスクフォースやその他の関連会合で検討されることとなっており、それらは海外の利害関係者にも門戸が開かれている。意見については、日本の保険業界の代表も含む利害関係者のグループから定期的に聴取される。

3.米国政府は、日本国政府が米国における保険監督制度の近代化に向けた取組を歓迎していることに留意する。また米国政府は、日本国政府が連邦監督制度に関するイニシアティブに強い関心を有していることを承知している。連邦保険規制の導入については、米国の上下両院においても議論がなされてきている。

4.米国政府は、州別規制に起因する問題に関して、日本国政府とNAICとの間での適切な連絡を、引き続き促進する。NAICも、日本国政府から提起された問題に関する直接の照会先を提供したところであり、そのような問題はNAIC内部で適切な関係者に伝達される。

XII.金融サービス

A.サムライ債のペーパーレス化に伴う課税問題

1.歴史的に米国税法は、債券の保有者がいずれ券面(債券の保有者の所有権を象徴する証書)を取得することが可能ならば、債券が無記名式と見なされることを許容してきた。無記名式に分類することの効果は、債券の保有者が米国源泉徴収税の免除を得るために、その外国人としての身分に係るドキュメントを提出する必要がないということである。

2.しかしながら、新しい日本の振替システムの下では、振替システムが存在する限り、債券の保有者は券面を得ることができない。米国財務省は最近のガイダンスにおいて、この非常に隔たりのある状況は、現行規則の下で債券が無記名式とみなされることを許すには不十分であると明言している。したがって、振替システムによるサムライ債の発行を行う場合には、記名式債券と見なされるとともに、保有者は、米国源泉徴収税免除の権利が与えられる前に、その外国人としての身分に係るドキュメントを提出することが要求される。これに対し、日本国政府は、サムライ債市場が米国の発行企業及び日本の投資家の双方にとってメリットがあるにも拘らず、米国政府の見解は、その健全な発展に重大な影響を及ぼしかねないとして、米国外向け記名債券に関するルール(FTR制度)のサムライ債への適用を求めている。

3.しかしながら、米国財務省は、FTR制度に必要なドキュメントと税務報告が、適格仲介者制度の発展の背景にある税制政策に矛盾すると判断した。米国財務省は、2006年10月のガイダンスにおいて、2007年1月1日以後2年間に発行され、かつ償還期間10年以下の債券に対するFTR制度の継続的な使用を認める規則を発出すると明言した。日本国政府は、サムライ債市場の健全な発展と調和するように、FTR制度の適用に対する制約が緩和されることを求めている。このような背景に鑑みれば、サムライ債市場の継続的発展と効率のために日本国政府から表明された懸念を米国政府が評価・共有している間は、米国政府は、適格仲介者制度を制定している規則に定められているドキュメントと税務報告を考慮して、日本からの要望と同様、最新のガイダンスによる影響の評価を続けていかなければならない。

B.外国投資信託商品の販売に係る規制

1.1940年投資会社法の下に公布された規則7d-1は、文言上はカナダの投資会社のみに適用されるものであるが、SECは歴史的に、カナダ以外の外国投資会社に対しても第7条d項の規則に従うよう求めてきている。SEC職員は、日本で組織されたものも含め、外国投資会社からの第7条d項の規則への申請について検討する用意がある。

2.さらに、アセットマネジメントサービスに関して米国市場にアクセスする手段は他にも存在する。実際、外国投資顧問は容易にSECに登録することができ、SEC職員の解釈やミューチュアル・ファンド産業における技術革新によって、外国投資顧問が、米国の投資家へサービスを提供したり、米国でファンドを組成することが、容易になっている。

C.邦銀NY支店の自己勘定による株式先物・商品先物等取引の許認可

1.一般的に米国の銀行は、連邦銀行法により、持株証券(ETFを含む)や先物その他のデリバティブについて、自己勘定に基づき取引または別のやり方で投資を行うことを禁じられている。連邦法もニューヨーク州法も、実物商品や先物、その他デリバティブについて同様に禁じている。これらの禁止事項の例外として、米国の銀行は、顧客主導の取引から生まれたエクスポージャーのヘッジ目的の投資に関しては、自己勘定による株式やデリバティブへの投資が可能とされている。ポートフォリオ投資の場合も可能である。

2.これらの同じ制限や例外は、国内の取扱い方針と整合的に外国銀行の米国支店及び代理店に等しく適用される。ニューヨーク州銀行局は、外国銀行のNY州認可の店舗に対して、国内銀行よりも大きな権限を付与する法定権限を持っていない。仮に、そのような権限を持っていたとしても、米国政府が、州によって認可された金融機関に適用された州銀行局のプルーデンシャル規制について介入することは適切でない。

3.銀行持株会社、特に金融持株会社のステイタスを選択しているところに関しては、先物やその他デリバティブのみならず、株式や商品についても、自己勘定に基づいて投資を行うことができる、幾分大きな権限を有している。更に、内国民待遇と整合的であるが、米国内では、外国銀行はノンバンク子会社を通じて、これらの権限を行使できる。

4.さらに、ニューヨーク州の禁止事項に関しては、他のマネージトファンドと対照的に、必ずしも外国銀行に許可されている業務の間で差異を設けているわけではない。例えば、多くの州では、当該州の雇用者年金プランに対しては、先物やオプションの取引を行うことを禁止している。

XIII.電気通信

A.米国無線市場への参入

1.米国政府は日本国政府に対し、引き続き、米国におけるコモンキャリア及び非コモンキャリアの分類及びタリフ及びノンタリフサービスの区別についての情報を提供する。

2.FCCは過去1年間に2つの外国企業子会社の事業者に米国の無線通信市場における免許を与えた;日本のNTTドコモの傘下にある事業者がグアムでサービスを提供するため、及び、メキシコのAmerica Movil社がプエルトリコでサービスを提供するためである。また、2007年4月には、KDDIアメリカが米国無線通信市場においてKDDIモバイルとのブランド名で49州においてMVNOサービスを提供するための免許を取得した。

3.FCCの最初の先進無線サービス(AWS)向け周波数免許(1.7及び2.1GHz帯)の最初のオークションが2006年9月18日に終了した。合計1,122の免許がオークションに付され、104の応札者が1,087の免許を落札した。純落札額の合計に基づく落札者の上位5者は、T-Mobile、Verizon Wirelessとして事業を行っているCellco、SpectrumCo、Metro PCSAWS、Cingular AWSである。

4.2005年、米国の携帯電話加入者数は1億8,470万から2億1,300万加入に増加し、全国の普及率は約71%に増加した。さらに、携帯電話加入者の通話及びテキスト作成に費やす時間も増加し、テキストメッセージのトラフィックは2005年の下半期には4,870万通に達し、2004年同期の2,470万通の約2倍となっている。一般に携帯電話サービスの利用者料金を反映する1分あたりの収入は、2004年の0.09ドルから2005年の0.07ドルへ、2005年において22%減少した。

B.ブロードバンド時代の規制改革

1.2006年11月、FCCは、高速電力線搬送通信(BPL)によるインターネット接続サービスについて、情報サービスと決定した。また、2007年3月、FCCはワイヤレスブロードバンドによるインターネット接続サービスについても、情報サービスとして決定した。

 これらの措置は、BPLによって可能となるインターネット接続サービス及びワイヤレスブロードバンドによるインターネット接続サービスをDSLやケーブルモデムサービスによるインターネット接続など他のブロードバンドサービスと規制面で同様の条件下で取り扱うよう位置づけるものである。

2.2007年3月12日、FCCは、ブロードバンドサービス市場における市場参加者の行動について理解を深めるため、意見招請(NOI)を開始した。FCCは、2005年のインターネットに関する政策声明において、ブロードバンドの普及を促し、公共インターネットの開放性及び相互接続性を維持・促進するための4原則を発表している。この意見招請では、ブロードバンド提供事業者は現在ネットワーク上でどのようにインターネット・トラフィックを管理しているか、ブロードバンド提供事業者はサービスの速度や容量に応じて異なる料金を課金しているか、FCCの政策はコンテンツへのアクセスについてエンドユーザーに課金しているコンテンツプロバイダと課金していないコンテンツプロバイダを区別すべきか、及びこれらの慣行が消費者にどのような影響を及ぼしているか、を含めたブロードバンド市場における事業者の行動についての情報提供を求めている。

C.デジタルテレビ方式への移行過程における端末機器市場の競争

 米国政府は、FCCが端末機器(セットトップボックス)の市場における選択を確保する観点から、通信法629条をどのように施行していくかということに関して日本国政府と対話を継続する。現行のルールにおいて、米国のケーブル事業者はセキュリティ要素をセットトップボックスから分離して入手可能としなければならない。この要請は、ケーブル事業者にシステムセキュリティに対するコントロールを保持することを許容しつつ、系列以外の製造事業者、小売事業者及びその他のベンダーが商業的にセットトップボックスやその他デバイスを売買することを可能とすることを意図したものである。2007年7月1日より(個別の適用除外を得ていない限り)、ケーブル事業者は分離可能なセキュリティを自身のセットトップボックスにおいて使用することが義務づけられ、これによって市場に基づくこれら機器の選択が促進される。

D.アクセス・チャージ

 2006年7月、FCCは、NARUCの事業者間清算料金タスクフォースより提出された統一的事業者間清算料金(Missoula Plan)についてのコメントを求めるパブリックノーティスを発出した。このパブリックノーティスに対して多くのコメントが寄せられ、締切は2007年2月1日まで延長された。これに加え、FCCはMissoula Planへの変更提案へのコメントを募集し、最近受領しているが、これには通話詳細記録の作成、交換プロセスや、既に料金体系がリバランスされている州に対する制度的サポートメカニズムなどが含まれている。

E.ユニバーサルサービス

1.ユニバーサルサービス基金への拠出の算定手法の更新:

 a.2006年6月、FCCは、州際収入を推定する既存の移動通信の「みなし割合」を、無線サービスの拡大する需要をより反映して、エンドユーザー向け電気通信収入合計の28.5%から37.1%に引き上げた。この暫定の移動通信事業者のみなし割合の変更は最後に2002年に行われて以来である。移動通信事業者は引き続き、拠出について、実際の収入又は実際の州際収入を推定する通信量調査のいずれかに基づくことを選択することができる。

 b.2006年6月、FCCはまた、ユニバーサルサービス基金の拠出義務者を、相互接続したVoIPサービス事業者に広げることにより、ユニバーサルサービス基金への拠出の基盤を拡大した。相互接続したVoIP事業者については、FCCは州際サービス収入のみなし割合をVoIPサービス収入合計の64.9%とした。

2.連邦州ユニバーサルサービス連邦委員会の委員がモニタリングレポートを発行:2006年12月、ユニバーサルサービスに関する連邦州合同委員会はユニバーサルサービスに関する最新のモニタリングレポートを発表した。このレポートは、2006年5月までにFCCに提出された電話産業分野における情報を反映している。本レポートは、2005年に総額65億ドルとなるユニバーサルサービス支援の様々なメカニズムについて記述している。2005年には、4つのユニバーサルサービスメカニズムのカテゴリー間の配分は、高コスト地域支援が58.7%、学校及び図書館支援が28.7%、低所得者向け支援が12.4%、地域保健支援が0.4%となっている。本レポートは、11のカテゴリーに分けてデータを示している。

3.FCCがユニバーサルサービス補助金に対応した制度改正案を公表:2007年5月14日、高コスト地域に対するユニバーサルサービス補助金の拠出額の増加抑制のため、FCCは直ちに措置をとるという連邦・州ユニバーサルサービス合同委員会勧告に関連して、FCCは制度改正案を公表し、コメントを募集した。FCCは、特に、競争適格事業者が受け取りうる高コスト地域への補助金に暫定的かつ緊急的な上限額を導入すると米国政府による措置いう合同委員会勧告について、コメントを募集した。勧告採択と同日に公表されたパブリックノーティスでは、合同委員会は、合同委員会とFCCに包括的な高コスト補填の改革をさらに模索することを勧告するとともに、逆オークション、地理的情報システム(GIS)技術の利用、高コスト地域の分散、ブロードバンドサービスの支援などの多様な改革提案についてのコメントを募集した。

F.商用衛星に係る輸出許可及びTAA許可等の処理手続

1.商用通信衛星の輸出許可及び技術支援協定(TAA)許可について、米国政府は米国の法律、規制、政策に合致する範囲内で、その遅れを最小化し、透明性を最大化する努力を継続する。

2.日米両国政府は、商用衛星の輸出許可に係る真摯な対話を行った。日米関係の重要性に鑑み、日米両国政府は、本件に関する対話を継続する。

G.電気通信機器の貿易の促進

1.2007年2月、日米両国政府は電気通信機器の適合性評価に関する相互承認協定(MRA)の交渉を終えて、署名した。

2.2007年2月、日米両国政府は、日本の適合性評価機関が電磁両立性に関して行ったIT機器および産業科学医療用機器(ISM機器)の適合性評価結果の受け入れを可能とする措置の策定に関して、書簡の交換を行った。

XIV.情報技術

A.著作権及び関連する権利の保護

1.日米両国政府は著作物の保護及びその法執行の重要性について一致した認識を有する。

2.米国政府は生の実演、非固定の著作物及び人格権の保護の重要性を認識する。米国政府は、日本国政府にとってこれらの権利の保護が重要であることを理解する。

 a.生の実演の保護:米国政府は、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS)第14条及び実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(WPPT)第6条は非固定の生の音の実演の保護を義務付けていることを認識する。米国政府は、非固定の生の音の実演の保護に関する透明性を確保する。

 b.非固定の著作物の保護:米国政府は、連邦法及び州法に基づく非固定の著作物の保護に関する透明性を確保する。

 c.著作者及び実演家の人格権の保護:米国政府は、連邦法及び州法に基づく人格権の保護に関する透明性を確保する。

 d.ビデオ・ゲームの貸与権の保護:米国政府は、コンピュータープログラムに係わる貸与権の保護について、特にビデオ・ゲームのプログラムを重視して、日本国政府との議論を継続する。

B.デジタルネットワーク化への対応

1.米国政府は、オンラインにおける著作物の効率的な利用の重要性を認識する。米国政府は、著作権の適切な保護を確保しつつ、オンラインにおける著作物の利用を促進するため、立法措置を含めた適切な措置を引き続き検討する。

2.米国政府は、デジタル・ミレニアム著作権法(DMCA)により追加された米国著作権法第1201条に規定された「アクセスコントロール」及び「コピーコントロール」について日本国政府との情報交換を継続する。米国政府は、3年毎に実施する規則策定手続により、「アクセスコントロール」の保護が、例えばフェア・ユースのような権利侵害を構成しない著作物の公共の利用に悪影響を与えないことを確保するよう適切な措置を取っている。

3.米国政府は、デジタル環境において、複製権、公衆への上演権及び頒布権を含む排他的権利を著作物の適法な利用を促進する方法によって与えることの重要性を認識する。これらの権利の重畳適用はオンラインの著作物の利用の妨げになるという日本国政府の懸念の原因となっており、米国政府はこれらの権利の保護に関する透明性を確保する。

4.米国政府はデジタル環境における適切な例外と制限の重要性を認識する。米国政府は、デジタル化・ネットワーク化時代の著作権及び関連する権利に係る新規立法を行う場合は、一般的にフェア・ユース及び著作者の権利と利用者が利用できる例外と制限のバランスを考慮している。また、著作権関連分野に影響する議会の新規立法に関する適切な情報を提供する。

5.米国政府は、日本国政府に対し、「孤児作品」(著作権者の許諾を得て著作物の利用を望む者が著作物の所有者やその所在を確認できない作品)の問題を取り扱う法案に関し、適切で時宜にかなった情報を提供する。

 米国政府は、ファッションデザインを著作権保護の対象とするような立法を行う場合74第6回報告書米国政府による措置は、適切な国際的義務について配慮するとともに、このような新規立法に関する適切な情報を提供する。

C.スパム

1.日米両国政府は、情報通信技術(ICT)分野だけでなく企業と消費者にとって世界的な問題となっているスパムに対する懸念を共有する。

2.米国政府は、CAN-SPAM法の精力的な執行、官民の協力、産業界主導の技術的解決策の推進、国際協調(執行の協力を含む。)及び消費者教育を含むスパム対策の多面的な取組を継続する。

3.連邦取引委員会(FTC)は精力的にCAN-SPAM法を執行し、26件の違反事例を告発している。解決事例として、裁判所は被告人に賠償金として1,050万ドル以上の支払い及び民事罰として260万ドル以上の支払いを命じた。

4.司法省は更に3件のスパム関連の事件を起訴し、3件の有罪の申し立てを行い、1件が有罪判決となっている。

5.米国政府はU.S. SAFE WEB法を成立させ、2006年12月に発効させた。同法は迷惑メールを含む、ますますグローバル化している国境を越える詐欺やその他消費者への有害行為に関して、FTCが国外の司法当局と十分に協力することを可能とするものである。

6.特に、U.S. SAFE WEB法は国境を越える執行の協力に不可欠な4つの分野FTCの権限を強化している。

 a.同法は、FTCの法執行の取組及び米国消費者を助けるため、適切な制約や機密性の確保の上で、FTCが国外の法執行機関と文書や証言などの機密情報を共有する権限を与えている。

 b.同法は、その協力がFTCの政策目的及びリソースと合致すると認められる場合には、国外の法執行機関のためにFTCが調査権を行使することを認めている。

 c.同法は、FTCが国外の法執行機関から得た情報の機密性を保護することを認めている。

 d.同法は、FTCが国際協力協定を締結することや国外の法執行機関とスタッフの人事交流を行うことを認めるなど、FTCの二国間及び多国間の執行関係を強化するいくつかの規定を含んでいる。

7.また、U.S. SAFE WEB法は、FTCが国境を越える事案に対処することや、米国内外の消費者のへの損害賠償を含めた救済方法を採る権限があることを確認している。

8.米国政府は、日本国政府とともに、スパムを撲滅するための方策の探求及び検討を継続する。

XV.医療機器・医薬品

A.在米日本企業との定期的会合

 米国厚生省食品医薬品庁(FDA/HHS)は在米日本企業との会合を行う機会を引き続き提供する。要望事項に基づいてFDA/HHSの適切な専門家が応じることとする。

B.世界同時開発の推進

 米国商務省は、日本における開発を含め、医薬品の世界同時開発の促進のため日本の規制当局と協力することを、引き続き米国業界に奨励する。

C.施設査察報告書

 FDA/HHSはFDA内部のレビューが終了し、査察が終了したと考えられる場合、(日本を含めたあらゆる国の)査察対象企業の責任者に対して施設査察報告書の写しを手順どおり交付する。