[文書名] 野田内閣総理大臣記者会見(2012年3月30日)
【野田総理冒頭発言】
本日朝、税制抜本改革法案を閣議決定をいたしまして、そして、国会に提出をさせていただきました。ここに至るまでにおいてはですね、特に党内におけるご議論、政調会長を中心にですね、連日深夜にわたるまで長時間にわたって大変それぞれのお立場から熱心にご議論をいただきました。政調会長をはじめ、党幹部の皆様、そして、連日にわたってこの議論に参加をしていただいた民主党議員同志の皆様に、心から感謝を申し上げたいというふうに思います。
ここに至る過程でありますけれども、一昨年の末に、社会保障と税の一体改革を検討する本部を立ち上げまして、約半年間にわたって議論をし、昨年の6月に成案を政府・与党として決定をいたしました。その成案を具体的に進めていくこと、それを踏まえた法案を提出をすることを、昨年8月末の民主党代表選挙において、私は力強く公約として掲げさせていただきました。それを踏まえて、年末年始にわたりまして、党内での闊達な議論を経て、素案をつくり、そして、大綱として閣議決定をしてまいりました。この大綱に基づいての議論を、今回していただいたわけでありますけれども、党内においては、具体的な条文に則してですね、一つ一つ逐条でご議論をいただきました。その上で、いただいたさまざまなご意見については、取り入られるものは最大限取り入れるという形で結論を導き出したということでございます。
大変厳しいテーマでございますけれども、それぞれが真剣にご議論をいただいた結果、年度内に法案を提出をするという一応時期を決めておりましたので、その時期を踏まえて、まさに集大成の時期に結論を出していただいたこと、私は与党の同志の皆さんに誇りを感じている次第であります。
こうした意見を取り入れながら、さまざまな消費税の引き上げに際して、実施にあたっての課題であるとか、税制全般についての課題についても明記をしていただきました。こういうものをしっかりとクリアをしていきたいというふうに思っております。
こういう形で、政府・与党としては、結論を出すときに結論を出したと私は思います。これからは、まさに与野党が議論をしていく、そういう段階に入ってまいります。国会審議を通じて、あるいは、与野党協議を通じて、国家・国民のために避けて通れない、先送りのできないこの課題についてですね、大いに議論をし、そして、最終的にはきちっと成案を得ていかなければいけないと考えております。
私は、野党の皆さんにおかれましても、多くの議員の皆さんは、社会保障を安定化させ、あるいは充実させ、そのための安定財源として消費税が必要であると思っていらっしゃる方は多いというふうに思っております。したがって、まさに政局ではなく大局に立つならば、政策のスクラムを組むことは十分可能だというふうに考えております。このような呼びかけというものも、これからしっかり行っていきたいと思いますが、与野党で議論をしていく上で、その議論をより深めていくために欠かすことのできないのは、やっぱり何と言っても国民の皆様のご理解だというふうに思います。
そこで、改めてこの社会保障と税の一体改革の意義について、若干お話をさせていただきたいと思いますが、私自身は、いつも申し上げているんですけれども、今日より明日はよくなると思うことのできる、そういう社会をつくりたいと思っています。確信の持てる社会、実感の持てる社会をつくりたいというふうに思っています。その行き着く先が、国民の多くの皆さんが不安に思っている社会保障の持続可能性だと思います。若い人たちは、学んだ後に仕事につけるかどうか不安に思っている。働いている女性たちは、子供を産み、そして預けることができる、そういう社会なのか、子育てに不安を持ち、孤軍奮闘している。そして、誰もがいまだにまだ老後に対しての不安も持っている。そうした不安を取り除くことが、今日より明日がよくなるという行き着く先の一番の私は根幹であろうというふうに思います。
特に、この改革を推し進める際に一番大事な観点は、人口構成が大きく変わり、かつてはピラミッド型だったものが逆ピラミッド型へ急速な勢いで変わってきている状況に対応できるかどうかであります。その持続可能性の最大のやっぱりテーマというのは、給付においても負担においても、より公平なものにしていくことだと思います。給付は高齢者中心、負担は現役世代中心という構造では、これは持続可能性を担保することはできません。給付の面においては高齢者中心だったものから、人生前半の社会保障に光を当て、支える側においても社会保障の恩恵を感じられるようにすることが一番大事です。その柱となるものが子ども・子育て新システム。消費税を引き上げた暁には、すべてを社会保障に充てるということにしておりますけれども、その中でも社会保障の充実の部分の中で、この子ども・子育て新システムに7,000億円充てていこうとしています。こうした改革を早くやっていかなければいけないと思っています。
給付の面だけではなくて、負担の面における公平性ということも必要であります。これまでは現役世代中心の負担、その根幹は保険料であったり所得税であったり、それでは足りなくて、将来の世代のポケットに手を突っ込んで赤字国債を発行しながら今の社会保障を支えているという、そのいびつな構図が続いてまいりました。それを変えていくためには何らかの基幹税を充てなければなりません。
そのためには一番公平な税金、安定財源は基幹税の中では私は消費税だと思います。オールジャパンで助け合い、支え合っていく、その社会保障に充てる税金としては消費税が一番ふさわしいし、法人税や所得税に比べると、景気動向に影響されない、あるいは人口構成にも影響されない、その意味からも社会保障を充実をさせ、安定化させるための財源として、この消費税を充てていくことは不可欠だというふうに思っている次第でおります。
もちろん、社会保障を充実させる、安定化させるということは、これ一つとっても再分配機能の強化でございますけれども、なお、消費税については、低所得者に対する対策の必要性がやはり多くの皆様が語られています。これに応えていかなければなりません。番号制度が導入をされ、定着をされた暁に、いわゆる給付付き税額控除制度を導入するという方針でございますが、その制度設計というものを進めていかなければなりません。その給付付き税額控除に至るまでの間においては、これは簡素な給付措置をとることになっています。その制度設計もしっかりやっていかなければいけないと考えています。
今日より明日がよくなると思っていただけるためには、今のこうした社会保障の改革も必要でありますけれども、何よりも経済の再生を果たし、パイを大きくするということが大事です。この一体改革とあわせて包括的に進めていかなければならないのが日本経済の再生であります。デフレからの脱却であります。そのために、今回、さまざまなご議論を経た中で、平成23年から32年、この10年間の間に平均して名目で成長率を3%、実質で2%という目標を数値として掲げさせていただきました。これは前提条件ではありませんが、政府としての目標でございますので、この目標を早い段階で達成できるように全力を尽くしていかなければなりません。新成長戦略の加速、そして年央にまとめる日本再生戦略等々、さまざまな政策を総動員をしながら、この目標達成に向けて全力を尽くしていきたいと思いますし、特に、日銀とは緊密に連携をとり、そして問題意識を共有しながら、デフレ脱却、経済活性化に向けた取り組みを一緒に行っていきたいと考えています。
今日より明日がよくなるというための条件、もう一つは、私は政治そのものの信頼性もあると思います。何か課題が起こったときに、先送りをしないで、きちっと自己決定のできる政治が、まさに日本に存在しているかどうかというところに、私は国民の信頼感の欠如があると思います。決断する政治、未来をおもんばかる政治の象徴的なテーマが、私は一体改革だと思います。何とか、年度内に法案を提出をするという、所期の目的は達成できました。これは政府・与党としての決断です。これからは、まさに国会として、先送りをせずに、結論を先送りをせずに決断できるかどうかが問われると思います。野党のご意見の中で、取り入れられるものは取り入れて、真に、国民のための社会保障と税の一体改革、成案を得るべく全力を尽くしていきたいと思います。
また、多くの同志の皆様から指摘をされたこと。それは、国民の声を代弁してると思いますけれども、身を切る改革もしっかりやり抜くことでございます。行政の改革については、これまでも公務員の人件費、マイナス7.8%、これは復興財源でございますが、国家公務員の給与の削減を決めさせていただきました。政権交代以降、人件費については約1割削減をしてきています。でも、これではまだ不十分だと思います。新規採用の手控えを含めて、定員の問題についても触れながら、これからも公務員制度改革を含めまして、まさに実績をあげていきたいと思いますし、加えて、特別会計の改革、会計の数を17から11に減らすこと、勘定の数を約半減すること、そして独立行政法人の数を4割減らすこと等々、さまざまな行革の取り組みをしっかりやり遂げていきたいと思いますし、今申し上げたメニュー以外にも、行革本部をつくりました。この行革実行本部を中心にですね、これまでも、歳出の削減については一生懸命努力をしてきたつもりでございますが、これからも歯を食いしばって、さらなる行政改革、歳出削減を行い、2014年の4月に、最初に8%へ消費税を引き上げる前までには、これらのメニューはしっかりやり遂げていくことが大事だと思います。
また、まずは隗より始めよ、政治の改革も、これもおろそかにしてはいけないと考えています。今、与野党の協議が進んでおりますけれども、特に議員定数の削減は必ず実現をしていかなければいけないということの決意もあわせて申し上げさせていただきたいというふうに思います。
これから4月に入り、まさに、与野党の議論が本格的にスタートするわけでございます。法案を、政府として提出をしたということは、出したからいいということでは、これは許されません。提出をした以上は、全力で成立を期すというのが私どもの基本的な心構えであります。決断の政治、ぶれない政治、微動だにしない政治、逃げない政治、先送りしない政治、そのスタートが切れるように、大変大きなテーマでございますが、この大きな課題をしっかり乗り越えて、国民の皆様の信頼を勝ち得、そして、国民生活を守るために、社会保障の持続可能性を担保するために、この大きな改革についての結論を得るように改めて全力を尽くすことをお誓いを申し上げまして、冒頭の私のご挨拶に代えたいと思います。
【質疑応答】
(内閣広報官)
それでは、質疑に移ります。指名された方は、まず所属と名前をおっしゃってから質問をお願いいたします。
それでは、林さん、どうぞ。
(記者)
北海道新聞の林です。消費税増税法案についてお聞きします。
総理はですね、この法案について、会期延長を念頭に置かず、6月21日の本国会中に成立をさせる、この方針に変わりはないのか、改めてお聞かせください。
この法案はですね、参院で野党の協力がなければ成立をしません。この法案の修正の是非について、今のお考えをお聞かせください。
また、自民党などはですね、法案成立前の衆院の解散を求めています。総理は、法案の成立に向けて、今後あらゆる可能性を追求されるとは思いますけれども、その中で大連立、あるいは話し合い解散といった選択肢、これも排除しないのかどうか、これについてもお考えをお聞かせください。
(野田総理)
多岐にわたる内容が含まれていたというふうに思いますが、今国会中に、全力を挙げて、政府・与党一体となって成立を期していきたいと思います。まだ、3月末の段階で、国会の会期は6月までございますので、会期延長を今念頭に描いているわけではございません。あくまでこの会期内の中でですね、この法案だけではなくて、その他の法案もありますが、政府として出す以上は、それらはすべて成立を期すというのが基本的な姿勢であります。
それを通すためには、野党の理解を得なければならないことは、これは間違いございません。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、この問題については、社会保障の不安をなくしていかなければいけないと思っている党は多いと思います。議員も多いと思います。それを支える財源として、消費税を公約にした政党もありますし、念頭に置いている議員もたくさんいらっしゃると思いますので、私はさっき政策のスクラムと申し上げることができましたが、いろいろ各論で違いの部分はあるかもしれません。だけど、この問題は乗り越えていかなければいけない、解決しなければいけないと思っている方は、与野党問わず、たくさんいらっしゃると思いますので、そういう皆さんとスクラムを組んで、建設的な議論をやっていく中で、これはいい提言だなと思ったことは、当然のことながら、取り入れていくことは当然必要だというふうに思っています。
それで、大連立の話し合いとか、そういう政局は考えずに、わき目も振らずに、この法案の成立に向けて、まず政府・与党が一丸となって、そしてまとまって、そして議論をしていく、そういう立場で臨んでいきたいというふうに思います。
(内閣広報官)
それでは、次の方。
それでは、高田さん、お願いします。
(記者)
幹事社、フジテレビの高田です。
続いて、また消費税法案なんですが、閣議決定について、小沢元代表のグループから、政務三役の辞任を表明する動きも出ていまして、また、複数の議員が、採決の際に造反を示唆しています。総理は、今後、こうした状況で、どのように党内を説得していくおつもりか。
また、その過程で、小沢元代表との会談を行う腹づもりがあるのかどうか、また、党内だけでなく、連立与党の国民新党から、きょう、亀井代表から連立離脱を総理のほうに通告があったようですが、一方で、自見金融担当大臣は、閣議決定に署名しました。分裂のような状態になっていますけれども、総理は、この亀井代表からの連立の離脱通告をどのように受けとめて、今後の国民新党との連立のあり方について、どうお考えになっているんでしょうか。
(野田総理)
まず、何かを辞任する動きというのは、具体的に聞いていません。あるいは、採決のときに造反するという人がいるのかどうか、報道では出ていますけれども、具体的にはわかりません。
ただ、さっき申し上げたとおりですね、成案、素案、大綱、法案提出、さまざまな段階がありました。だけど、相当丁寧に議論をしてきたつもりです。取り入れるものは相当に取り入れてきたというふうに思っております。私は、どこかで、それぞれの段階で結論を出さなければなりません。結論を出したときには、やっぱりみんなでそれに従って、それを実現していこうという、そういう政治文化が、私は民主党に生まれつつあると思っていますので、今、仮定の話でいろいろご心配がありましたけれども、基本的には政府・与党まとまってですね、この法案を通すために全力を尽くしていくということが、基本的な姿勢でございます。
それから、亀井代表とは、昨日夜、約2時間ほど話し合いをさせていただきました。今朝も、早朝、お目にかかりました。亀井代表からは、どうしてもやっぱり、この消費税の問題については、私と意見が違うということで、そのことをもって、連立を解消したいという申し出がございました。私のほうからは、鳩山政権、菅政権、そして私と、もう三代にわたりまして、2年半以上にわたりまして、パートナーとして一緒に連立を組んで一緒に仕事をしてまいりました。これからもぜひお願いをしたいと、ぜひ連立維持をしていただきたいということの要請で、きのうはずっと平行線だったということです。その上で、今日、閣議がございましたので、自見大臣の署名の扱いとかの議論がございましたけれども、亀井代表におかれましては連立解消というお話でございました。その他の方においては、連立維持ということを確認し合ったということもありました。それが国民新党の中の党議、意思決定のあり方は、それは私が解釈する話ではないんですね。ただ、少なくとも朝の閣議の段階において、自見大臣が閣僚として野田内閣の一員として署名をしていただいたことについては、きょう、閣僚懇でも申し上げましたけれども、万感の思いを込めて感謝をさせていただいたという次第であります。
(内閣広報官)
それでは、次の方。
それでは、山口さん、どうぞ。
(記者)
NHKの山口です。身を切る改革について、お尋ねします。総理は、消費税と身を切る改革は一体というふうにかねがねおっしゃってきましたけれども、今日に至っても国会議員を80人削減する法案については国会に提出されておりません。いろいろ難しい問題はあると思いますけれども、総理が決断をすれば、今日でも国会に提出できると思うんですけれども、この法案はいつ出るんでしょうか。
(野田総理)
例えば民主党の考えている定数削減の考え方、それを貫いていけば、例えば法案を提出する、衆議院では通るかもしれません。参議院ではご理解いただけるか、各党のご理解がいただけないと、これ、つぶれますよね。で、つぶれてよかったというポーズでいいのかどうかだと思うんです。で、今、与野党で協議をしていただいているのは1票の格差の問題、定数削減、選挙制度改革、それぞれの党の思いがありますから、その中で定数削減をしっかりやり抜くことが必要であって、自分さえよければいいと、ポーズだけでやってはいけないんで、結果が出なければいけないというふうに思っています。結果を出したいと思っているんです。
結果を出すことはですね、だから、その意味ではまだ法案、出てないわけですが、与野党協議をしっかりやった中で出していかなければいけないと思いますけれども、少なくとも、さっき申し上げたとおり、最初に消費税を引き上げるのは2014年4月、それまでにはこの定数削減をやり抜いているという状況をイメージしながら議論をしていきたいというふうに思っております。
(内閣広報官)
それでは、次の方。
それでは、檜山さん、どうぞ。
(記者)
AFP通信の檜山です。よろしくお願いします。原子力発電所の再稼働の可能性について、お伺いします。夏の電力不足に備えて、政府が地元の説得にあたるということですが、地元の理解が得られない状態で原発を再稼働させるか否かの政治判断をされる可能性はありますでしょうか。被災地のがれきの広域処理について世論の理解が進んでいるようにも見えますが、原発の再稼働に関しては積極的に賛成という世論が少ないようにも見えます。
昨日、死刑の執行がされたことに関連して、法務大臣は死刑制度に対する世論の支持ということに言及されておりますが、現時点で原子力発電の安全性、もしくは危険性についての国民の理解、どれぐらい進んでいるとお考えになっていますでしょうか。よろしくお願いします。
(野田総理)
はい。原発と死刑と2つだと思うんですけれども、原発の再起動につきましては、これはもうご案内のとおりでありますけども、まず、事業者がIAEAのレビューを受けたストレステストを行うと、その確認・評価を保安院が行う。さらに、それを安全委員会がチェックをするというプロセスを経た上で、地元の理解が得られているかどうかなども含めまして、4大臣によって、どういう例えば地元の説明の仕方をするのか等々含めて会談して合意をすると。その上で、要は再起動に向けてのお願いをしていくのか含めてですね、決めていくわけでございますけれども、まだそこまでいっているのはございません。その再起動については、それは国民が関心を強く持っているということはよくわかります。そういうことも踏まえながらの判断をしていかなければいけないというふうに思うんですが、その中で電力需給のお話がございました。電力需給を心配をして、イケイケで再稼働していくということではありません。あくまで安全性のチェックをしっかりやるということと、さっき申し上げた地元の理解、得られているかどうかという判断でやっていくわけであります。
電力の需給について言うとですね、一昨年の夏が、これ、ピークだったですね、夏。それを考えると、そのまま、今年も同じような需要があるとなると、そしてしかも何の対策も講じないというと、電力の需給のギャップが10%ぐらい出てくるというふうに言われています。そういう状況でございますので、少なくともやらなければいけないことは、予算措置であるとか、あるいは規制・制度改革等々の政策を総動員をしながら、この需給のギャップを埋めていく努力をしていかなければなりませんが、そうした場合でも、相当の節電をお願いをせざるを得なくなるだろうというふうに思います。その具体的な方針、取り組みについてはですね、この夏までに何をやるかでありますけれども、連休前後まで、それを目途に電力需給の見通しについて、レビューを行った上で、その具体策を取りまとめていきたいという、今はスケジュールでございます。
それから、死刑制度についてはですね、昨日、法務大臣の権限、責任のもとで執行させていただきましたけれども、この死刑制度というのは、我が国の刑事司法制度の根幹に関わるものでございますので、そのあり方については、国民世論にも十分に配慮しながら、社会における正義の実現などの、さまざまな観点から慎重に検討しなければいけないというふうに思います。たまたま、法務大臣は世論のお話、世論調査のお話をされたということですが、政府として、定期的にこの問題の世論調査やってまいりました。平成21年の12月に内閣府が実施した世論調査結果によれば、死刑制度の存廃に関して、「場合によっては死刑もやむを得ない」とするものが85.6%であったと承知をしていますが、世論調査が云々だけではなくてですね、いずれにせよ、国民の間でさまざまな意見があります。そういうことを踏まえてとか、あるいは、依然として凶悪犯罪が減らない、後を絶たない状況なども鑑みて、直ちに死刑を廃止することは困難であると認識をしていますし、死刑を廃止する方針がないことに変わりはございません。
(内閣広報官)
それでは、次の方。
それでは、七尾さん、どうぞ。
(記者)
ニコニコ動画の七尾と申します。よろしくお願いします。
今の質問とちょっとかぶるんですが、先ほどですね、原発再稼働の手順の大枠のお話はございましたけれども、ちょっと具体的なお話で、大飯原発3、4号機の再稼働にあたりましては、原子力安全委員会はもとよりですね、京都府の山田知事などからも、総合的安全評価としては一次評価だけでは不十分で、二次評価まで行うべきだとの意見もございます。今後の政治判断にあたりましては、あくまでですね、一次評価のみで地元の理解を得ていくお考えなのか、この点とですね、総理の中で、いわゆる、現時点で結構ですけども、地元とはどこまでの範囲を考えていらっしゃるのか教えていただければと思います。
(野田総理)
プロセスの中で、安全委員会まで行った後、ちょうど今、大飯原発3、4号機についてはそういう段階に来ています。これは、その安全性のチェックが十分なされているかどうかを、今、関係閣僚が確認を行っています。その確認が終わった後に4大臣でどうするかという議論をするんですけれども、基本的には、どなたかのご質問に答えたとおりですね、第一次のストレステストというのは、福島のような地震、津波が起こった場合に、炉心溶融に至らないための裕度、余裕度ですね、が、どれぐらいあるかというのが一次テストです。それを踏まえてのプロセスをやってまいります。
二次の話等々は、それはもちろんですね、安全性をチェックしていくには、これは上限がないと思います。この問題は。上限のない取り組みってのは、これはやっていかなければなりません。ただ、少なくとも福島並みのような、あんな津波や地震に耐え得るか、どれぐらい裕度があるかというのも、これは一つの、一次ではありますけれども安全性のチェックのポイントだと思いますので、その確認を今やっているという状況でございます。
それからこれ、地理的な要件でですね、これ、機械的な話ではないということでございます。ただ、京都とか滋賀のように、関心のある自治体から、どうなっているのという要請があれば、当然のことながらご説明をしていくということは、これからも丁寧にやっていきたいというふうに思います。
(内閣広報官)
それでは時間がきておりますので、最後の質問とさせていただきます。
では、佐藤さん、どうぞ。
(記者)
朝日新聞の佐藤です。
総理はですね、消費増税法案について、消費増税法案の今国会成立について政治生命をかけるというふうにおっしゃっております。それからもう一方で、決められない政治からの決別ということもおっしゃっておるわけですけれども、今国会で、その法案が成立しない場合、解散してでも、解散して国民の信を問う、あるいは退陣をするという意気込みであるというふうに理解してよろしいんでしょうか。
(野田総理)
そう簡単に理解しないでください。政治生命をかけるというのは、文字どおりに受けとめていただきたいと思います。その解釈を云々するのはやぼじゃありませんか。ただ、政治生命をかけると言ったことは事実、かけてます。どうするかは、私の胸三寸であります。しかも、通らなかったという悲観的な「たられば」について、今、私は想定をしていません。
(内閣広報官)
それでは、これをもちまして、記者会見を終わります。どうもありがとうございました。