データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日米共同記者会見(安倍総理冒頭発言)

[場所] 
[年月日] 2016年5月25日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

【安倍総理冒頭発言】

 まず冒頭、先般、沖縄で発生した事件について、私からオバマ大統領に対し、日本の総理大臣として断固抗議をいたしました。

 そして少人数の会談では、全ての時間を割いて、この問題についてお話をいたしました。

 身勝手で卑劣極まりない犯行に、非常に強い憤りを覚えます。沖縄だけでなく日本全体に大きな衝撃を与えており、こうした日本国民の感情を、オバマ大統領にはしっかりと受け止めてもらいたい、と申し上げました。その上で、実効的な再発防止策の徹底など、厳正な対応を求めました。

 米軍再編に当たっても、沖縄の皆さんの気持ちに真に寄り添うことができなければ、前に進めていくことはできません。今回の事件で失われた信頼を回復していくことは困難な道のりではありますが、日米で協力して、沖縄の基地負担の軽減など、全力を尽くしていくことで一致をいたしました。

 全体会合では、まず私から、オバマ大統領が米国のリーダーとして初めて、被爆地・広島を訪問する決断をされたことについて、心から歓迎している旨をお伝えいたしました。

 核兵器を使用した唯一の国のリーダーが、唯一の戦争被爆国のリーダーと共に、犠牲となった全ての市民に哀悼の誠を捧げることは「核兵器のない世界」に向けた大きな力になると確信しています。

 日米が手を携えて、世界の平和と繁栄に今後とも力を尽くしていく。その力強いメッセージを広島から発信していきたいと思っています。

 いよいよ明日から、伊勢志摩サミットがスタートします。

 不透明感を増す世界経済、国際秩序に対する挑戦など、世界が直面している様々な課題に、G7としてどのように世界をリードしていくか、オバマ大統領と考えをすり合わせることができたと考えています。

 特に、最大のテーマである世界経済については、世界の持続的かつ力強い成長を、G7でしっかりと牽引していかなければならないとの認識で一致をいたしました。

 サミットでは、日米で緊密に連携をし、国際的な諸課題の解決に向けた道筋をしっかりと示していきたいと考えています。

 日米が、深い絆の下に、これからも「希望の同盟」として力を合わせ、地域そして世界の平和と繁栄に貢献をしていく。オバマ大統領と共に、その決意を新たにいたしました。