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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 協定に関する日本国外務大臣とアメリカ合衆国特命全権大使との間の書簡

[場所] 東京
[年月日] 2015年12月4日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

   (日本側書簡)

 書簡をもって啓上いたします。本大臣は、本日署名された日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定(以下「協定」という。)に言及するとともに、次のことを閣下に通報する光栄を有します。

1a協定第五条の規定の運用上、日本国政府は、協定第一条の規定に従って日本国が負担する経費の日本国の各会計年度のための概算要求額については、当該日本国の会計年度の前年度に先立つ三会計年度における年平均労働者数の平均(iからvまでに定める日本国の各会計年度の労働者数(以下「上限労働者数」という。)を限度とする。)をもって算定をする方針を有する。

ⅰ 日本国の平成二十八会計年度 二万二千七百三十五人

ⅱ 日本国の平成二十九会計年度 二万二千八百四十五人

ⅲ 日本国の平成三十会計年度 二万二千九百五十六人

ⅳ 日本国の平成三十一会計年度 二万三千六十七人

ⅴ 日本国の平成三十二会計年度 二万三千百七十八人

b ただし、いずれかの会計年度における年平均労働者数に関し、当該会計年度の前年度に先立つ三会計年度における年平均労働者数の平均との比較において相当の増減が見込まれる場合には、上限労働者数の範囲内で、当該会計年度の概算要求額算定上の年平均労働者数の調整を行う可能性は排除されない。

2a協定第五条の規定の運用上、日本国政府は、協定第二条の規定に従って日本国が負担する経費の日本国の各会計年度のための概算要求額については、当該日本国の会計年度の前年度に先立つ三会計年度における協定第二条に規定する料金又は代金の支払に要する経費の全部の平均に、〇・六一を乗じることをもって算定をする方針を有する。協定第二条の規定に従って日本国が負担する経費は、二百四十九億百九十万八千円(二四、九〇一、九〇八、〇〇〇円)(以下「上限経費」という。)を限度とする。

b ただし、いずれかの会計年度における概算要求額に関し、相当の増減が当該会計年度以降長期的に見込まれる場合には、上限経費の範囲内で、協定第六条の規定による両政府間の協議に従って当該会計年度の概算要求額の調整を行う可能性は排除されない。

c 日本国の各会計年度のための概算要求額に関し、日本国政府は、当該概算要求額に、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の住宅であって、施設及び区域の外側にあるものに係る経費を算入しない方針を有する。

d 日本国政府は、協定第二条に規定する電気、ガス、水道、下水道及び燃料の調達契約の状況を常時把握することができるよう、合衆国政府から現行契約の内容の通知を受け、また、契約の変更若しくは廃止又は新たな契約の締結が行われるときは事前にその内容の通知を受けることを希望するとともに、必要に応じ、協議を行うことを要請する意向を有する。

3 協定第五条の規定の運用上、日本国政府は、協定第三条の規定に従って日本国が負担する経費の日本国の各会計年度のための概算要求額については、合衆国政府により提出される本件経費見積りを考慮して算定をする方針を有する。

4 本件経費負担の適正な執行を確保するため、両政府は、協定第六条の規定により協議することができることが確認される。

本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。

二千十六年一月二十二日に東京で

日本国外務大臣 岸田文雄

アメリカ合衆国特命全権大使

キャロライン・B・ケネディ閣下



(米国側書簡)

(訳文)

 書簡をもって啓上いたします。本使は、本日署名されたアメリカ合衆国と日本国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関するアメリカ合衆国と日本国との間の協定(以下「協定」という。)に関する本日付けの閣下の書簡を受領したことを確認する光栄を有するとともに、次のことを閣下に通報する光栄を有します。

1 合衆国政府は、閣下の書簡1a及びb、2a、b及びc並びに3に異議を有しない。

2 合衆国政府は、日本国政府が協定第二条に規定する電気、ガス、水道、下水道及び燃料の調達契約の状況を常時把握することができるよう、日本国政府に対し、現行契約の内容を通知し、また、契約の変更若しくは廃止又は新たな契約の締結を行うときは事前にその内容を通知するとともに、日本国政府の要請に応じて協議を行う意向を有する。

3 本件経費負担の適正な執行を確保するため、両政府は、協定第六条の規定により協議することができることが確認される。

 本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。

 二千十六年一月二十二日に東京で

  アメリカ合衆国特命全権大使

   キャロライン・ケネディ

  日本国外務大臣

   岸田文雄閣下