データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日米首脳会談後の共同記者会見における村山内閣総理大臣の冒頭発言

[場所] 
[年月日] 1995年6月15日
[出典] 村山演説集,149−150頁.
[備考] 
[全文]

 さきほどまでクリントン大統領と長時間にわたる会談を行い、日米関係の現状と将来の展望、サミットに臨む姿勢等について率直な意見交換を行った。大変意味のある会談であったと思う。

 戦後五十年を経た日米関係は協力と協調の太い絆で結ばれている。私とクリントン大統領との間では安全保障に関する対話も順調に進んでいることを確認した。クリントン大統領の御協力もあり、沖縄の米軍問題にも重要な進展がみられている。

 また、両国の協調の試金石である北朝鮮の核開発問題への対応が、両国と韓国の結束により、重要な成果を上げていることを評価した。

 地球的展望に立った協力(コモン・アジェンダ)は、日米の創造的パートナーシップの一つの象徴であるが、今日新たな分野を含んだ共同報告書の提出を受けた。こうした協力を更に推進していくべきと考えている。

 また、自動車、民間航空問題では、両国間に立場の違いはあるが、来週ジュネーヴで行われる協議を通じてできるだけ早期に問題が解決するようお互い努力することで認識は一致した。なお、クリントン大統領から(発言を)求められて、一方的措置は、WTOのルールと精神に違反するものであり、速やかな撤廃を求めた。

 民間航空問題を含め、これらの問題が日米関係全体に悪影響を及ぼすことがあってはならない、日米関係は死活的に重要な関係であるという認識で一致した。

 十一月に我が国は、クリントン大統領夫妻を国賓として迎えることになっているが、本日の首脳会談は、一月の私の訪米から十一月の大統領の訪日に向けての折り返し点と位置付けている。大統領訪日に向け、更に、未来に向け、日米間のパートナーシップを一層強化していく決意である。

 最後に、私はクリントン大統領に対し、最近、阪神・淡路大震災、ノースリッジ地震という災害をともに経験した両国民が、この共通の経験と教訓を生かすため、今回、専門家による地震に関する日米シンポジウムを提案し、大統領の賛同を得たことを付け加えておきたい。