データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ファクトシート:アフリカにおける保健および食料安全保障上の課題に関する日米協力

[場所] http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/doukou/enjyo/pdfs/af_j.pdf(2010年12月8日アクセス)
[年月日] 2008年7月6日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 本日、福田日本国内閣総理大臣及びブッシュ米国大統領は、北海道洞爺湖にて会談した。これは、福田総理大臣が昨年秋に就任して以来2回目の会談であった。

 本日の会談において、両首脳は、引き続き日米両国間の強固な同盟を基礎として、アフリカの保健と食料安全保障に関する喫緊の課題に対処するために緊密に協力することに合意した。

 日本及び米国は保健の重要課題に関し協力することを約束{前26文字下線}

● 保健従事者{前5文字下線}: 福田総理大臣及びブッシュ大統領は、世界保健機関が示す人口1000人あたり2.3人の保健従事者という最低基準の達成に向けて取り組むため、アフリカのいくつかの国における保健従事者の訓練及び人材育成を今後5年間の優先事項とすることとした。既に発表されたとおり、米国は大統領緊急エイズ救済計画(PEPFAR)を通じ、いくつかのアフリカ諸国における保健従事者の訓練を支援する。日本は、第4回アフリカ開発会議(TICADIV)で発表したとおり、アフリカにおいて5年間で10万人の保健従事者を訓練する。

● ポリオ{前3文字下線}: 福田総理大臣及びブッシュ大統領は、世界ポリオ根絶イニシアティブを支援するため、日米両国が、またG8諸国及び他のパートナーと、緊密に協力することを決意した。これらの取組みには、流行国、二次感染国及び既に根絶を達成した国においてポリオの伝染を止め、感染しやすい児童の数を減少させるための定期予防接種を奨励し、ポリオ根絶を認定するために十分な水準のサーベイランスを維持することを各国に強く呼びかけることが含まれる。

●マラリア: 福田総理大臣及びブッシュ大統領は、殺虫剤処理をした長期残効型蚊帳をアフリカにおいて広める等の措置を通じ、マラリアによる死亡者数を減少させるために協力するとの決意を新たにした。世界エイズ・結核・マラリア対策基金の主要拠出国として、日米両国は、他のG8諸国に対し、アフリカにおいて最も感染率の高い30カ国でマラリアによる死亡者数を半減するという過去の約束を履行するよう奨励する。日米両国は、他の関係者と連携し、高品質の蚊帳の現地生産を奨励し、特に5歳未満児及び妊婦に対する高品質の蚊帳の配布及び使用を促進するよう協力する。

●顧みられない熱帯病{前9文字下線}: 福田総理大臣及びブッシュ大統領は、顧みられない熱帯病(NTD)感染による負担を軽減することを決意した。2008年2月に発表したとおり、米国のプログラムは、今後5年間で医薬品の大量投与を通じて対処が可能な7種の疾病対策に取り組む。日本は、この分野における過去の実績を活かしつつ、安全な水と衛生へのアクセス向上、及び意識向上のための技術協力等の取組みを通じ、NTD対策を継続する。

日本及び米国は食料安全保障の強化のために協力{前22文字下線}

●福田総理大臣及びブッシュ大統領は、両国の援助プログラムが相互に補完しあい、具体的な成果を達成することが可能な主要な国において、包括的アフリカ農業開発プログラム(CAADP)を支援するために日米両国が協力することを約束した。これら主要国にはガーナ、セネガル及びマリが含まれ、その取組には西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)と連携した地域レベルの取組が含まれる。我々の援助プログラムは、サハラ以南アフリカ地域におけるコメを含む主要食用作物の生産倍増の目標に向けて取り組み、肥料及び種子等の投入を支援することにより、重要な供給面の対応を早急に開始する。また、我々は、主要食用作物及び上記のような投入の交易を維持するために必要な、主要な交易・輸送回廊の整備を支援する。また、日米両国は、輸出規制等の食料安全保障を阻害する政策の撤廃を促すため、WTOを含む様々なフォーラムにおいて協力する。また、我々は、このような取組にあたって他のG8諸国とも協力する。

●福田総理大臣及びブッシュ大統領は、また、アフリカにおける中小企業の重要性に留意し、特に農業ビジネス分野におけるアフリカの企業家に対する支援を行うことを確認した。そのような支援にあたっては、資金へのアクセス及びビジネス発展のための技能の提供が必要であり、また国レベル及び準地域機関の双方において政策及び市場原理に基づく改革を加速化することが必要であることを強調した。