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政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 野田内閣総理大臣記者会見(2012年3月11日)

[場所] 
[年月日] 2012年3月11日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

【野田総理冒頭発言】

 東日本大震災の発生から、本日でちょうど1年の節目を迎えました。先ほど政府主催の追悼式を挙行いたしまして、一人ひとりの犠牲者への追悼の思いを込めて黙とうをささげさせていただきました。今なお3,155人の方々が行方不明であります。悲痛の念に堪えません。あの日を忘れないことが最大の御供養だと思います。震災の記憶と教訓は絶対に風化をさせてはならないと思います。すべての国民が息長く語り継いでいくことが重要であります。

 警察、消防、自衛隊だけではなく、医療関係者、原発事故の作業員、全国各地から集まったボランティアの皆さんなど、被災地の支えてとなってこられました。こうした人の力への感謝の念も忘れずにいたいと思います。

 日本は災害多発列島です。大震災で得た知見と教訓を踏まえ、全国的な災害対策の見直し強化を早急に進めていきたいと考えております。

 本日は追悼の日であると同時に、復興の決意を新たにする日でもあります。発足から1か月を経た復興庁には司令塔として大きな期待が寄せられている半面、書類や手続の問題を含め、様々な御批判があることも承知をしております。批判は真摯に受け止め、改めるべき点は改めたいと思います。復興庁についてどのような点を見直すべきかを整理し、速やかに対応するよう、平野復興大臣に指示をさせていただきたいと思います。

 ふるさと再生の主役はあくまで地元であります。新たなまちづくりは地域主権の理念を実践する場であります。住民自らが設計図を描き、地域の自立的発展の道筋を見出せるよう、国は最大限の支援を行ってまいります。

 一方で、被災地再生の明るい兆しも感じます。この兆しを大事に育てていきたいと思います。官邸に寄せられた「私の復興便り」で、被災地でたくましく生きる人々の笑顔と前向きなメッセージ、震災直後に生まれた赤ちゃんや子どもたちの元気な姿に大きな勇気をもらいました。

 東北への観光者数も回復しつつあり、来週から官民を挙げた東北観光博キャンペーンを開始いたします。被災した300を超える漁港のほぼすべてで水産物の陸揚げが可能になりました。こうした動きに弾みをつけるため、1人でも多くの人々が東北を訪れ、東北の豊かな海や山の幸を食べて応援をしてほしいと思います。

 被災地に国際会議を積極的に誘致し、復興の進捗を海外にアピールしていくことも大事であります。7月には東北で大規模自然災害、12月には福島で原子力安全に関する閣僚級会合を開催する予定であります。

 今後、問われていくのは国民同士の連帯感の持続であります。被災地は継続的な支援を必要としています。すべての国民がこれからも復興の当事者であるということを是非、自覚をしていただきたいと思います。政府としても徹底的な情報開示を通じて、国民の信頼回復に努め、国民同士の助け合いの心をつなぐ環境整備をしていきたいと考えております。

 がれき広域処理は、国は一歩も二歩も前に出ていかなければなりません。震災時に助け合った日本人の気高い精神を世界が称賛をいたしました。日本人の国民性が再び試されていると思います。がれき広域処理は、その象徴的な課題であります。既に表明済みの受入れ自治体への支援策、すなわち処分場での放射能の測定、処分場の建設、拡充費用の支援に加えまして、新たに3つの取組みを進めたいと思います。

 まず、第1は、法律に基づき都道府県に被災地のがれき受入れを文書で正式に要請するとともに、受入れ基準や処理方法を定めることであります。

 2つ目は、がれきを焼却したり、原材料として活用できる民間企業、例えばセメントや製紙などでありますが、こうした企業に対して協力拡大を要請してまいります。

 第3に、今週、関係閣僚会議を設置し、政府一丸となって取り組む体制を整備したいと考えております。

 福島の再生は国の責務であります。必ず成し遂げなければなりません。周辺住民の皆様が帰還を完了し穏やかな暮らしを取り戻すまで、原発事故との戦いは終わりません。円滑な賠償、除染、健康管理、食の安全、学校や病院など公的サービスの早期再開といった課題への対応を進めてまいります。一歩一歩、着実に成果を出すことで、放射線への不安と故郷への思いに揺れる福島の皆様の心に寄り添いたいと考えます。

 中間貯蔵施設の整備についても、地元との丁寧な対話を積み重ねながら検討を進めてまいります。福島再生特別措置法案は、先週、衆議院を通過いたしました。与野党が一体となって福島再生を後押しするため、早期成立を実施したいと思います。

 原子力安全規制は全面刷新でいかなければなりません。最高水準の規制を確立しなければなりません。原発の安全神話にとらわれ、事故を想定した備えが不十分であったことは紛れもない事実であります。原子力の安全規制はゼロから再出発させるためにも、新しい魂を入れた原子力規制庁をできるだけ早く発足させたいと考えております。

 あの日、最愛の人にさよならも言えずに亡くなられた方々の無念さを思わずにいられません。追悼の思いを復興への決意に変え、すべての国民が力を合わせて復興を通じた日本再生という歴史的な使命を果たしていかなければならないと思います。集中復興期間は5年、復興のめどは10年です。1年は復興の長い道のりの一里塚でしかありません。震災直後に生まれた赤ちゃんが10歳の誕生日を迎えるまでには、必ずや被災地の復興を成し遂げ、力強くよみがえった故郷の姿を見せたいと思います。

 私からまずは以上でございます。


【質疑応答】

(内閣広報官)

 それでは、質疑に移ります。指名された方はまず所属とお名前をおっしゃってから質問をお願いいたします。それでは、どうぞ。

 高田さん、どうぞ。

(記者)

 幹事社、フジテレビの高田です。

 今日で東日本大震災から1年が経ち、改めて追悼の気持ちを新たにする次第です。この震災からの復興についてなのですが、野田総理は先ほどの式典で歴史的使命と述べられ、政権の最重要の課題の1つに挙げていますが、この力強く立ち上がる被災者の姿がある一方で、復興の遅れを指摘する声がまだ強く、苦しい生活を強いられている被災者の姿も現実としてあります。

 こうした中で、先日、復興庁が行った復興交付金の第1回の認定は、申請のおよそ6割にとどまりました。自治体からの批判を受けて総理も改善に言及しましたけれども、認定基準の緩和などを含めてどう具体的に改善していくのか。また、がれきの広域処理に向けて先ほど総理は3つの新たな方針を示されましたが、その1点目の法律に基づいたがれきの受入れを文書で求めるという件は、新たな法律の整備を伴うのか、それとも従来の特措法の下でやるのか。また、その受入れの基準ですとか処理方法というのは具体的にどういったものをイメージされていて、いつまでに文書で求めるというのを実行されるのか、その辺りを具体的に含めて全体の復興に関した加速の手段をお聞かせください。

(野田総理)

 今、2点御質問があったと思います。

 1つは、復興交付金についてでありますけれども、1月末までにということで、被災地から計画を出していただき、その上で3月2日に第1回目の交付可能額の通知を行わせていただきました。事業費で約3,053億円、国費で2,509億円ということなのですが、この配分に当たりましては、被災者の生活再建などのために速やかに対応しなければいけないものとして、当面必要と考えられる事業についての配分を通知をしたということでございまして、次は3月の末までに計画を出していただくわけでありますが、その際には計画策定支援について、しっかり国が応援をしていくということが大事だと思います。

 その上で、今回、採択されなかった事業とか、あるいは市町村が要望を取り下げた事業については、事業の進捗とか検討の作業状況によりまして、今後採択可能となるものも当然あります。さっき申し上げたように、速やかな対応をしなければいけないというところで、1回目の交付を決めていますので、もう少し時間を追って対応できるものについては、採択される可能性があるということ。

 それから、この復興交付金という制度での対応ではなくて、全国防災等々、ほかの予算であるとか、あるいは制度の下で対応できるものもあると思うんです。そういうことをいわゆる要請のあった自治体の方に、これは交付金で対応します。これはもうちょっと時間がかかるので、次の交付金で対応しますとか、あるいはほかの制度で対応しますとか、うまく振り分けの御説明を丁寧にやることが誤解を生まない一つの方法かなと思っております。それから反省点とすると、やはり書類とか手続の問題も含めて、改めるべきところがあると思います。そこは先ほど冒頭申し上げたとおり、担当大臣には伝えておきたいと考えております。

 2つ目の御質問は広域処理のお話でございますけれども、先般、神奈川県の黒岩知事、それから横浜、川崎、相模原の幹部の方にお越しをいただきまして、御要請をいただいたんですが、その御要請の中身というのは、法律に基づくがれきの受入れの要請や基準の策定についてでございました。こうした御要請を踏まえまして、新たな法律か前の法律かですが、昨年の8月に作られた、これは与野党で合意をしました災害廃棄物処理特別措置法。これに基づいてということでございます。この法律に基づきまして、具体的には被災3県を除く全都道府県に対して被災地のがれきの受入れを文書で正式に要請をするということ。それから、既に受入れを表明されている市町村に対しては、調整を経て、受入れをお願いしたいがれきの種類、量を明示した上で協力要請を行うということであります。

 また、この法律に基づきまして、がれきの放射性物質と濃度などの受入れ基準であるとか、焼却施設における排ガス処理装置などの処理方法を定めることとしております。こういう取組みを通じまして、広域処理について本当に多くの自治体、住民の御理解をいただけるように、更に努力をしていきたいと思います。

(内閣広報官)

 それでは、次に加納さん、どうぞ。

(記者)

 産経新聞の加納です。

 福島第一原発事故の対応と再稼動についてお伺いします。原発事故では、その発生時にSPEEDIの情報が全然伝達されていなかったことなど、菅政権の初動対応への地元の不信感、自治体の不信感が、今回の中間貯蔵施設の建設ですとか、原発対応問題に影を落としています。民間の独立検証委員会は2月末の報告書で、菅総理や官邸の対応を稚拙で泥縄的と批判しました。菅前総理の責任を野田総理として、どう認識され、自治体に理解を求めるおつもりでしょうか。

 また、再稼動に関しては、総理はストレステストを経て、地元の理解を踏まえて、最後は政治が判断するとおっしゃっていますけれども、枝野経産大臣は地元の説得に当たる段階でも政治が前面に出るということを強調しております。夏の電力不足に備えて、総理自ら地元の説得に当たる考えがあるのでしょうか。また、具体的にいつまでに何をその基準に是非を含む政治判断をするのでしょうか。

(野田総理)

 まず最初は、原発事故の初動対応についてのお尋ねだと思いますけれども、菅前総理を始めとして、当時政府としては地震発生直後から深刻な事態であるとの認識の下で、原子炉の冷却であるとか、あるいは住民の皆様の避難について全力で取り組んできたと思います。ただし、情報開示等について、十分でなかったという指摘については、これは真摯に反省しなければならないと思います。

 また、民間事故調の報告書の中では、官邸による現場の介入の問題などについての御指摘があったということは承知をしていますが、そこで責任云々というお話がありましたけれども、他方でその報告書の中では、東電の撤退拒否あるいは政府と東電の統合本部の設置。その後の統合本部を舞台としたアクシデントマネジメントについては、一定の効果があったという指摘もあることは、これは事実であると思います。今、菅政権の後を引き継いだ野田政権としては、当時の経験と貴重な教訓をしっかり肝に銘じて、二度とこのような原発事故が起こらないように、力を尽くすこと。そして、特に情報開示については、万全を期すということを心がけることが大事ではないかと思っています。

 もう一つは原発の再稼働についてでありますけれども、定期検査中の原子力発電所の再起動については、現時点での最新の知見を踏まえて、IAEAのレビューも受けました手法に基づいて事業者が行ったストレステスト、それを保安院が確認をする、更にはその妥当性を原子力安全委員会が確認をした上で、地元の理解を得ているかどうか等を総合的に勘案をしながら政治が判断をするというプロセスを踏むことになっています。

 この際に、いわゆる安全委員会までの確認が終わった段階においては、私も含めて、枝野大臣、官房長官、それから細野大臣ですね、その4人の閣僚が集まりまして、安全性及び地元の理解をどうやって進めていくかということの議論を確認して、その上で地元に御説明に入るという段取りになっていくというふうに承知をしています。しっかりとこの際には政府を挙げて御説明をし、御理解を得るということを行わなければいけないし、私もその政府を挙げてという中では先頭に立たなければいけないというふうに考えております。

(内閣広報官)

 それでは、次の方。

 デボラックさん、どうぞ。

(記者)

 ウォール・ストリート・ジャーナルのデボラックです。

 今、説明された再稼働についての過程なんですが、それを今年の夏、日本の原子力発電所が全く稼働しない状態はあり得るでしょうか。それが可能でしたら、どういう事態が起こり得るでしょうか。一番厳しい想定と、それを防ぐ方法についてお考えを聞かせていただきたいです。

(野田総理)

 今年の原発の稼働状況については、現時点ではあらかじめその可能性について申し上げることはできません。現時点では。ただし、今年の夏の電力需給については、仮に原子力発電所の再起動がなかった場合で、2010年の夏並みのピークの需要となった場合は、しかも有効な対策を講じなかった場合には、約1割の電力の需給ギャップが生じるという見通しがございます。

 このため、昨年11月にエネルギー・環境会議においてとりまとめましたエネルギー需給安定行動計画に基づいて、予算や、あるいは規制改革等を通じた供給力の積み増しと、省エネの促進などによりまして、電力の需給ギャップを埋めるための施策を総動員し、最大限の努力をしていくということになっております。こうした取組みによりまして、計画停電であるとか電力使用制限令を回避することを目指しております。電力の安定供給の確保に万全を期したいと思いますが、なお、更に今年の夏の具体的な対策については、来月中を目途として電力需給の見通しについてレビューを行ってとりまとめたいと考えているところであります。

(内閣広報官)

 それでは、次の方。

 佐々木さん、どうぞ。

(記者)

 時事通信の佐々木です。

 官邸の危機管理という点でお伺いしたいんですけれども、官邸の危機管理といえば阪神・淡路大震災以降、ソフト、ハードの面で、それなりに整備されてきたと思うんですが、今回この原発事故で、先ほどの民間の委員会の報告書にもありましたけれども、運用する人の側に問題があったのではないか、そういう指摘がされています。今、総理は貴重な経験として活かしていきたいということをおっしゃっていましたが、具体的にこの経験を人の運用面からどう活かしていきたいのかというところを聞きたいんです。

(野田総理)

 先ほどは、民間事故調の報告書を踏まえての話をさせていただきました。それから、政府の事故調は中間報告を去年の暮れに出しています。国会の事故調もこれから御議論があると思います。それぞれ出てきた、いわゆる検証を踏まえた対応をやっていかなければいけないと思いますが、加えて平野復興大臣を東日本大震災の総括担当大臣にしています。その総括も踏まえながら危機管理の対応が整理されてくると思いますが、そういうものが出そろう前にもわかってきたことが、一定の知見というものがあると思います。

 それはやはり、1つには専門家の皆さんの意見をどういう形できちんと聞くのかどうか、政治と専門家との役割をどういうふうに位置づけていくのかどうか。そこは冷静な対応が必要ではないかと思います。などなど、あるいはこれも事故調でありましたけれども、官邸の上の方の階と地下の、いわゆる多くの皆さんが集まっているところとの意思疎通の問題等々、危機管理上の問題というものは、今も既に出てきているものもあると思いますので、そういうものを踏まえた対応をしていかなければいけないということと、何よりも、体制の問題もありますけれども、今回の東日本大震災を想定外といった言い訳をしたケースがありました。でも、これからは想定外ということは言えない。想定を、あらゆるところを全部し抜くのが危機管理で、これが最大の教訓ではないかと思っております。

 今回は、危機管理の問題も含めて、安全神話にどっぷりつかっていたと。政府も、そして事業者も、専門家の皆さんも、学界も。その反省に立った総括をしていくことが何よりも重要ではないかと思います。

(内閣広報官)

 それでは、次の方。

 犬童さん、どうぞ。

(記者)

 日本経済新聞の犬童です。

 先ほど、がれきや原発の再起動について、総理が前に出るというようなお話がありましたけれども、ほかにも中間貯蔵の施設の問題や、先ほど規制庁の法案の問題もありましたけれども、総理を始め、官邸が一歩も二歩も前に、国というよりも、総理や官邸が前に出るということは必要だと思うんですけれども、地方自治体との合意形成とか、あるいは法案の処理でいえば野党対策ですね。総理はどのように指導力を発揮されるのでしょうか。

(野田総理)

 復興と原発事故との戦いで、日本経済の再生も含めてでありますが、野田内閣の最優先、最大の課題と去年から申し上げてまいりました。この基本的な姿勢は変わりません。

 その中で、復興に大きく関わるがれきの広域処理については、今日もこういう形で方針を示させていただきましたけれども、この間、神奈川知事等々に官邸に来ていただいたことを踏まえての即応という部分もあります。いろんな皆さんと意見交換をしながら、すぐやらなければいけないなというのは、即断をしながら対応をしていきたいと思いますし、何よりも国民の皆様に御理解をいただくことが必要ですので、先般、沖縄に行ったときも仲井真知事とこの意見交換をして、沖縄についても御検討いただくような状況になりました。このように、企画のところで自分なりに感じたことはすぐ体制を作るし、営業も含めて、言葉は適切ではありませんが、お知らせをするということ、PRをすることも、これは先頭に立っていきたいと思います。

 それから、中間貯蔵施設については、昨日、担当大臣である細野大臣と平野大臣が、福島県知事と被災地の8町村の自治体の長に政府の考え方を御説明させていただいたところでありますが、それぞれ担当大臣を中心に、政府を挙げて取り組んでいかなければなりませんが、必要に応じて、これは政府を挙げてでありますので、政府を挙げての先頭に立つのは私の役割だと認識をしています。

 原発の再稼働については、先ほどの御指摘にお答えをしたとおりであります。

(内閣広報官)

 それでは、次の方。

 岩上さん、どうぞ。

(記者)

 フリーランスの岩上です。よろしくお願いします。

 9日、政府は原子力災害対策本部の議事録を公開しました。この中で、当時の菅総理は、20km圏まで確実に避難すれば、一番厳しい状況を想定しても大丈夫。つまり、避難は20km圏内だけでいいという判断。それに対して、玄葉担当大臣は、これに異を唱えたというふうにも伝えられています。このとき、メルトダウンということが伝えられていて、なお、避難はこの20kmで十分とした総理の判断。そして、もっと広域的に判断すべきではないかという判断もあり得た。

 現時点で野田総理は、この判断はどちらが正しかったのかと、お考えどちらが正しかったと評価されるのでしょうか。先ほど、総括が大切だということでしたので、現在も避難の問題は、なお現在進行形の問題でもあります。総理の見解をお尋ねしたいと思います。

(野田総理)

 先般、議事概要を公表させていただきましたけれども、当時、政府としては地震発生直後から炉心溶融、メルトダウンも含めて、その可能性も含めて深刻な事態であるという認識を持っていたということであります。

 その上で、原子炉の冷却であるとか、避難について、その時点、時点で全力で取組みましたけれども、ただ、いわゆるメルトダウンの可能性についての認識はありましたけれども、それについての対応の仕方については、あるいはその事実認識については、まだいろんな議論の余地があったのかもしれません。どの時点で、あの時点で、どっちが正しかった云々というのは、まだ早急には判断できないと思います。ただ、そこまでの深刻な事態の可能性も含めながら、あらゆる事態についての対応を懸命にしようということであったと思いますけれども、これをしっかりと検証しながら、二度とこういう事故を起こさないための教訓と知見というものを、次に生かしていかなければいけないだろうと考えております。

(記者)

 現時点での御判断はないんですか。

(野田総理)

 現時点はよく検証しなければいけないということです。

(内閣広報官)

 それでは、時間が来ておりますので、最後の質問をお願いします。

 村尾さん、どうぞ。

(記者)

 読売新聞の村尾です。

 今週末、読売新聞で世論調査いたしまして、やはり復興対応の政府の取組みを評価しないという数字が7割近く、原発対応を評価しないも8割近くあるんですけれども、一方で、内閣支持率が30%から5%ほど上がりました。一体改革を始めとする取組みが少しずつ評価されているような傾向が出ているんですけれども、もし御感想があればお聞かせください。

(野田総理)

 復興、それから原発事故の対応について、政府としては全力で取り組んできたし、頑張ってきているつもりですが、被災者の皆さんにとって、あるいは国民から見れば、まだ遅いであるとか、行き届いてないという御批判があることは、これは真摯に受け止めなければいけないと思います。

 従って、さっき復興庁の話もしました。広域処理の方針もお示ししましたけれども、復興庁、復興交付金等々、与野党合意して、新しい制度を作りましたので、あるいはまた組織も作りましたので、それをフル稼働させながら、そういう声がなくなるように全力を尽くしていきたいと思います。

 支持率については、これはもう従来から言っていますが、下がったときも申し上げましたけれども、一喜一憂することなく、やるべきことを一つひとつやっていくことの中で、国民の皆様の評価を得たいと思います。

(内閣広報官)

 それでは、これをもちまして、総理会見を終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。