データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の造船についての協力に関する覚書

[場所] 東京
[年月日] 2025年10月28日
[出典] 国土交通省
[備考] 和訳
[全文] 

日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の造船についての協力に関する覚書


造船分野について国土交通省により代表される日本国政府と商務省により代表されるアメリカ合衆国政府(以下「両者」という。)は、

強力かつ革新的な造船産業が、両者の経済安全保障、強さ、海事分野における競争力及び産業強靭性にとって極めて重要であることを認識し、

公正な競争を維持し、市場集中に起因する構造的不均衡に対処するため、造船能力の拡大に両者が共通の関心を有することを強調し、

このパートナーシップを通じて、相互に有益な形で両者の間の協力を推進する意向を確認し、

以下の事項を認識する:

I:日米造船作業部会の設置

1.日本と米国は、造船及び海事産業の開発についての協力を促進するため、日米造船作業部会を設置する。

II:協力分野

作業部会は、以下の優先分野に注力する。

1.日米造船能力の拡大

 ・ 日米企業間のパートナーシップ、競争力・効率性向上のためのベストプラクティスの共有及び造船所の近代化に向けた戦略的投資を通じたもの。

2.米国海事産業基盤への投資促進

 ・ 投資機会の特定を通じたもの。

3.市場経済における船舶需要の支援

 ・ 日米の経済安全保障上重要な公的・民間船舶の需要に影響を与える政策の明確化を通じたもの。日米両国は、建造の互換性向上に向けた技術仕様を検討すべき。

4.人材育成

 ・ 日米の造船所従業員に対する教育・訓練の強化、教育・訓練プログラムの一貫性及び業界への新たな人材パイプラインの開発を通じたもの。

5.技術革新

 ・ 日米の造船所におけるデジタルソリューション及び先進的生産技術(例:人工知能、ロボティクス)を含む先進技術の開発・導入及び先進的な船舶設計と機能性の向上を通じたもの。

III.法的性格

この協力に関する覚書(以下「MOC」という。)は、日米の国内における合意若しくは国内法又は国際法に基づく法的拘束力のある権利及び義務を構成又は創出するものではない。本MOCのいかなる内容も、両者の間の既存の協定を変更し又はこれに影響を及ぼすことを意図するものではない。本MOCに基づく協力は、各々の法令に従い実施されることを意図している。本MOCのいかなる内容も、両者に資金支出を義務付けるものではない。

IV.終了

本MOCは、両者の署名をもって開始する。いずれの者も、相手方に対して書面による終了通知を提出することにより、本MOCを終了させることができる。終了は、両者が相互に決定した日付、又は両者が相互に日付を決定できない場合には、終了通知が交付された日から180日後に終了されるものとする。

上記は、本MOCで言及される事項について、両者の間で到達した認識を示すものである。

2025年10月28日に東京 において、二通の書面に英語で署名した。

金子恭之
日本国国土交通大臣

ハワード ラトニック
アメリカ合衆国商務長官