[文書名] 菅内閣総理大臣記者会見
改造内閣のスタートに当たって、国民の皆さんにこれからの菅内閣の目指す方向を含めて私の考え方をお伝えしたいと思いまして、この記者会見を開かせていただきました。
ちょうど1年前に政権交代による最初の鳩山政権が誕生いたしました。そして、1年経った今日、改めて私の改造内閣はスタートいたしました。私なりにこの1年間とこれからを考えて、この1年間はいろいろな意味で試行錯誤を繰り返した1年であった、試行錯誤の内閣であったと考えます。そしてこれからは、その試行錯誤を踏まえて1つの具体的な事柄を実行していく、有言実行内閣と皆さんが呼んでいただけるような、そういう内閣を目指す。有言実行内閣をまさに実現をしたいとこのように考えております。
その中でやらなければならないことは、第一には、何といっても経済の課題であります景気であり、雇用であり、成長であり、更には予算であり、経済に対しては一歩たりとも緩めることはできません。一瞬たりとも気を緩めることはできません。
既に御承知のように、円高に対しては6年半ぶりの為替介入を行って、現時点では一定の効果を上げておりますけれども、このことも含めて金融政策、更には財政政策をしっかりと打っていく。これについては後ほど少し具体的に申し上げたいと思います。
第二点は、これから日本の国際社会における活動について、しっかりと位置づけていきたいとこのように思っております。この間もカナダのトロントサミットに出かけたり、いろいろな国際会議や海外からの首脳ともお会いをいたしてきました。今月末には国連総会に出かけ、同時にオバマ大統領との会談も予定いたしております。
どちらかといえばこの間は、初めてお会いをしてコミュニケーションを深め信頼関係を築くというところにありましたが、これからは一歩踏み込んで、どういう形で日本が世界の中で役割を果たしていこうとしているのか、相互の国の関係をどのような形で深めようとしているのか、そういったことについても、しっかりとそれぞれの国あるいは国際的な場で申し上げ、そのことを行動で示してまいりたいと思っております。
もう一点は、地域主権、国内の国の形の変更ということであります。これについては余り多くを申し上げませんが、今の霞が関のここが中心となった中央集権、縦割りの中央集権の国の形を根本から変えていく。こういう大きな3つの課題をこの政権として取り組んでまいりたいと思います。
今回の改造によって何人かの新しいメンバーやあるいはいろいろな役割の変更がありました。経済の面では、経済財政担当大臣として海江田万里さんに入閣をいただきました。私とも個人的にも長い付き合いの政治家でありますが、経済や税制に関して多くの著書もありですね、いろいろな考え方をこれまでも述べられてきた方でありまして、大きな1つの、なんと言いましょうか、内閣における経済の司令塔を果たし得る方が参加をしていただいたと、このように思っております。
外交に関しては、岡田外務大臣、非常に頑張っていただき、更に継続をしていきたいという思いも御本人にも強かったし、周りの期待もあったわけですが、私から強くお願いをして、内閣の仕事、あるいは外務省の仕事から幹事長として、この党のいわば顔として、あるいは牽引車としての役割に替わっていただきました。その後、前原さんに外務大臣をお願いいたしました。そういう意味で前原外務大臣あるいは再任をされた北澤防衛大臣を含めて、外交の面でもしっかりした体制をより強く党と内閣の中で強固なものにしていきたいと、このように思っております。
地域主権に関しては、片山善博さんに総務大臣という形で加わっていただきました。もうこの方の経歴はご存知の方も多いと思いますが、鳥取県の知事として大変県の改革を非常に進められると同時に、国と地方の在り方についていろいろ実際的な形の提言をされ、既に我が民主党政権においても大きなアドバイザー役としてもお願いしてきたわけですが、今回はアドバイザー役から実行部隊の大きな主要な役割を担っていただく。こういう意味では海江田万里経済財政担当大臣、前原外務大臣、片山総務大臣という新しい配置の下、この大きな3つの課題にしっかりと取り組める体制が整ったと思っております。
それに加えて、党と内閣との関係をいよいよ本格的な形で、私の言葉で言えば412人内閣、つまり民主党の衆参議員412人が内閣を構成する、その体制に本格的に形をつくっていきたいと考えております。その柱は政調会長であり、同時に国家戦略担当大臣に就任をいただいた玄葉大臣であります。
このポジションは1年前、当初は私が政調会長兼任で国家戦略担当大臣になる予定が、直前に政調会が廃止をされたことによって、その段階ではそうした兼任ができなかったわけですが、今回ある意味では1年前の構想どおりに、政調会長と同時に閣内における国家戦略担当大臣を玄葉さんに担当していただく。ここを軸にして党と内閣が別々のものではないんだ、議院内閣制というのは多数を得た政党が、そのリーダーをトップとする内閣をつくるわけですから、ルーリング・パーティという意味で内閣そのものを多数党が言わば構成する、そういう本質的な意味からも412人内閣を具体化する段階に入ってきたとこのように思っております。
加えて、この412人内閣の中で将来の我が党を担う若手を育てるというか、若手が育ってくる環境をつくらなければなりません。今回、馬淵さんに前原さんの後の国交大臣をお願いしました。彼は道路の問題でも大変調査をしっかりして、そして野党時代でありますけれども、自民党の国交大臣に対して幾つかの間違いというか、調査をしていたのに調査をしていなかったといったようなことを全部認めさせて、いわゆる高速道路の無料化の効果というものが非常に高いんだということを、政府の資料から証明をした。そういった形で取り組んでまいりました。
これまで厚生労働大臣をお願いしていた長妻さんも、野党時代に徹底した調査で年金の問題に取り組んだことは御承知のとおりであります。
つまり、我が党のある意味での作風として、期数が若くてもしっかりした調査をして、それによって問題点を国民の前に明らかにして、改革につなげていく。私事で恐縮ですが、私はかつての厚生大臣のときには、大臣という立場ではありましたけれども、薬害エイズの問題で同じようなやり方をとったわけですが、そういうことが日本の政治を変えるんだという、また、そういうことに力を発揮した人は、我が党の中では内閣の中でもより大きな仕事をやってもらうんだという、そういう意味でも私は今回の馬淵新国交大臣の登用というのは、そういう若手に対しての大きな刺激になる、また、そういうふうに若手にも、あるいは国民の皆さんにも受け止めてもらいたいと、このように考えております。
経済の問題などについてもう少し申し上げたいと思いましたが、私からいろいろこれ以上のことを申し上げるよりは、皆さん方からの質問を受けて申し上げた方がいいのかなと思いますので、冒頭の私のお話はこの程度にさせていただいて、今日からは是非、有言実行内閣と呼んでいただきたいということを、重ねて申し上げておきたいと思います。
【質疑応答】
(内閣広報官)
それでは、質疑に移ります。質問者は私の方から御指名させていただきますが、まず質問の前に所属とお名前をおっしゃってから、質問なさっていただければと思います。
それでは、質問のある方は挙手をお願いします。
それでは、まず、幹事社の西山さん、お願いします。
(記者)
朝日新聞の西山と申します。よろしくお願いします。
今回の党役員、内閣改造人事についてお伺いします。今回の人事では、いわゆる党役員、改造内閣の閣僚の皆さんに、小沢一郎さんの議員のグループの方が見当たりません。小沢さんも総理の代表代行を受けてほしいという要請に対しては、これを固辞されたということですが、この陣容が、総理がおっしゃる挙党一致の体制と言えるのか。党内には、小沢外し、あるいは脱小沢人事ではないかといった声も出ていますが、これについて総理の御見解を伺いたいと思います。
(菅総理)
私は、代表選のときにもいつも申し上げておりましたが、適材適所で全員が自分の能力や経験を生かせるような、そういう体制をつくることが挙党態勢だということを申し上げてまいりました。そういう意味で、まだこれから、副大臣、政務官といった数多くの役割を決めることがありますので、基本的には、その全体を見て、いろいろ判断をしていただきたいと思っております。
特に内閣について、どこかのグループを外したとか、外さないということは、全く念頭にもありませんし、私は客観的に見ていただいても、そういうふうにはなっていないと思っております。
代表選挙は私と小沢さんが争いましたけれども、勿論秘密投票ですから、全員がどちらに投票したかということはわかりませんけれども、皆さん方もいろいろ調査をされたんでしょうから、そういうふうによく見ていただければ、私の見るところでは、それぞれかなりの割合でですね、私に投票されたのではないかと思われる方、あるいは小沢さんに投票されたのではないかと思われる方。結果としてそうなっておりますし、そういうことで何か、入れないと判断したことは全くありません。
党の方については、私の方から、小沢さんと輿石さんに昨日、代表代行に就任をいただけないかというお願いをいたしました。その中で、輿石さんは参議院の会長という立場でしっかりやるのでという理由でありましたが、そういう位置づけでしっかり支えるからということを言っていただきました。
小沢さんは、この間、かなり長い間、選挙などの先頭に立って、相当体力的にも消耗したので、しっかり支えるからそういうポストは勘弁してほしいということを言われました。
そういうことを含めて、党の役員についても、私から何か一部のグループを外すといったような発想で考えたこともありませんし、そういう行動をとったこともありません。
(内閣広報官)
それでは、次の方、どうぞ。
では、お隣の山崎さん、どうぞ。
(記者)
テレビ朝日の山崎です。新しい内閣、新しい党執行部が誕生しました。新しいこの布陣で、ねじれ国会となる国会運営にどのように対応していくのでしょうか。
例えば臨時国会ですね、補正予算や本予算の編成の際に、自民党や公明党などの野党側と協議の場をつくって、協議しながら予算編成などをしていくという考えはあるのでしょうか。どのように対応するのでしょうか。
(菅総理)
先ほど、経済がまさに現在取り組んでいることも含めて、取り組まなければならない課題だということを申し上げました。
ステップ1、ステップ2、ステップ3という位置づけをしていることは御承知かと思います。
ステップ1は、もう既に動き出しておりまして、9,200億円の予備費を使っての経済対策が、たしか9月10日に決定し、動き出しております。
ステップ2は、いわゆる補正予算を含めた対応を考えていくということです。
ステップ3は、来年度予算の中での経済対策というか、雇用対策、成長戦略ということであります。
今の御質問は、補正予算に関連することにもなるわけですが、私としてはですね、既に自民党や公明党、野党からも、景気対策についての提案をいただいております。まだ、昨日、今日の党役員の選任あるいは内閣の改造で、私自身はまだ野党の皆さんにごあいさつができておりませんが、既に党の役員は多少ごあいさつに出かけておりますけれども、まず、そうした野党からいただいた景気対策のお話も含めて、どのような形で私の内閣としても、何らかの景気対策が必要だと思っておりますので、そういう話し合いの場は、何らかの形でできるのではないだろうかと思っております。
そういう中で、1つの補正予算をめぐっての、例えばこの程度の規模でどういう中身にしようかということについても、一般的な提案をいただいておりますので、そういう話し合いをする中から、1つの道筋が、特にある意味で国民生活に直結する、しかも景気対策、補正というある限定的な中身であれば、野党の皆さんとの合意形成も可能性は十分あるのではないかと思っておりまして、いずれにしても今日からといいますか、明日からといいますか、いよいよスタートということであります。
(内閣広報官)
それでは、次の方、お願いします。
幹事社の高原さん、お願いします。
(記者)
ジャパンタイムズの高原と申します。日中関係についてお伺いします。
尖閣諸島の衝突事件で、中国側は態度を硬化させて、中国国内でも反日感情が沸き上がっています。今後、事態の打開、関係改善に向けて、どのように取り組むつもりでしょうか。
また、前原外務大臣は、これまで中国に対して強硬な姿勢を見せていたとの印象がありますが、前原大臣で日中関係はうまくいくと考えますか。
(菅総理)
日中間で、いろいろな時代にいろんな課題が出ることは過去においてもいろいろ経験をいたしております。しかし、一番根本のところではですね、戦略的互恵関係を深めていこうという、私もカナダのサミットのときにも、胡錦濤国家主席との会談の中でも、そういう基本的な方向性は確認され、あるいはしっかりとそういう共通認識は深まっておりますので、基本的な日中関係のそうした友好といいましょうか、そういう関係は継続しているし、今後も継続できる。このように思っております。
個々の課題についてはですね、それぞれの担当する人たちがいろいろ努力をしたりしておりますので、私はそういう基本的な姿勢について申し上げておきたいと思います。
(内閣広報官)
それでは、次の方、お願いします。
手前の方から、そちらの女性の方、お願いします。
(記者)
読売新聞の五十嵐と申します。補正予算について追加で質問したいんですが、補正予算の提出時期なんですけれども、臨時国会を考えていらっしゃるのかどうか。
また、自民党、公明党は、4兆円、5兆円といった大規模な編成を考えているようですけれども、規模についてはどの程度のことをお考えでしょうか。
また、総理は景気対策に加えて財政再建の必要性も強調されていますけれども、一時主張されていた消費税をめぐる与野党協議については、どのようなタイミングで開始されるおつもりでしょうか。
(菅総理)
補正予算については、先ほど来、申し上げていますように、ステップ1、ステップ2、ステップ3を切れ目なく進めるという中におけるステップ2に位置づけておりますので、それをどこかの段階で補正予算を編成し、提出することは検討しなければならないと思っております。
提出時期についてということでありますが、実は、これは先ほどの話と、ある種、卵と鶏のようなところがありまして、つまり提出しても、もし野党の皆さん全員が強硬に反対されれば、衆議院が通過しても参議院で30日はかかるわけでありまして、そうしますと、例えば10月でかなりかかるというようなこともありますので、逆に言えば野党の皆さんと、ある程度の話し合いの中で方向性が見えればですね、逆に野党の皆さんの希望も入れた形で組むということがあれば、国会の審議も順調にいくだろう。
そういうことも含めて、一方的にこの時期に出すということを決める前に、野党の皆さんとの、いろんな提案をいただいておりますので、話し合いといいましょうか、意見交換をして、そういう中で提出時期も考えていきたいと、こう思っております。
消費税のことまで広げての質問がありましたけれども、社会保障は御承知のように、毎年、自然増という形でも1兆円程度の伸びを示しておりまして、今の水準を維持するにも財源が必要でありということで、私、よく言っておりますように、ある程度、負担をしても安心できる社会を目指すのか。それとも、負担はできるだけ小さくして、あとは自己責任でいくという道筋を選ぶのか。そういう大きな物事の判断を国民の皆さんにも一緒になって考えてもらわなければいけない問題でありますので、社会保障と財源問題については一体的に議論をする。それは党の中でも政調中心に議論をする場をつくることが必要であると思っておりますし、場合によっては、そういう場をですね、超党派の場としてつくることが可能であれば、そういう場をつくれるかどうかも他党と話し合いをしてみたいと思っています。
(内閣広報官)
それでは、次は外国プレスの方から、どなたか、そちらの、お願いします。
(記者)
AP通信のフォスターですけれども、来週の訪米についてお聞きしたいんですけれども、オバマ大統領との会談で、一番重要な議題は何でしょうか。普天間移設問題については、具体的にどのようにして前進させていけるのでしょうか。
また、オバマ大統領が11月に日本に来日するときに、広島に招待なさいますか。そして菅さん御自身はハワイのパールハーバー、真珠湾を訪問するお考えはありますでしょうか。
(菅総理)
ニューヨークの国連総会に出席をする予定の中で、オバマ大統領との会談も予定をされております。その中で、どういうテーマについて話し合うかということ、これから出発までの間に十分検討したいと思っております。この間の経緯で言いますと、やはり日米関係というものを大きくとらえて、今後の日米安保改定から50年経ったわけですが、今後の日米関係あるいは世界の中における、アジアの中における日米関係あるいは日米同盟というものが、どうあるべきなのかと。そういったことについての将来を見通した中での意見交換、あるいはそういう中で共通の認識が形づくられていけばいいなと、私は思っております。
必ずしも個別のですね、普天間の問題について話し合うというよりも、そういう幅広い、あるいはある意味で将来を見通した議論ができればいいなと思っております。
(内閣広報官)
それでは、真ん中の後ろの方お願いします。
(記者)
共同通信の松浦です。総理は7月の参院選で敗れました。国政選挙で大敗しながら総理を続投したという例はほとんど記憶にありません。総理は民主党代表に再選されましたけれども、国民の信任を得る意味では解散総選挙で信を問うべきではないかという筋論もあります。ここをどうお考えかということ。
それと、もし当面されないのであれば、民意に基づく正当性というものが菅内閣にあるのかどうか。そこはどうお考えでしょうか。
(菅総理)
先の参議院選挙で大きく議席を減らして、選挙という意味で、まさに大きな敗北であったということは当時も認めましたし、今もそのように考えております。そのことと、政権をどうするかということについて、私なりにですね、考えた中で、やはり昨年9月の政権交代を実現するに至った国民の皆さんの大きな期待とか、あるいは押していただいた力というものを考えますと、民主党としてそうした政権交代でやってみろと言われたことについて、確かに参議院選挙では大きく後退いたしましたけれども、やはり昨年9月の期待に応えるために政権を継続することが、国民の期待により応える道ではないかというふうに考えまして、続投を表明をし、この間代表選挙もありましたが、今日に至ったところです。
そういう意味で、私としてはですね、多くの皆さんに、いろんな機会にいろんな表明があったと思いますが、あまりそれまでの自民党政権も含めて政権交代が余りにも頻繁にあったということも勿論背景にありますけれども、政権交代をした民主党としてですね、あるいは菅政権としてもうちょっとしっかり継続してやってみろということを、トータルとしてはそういう御意見をいただいたとそのように理解しています。
(内閣広報官)
それでは次の方お願いします。それでは、一番向こうで手を挙げられている方、めがねをかけられたあなた。
(記者)
北海道新聞の安藤です。地域主権改革について伺います。総務大臣に前鳥取県知事の片山善博さんを選ばれましたけれども、先ほどもお話がありましたが、改めてその人選のねらいを教えてください。
更に、片山さんはですね、民主党が通常国会に提出した地域主権改革の関連三法案について批判的な意見を表明されています。今後の国会審議に向けてその整合性をどうとっていくか、そのお考えをお聞かせください。
(菅総理)
私も片山さんの考え方、いろいろな機会に話を聞いたり、あるいは書かれたものを読んだりして、非常に本質的な意味での地方主権、地方分権をですね、進める大きなエネルギーを持った方だと思っております。そういう意味で、個々の個別政策というよりは、そういう基本的なスタンスと情熱、そういうものを是非菅内閣の中で生かしていただきたいというか、そういうエネルギーを、その力を借りて地域主権を前進させたいと、そういうことでお願いをいたしました。
個々の法案などについては、いろいろな立場で、勿論、百点満点と全部見える政策ばかりではそれぞれないわけですから、しかし、内閣の一員となるに当たってはですね、過去の内閣としての方針について、基本的には、まず、それは了解をしていただくところからスタートすると、その後の議論ではいろいろあってもいいですけれども、そういうことは御了解をいただいております。
(内閣広報官)
それでは、真ん中の辺りから、黒い服の方、どうぞ。
(記者)
ニコニコ動画の七尾と申します。視聴者の質問を代読させてください。
改造内閣のスタートに当たり御質問いたします。首相会見は、このようにオープン化されております。これほど透明なことはないと思うのですが、国のトップである菅総理の主導で、各省庁共通の条件下での会見のオープン化というものを政権運営のベーシックな方針として加えるお考えはありますでしょうか。
(菅総理)
いろいろな形で、できるだけオープンな政治をというふうに私自身も、我が党も思っております。
具体的な形で、どこまで、どういうことが可能かということはありますが、できるだけオープンな形が望ましいということは申し上げることはできます。
(内閣広報官)
どうぞ。
(記者)
フジテレビの松山と申します。今回の組閣で国家戦略担当大臣が荒井大臣から政調会長兼務の玄葉さんに移りましたけれども、国家戦略室の原点に戻るということが、先ほど総理の言葉からありましたが、当初の構想では、予算編成などでも中長期的な視点から大枠で構想を練るという、壮大な構想だったと思うんですけれども、次第に最近になってはアドバイザー的な立場になっていると。
今後、玄葉さんが国家戦略室を担うに当たって、どういった性質を今後付加していくとお考えなんですか。
(菅総理)
先ほど申し上げたのは、1年前に政権交代直後の内閣がスタートするときの、当事の私なり、ある時期まで相談していた考え方を申し上げたんです。つまりは、私が政調会長兼務で国家戦略室担当になるということが組閣の2日くらい前までは、そういう前提で議論が進んでいたわけですが、直前に政調が廃止をされたものですから、そういう形にならなかったと。
そういう意味で、今回、玄葉政調会長に国家戦略担当をお願いしたことによって、昨年の9月の当初考えられた形になったということを申し上げたんです。
(内閣広報官)
次の方、どうぞ。
(記者)
産経新聞の比護です。小沢氏が総理の代表代行就任要請を断った点についてお伺いします。
総理は、どうしてそもそもそのポストを提示されたのでしょうか。また、小沢氏の拒絶は、挙党一致に水を差すものとお考えでしょうか。
更に、新たに小沢氏にポストを提示するお考えはあるのでしょうか。
(菅総理)
我が党の中で、代表代行というポストは、いろんな時代にいろんな、なんて言いましょうか性格がありました。
実は、2003年に民由合併をしたとき、私、当事民主党の代表でしたけれども、自由党との合併の中で、合併した後、小沢前自由党党首に代表代行に就任をいただいたこともあります。
なお、もっとも余り会合には出てこられませんでしたが、そのときは就任はしていただいたこともあります。
あるいは比較的最近といっても、もう何年前ですか、私と小沢さんが今回ではない前、代表選挙を闘ったときには、逆に小沢さんが代表になられた後、私に代表代行をということを言われて、私は、わかりましたということで、その代表代行というポストに就きました。私なりにいろんな課題で努力をしたつもりでありまして、そういう意味で、代表代行というポストは、一般的に言えば、非常に機能することもあるポストですので、そういう意味で、小沢さんにお願いをするにですね、機能すれば、お願いするにふさわしいポストだと思ってお願いをいたしました。
しかし、残念ながら、先ほど申し上げたような理由で、今はそういうポストには、体力的にもいろいろ疲れているので、それは勘弁してほしいということを言われましたので、現在のところ、残念だなと思っております。
(内閣広報官)
それで、次の方、お願いします。そちらの女性の方、縞模様の。
(記者)
週刊朝日の大貫と申します。幹事長人事について伺いたいんですけれども、先ほど岡田幹事長はですね、そのまま外相を続けたいという強い御希望をお持ちだったところに幹事長をお願いされたということだと思うんですが、具体的に岡田幹事長にどのような役割を期待されたのでしょうか。
(菅総理)
今、私は、この民主党政権を担っている与党の幹事長というものは、ある意味では代表であり、総理である、今は私ですが、私と党の幹事長というものは、普通の言葉で言えば二枚看板だと。それで、国民の皆さんに、内閣としてこういうことをやろうとしているということと、やはり民主党として、もう少し内閣よりも幅広くというか、自由度がもう少しありますので、やはりこういう方向に我々は行こうとしているんだと、選挙なども含めて。
そういう意味では、これからの民主党とでもいうんでしょうか、そういうものを象徴する、あるいはそういうものを国民の皆さんに見てもらう上でですね、そういう役割を担うにふさわしい人ということになると、それはなかなか大きな役割ですので、つまり国民の皆さんから、この人が幹事長をやっている党なら期待してもいいのではないかとか、信用してもいいのではないかというふうに言っていただけるというのは大変大きな役割でありますので、そういう点で岡田幹事長に私の方から、外務大臣という仕事が極めて重要であるということを私も知っておりましたし、今でもそう思っておりますが、今の時点での党の幹事長のポストをそういう意味で担い得る最もふさわしい人材は岡田さんをおいてないということでお願いをし、最終的には了解をいただいた。
御本人が記者会見されたのを私もテレビか何かで見ましたが、天命という言葉を確か使われたと思いますが、そういうことを岡田さん自身も理解をされたというか、個別の自分がやりたい事というのを超えてですね、ここは天命としてやらざるを得ない役割であるということを考えて就任をいただいたんだ。こう思っています。
(内閣広報官)
それでは、次の方、お願いします。
そちらの眼鏡をかけている方、お願いします。
(記者)
毎日新聞の田中です。先ほど総理は補正予算の関係で、野党の要請も入れて組むこともあるとおっしゃいましたけれども、これはどういう範囲の可能性を考えていらっしゃるのか。例えば金融国会の金融再生法案のように、かなり綿密な協議をした上で組むのか、あるいはこの間いただいた要望の紙を見た上で、それを見て補正するのか。どういうところまで想定していらっしゃるのでしょうか。
(菅総理)
これはおわかりいただけると思いますが、余り事細かに想定したり、事細かにこうではないかと言うよりも、まずはどういう場になるのかわかりませんが、例えば政調会長同士が話をするというようなこともあるかもしれませんが、いわゆる申し入れをいただいた中身をですね、少し説明をお聞きした中で、こちらもこういうことを考えているのを説明して、その中から前進することもあるでしょうから、余り今からですね、形をこういう形でということを、模範解答としてこちらからだけ、こういう形で考えているというのは、実際にもそういうふうに固定的に考えていませんので、そういう話し合いを始める中でどういう形になっていくかは、その中で決まってくると思います。
(内閣広報官)
それでは、外国プレスの方からもう一人。そちらの眼鏡をかけている白いシャツを着ていられる方、お願いします。
(記者)
AFP通信社の伊藤と申します。為替介入についてお伺いします。欧米で日本の単独介入について反対の考えを表明されています。このような考えは今後の日本の円高対策に影響を与えるのでしょうか。
(菅総理)
ちょっと質問がシンプル過ぎて。反対が影響を与えるかということですか。
(記者)
反対の考えが表明されていますけれども、こういった考えを聞きながら円高対策あるいは介入について今後なさっていかれるのか、それとも日本として独自のスタンスでやっていかれるのか。
(菅総理)
いろんな意見があることは勿論承知をしております。いろんな意見がある中で、しかし、同時に急激な為替の変動は好ましくないという、そういう立場に立って、為替介入に先日踏み切ったわけであります。基本的な姿勢はそういう好ましくない変動に対しては断固たる処置をとっていくという姿勢は変わりません。
(内閣広報官)
では、次の方。そちら側のピンクのネクタイの方。
(記者)
NHK、山口と申します。総理、海江田さんに経済の司令塔になってほしいというようなことをおっしゃられましたけれども、海江田さんは代表選で小沢さんを支持されたということもあって、入閣に当たって若干考え方に齟齬が出るのではないかというような御懸念はなかったでしょうか。
(菅総理)
我が党の中に経済の議論ではいろいろ濃淡があるのは当然です。特に我が党にも例えばデフレ議連というのがあったり、いろんな議論があります。ですから、そういう濃淡があるのはある意味で健全なことです。それを政府として内閣としてある結論を出さなければいけないときには、何らかの形でそれは最終的には1つの方向性に収れんしていかなければいけません。ですから、これからも必ずしも海江田さんに限りませんが、いろんな議論をする中で、政府として方針を固めなければいけないときには最終的には私の責任で決めていくことになると思います。
しかし、もっといろんな議論は私も海江田さんともしていきたい。いろんな学者の話も、大体10人の学者に話を聞くと10種類の処方せんが出てきますから、それをどのように判断していくかというのは常にあることですので、まさにそういうことも含めて、1つの大きなですね、我が党として経済財政担当大臣になっていただいたことで力を発揮していただけるものと期待しているわけです。
(内閣広報官)
では、次の方、そちらの女性の方。時間も押してきましたので、手短かにお願いします。
(記者)
TBSの花岡と申します。党役員人事についてお伺いしたいんですけれども、今回、枝野前幹事長は幹事長代理になられました。幹事長代理という降格までして執行部に残したのはどういうお考えからか、枝野幹事長代理にどういう役割を期待されているのかとかお考えをお伺いしたいと思います。
(菅総理)
幹事長を岡田さんにお願いしたときに、幹事長としてどういうサポートをする人が、幹事長自身の判断としてもですね、ふさわしいかということも含めてお話がありまして、そういう中から、では枝野さんにお願いしようという、そういうことでお願いしたわけです。
(内閣広報官)
それでは、もう時間も押してまいりましたので、最後の質問とさせていただければと思います。そちらの眼鏡をかけた方、お願いします。
(記者)
日経の藤田です。総理に2つお聞きしたいんですが、1つは、今、出ました補正予算の今後の政策協議を通じて、将来的な連立の組み替えなども視野に入れていらっしゃるのかどうかというのが1つ。
それから、先ほどから出ている小沢さんのグループの方が今回閣僚としては事実上ゼロだったということは、総理がおっしゃった適材適所で言えば適材がいなかったということでいいのか。その2つをお聞きしたい。
(菅総理)
政策の中でしっかりと意見交換、あるいは誠心誠意お話をする中から個別的な合意が生まれることも十分あると思いますし、あるいはそれが積み重なってもう少し幅広い共通テーブルができることもあるかもしれません。
そういう意味では何かこの、こういうことはあり得ないとか、こういうことは全く考えないということではなくて、まずは政策的な協議を進めるところから努力していこうと、こう考えております。
それから、私も本当にわからないんですが、小沢系から入閣がゼロとかというような表現を一部の新聞がされているので、今日実は、簡単に言えば小沢さんのグループの役員をやっている方に、小沢系というのはどの範囲なんですかと実はお聞きしたこともあるんです。だから、例えば小沢さんの推薦人になった方でいえば、入閣された方もありますからですね。普通、推薦人というのは小沢系になるのではないか。
だから物理学ほど定義は定かでなくてもいいですけれども、小沢系というときに、小沢さんの推薦人が小沢系というのに入らないというのは、私にはちょっと理解ができないんです。ですから、そういうことを含めて定義のことにおいて言っているわけではなくて、決して何々系だからとか、何々だからといって排除したということはありません。
ですから、適材適所でお願いをして、それから結果的に多少期数のことは一般的にはある程度あります。さすがに潜在能力が高い人でも、まだ当選して1年、2年の方にやっていただくというのは、ペーパー試験ではありませんので、その人がいろんな人を説得したりしなければいけませんから、やはりそれにはそれなりの、相手はなかなかこういう問題ではしっかりした議論をやっているとか、先ほど1つの例を挙げましたが、国会でもこういう問題ではしっかり調査をして結果を出したということがなければ、なかなかその実力はわかりませんので、そう考えますと多少期数のことを考えれば、一般的に言われている小沢さんのグループというのは期数の若い方が多いものですから、明日以降、副大臣、政務官を含めて全体の人事をやりますので、それも含めて本当に見ていただきたいので、何か皆さんの方がですね、何かそういう区別というのか、わざとですね何かをあおるような、あおり行為というのは、余り好ましくないのではないかということを申し上げておきたいと思います。
(内閣広報官)
それでは、これをもちまして記者会見を終了させていただきます。どうもありがとうございました。