[文書名] 菅内閣総理大臣記者会見
【菅総理冒頭発言】
皆さんこんにちは、菅直人でございます。10月1日から64日間にわたっての臨時国会が、この12月3日に終了いたしました。この機会に、臨時国会で取り組んだこと、更には来年に向かって取り組もうとしていることについて、国民の皆さんにお伝えしたいということで、この記者会見を設営いたしました。
まず、この臨時国会では、約5兆円に上る補正予算案が成立をいたしました。これによって、例えば新卒者雇用のジョブ・サポーターを倍増する。更には、妊婦健診が従来5回まで無料であったのを、ほぼ全期間14回まで無料にする。また、レアアースについての探索等に資金を供給する。こういった大変重要な中身も含まれております。
これによって、先の予備費を使った第1ステップと、この第2ステップと、そしていよいよ来年度の予算ということで第3ステップ、そういう形で切れ目のない形で雇用と経済成長に向かっての歩みを進めることができると、このように考えております。
また、この臨時国会の期間中に、多くの国際会議がありました。中でも11月13・14日の横浜におけるAPECは、横浜ビジョンを採択して成功裏に終わることができました。このAPECの会議に先立ちまして、私の内閣としては貿易の自由化の促進と同時に農業の再生、この2つを両立させる基本方針を閣議で決定いたしました。これによって農業については、「食と農林漁業の再生推進本部」を設立し、いろんな経験者にも入っていただいた実現会議もスタートいたしました。一昨日の土曜日には、私もその一弾として、千葉の和郷園に訪れ、野菜をつくるだけではなくて、それをカットし、そしてきれいな容器に入れたり、冷凍したり、そういう形で一次産業、加工という二次産業、場合によってはそれをレストランで供給するという三次産業を含んだ、そういう形で成功している若手農業者約90人のグループの皆さんともお話をしてまいりました。日本の農業を再生させ、同時に貿易の自由化を推し進める、その道筋を私はこういう若い皆さんに先頭に立ってもらいたいと、このように思っているところであります。
また同時にこの間、例えばブリュッセルにおけるASEMや、あるいはベトナムにおけるアジアのASEAN諸国との会合など、いろいろ出てまいりました。中でもベトナムでは、その会議の後、私が公式訪問という形を取りまして、その中でズン首相との間で、海外において初めての原子力発電所の仕事を我が国が行う。同時にレアアースについても開発を行う。このことが戦略的・政治的に決断をしていただいて、いよいよ実行に移されることになりました。
こういった形で、この臨時国会の間、国会の議論も大変なところもありましたけれども、私にとっては国会の内外を通して、大変実り多いこの間であったと、このように感じているところであります。
さて、いよいよこれから年末年始にかけてのことであります。まずこれからやらなければいけないのは、言うまでもありません。来年度の予算の編成であります。今、山で言えば7合目から8合目に差しかかって、いよいよ大きな重要な課題を順次決めていかなければならない段階に入っております。例えば基礎年金の国庫負担をどのようにするのか。子ども手当、子育ての問題をどのようにするのか。一括交付金をどうするのか。法人税をどうするのか。こういった課題が次々と決定が迫られてくると思っております。
もちろんのことでありますが、最終的には私自身、私の責任で決めさせていただきます。そういう中で、基礎年金の問題については、一旦2分の1に国庫負担が引き上がっておりますので、何とかこれは維持する方向で予算編成を進めてもらいたいと、このように考えております。
また、特命チームをつくりました待機児童ゼロ作戦、現在、3歳未満の子どもたちで、約24%の子どもたちが保育園等で預けられております。しかし、まだまだ足りません。4年間の間には、それを35%程度、7年後には44%程度、ここまでくるとほぼ希望されるお母さん方、お父さん方の子どもたちをすべて預かることができる。そういった先回りの作戦。初年度は200億円の予算が必要とされておりますけれども、これもしっかりと確保してまいりたいと、このように考えているところであります。
そういう中で、いよいよ来年に向かって、そうした政策をしっかりと実行していくための、言わば体制づくり、体制強化を行っていかなければならないと思っております。
今日も社民党との間での党首会談を行い、労働者派遣法を成立させる。そのために協力していこう。こういったことも含めて、協力体制をより強化する方向で合意をすることができました。
国民新党との間でも、郵政改革法についての実現を目指すことで、いろいろな戦略的な取組も含めて協働してやっていこうということで合意をいたしました。
こういった点も含めて、来年の国会が始まる段階では、しっかりと政策実現が、政権運営ができるような、そういう形をつくるよう全力を挙げてまいりたいと、このように思っております。
またこの間、私が総理になって約半年でありますけれども、総理大臣という立場は、大変重い立場だと考えてきた中で、どちらかと言えば私も発言については慎重に言葉を選んで発言してきたつもりであります。しかし、そのことがややもすれば、菅さん、何か元気がないねとか、そういうふうに受け止められてきた面もあります。これからは、できるだけ率直に国民の皆さんに直接訴える。そういう形で私の意見を申し上げていきたい。是非国民の皆さんにもそのことを御理解をいただけるようお願いをして、冒頭の私からの発言とさせていただきます。
【質疑応答】
(内閣広報官)
それでは、質疑に移ります。質問者は、私の方から指名させていただきますが、まず、所属と名前をおっしゃってから質問をお願いいたします。質問は簡潔にお願いいたします。
それでは、どうぞ。
それでは幹事社から、松浦さん、お願いします。
(記者)
共同通信の松浦です。よろしくお願いします。臨時国会では、仙谷官房長官と馬淵国交大臣の問責決議が可決されました。自民党などは、このお二人が出席する国会審議には応じないという方針です。首相は3日、内閣改造について全く考えていないとおっしゃいましたが、仙谷長官らの交代を含めた内閣改造を一切行わないまま、来年の通常国会に臨む方針なのでしょうか
そしてまた、ねじれ国会を打開するため、どのような方策を採られるのか。例えば社民党の協力を得て、衆議院の3分の2の再可決で乗り切るのか、あるいは公明党に連携を求めるのか、自民党に大連立を呼びかけるのか、具体的にお答え願います。
(菅総理)
私が考えておりますのは、改造云々ということではなくて、全体として政権運営がしっかりと進められるような体制をいかにつくっていくか。まず、そこを念頭に置いて、この次期通常国会までの間にそうした体制をつくれるように全力を挙げていきたいと思っております。その中には社民党、あるいは既に連立をしている国民新党との関係をより緊密かつ戦略的にとらえて協働していくということも含まれておりますし、場合によっては他のグループの皆さんともいろいろな話し合いは機会があれば行っていきたい。このように考えております。
(内閣広報官)
それでは、引き続き、どうぞ。
それでは高山さん、お願いします。
(記者)
中日新聞の幹事社の高山と申します。
総理は今日の午前中、先ほど言われたように社民党の福島党首と会談されましたが、その中で福島党首は武器輸出三原則の堅持を求められたと聞いています。一方で政府・民主党内には武器輸出三原則の緩和論も高まっているようなんですが、総理は今後、この武器輸出三原則についてどのような方針で臨まれますでしょうか。
(菅総理)
武器輸出の禁止という考え方の根本は、例えば紛争地域に武器を輸出してその紛争をより激化させるとか、かつては共産圏に対して武器輸出はしないとか、いろいろな経緯の中で今日に至っております。そういう基本的な理念はしっかり守っていかなければならない。このように考えております。
この件については、社民党との間で早速にも政調なり関係者の間で意見交換を始めるように、今日、朝、その会議の席で指示をいたしました。
(内閣広報官)
それでは引き続き、お願いします。
では、山口さん。
(記者)
NHKの山口です。普天間についてお聞きします。
総理はこの問題で決着の期限にはこだわらないという考えを示していますけれども、それは逆に、危険な普天間がそのまま固定化されるおそれがあると思います。総理はこの問題をどのようなスケジュール感を持って解決していこうとお考えになっていますか。
(菅総理)
この普天間の問題は、皆さんも御承知のように、今から言いますと14年前になりますか、時の橋本総理とクリントン大統領との間で、この普天間の危険性除去ということで合意ができ、その後、その移転先をめぐっていろいろな経緯の中で、昨年の政権交代、そして私の政権の誕生という形になりました。そういった意味で、今年の5月28日に鳩山内閣の下で、改めて辺野古への移設ということで日米が合意をいたしました。選挙中、鳩山代表あるいは私たちも含めて、県外・国外ということを目指すことを申し上げた中で言えば、それが実現できなかったことは大変党として申し訳なかったと。このようにも思っておりますし、私自身もそういうふうに思っております。
そういう中におきまして、今後のこの問題の考え方については、5月28日の日米合意を踏まえながら、沖縄における基地負担をいかに軽減していくことができるのか。更には、知事からも要請のありますいろいろな沖縄の経済振興、またはそのための会議を年内にも開くようにということの要請もいただいております。そういうものと併せながら、誠心誠意、沖縄の皆さんに理解が得られるよう努力をしてまいりたいと、このように考えております。
(内閣広報官)
はい、それでは、次の方。
それでは平田さん、お願いします。
(記者)
毎日新聞の平田と申します。先ほどの総理のおっしゃられ様を聞いておりますと、通常国会に向けての政権運営で、やはり民主党、社民党、国民新党、この3党をしっかり固めて、3分の2での再可決も辞さずという形で聞こえるんですが、そうすると臨時国会の前におっしゃっておられた、公明党、自民党含め、野党に対して政策協議を呼びかけると、そういった姿勢というものはかなりトーンダウンされたと考えてよろしいんでしょうか。
(菅総理)
この臨時国会の始まるまで、あるいは始まった中でも、私は所信表明でも5つの重要政策課題を提起して、熟議の国会として、これらの問題を将来に先送りしないで解決していく道を、党派を超えて国会の場で議論をしよう。そういう姿勢で臨んでまいりました。しかし、結果としてはなかなかそうした、例えば政調、例えば財政再建、例えば社会保障、あるいは地域主権、国民が主体となった外交という、こういった課題については必ずしも、この国会での議論の中心にはならなかったわけであります。そういう中で、来年の国会を目指してどういう形で取り組んでいくのか。勿論、自民党や公明党、他の野党の皆さんにも、今、申し上げた姿勢は変わらず、そういう形で議論ができるようにという要請は続けてまいりたいと、こう思っております。
と同時に、現在連立を組んでいる国民新党との関係、更にはかつて連立を組んでいた社民党との関係について、共通した政策を幾つか、これまでの経緯の中で合意をしていて、まだ実現していないものもありますので、そういったことの実現に向けてより緊密な協力関係をつくっていきたい。このように考えております。
(内閣広報官)
それでは、次の方、お願いいたします。
それでは、そちらの一番奥の白い服を着られた女性の方、お願いいたします。
(記者)
ロイター通信社と藤岡と申します。防衛大綱についてお伺いします。
一部報道では、今月閣議決定される防衛大綱に、今までの「基盤的防衛力構想」を転換して「動的防衛力」といった新たな概念を明記すると報じられています。東シナ海などでの中国の活動への警戒を反映する方針と見られますが、防衛大綱が今後の日中関係に影響を及ぼすとお考えでしょうか。日本と中国は、APECの首脳会談で関係改善へ一歩を踏み出しましたが、日本の今後の防衛政策の方針がその流れを阻害してしまう懸念はありますでしょうか。
(菅総理)
防衛大綱については、今、かなり関係閣僚間で熱心な議論をいただいております。今、御指摘のあった「基盤的防衛」という考え方から「動的防衛」という考え方といったものは、従来からいろいろと指摘があった中で、やはり時代の変化、状況の変化に対応できる防衛体制をつくるということの中で議論が進んでいるところであります。そういった我が国の独自の防衛力をしっかり整備することは、これは我が国として当然やらなければならないことでありまして、そのことが直接にどこかの国の脅威になるとか、そういうことにはつながらない。そのように考えております。
(内閣広報官)
それでは、次の方。
それでは坂尻さん、お願いします。
(記者)
朝日新聞の坂尻といいます。総理、消費税についてお伺いします。
総理は参院選で消費税の増税を掲げられて、その後、参院選に敗北された後はめっきりと発言も減ったように思うんですけれども、この臨時国会も、眺めていると、総理御自身が与野党の協議を消費税問題でリーダーシップを取って呼びかけられたというふうには残念ながらうかがえなかった面もあります。
ただ、総理も今、冒頭の発言でおっしゃったように、基礎年金の国庫負担、来年度分は何とか特別会計などでやりくりされるお考えかもしれませんが、再来年度以降、先送りは許されない課題かと思っています。
改めて、総理はこの消費税問題、どのように取り組まれるのか。そして、もし取り組まれるとすれば、いつまでにそれをされるというお考えなのか。そこを聞かせていただきたいと思います。
(菅総理)
我が党の再スタートをした政調の中で、この問題、つまりは社会保障の在り方と財源、それには消費税や所得税、法人税を含む税制併せての議論をするということの作業も進んでおりますし、今、政府と与党の間でそうした社会保障と財源をめぐる議論の場もできております。
そういった意味で、これは参議院の選挙の直後にも申し上げましたけれども、この課題については、党としての取組も含めて、しっかりと足元を固めながら、議論を進めていっていただいていると理解しております。
また、他党との関係においても、他の党も社会保障の将来の在り方を議論する上では、財源の問題、つまりは税の問題も議論が必要だという立場をとっておられる幾つかの有力な党もありますので、できればそうした場が与野党間でつくれることが望ましい。これは元元そういうことを参議院選挙の折にも申し上げてきたわけですが、その考え方は今も変わっておりません。そういったことが、果たして次の通常国会に向かって、まさに熟議の国会としてできるかどうか。しっかりと取り組んでいきたいと、こう考えております。
(内閣広報官)
それでは、次の方。
それでは五十嵐さん、どうぞ。
(記者)
読売新聞の五十嵐と申します。社民党との連携について、追加で質問いたします。
総理が今おっしゃった考え方は、社民党とのいわゆる政策ごとの部分連合を目指すというお考えだと思うんですけれども、将来的には統一会派の結成あるいは社民党の連立政権の復帰ということまで視野に入れていらっしゃるのでしょうか。
一方で、社民党は安全保障政策の根幹でもあります米軍の普天間基地の問題を理由にして離脱したわけで、安全保障政策では大きな違いがあると思いますけれども、その辺りをどういうふうに克服されようと考えていらっしゃるでしょうか。
(菅総理)
今日、朝の両党の党首会談の中で議論したことは、先ほど来申し上げたように、幾つかの政策課題についてしっかり協力していこうということと、また、社民党としては、今、言われたような幾つかの問題ではこういう考え方だからという要望もいただきました。
それに加えて、来年度予算についても、いろいろと共通の場をつくって、場合によっては国民新党との3党の間で、来年度の予算についても、できるだけ意見をすり合わせていきたいと、こういうことをお話をいたしました。
今の段階で、それ以上のことは、お互いにまだ何か会派とか、連立の復活とか、そういうところまでは特に議論はいたしておりませんし、あまりそういうことを考えると、逆に難しい面も出ますので、私は今の段階では、共通している政策について、あるいは予算について協力してやっていく。そういうことで信頼をお互いに確かめ合っていくことが重要だと、こう考えております。
(内閣広報官)
それでは、次の方どうぞ。
それでは江川さん、どうぞ。
(記者)
先日の検察の在り方検討会議で、小川法務副大臣が検察の問題点を明らかにして信頼回復するのは、政府を挙げての使命だとおっしゃいました。しかし、法務省というのは検察出身者が要職を占めていて、強力な政治主導がなければ、幾ら提言をしても、なかなか改革が難しいというところもあると思われます。
先ほど、内閣改造のことについて聞かれていましたけれども、特にその中でも法務大臣に関しては、専任の大臣が必要ではないかと思いますが、専任の大臣を早く指名するというお考えはないのでしょうか。その辺をお聞かせください。
(菅総理)
今の検察の在り方について、いろいろな問題が起きた中で、それを議論するという場が、前の柳田法務大臣のときに誕生して、動いていると承知いたしております。それについては、現在、仙谷さんに兼任をいただいているわけですが、その作業そのものは、十分その中で進められるものと理解しております。
もちろん、法務行政は大変重要でありますから、その重要性はよく理解しているわけですけれども、全体の内閣の在り方、あるいは全体の来年の通常国会に向かうためのいろんなことを考えながら、そのことも併せて検討していきたい。あまり早くというよりは、全体の問題と併せて検討していきたいと、こう思っております。
(内閣広報官)
それでは、次の方。
青山さん、どうぞ。
(記者)
日本テレビの青山です。この臨時国会で野党側が強く求めていた小沢元代表の国会招致というのは、結局実現しませんでした。岡田幹事長も実現に向けて努力すると言っていながら、結局実現できなかったわけですけれども、通常国会に向けて体制を整えると総理大臣はおっしゃる中で、小沢さんの国会招致の問題を菅総理自らが説得、もしくは何か努力するお考えはあるのか。もしくは例えば党の代表として離党勧告に踏み切るとか、別な動きを見せるお考えはあるのかどうか、お聞かせください。
(菅総理)
これは国会の答弁でもいつも申し上げてきましたが、代表戦の折にも、小沢元代表自ら、国会の決定にはいつでも従うと。国会における説明を自ら示唆をされていたわけであります。ですから、私はやはり御本人が国会の場できちんと、国民の皆さんが納得をされるような説明をされることが必要だろうと思っております。
現在、岡田幹事長がその方向で努力を続けてもらっているわけでありまして、最終的な段階で、私に対して何らかの判断が必要だとなれば、今、申し上げたような方向で、そういった御本人の国会における説明をやはりやってもらうように、そういう判断が必要であれば、そういう立場から対応していきたいと思っております。
(内閣広報官)
それでは、次の方、お願いします。
それでは、そちらの犬童さん、お願いします。
(記者)
日本経済新聞の犬童です。予算について伺います。
総理も自ら先ほどおっしゃられていました幾つかの課題が残っていて、これからもっと進めていかなければいけないということだと思いますが、総理のスタンスを確認したいんですが、まず、法人税、今、5%という議論がありますが、5%という数字に総理御自身はこだわりがあるのかどうかということをお伺いいたします。
もう一つ、政策経費71兆円、国債発行44兆円の大枠が既に決まっていましたが、これは死守という総理のスタンスなのかお伺いしたいと思います。
(菅総理)
法人課税については、先ほども申し上げましたが、今回の予算編成の中でも重要な課題の1つだと承知をしております。いろいろと今、関係者の間で活発な議論がなされております。
何%がどうかということは、最終的には私が判断いたしますが、今、何%がよくて、何%では駄目というところをこの場で申し上げることは、ちょっと控えておきたいと思います。
それから、44兆円の国債、あるいは71兆円の一般経費の枠というのは、私が財務大臣のころにもそういう趣旨のことを申し上げて、その後、部分的には閣議決定をしている財政戦略の中にも盛り込んでおります。
そういう意味で、そういった閣議決定までしているわけですから、当然のこととして、それをきちっと守っていくという考えです。
(内閣広報官)
それでは、次の方
それでは奥の方から神保さん、お願いします。
(記者)
ビデオニュースの神保です。総理、先ほど総理は、これまでの発言に慎重でしたが、これから直接国民一人ひとりに訴えていきたいとおっしゃいました。実際に菅政権になってから、民主党は本来の一丁目一番地である情報公開というものが、特に菅政権となってから、必ずしも進んでおりません。記者会見の解放というのも実際に止まっておりますし、予算編成の過程についても透明化というものが進んでおりません。
実際、直接訴えるというようにおっしゃったのですから、今後具体的にどのような形でそのような形をとっていくのか。会見の回数を増やすのか、あるいは透明性を増すような何らかの措置を採られるのか。もう少し具体的なお話を伺えればと思います。
(菅総理)
記者会見については、この今日の会見も含めて、私の会見は基本的にはオープンになっていると承知をしております。もしそうでないのであれば、それは改善しなければなりませんが、そのように私自信は理解いたしております。
各閣僚においては、いろいろな形がとられていると思いますが、基本的には、できるだけオープンにするようにということを私からも、閣議なり、閣僚懇の席で申し上げたいと思っております。
それ以上にどういう形があるのか。私もメディアの皆さんとのお付合いが、なかなか野党時代のように自由に、以前でしたら、我が家に何人か来られて、少しお酒でも飲みながら懇談していたんですが、なかなか難しいですね。それは決して、私が制限しているということだけではなくて、総理という立場だと一部の人にだけそういう機会をということが、多少逆の意味で、皆さん方の中で問題になるといったこともあるようでして、逆にどういう形であれば、もっとフランクに私の考えていることが皆さんを通して、国民の皆さんに伝えることができるか。これは本当に努力したいと思っておりますので、神保さんもいい案があったら、是非教えてください。
(内閣広報官)
それでは、次の方。
では、山下さん、お願いします。
(記者)
北海道新聞の山下です。官房長官について伺います。
総理は半年前の就任会見で、仙谷官房長官の起用について後藤田正晴元官房長官の名前を挙げながら、総理に対しても煙たい存在で、力のある人でなければならないと言って、内閣の中枢に据える考えを説明されておりました。その官房長官に対して今般、参院で問責決議が可決されましたけれども、半年経った今、総理はこの仙谷官房長官についてどのように評価されているでしょうか。先ほど、全体として政権運営をしっかりと進めることを考えていくということをおっしゃっていましたけれども、野党は仙谷官房長官の更迭を求めていますが、それとの見合いはどのように考えられていますでしょうか。
(菅総理)
仙谷官房長官については、おられる前でどういう表現をしていいかあれですけれども、私が期待した、あるいは期待以上の大変仕事をしっかりとこの間にしていただいてきましたし、現在もそれを続けていただいていると。このように思っております。煙たい存在という言葉も当時使ったかもしれませんが、それは今でも、ある意味では長官としての判断というものをしっかりと持った中で、いろいろ私に対しても必要なことはきちっと言われるという意味を含めて、期待以上の活躍といいましょうか、仕事をしていただいていると思っております。
この問責についてはいろいろな議論があるわけですが、今の私の総理という立場であまり、その制度の在り方について云々というのは余計に野党の皆さんにいい結果にならないかもしれません。ただ一般的に言えば、衆議院の場合は不信任案が通れば辞めるか解散ができるわけですが、参議院の場合は、例えば個人であっても内閣であっても、問責を受けた時に、辞めることはそれは何でもできますけれども、解散はできないわけであります。そういう意味では、問責というものはもちろん、院の意思としては大変大きい意思ではありますが、それは場合によってはすべてが何か辞任ということであるとすれば、今の憲法が想定している、内閣と衆議院におけるいわゆる不信任案を通せば辞めるか解散という一つのある種の緊張関係といいましょうか、それとは違った意味で、そういったことも是非、きちんとした議論が必要ではないか。こんなふうに思っております。
(内閣広報官)
それでは、次の方。
それでは後藤さん、お願いします。
(記者)
時事通信の後藤です。先日、総理が与謝野さんとお会いになったことで、大連立の話が少なくとも政治家の口から出ていたんですけれども、3年前に大連立騒動があったときに総理は、国会のチェック機能という観点から大連立には否定的なことをおっしゃっていましたが、現時点で大連立についてお考えが変わっているのかどうかをお聞かせください。
(菅総理)
あのときはたしか福田内閣の折で、小沢代表の下であったと思います。あの当時から私は、大連立そのものが絶対に駄目だと考えていたわけでは当時からありません。ただ、あの時点で言いますと、大連立がもし実現をしていたとすれば、これは今でも同じかもしれませんが、衆参で与党の割合が場合によったら9割とか、そういう議席数になるわけです。そういう形になったときに、国会というものがどういう機能を果たすことになるのか。やはり相当程度、どうしてもそうしなければ日本の国にとって物事が進まなくなって、国難とも言えるような状況であるとか、あるいは一定の、例えば3年間なら3年間、あるいは課題についても、これは取り組むけれども、逆にこれはこの間では取り組まない。例えば憲法改正については、これはこの間では取り組まないといったような、かなりきちんとした、国民の皆さんに理解していただけるような前提がないままに大連立を組むというのは、そういった議会の在り方として大変理解を得にくいのではないか。こういう意味で当時、私自身、反対の意見を申し上げました。
ですから私は、その基本的な考え方は今も変わってはおりません。ということは、何が何でも反対とか、何が何でもやればいいということではなくて、当時も申し上げたように、もしそういう形があるとすれば、きちんと国民の皆さんがそういう形を採ること自体を、わかった、ある段階ではそういうこともやってもそれはやむを得ないだろう。それは理解できると言ってもらえるようなきちっとした前提条件といいましょうか、そういうものがなければなかなか難しいのではないかと思っております。
(内閣広報官)
予定の時間が過ぎておりますので、最後の質問ということにさせていただきます。
それでは、松原さん、お願いします。
(記者)
TBSの松原です。今の政権は、飛んで来るボールを、目の前に来るボールを打ち返すのに精一杯のように見えるんですが、国民に政権が何をしたいか伝わらない、わかってないと思うんですが、改めてお聞きしたいんですが、この政権は結局何をしたい政権なんですか。
(菅総理)
まず、来るボールを打ち返すのが精一杯だと言われたのは、この国会の中で私自身が予算委員会を含めて、ほとんど自分自身がいろいろ考えて、いろんな人に会って、いろいろな発言をするという余裕がないくらいにタイトなスケジュールであったということは、あまりこういうことを言っても理解を一般の方にいただけるかどうかわかりませんが、そこはひとつどうしても、例えばAPECの前にはG20がありました。G20の前の3日間は、7時間、7時間、6時間の一般質疑、集中審議で、朝5時起きからずっとやっていました。そういう状況の中で、もしかしたら皆さん方に、そういうふうに見えたかもしれません。
しかし、先ほど申し上げたように、APECそのものに対してもきちんと、それに向かって貿易の自由化と農業再生の基本方針を決めましたし、また、ASEMやいろいろなところで、先ほどのベトナムのレアアースと原発の話も決まりましたし、あるいはインドとペルーとのEPAも決まりましたし、そういう意味で何か言われたこと、あるいは指摘されたことにだけきゅうきゅうと追われたとは、私は思っていません。ちゃんと冷静に見ていただければ、やれたことはまだまだたくさんあります。
例えばオープンスカイの問題とか、あるいはこれは少し前の政権、鳩山さんの時代からでありますが、例えば海外の観光客を増やすためのビザの解禁とか、なかなかこれまでの政権ができなかったことを次々とやっているんです。ですから、それを伝える暇がなかったというのが私の実感です。
今やらなければならないと考えている、あるいはこの政権として考えているのは、まさにこの臨時国会の冒頭に申し上げたことです。つまり日本は20年間低迷しているんです。今、ある意味では、これから復活できるか。このままどんどん衰退していくかの、私はまさに分水嶺といいましょうか。分かれ道になると思います。ですから、私は5つの重要政策課題、つまりは短期でできたことではありません。経済の成長が止まっている、何とかしよう。財政が非常に難しくなっている、何とかしよう。社会保障もこのままいけば少子・高齢化でうまくいかない、何とかしよう。地域主権もなかなか進んでいない、何とかしよう。外交の在り方はいろんな理念はありますが、これも国民がしっかりと自分のものとして考えていくような外交に何とかしていこう。まさにこういうことを超えていかなければ日本は、このままどんどん衰退すると思ったから、その5つの政策課題は決してだれの責任だという余裕はないんだと。与野党を超えて、その課題を後世に先送りしないように議論しようではないか。私はその思いを込めて、あの所信表明を自ら筆を執りましたから、訴えたつもりであります。
しかし、残念ながら、野党の皆さんの代表質問には、そういった中身を真正面から受け止めた質問は少なかったし、場合によれば、メディアの報道も、必ずしも私が一番重点を置いたところについて、必ずしも多くの論評をしていただけなかったのは、若干残念であります。
そういう意味で私は、まさに元気な日本を復活させるという、参議院選において掲げたスローガンを実現するのが、私の役目だと考えています。
(内閣広報官)
それでは、以上をもちまして記者会見を終了いたします。御協力、どうも大変ありがとうございました。