データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日米安全保障協議委員会(「2+2」)文書 東日本大震災への対応における協力

[場所] 
[年月日] 2011年6月21日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

クリントン国務長官

ゲイツ国防長官

松本外務大臣

北澤防衛大臣

2011年3月11日,日本はこれまでに経験したことのない最大の地震に見舞われた。激しい地震は巨大な津波を引き起こし,福島第一原子力発電所での深刻な非常事態をもたらした。このような未曾有の多元的な災害は,国際社会への重要な教訓となる。日本の経験に鑑み,複合的な非常事態に対応し,そのような事態において相互に支援できるよう,より良い備えをしておくことは,全ての国にとっての責務である。特に重要なのは,原子力発電所に影響を与える災害に対する非常時の計画の整備である。

閣僚は,今次の災害への対処における日米間の緊密かつ効果的な協力は,二国間の特別な絆を証明し,同盟の深化に寄与したとの点で一致した。閣僚は,特に,以下の分野における協力を強調した。

・ 自衛隊は,その歴史上,最大の災害救援活動に従事している。この努力を支援するため,米国は,「トモダチ作戦」の下,人道支援,災害救援及びその他の活動を実施した。この大規模な共同対処の成功は,長年にわたる二国間の訓練,演習及び計画の成果を実証した。

・ 自衛隊及び米軍は,市ヶ谷,横田及び仙台に,日米両国の要員が配置され,意思疎通及び運用調整の中心としての機能を果たした日米調整所を立ち上げた。この経験は,将来のあらゆる事態への対応のモデルとなる。

・ 原子力発電所事故への対応には,両国の政府及び民間部門の専門家並びに日米両政府の複数の省庁が関与した。その経験は,リアルタイムの情報共有,効果的な調整及び複合的な非常事態への包括的な政府全体としての対応を促進するための二国間及び多国間のメカニズムの重要性を示した。

・ 福島第一原子力発電所事故への二国間の対応は,情報共有,防護,除染及び被害局限といった分野における政策協調及び協力のための場としての化学・生物・放射線・核(CBRN)防護作業部会の強化が重要であることを示した。

・ 閣僚は,地方公共団体によって実施される防災訓練への米軍の参加が,米軍及び基地を受け入れているコミュニティとの間の関係の強化に資するとの認識を共有した。

閣僚は,この経験から学び,将来における多様な事態に対応するための日米両国の能力を向上させる決意を共有した。

(了)