データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 新たなイニシアティブに関するファクトシート

[場所] 
[年月日] 2010年11月13日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

本日,横浜APEC首脳会議の機会をとらえ,菅総理とオバマ米大統領は以下の新たなイニシアティブを立ち上げた。

 ● エネルギー効率の良い建物,輸送及び電力網を支えるためのエネルギー・スマートコミュニティ・イニシアティブ(Energy-Smart Communities Initiative(ESCI))は,アジア太平洋地域の持続可能な成長及び長期的な雇用の創出を下支えする。エネルギー・スマートコミュニティは,エネルギー安全保障の向上,温室効果ガスの削減及び雇用の拡大にとって不可欠なものである。日本と米国が主導する同イニシアティブは,クリーンエネルギー技術のためのプロジェクトの包括的パッケージを設け,また他のAPECエコノミーの参加にも開かれたものとなる。このイニシアティブは,日本と米国が2009年11月に合意したクリーン・エネルギー・アクションプランに基づくものである。

 ● 日米クリーンエネルギー政策対話。この二国間政策対話は,米国のエネルギー省及び日本の経済産業省の高級事務レベルによって主導されるものであり,日米の専門家が,電気自動車,革新的エネルギー,原子力の平和利用,沖縄・ハワイ協力及びレアアースを含むクリーンエネルギー技術の開発と展開についての政策を議論する機会を提供する。同イニシアティブもまた日本と米国が2009年11月に合意したクリーン・エネルギー・アクションプランに基づくものである。

 ● 日米経済調和対話,イノベーション・起業・雇用創出促進のための日米対話,及びインターネットエコノミーに関する日米政策協力対話。これら3つの経済政策対話は,日米間の経済関係を更に強化することを意図している。経済調和対話は,貿易円滑化,ビジネス環境及び個別の問題への対応並びに共通の関心を有する地域の課題における連携推進への取り組みを調和させるための協力を促進することによって,両国の経済成長に貢献することを目指す。イノベーション・起業・雇用創出促進のための対話及びインターネットエコノミーに関する政策協力対話は,二国間の政策面での協力を深め,国際場裡における日米間の更なる協力の土台を作ることを意図した,政策レベルの対話である。

 ● 日米核セキュリティ作業グループは,民生用原子力施設の核物質及び輸送中の核物質のセキュリティを強固なものとする等の措置をとることにより,2012年の核セキュリティ・サミットに向けた具体的な成果を特定し及び調整する責任を有する。共同の努力には,核鑑識,核物質の検知と測定及びに特に原子力発電の利用の増大が予想されるアジア太平洋地域における核セキュリティに関する専門知識の発展の分野における共同活動が含まれる。この点に関し,核不拡散・核セキュリティ総合支援センターを設立するとの日本の決定は,重要である。この作業グループの設置に関連し,また,核テロリズムによる重大な危険を認識して,日本及び米国は,4年以内にすべての脆弱な核物質の管理を徹底するという目標を再確認した。

 ● 加えて,日米航空関係を自由化する日米オープンスカイ合意が,本日発効した。この合意は,相互の空港における乗り入れ規制を撤廃し両国における全地点を就航に開かれたものにするとともに,航空機の大きさ,輸送力及び運賃に関する規制を除去する。この新しい合意は,日米間の航空旅客及び航空貨物に対するスケジュール,サービス及び運賃を改善し,両国間の旅行,観光及び商業にとって有益である。日本は,現時点で米国にとって4番目に大きな国際旅客のゲートウェイ,また3番目に大きな国際貨物のゲートウェイとなっており,また米国は,現時点で日本にとって国際旅客・貨物共に最も大きなゲートウェイである。