データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日米首脳会談後の共同記者会見における村山内閣総理大臣の冒頭発言

[場所] 
[年月日] 1995年1月11日
[出典] 村山内閣総理大臣演説集,139−140頁.
[備考] 
[全文]

 戦後五十周年の節目の年の初めに当たりまして、私とクリントン大統領は、日米両国民が五十年にわたって築き上げてきた今日の日米関係が如何に重要であるかを確認をし、また、日米関係を未来に向け更に発展させていくことで合意を致しました。この機会に私は、戦後米国が我が国に寛大な支援を惜しまなかったことに対しまして謝意を表明を致しました。

 日米両国が安保体制を堅持することの重要性は、両国政府の共通認識であります。我々は、今後、アジア太平洋地域の平和と繁栄のため両国が協力を一層推進していくことを確認致しました。APECについては、本年秋の大阪会合の成功に向け、米国と協力を進め、また、アジア太平洋地域に重点をおいたコモン・アジェンダを更に推進をしていきます。本日コモン・アジェンダの共同報告書が提出されました。今回我々は、コモン・アジェンダの一分野に「途上国の女性支援」を新たに加えることといたしました。

 私は大統領に、留学生交換などを例に挙げ、国民レベルでの交流を推進することの重要性を強調致しました。

 また、我々は、ともに関心を有する国際問題についても意見交換を行いました。日本政府は、北朝鮮の核開発疑惑につきましては、昨年の米朝合意を強く支持しております。私は、日本を含む北東アジア地域の安全保障と安定に直結する軽水炉プロジェクトの成功を確保するために、韓国が中心的な役割を果たすことが期待されている本件プロジェクトの全体像の下で、日本政府は、本件プロジェクトにおいて意味のある財政的役割を果たす意図を有している旨を大統領に申し上げました。

 経済面では、昨年九月末以降も、板ガラスや金融分野で協議が決着をし、また、自動車・自動車部品分野でも協議が再開することとなりました。我々は、こうした進展を評価し、日米包括経済協議に引き続き真剣に取り組むことを確認を致しました。

 私は、本日の会談を良い出発点として、この節目の一年間、クリントン大統領とともに、日米の創造的なパートナーシップの増進のため、努力していく決意であります。そして、本年秋にクリントン大統領を国賓としてお迎えすることを楽しみに致しております。