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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第10回太平洋・島サミット(PALM10)日本・PIF首脳宣言

[場所] 東京
[年月日] 2024年7月18日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文] 

会合の概要

1.日本並びにオーストラリア、クック諸島、ミクロネシア連邦、フィジー共和国、仏領ポリネシア、キリバス共和国、ナウル共和国、ニューカレドニア、ニュージーランド、ニウエ、パラオ共和国、パプアニューギニア独立国、マーシャル諸島共和国、サモア独立国、ソロモン諸島、トンガ王国、ツバル及びバヌアツ共和国から成る太平洋諸島フォーラムの首脳及び代表(以下「首脳」という。)は、2024年7月16日から18日にかけて、第10回太平洋・島サミット(PALM10)のため、日本の東京で一堂に会した。この記念すべき第10回のサミットは、日本の岸田文雄内閣総理大臣と太平洋諸島フォーラム(PIF)議長のマーク・ブラウン・クック諸島首相が共同議長を務めた。

2050年に向けたPALMパートナーシップのためのビジョン-共に歩む

2.首脳は、長年の歴史を有するPALMプロセスが1997年の発足以来、日本と太平洋地域との間の友好協力関係を透明性が高く包摂的な形で促進する上で、重要かつ先駆的な役割を果たしてきたこと、そして現在も果たし続けていることを再確認した。首脳は、相互の信頼と尊重の重要性を強調し、全ての太平洋地域の人々が自由で健康的かつ生産的な生活を送ることができるような、平和で、調和が保たれ、安全で、社会的な包摂性及び繁栄が保たれる強靱な地域というビジョンをよりよく支えるため、真のパートナーシップ、より一層の協力、そして透明性と説明責任の精神を通じて、PALMプロセスを強化することへのコミットメントを再確認した。

3.現在の地政学的環境が複雑さを増していることを認識し、首脳は、グローバルな平和及び安定が最重要であることを強調し、自由、民主主義、持続可能な開発、法の支配、人権、人間の尊厳、紛争の平和的解決、環境十全性の尊重といった共有された価値及び原則の重要性を再確認した。首脳はまた、国連憲章を含む国際法に沿ったルールに基づく自由で開かれた国際秩序の重要性を共有し、国の大小や力にかかわらず、全ての国の権利、自由、責任及び主権が国際法、ルール及び規範によって守られることを認識した。首脳はまた、気候変動を、太平洋地域の人々の生活、安全保障、福祉における、存続に関わる唯一で最大の脅威として認識し、気候変動の影響の緩和と適応において太平洋地域を支えるため、協力を強化することにコミットした。

4.岸田総理大臣は、2021年のPALM9で発表した「太平洋のキズナ政策」にまとめられ、「ブルーパシフィック大陸のための2050年戦略」及び「2050年戦略」実施計画に沿った、太平洋地域に対する日本の長年のコミットメントを改めて表明した。首脳は、日本の持続的なコミットメントに感謝の意を表明し、相互に受入れ可能な分野において日本との協力を深める意欲を改めて表明した。首脳は、「2050年戦略」で示された将来のビジョンに裏打ちされた、信頼とキズナに基づくパートナーシップにコミットした。首脳は、共通の課題に取り組み、「2050年戦略」の達成に向けた前進を支えるため、共通の関心事項に関する団結及び連帯の重要性を再確認した。更に、「誰一人取り残さない」という原則に沿って、また、最も脆弱な立場にある人々を支えることの重大な必要性を認識し、首脳は、PIF内の小島嶼国グループ特有の開発上の課題や脆弱性に取り組むというコミットメントを再確認した。

5.首脳は、PALM10共同行動計画を、今後のPALMパートナーシップに向けた共有されたビジョンに基づく、協力及び交流のための相互に受入れ可能なプロジェクトの基礎として歓迎した。PIF首脳は、「2050年戦略」に沿った協力・交流のための多数の具体的なプロジェクトを歓迎した。首脳は、日本とPIFメンバーとの間の緊密な意思疎通を通じた、実施状況に関する定期的なモニタリングの重要性について一致した。

6.我々の関係は、共有する価値、原則及び、将来のビジョン並びに相互の尊重及び信頼によって支えられている。PIF首脳は、「オールジャパン」での取組を通じた太平洋地域への日本政府のコミットメント及び今後3年間でしっかりとした持続可能な開発協力の継続及び6500人以上の人々に裨益する人的交流・人材育成プログラムの実施に関する日本政府のコミットメントに関する岸田総理大臣の表明を歓迎した。

PALM9コミットメントの振り返り

7.首脳は、新型コロナウイルスへの対応と回復、法の支配に基づく持続可能な海洋、気候変動と防災、持続可能で強靭な経済発展の基盤強化、人的交流・人材育成というPALM9の重点協力分野において、日本がそのコミットメントを実施したことを歓迎した。PIF首脳は、日本が30年近くにわたりPALMプロセスを通じて一貫

してコミットメントを果たしてきたことについて、日本国政府及び日本国民を称賛した。

8.東京電力ホールディングス(TEPCO)の福島第一原子力発電所からのALPS処理水の太平洋への放出について、岸田総理大臣は、放出は関連する国際的な安全基準及び慣行に沿って実施されているという日本政府の立場を説明し、国際原子力機関(IAEA)と緊密に連携し続けていくことにコミットした。首脳は、IAEAを原子力安全に関する権威として認識し、2023年7月4日に公表されたIAEA包括報告書に留意し、本件に関して科学的根拠に基づくことの重要性で一致した。PIF首脳は、日本との対話を認識し、第52回太平洋諸島フォーラム首脳コミュニケ、特に南太平洋非核地帯条約(ラロトンガ条約)の重要性を想起した。

9.PIF首脳は、太平洋地域の健康、環境及び海洋資源を守るという共通のコミットメントを認識し、太平洋島嶼国に対し、科学的証拠に基づく真摯な説明を引き続き極めて透明性ある形で行い、また、太平洋地域の人々の福祉と生活を危険にさらすような、あるいは人の健康と海洋環境に悪影響を及ぼすような形での放出を引き続き決して承認しないとの日本政府の保証を認識した。岸田総理大臣は、日本政府が、IAEAを通じて本件に関する地域の科学的能力の構築に貢献することを先般決定したと説明した。人の健康を含め、太平洋の海洋生態系の健全性と状況を評価するための地域の科学的能力とモニタリング能力を構築することへの太平洋島嶼国の希望に留意し、PIF首脳は更に、太平洋のために充てられるそのような支援は、適切な場合には、太平洋の関連の地域機関による関与を含め、IAEAによる同地域での関与を通じて提供されるよう要請した。首脳は、上記事項に関する現行の対話プロセスに支えられた形で、ALPS処理水をPALMの常設議題として維持することで一致した。

協力における優先分野

10.今後3年間、PALMの強固かつ永続的なパートナーシップを更に強化するため、首脳は、「2050年戦略」で明記されたテーマ分野に沿って、今後3年間、7つの重点協力分野で緊密に協力することにコミットした。

1.)政治的リーダーシップと地域主義

11.PIF首脳は、パートナーとの関与と唱道において一体性と連帯をもって行動するという太平洋地域の決意を含め、日本が地域のリーダーシップと地域的に築かれた既存のメカニズムを尊重していることを歓迎した。首脳は、太平洋諸島フォーラム域外国対話及びPALM関連会合における日本とPIF加盟国・地域の間の適切なレベルの代表の確保や、野心的な成果の実現を含め、地域アーキテクチャーの中で確立されたメカニズムを通じて、パートナーシップを今後も強化していくことにコミットした。PIF首脳は、リーダーシップの重要性を認識し、あらゆるレベル及び相互に受入れ可能な分野におけるリーダーシップに関する地域的に築かれた能力構築に関するイニシアティブに対する日本の継続的な支援を歓迎した。

2.)人を中心に据えた開発

12.首脳は、誰一人取り残されることのないよう、太平洋地域の人々の安全、安全保障、ジェンダー平等並びに教育、保健、スポーツ及びその他のサービスへのアクセスを確保することの重要性を再確認した。

13.首脳は、「2050年戦略」の達成に向けた前進を支えるとの完全なコミット

メントを再確認し、既存の関連する地域的枠組み・戦略及び持続可能な開発のための2030年アジェンダを認識しつつ、様々な開発課題に効果的に対応するため、人間の安全保障を確保し、協力のあらゆる分野にジェンダー平等及び社会的包摂の視点を取り入れることの重要性を強調した。首脳は、持続可能な開発のための2030アジェンダの完全な実施と全ての持続可能な目標の達成に向けたコミットメントを改めて表明した。首脳は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に向けた進展を加速させるため、ヘルスケア・システムの強化を通じて、非感染性疾患やメンタルヘルスに関する症状を含む保健上の課題に取り組むことへのコミットメントを表明した。

14.首脳は、「2050年戦略」に沿って、繁栄し公平かつ安全な社会を構築し、共通の価値を育むため、地域全体にわたり、経済開発、連結性、地方開発、インフラ、行政、及び法執行の分野を始めとする、経済的・社会的福祉を包含する教育と人材開発を促進する決意を強調した。このような人材育成は、JICAの研修や人材育成奨学計画(JDS)など、多くのプログラムや同じ立場にある者同士の相互交流を通じて支援される。

15.首脳は、日本とPIFメンバーとの間の活発な人的交流、特に現在及び将来のリーダーである若者の交流が、PALMパートナーシップの礎であるとの認識を共有した。首脳は、JENESYS、JICA海外協力隊(JOCVs)、スポーツ交流など、様々なプログラムやネットワークを通じた人的交流の拡大の重要性を強調した。首脳は、PIFメンバーの人々が日本語と日本文化を学ぶ機会を拡大するための日本の努力を歓迎した。首脳はまた、日本とPIFメンバー間のあらゆるレベルでの協力関係を強化するために、友好議員連盟とPALM&Gが果たす役割を歓迎した。

3.)平和と安全保障

16.首脳は、世界の平和と安全に貢献する、平和で安全なブルーパシフィックに向けて協力することの重要性を再確認した。日本政府は、国家主権を尊重しつつ、地域の安全保障上の課題への協調的な対応を確保するための地域の取組を認識し、支持した。岸田総理大臣は、この分野におけるPIFの現行の取組が、地域内外の平和と安定のさらなる確保に寄与することへの期待を表明した。社会的包摂の観点から、首脳は、「活性化された太平洋リーダーズ・ジェンダー平等宣言(PLGED)」との整合性を保つことを含め、女性・平和・安全(WPS)アジェンダを通じてジェンダー平等を推進することへのコミットメントを再確認した。

17.首脳は、いかなる侵略戦争にも反対し、国際連合憲章を含む国際法の目的及び原則に整合的な形で恒久的かつ持続可能な平和を追求することにコミットした。首

脳は、世界のいかなる場所においても、武力による威嚇若しくは武力の行使又は威圧による一方的な現状変更の試みに強く反対することを表明した。首脳はまた、いかなる武力による威嚇又は武力の行使による領土の取得も合法とは認められないという慣習国際法の原則を再確認した。

4.)資源と経済開発

18.首脳は、全ての太平洋地域の人々の社会的・経済的福祉の向上を支援する、環境面で持続可能かつ強靭な経済開発モデルに向けて取り組むとのコミットメントを再確認した。首脳は、貿易、投資、労働移動及び観光の促進、農業、林業、漁業部門などの地場産業の育成、コルレス銀行関係の課題への取組を含む金融の健全性及び包摂性の強化並びに小島嶼開発途上国との多次元脆弱性指数(MVI)に関する国連パネルの作業に留意することを含む財政の持続可能性及び強靱性の強化を通じた地域協力及び統合へのコミットメントを歓迎した。

19.首脳は更に、太平洋地域におけるビジネス・マッチングを促進し、スタートアップ企業を含む民間セクター間の相互学習活動を支えるための取組を加速させるとの決意を再確認した。岸田総理大臣はまた、集団的かつ包摂的な投資経路を確立することにより、マグロ漁業資源からの利益を強化する東ニューブリテンイニシアティブを歓迎した。

20.首脳は、フォーラム島嶼国による意思決定及び優先事項の決定への適切な関与を引き続き確保することを含め、日本とPIFの緊密な協議の継続を通じて、太平洋諸島センター(PIC)東京事務所の互恵的かつ持続可能な長期計画を共同で策定することにコミットした。

5.)気候変動と災害

21.首脳は、太平洋地域の人々が気候変動及び災害の影響に対する強靱性を確実に向上させることの重要性を強調した。首脳は、IPCC第6次評価報告書において、主に温室効果ガスの排出を通じて、人間活動が、摂氏約1.1度分の地球温暖化を明確に引き起こしているとの結果が示されたことについて懸念を共有した。

22.首脳は、気候変動に対する世界的な取組を強化する緊急の必要性を想起し、パリ協定及び各国ごとに異なる状況、道筋及び方法を考慮しつつ、世界の気温を工業化以前の水準から摂氏1.5度の上昇に抑えるためのIPCCの道筋に沿った、2025年までのピークアウト、2050年ネットゼロのための行動と提唱を含む、気候変動における指導的役割の強化に対するコミットメントを新たにした。首脳は、太平洋地域の人々の生活、安全保障、福祉における、存続に関わる唯一最大の脅威である気候変動に対応するための緊急の行動の必要性を改めて表明した。首脳は、COP28において、全ての国に対し摂氏1.5度目標に整合した次の「国が決定する貢献(NDC)」を提出するよう呼びかけたことへのコミットメントを確認した。

23.PIF首脳は、日本の新たなイニシアティブである「太平洋気候強靱化イニシアティブ」の下での、太平洋地域における気候・災害リスクへの取組強化に関する日本政府の表明を歓迎した。日本は、「防災能力の強化」、「クリーンエネルギーの推進」、「島嶼国自身の取組の後押し」の3つの柱に基づくオールジャパンの取組を通じて、気候変動対策と防災対策・ファイナンスにおける協力を強化するために、技術、ノウハウ及び資金を動員する。

24.PIF首脳は、「太平洋強靱化ファシリティ(PRF)」及び「太平洋地域気候対応十年投資計画(WRP)」への支持の呼びかけを改めて表明し、地域主導で開発された太平洋地域の人々を支えるメカニズムに対するパートナーの支持の重要性を強化した。PIF首脳は、日本の協力への期待を表明し、岸田総理大臣が世界の指導者と共にPRFに資金拠出するよう促した。岸田総理大臣は、PRFとの協力を更に模索する用意があること、また、WRPとの協力を強化する意図を有していることを表明した。PIF首脳は、損失及び損害(ロス&ダメージ)に対応するための基金の運用に当たり、日本が1,000万米ドルを拠出したことを認識し、基金の早期運用を支援するため、他のパートナーからの資金拠出を呼びかけた。PIF首脳は、PRFが太平洋地域が保有するロス&ダメージに係る資金のための地域メカニズムとしても認められていることを再確認した。

25.岸田総理大臣は、気候変動に伴う海面上昇による海岸線の後退にもかかわらず、国連海洋法条約(UNCLOS)に従って設定された既存の基線及び海域を維持することは許容されるとの日本の立場を改めて表明し、気候変動に伴う海面上昇に直面する中での海域の維持に関する2021年のPIF宣言を支持した。岸田総理大臣はまた、海面上昇の影響を受ける国家における国家性の継続に関する国際協力の重要性と緊急性を認識し、気候変動に関連する海面上昇における国家性の継続と人の保護に関する2023年のPIF宣言に留意した。首脳は、この前例のない状況に適用される国際法について、国連国際法委員会での議論に貢献することにコミットした。

6.)海洋と環境

26.首脳は、太平洋地域の海洋と環境が持続的に管理され、脅威に対する強靭性を有することを確保するための決意を改めて表明し、フォーラム漁業機関、太平洋共同体、太平洋地域環境計画事務局といった地域機関との継続的なパートナーシップを歓迎した。首脳は、漁業・海洋資源の監視と持続可能な利用、海洋安全保障及び海上安全分野における能力構築と機材等の提供、廃棄物管理と汚染削減、違法・無報告・無規制(IUU)漁業との闘い、太平洋の生物多様性環境と資源の保全といった様々な優先分野にわたる協力の強化に向け、共に取り組むことにコミットした。首脳は、気候変動がマグロ資源に与える影響と、それに関連する社会的・経済的影響を認識し、気候変動に直面する中で、マグロ漁業の持続可能性と利益の流入を確保するため、野心と行動を強化するよう呼びかけた。

27.首脳は、法の支配に基づき、UNCLOS及び国連憲章に反映された国際法に従った、自由で開かれた持続可能な海洋秩序へのコミットメントを再確認した。首脳はまた、全ての国が、航行及び上空飛行の自由を含むUNCLOSの関連規定を遵守することの重要性を強調し、武力による威嚇又は武力の行使に訴えることなく、平和的手段によって紛争を解決することの重要性を改めて表明した。

7.)技術と連結性

28.首脳は、技術と連結性の分野における日本の強みと長年の協力の実績を認識し、太平洋のデジタル変革に関するラガトイ宣言に従って、包括的で安価かつアクセス可能な空・海・陸の輸送及び情報通信技術(ICT)インフラ、並びに強固で強化された監制システム及びサービスを確保する、連結性の高い地域のための取組を強化する意欲を表明した。PIF首脳は、太平洋島嶼国地域のネットワークの現代化と海底ケーブルに関する日本の協力に感謝の意を表明した。

29.首脳は、持続可能な開発を中核に据え、あらゆる人々にとって有益な、「太平洋の質の高いインフラ原則」及び国際スタンダードに沿った、質の高いインフラ及び強固で強化された監制システムの開発における継続的な協力を歓迎した。PIF首脳は更に、国際民間航空機関の要求事項を遵守し、安全・セキュリティシステムを含む航空施設の継続的な改善のための支援を検討する日本の用意を歓迎した。

30.PIF首脳は、太平洋地域におけるサイバーセキュリティ分野の能力構築を支援するとの日本のコミットメントを歓迎した。首脳はまた、事実に基づく強靭な情報環境を確保し、偽情報の拡散に対抗することの重要性についても一致した。

国際場裡での協力

31.首脳は、多国間レベル及び国際場裡におけるイニシアティブ及び取組における日本とPIF加盟国・地域との間の継続的な協力に対する謝意を再確認した。

32.首脳は、平和で安定し繁栄したアジア太平洋地域を確保することにコミットし、この目的に資するものではない急速な軍備増強に懸念を示し、地域の平和と安全を維持するための積極的で責任ある透明性の高い関与を呼びかけた。この関連で、首脳は、国連安全保障理事会(国連安保理)決議に従った、北朝鮮の全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄を達成するための取組の重要性を強調し、北朝鮮に対し、この目標に向けた具体的な行動をとるよう求めた。首脳は、拉致問題の即時解決を含め、人道上の懸念に対処することの重要性を強調した。

33.首脳は、核兵器のない世界の実現に向けたコミットメントを改めて表明した。首脳は、より安定し、より安全な世界を作るための核軍縮・不拡散の取組の重要性、またこの目的に貢献する広範な条約及び軍備管理協定並びに国際的な核不拡散・軍縮体制の礎石としての核兵器不拡散条約(NPT)の重要性を再確認した。太平洋地域の非核地帯への長年にわたる献身を認識し、PIF首脳はまた、PIF首脳にとっての優先事項であり続けるラロトンガ条約の重要性を強調した。首脳は、最近のパプアニューギニアによる条約の批准を含む、太平洋地域における包括的核実験禁止条約(CTBT)の普遍化に向けた取組を歓迎し、CTBTのこれ以上の遅延なき発効を促進し、追求することへのコミットメントを再確認した。

34.首脳は、拡大され、民主的で、公平で、透明性があり、かつ説明責任を果たす国連安保理の重要性を強調した。この目的のため、首脳は、21世紀の国際社会の現実と課題をよりよく反映するために、国連安保理の正当性、実効性及び代表性の更なる向上の必要性を再確認しつつ、常任及び非常任理事国の議席の拡大を含む国連安保理の早期改革の重要性を強調した。首脳はまた、テキストベースの交渉を遅滞なく開始する必要性も再確認した。

今後の見通し

35.首脳は、日本とPIFメンバーが、2050年に向けて太平洋地域で共有するビジョンを共に達成するため、これまで常にそうであったように、互いに強固なパートナーであり続けることを誓約した。首脳は、PALM11に向け、PALM10の主要な成果をフォローアップするため、PALM11に先立ち第6回中間閣僚会合を開催することを決定した。PIF首脳は、2027年に日本でPALM11を開催するという岸田総理大臣の提案を歓迎した。

36.本宣言は、各政府の権限に照らして作成されたものである。

(了)