[文書名] 平和的目的のための月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の枠組協定(日・米宇宙協力に関する枠組協定)
日本国政府及びアメリカ合衆国政府(以下個別に「当事国政府」といい、「両当事国政府」と総称する。)は、
平和的目的のための月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における相互の利益を認識し、
平和的目的のための月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における両当事国政府間の協力を推進することが望ましいことを考慮し、
宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」という。)とアメリカ合衆国の航空宇宙局(以下「NASA」という。)及び海洋大気局(以下「NOAA」という。)との間の長期間の成功裡の協力に留意し、
千九百六十七年十月十日に効力を生じた月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約(以下「宇宙条約」という。)を考慮し、
千九百六十八年十二月三日に効力を生じた宇宙飛行士の救助及び送還並びに宇宙空間に打ち上げられた物体の返還に関する協定を考慮し、
千九百七十二年九月一日に効力を生じた宇宙物体により引き起こされる損害についての国際的責任に関する条約(以下「責任条約」という。)を考慮し、
千九百七十六年九月十五日に効力を生じた宇宙空間に打ち上げられた物体の登録に関する条約(以下「登録条約」という。)を考慮し、
千九百九十五年四月二十四日にワシントンで作成された平和的目的のための宇宙の探査及び利用における協力のための損害賠償責任に係る相互放棄に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定及び同日付けの代位請求に関する両当事国政府間の交換公文並びに二千年十二月八日にワシントンで作成された平和的目的のための宇宙の探査及び利用における協力のための損害賠償責任に係る相互放棄に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定に関する合意された議事録を想起し、
千九百九十八年一月二十九日にワシントンで作成された民生用国際宇宙基地のための協力に関するカナダ政府、欧州宇宙機関の加盟国政府、日本国政府、ロシア連邦政府及びアメリカ合衆国政府の間の協定(以下
「宇宙基地協力協定」という。)を想起し、
千九百九十八年二月二十四日にワシントンで作成された民生用国際宇宙基地のための協力に関する日本国
政府とアメリカ合衆国航空宇宙局との間の了解覚書を想起し、
二千二十年十月十三日に特に日本国政府及びアメリカ合衆国政府によって署名されたアルテミス合意:平和的目的のための月、火星、彗星及び小惑星の民生探査及び利用における協力のための原則を考慮し、
二千二十年十二月三十一日に効力を生じた民生用月周回有人拠点のための協力に関する日本国政府とアメリカ合衆国航空宇宙局との間の了解覚書を想起し、
両当事国政府の実施機関間の協力を円滑にするための包括的な法的枠組みを設けることを希望して、次のとおり協定した。
第一条 活動の範囲
A 平和的目的のための月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における共同活動は、両当事国政府の合意により及びこの平和的目的のための月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の枠組協定(以下「枠組協定」という。)に従って、次の分野において行う。
1 宇宙科学(月に関する科学を含む。)
2 地球科学
3 宇宙での運用及び探査(月での運用及び探査を含む。)
4 航空科学及び航空技術
5 宇宙技術
6 宇宙輸送
7 安全及びミッションの保証
8 両当事国政府が決定するその他の関連分野
B 共同活動には、次の協力の形態を含めることができる。
1 宇宙機及び宇宙研究プラットフォームの利用
2 宇宙機及び宇宙研究プラットフォームに搭載された科学的な機器の利用
3 有人宇宙飛行の運用
4 観測ロケット及び大気球の利用
5 航空機の利用
6 追跡及びデータの取得のための地上のアンテナの利用
7 地上の宇宙研究設備の利用
8 一般的な又は特定の分野に関する科学者、技術者その他の専門家の交流
9 科学的なデータの交換
10 宇宙教育
11 公衆に対する広報活動
12 両当事国政府が決定するその他の協力の形態
C 共同活動は、地球上、大気空間又は月その他の天体を含む宇宙空間において行うことができる。
D 枠組協定に基づく全ての活動は、適用される全ての法令(国際法を含む。)に従って行う。
E 枠組協定は、宇宙基地協力協定の規定により規律される活動又は宇宙基地協力協定の後に効力を生ずる協定であって、宇宙基地協力協定の規定に従って宇宙基地協力協定を改正し、若しくは修正し、若しくは宇宙基地協力協定の規定に従って締結するものにより規律される活動については、適用しない。
第二条 定義
A「貢献者」とは、契約者又はその下請契約者、被譲与者その他の当事国政府の実施機関と法的関係を有する団体であって、枠組協定に基づく共同活動の実施において任命され、委託され、又は契約されるものをいう。
B「関係者」とは、次の者をいう。
1 当事国政府の実施機関との契約者若しくはその下請契約者(あらゆる段階の下請契約者を含む。)又は当事国政府の実施機関にとっての利用者若しくは顧客(あらゆる段階の利用者及び顧客を含む。)
2 当事国政府の実施機関にとっての利用者若しくは顧客(あらゆる段階の利用者及び顧客を含む。)との契約者又はその下請契約者(あらゆる段階の下請契約者を含む。)
3 当事国政府の実施機関の被譲与者その他の協力団体又は研究者(あらゆる段階の協力団体及び研究者を含む。)
4 当事国政府の実施機関の被譲与者その他の協力団体若しくは研究者(あらゆる段階の協力団体及び研究者を含む。)の契約者又はその下請契約者(あらゆる段階の下請契約者を含む。)
5 国又はその政府機関若しくは団体であって1から4までのいずれかの者に該当するもの又はその他の形態により枠組協定に基づく共同活動に関係するもの
「契約者」及び「下請契約者」には、あらゆる種類の供給者を含む。
第三条 実施機関及び実施取決め
A 第一条(活動の範囲)に規定する共同活動の特定の条件については、枠組協定に基づく実施機関間の実施取決めで定める。日本国政府は、自己の実施機関として、文部科学省及びJAXA又はこれらの後継機関を指定する。アメリカ合衆国政府は、自己の実施機関として、NASA、NOAA及び米国地質調査所又はこれらの後継機関を指定する。いずれの一方の当事国政府も、必要に応じて、特定の共同活動のための追加的な実施機関を指定することができる。この場合には、当該一方の当事国政府は、指定された追加的な実施機関に関し、外交上の経路を通じて、他方の当事国政府に通報する。
B 実施取決めは、枠組協定に言及し、及び従うものとする。各実施取決めには、当該実施取決めが各当事国政府により正当に承認され、又は正当に確認されたことを明示する。実施取決めには、枠組協定の規定に従い、特に、共同活動の範囲並びに実施機関の個別及び共同の責任を記載する。両当事国政府は、実施取決めが国際法に基づく権利及び義務を生じさせるものではないことに合意する。
C 両当事国政府は、それぞれの実施機関が自国の法令に従い枠組協定の規定を遵守することを確保する。枠組協定の条件及び義務は、両当事国政府のそれぞれの実施機関について適用する。
D 両当事国政府は、枠組協定に基づく実施取決めの一覧表を作成し、及び維持する。この一覧表には、各実施取決めの関係する実施機関、題名、署名の日及び有効期間を含む。両当事国政府は、少なくとも毎年一覧表を更新し、及び交換する。この一覧表は、枠組協定の不可分の一部を成すものではない。
第四条 資金に関する措置
A 各当事国政府は、枠組協定及び実施取決めの実施における自己の経費を負担する。枠組協定に基づく義務及び実施取決めに基づく活動は、利用可能な予算及び各当事国政府の予算手続に従うものとする。
B 各当事国政府は、自己の実施機関が枠組協定又は実施取決めに従って行われる活動に影響を及ぼす可能性のある予算上の問題に直面する場合には、当該実施機関ができる限り速やかに他方の当事国政府の実施機関に通報し、及びこれと協議することを確保する。
第五条 税及び手数料
A 各当事国政府は、枠組協定の実施のために必要な物品及びソフトウェアについて、自国の領域への輸入
又は自国の領域からの輸出に係る税関当局によって徴収されるであろう全ての関連する税を免除することを確保するとともに、自国の法令に従い自国の領域への輸入又は自国の領域からの輸出に係る手数料の免除を容易にするよう妥当な努力を払う。
B 枠組協定の実施のために必要な物品及びソフトウェアに対し、自国の領域への輸入又は自国の領域からの輸出に係るいかなる種類の手数料が課される場合であっても、当該手数料は、両当事国政府が別段の合意をする場合を除くほか、当該手数料を課する国の当事国政府が負担する。
C 各当事国政府は、また、自国の法令に従い、枠組協定の実施のために必要な物品の自国の領域への又は自国の領域からの移動を容易にする。
D この条の規定は、枠組協定の実施のために必要な物品及びソフトウェアの原産国を考慮することなく実施される。
第六条 人員の出入国及び滞在
各当事国政府は、相互主義に基づき、自国の法令に従い、枠組協定に基づく共同活動に従事する人員及びその家族の自国の領域への入国、自国の領域からの出国及び自国の領域における滞在を容易にする。第七条 上空飛行
各当事国政府は、自国の法令に従い、枠組協定に基づく共同活動を行うための航空機及び気球の上空飛行に係る許可の付与を容易にする。
第八条 物品及び技術データの移転
A 枠組協定の他の規定にかかわらず、両当事国政府は、この条の規定に従い、枠組協定に基づく共同活動の実施のために必要な物品及び技術データ(ソフトウェアを含む。)のみを移転する義務を負う。
B 枠組協定に基づく全ての活動は、適用される全ての法令(輸出管理に関するもの及び秘密の情報の管理に関するものを含む。)に従って行う。
C 枠組協定に基づく共同活動の実施のために必要なインタフェース、統合及び安全に関する技術データの移転は、この条の規定により要求される場合を除くほか、通常、制限なく行われるものとする。
D 物品、財産的価値を有するデータ及び輸出管理の対象となる技術データの全ての移転については、次の規定に従う。
1 当事国政府又はその関係者がこれらの物品又はデータのうち保護が維持されるべきものを移転する必要があると認める場合には、当該物品については特別の指定を行い、及び当該データについては表示を付する。
2 1に規定する物品の指定及びデータへの表示においては、当該物品及び当該データが受領側の当事国政府及び関係者により実施取決めに基づく受領側の当事国政府又は関係者の責任を果たすためにのみ利用されること並びに当該物品及び当該データが提供側の当事国政府による事前の書面による許可なしに他の団体に開示され、又は再移転されないことを明示する。
3 受領側の当事国政府及び関係者は、明示されている条件に従うものとし、これらの物品及びデータを許可されていない利用及び開示から保護する。
E 枠組協定に基づく共同活動の実施において移転される全ての物品、表示を付された財産的価値を有するデータ及び表示を付された輸出管理の対象となる技術データは、受領側の当事国政府又は関係者によって関連する実施取決めのためにのみ利用される。受領側の当事国政府又は関係者は、実施取決めに基づく活動が終了した後、提供側の当事国政府又は関係者の指示に従い、当該実施取決めに基づいて提供された全ての物品、表示を付された財産的価値を有するデータ及び表示を付された輸出管理の対象となる技術データを返還し、又はその他の方法により処分する。
F 両当事国政府は、契約上の仕組み又はこれと同等の措置を通じ、その関係者がこの条の規定に従うようにする。
第九条 知的財産権
A 枠組協定のいかなる規定も、一方の当事国政府又はその貢献者の発明又は著作物であって、枠組協定の効力発生前に又は範囲外で行われ、又は創作されたものに対する権利又は利益(当該発明に対する特許権又はこれと類似の形態の保護(いずれの国におけるものであるかを問わない。)及び当該著作物の著作権を含む。)を他方の当事国政府に明示的又は黙示的に付与するものと解してはならない。
B 枠組協定に基づく共同活動の実施において専ら一方の当事国政府又はその貢献者によって行われた発明又は創作された著作物に対する権利又は利益(当該発明に対する特許権又はこれと類似の形態の保護(いずれの国におけるものであるかを問わない。)及び当該著作物の著作権を含む。)については、当該一方の当事国政府又はその貢献者が有する。当該一方の当事国政府とその貢献者との間の当該発明又は当該著作物に対する権利又は利益の配分は、適用される法令、規則及び契約上の義務により決定する。
C 枠組協定に基づく共同活動の実施において共同発明が行われることは、見込まれない。ただし、枠組協定に基づく共同活動の実施において、両当事国政府によって共同で発明が行われた場合には、両当事国政府は、次の事項について六十日以内に誠実に協議し、及び合意する。
1 共同発明に対する権利又は利益(当該共同発明に対する特許権又はこれと類似の形態の保護(いずれの国におけるものであるかを問わない。)を含む。)の配分
2 共同発明に対する特許権又はこれと類似の形態の保護(いずれの国におけるものであるかを問わない。)を設定し、及び維持するために負うべき責任及び費用並びにとるべき措置
3 両当事国政府間で交換し、又は一方の当事国政府が他方の当事国政府に付与する実施権その他の権利の条件
D 両当事国政府は、共同で創作した著作物については、両当事国政府が当該著作物の著作権の登録を決定する場合には、著作権を登録し、及び著作権の保護を維持する(いずれの国におけるものであるかを問わない。)ために負うべき責任及び費用並びにとるべき措置について誠実に協議し、及び合意する。
E 各当事国政府は、前条(物品及び技術データの移転)及び次条(広報)の規定に従うことを条件として、枠組協定に基づく共同活動から生ずる著作権のある著作物(専ら他方の当事国政府によって若しくは他方の当事国政府のために創作されたものであるか又は他方の当事国政府と共同で創作されたものであるかどうかを問わない。)について、自己のために複製し、派生的な著作物を作成し、頒布し、及び公表し、並びに他の者が自己に代わってそれらを行うことを認める取消し不能な無償の権利を有する。両当事国政府は、前条(物品及び技術データの移転)の規定に従って表示を付された著作権のある著作物は、同条及び次条(広報)の規定の適用上、財産的価値を有するデータに該当することに合意する。
F 知的財産に関する法律の適用上、枠組協定に基づく共同活動の実施において一方の当事国政府が登録した宇宙物体において行われる活動は、当該一方の当事国政府の国の領域においてのみ行われたものとみなす。一方の当事国政府又はその実施機関若しくは関係者による他方の当事国政府が登録した宇宙物体において行われる活動への参加は、それ自体では、前段に規定する当該活動に対する管轄権を変更し、又はこれに影響を及ぼさない。
G 宇宙物体において当該宇宙物体を登録した一方の当事国政府の自国民以外の者が行った発明について、当該一方の当事国政府は、他方の当事国政府の国の領域における特許出願を妨げるために発明の秘密に関する自国の法律を適用してはならない。この規定は、 特許出願が最初に行われた当事国政府が当該特許出願の秘密を管理し、若しくは当該特許出願のその後の出願を制限する権利又は 出願がその後に行われた他方の当事国政府が国際的な義務に基づいて出願の開示を制限する権利を害するものではない。
第十条 広報
A 両当事国政府は、枠組協定に基づく自己の活動に関する広報を行う権利を保持する。両当事国政府は、枠組協定に基づく他方の当事国政府の責任又は活動に関連する情報を公開することに関し、事前に相互に調整する。
B 両当事国政府は、科学的な良い慣行に適合する方法により、適当な出版物における公表又は科学に関する会議における発表を通じて国際科学界が科学的な成果を適時に入手することができるようにする。
C 両当事国政府は、次のデータ又は情報が広報の対象とはならないこと及び他方の当事国政府の事前の書面による許可なしに一方の当事国政府によるいかなる公表又は発表にも含まれないことを認識する。
1 第八条(物品及び技術データの移転)の規定に従い当該他方の当事国政府から提供されたデータであって、輸出管理の対象となるもの又は財産的価値を有するものとして表示を付されたもの
2 当該他方の当事国政府又はその貢献者による発明に関する情報であって、特許若しくはこれと類似の形態の保護(いずれの国におけるものであるかを問わない。)の出願が行われる前のもの又は当該出願を行わないとの判断が行われる前のもの
3 両当事国政府が開示し、又は公開しないと明示的に合意するその他の特定の情報第十一条データの共有両当事国政府は、実施取決めの下で作成されたデータ管理計画において詳細に定めるところにより、枠組協定に基づく共同活動によって得られる全ての科学的なデータについて当該科学的なデータが公に利用可能となった場合には速やかに共有することに合意する。
第十二条 責任に関する相互放棄
A 両当事国政府は、枠組協定に基づく共同活動について、平和的目的のための月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における両当事国政府間の協力を促進するため、責任に関する相互放棄を確立することに合意する。この目的を達成するため、この条に規定する責任に関する相互放棄は、広く解釈するものとする。この条において「当事国政府」には、当該当事国政府の実施機関を含む。
B この条の規定の適用上、
1 「損害」とは、次のものをいう。
a 自然人の身体の傷害その他の健康の障害又は死亡
b 財産の損傷若しくは滅失又はその利用価値の喪失
c 収入又は収益の喪失
d その他の直接的、間接的又は二次的な損害
2 「保護される宇宙作業」とは、実施取決めの実施において行われる全ての活動をいい、少なくとも次の活動を含む。
a 輸送機、搭載物、機器又はこれらに関連する支援のための装置、設備若しくは役務に係る研究、設計、開発、試験、製造、組立て、統合、運用又は利用
b 地上支援、試験、訓練、模擬実験、誘導制御装置又はこれらに関連する設備若しくは役務に係る全ての活動「保護される宇宙作業」には、宇宙から帰還した後に地上で行われる活動であって、関連する実施取決めの実施において行われる活動以外の活動における使用を目的として生産物又は作業方法を更に開発するために行われるものを含まない。
C1 各当事国政府は、責任に関する相互放棄に同意し、これによって、保護される宇宙作業から生ずる損害についての請求であって、次のからまでの者に対するものを全て放棄する。この責任に関する相互放棄は、損害を引き起こした者又は財産が保護される宇宙作業に関係しており、かつ、損害を受けた者又は財産が保護される宇宙作業に関係していたために当該損害を受けた場合に限り、適用する。この責任に関する相互放棄は、次のからまでの者に対する損害についての請求(その法的基礎がいかなるものであるかを問わない。)について適用する。
a 他方の当事国政府
b 他方の当事国政府の関係者
c a又はbに掲げる者の被雇用者
2 各当事国政府は、また、自己の実施機関がその関係者に対し、契約その他の方法により次のことに同意するよう要求することにより、1に規定する責任に関する相互放棄を当該関係者に及ぼすことを確保する。
a 1aからcまでに掲げる者に対する全ての請求を放棄すること。
b 当該実施機関の他の関係者に対し、1aからcまでに掲げる者に対する全ての請求を放棄するよう要求すること。
3 この責任に関する相互放棄は、損害を引き起こした者又は財産が保護される宇宙作業に関係しており、かつ、損害を受けた者又は財産が保護される宇宙作業に関係していたために当該損害を受けた場合において、責任条約の規定に基づいて生ずる請求についても、適用する。
4 この責任に関する相互放棄は、この条の他の規定にかかわらず、次の請求については、適用しない。
a 一方の当事国政府とその関係者との間又は一方の当事国政府の関係者の間の請求
b 自然人の身体の傷害その他の健康の障害又は死亡について当該自然人又はその遺産管理人、遺族若しくは代位権者(代位権者が当事国政府である場合又はこの責任に関する相互放棄の条件を受け入れる場合を除く。)によって行われる請求
c 悪意によって引き起こされた損害についての請求
d 知的財産に係る請求
実施機関が責任に関する相互放棄を2の規定に従ってその関係者に及ぼすことができなかったことから生ずる損害についての請求
e 他方の当事国政府が枠組協定に基づく自己の明示の義務を履行することができなかったことから生ずる一方の当事国政府による請求
5 両当事国政府が責任を負う可能性のある第三者による請求の場合には、両当事国政府は、当該請求について負うことのある責任の適切かつ衡平な分担及び当該請求に対する防御について決定するため、速やかに協議する。
6 4bの規定に関し、日本国政府が代位する請求が国家公務員災害補償法に基づかない場合には、日本国政府は、自己の実施機関が1aからcまでに掲げる者に対し当該請求から生ずる債務を第四条(資金に関する措置)Aに規定する各当事国政府が自己の経費を負担するという原則に適合する方法で及び適用される日本国の法令に従って補塡することを確保することにより、当該請求を放棄する義務を履行する。この条のいかなる規定も、日本国政府が当該請求を放棄することを妨げるものではない。
7 この条のいかなる規定も、請求又は訴えの基礎を創設するものと解してはならない。
D AからCまでの規定にかかわらず、この責任に関する相互放棄は、関連する実施取決めに基づく共同活動の特性を考慮して、両当事国政府の政府間の合意により制限することができる。
E 両当事国政府は、政府間の合意により、平和的目的のための月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における協力であって、枠組協定の他の条の規定の適用を受けないものについて、この条に規定する責任に関する相互放棄を適用することができる。当該協力については、次のとおりとする。
1 この条において「実施取決め」とは、当該協力に関連する協定又は取決めをいう。
2 この条において「実施機関」とは、1に規定する関連する実施取決めの参加機関をいう。
F 両当事国政府は、Eの規定に従いこの条に規定する責任に関する相互放棄を適用することに合意した協定及び取決めの一覧表を作成し、及び維持する。この一覧表は、枠組協定の不可分の一部を成すものではない。
第十三条 登録及び管轄権
A 両当事国政府は、打上げについて定める実施取決めについて、いずれの実施機関が自己の政府に対して宇宙物体の登録を要請するかを両当事国政府の実施機関が決定すること及びその要請があった政府が登録条約の規定に従い当該宇宙物体を登録することに合意する。この条の規定に基づく登録は、責任条約の規定に基づくいずれの当事国政府の権利及び義務にも影響を及ぼすものではない。
B 各当事国政府は、宇宙条約第八条及び登録条約第二条の規定に従い、特定の宇宙物体又はその乗員に対する管轄権及び管理の権限に関して両当事国政府が既に締結した又は将来締結する適当な協定の適用を妨げることなく、自己が登録した宇宙物体及びその乗員並びに月その他の天体を含む宇宙空間にある自国民である人員に対し、管轄権及び管理の権限を保持する。管轄権が競合する場合には、両当事国政府は、協議することに合意する。
第十四条 惑星保護
両当事国政府は、枠組協定に基づく共同活動について、二千二十一年六月三日に策定された国際宇宙空間研究委員会(以下「COSPAR」という。)の惑星保護に関する方針及び実施ガイドラインに含まれる指針に適合する形で、自国の関連する方針及び要求に基づく惑星保護措置を適用する。両当事国政府は、枠組協定に基づく共同活動について、COSPARの指針の改定版を適用することを書面により決定することができる。
第十五条 軌道上デブリ及び宇宙機の廃棄
A 両当事国政府は、枠組協定に基づく共同活動について、国際連合総会が二千七年十二月二十二日の決議第二百十七号(第六十二回会期)において支持した国際連合宇宙空間平和利用委員会のスペースデブリの低減に関するガイドラインに即して行動する。両当事国政府は、枠組協定に基づく共同活動について、軌道上デブリの低減のためのその他の指針を適用することを書面により決定することができる。
B 両当事国政府は、Aの規定を達成するため、適当な場合には、ミッションに関する計画の過程の一部として、軌道上デブリの低減(宇宙機のミッションの終了の時における安全な、適時の及び効果的な不動態化及び廃棄を含む。)のための計画を作成する。この計画には、ミッションの終了に関する計画を主導する当事国政府、接近解析及び軌道上デブリの低減に用いられる基準を含む。
第十六条 歴史的又は科学的な価値を有する月の地点
両当事国政府は、歴史的又は科学的な価値を有する月の地点を保全するという目的を共有する。両当事国政府は、当該地点に対する干渉を避けるよう努める。
第十七条 協議
A 両当事国政府は、自己の実施機関に対し、適当な場合には枠組協定に基づく共同活動の実施について見直すために協議し、及び将来の協力の潜在的な分野について意見を交換することを奨励する。
B 枠組協定に基づく共同活動の実施に関する問題が生じた場合には、両当事国政府は、実施機関がその問題を解決するよう努めることに合意する。
C 実施機関が生じている問題をBの規定に従って解決することができない場合又は枠組協定の解釈若しくは適用に関する問題が生じた場合には、両当事国政府は、協議を通じてその問題を解決する。
第十八条 他の協定への影響
枠組協定は、両当事国政府間の現行の協定及び枠組協定の範囲外又は範囲内の事項に関する将来の協定の締結又は将来の取決めの作成に影響を及ぼすものではない。枠組協定は、いずれかの当事国政府と他の国又は国際機関との協力に影響を及ぼすものではない。
第十九条 改正
両当事国政府は、書面による合意により枠組協定を改正することができる。改正は、両当事国政府が当該改正の効力発生のために必要なそれぞれの法的手続が完了した旨を相互に通告するために交換する外交上の公文の日付のうち、最後の日付の日に効力を生ずる。
第二十条 効力発生
枠組協定は、両当事国政府が枠組協定の効力発生のために必要なそれぞれの法的手続が完了した旨を相互に通告するために交換する外交上の公文の日付のうち、最後の日付の日に効力を生ずる。
第二十一条 終了
A いずれの一方の当事国政府も、外交上の経路を通じ、少なくとも六箇月前に他方の当事国政府に対し書面による通告を行うことにより、枠組協定を終了させることができる。
B 枠組協定の終了の後においても、枠組協定の規定は、当該終了の時に効力を有する実施取決めに基づく共同活動に関し、当該実施取決めの有効期間中、引き続き適用する。
C 両当事国政府が別段の合意をする場合を除くほか、枠組協定又は実施取決めの終了の後においても、第八条(物品及び技術データの移転)、第九条(知的財産権)、第十条(広報)及び第十二条(責任に関する相互放棄)の規定に基づく権利及び義務は、引き続き効力を有する。
以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けて枠組協定に署名した。
二千二十三年一月十三日にワシントンで、ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。
日本国政府のため
に林芳正
アメリカ合衆国政府のために
アントニー・ブリンケン
{裡に「り」とルビあり}
{彗に「すい」とルビあり}