[文書名] 日米重要鉱物プロジェクト協力に関する共同ファクトシート
2025年10月27日に日米両首脳で署名された「採掘及び加工を通じた重要鉱物及びレアアースの供給確保のための日米枠組み」に基づき、2026年3月14日、東京において、アメリカ合衆国の内務省、エネルギー省、環境保護庁と日本の経済産業省の間で、日米鉱業鉱物金属投資大臣会合が開催された。両者は、両国の企業が重要鉱物分野でのプロジェクトに関心を示していることを歓迎し、米国、日本及び世界全体のサプライチェーンの強化に資する具体的なプロジェクトへの支援意向を表明した。以下はその対象となり得るプロジェクトである。
■ReElementレアアースリサイクルプロジェクト
三菱マテリアルは、使用済み磁石、尾鉱、およびその他の二次資源から希土類元素の分離、精製、および回収を専門とする、米国インディアナ州に拠点を置くReElement Technologies Corporationとの協力を検討している。協議内容には、出資の可能性に加え、リサイクル・精製能力を共同で発展させることも含まれている。また、両社は、将来的に日本国内において共同でレアアースリサイクル事業を立ち上げることについても検討している。
■CopperWorld銅鉱山プロジェクト
Copper Worldプロジェクトは、米国アリゾナ州における銅鉱山プロジェクトである。本プロジェクトについては、三菱商事が30%を出資し、Hudbay Minerals Inc.が残りの70%を保有しており、両社は、最終事業化調査を共同で進めている。本プロジェクトは既に主要許認可を取得済で、2029年頃から最大年間約10万トンの銅生産が期待され、将来的には周辺鉱区の許認可取得による更なる拡張ポテンシャルを有している。
■Exurban E-Waste二次製錬所建設プロジェクト三菱マテリアルは、廃基板などのスクラップのみを原料として使用し、二次製錬の事業化を、米国インディアナ州においてExurbanと進めている。この計画には、米国内で発生するスクラップから、銅、ニッケル、スズ、金、銀、PGM及びその他の金属を生産・供給することが含まれている。三菱マテリアル及びRioTintoは、Exurbanへの共同出資を行うとともに、米国銅市場におけるさらなる連携機会の検討を進めている。
■Albemarleリチウムプロジェクト
Albemarle社は、ノースカロライナ州におけるリチウムプロジェクトに関連し、潜在的な投資及び/又はオフテイク契約について、日本企業の参画可能性を含めて現在検討している。
■Alcoaガリウム回収プロジェクト
この日米豪協力プロジェクトでは、Alcoaが、双日及びJOGMECによる合弁会社であるJapan Australia Gallium Associates(JAGA)と連携し、西オーストラリア州にあるアルコアの稼働中のアルミナ精製所においてガリウム回収を進めている。これに加え、米国政府及び豪州政府からの出資・関与も予定されている。3カ国連携イニシアティブとして、本プロジェクトは、世界のガリウム供給の強化と、重要鉱物サプライチェーンの強靱性向上に寄与することが期待されている。
■Kalgoorlieニッケルプロジェクト
オーストラリア輸出金融公社及び米国輸出入銀行は、Kalgoorlie Nickel Project – Goongarrie Hubのプロジェクト会社であるKalgoorlie Nickel Pty Ltd(KNPL)に対し、最大10億豪ドルの非拘束的な支援意向を示した。Ardea Resources Limitedとともに、日本は2024年から住友金属鉱山及び三菱商事と関与している。米国のサプライチェーンに寄与することが期待される、日本政府が支援するプロジェクトとして、経済産業省は、9,850万豪ドルの最終事業化調査予算の50%を支援する経済安全保障推進法に基づく助成金を提供している。
■Atlas Nevesリチウムプロジェクト
米国のAtlas Lithium Corporationは、ブラジル・ミナスジェライス州においてリチウム精鉱を生産するNevesプロジェクトの開発を検討している。三井物産が同社に出資しており、日本政府と米国政府は、このプロジェクト開発に対する金融支援を検討している。
■住友金属鉱山日向製錬所
住友金属鉱山と、その子会社の株式会社日向製錬所は、日向製錬所においてフェロニッケルなどからニッケルマットを生産するための設備投資の実施を決定した。建設は2028年初頭に完工の予定。本設備投資完了後は、これまでニッケルマットやニッケル・コバルト混合硫化物といった中間製品を海外から輸入してきた同社は、国内で生産されたニッケルマットも調達できるようになる。日本政府が支援するプロジェクトとして、このプロジェクトは、電池やニッケル合金などの分野を中心に、米国のニッケルサプライチェーンへの貢献が期待されている。また、この事業には経済産業省から経済安全保障推進法に基づく助成金が交付されている。
■Tivan Speewah蛍石プロジェクト日本政府が支援する、米国のサプライチェーンへの貢献が期待されるプロジェクトとして、Speewah蛍石事業は、豪州Tivan Limitedが住友商事と協力し、半導体やEVなど先端分野で使用されるフッ酸の主要原料となるアシッドグレード蛍石の製造を進める、西オーストラリア州でのプロジェクトであり、日本及び米国を含む市場への供給が見込まれている。現在、2028年度の商業生産開始(年間生産量15万トン)を目指し、各種検討が進められている。
■Nouveau Monde Graphiteマタウィニ鉱山
Nouveau Monde Graphiteは、カナダ・ケベック州で鉱石採掘から加工グラファイト生産までを一貫して担うバリューチェーン構築を進めている。同社はパナソニックエナジーやカナダ政府等とオフテイク契約を結び、日本政府も投資の意向を示している。こうしたコミットメントと意向は、パナソニックエナジー、三井物産、カナダ政府による既存の投資とともに、米国及び世界のグラファイト供給網の多様化に寄与し、同プロジェクトの最終投資決定に向けた前進を後押ししている。
■NextSource BAF黒鉛プロジェクト
阪和興業及びJOGMECは、アラブ首長国連邦のバッテリーアノード施設(BAF)に対する最大3,000万米ドル規模のプロジェクトレベルの出資の可能性について、法的拘束力のない意向表明書を作成した。これにより本事業の権益を15%取得する見込みである。JOGMECの参画により、日本及び米国のバッテリーサプライチェーンにおいて、重要鉱物サプライチェーンの多様化を図る上で、アラブ首長国連邦BAFの重要性を示す意向表明書となっている。
■Lofdalレアアースプロジェクト
ナミビア北西部に位置するLofdalレアアースプロジェクトは、Namibia Critical Metals社とJOGMECが共同で推進する世界トップレベルの重希土類開発案件である。JOGMECは2020年より探鉱活動を実施しており、先般、予備的実現可能性調査を完了した。同プロジェクトは重希土類を豊富に含み、今後の世界的なレアアース供給網の強化に資する重要な案件として期待されている。
■Aclara Carinaプロジェクト
Carinaプロジェクトは、ブラジル・ゴイアス州におけるイオン吸着鉱の開発プロジェクトであり、Aclara Resourcesによって推進されている。技術面での進展を踏まえ、ゴイアニアに設置された準工業規模のパイロット施設では、米国内に建設予定のAclara社の分離施設での後工程を支えるため、混合レアアース炭酸塩の品質向上が図られている。本プロジェクトは、米国国際開発金融公社(DFC)から500万ドルの開発資金支援を確保しており、プロジェクトの進展に応じて建設段階での追加の出資も見込まれている。必要な資金調達およびオフテイク契約の最終化を前提として、Carinaプロジェクトは2028年半ばの操業開始を目標としている。