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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 菅内閣総理大臣記者会見

[場所] 東京
[年月日] 2011年4月22日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

【菅総理冒頭発言】

 前回、大震災発生から1か月目の記者会見を行いました。それから約10日経ちまして、この間に更に前進したこと、更にはこれからの方針・方向性について、私の方から国民の皆さんに御説明をしたい。今後もそういう形を取れればと思っております。

 まず昨日、福島県を訪問いたしました。その中で被災者の方に何人もお会いしましたが、一番耳に残った言葉がありました。それは、私の家は今、アメリカよりも遠いんですよ。アメリカなら十数時間で行くことができるけれども、私の家には何週間も、場合によったら何か月かかっても帰れないかもしれない。何とか早く帰れるようにしてほしい。その言葉が一番耳に残った言葉でありました。何としても、この原子力事故によって家を離れなければならなくなっている皆さんが一日も早く自分の家に戻れるように、政府として全力を挙げなければならない。改めて、そのことを強く感じた次第であります。

 こうした中、昨日、警戒区域を設定し、本日は計画的避難区域と緊急時避難準備区域を設けたところであります。この措置は、住民の皆様の安全・健康を最も重視して決断をしたところであります。内容については、既に官房長官などから詳しく説明をいたしているところでありますけれども、特に警戒区域というのは、いわゆる原子力発電所から20km圏内において、基本的には避難をすべての人がしている。中には治安上、窃盗などがあるのではないかという心配もあります。そういった中で今回、警戒区域という形で、法律的にその中には入れないという位置づけにしたわけであります。

 それと同時に、中に住んでいる皆さんには一時的に家に立ち寄ることができるような、そういう形をこれから順次、計画的に進めてまいりたい。着のみ着のままで避難された方が一時的に家に戻って必要なものを取ってくることができるような、そういう対応をしてまいりたい。このように思っております。

 福島原発事故の今後についてでありますが、既に17日に東電から今後の見通しについて工程表が提示をされております。政府としては、この工程表を予定どおり実現する。ステップ2は、ステップ1の3か月に加えて、更に3か月から6か月となっておりますけれども、できることならなるべく短い期間の間にそれを実現する。そうすれば、その中から避難した皆さんに対してどういう形で戻ることが可能なのかを提示することが、ステップ2が終わった段階に立ち入れば、できるのではないか。このように考えているところであります。

 また、この間で復旧が次第に進んできております。仙台空港の再開、東北線の全線開通など、着実に前進しております。更に、本日は第1次補正予算の概算を閣議決定いたしました。来週、がれき処理など復旧のための補正予算を国会に提出し、連休中には成立できるよう努力をしたい。更に、震災関連の法律も順次、国会に提出してまいりたい。こう考えております。

 当面、仮設住宅の整備が大きな課題であります。各県で仮設住宅の建設を精力的に進めていただいておりまして、感謝をいたしております。政府も資材確保などに全力を挙げており、自治体が提供できる場所を決めていただいて、その中で作業を急ぎたいと思っております。5月末までには3万戸を完成させたい。最終的には仮設住宅、あるいは借り上げ等を含めて10万戸を避難される方に提供できるようにしていきたい。こう考えております。

 また、こうした復旧が進む中で、復興の議論も本格化してきております。14日には復興構想会議の第1回目が行われ、明日は第2回目となります。6月末を目途に、この復興構想会議で復興の道筋、在り方について御提言をまとめていただくようにお願いをいたしてあります。復興は、単に元に戻すという復旧ではなくて、すばらしい未来をつくるという復興であってほしい。そのことも多くの皆さんと共有している考えだと思っております。

 この復興を考える上で、私は更に今回の大震災、原発事故、この危機が1つの危機ではなくて、危機の中の危機だと、このように位置づけをいたしております。つまり、我が国は、この20年余り、経済的にも成長が低迷し、社会的にも自殺者がなかなか3万人を切らないといったような多くの課題、社会的なある意味での危機を経験しつつあったわけであります。そうした中にこの大震災、原発事故という危機がまさに発生した。危機の中の危機の発生。このようにとらえてまいりたいと思います。

 そして、この2つの危機に対して、同時にこの危機を解決していくことが、今、私たちに求められておりますし、もっと言えば、この復興ということは、大震災を契機に多くの国民が、自分たちが何とかしなければという思いを強くしていただいている。その思いを本当に力に変えて、この復興をばねにして、もともとの危機を含めて2つの危機を乗り越えていく。つまり、日本再生が東日本の復興を支え、一方では東日本の復興が日本の再生の先駆けとなる、こういう形で推し進めてまいりたいと考えております。

 そうした考え方において、マクロ経済面を含めた今後の日本再生の全体的方針を提示するため、連休明けには本日も朝行いました、経済の見通しを立てる会議を通して全体の大きな方向性をお示しできるようにしたい、このように考えております。

 こうした復興構想会議の努力やマクロ経済の見通しなどを踏まえて、いよいよ復興そのものを実施していく態勢、仮称ではありますけれども、復興実施本部というものを検討しなければなりません。この大きな復興には、自由民主党や公明党など、各党の御協力が不可欠だと考えております。この復興実施本部について、是非ともこうした自民党、公明党始め、各政党の御協力をお願いしてまいりたいと考えております。

 そして、今回の大震災で亡くなられた皆さん、私はその皆さんが声なき願いを私たちに強く伝えていただいているように思えてなりません。それは生き残った皆さんが、私たちが、力を合わせてすばらしい日本をつくってほしい、こういった願いだと、このように思っております。

 私自身、この大震災のときに、総理という立場にあったひとつの宿命だと受け止めておりまして、こうした亡くなられた皆さんのその願いを実現するために、私に持てるすべての力を全身全霊振り絞って、その実現に向けて頑張りたい。その気持ちを改めて強くいたしているところであります。

 こうした中にあっても、各国からの我が国に対する支援あるいは激励は続いております。先日はクリントンアメリカ国務長官がわざわざお見舞いと表敬に立ち寄っていただきました。昨日は、オーストラリアのギラード首相が来られ、明日、オーストラリアの救援隊が救援活動を行った地域に自ら足を運んでいただく予定になっております。本日は、OECDのグリア事務総長とも意見交換をいたしました。こういう皆さんがわざわざこの時期、日本に駆けつけていただいて激励をいただく。そして日本は必ず再生する。そういう強いメッセージを世界に発信していただく。

 更には日本でいろいろな地域を視察することを通して、日本が決してある部分を除いては安心して外国人も来ても大丈夫なんだ、いろんなものを食べても大丈夫なんだ、そういうことを発信していただいていると思っておりまして、特にそうした発信が我が国を助ける本当に大きな力になる、改めて感謝を申し上げたいと思っております。

 いずれにしても、そういった皆さんの期待に応えて、原発事故も含め、開かれた形で国際社会と共同して、復興と再生を進めてまいりたいと思います。

 前回の会見において、過度ないろいろな催し物の自粛をやめて、活気を取り戻すことが被災地の支援につながるということを申し上げました。しかし、まだ一部には自粛ムードが続いているようであります。そんな中で私も視察に訪問いたしました陸前高田市では、数百人の皆さんが集まる花見会が催されたと聞いております。がれきの中から見つけ出した太鼓が演奏されて、被災者を元気づけたと聞いております。こうした集い、お祭りは古くからの地域の絆を強め、活気をもたらす上で大変大事な行事であると思います。被災地では今後、仙台の七夕まつり、盛岡さんさ踊り、相馬野馬追など、こうした中ではあるけれども、いや、こうした中であるからこそ、今年も開催する。そういう地域がどんどん出てきております。その勇気に敬意を表し、日本全国でこれらのお祭りを応援してまいりたい。このように思っております。

 多くの皆さんが応援の気持ちを持って接されている中で、一部に思いやりに欠けるような対応があるという指摘もありますが、そうしたことがないように、お互いに気を付けてまいりたいということも国民の皆さんにお願いをしておきたいと思います。来週からは連休で、今年は観光に出かけるのは控えようと言われている方も多いかもしれません。しかし、できることなら、先ほど申し上げましたように、この東日本、東北におけるいろいろな催し物に参加をするために出かける。あるいはそうした地域で採れた野菜や、あるいはお酒を買い、いろいろな民芸品を買って、それらの地域を元気づける。中にはボランティアとして応援に行こうという方も多いのではないかと思います。どうかこのゴールデンウィークがそうした被災地の皆さんを元気づける、そういうゴールデンウィークになるよう、それぞれの立場で考え、行動していただけることを期待をいたしまして、私の話ということにさせていただきます。

【質疑応答】

(内閣広報官)

 それでは、質疑に移ります。御質問いただく方は私の方から指名させていただきますが、まず所属とお名前をおっしゃってから御質問の方をお願いします。

 それでは、青山さん、どうぞ。

(記者)

 日本テレビの青山です。

 総理は今、復興実施本部の立ち上げとそれに対する野党側の参画を呼びかけましたけれども、まずこの復興実施本部はどのような権利や責任を有する会議体を考えていらっしゃるのかということが1つ。この実際の野党に対する呼びかけは、現在、国民新党の亀井代表が実際に行っていますけれども、これは同じ連立与党とは言え、他党の代表である亀井さんがなぜこういう大事な呼びかけを行うことになっているのか。そして、これに伴って亀井代表は菅総理が地位に恋々としないと伝えているということを言っていますけれども、菅総理は復興にめどが立ったら退陣も辞さないという決意なんでしょうか。亀井さんとどのような話をしているんでしょうか。この質問も必ずお答えください。

(菅総理)

 まず実施本部の在り方については、過去のいろいろな例などは調べております。その在り方そのものを含めて、できることなら野党の皆さんとも協議をして、形づくってまいりたい。このように思っております。呼びかけについては、連立を組んでおります国民新党の亀井代表の方から、自分もそうした自由民主党や公明党など各党の皆さんが参加する形が望ましいと思うけれども、私に対して、菅はどう思うかということを聞かれまして、それはそういう形が取れるものなら大変ありがたい。その方向に向けて、亀井国民新党代表が御努力をいだたけることは大変ありがたい。このように申し上げているところでありまして、そういうことを受けて、亀井代表がいろいろと御努力をしていただいている。このように理解をいたしております。

 そして、この大震災と原子力事故のことは、先ほども申し上げましたように、私がそのときに総理という立場にあるというのは、ある意味で私にとっては宿命だと、このように受け止めております。その意味で、この事態に対して何としても復旧・復興、そして2つの危機を乗り越えていく道筋をつくり出していきたい。そうした道筋が見えてくれば、政治家としてはまさに本望だと、このように考えております。

(内閣広報官)

 それでは、次の方。五十嵐さん、どうぞ。

(記者)

 読売新聞の五十嵐です。

 原発の対応についてお伺いいたします。総理は先ほど、避難住民の方が1日も早く家に戻れるように政府としても全力を挙げるとおっしゃいました。政府の対応の強化のために、例えば原発対応のための大臣を置くような考えはおありでしょうか。

 その一方で、原発を始め、震災また復旧・復興といって、次々と会議、本部が置かれていますけれども、逆に非効率だという声もよく聞きます。総理はこの際、こうした会議や本部を整理、統合して、効率化を図るお考えはないでしょうか。

(菅総理)

 この大震災に加えて、原子力事故ということで、それぞれ政務三役、これまでの平常時といいましょうか、大震災発生以前の仕事に加えて、大変大きな仕事を抱えて、まさに不眠不休でそれぞれ頑張っていただいております。そういった意味で、現在の大臣や政務官、あるいは副大臣、補佐官というものは、法律で定員が決まっておりますので、できることなら、もう少しその定員を増やさせていただいて、それぞれの問題に更に有能な方にそうした立場で加わっていただきたいということを考えております。

 その意味で、内閣法の改正について、自民党や公明党、各党の皆さんにも、この間、幹事長などを通してお話しをしているところであります。まだ実現しておりませんが、是非とも御理解をいただければと、こう思っております。

 また、たくさんの本部があって、いろいろ分かりにくいのではないかという御指摘があります。私は、基本的には二正面作戦をやらざるを得ない状況にあるということについては、是非まず御理解をいただきたいと思います。つまりは、地震、津波というその自然災害に対しては緊急災害対策本部、法律に基づいて義務づけられたものを設置いたしました。一方で、原子力の重大事故に対しても、原子力災害特別措置法によって法律で義務付けられた本部を設けました。

 それぞれの本部、一部に被災者支援などでダブる部分もありますけれども、例えば補償の問題やいろいろな避難の問題の在り方については、それぞれ違った制度や違った意味を持っておりますので、そういう意味で2つの大きな本部を設け、それぞれの下に、例えば避難のため、あるいは補償のため、それぞれのある意味での実行部隊を設けたところです。その名称が本部という形で重なっている関係もあって、あるいは皆さん方に複雑に見えているかもしれませんが、基本は2つの本部の下のいろいろな課題を取り組むチームというか、プロジェクトチームのようなものと、このように理解をいただければわかりやすいと思っております。

 それに加えて、党としてのいろいろな活動もありますので、その党の本部は、内閣の本部とは性格を異にいたしております。しかしいずれにしても、かなり多岐にわたっておりますので、また、時期によっては状況が変わってまいりますので、もう少し整理ができないかということで、現在、官房長官のところで整理をする方向で調整をしていただいております。

(内閣広報官)

 それでは、次の方。

 松浦さん、どうぞ。

(記者)

 共同通信の松浦です。

 復興の財源についてお尋ねいたします。民主党の中では、増税によって復興財源を賄うことをやむなしという議論があります。世論調査でも、ある程度容認論があります。こうした中で総理は、復興財源を増税によって賄うお考えはおありでしょうか。その中でもとりわけ消費税について引き上げるお考えはおありでしょうか。

(菅総理)

 まず、第一次の補正予算については、いわゆる国債ではなくて、従来のいろいろな支出項目を振り替えたり、そういう形で概算の提案をいたしております。

 その次の本格的な復興のための第二次の補正というものは、相当の規模になるであろうと、これは大方の方もそう見ているし、私もそう思っております。その場合に、その財源をどういう形で調達をするのか。それは時間的な問題と、そして内容の問題とがあると思っております。まずは、やはり復興作業を進める上で、財源がないから作業が始められないといったことは決して望ましくありません。そういった意味では、必要な財源は一時的には国債等の活用も含めて、そうしたものに充てていくということが必要になると思います。

 その場合に、そうした国債等について、どういう財源で、いつごろまでに償還をするのか。そういうことが大きな議論として存在していることは、私も承知をいたしております。こういった問題についても、復興構想会議でもいろいろと既に意見が出ているようでありますので、これからの議論に待ちたい。この場合には、将来に対するいろいろな見通し、あるいはマーケットがどのように日本の国債市場を見ているか。そういったことも含めながら、しっかりとした議論をしてまいりたいと、このように考えております。

(内閣広報官)

 それでは、外国プレス、石田さん、どうぞ。

(記者)

 シンガポールテレビメディアコープの石田と申します。先ほど菅総理の方から、各国から日本に支援、激励が続いているとおっしゃいました。そして、OECDの事務総長、オーストラリア首相に日本が安全である、大丈夫であることを発信してほしいというお話をされました。

 しかしながら、日本の放射能汚染に対して懸念を示している国が多いというのが現実です。日本全体が放射能に汚染されているイメージを持っている国もあります。菅総理の方から、そういったことはない、安心してくださいというメッセージを発信していただけませんでしょうか。

(菅総理)

 この間、私も一つはいろいろな支援に対するお礼の意味を込めた広告を各国の新聞などに掲載をお願いしました。また、私の書いた文書を各国の新聞に寄稿いたしまして、かなりの新聞等がそれを載せてくれております。その中で、日本というこの国が、例えば食べ物などにおいても、危ないものは市場には出していない。そういったことを含めて、安全性について理解を求める。そういったことも行っております。

 これからも更にそうした外国から来ていただくことによる発信も大変ありがたいわけですけれども、勿論我が国自身のいろいろな機会を通しての発信を強く進めてまいりたい。こう思っております。

(内閣広報官)

 松山さん、どうぞ。

(記者)

 フジテレビの松山です。

 警戒区域の設定に関してなんですけれども、政府の方で警戒区域設定が発表されてから実施されるまで、かなり短い期間で実施されたということで、現在警戒区域に入る道路などで、若干住民が知らなかったといった声ですとか、若干トラブルが生じていると聞いております。

 また、家畜やペットなどの警戒区域外への避難についても、具体的な方針のないまま実施されたということで、野党などからも批判する声が出ているんですけれども、総理はそこまで緊急性があるという判断、認識を持ってこれを実施されたということなんでしょうか。

 また、強制退去を拒んだ場合に、純粋に法律を適用すると10万以上の罰金ということもありますけれども、そうしたことも含めて場合によってはそういう強制手段もいたし方ないという認識を持っていらっしゃるんでしょうか。

(菅総理)

 これは御承知のことだと思いますが、福島第一原子力発電所から20kmの範囲については、かなり早い段階で避難区域という形で指定をいたしました。これは、基本的にはその中にいていただくと、健康上の問題が生じる可能性があるので避難をしていただきたいという要請であります。

 それに対して、今回の警戒区域は、法律に基づくという意味で、確かに法律上の罰則規定といったものがありますけれども、基本的な考え方は、この範囲は住民の皆さんの健康や安全を考えると避難をしていただいていなければならないという考え方では、特に変わったわけではありません。

 実際には、この間は自分の家に帰っておられた方もある程度おられたようでありますけれども、基本的にそのことは説得をしていきたい。法律があるからすぐに何か強硬な規定、そうした規定を適用して、強制力を行使するということではなくて、基本的には説得するという形で対応したい。今日、公安委員長ともそういう話をいたしました。

 それに加えて、その地域に住んでおられる皆さんが、一時的に自宅に戻って、必要なものを取り出してくることができるような、そういう態勢を今から順次進めてまいりますので、そういう形で御理解いただけるのではないかと思っております。

 確かに家畜とかペットとか、そういった問題もあり、本当に御不便をかけ、あるいは御迷惑をおかけしますけれども、自治体の皆さんともこの間かなり丁寧にお話をしてまいりましたので、今、申し上げたようなことも御理解をいただければ、多くの住民の皆さんにとっては、そうした形の方が安心できる形ということで御理解いただけるものと思っております。

(内閣広報官)

 七尾さん、どうぞ。

(記者)

 ニコニコ動画の七尾です。よろしくお願いします。

 現状、東京電力の日々の広告を見ますと、少なくても工程表が前倒しになる状況にはないとの見方がほとんどであります。仮に工程表の実現が厳しくなったとき、住民の方々を始め、国民の衝撃は大きいと思いますが、そうならないために原発事故の収束に向けた国としての積極的な対応は、現在十分に図られている、あるいは対応の準備はできていると見てよろしいでしょうか。

(菅総理)

 17日に東京電力がステップ1、ステップ2という形で工程表を発表いたしました。ステップ1は一応3か月がめどで、ステップ2は今から言えば6か月ないし9か月ということになっております。国の立場としては、まずこの東京電力が自ら作成し、提示したこの工程表がしっかりと実現できるように、国として協力できること、やれることは全力を挙げて協力し、あるいは共にやっていくことがまず何よりも重要だと、このように思っております。

 いろいろな課題がありますので、また、いろいろなことが進んだ後に、また新たな問題が生じてきているのがこの1か月余りでありますので、どのような展開になるかをすべて私が予測することは残念ながら不可能であります。しかし、東京電力の出した工程表は、私はしっかりと国も含めて取り組めば、十分実現可能なものだと、このように考えております。

 更に言えば、想定されるあらゆる事象に対しても、あらかじめそういう事象が生じた場合にどうすべきか、こういったことについてもいろいろ同時並行的に検証なり検討をしております。そういうやり方で何とかその工程表の中で物事が進むように、全力を挙げるというのが政府の立場であります。

(内閣広報官)

 それでは、時間が過ぎておりますので、最後の質問とさせていただきます。

 それでは犬童さん、どうぞ。

(記者)

 日本経済新聞の犬童です。

 先ほど総理がおっしゃられていた2次補正なんですけれども、やはり復興構想会議が6月末に提言をとりまとめるということなので、6月末の提言を待ってから編成ということになるんでしょうか。その際、国会は6月22日までですけれども、一旦閉じることになるんでしょうか。

(菅総理)

 復興構想会議の方には6月末を1つのめどに、考え方をまとめていただきたいということはお願いをしております。それを踏まえてどのような形で、どのような規模の第2次補正を組むかということは、やはりその内容などを含めて、その時点あるいはそれに至る過程の中で考えるべきことだと思っております。

 ですから、今の段階でそのめどが6月だから、国会をどうするというそこまではまだ考えていないというか、まだその段階ではない。まずはこの国会で1次補正と関連するいろいろな法案と、もともと国会に提案しているいろいろな従来からの課題をしっかりと国会で議論し、成立をさせていただくことが、まず今の課題であって、その後のことについて、今はまだ申し上げる段階ではないと思っております。

(内閣広報官)

 それでは、これをもちまして記者会見を終了させていただきます。どうも大変ありがとうございました。