[文書名] 太平洋・島サミット中間閣僚会合 議長サマリー
1. 2010年10月16日、東京において、太平洋・島サミット中間閣僚会合が開催され、第5回太平洋・島サミットの成果のフォローアップを実施するとともに、第6回太平洋・島サミットに向けた準備を進めた。
2. 会議には、エドワード・ニパケ・ナタペイ太平洋諸島フォーラム(PIF)議長、PIFに加盟する16の国及び地域並びにPIF事務局の代表が参加した。会議では前原誠司外務大臣が議長を務め、菊田真紀子外務大臣政務官も参加した。
3. 閣僚は、日本と太平洋島嶼国は、同じ島国として、太平洋を共有する重要なパートナーであり、歴史的な絆や漁業・観光をはじめとする幅広い分野で深く結ばれていることを再確認した。閣僚は、さらに、一層の関係強化に向けて、中間閣僚会合を含む太平洋・島サミットのプロセスをより活性化させていく決意を表明した。
4. 日本側は、第5回太平洋・島サミットで表明した500億円規模の支援のうち、既にPIFに拠出済みの68億円規模の太平洋環境共同体(PEC(ペック))基金を含め、環境・気候変動分野や、教育や医療等の人間の安全保障に関する分野において、既に約323億円の支援を実施した旨報告した。これに対し、太平洋島嶼国側から、日本からの支援が順調に行われていることについて謝意が表明された。
5. 太平洋島嶼国側から、先般のMDGs国連首脳会合において、「菅コミットメント」として日本が表明した保健、教育関連分野で2011年からの5年間でそれぞれ50億ドル、35億ドルの支援に対する謝意が表明された。また、閣僚は人間の安全保障の概念を普及すべく協力していくことで一致した。
6. 日本側は、太平洋環境共同体(PEC(ペック))基金の進捗状況をレビューするとともに、本基金の運用のために必要な手続きの策定に向けたPIF事務局の取組を確認した。また、日本側は、プロジェクト管理ユニットの設立により、資金が迅速に行き渡ることを期待する旨表明した。閣僚は、すべてのPIF加盟島嶼国・地域に資金が行き渡るようにPIF事務局と太平洋諸島センターの更なる協力を求め、PIF事務局は、これに対する支援と協力を表明した。
7. 日本側は、イコール・パートナーシップという考えに基づき、太平洋島嶼国による社会・経済の自立的発展に向けた努力を支援していくことを引き続き表明した。これに対し、太平洋島嶼国側は日本の継続的な支援に対する謝意を表明するとともに、自国の発展に向けた取組や、地域の発展に向けた目標を促進するパシフィック・プランの重要性について説明した。
8. 閣僚は、この地域が発展するためには、政治的安定性に加え、民主主義及び法の支配の確立が重要な課題であるという見解を共有し、この目的のため、フィジーがとっている、またとる予定の措置に極めて注目している旨表明した。また、太平洋島嶼国側は、本年8月に行われたソロモン総選挙に日本が選挙監視団を派遣し、また、財政的な支援を行ったことに対して謝意を表明した。
9. 閣僚は、漁業や観光等を中心としていたこれまでの日本と太平洋島嶼国の経済関係が、近年、天然資源開発にまで広がりを見せていることを確認するとともに、両者の経済関係が更に発展することへの期待を表明した。この文脈で、閣僚は、環境に配慮し、太平洋島嶼国の人々の利益にかなう形で、天然資源の持続可能な利用を通じて、太平洋地域が発展するよう確保するために協働するとのコミットメントを強調した。
10. 日本側は、太平洋島嶼国の関係を更に強化するために、日本から太平洋島嶼国への政治レベルの訪問を強化していくことを表明した。これに対して、太平洋島嶼国側から歓迎の意が表明された。
11. 長期的な視野に立って、日本側は、日本と太平洋島嶼国の架け橋となる人材を育成するため、太平洋島嶼国の青年を日本に招聘することの重要性を強調した。この関連で、日本側は、第6回太平洋・島サミットに向けて人的交流を強化するために、JETプログラムの対象国を太平洋島嶼国に広げることを含め、新たな施策を検討することを表明した。こうした日本側の取組に対して、太平洋島嶼国側から歓迎の意が表明された。
12. 日本側は、第5回太平洋・島サミットで設立を表明した「太平洋観光促進フォーラム」の実施状況を説明するとともに、来年3月に提出される同フォーラムの提言を踏まえ、観光を通じた太平洋島嶼国との人的交流を強化するための方策を検討していく旨述べた。これに対し、太平洋島嶼国側から歓迎の意が表明された。
13. 閣僚は、日本と太平洋島嶼国の平和と繁栄のため、太平洋が開放的かつ安定的であることの重要性を再確認し、そのために協力していくことで一致した。
14. 日本側は、気候変動問題への対策として、すべての主要国が参加する公平かつ実効性のある国際的枠組みを構築する新しい一つの包括的な法的文書の早急な採択が必要である旨強調し、この分野で太平洋島嶼国側と緊密に協力していきたい旨述べた。また、日本側が短期支援を着実に実施していること、及び10月26日の名古屋において我が国がパプアニューギニアと共同議長を務める「森林保全と気候変動に関する閣僚級会合」の主催につき紹介した。これに対し、太平洋島嶼国側は、日本の取組への支持を表明するとともに、気候変動の影響に対して脆弱な国々に対する更なる支援の必要性を強調した。
15. 日本側は、グローバル・ガバナンス改革における最も重要な課題の一つである国連安保理改革の必要性を強調した。これに対し、太平洋島嶼国側から安保理改革の早期実現の必要性につき確認するとともに、日本の常任理事国入りに対する支持を表明した。
16. 日本側は、次回サミット(第6回太平洋・島サミット)を2012年5月25日及び26日に沖縄県名護市で開催することを報告し、閣僚はこれを了承した。