[文書名] 菅内閣総理大臣記者会見
【菅総理冒頭発言】
私は本日、内閣を改造し、先ほど皇居で認証式を済ませてまいりました。この改造について、国民の皆さんに、なぜこうした改造を行ったのか。更にはこれからどのように国会に臨もうとしているのか。そのことをまず申し上げたいと思います。
私は、今の日本の置かれた大変危機的な状況、20年間続く経済の低迷、財政の悪化、不安な社会保障、そして進まない地域主権、また外交の問題でも多くの問題を抱えております。こういった危機を乗り越えていく上で、通常国会に向かって党と内閣の体制を、最もそういう危機に向かって、それを越えていく力を最大にしたい。そういう観点から改造を行い、また引き続き党の人事についても、明日、明後日を含めて幾つかの点での強化を図ってまいりたいと考えております。
特に1月4日の記者会見で私は、平成の開国を行わなければならない、また、最小不幸社会を目指したい、不条理な政治を正していきたい、この3つの理念を申し上げました。そしてこれを更に具体的に申し上げれば、今、大きな課題としてあるのは、これから安心できる社会保障制度、これは制度の在り方と同時に持続可能なその財源をいかにしていくのか。この議論が必要であります。
今回、与謝野さんに経済財政担当大臣として参加をしていただいた。このことは、こうした面での議論を、国民的な議論を高めてまいりたいと考えたからであります。特に与謝野さんは、自民党時代においても「安心社会実現会議」というものを作られて、こうした社会保障の在り方、その財源の在り方について検討されてきた中心メンバーであります。
また、我が党が行った、この問題の検討会でも、多くのメンバーがこの「安心社会実現会議」とダブったメンバーにもなっておりまして、そういうことも含めて共通性の高い政策を持っておられると考えました。
更に言えば、この問題では、必ずしも政党と政党の間で大きな差があるというよりも、共通の認識があると思っておりまして、そういった点も含めて与謝野さんにこうした問題の責任者になってもらったこと、これはこの内閣改造の一つの大きな性格の表れだと受け止めていただきたいと思っております。
更には、経済連携と日本農業の改革についても、海江田大臣に経産大臣に就任していただき、勿論、鹿野農水大臣にも頑張っていただき、この2つを両立させる道筋をしっかりと打ち出してまいりたいと考えているところであります。
その上で、通常国会について、24日からの召集をこの後、衆参の議運の理事会の方に新しい官房長官から申し出をしていただくことにいたしております。この通常国会について、私は是非国民の皆さんにお願いをしたい、訴えたいことがあります。それは、この国会を単に与野党の国会ではなくて、国民の皆さんが一緒になって議論をする国会にしていきたいということであります。今の日本の、ただいま申し上げたような国の危機を乗り越えるためには、どのようにすべきなのか。これを与野党が国会の場で話し合い、国民の皆さんがそれを聞いて、こういうやり方があるのか、ああいうやり方があるのか、そういうことを判断していただく。多くの課題を先送りしてきているわけですが、これらについて一緒にそれを進めていこうではないかと、こういう議論についても与野党の議論が国民の皆さんの中で、そういうことを言っているのなら、あの党の言っていることがいいじゃないかと、こちらの方がいいじゃないかと、そういった議論にしていきたいと、このように考えております。
そして、そのために、例えば党首討論、クエスチョンタイムをできるだけ早い機会に開かれるのであれば、積極的に応じていきたいと、このことも申し上げておきたいと思います。
それに加えて、言うまでもありませんが、この通常国会は、来年度の予算を審議する場であります。私たちとしては、この来年度の予算こそ、現在、日本の置かれた危機を突破していく、まず、第一歩になり得る予算だと自信を持って国民の皆さんに提示をいたしました。
例えば経済成長について、科学技術の予算を積み増し、また、企業が海外に移転をするということを防ぐためにも、国内の立地に対して、促進的な税制、そういったものもこの予算の一環として提出をいたしております。
また、子育てあるいはこれから子どもを産もうとされている皆さんにとって、待機児童をゼロにする。このためにも200億円の予算を今年度積み、これから数年の間に待機児童がゼロになるように順次推し進めていく。
更には、地方主権、長年言葉は言われてまいりましたが、各省ごとの補助金がなかなか一括交付金等に変えることができなかった。当初は28億円しか各役所が出してこなかった、その一括交付金化を5,000億を超える規模で実施をするというのが、来年度の予算であります。こういった予算について、是非、将来の日本の在り方と関連した形で、大いに国民の皆さんの前で議論をしていきたいと、このように考えているところであります。
そういった意味で、24日に召集をお願いする予定の次期通常国会では、国民が一緒になって参加をしていただけるような国会になることを、私たちも全力を挙げて努力をいたしたいと思いますし、是非、野党の皆さんにもそういう姿勢で国会に臨んでいただけるよう、この場を借りてお願いを申し上げ、冒頭の私からのお話とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
【質疑応答】
(内閣広報官)
それでは、質疑に移ります。御質問いただく方は、私どもから指名させていただきますが、まず、所属とお名前をおっしゃってから、御質問の方をよろしくお願いいたします。
それでは、阿比留さん、どうぞ。
(記者)
産経新聞の阿比留と申しますが、今回の改造で与謝野さんが経済財政担当相に入りまして、藤井さんが官房副長官になられました。消費税率上げに向けた布陣が敷かれたとも言えると思います。
ただ、民主党は平成21年の衆院選マニフェストで、行政の無駄遣い削減や、埋蔵金活用で16.8兆円の財源が生み出せると言いました。そして、それを信じて多くの有権者が政権交代を選んだ経緯もあります。総理も昨年7月の参院選前に、消費税率を上げる時期は、次の総選挙で国民の了解があった段階だと明言されております。
民主党は、今回、マニフェストの見直しを表明しましたけれども、そうであるならば、ここは衆院解散でもう一度信を問うのが筋ではないでしょうか。
(菅総理)
ただいまの質問について、私は非常に誤解を生むような質問だと申し上げざるを得ません。私たちが申し上げているのは、今の社会保障制度がこのまま維持できるのか、あるいは更に充実することができるのか、そのことをしっかりと議論しよう、そのときに合わせて当然ながら維持していくための財源の在り方、現在のままで十分なのかどうなのかということを議論しようとしているんです。それを、何か消費税引上げのための議論、そういうふうに決めつけて、すり替えて質問されるのは、私はフェアではないと思っております。
先だっての記者会見のときにも申し上げたように、例えば現在の消費税を国税分については、高齢者の医療・介護・年金に振り向けるという、そうした税制の基本的考え方が平成11年に決まっておりますけれども、平成11年においては、約7兆円が消費税の国税分でありました。国の歳入分でありました。必要な費用は約8兆5,000億程度でありました。ですから、確かに高齢者の医療・介護・年金について、消費税の国税分でほぼ賄えてきたわけですが、平成22年においては、収入は7兆円が変わらないのに対して17兆円の支出を既にしているわけです。では、その差額の10兆円はどうしているかと言えば、それは実質的には赤字国債で、借金で埋めているわけであります。
こういう状態が持続可能なのかという議論を社会保障の議論としてしっかりしよう。そういうふうに申し上げているときに、社会保障の社の字も言わないで、何か消費税の議論をしようとしているように言われるのは、私は大きく国民の皆さんに間違ったメッセージを与えると思いますので、あえてこのことを申し上げ、お答えとさせていただきます。
(内閣広報官)
それでは、次の方どうぞ。山下さん、どうぞ。
(記者)
北海道新聞の山下です。
総理は昨日の民主党大会で、今回の内閣改造は問責を出されたからではないとおっしゃいました。昨年9月に改造したばかりの有言実行内閣をたった4か月で変えるのは非常にわかりにくいと思います。問責がなくても仙谷官房長官を枝野さんに交代させるつもりだったのでしょうか。また、これまで法的根拠の問題というのがありましたけれども、今回の人事が、閣僚が問責されれば辞任するという慣例を作ることにつながらないでしょうか。
それから、首相はこれまで412人内閣ということもおっしゃっておりましたけれども、今回の閣僚人事では小沢元代表に近い議員の起用がありませんでした。小沢氏の周りには適当な人材がいなかったということでしょうか。あるいは首相に何らかの排除の意図があったということでしょうか。
(菅総理)
先ほど申し上げましたように、この内閣の改造と党の体制は、これは大会でも申し上げましたが、民主党の危機を超えるためではなくて、日本の危機を超えるためという観点から行ったもの、あるいは行おうとしているものであります。その理由については、今、申し上げたように、今、日本が抱えている危機の大きな課題を超える上で、例えば与謝野さんの参加といったものも必要だと考えたわけであります。
同時に党の方のいろいろな活動も更に大きくしていかなければなりません。例えばシンクタンク、あるいはいろいろな「新しい公共」と呼ばれるようなNPOグループとの連携。そうしたことは内閣だけではなかなかできません。こういう活動に大きく幅を広げていく上で、仙谷さんは大変有能な力を持っておられると思っております。そういった意味で、全体のことを考えた中で、日本の危機を超えていく上で、最強の体制をつくる。そういう考えで推し進めたものであります。
また、何か一部のグループでやったのではないかという趣旨のことを言われますが、それは全く当たりません。9月の代表選挙で私が党員サポーター、全地方議員、全国会議員に申し上げたわけです。クリーンでオープンな政治をやりたい。そして、私がその皆さんによって代表に選ばれたわけです。ですから、その公約を実現することに協力をしていただける方であれば、それはだれでも全員参加でやりましょう。例えばオバマ大統領が誕生すれば、オバマ大統領の公約を実現する上で協力する人が集まっていくのは当然であります。そういった意味で、私の代表選の公約あるいはそうした考え方を中心にして、党がまとまって、この日本の危機に飛び込んでいく。そういう立場でこの改造や党人事についての強化を行う、あるいは行おうといたしております。
その中には一般的に言えば、小沢さんのグループと言われる方も既に、特に副大臣、政務官にはこの間もたくさんおられますし、代表選で必ずしも私を応援していただいた方以外にも、閣僚に既に何人もおられるわけでありまして、基本的に党の方針あるいは私が申し上げたクリーンでオープンな政治というものに賛同し、共に行動していただける方は全員参加をしていただく。そういう姿勢で臨んでいるということを明確に申し上げておきます。
(内閣広報官)
坂尻さん、どうぞ。
(記者)
朝日新聞の坂尻です。
先ほど総理は社会保障改革に力を込めるとおっしゃったので、少し具体的なことをお聞かせ願いたいと思います。社会保障改革の1つの大きな柱に、年金制度改革の問題があると思います。今回起用された与謝野さんは、この年金制度については現時点では社会保険料方式が最も合理的だと。これは従前からこういう姿勢を示されていらっしゃいます。
一方で民主党政権は、09年のマニフェストでもそうでしたが、全額税方式による最低保障年金の創設ということを掲げていらっしゃいます。今回、与謝野さんを起用されたことで、与謝野さんの議論の進め方によっては、民主党が掲げた全額税方式という旗を降ろされることも選択肢と考えていらっしゃるのでしょうか。また、そうであるとすれば、この民主党マニフェストの矛盾を国民に対してどのように説明されるお考えでしょうか。
(菅総理)
先ほど申し上げましたが、社会保障制度というものの考え方、年金を含めて、大変幅広いものがあります。そして、高齢化というものが、いよいよ私も含む団塊世代が60あるいは65歳を超える中で、従来議論してきた年金制度の改革で、果たしてそうした状況に対応できるのか。これまで相当民主党の中でも議論してまいりましたが、それが3年、5年経過をする中で、現実の人口構成の変化は、極めて急激なものがあります。
ですから、私は、勿論これまで民主党として提案し、議論してきたことをベースにした議論が必要だとは思いますけれども、そういうことをベースにしながらも、いろいろな意見がこれから本格的な改革に向かって議論がされることは、他の考え方も含めて議論されることは、私は十分あっていいのではないかと考えております。
(内閣広報官)
それでは、次の方どうぞ。
それでは、山口さん、どうぞ。
(記者)
NHKの山口です。
総理、与謝野さんに期待をかけて起用なさったということですけれども、412人内閣ということで、民主党の中には有能な人がいっぱいいるとおっしゃられていたんですが、その中から人材を発掘して、起用しようということはお考えにならなかったんでしょうか。
(菅総理)
先ほども申し上げたように、412人内閣というものを念頭に、先の私の代表選が終わったとき、あるいは就任したときに、そういう方向で、閣僚ばかりでなく、副大臣や政務官を含めて、適材適所でお願いをした。それに加えて、政調を復活しましたので、そしてその政調会長に入閣をしていただいておりますので、従来の与党の中での議論が、積極的な形で内閣にも反映できる仕組みがありますので、その幅も併せて理解をいただければ、政権党の場合は、党の中の議論は党だけで完結するということではないわけですから、そういう意味では、412人内閣というものの形を党と内閣に立場は分かれておりますが、私はトータルして考えていただければ、そうした形になっていると。その中で勿論、それぞれの分野、能力や経験のある方は、その中で中心的な役割を大いに果たしていただきたいと思っています。
(内閣広報官)
それでは、次の方、どうぞ。
では、そちらの奥の方、どうぞ。
(記者)
ダウ・ジョーンズのモナハンです。
TPPの議論についてお伺いします。TPPの推進派として知られる海江田大臣を経済産業大臣に指名されました。TPPにつきましては、農業関係者を始め、民主党の内外から反対の意見が出ていますが、どのようにその反対の方を説得されますでしょうか。
(菅総理)
これもこの間ずっと申し上げてきているわけですけれども、農業の改革というのは、この貿易自由化という問題を別に置いたとしても、避けて通れない状況にあると。就業している人の平均年齢が66歳という状況ですから、貿易自由化を一切現在のままで止めたとしても、あと5年、あと10年経ったときに、日本農業がこのままでは成り立たなくなる。そういう危機意識を持って、農業改革の本部を立ち上げ、私が本部長として、今、その改革の方向性を、大議論を始めております。
そして同時に、TPPを含む経済連携の在り方についても、例えばそういうものに踏み込んで実現していく場合には、どういう農業の改革、農業に対するいろいろな手立てが必要か、あるいは手当が必要か。そういうことも事前にしっかりと検討しておこうという姿勢で現在臨んでいるところであります。
そういったトータルな検討の中で、若い人がどんどん農業に入っていって、そして世界で最も私は多くの人がおいしいと言っていただいていると思いますし、安全だと言っていただいていると思いますが、そういう農業、そして食、食べ物を世界に広げていくことも十分可能である。そういう形で進めていくことで国民的な合意が得られると考えております。
(内閣広報官)
それでは、次の方。犬童さん、どうぞ。
(記者)
日本経済新聞の犬童です。
先ほど総理の社会保障の関係のお話があったんですが、幾つかちょっと確認させていただきたいんですけれども、最初に社会保障の在り方の議論、与野党協議の考え方についてお話されていましたが、これはまずは税制の抜本改革の議論というよりも、社会保障の在り方を議論して、その後に消費税を含む議論をしようという2段構えの考え方で、与野党協議に臨むというお考えを表明されたということなのかということが1つと、先ほど民主党の今までの議論をベースにしながらも、他の考え方も含めて議論することはあっていいというお話がありましたが、これは要するに全額税方式という年金改革の考え方はベースだけれども、必ずしもそれに固執されないということをおっしゃられたんでしょうか。
あと、与謝野さんを中心にということで、先ほど政調会の話がありましたが、与謝野さんと玄葉さんとの関係をどういう形にされるのか。経済財政担当相と国家戦略相との関係、その整理ということもあるのですが、その考え方の整理をどういうふうにされているのか、ちょっとわかりやすく説明していただければと思います。
(菅総理)
最初の御質問は基本的にはそのとおりです。つまりは社会保障制度の在り方を議論する。社会保障制度の在り方をこちらに置いて何か議論をしようとしているのでは全くありません。社会保障制度の在り方を議論する、と。そのときに先ほど申し上げましたように、例えば消費税の国税分を高齢者の医療費等に振り向けると総則はなっていますが、現実は7兆の収入に対して17兆既にかかっている。こういう問題も含めて社会保障制度を考える上で、それが持続可能であるのかどうかといったことを併せて当然議論しなければ、社会保障制度の安心というものは生み出すことはできません。ですから、基本的には社会保障制度の在り方を考えていく中で、必要なそうした持続可能な財源の在り方についても議論をする。そういう考え方であります。
それから、年金制度の個別的な問題はいろいろあります。全額税方式という表現もされましたけれども、最低保障年金方式でありますので、必ずしも最低保障の部分を我が党は言っているのであって、全部を税金で賄うということではありませんので、今、我々がもともと言っていることを含めて、ですから、そういうことは私自身は先ほど申し上げましたが、従来、5年ぐらい前にいろいろ議論したことを私もかなり覚えておりますけれども、この5年間の人口構成の変化、更に5年、10年先の変化を考えますと、そのころ前提とした考え方そのものが果たしてそのままでいいのか。そういうことも含めて考えなければならない。これは当然のことだと思っています。
(内閣広報官)
それでは、次に後ろの方から七尾さん、どうぞ。
(記者)
ニコニコ動画の七尾です。視聴者の質問を代読いたします。
年頭、経済3団体は、菅政権に対しまして合格点を出しました。具体的に言いますと、経団連は点数こそは語らなかったものの合格点ということで、幾つか包括的には合格点だったと認識しております。その一方で、世論やメディアの論調は、かなり厳しいものがございます。この経済界の評価とのギャップにつきまして、この原因はどこにあるとお考えでしょうか。
更に、このギャップをどのように今後埋めていかれるおつもりでしょうか。
以上です。
(菅総理)
経済界がどのように言われたからということを超えて、私はこの1年半前からの政権交代後に民主党あるいは民主党政権でやったことは、大筋間違ってはいなかったと思っております。しかし、残念ながら、そのことをしっかりと国民の皆さんに理解していただくことができていないために、何かイメージとしてやっていないとか、できていないとか、ばらまきだとかということを言われて、それを十分にそうではないということを伝えきれていないと思うのです。例えば1つの例を挙げます。子ども手当であります。
昨日の大会でも申し上げましたが、本当に日本の人口構成がどうなっているのか。ベトナムが平均年齢は確か27歳です。日本が現在45歳です。我が国も私が生まれた20年ぐらい目の昭和40年ごろには、平均年齢は勿論もっと若かったわけです。その時代にお年寄りに対していろいろな手当をだんだんとつくり上げていきました。しかし、子どもを産んで育てるという分野には、必ずしも十分な手当といいましょうか、社会的なフォローがありませんでした。それだけが原因ではありませんけれども、結果として少子化がどんどん進んできているわけです。
そこに対して何をするのか。そういう観点から、私たちは子ども手当ということを提案し、まずは当初の目標の半分でありますが、初年度1万3,000円の子ども手当をスタートさせたわけです。ですから、私はこれをばらまきという言い方で、一言で片づけられるのは大変違っている。これまでお年寄りには比較的手厚かったけれども、子どもに対して非常に薄かったものをしっかりとバランスの良い社会保障にしていく。あるいは高校の無償化もその一環であります。
ですから、そういう意味を含めて、しっかりと伝えきることができていない。あるいは来年度の予算で言えば、これも先ほど申し上げましたが、待機児童ゼロに向かって、具体的に予算を付け、工程表を作ってやっております。こういうことについてしっかり国民の皆さんに理解していただければ、私は国民の皆さんからも合格点が頂けるものと思っております。
(内閣広報官)
それでは、次の方。
次は松浦さん。
(記者)
共同通信の松浦です。
総理は昨日、税・社会保障の協議に野党が参加しない場合は、歴史への反逆行為であるという大変強い発言をされましたが、早速、野党側が反発しております。野党の協力が是が非でも必要な状況の中で、なぜあのような挑発的な発言をされたのかということと、その発言を撤回するお考えはありますでしょうか。
(菅総理)
確かに私が党大会で申し上げたときに、その直前でしたか、私の読んだ『デフレの正体』という本のことを紹介して、今も話題になりましたけれども、年齢構成が非常に大きく変化してきているということを申し上げました。
私は、私自身の中でも、これほどの大きな変化に対して政策対応が遅れていることについて、当時、野党の立場が長かったこともあったとしても、あるいは一時、厚生大臣を務めたことも含めて言えば、こういう大きな年齢構成の変化というものに着目した対応は、やはり遅れていたということを私の反省も含めてあるわけでありまして、そういう意味では、野党含めてそういう状況にあると思いましたので、歴史という言葉を使ったのは、そういう日本の歴史の中で、あの著者は2000年に一度の出来事だと言っていました。
つまりは、日本の歴史の中で人口そのものが減少に向かうのは、2000年前は、何年かは別として、少なくとも有史以来、わかっている以来、初めてのことだと言っていました。そういうことを念頭に置いて、こういう問題にきちっとした議論をすることが、今、生きている私たち政治家には絶対必要であって、そういうことを怠るということは、そういう歴史に対して、私はそれをある意味で軽視することになるという趣旨で申し上げたわけでありまして、別に言葉を撤回するとか、そういうことは考えておりません。
(内閣広報官)
それでは、時間が過ぎておりますので、最後の質問とさせていただきます。
田中さん、どうぞ。
(記者)
毎日新聞の田中です。
問責と今回の改造についての関係を伺います。今回の改造で閣外に去った閣僚が3人おられますけれども、うち2人は問責が可決された方で、1人が問責を提出された段階の方ということで、3人とも問責に関係のある形になっておりまして、総理は問責と改造は関係ないというふうにおっしゃっていますが、野党側は、これをもって不信を深めている状態なんですけれども、総理として、改造に当たってそういう事態を招く可能性があったというようなことを考えていたのかどうか、どういうふうに整理して改造に至ったのかというのをもう一回お聞かせいただければと思います。
(菅総理)
先ほど来、本質的なことは申し上げたつもりです。つまりは、我が党の危機とか、国会対応とか、それらを全く無視しているという意味ではありません。そういうことを勿論総合的に考えるのは当然ですけれども、そういう範疇で考えたのではなくて、今の日本の危機的な状況を超えていくために、内閣として、党として、どういう形が最も強力な体制になるのか、より責任を果たす体制になるのか、そういうことで申し上げたということです。
問責についての考え方については、この間、いろいろ議論が行われております。私も何度かその議論をこの場でも紹介したことがありますけれども、今日は、そういう紹介は、今、申し上げたように、そういうことがベースで行った改造ではありませんので、細かいそういう議論は、この場では申し上げることは控えておきたいと思います。
(記者)
改造内閣に名前を付けるとしたら。
(菅総理)
私としては、これまで申し上げてきた有言実行内閣の具体的な実を示すときが来たと、ですから、有言実行内閣を推し進めると、そういう考え方です。
(内閣広報官)
それでは、終了いたします。ご協力どうもありがとうございました。