データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 国連総会の際の内外記者会見における細川内閣総理大臣の冒頭発言

[場所] 
[年月日] 1993年9月27日
[出典] 細川演説集,46−47頁.
[備考] 
[全文]

一、国連総会

(一)自分の最初の外国訪問を国連総会出席としたのは、新政権発足後、できるだけ早い機会に新政権の国内的・対外的な政治姿勢を国際場裡で明確にしたいと考えたためであります。

(二)総会演説においては、新政権の推進する国内改革への決意を述べ、また、今日、国際社会が直面する四つの重要な問題(軍縮、予防外交、経済開発、地球規模的問題)とこれらへの取組み、また、国連が取り組むべき三つの改革(PKO、安保理、行財政)につき、自分の考えを述べました。

(三)ブトロス=ガーリ事務総長及びインサナリ総会議長からは、国連に対する日本の協力へ謝意の表明があり、自分からは、財政面のみならず、平和維持活動を含め、国連に対する日本の積極的な協力姿勢は不変である旨説明しました。

(四)実際に総会の場で一八四ヶ国の代表を前にし、また、事務総長及び総会議長と会談し、冷戦終焉後の国連の役割が一層重要になっていることを実感いたしました。

二、日米首脳会談

(一)また、本日、クリントン大統領と一時間にわたり胸襟を開いて会談し、共に変革を標榜する「改革の同志」として「改革の断行」を期して全力をつくし合うことを確認しました。クリントン大統領も自分も冷戦後の世界に相応しい新たな国造りを推進するという、共通の歴史的使命を背負っていると感じました。

(二)今回は、クリントン大統領との初の公式会談でしたので、日米関係の基本的枠組みについて再確認いたしました。

 特に、今日においても日米安保体制を堅持していくこと、日米関係を、(1)政治・安全保障、(2)グローバル協力、(3)経済関係の三本柱に立って、バランスよく発展させていくことが重要である点につき、意見の一致を見ました。

(三)言うまでもなく、冷戦後の国際社会の平和と繁栄のためには、世界全体のGNPの約四割を占める日米間の円滑な協力関係が不可欠であります。このような観点から、会談では、URを含め世界経済の回復のための課題につき話し合うと共に、中東、ロシア、北朝鮮、中国、更には冷戦後の国際秩序の在り方についても意見交換しました。

 自分は、クリントン大統領との個人的信頼関係を基礎に、この世界で最も重要なパートナーシップの成功を将来にわたって確保するため、今後とも大局的な見地から日米関係の舵取りに努力してまいりたいと思います。

三、日露関係

 ニューヨークにおける日露外相会談において、エリツィン大統領が来月十二日から我が国を公式訪問されることが決定されましたが、エリツィン大統領の訪日を心から歓迎するとともに、これが、これまでの交渉の基礎の上に立った領土問題解決に向けての重要な出発点となることを心から希望いたします。

{(1)、(2)、(3)、は原文ではマル1、マル2、マル3}