[文書名] 採掘及び加工を通じた重要鉱物及びレアアースの供給確保のための日米枠組み
採掘及び加工を通じた重要鉱物及びレアアースの供給確保のための日米枠組み
2025年10月28日
重要鉱物及びレアアースは、先端技術の生成に不可欠であり、
日本及びアメリカ合衆国(以下、「米国」という。日本と併せて「両者」という。)は、日本及び米国の国内産業にとって重要な、原材料及び加工された重要鉱物及びレアアースの供給を支援する意図を有し、
両者は、多様で流動的かつ公正な重要鉱物及びレアアースの市場の発展を加速させるための、経済的政策手段及び協調的な投資の活用を通じ、これを達成する計画を有し、
両者は、採掘、分離及び加工を含む重要鉱物及びレアアースのサプライチェーンの強靱性及び安全を、両国が達成できるように支援するという目的を有し、
両者は、重要鉱物並びに重希土類及び軽希土類におけるそれぞれの既存の採掘及び加工事業並びに新たな能力を活用する意図を有し、
両者は、両者が誠実にかつ協力的な姿勢で、二国間のサプライチェーンの強化に取り組む限りにおいて、本枠組みが継続するものであることを認識し、
両者は、日本及び米国の企業が、上流から下流に至るまで、新規の安全なサプライチェーンを構築するための具体的な事業を実施していることを認識し、当該努力の継続的な進展を歓迎し、
両者は、重要鉱物及びレアアースの採掘及び加工に関する共通の政策枠組みについて、以下の認識を共有した。
第 I 章
重要鉱物及びレアアース
1.供給の確保:両者は、国内産業(先端技術及びそれぞれの産業基盤を含む)を支えるために必要な重要鉱物及びレアアースの安定的な供給を強化するための協力的な取組を、日本及び米国の金融支援制度、適当な場合には貿易措置及び重要鉱物の備蓄制度等の政策手段を活用して強化している。両者は、サプライチェーンの多様化を円滑化するため、上流及び下流の企業間の対話を促進する取組を強化する。
2.採掘及び加工への投資:両者は、補助金、保証、貸付、株式、オフテイク契約、保険又は規制上の円滑化等を通じた資本的支出及び運営費への支出を含む、政府及び民間部門の支援を動員する意図を有する。
a. 事業選定:両者は、永久磁石、蓄電池、触媒、光学材料等の派生製品を含む、重要鉱物及びレアアースのサプライチェーン上の欠落に対応するため、関心を有する事業を共同で特定する意図を有する。
b. 資金調達:上記の措置に加え、両者は、本枠組みの日付から6か月以内に、日本及び米国並びに適当な場合には同志国の買手に対して提供する製品を生産する選定事業に対し、資金上の支援を提供するための措置をとる意図を有する。
c. 投資支援:両者は、民間資本を動員し、重要鉱物及びレアアースのサプライチェーンを強化するための、新規の又は特別な仕組みの開発に向け協力する意図を有する。
d. 閣僚級会合:両者は、共同の目的達成のための投資促進を図るべく、本枠組みの日付から180日以内に、二国間の鉱業鉱物金属投資閣僚級会合を開催し、その中で関連する利害関係者との対話を行い、共通の目的の達成に向けた投資の手法及び優先事項を特定することにより、鉱業への投資を促進することを決定した。
3.許認可:両者は、それぞれの国内規制制度の範囲内でかつ適用可能な法令に基づき、重要鉱物及びレアアースの採掘、分離、加工に係る許認可を含め、許認可に係る期間及び手続の迅速化、合理化又は規制の緩和のための措置を講じている。
4.公正な競争及び価格メカニズム:両者は、それぞれの政策手段に沿って、責任ある採掘・加工・取引の真のコストを反映する高い水準の市場の構築や、代替事業及びそのような高い水準の市場を支援する価格面での措置を含む手段を通じて、非市場的政策や不公正な貿易慣行に対処することにより、両者の重要鉱物及びレアアースのサプライチェーンを確保すべく取り組む。両者は国際的なパートナーと共に、これらの意図の推進に取り組む。
5.資産の売却:両者は、それぞれの国内法に従い、国家安全保障上の観点から、重要鉱物及びレアアース関連資産の売却を審査及び抑止するため、新たな権限の整備や、既存の権限及び外交的手段の強化に向け、協力することを約束する。
6.スクラップ:両者は、鉱物のリサイクル技術に投資し、また、サプライチェーンの多様化を支援する重要鉱物及びレアアースのスクラップの管理を確保するために協力することを約束する。
7.第三者との関係:両者は、サプライチェーンのセキュリティを確保し、既存の関与の仕組みを活用するため、適当な場合には、他の国際的なパートナーと協力する意図を有する。
8.地質調査:両者は、重要鉱物及びレアアースの多様なサプライチェーンを支えるため、日本、米国及びその他の地域において、相互に決定した鉱物資源の地質調査を支援するため協力する意図を有する。
9.迅速な対応:両者は、日本の経済産業大臣及び米国のエネルギー長官主導の下、「日米重要鉱物供給安全保障迅速対応グループ」を設立し、優先する鉱物及び供給上の脆弱性を特定し、本枠組みに基づく加工された鉱物の供給を加速するために調整された計画を策定する。
10.備蓄:両者は、それぞれの国の規制に従い、既存の国内制度を活用して、相互に補完的な備蓄の体制を検討するために協力する意図を有する。
第 II 章
一般事項
1.両者の適切な当局は、第I章第2パラグラフに基づき特定された事業を監視し、審査する意図を有する。両者は、それぞれの国内法に従って、当該事業の審査項目要素を策定する。
2.両者は、一方から書面による要請を受領した日から10日以内に、オンライン又は対面で会合を実施する。
3.いずれの者も、一方に対して書面による通知を行うことにより、本枠組みへの参加を終了することができる。本枠組みへの参加を終了する者から別段の通知がない限り、他方の者が当該通知を受領した日から30日後に本枠組みは終了する。
4.本枠組みは、政策と体系的な行動計画を策定するものであり、国内法又は国際法上の権利又は義務を構成又は創設するものではなく、いかなる法的手続を生じさせるものでもなく、また、明示または暗示を問わず、法的拘束力又は強制力を有する義務を構成又は創設するものではない。
2025年10月28日、東京において署名された。
日本国政府のために
高市早苗
内閣総理大臣
アメリカ合衆国政府のために
ドナルド・J・トランプ
大統領