[文書名] 日米韓共同声明
我々、日米韓三か国の首脳は、我々三か国が2023年の日米韓首脳会合以降に成し遂げた著しい進展を記念するために、キャンプ・デービッドの精神により会合した。日本、韓国及び米国は、インド太平洋地域及びそれを超えた地域において、人権、民主主義、安全及び繁栄を促進するための惜しみない努力において団結している。我々は、三か国の国民、地域、そして世界の継続した成功を確保するため、連携して共に取り組んでいくことを引き続き決意している。我々は、自由で開かれた、ルールに基づく国際秩序への支持を引き続き堅持している。我々が共に取る行動は、将来の長きにわたって、地域及び世界の平和と安全を強化し続ける。
過去15か月の間、我々は末永く続くように三か国のパートナーシップを構築してきた。本日、我々は、我々の共通のコミットメントの調整及び履行に責任を有する日米韓調整事務局の設立を発表する。この新しい事務局は、我々が共に実施する取組が、インド太平洋を繁栄し、連結され、強靱で、安定し、安全な地域にするための我々の目標と行動を更に整合させることを確保していく。
我々は、複数領域における三か国共同訓練である「フリーダム・エッジ」の最初の二回の成功裏の実施及び我々の防衛当局間の三か国協力を制度化するための日米韓三か国安全保障協力枠組みに関する協力覚書への署名を含む、拡大する三か国の安全保障協力を称賛する。我々三か国の防衛分野における関与は、既存の高官級での政策協議、情報共有、三か国共同訓練及び防衛交流に立脚した、毎年開催される日米韓参謀総長等会議及び防衛相会談にまで拡大している。日本、韓国及び米国は、北朝鮮による弾道ミサイル発射についてのデータをリアルタイムで共有することによって、また、我々の弾道ミサイル防衛能力を強化するために取り組むことによって、三か国の相互運用性を促進している。我々は、我々の軍種間の相互運用性及び人的つながりを更に築くための若手士官の交流を強化している。バイデン大統領は、韓国及び日本の防衛への米国のコミットメントは強固であると改めて表明し、韓米同盟及び日米同盟を通じた拡大抑止に関する協力を強化するとの米国のコミットメントを再確認する。これらの行動は、我々の共通の利益及び安全保障に影響を及ぼす、地域の課題、挑発及び脅威について協議するとの我々三か国間で共有されたコミットメントを明示している。
我々は、特にウクライナに対する戦闘のためにロシアに兵士を派遣するとの北朝鮮による決定も踏まえ、北朝鮮及びロシアによる複数の国連安保理決議の違反を強く非難する。日本、韓国及び米国は、ロシアによるウクライナに対する侵略戦争を危険な形で拡大する北朝鮮及びロシアの指導者による決定を強く非難する。弾薬及び弾道ミサイルの移転を含む、北朝鮮とロシアとの間の軍事協力の深化は、国連安保理の常任理事国というロシアの地位を踏まえれば特に悪質である。我々は、ウクライナが国連憲章第51条に規定された固有の自衛権を行使するに際し、これまでどおりウクライナを支援することに断固とした態度を取り続ける。
我々は、国連安保理決議に沿った朝鮮半島の完全な非核化への我々のコミットメントを再確認する。我々は、北朝鮮に関する国連安保理決議の違反や回避、また、国際的な不拡散体制を損なおうとするいかなる試みにも断固として対応することにコミットする。日本、韓国及び米国は、対北朝鮮国連制裁について包括的かつ効果的な制裁監視及び報告の取組を実施するための新たな多国間制裁監視チーム(MSMT)の取組にコミットしている。我々は、違法な大量破壊兵器及び弾道ミサイル計画の資金調達のための、北朝鮮による武器移転、悪意あるサイバー活動及び海外労働者の派遣の利用を含む北朝鮮の不法な資金調達方法に重大な懸念を表明する。我々は、不法な北朝鮮の活動からの防護を強化するためのインド太平洋地域における能力構築に向けた連携によるものも含め、北朝鮮の悪意あるサイバー計画及び不法な資金調達に対抗するための三か国の取組の拡大にコミットしている。我々三か国は、破壊的な又は安定を損なうサイバー活動によって危険にさらされている公共の重要インフラを防護するため、サイバー領域における共有された国際的な規範と責任ある行動に忠実であるよう引き続き求めていく。石破総理及びバイデン大統領は、自由で平和な繁栄する朝鮮半島という尹大統領のビジョンへの支持を述べ、自由で平和な統一された朝鮮半島への支持を改めて表明する。北朝鮮の人権問題と国際の平和及び安全の間の不可分のつながりを明確に認識し、我々は、北朝鮮における人権の進展を促進し、拉致問題、抑留者問題及び帰還していない捕虜の問題の即時解決を求める。
我々は、インド太平洋地域全体の平和と安定を維持することの重要性を再確認する。我々は、ASEAN中心性・一体性及びASEAN主導の地域的アーキテクチャーへの揺るぎない支持を再確認する。我々は「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」の力強い履行及び主流化を支援するため、ASEANと緊密に連携することにコミットしている。我々は、違法・無報告・無規制(IUU)漁業についての懸念を表明し、また我々は、この機会を捉えて、共通の地域の課題への我々の協力を強化し、海洋領域へのルールに基づくアプローチを守る、新たな三か国の海洋安全保障及び法執行協力枠組みを発表する。
我々は、インド太平洋の水域におけるいかなる一方的な現状変更の試みにも強く反対するとともに、南シナ海における不法な海洋権益に関する主張に反対することの重要性を認識する。我々は、南シナ海における海上保安機関及び海上民兵船舶の危険な使用並びに威圧的な活動に断固反対する。我々は、国連海洋法条約に反映された国際法に基づき、航行及び上空飛行の自由を含め、グローバルな海洋秩序への支持を表明する。我々は、台湾海峡の平和と安定はインド太平洋地域の安全と繁栄に不可欠な要素であることを認識している。台湾に関する我々の基本的立場に変更はなく、我々は、両岸問題の平和的解決を促す。
日本、韓国及び米国は、我々の経済安全保障に関する緊密な連携の継続を通じたものを含む、三か国の経済パートナーシップの深化にコミットしている。日本及び米国は、2025年に韓国がAPEC会合を主催することに期待を寄せ、また、韓国が鉱物安全保障パートナーシップ(MSP)の議長を務めていることを歓迎する。日本及び米国は、MSPプロジェクトを加速させるため、韓国との緊密な連携にコミットしている。我々は、MSPが、より多角的で持続可能な重要鉱物のサプライチェーンを進展させるための重要な制度的フォーラムであると認識している。我々は、強靱で包摂的なサプライチェーンの強化(RISE)に向けたパートナーシップにおける進展を歓迎する。我々は、経済安全保障の課題に関する三か国の関与を深化させるための日米韓経済安全保障協議を称賛するとともに、サプライチェーンの途絶に関する早期警戒情報を交換するための我々三か国間の定期化された活発な協議を歓迎する。我々は、財務大臣間での初の日米韓会合が成功裏に開催されたことを称賛し、次回開催に期待を寄せている。我々は、持続可能な経済成長及び金融の安定並びに秩序立った、良好に機能する金融市場を促進するため、引き続き協力していくことにコミットしている。我々は、初の日米韓商務・産業大臣会合の成功裏の立上げを称賛し、次回会合に期待を寄せている。我々は、ワシントンでの来たる2024年の日米韓女性の経済的エンパワーメント会合を通じたものを含む、女性の経済的エンパワーメントの進展への我々の長年のコミットメントを再確認する。我々は、参画及び昇進の障壁に対処するべく取り組んでいるSTEM分野の女性リーダーを称賛する。さらに、我々は、参加国が緊急事態の間に重要物資へのアクセスの維持を確保するため、インド太平洋経済枠組み(IPEF)サプライチェーン協定の下で設置された、韓国が議長、日本が副議長を務める危機対応ネットワークにおける協力の強化にコミットしている。
我々は、技術安全保障、標準及び信頼できるエコシステムに関する三か国の連携の必要性について一致し、次世代の重要・新興技術協力を更に進めるための三か国の枠組みを作っていくことにコミットする。我々は、半導体、人工知能(AI)、量子技術、デジタル経済、バイオテクノロジー、サイバーセキュリティ、エネルギー及び宇宙に焦点を当てた政策立案者の訓練及び交流の役割を果たした、日米韓技術リーダーズ研修プログラムの成功裏の立上げを歓迎する。また、日本、韓国及び米国は、我々三か国間の信頼できるAIエコシステムの開発を加速化するために取り組んでいる。我々は、重要技術の保護の向上及びAIの安全性に関する関与の強化に加え、AI半導体に関する商業的な連携を強化している。我々は、「バイオ-5」連合を通じた原薬の強靭なサプライチェーンの構築に取り組んでいる。量子開発グループ(QDG)の創設メンバーである日本及び韓国とともに、我々は、量子エコシステムにおけるサプライチェーン及び信頼できる投資への協力の更なる強化に期待を寄せている。我々は、4万人の学生を向こう10年間で育成することを目的にした、日米韓の大学が提携する、IBMによる新たな量子人材プログラムの立上げを誇りに思う。我々は、国立研究所間の三か国協力を歓迎し、また、不正な技術移転と闘うために不可欠な創造的技術保護ネットワークの立ち上げが成功したことの意義を強調する。
日本、韓国及び米国はまた、高官級の隔年の政策対話を含む世界中における開発・人道支援に関する我々の協力を拡大している。それとともに、日本、韓国及び米国は、フィリピン及びウクライナに対する三か国の開発支援を拡大してきた。我々は、フィリピン全域での、港湾の現代化、エネルギーインフラ及び大規模な交通プロジェクトを含む、重要セクターにおける協力を更に進展することにコミットしている。我々は、地域のオープンRANの手法を使用したデジタルインフラの拡大によるものを含む、東南アジアにおける三か国のデジタルインフラ及び電気通信イニシアティブを支持する。
日本、韓国及び米国の間の人的つながりは急速に拡大しており、我々はこの機運を維持し、積み上げる方法を議論している。我々は、成功裏に終えた初回の日米韓グローバル・リーダーシップ・ユース・サミットを称賛するとともに、我々に共通する安全保障、経済及び環境の課題に取り組むことに焦点を当てた、若者の代表団による年次の集まりとなることを望んでいる、次回の日本における2025年のユース・サミットに期待を寄せている。さらに、我々は、地球規模の課題について、三か国間の対話及び若者による具体的な行動を促すことを目的とした、新たに立ち上がった日米韓ヤング・リーダーズ・プログラムを支持する。
我々の協力は、我々の政府のあらゆる部分において新たな高みに昇華してきており、また、我々は、国民のために、より輝かしく、より安全で、より繁栄した未来を創出してきた。我々は、我々が築いてきたパートナーシップに誇りを持ち、日米韓の関係がこの先何年にもわたり、インド太平洋における平和と安定の礎となることを信じている。