[文書名] 総理任命に際しての細川内閣総理大臣の記者会見
− それでは、記者会見の方を始めさせていただきます。
まず最初に、総理の方の御希望もありまして、所信といいますか、抱負といいますか、その辺を手短によろしくお願いいたします。
○細川総理 それでは、冒頭に私の方から発言をさせていただきたいと思います。このたび、国会の指名を受けて内閣総理大臣に任命されました細川護熙でございます。
私が政治転換の一翼を担おうと志し、行動を開始してから一年余りの間、全国津々浦々の皆様方から数え切れないほど温かい励ましをいただいてまいりました。私を奮い立たせ、絶えず新たな意欲を与えてくださいました国民の皆様方に、まずもって心より感謝を申し上げる次第でございます。
この度、我が身に課せられた責任の重さは、誠に測り知れないものがございます。と申しますのも、この内閣は単に一時期の政権を担うということにとどまらず、新しい時代の展望を切り開くことがより重要な使命であると心得るからでございます。このような認識から、私はこのたびの内閣を、「責任ある変革」をやり遂げるための内閣と位置づけております。
米ソ両大国を頂点とする世界の二極化は、否応なく日本の政治の二極化をもたらしてまいりましたが、この長く続いた冷戦の時代はもはや過去のものとなりました。この度の選挙結果は、多くの国民が冷戦構造に根差す保革対立の政治に訣別し、現実的な政策選択が可能な政治体制を選択したものと受け止めております。ここに一つの時代が明確に終わりを告げたことを、国民の皆様方と共に確認をし、二十一世紀に向けた新しい時代が今、幕開きつつあることを高らかに宣言したいと思います。
冷戦時代の今までの政治、言ってみれば古い家、役割を果たし終え、音を立てて崩れつつある今、新しい時代のための新しい家の着工が急がれております。その最初の土台づくりに取り掛かることこそ、私ども新政権に対する国民の御期待であり、私どもに課せられた歴史的使命にほかなりません。
今、何よりも重要なことは、国民の政治に対する信頼を回復することであります。そのためには、政治改革関連法案を早急に成立させ、政治改革を実現することが必要なことは言うまでもありませんが、冷戦時代が国内政治にもたらした傷跡を癒すための「国民的和解」の観点に立って、与野党間の関係も「対立から対話へ」、「相互不信から相互信頼へ」、そして「反対のための反対から建設的提案競争の時代へ」と転換していくことが何よりも肝要だと思っております。わだかまりやこだわりを捨て、共に力を合わせて、常に国民に目を向けた政治が我々の原点だということを忘れずに、国民生活の安定と向上につながる施策を大胆に打ち出していきたいと思っております。
今、我々は地球的規模のさまざまな課題を抱えておりますが、私は過去の歴史への反省とけじめを明確にして、平和と国際協調の精神に基づき、これらの世界的な課題の解決に、従来にもまして積極的な役割を果たしていく決意でございます。
このたびの内閣は、八党派によって樹立された、いわゆる連立政権でありますが、私どもは政権の樹立に際し、外交、防衛、経済、エネルギー政策などの基本重要政策について、今までの国の政策を継承することを合意し、既に内外に向かってその旨を表明し、国の基本政策の一貫性と継続性を確認をいたしました。新しい時代のために、政治改革の大儀のために、あえて立場の違いを乗り越えようと努力された各党派の皆様方の決意に、改めて深く敬意を表する次第でございます。
我々は、国民の皆様方が示された歴史的審判が決して誤りではなかったことを証明するため、一致協力して国政の運営に取り組んでいく決意でございます。何とぞ、国民の皆様方の深い御理解と御支援を賜りますよう、心よりお願いを申し上げます。以上でございます。
− それでは、まず幹事三社から十問ほど質問をいたします。
一番最初に、政権の最大課題としています政治改革ですが、この成立へのスケジュールですね。法案要綱をいつごろまでに作成して、臨時国会をいつ開いて、どのくらいの審議期間で成立をさせるか。どういうふうに頭に描いていらっしゃるか、その辺からひとつお願いいたします。
○細川総理 法案要綱は、出切る限り早く各党間で合意が得られるように努力をいたしております。九月の初めに、出来る限り早い時期に臨時国会を開いて御審議がいただけるような状況に出来ればと思っております。
− 成立は年内という。
○細川総理 成立の問題は、勿論繰り返し申し上げておりますように、年内に是非成立するように最大限の努力をしたいと思っております。
− 特に選挙制度の中身ですけれども、八党派で二百五十、二百五十の並立制ということを一応お決めになった経緯がありますが、総理自身もその方向ですか。それでまとめようということですか。
○細川総理 飽くまでも基本は二百五十、二百五十ということを申し上げました。それはそれを軸にしてということでございますから、それを基本として各党間の合意がなされるように願っております。
− 法案は政府提案になりますか。
○細川総理 これは、まだ分かりません。今後、何よりも大事なことは、各党間で合意出来るような内容がどう詰まるかということが第一であって、その内容を詰めていただいた上で検討したいと思っております。
− 次に、政権の性格といいますか、そういうものなんですけれども、先に総理は軽井沢で本格政権を目指すという発言をなさいましたが、一方で選挙制度内閣、政治改革内閣という位置づけもなさっている。政策も違う八会派が集まって一つの政権をつくって、やはり不安定な面もありますね、それで、一般的な見方として、選挙制度改革を軸とした政治改革をやり遂げれば、一つの使命をそこで終えて、政界再編への一つの起爆剤というか、道標といいますか、そういう役割を果たして次を目指すという受け止め方もあるのですけれども、本格政権とおっしゃったその真意というのはどの辺にあるか。
○細川総理 勿論、政治改革関連法案を実現をし、そして国民の持っておられる政治に対する不信を取り除くということが最大の使命であることは、これはもう申し上げるまでもございません。
ただ、今、災害の問題も発生しておりますし、予算の編成もどんどん進めていかなければならないし、景気対策もあるし、あるいはまた日米関係を初めとする内外の諸問題もございますから、政治改革だけがこの政権の使命ということでは勿論ございません。今度の選挙の結果というものは、変化と清新さを求める多くの国民の方々の願望の表れであったと受け止めておりますし、今までの政権のいいところは引き継ぎ、正すべきところは正して、今までの政権のというか、今までの政治のですね。引き継ぐべきところは引き継ぎ、正すべきところは正して、そして何よりも国民の生活の安定と向上のために、出来るだけ機動的に対応出来るような政権というものを目指していきたいと思っております。
− そうすると、政治改革、選挙制度改革が成立した後も、更に引き続き政権の安定を目指してやっていきたいということになりますか。
○細川総理 それから先のことは考えておりません。
− では次に、連立政権そのものについて、幾つか伺います。
七党一会派の連立政権ですので、その基本政策の違いから寄木細工、あるいはガラス細工、もっと厳しい言い方をしますと、野合という批判もありますが、こういう批判についてはどういうふうにお答えになりますか。
○細川総理 これは、確かに八党派による連立ということは日本の歴史の中でも初めてのことでございますから、一抹の不安を感じておられる方々が多いことも事実であろうと思います。しかし、日本の政治の成熟のために、それは一つの過渡的な段階としてやむを得ないことであろうと思いますし、そうした状況というもの、懸念というものが一刻も早く拭い去られるように努力をしていかなければならないことも当然のことだと思っております。
基本的な合意というものが、重要政策についての合意事項というものが八党派の間でなされておりますし、基本的な政策については今までの考え方というものを継承していくということを申し上げているところでございますから、そのような点については私どもはしっかりお互いに協調をし、調整を図りながら適宜適確な対応がしていけるように努カをしてまいりたいと思っております。
今、野合という御批判がございましたが、これは今申し上げたようなことで、野合ということではなくて基本的な合意で明確にその点の確認はし、お互いにこの政権が持っている歴史的な意味を持った政権であるということの認識を確認をしているということでございます。
− 連立政権につきまして、昨日の組閣でも外務、大蔵、通産という主要閣僚を新生党の方が占めていらっしゃいまして、特に新生党に主導権があるんじゃないか。これはまた権力の二重構造ではないかという見方もありますけれども、それについてはいかがですか。
○細川総理 そういうことはございません。適材適所で人材を配置させていただいて、その結果がそういう形になっているということでございます。
− それから、ちょっと失礼な質問になるかもしれませんけれども、総理は熊本知事の経験はおありですけれども国政の方のキャリアはいま一つ不足していらっしゃるんじゃないかという見方がありますが、それにどういうふうにお答えになりますか。そして、どのようにリーダーシップを発揮されていくお考えですか。
○細川総理 確かにおっしゃるとおりでございましょうが、閣内にもそれぞれ各党派から実力者の方々に入っていただいておりますし、私なりの持ち味というものを生かしながら最高意思決定権者としての考え方というものを出来る限りしっかりと進めさせていただきたいというふうに思っております。
− それから、新生党の小沢一郎代表幹事に入閣を要請されたこともあるそうなんですが、この小沢一郎さんという方を総理はどのように評価されますか。
○細川総理 小沢さんは大変力量のある方でございますし、閣僚として入っていただいたらいかがなものであろうかということで御要請もいたしました。小沢さんはというか、新生党は先の選挙でも国民の相当な御期待を受けて多くの方々が当選をしておられるところでございますし、恐らく今おっしゃったのはけじめの問題のことをおっしゃっているんだろうと思いますが、証人喚問でもしっかりとその部分のところは述べておられると思いますし、万が一何か問題があるようなことがあれば辞めるということもおっしゃっておられる訳でございますから、私はそのお言葉を信じております。
− では、続きまして予算編成について伺います。前の政権の基本政策は継承するということなんですが、細川連立政権としての独自色は全くお出しにならないんでしょうか。
○細川総理 これは、八月中に概算要求を締め切って九月から予算編成に掛かるということでございますが、年内編成を終えるようにやっていくということでございますが、出来る限り特色が出せるように、特に生活の質の向上という面で、こういう厳しい財政の状況下でございますが、今までの士分主義と申しますか、硬直的な配分というものを思い切って改めて、生活の質の向上というところに出来る限り重点的な配分をしていきたいというふうに思っております。
− それから、所得税減税なんですが、最近ちょっと言い方が変わったようなんですけれども、社会党、公明党などかねてから所得税減税を主張していましたし、それから防衛費につきましては社会党がかねてから削減を主張していましたが、ここら辺はどのようにお考えですか。
○細川総理 減税の問題については、今このような厳しい財政状況でございますから、なかなか簡単に減税を考えるという環境ではないと認識をしております。防衛費の問題については、これも中規模の前倒しの削減ということを昨年末にやったばかりでございますが、財政状況もこういう状況でございますから、今後これもしっかり検討をしてまいらなければならない課題だと思っております。
− それと、政権の中に原発にどちらかというと慎重な社会党が入っていますけれども、原子力政策はとのようにお考えですか。
○細川総理 これは、エネルギー源の多様な組み合わせをどうするかということとタイムスケジュールとの兼ね合わせの問題で、言い換えればそこをどう現実的に考えていくかという問題に尽きると思っております。勿論、原子力の安全性ということについては十分留意をしていかなければならないと思いますが、そこは現実的に考えていくしかないんじゃないかというのが基本的な考え方です。
− 続きまして財政の話を伺いますが、かなり巨額の歳入欠陥が見込まれているんですけれども、それをどうにかして埋めなければいけないという問題があります。その財源として赤字国債あるいは消費税率のアップは考えていらっしゃいますか。
○細川総理 考えておりません。赤字国債ということについては、出来る限りこれ以上、百八十四兆でしたか、これだけの公債残高を抱えているという状況の中で特例公債に更に依存するということは出来る限り避けなければならないことだと思っておりますし、消費税率の問題についても、この間題は全体の税体系のバランスの中で考えていくべきことだ。景気対策としてそういうものは考えておりません。
− ちょっと見方を変えまして、歳入欠陥と切り離して税制全体を見て考えた場合に、いわゆる直間比率の見直しについてはどのようなお考えですか。
○細川総理 これは税調でこれから御審議いただく訳でございますから、そういう中でそういう御議論が出てくるかもしれませんが、いずれにしても税体系全体のバランスをどう考えていくか。その辺のところは、その御議論を見守ってよく検討させていただきたいと思っております。
− それでは外交問題に移りますが、日本外交の基軸である日米関係について、どういう基本姿勢で臨まれるのか。まず最初にそれをお伺いしたいと思います。
○細川総理 これはおっしゃったように、日米関係はまさに我が国の外交の基軸であろうと思っておりますし、その関係が今まで同様に、あるいは今まで以上に円滑な形として運営されていくように努力をしていくことは当然のことだと思っております。やはり、世界の中で日米両国の関係がどうなるかということは、両国間の問題のみならず世界全体の問題として大きな意味づけを持っていることでございますから、その両国関係の円滑な運営については細心の注意を払っていきたいと思っているところです。
− 最大の懸念である貿易不均衡解消問題なんですが、これについてはいかがでしょうか。
○細川総理 これは両方でそれぞれ努力をしなければならないことがあろうと思いますが、日本としては内需主導型の経済成長というものを続けていかなければならないということもありましょうし、規制の緩和であるとか、消費者重視の政策を進めていくことであるとか、あるいはアクセスの拡大であるとか、いろいろなことがあろうと思いますが、アメリカ側においても財政赤字の削減の問題であるとか、法案も通ったようですが、そうしたこともございましょうし、また競争力をつけていっていただかなければならないといったような、そういう中期的な目標にしっかり取り組んでいただくということも必要であろうと思っております。
− 今おっしゃったような問題を、早期解決のためにクリントン大統領と訪米されてお会いする計画は具体的に今、進んでいるんですか。
○細川総理 九月の末に国連総会がございますから、そのときに国会との関係もございますが行けるのかどうか。それは今後、国会の動向もにらみながら検討させていただきたいと思っております。
それから、十一月の末でしたか、APECの会議がアメリカ側から呼び掛けがあるようでございますから、そこに出掛けて行くことが出来るかどうか。これも、国会との関係もございましょう。その辺のところを勘案しながら考えていきたいと思っております。
− ロシアの関係に移らせていただきますが、エリツィン大統領が十月に来日の予定ですけれども、日本政府としては拡大均衡の立場をとっている訳ですが、まずロシア政策全般について総理のお考えを聞かせてください。
○細川総理 何と言っても、第一には領土問題を解決して平和条約を締結する。そのことによって、完全な正常化というものをもたらすということが第一だと思いますし、第二にはロシアの国内でロシアで行われている努力というものを支援をして、日本として応分の支援をしていくということに尽きるんだろうと思っております。そうしたこととの関連で、エリツィン大統領の来日というものも今、調整を図っているところです。
− 今、応分の支援策というふうにおっしゃいましたが、具体的には何か検討に着手していらっしゃるんですか。
○細川総理 まだ具体的にはなっておりません。
− 両国関係の正常化に向けて、具体的な道筋についてはいかがでしょうか。
○細川総理 これも、今申し上げたようなことを粘り強くやっていくということに尽きると思います。
− 連立政権ですが、国連平和維持活動、PKOについては社会党も参加しているということもあるんですけれども、いわゆるPKO五原則については内閣としてはこれまでとおりの対応を取られるというふうに考えていいんでしょうか。
○細川総理 連立与党の基本合意の中でも継続性ということを言っておりますし、五原則を含む平和協力法というものを進めていくということだと思います。
一 先ほど、秋の国連総会に出席される意向を示唆されましたが、具体的に国連総会に出られた場合、日本のいわゆる安保理の常任理事国入りが議題になると思うんですけれども、これについて総理自身は積極的に対応されるのかとうかをまずお伺いしたいんです。
○細川総理 積極的に対応するというのはどういうことか分かりませんが、こちらから求めて積極的に動くということではなくて、自然体で日本もこれだけ国際社会の中で役割を果たしている訳ですから、そのような立場になることは歓迎だと思っておりますし、また国連総会の中で、これは国連憲章の改正も要する大きなテーマでしょうが、そうしたことが総会において論議されることは大変結構なことだと思いますし、積極的にその論議には参加をしていくべきだと思います。
− その場合、PKOの協力拡大を各国から求められるケースも考えられると思うんですが、これについてはいかがでしようか。
○細川総理 常任理事国の話と、PKOの話とはちょっと別問題だと認識をしております。
− また経済問題に移りますけれども、いわゆるウルグアイ・ラウンドの決着に向けて細川政権として具体的にどういうスケジュールでどういうふうに行動されるかをお伺いしたいと思います。
○細川総理 これは、海洋国家として自由な通商の体制を築き上げていくということを守っていくということは、日本にとっての最大の国益でありましょうから、それは何とかウルグアイ・ラウンドというものが成功するような方向で努力をしていくということは当然のことだと思います。七月の東京サミットでも、年内の終結に向けてのメッセージが出されておりますし、八月の末からジュネーブでの交渉も始まる訳ですが、その年内終結に向けての努力というものを引き続きしていきたいということだと思います。それに尽きるのではないでしょうか。
− 国民的関心から言えば、米市場の開放問題というのも一つの焦点だと思うんですけれども、これについてはいかがでしょう。
○細川総理 これについては、国会の決議もございますし、八党の合意というものもございますから、そのような方向で対処していきたいと思っております。
− では、フリーの質問に移ります。各社、どうぞ。
− 二点ほどお尋ねしたいと思いますけれども、今回の連立政権が極めて短時間の間に政権合意に至ったということもあるんでしょうけれども、国民の間から、この政権は非常に分かりにくい。どういうことをこれからやろうとしているのか、期待もあるんだけれども不安も大きいという声が出ておるんですけれども、その辺には今後どういう具合に対応されていきますか。
○細川総理 先ほども申し上げたように、連立というのは、特にこれだけの八党派による連立というのは初めての経験でございますから、多少その点について懸念を持たれる方々が多いことも、それはやむを得ないことであろうと思っております。出来る限り、今後分かりやすく、国民に向いた政治を進めていくために努力をしていきたいと思っております。
− 何かこういう記者会見をこれまでより増やすとか、特別に国民向けの演説をなされるとか、何かひと工夫考えておられますか。
○細川総理 出来る限り工夫をしてみたいと思います。
− それに関連してお尋ねしますけれども、先ほど総理のお話に、現在の八会派による連立政権は過渡的なものだとおっしゃいましたね。総理の結成された日本新党は明確に保守新党を掲げていらっしゃいます。それで、総理御自身が将来の日本の政治システムとしてはどのような形を想定されているのか。はっきり言いまして、保守二党論をお考えになっているのかどうか。
その点と、それに関連しまして、仮に選挙制度が改正された場合に、自民党に対抗する形で連立与党が統一名簿で選挙戦を戦いになるお考えでしょうか。
この二点についてお尋ねします。
○細川総理 日本新党は、保守とか革新とかということを申し上げたことはないつもりでございます。保守新党ということを申し上げたことはございません。保守とか革新とかという言い方は、余り使わないようにしてまいりました。そういう分け方ではなくて、従来の保守とか革新とかというものの枠組みを超えた、もっと新しい時代に向けての枠組みというものがあり得るのではないかということを申し上げてきたところでございます。
これからの形としてはどういう形になるかということでございますが、二大政党という形になることが果たして健全な姿であるかどうか。幾つかの政党が、八つとか十とかというのは多過ぎるのかもしれませんが、もう少し大きなグループごとに幾つかのものが軸になって、それが穏健な連立政権という形になっていくことが、国民の多様な価値観というものにおこたえをしていくことの出来る姿ではないかと、私は個人的にはそう思っております。
しかし、今後の政治改革の法案との関連の中で出てくる話でございましょうが、統一名簿をつくるかどうかといったようなことも、その中で当然議論になっていくと思いますが、そのことが結果的にどういう政党の形を構築していくか、どういう政治分布というものをつくっていくか。それは、大変私にとっても興味のあるテーマだと思っております。
− 関連ですけれども、並立制というものは結果として二大政党制により強く、そういう状況をつくっていく方向につながるんじゃないかという、そういう認識はございませんか。
○細川総理 これは官房長官が御専門ですが、併用制というものがどのくらいの割合になるのか。それによってかなり多様な価値観というものが吸い上げられるような選挙制度というものになる訳でございましょうし、政治システムというものになる訳でございましょうから、必ずしもそれで二大政党というものが促進をされていくことになるのかどうか。必ずしもそうではないのではないかと思っております。
− その点に関連して、かねて政治改革、選挙制度改革ですが、衆議院と参議院とワンセット論という形になりますね。それで、今、比例代表の並立制ということになりますと、多分非常に基本的には参議院と衆議院が同じような形になりかねないということについてどうお思いになるかということと、もう一点は選挙制度改革で必ず言われてきたことの一つは定数是正、定数削減ですね。四百七十一の原点に戻るということが今、自民党や共産党からも出ている訳ですが、その辺についてはどうお考えですか。
○細川総理 参議院の問題は、いずれ御議論をいただかなければならない問題だろうと思っておりますが、当面は衆議院の選挙の制度の改革の問題にまず取り組んでいくということであろうかと思います。
定数の問題は、これもいろいろ御議論のあるところで、確かに本則にはそう書いてございますが、これだけの一億二千万の人口で四百七十一というのが果たしてそれで適正な規模であるのかとうか。もっと多くてもいいのではないかという御議論もございますし、また区によって現に多いところもございますし、それは選挙制度審議会などで今度また御論議もいただかなければならないことでありましょうし、国会でも十分御論議をいただくことであろうと思っております。
− ワシントンポストの者ですが、日本は今、世界中の国と貿易の黒字をつくっていますね。黒字を減らすのは、細川内閣にとってどのぐらい大事な仕事ですか。
○細川総理 これは、非常に大きな優先的なテーマの一つだと思っております。それを減らしていくための具体的な方策については、先ほど申し上げたとおりです。内需の拡大、そのための規制の緩和、生活重視の政策を進めていくこと、あるいは市場アクセスの拡大、いろいろなことがあろうと思います。そうしたことを着実に進めていくということに尽きると思います。
− 自由な通商政策を求める日本の基本的な政策と、米市場の開放をしないということとは基本的に矛盾しませんか。
○細川総理 米市場の開放については、先ほども申し上げたように、国会決議というものもありますし、あるいは八党の合意というものもございますから、その辺をやはり踏まえて対応していかなければならないということを申し上げた訳で、今後しかし一方では後継者もどんどん減ってきておりますし、また米が果たして受給出来るような状況がずっと続いていくのかどうかといったような客観的な状況もございましょう。そうしたことを総合的に考えながら判断をしていかなければならないことではないかと思っております。
− 政治改革に戻って恐縮なんですが、年内に成立を期すというお言葉ですけれども、これは総理の政治的公約と受け止めてよろしいんですか。
○細川総理 結構でございます。
− ということは、仮に年内に成立が出来なかった場合には何らかの政治的な責任をおとりになると解釈してよろしゅうございますか。
○細川総理 そういうことでございます。
− 先ほとの小沢さんの問題に戻りたいのですが、先ほど総理がおっしゃったことは、小沢さんのけじめはついていらっしゃるというふうにお受け取りしてよろしい訳ですか。選挙期間中に日本新党、さきがけの皆さんが小沢さんの問題についてけじめはついていないと、いろいろマスコミでもそういうような御返答、アンケートに答えられたりいろいろされているようですが、政権が出来て急に変わったという、そのターニングポイントはどこだったのかということと、けじめがついていらっしゃると考えていらっしゃるのかとうなのか。その辺をお願いします。
○細川総理 けじめがついていないと申し上げたことは一遍もございません。それは御自身が判断なさるべきことであろうということは申し上げました。
− その小沢さんが、昨日選挙制度改革が出来れば解散した方がいいとか、そのように総理の頭越しでそのような発言をされたんですが、そういう事態についてはどのようにお考えになっていますか。
○細川総理 解散の問題は軽々に論ずるべきことではないということだと思います。それはこちらが判断をさせていただくことであって、人それぞれにいろいろなお考え方はございましょう。
− 以前、首相は集中豪雨に遭った鹿児島を訪問したいという趣旨の発言をなさいましたけれども、今でもその気持ちはお変わりありませんか。
○細川総理 まず、今日国土庁長官に行っていただけるようでございますから、行っていただいて、また他の関係大臣も行っていただくことになるかもしれませんが、とにかくその状況を適確に把握をした上で対応してまいりたいと思っております。
− 先ほど総理は、過去の歴史の反省を明確にして平和のために努力したいというふうにおっしゃいましたけれども、その反省の表し方をどういうふうにお考えになっているかということと、その一環として関連で被爆者援護法についてなんですけれども、これまでは参議院で九野党の共同提案で二回可決された経過があるんですけれども、新政権になってどう対応されようとしていらっしゃるのか。この二点を聞かせていただけますか。
○細川総理 この問題については、今後よく検討させていただきたいと思います。
− 戦争への反省とおっしゃるときに、この前の戦争については基本的にどういう戦争であったという御認識なんですか。
○細川総理 私自身は侵略戦争であった、間違った戦争であったというふうに認識をしております。
− 先週の段階で所信表明、国会延長をやらないことにして、それで国会で選挙を行ったんですけれども、今週の段階で延長になって表明することになったんですけれども、これはなぜでしょうか。
○細川総理 所信表明演説をやらないということは申し上げてまいりませんでした。所信表明は、今はやらないということでなくて、臨時国会を早く開いて、その臨時国会で所信表明をしたらいいのではないかと。今は、とりあえず今はというのは昨日までの時点でございますが、今はまだ政治改革の法案の準備なり、あるいは予算も今、大事なときでございますから、その予算の準備を粛々として進めていくということが、筋道としてはその方がいいのではないかということを申し上げてきたわけです。
− では、金曜日の段階ではそういう選挙の前の交渉は行っていないというか、決断が出なかったということですか。
○細川総理 昨日の前の段階ですか。
− 金曜日です。
○細川総理 とにかく、それはやらないということではなくて、出来るだけ早く、特別国会は院の構成だけで、議長の人事とか、議運の委員長とか、その指名とか、そうした院の構成だけで閉じて、そして臨時国会を早く開いて、そこでやったらいいではないかということを申し上げてきた訳です。
− 連立政権になって、八党会派の政策の調整というのは、どういうレベルで、どういう人たちによって行われるんですか。それと、党と内閣の方との関係というのは、今まで自民党政権と政府与党と、党は一つだったんですけれども、今度は八党会派でございますので、その辺はどういうふうにしていかれようと思っていらっしゃいますか。
○細川総理 これはいろいろなレベルがあると思いますが、各党の幹事長、書記長クラスの方々のそうしたレベルもございましょう。閣議そのものが一種の党首会談のような形にもなっておりますが、政策担当者レベルの会合もございましょう。そうしたものをいろいろなレベルで積み重ねていって、出来る限り円滑な意思疎通ができるようにしていかなければならないと思います。
− 先ほどの戦争の反省の絡みもあるんですけれども、八月十五日は終戦記念日ですが、総理としては靖国参拝はなさるおつもりでしょうか。
○細川総理 これは今までのいろいろな経緯もございますから、慎重に、それこそ文字どおり慎重に判断した上で決定をさせていただきたいと思っております。
− 閣僚の中では、公人として参拝したいとか、私人として参拝したいとか、参拝はしないとか、いろいろ御意見が分かれているようですが、内閣として統一した行動なり、展開なりを出されるおつもりはございますか。
○細川総理 ございません。
− それは、各人の判断に任せるということですか。
○細川総理 それは個人の価値観に関する事柄でございますから、内閣としてそういうことは考えておりません。
− 公人として参拝する場合も、それを認めますか。
○細川総理 そのことについては、これから慎重に検討したいということをさっき申し上げた訳です。
− 水俣病の問題のお尋ねですが、総理が熊本県知事時代に和解協議を米国の方々と始められた訳ですけれども、その当時、和解に参加しない国に対して総理は批判をされてきた訳ですが、現在総理大臣になられてどう解決されようとお考えでしょうか。
○細川総理 早期解決が望ましいことは、これは申し上げるまでもございません。和解もその一つの方法であろうと思っておりますが、今までの経緯もございますから、その経緯も踏まえて早期解決に向けて何が最善の道かということを真剣に考えてみたいと思っております。
− 外交問題で二つお尋ねしたいんですが、まず日米の貿易黒字の問題で、来月から枠組み交渉があるんですが、そのときアメリカ側がいわゆる数量指定とか、管理貿易化の動きがあった場合、それにどういう対応を考えていらっしゃるか。
もう一つは国連の平和維持活動の協力で、ガリ事務総長の平和執行部隊構想、これに対してどういうお考えを持っていらっしゃるか。この二点をお願いいたします。
○細川総理 さっきも申し上げましたように、自由貿易と市場経済原則というものにのっとって日米双方の努力で不均衡の改善を図っていくということが当然のあるべき姿だと思っております。そうした観点から考えると、数値目標とというものはその原則から言うと少し外れた話ではないかというふうに認識をいたしております。
ガリさんの平和執行部隊の問題については、やはりPKO範囲の問題というものについて、あるいはPKFとか何とかいった、そうした範囲の問題について、事務総長の判断でいろいろその範囲が広がったり縮まったりするということはいかがなものであろうかという感じもいたさない訳ではございませんが、これは国連の問題でございますし、我が国としてはPKOの五原則というものもある訳でございますから、そうしたものに沿って、その原則の下で今後も進めていくということに尽きると思っております。
− 日本の平和執行部隊の参加状況についてどういうお考えですか。
○細川総理 まだそんな段階ではないと思っております。
− PKOについてですけれども、連立与党の中にはPKOについてさまざまな立場の党派が入っている訳ですが、総理自身もまたPKOについては別組織論をかねて持論としている訳でございますが、そのお考えは今もお変わりはありませんか。
それともう一点ですけれども、国連から新たなPKOが日本に求められたときに、基本的にはどのように対処されるおつもりですか。
○細川総理 これは、先ほどのお答えに尽きていると思いますが、連立与党の基本合意の中で継続性ということを言っている訳でございますし、五原則を含む平和協力法に基づいて進めていくということに尽きるということでございます。私個人としては考え方はいろいろございますが、これは基本合意で、その継続性をはっきりとうたった訳でございますから、それに従ってまいります。
− 水俣病の関連ですが、和解を判断されたときの知事のときのお気持ちと、今のお気持ちと余り変わりないというふうに理解してよろしいんでしょうか。
○細川総理 気持ちは変わりございませんが立場が変わりましたので、なかなか難しい立場に立たされているということでございます。
− 選挙制度改革なんですけれども、総理はさっき政治公約だとおっしゃいまして、それから九月の初旬に臨時国会という割には、例えば法案の形式はどうするのか。何か具体的ななかなか日程が詰まっていないように思うんですけれども、その理由はどうなんでしょうか。一方で、閣内に政治改革担当相というポストを設けて、姿勢は見えるんですけれども実態がなかなか我々はよく分からない。それについてはっきりお答え願えますか。
○細川総理 まだ内閣がスタートしたばかりでございますから、これから出来る限りスピードを上げて詰めていかなければなるまいと思っております。そういうことでよろしゅうございますか。
− 例えば、政府提案か議員提案ですか、その辺の判断がつかないのはどういう理由でしょうか。
○細川総理 これは、今申し上げたように、その特質がいろいろございますから、どちらがより望ましい姿であるかということについて、出来る限り早いうちに決断をしたいと思っております。
− 政府提案と議員提案の特質というのは、具体的には何ですか。
○細川総理 それは、早く通るかどうかということですね。
− それだけですか。
○細川総理 そうです。
− 先ほどの、いわゆる政治改革と、そして解散のことにちょっと戻るんですが、一つの政治論として、勿論解散の時期というのは当然総理の裁定による訳ですけれども、政治改革の法案が通ったら、それは通したということは、それによつて{前3文字ママ}いち早く新たな設置体制をつくれという目的が多分あるのではないかと思うんです。
ただ、それと実際の国政運営、例えば外交ですとか、経済運営ですとか、そういう問題がどちらが優先するかという時期が来ると思うんですが、その辺については基本的にどういうお考え方をお持ちですか。
○細川総理 それは、そのときにどういう、おっしゃるとおり外交的な案件なり、あるいは内政上の課題なり、どうしたものがあるかということもあろうかと思いますから、今の時点では何とも申し上げられません。
ただ、政治改革関連法案が通りましても、区割りの法案というものもございましょうし、周知期間というものもありましょうし、そうしたこととの関連も出てまいりましょう。
− 政治改革で重ねてお聞きしますけれども、解散も宮沢政権も政治改革が実現出来なくて退陣に追い込まれた訳ですけれども、今回政治改革担当相と自治相に社会党を起用しましたね。実際、自民党内でも並立制では答案決定されているものの、こういう連立政権下できちんと社会党を説得して実行出来るのか。出来なかった場合の御覚悟は出来るのか。改めてそこをお聞きしたいんです。
○細川総理 決意については、先ほど申し上げたとおりです。それぞれ各党の中におきましても真剣な御努力をいただけるものと期待をしております。
− しつこいようですけれども、さっきの被爆者援護法に関連してなんですが、昨日、大内厚生大臣は内閣全体の問題としてよく話し合っていきたいというふうにお話になっているんですが、総理としてはどういうふうな形で取り組まれようとされていますか。
○細川総理 おっしゃるとおりです。
− 総理の憲法観ですが、見直しの必要性の有無を含めてお伺いしたいと思います。
○細川総理 憲法を尊重していくということです。
− 北朝鮮との日朝交渉がしばらく途絶えていますけれども、対北朝群外交についてはとうお考えですか。
それからもう一点、NPTですけれども、これは無期限延長というお考えなんでしょうか。その場合、無期限延長の場合は核保有国の固定化ということもありますけれども、その点についてはいかがですか。
○細川総理 NPTの問題は、昨日外務大臣もおっしゃっていたとおり、それを支持していく。無期限の延長を支持していくということです。その辺の状況も、勿論今後の関係に大きなかかわりを持ってくる話だと思っております。
− 北朝鮮はいかがですか。
○細川総理 北朝鮮との関係に、そうした問題もいろいろ影響してくる問題であるという認識でございます。
− 所信表明もさることながら、その後、臨時国会で委員会審議があると思うんですけれども、これまで首相答弁は肝心な場面になると政府委員という制度でかなり逃げてしまった部分があると思うんですが、その辺、政府委員制度についていつごろからどのように改めていかれるおつもりなのか、お伺いしたいと思います。
○細川総理 これはやはり政治改革関連法案の中でそういうことが御議論いただけるかどうか。そういう中身がもし詰まってくるならば、それは大変結構なことだと思っております。
− それまでは、例えば予算委員会など従来とおり・・・・・。
○細川総理 それは、ある程度やむを得ないことだと思っております。細かいいろいろな事実関係などを聞かれてお尋ねが出来ないということもありましょうから、そうした問題について後刻全部データで示せということならば、それは可能だと思いますが。
− そうすると、基本的には飽くまでも補佐という立場で、重要な部分は御自分でという姿勢は示されていくということですか。
○細川総理 それはそういう形に出来れば結構だと思いますが、今すぐそこまでにわかに改められるかどうかということは、今後国会の中でも、各党の間でも十分御論議をいただければと思っております。
− 経済政策ですけれども、総理は不況の克服ということを経済政策の中で言っておられるんですが、具体的にどのような方策で回復に向けた努力をされていくのか。あるいは、追加的な景気対策をされていくのかどうか。そこら辺をお聞きします。
○細川総理 指標も、何と言うんでしょうか、まだら模様とでも申しますか、指標によってはいいものもございますし、悪いものもある。一言で言えばまだら模様と言ったらいいのかもしれませんが、とにかく景気が低迷をして、それが長期化することを気づかっているということでございます。
しかし、バブルの後遺症とでも言うべきこのトンネルを何とかクリアしていかなければならない。それを乗り越えていかなければならない。これは、やはり越えていかなければならない一つの道筋なんだろうというふうに思っております。四月の総合経済対策の状況というものが、まだ効果がそれほど顕著に出てきておりませんが、これから出てくるということでございましょうから、その執行についてそれが着実に行われていくように、その辺のところをしっかり見守っていきたいというふうに思っております。
− その関連で、総理大臣としての最初の演説になる所信表明ですが、今まで総理大臣の演説というのは各省がそれぞれ部分的に担当分野を書いて、それを寄せ集めて、それに細川政権であればちょっと彩りを付けるというやり方だったんですが、これを根本的に変えられるおつもりはありますか。
○細川総理 今日のものも自分で書きました。出来る限り、自分のカラーを出したいと思っております。勿論各省庁から、これだけは是非というお話があろうと思いますが、極力自分の持ち味が出せればと思っております。
− お話は変わりますけれども、総理は国会議員であらせられるんですが議員バッジを付けていらっしゃらない。これは、どうしたことなんですか。
○細川総理 国会に入るときは必要な記章でございましょうから付けなければなりませんが、いかなるバッジでも余りそういうものを付けることは趣味として好きではないものですから、出来るだけ外しております。
− やはり、権威をかさに着たくないという御発想ですか。
○細川総理 そういうこともあるかもしれません。
− 端的にお伺いしたいんですけれども、細川政権は自民党政権とここが違うんだというものは何なんですか。テーマとしては感じは一緒ですか。
○細川総理 体質も、感性も、やり方も、全部違うと思います。
− では、具体的な政策課題はどうですか。
○細川総理 政策課題も違うと思います。
− それに関連してですけれども、政官財のいわゆる癒着、あるいはもたれ合い、これを正すためにどのような具体的なお考えをお持ちですか。
○細川総理 これは、いろいろな方向、アプローチがあろうと思いますが、行政改革の答申の中でも、私もその中におりまして、今までさまざまな答申にもかかわりを持ってまいりましたし、今までに出されましたいろいろな提言の中にもいいことがたくさん含まれておりますから、やらなければならないことがたくさん含まれておりますから、そうしたものを出来る限り思い切ってやるかどうか。要は、実行の問題だけだと思っております。出来る限りやっていきたいということです。
− 関運して、鈴木行革審が十月に任期切れになるんですけれども、その後の行革の進め方をどのように考えますか。従来の行革審型のスタイルでいくのか、あるいはもっと権限を持ったものにしていくのか。政治改革が終わった後の話なんですけれども、お願いします。
○細川総理 それから先のことは、まだ考えておりません。今後よく政府の中で検討させていただきたいと思っております。
− 昨日、憲法第九条と自衛隊の現状を考えれば明らかに矛盾しているということは小学生でも分かるとおっしゃった大臣がいらっしゃったんですけれども、総理御自身はどのようにお考えですか。
○細川総理 違憲とは言えないという判断です。
− 総理は先ほどから八党の合意ということをたび重ねて言われますが、国際社会の中で即座に対応しなければいけないような問題が発したときに、例えば昨年PKO法成立のときに、社会党はあれだけ牛歩をしてきた訳です。そういう性質を持った政党が八党の中に現実におられると、そうした場合、国政の渋滞を招くのではないかというような懸念が国民に必ずあると思うんですが、それに対してその国民の不信をどういうふうに払拭するのか、国民に対して一言お願いいたします。
○細川総理 そのための八党合意ですから、その合意に従ってやっていっていただけると確信をしております。
− 米の話なんですけれども、先ほど国会決議と八党の合意を踏まえて対応していくとおっしゃられましたが、これは米の関税化には応じられないという姿勢と受け止めてよろしいんでしょうか。
○細川総理 先ほど申し上げたとおりです。
− 国政の運営について、先ほど前半の部分で総理は、御自身の持ち味を生かしながらとおっしゃっていましたけれども、御自分で御自身の持ち味というのはどういうふうに思っていらっしゃいますか。
○細川総理 やるべきことはやるということです。簡単にやるということです。
− 政策づくりの透明性を確保するために情報公開は重要だと思いますけれども、情報公開法についてはどのようにお考えですか。
○細川総理 多くの自治体が既に実施をしておりますから、国としても出来る限り前向きに考えていくべきだと思っております。
− 昨日も閣僚の方にお聞きしたんですけれども、ゼネコンからの献金の(不 明)。
○細川総理 私自身ですか。私自身も数社からいただいておりますが、今はございません。ちゃんと規正法に基づいて届け出て処理をいたしております。
− 細川さんが総理になられる過程というのは、どうしても私たちにはいま一つ見えなかった訳ですが、御自身が総理を受けようという決意をされたのはいつごろですか。
それからもう一点、七月二十二日に小沢さんと会談をされた際に、そういうことを持ち掛けられたという説がありますが、これは本当かとうかをお聞きしたいと思います。
○細川総理 私はその具体的な日にちは覚えておりません。これだけ毎日慌しく動いておりますから、その記憶はございません。小沢さんのみならず、各会派の方々からそのようなお話が最終的なところであったことは勿論でございます。
− 御自身が最終的に決断をされたのはいつごろですか。
○細川総理 何日かと言われても、ちょっと思い出しません。思い出しませんが、ぎりぎりのところでそういう状況になってきたということです。それが二十七日だったか、二十八日だったか、そこのところは覚えておりませんが。
− 政治改革に関連して、地方分権というのは非常に重要な柱だと思うんですけれども、具体的にどういうところから優先的に取り組んでいかれるんですか。
○細川総理 これは大きなテーマですが、内閣としてもとりあえずは政治改革ということに最優先の目標として取り組んでいきたいと思っておりますが、地方分権というテーマも行政改革の大きな柱として今後出来る限り積極的に取り組んでいくような体制が出来ればと思っております。
− それでは、時間がまいりましたのでこれで終わらせていただきます。