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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 野田内閣総理大臣記者会見(2011年9月30日)

[場所] 
[年月日] 2011年9月30日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

【野田総理冒頭発言】

 お待たせをいたしました。国会で、8月30日でございましたが、首班指名を受けまして本日で1カ月となります。総理としての重責を背負い、全力で走ってまいりました。この間に台風12号、及び15号による大雨被害については、政府一丸となって迅速な対応に当たってまいりました。私も被災地に入りまして、現況把握等に努めてまいりました。改めまして、被害を受けられた被災者の皆さまに、心からお見舞いを申し上げたいと思います。なお引き続き、台風12号と15号で行方不明になられている方がまだ23名いらっしゃいます。行方不明者の捜索に全力を挙げるとともに、二次被害の防止、そして被災者の支援に万全を期していきたいというふうに考えております。

 また、国連総会にも出席をさせていただきました。この総会、あるいは原子力安全に関するハイレベル会合等におきまして、各国からのご支援に感謝の気持ちを表すとともに、日本の取り組み、復旧・復興、及び原発事故の収束に向けてのそうした取り組みをご説明をしながら、復興への、そして事故収束に向けての決意をお話をさせていただくとともに、グローバルな課題について、日本は引き続き貢献をしていく意思のあることを明確に表明をさせていただきました。

 オバマ大統領を始めとする各国首脳とのバイの会談もございましたけれども、信頼関係を構築する、私自身は良いスタートを切れたというふうに考えております。

 そして本日、第178国会が閉会となりました。代表質問や、予算委員会でのやりとりを通じまして、野田内閣の最重要課題と、取り組みの方向性をお訴えをさせていただき、そして今なすべき事については、これはいろいろアプローチの仕方は各党会派によって違いはあるかもしれませんけれども、やるべきことについての基本的な認識には、大きな差はないということは確認できたというふうに思います。後は、実行あるのみとの思いを新たにするとともに、野党の皆さんから、多くの、ときには厳しいご意見もありましたけれども、建設的なご提言、ご意見もたくさん頂戴いたしました。大変ありがたく思います。

 その中でもいろいろございましたけれども、朝霞の公務員住宅についてのご指摘は、私としても真摯に受け止め、近々実際に現場に行って、自分なりの考えをまとめた上で、最終的な判断をすることとしたいというふうに考えております。

 大震災の復旧・復興の加速、原発事故の早期収束、円高への緊急対策、これらを柱とする、まさに実行のための具体策を第3次補正予算として、一日も早く取りまとめたいというふうに考えております。歳出面の具体策としては、被災地の復興作業を加速させるため、道路などインフラの本格的な復旧、被災自治体に使い勝手の良い交付金を作るなど、創設をするなど、こういう取り組みを強めていきたいというふうに思いますし、原発事故対応については、住民の皆さんの放射線への不安を取り除くために、今何よりもやらなければいけないのは、大規模な除染活動であろうと思います。それに必要とされる経費を、3次補正予算の中に盛り込んでいきたいというふうに思います。

 円高への対応については、厳しい環境に置かれている中小企業の皆さんへの金融支援であるとか、あるいは成長産業の国内投資を促す立地補助金の抜本的な拡充などを柱として盛り込んでいきたいというふうに思います。これらを合わせると、総額で12兆円規模のものとなると考えております。こうした対策を実行するための裏付けとなる財源についても、責任ある対応をしていきたいというふうに思います。歳出削減、あるいは税外収入の確保、ここをしっかり最大限取り組むことが基本であります。なお、足らざる部分については、政府与党で時限的な税制措置の案をまとめさせていただきました。

 国民の皆さまにおかれましては、これは、これらの負担を次の世代に先送りをするのではなくて、今を生きる世代全体で連帯して分かち合うことを基本とするという、この私どものまとめた考え方を、是非ともご理解をいただきますようにお願いをしたいというふうに思います。

 被災地の方々、そして今円高等で苦しんでいらっしゃる中小企業の方々、等々の叫びにも応えるためにも、一日にも早く第3次補正予算案、及びその関連法案を国会に提出する必要がございます。今後、速やかに与野党協議を進めることを、お願いをしたいというふうに思います。その際、野党の皆さんからも、よいご提案をいただけるのであれば、虚心坦懐に謙虚に耳を傾けて取り入れていきたいというふうに考えております。

 なお、こうした間も原発事故の収束に向けた対応については、関係者が一丸となって進めております。本日この会見の後に、原子力災害対策本部が開催をされます。その場で、緊急時避難準備区域の一括解除を正式決定をする予定でございます。詳細は、この対策本部が終わった後に、担当大臣である細野大臣と、枝野大臣から詳細についてはご説明があるとは思いますが、住民の皆さまが安心してご自宅に戻ることができるよう、除染などの面で、政府としても全力で取り組んでまいりたいというふうに思います。

 野田内閣は、本格始動したところであります。これからさらに、政策実現のアクセルを踏み込み、実行の積み重ねを通じて、国民の皆さまのご期待に応えてまいりたいという決意でございます。

 私の方からは以上でございます。

【質疑応答】

(内閣広報官)

 それでは、質疑に移ります。指名された方はまず所属とお名前をおっしゃってから質問をお願いいたします。 犬童さん、どうぞ。

(記者)

 日本経済新聞の犬童です。

 先ほどあげました2011年度の3次補正予算、復興増税の絡み、関連法案ですね、最大の課題だと思いますけれども、その取り運びについて質問いたします。

 自民党は与野党協議について、閣議決定前の協議は慎重に対応する構えを見せています。実際に、与野党協議を一日も早くといっても、なかなか入れない可能性もあると思いますけれども、総理はどのようにして相手を説得し、協議を軌道に乗せていくおつもりなのか、あくまで閣議決定前の協議というのにこだわっていらっしゃるのか、あるいは閣議決定後に協議をしていくこともあるのか、そのお考えを伺いたいのがひとつと、次の臨時国会、一日も早くということですけれども、召集はいつ頃を考えていらっしゃるのか。3次補正の審議が11月に入ってしまうと外交月間に入ってしまい、なかなか日程が取りにくくなると思うんですけれども、仮に10月末までに出すとすると、合意も早くしなければいけないし、臨時国会もいつ頃開くつもりなのか、設定していつまでか、その辺りのスケジュール感を併せて伺います。

(野田総理)

 今のご指摘は二つあったと思うんですが、まず与野党協議でございますが、これは第3次補正予算の中身、柱は先ほどの冒頭のところで私がお話しをしたとおり、復興を本格化させるということと、円高対策を含む経済対策を含むものでございますので、これは国民の皆様が一日も早く望んでいる予算だと思いますし、当然その思いはどの政党も共通認識として持ってらっしゃるというふうに思います。その上で第3次補正予算の編成の際には補正予算そのものもそうでありますけれども、例えばまだ宿題が残っている税制改正の中身等々については、三党合意できちっと与野党協議をしていくということになっております。ということからすると、私どもとしては一応政府与党の考え方、国民新党の皆様ともよく議論してまとめた政府与党としての考え方をまとめました。その案を持って一日も早く、当然自民党の方もそうですが他の党も含めてですね、野党との協議を進めていきたいというふうに思いますし、今日の与野党幹事長会談でも、我が党の輿石幹事長から呼び掛けをさせていただいたというふうに理解をしていますので、来週早い段階からそういう協議を進めさせていただきたいというふうに思います。

 それから臨時国会の時期でありますけれども、ご指摘の通り、11月は様々、いろいろ外交日程もございますので、もちろんこれは第3次補正の中身が固まって、印刷も終わってという段取りを踏んでいかなければなりませんけれども、当然の事ながら10月中の、まだいつと明記は、定めたことは入れられませんが、10月中のなるべく早い時期に、早い時期というのは一日も早く成立を期すことによって復興の事業が本格化するわけですので、その意味からも国会のその補正の提出、その時期をよくにらみながら臨時国会の召集時期もなるべく早い段階で行っていきたいという思いでございます。

(内閣広報官)

 それでは、次の方。

 水島さん、どうぞ。

(記者)

 時事通信の水島です。よろしくお願いします。小沢一郎元代表の政治資金管理団体を巡る政治資金規制法違反事件で、石川議員を含む元小沢さんの元秘書3人が有罪判決を受けた件について伺います。

 野党は元代表の証人喚問を求めておりますが、総理は元代表の説明責任について、どのようにお考えになっていますでしょうか。元代表は昨年12月に、自ら政倫審で説明する意向を示したこともありましたが、総理は党代表として国会での説明責任を果たすよう促す考えはありませんでしょうか。よろしくお願いします。

(野田総理)

 説明責任の果たし方というのは、これはいろいろあるんだろうとは思いますけれども、今国会中も野党の皆さんも国会で説明をするようにという、特に証人喚問というやり方をご指摘をされました。これは国会でも私の考え方を申し上げましたけれども、いわゆる報道によると、小沢元代表の公判も来月始まるだろうと、言われているという時に、司法への影響も踏まえると本当にそういうやり方が妥当なのかどうかについては慎重に考えなければいけないのではないかというふうに思っております。

(内閣広報官)

 それでは、次の方。

 山口さん、どうぞ。

(記者)

 NHK山口です。公明党との関係についてお伺いします。予算委員会の答弁を見ていますと、三宅島の連絡会議ですとか、あるいは子宮頸ガン等について総理、かなり前向きな答弁をしていたように伺えたんですけれども、公明党さんとの距離感をこの後どういうふうに保っていくのか。それから今日、自民党役員人事が行われまして、かなり対決姿勢を強めてくると思いますが、総理はそれでもかつて言っていたように大連立というのを指向していくのか、その点をお聞かせください。

(野田総理)

 公明党さんの距離感というお話でありますけれども、公明党さんはもちろんでありますけれども、その他の政党からも、今、国会での答弁を踏まえてのご指摘だったと思いますが、いいご提起だなと思ったことについてはこれはいつも虚心坦懐にお話を聞いているつもりでございますので、取り入れたいなぁと、あるいはこちらでその線に沿って努力してみたいなぁということについては前向きな答弁をするということは当然あり得ると思いますし、公明党だけではありません。他の政党についてもそういう対応をしたつもりでございます。そのことについては野党の皆さんも私どもの政権についてそれぞれの評価を是々非々でこられると思いますが、私の国会対応も基本的にはそのご質問の趣旨を踏まえながらいいものは取り入れていく方向だと思いますし、そうでないものについては残念だけどきっぱりと否定をするというやり方をしていきたいというふうに思います。たまたま公明党さんの子宮頸ガンを含めて、従来から我が党も比較的前向きに受け止めてきたテーマが多かったということもあったんではないでしょうか。

 それから自民党の役員の顔ぶれでどうのということでありますが、これどういう姿勢でくるかは今回の人選だけではまだわからないというふうに思います。例えば茂木さん政調会長でございますか、彼も昔は日本新党のときはご一緒した方でございますし、岸田さんが国対委員長。まぁ同い年ですし、同い年だからといって厳しくされるか、わかりませんが、まだその顔ぶれだけではどうともいえませんけれども、どういう形でこられても私どもの姿勢は自分たちのやらなければいけないこと、というよりも国がやらなければならないことをどうしたらいいか、こちらの考え方をまとめて、そしてご理解を頂くという努力、正心誠意の姿勢はどういう顔ぶれでも変わりません。

(内閣広報官)

 それでは、次の方。

 シーグさん、どうぞ。

(記者)

 ロイター通信のシーグと申します。原子力政策についてお聞きしたいんです。総理のご発言では日本は今後新たな原子炉を建設することは無いということだったと思いますが、これは2050年頃までには日本のエネルギーミックスから原子力は完全に消えるということで間違いはないかということを確認させてください。また日本の中長期的なエネルギー政策についての議論が総合資源エネルギー調査会によって来週から始まる予定ですが、この調査会の委員の見解は様々であって、経済的影響を重視している方もいれば、安全を重視している方もいらっしゃいます。調査会の委員の見解が多様な中、エネルギー政策を決定していく上で、最優先される基準とは何なのでしょうか。それと国民投票をやるべきという意見もありますが、総理はどう思われますか。

(野田総理)

 新たな原発を作ることは、これ総理就任をした直後の会見で困難ではないかというお話をさせていただきました。基本的にはこの認識は変わりません。そういう中で、かなり着工が進んでいるものもあるということでありますので、そういうことも含めて個々に案件は判断をしていかなければなりませんが、新たに作っていくことは困難な状況であるということの基本認識は変わりません。

 その上で、いろいろその後もご質問いただきましたけれども今のエネルギーの基本計画についてはこれは白紙で見直しをしていくということであります。そして、来年の夏までに中長期のいわゆる計画を作っていくというのが今の流れであります。当然の事ながら国民の不安を和らげて安心できるエネルギーのベストミックスを目指していくということでありますが、その観点で当然の事ながら様々な立場のいろんなご意見もあると思いますので、国民各層のいろんなご意見も踏まえながら来年の夏までにしっかりとした計画を作っていくということでございます。

(内閣広報官)

 それでは、次の方。

 高田さん、どうぞ。

(記者)

 フジテレビの高田ですが、先ほど冒頭の発言でもありました朝霞の公務員住宅について、視察をされるということでしたが、いつ頃どのような姿勢で臨むのかということと、あと確か国会答弁の中で、あれは震災前の判断だったということを言及していましたけれども、それを受けてまた審議の中で新たに感じたことがあって、また見直す可能性があるのか、もう一歩踏み込んだお話をお願いします。

(野田総理)

 判断をしたのは確か昨年の暮れだったと思います。その時は全体として公務員宿舎を15%減らすなどして、様々な財政的な貢献をしていこうという全体像の中で、朝霞については、これは行政刷新会議の事業仕分けで一応凍結をするという中で、政務三役が議論を進めて欲しいというそういう見直しだったと思います。それを踏まえて昨年12月決めました。その後に大きな震災があったわけで、そのことを踏まえて、被災者の感情とか国民感情を踏まえてこの国会で様々なご提起、ご示唆もいただきましたので、まずは9月1日から着工に向けての動きが始まったと思いますが、その進捗状況なんかを現場に見に行きながら最終的な政治判断を私がくだしたいというふうに思っております。

(記者)

 まだ判断を変えることもある。

(野田総理)

 最終的な判断を現場判断を含めて、現場に行ったときの状況などを含めて、最終的に判断をしたいというふうに思います。

(内閣広報官)

 次の方、どうぞ。

 七尾さん、どうぞ。

(記者)

 ニコニコ動画の七尾です。どうぞよろしくお願いします。今国会では、印象としまして安全運転に終始した感がございますが、その分国民にしてみれば、総理がどのような理念をもって政権を運営されていくのかわかりにくかった印象もぬぐえません。冒頭、アクセルを踏むとのご発言がございましたが、総理は今後どのような具体的な理念やイメージを持って政権運営を加速していくお考えでしょうか。

(野田総理)

 あの、私なりの理念は、たとえば所信表明演説などでも述べましたけれども、やっぱり中間層の厚みが今、薄くなってきて、しかも下にこぼれてしまったというか、まあ言い方ちょっと気を付けなければいけませんが、戻ることができなくなっている人たちが多くなっているという状況を打開をしていくと、中間層の厚みをもった国にすることが底力のある国であるというのが基本的な理念で、そういう国にしたときに、この日本に生まれてよかったと思える国の基本ができると思いますし、その先にはもっとプライドをもってこの国に来て良かったなと、そういう国にしていきたいという理念があるんです。その理念と、よくこれは国会でも聞かれましたが、個別の政策のちょっと中長期的なことを聞かれました。それは何をやりたいかの世界なんですね。何をやりたいかの前に何をやるべきか、やらなければならないことが今あるじゃないですか。我が政権の最大かつ最優先の課題は何と言っても、震災からの復旧・復興と原発事故の収束と経済の立て直し等、これを申し上げました。このことを中心に言っていたので、安全運転という評価なのかもしれませんが、政権当初から乱暴なスピード違反はできません。どんなスピード、加速しても安全運転はやっていきたいというふうに思います。

(内閣広報官)

 次の方、どうぞ。

 高塚さん、どうぞ。

(記者)

 毎日新聞の高塚と申します。米軍の普天間飛行場の移設問題が、地元では非常にですね、県外移設を求める声がですね、依然として多いと。そういう中で日米合意の履行、つまり辺野古への移設をどう進めていこうというふうに総理、考えていらっしゃいますでしょうか。

(野田総理)

 これはですね、沖縄において県外移転を望む声、求める声が多いということは私もよく承知をしております。さはさりながら、日米合意にのっとって沖縄の負担軽減をしていくということを基本線に対応していこうというのが私どもの基本的な姿勢であって、それは先般のオバマ大統領との会談の際にも、申し上げました。沖縄の負担を大きく軽減させるという意味においても、私は今の基本的なスタンスというのが第一だと思っておりますので、そのことをきちっと、普天間の危険を除去していくということについてもご理解を頂けるというふうに思いますので、そこはしっかりとご説明をしながら、丁寧にご理解していただくという努力をやっていくということにしていきたいと思っております。

(内閣広報官)

 次の方、どうぞ。

 内川さん、どうぞ。

(記者)

 自治日報という地方自治の専門紙の内川と申します。鳩山内閣では1丁目1番地とされていた地域主権改革についてお伺いします。野田内閣発足後、総理の就任会見でも、内閣の基本方針でも一言も言及がなく、所信表明演説でも一言引き続き推進するとのお考えが示されただけということで、地方側から、全国知事会の山田会長始め懸念が強まっている面もありますが、今後の震災の復旧・復興、社会保障と税の一体改革、子ども手当をとりましても、地方との共同が必要不可欠だというのが地方側の主張だと思いますが、地域主権改革についての総理のお考えを改めてお伺いできればと思います。

(野田総理)

 あの所信表明演説でも文章では1行しか書いていなかったということは、山田知事会会長からも私も直接ご指摘を頂きましたので、ご本人にもご説明致しましたけれども、いわゆる文章でいっぱい書いてあればいいのか、短いからやる気がないのかということではございません。さっき申し上げた通り、所信でもそう申し上げておりますが、基本的には今、最大かつ最優先の課題の震災の復旧・復興と原発事故の収束、これを基本においた政権でありますので当然記述も、あるいはいろんな機会でお話をするときもそういうことが中心になりますけれども、地域主権というのは民主党にとっては結党以来大事なテーマでありますし、特に分権型連邦国家としてマニフェストの冒頭を飾ったこともあります。そのことは私も決して忘れるつもりではないしむしろこれまで以上しっかり取り組んでいこうということでございます。

 今ご指摘を頂いたテーマを含めて、国と地方の協議の場をしっかりやって地方の皆さんとの意見交換をしながら、地域主権に向けての推進を図っていきたいと思いますし、今回の復興においても使い勝手のいい交付金であるとか、震災特区であるとかですね、まさに地域主権のいわゆる先駆けになるようなそういう事業をどんどん推進をしていきたいというふうに考えております。

 今日、閣僚懇で川端大臣から、地域主権にまさに関わりますけれども、今年度の予算から一括交付金、県向けの補助金という形を整理して、5,120億円、一括交付金作りました。今度は来年度の予算編成においては、市町村向けの補助金をですね、一括交付金化するんですね。そのことについては強く各省への要求を私からも呼び掛けさせていただきました。ということに、今申し上げた疑念を取り払うためにも一つひとつしっかりと実績を作ることによってお答えをしていきたいというふうに思いますし、出先機関改革等々大きな課題は残っていますが、しっかりリーダーシップを奮っていきたいというふうに考えております。

(内閣広報官)

 次の方、どうぞ。

 坂尻さん、どうぞ。

(記者)

 朝日新聞の坂尻です。3次補正に絡む臨時増税の額についてですね、伺わせていただきたいのですが、政権の一翼を担う前原政調会長が、昨日の記者会見及び今日も両院議員総会で発言があったようですが、納税の額は税外収入を7兆円まで積み上げて9.2兆円にすると、それをこの臨時増税の法案にも別途書き込むんだという趣旨の発言をされています。一方で藤村官房長官や、安住財務大臣及び財務省は、増税額は11.2兆円というのが前提になる、それが増税法案に書き込まれるという認識で、政権の中で発言が食い違っているように思うのですが、一体9.2兆円なのか11.2兆円なのか、負担を課される国民にとっては大きな違いだと思うのですが、総理の言葉としてはっきりさせていただきたいというのが一点。それと、政権の中で発言される方によって、どうしてこのように説明が食い違うのかと。ここはあの議論を掌握しているかどうかにも関わると思いますので、その理由も併せてお願いいたします。

(野田総理)

 中身は一つです。政府与党で一つのペーパーで合意をしました。これは政府民主党だけではなくて国民新党の皆さんともしっかり練り上げた文章が一つの合意という形になっています。それは多分皆さんにも、お配りになってません、されていますよね、あの文章です。あれが全てです。その中の特に強調したいところの違いはあるかもしれませんが、どう見てもあれ客観的に見れば同じことで、この10年間、向こう10年間では税外収入を7兆円獲得するということによって、国民にご負担をお願いする、いわゆる一元的な税制措置のところは9.2兆になるんです。だけど、この10月にも、法案を提出しなければなりません。その法案を提出するときは、向こう復興集中期間5年間を念頭に現段階で考えられる税外収入は、5兆円。そうするとご負担を頂く部分は11.2兆円と、そのための法案を基本的には作るんです。その法案を作るときに、例えばその向こう10年間の部分についての考え方をどういう形で法律に入れるかという議論は当然あります。附則に入れるとかですね。言っていることは全然皆さん、同じことを言っている中で、数字の取り扱いのところだけちょっと違った観点で切り取られているというふうに私は理解をしています。

(内閣広報官)

 それでは時間が近づいておりますので最後の質問とさせていただきます。次の方。

 三浦さん、どうぞ。

(記者)

 東京新聞の三浦と申します。先ほどのロイターの方の質問に対して、原子力政策ですが、新規立地は困難であるということを改めて明確に総理はされました。ただその、この間総理はニューヨークでの原子力ハイレベル会合での演説で、日本として原子力の利用を模索する国々の関心に応えるというふうにおっしゃいました。これは原発の輸出、あるいは技術移転を打ち出したものというふうに受け止めましたけれども、国内では新規立地を困難としながら、国外では原発立地を支援する、この整合性については総理はいかがお考えですか。

(野田総理)

 いや、極めて簡単なことです。今回こういう事故があって、我が国として得た教訓、あると思います。反省もあると思います。そしてそれを踏まえた知見もあります。そういう教訓や知見を、世界各国、この原発の問題はどの国も関心を持っています。共有していただくということは、グローバルなレベルでの原子力の安全向上に繋がるし、そのための協力は惜しまないということでありますし、そこで技術的なサポートもあるかも知れません。ということであって、全く矛盾する話ではないんじゃないでしょうか。

(記者)

 原発の輸出そのものについては総理はいかがお考えですか。

(野田総理)

 原発の輸出については、まず徹底した事故の検証を踏まえながら、政府としての考え方をまとめていきたいというふうに思います。なんかこの間のハイレベル会合で輸出を解禁するような話に受け止められていますよね。そんなことは一言も言っていません。きちっとした事故検証を踏まえながら我が国の方針を決めていきたいというふうに思っております。

(記者)

 そうすると事故検証が輸出を考える上の前提になると。

(野田総理)

 踏まえながら。

(内閣広報官)

 それでは、これをもちまして、総理記者会見を終わります。ご協力大変ありがとうございました。