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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「明日の安心」対話集会 in 兵庫

[場所] 
[年月日] 2012年4月7日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

【集会の模様】

(水岡総理補佐官)

 お待たせをいたしました、こんにちは。

 皆さん、それぞれに御多忙な中、よくおいでをいただきました。本当にありがとうございます。「明日の安心」対話集会をただいまより、始めさせていただきたいと思います。

 本日、司会をさせていただきます、内閣総理大臣補佐官を務めております、参議院議員の水岡俊一でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございます。この対話集会は社会保障・税一体改革に関して、政府として国民の皆さんの率直な御意見を伺うとともに、しっかりと皆さんに御説明をしたいということで、2月以降、関係閣僚が47都道府県すべてを回るべく、全国行脚をしているところでございます。

 その中で、本対話集会に野田総理が初めて参加をする運びとなりました。今日は兵庫県西宮に来させていただきました。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 1点、お断りをさせていただきますが、本日、会場に来られなかった方も含めて、この会の内容をインターネットで見ていただけるように、今回のお話、御質問等を録画させていただいております。その点、あらかじめ御了解をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。 それでは、最初に野田総理からお話をさせていただいた後、皆様から御意見をいただいて、対話を進めていきたいと思っております。

 それでは野田総理、お願いをいたします。

 済みません、ちょっと総理、マイクを持っておしゃべりになるのが好きなものですから、お待たせしました。

(野田総理大臣)

 皆さん、こんにちは。ちょっとトラブルがありまして、失礼をいたしました。

 対話集会は全国各地で行わせていただいております。こうして私は、今日は兵庫県西宮市でお話をさせていただくことになりました。地元の石井議員始め、皆様のお取り計らいに感謝を申し上げたいと思います。

 なぜこのテーマを政府を挙げて国民の皆様に御説明をしているのか。その導入のところからお話しなければいけないと思うのです。

 昨年の夏、イギリスのエコノミスト誌という雑誌があります。その8月2日号を見て、大変、私は衝撃を受けたのですけれども、「日本化する欧米」というタイトルなのですね。イラストが描いてありました。

 イラストにはドイツのメルケル首相、御存じでしょうか。女性なのです。そのメルケルが着物を着ています。かんざしまでつけているのですね。その横にアメリカのオバマ大統領がやはり和服姿なのです。この2人が並んでいる後ろに富士山が描かれているのですね。

 中身はどういう意味かというと、日本化する欧米。ヨーロッパは御承知のとおり、欧州の債務危機の問題がありました。アメリカは債務の上限の問題がありました。それぞれがさまざまな課題を抱えているけれども、本当の問題解決ができないで、先送りをしている状況だというのですね。

 そういう状況で、これは失われた20年ではありませんが、まさに日本と同じではないか、日本化しているということなのです。「債務とデフォルトと政治のまひ」という副題があって、政治がまひをしていて、やらなければいけないことがわかっているけれども、決められない政治が続いていること、それを欧米で起こりつつあることを日本化しているという文章でございました。

 私は大変、日本の政治に対する、いわゆる一つの海外における評価だと思いましたけれども、その一番先送りをしている最大のテーマが何かというと、今日、お話をさせていただきます、社会保障と税の一体改革ではないかということでございます。本来ならばもっと前の段階で結論を出していなければならなかったものが、今、もう待ったなしの状況になってきたのではないか。これが私の問題意識であります。

 社会保障は、どなたでもどこかの段階でそのサービスを受ける可能性のあるものです。どんな場合か。職を失ったとき、病気をしたとき、介護が必要になったとき、老後の暮らし等々、どなたもピンチになったとき、苦しくなったとき、助けが必要になったときに出番があるのが、基本的には社会保障です。

 その社会保障は、今、国民の暮らしに大きく、深く根ざしています。経済にも今、深く関わってきています。この社会保障制度が必要なことは、どなたも認めると思います。これが要らないということはないです。間違いなく、どなたにも必要になるときがあるわけでありますし、もともと、この日本の社会保障制度の根幹は国民皆年金、国民皆保険。これは昭和36年からスタートしています。約半世紀が経ちました。

 国民皆年金、国民皆保険、これは本来ならば、世界に冠たる素晴らしい制度だと思います。国民皆保険は、健康保険証を持っていれば、どこの病院に行っても、どこの診療所に行っても診療を受けることができます。一定の自己負担はしますけれども、これは安心して、病院、診療所に行くことができますよね。

 アメリカなどは、オバマの改革の前には4,700万人がこういう保険に入っていないという状況。アメリカの医療は進んでいるように見えますけれども、日本の制度の方がはるかに安心できる制度なのです。こうした制度の下で、世界一の長生きできる国になったし、赤ちゃんが産まれても新生児の死亡率は世界で一番低い、そういう医療をつくってきたということ。

 医療は勿論、いろいろな問題はありますよ。問題はありますが、国民皆保険制度に支えられて、安心できる体制はこれまでつくられてきたはずであります。

 国民皆年金。年金生活者の方は、今日はいらっしゃるかもしれませんが、高齢者の世帯の年収の約7割は年金収入です。老後の生活を大きく支えています。高齢者の世帯は約1,000万世帯ありますけれども、年金だけで暮らしているという人も世帯が6割あるのです。まさに老後の生活の根幹をなしています。このような国民皆年金や国民皆保険という制度は、基本的にはこれを維持して、持続可能なものにしていくことが大事だと思います。

 そして、この社会保障の分野というのは、今、国民の暮らしの面で申し上げましたが、経済・雇用の面でも大きな比重を占めるようになってまいりました。社会保障の給付費は約100兆円です。1年間に100兆です。半分とは言いませんね、6割が保険料、4割が公費の負担でやっておりますが、社会保障給付費は100兆円です。

 この規模はぴんと来ないかもしれませんけれども、自動車、家電などの製造業を全部合わせた年間の総生産額が85兆円です。製造業が1年間でつくり出す、その生産額よりも社会保障の給付は大きいという状況です、という大きな規模になってきました。

 雇用においてはどうなっているか。今、一番、雇用を吸収しているところは小売業、約1,000万人。製造業、同じぐらい1,000万人。医療や介護といった分野は今、六百数十万人の雇用を吸収しています。増えてきているのです。この10年間で医療や介護に関わる人の雇用というのは150万人増えました。土建業では100万人、この10年間で減りました。というように、経済の面においても雇用の面においても、この社会保障の分野はウェートを占めるようになってきたわけです。ということで、国民の暮らしと経済を支える、まさに大黒柱のような存在になってきた社会保障であります。だけれども、残念ながらその足元が揺らぎ始めています。

 揺らぎ始めている原因は何か。一つは世界で最も速いスピードで進んでいる高齢化であります。特に2012年から団塊の世代の皆さんが65歳を超え始めました。2014年までにはすべての団塊の世代が、まさにこういう年金の受給者になっていきます、という大きな変化があるということ。高齢化だけではなくて、少子化にまだ歯止めがかかっていません。最悪のときよりはやや改善の兆しがありますが、出生率はまだ1.39程度ということでございます。ということは、少子化と高齢化が合わさって、人口の構成が大きく激変をしてきています。

 どういう構造になっているか。国民皆年金、国民皆保険がスタートしたころは、多くの元気な人たちが1人のお年寄りを支える構図でございました。それは野球で優勝すると、監督さんは胴上げをよくしますよね。甲子園では胴上げをしませんけれども、プロ野球ではよくやります。あの胴上げと同じです。元気な現役世代が1人のお年寄りをみんなで支える。これは安心の社会だと思います。だけれども、今はどうかというと、3人が支えている、1人が支えられているということです。これはよく運動会で見られますが、騎馬戦と同じなのですね。ほどなく2人で1人を支える時代になります。そして2050年代には限りなく1人が1人を支えるという。1人が1人を支えるというのは、肩車ではありませんか。下の人は大変ですよ、肩車。というように、短い期間の間に胴上げから騎馬戦へ、騎馬戦から肩車へと移行をしているのです。そうすると、従来のような社会保障の考え方ではもたなくなってきています。

 どういうことかというと、今の社会保障というのは、先ほど社会保障の給付は約100兆円と言いましたが、約7割はお年寄り向けなのです。ということは、社会保障の給付というのは、高齢者中心なのです。負担はどうかというと、これは保険料あるいは所得税とかに頼っていると、これは現役中心なのです。負担は現役世代、給付は高齢者という枠組みで、今、言ってきた、限りなく肩車の社会になっていくときにもつのかどうかなのですね。ということを考えて社会保障の改革をやっていかなければなりません。そのためにはまず、給付においても、世代間の公平を図る必要があります。すなわち、高齢者中心だけではなくて、支える側にいる人たちも社会保障の恩恵を感じられるようにしなければなりません。

 そこで私どもが強く申し上げているのは、これまで余り社会保障の分野では光が当たってこなかった、力を入れてこなかった、子ども・子育ての部分、若い世代の子育ての悩みを解消するために、産むか産まないか悩むということがないように、そういうことを支えるために子ども・子育て新システムという、これは約7,000億かかる事業でございますが、こういうものに力を入れていきましょう。

 社会保障というのは、人生の後半だけに光を当てるのではなくて、前半の部分にも当てていかないと支える側がもちません。その支える側の人たちも社会保障の恩恵を受けられるようにするために、子ども・子育てであるとか、こういう子育てに力を入れるということ。あるいは、例えば医療の分野でも、先ほど柏原病院を視察してきたのですけれども、医療の分野でもいろいろやらなければいけないことがありますが、産科、小児科のドクターが足りなくて困っているということは、これは子育てをしている世代が社会保障、医療の恩恵を受けていないということですね。こういうところの立て直しをしていくことなどなどが必要ではないか。こういう社会保障の充実を、世代間の公平を図るという観点からもやっていかなければいけないと思います。

 勿論、こういう新たに充実をしなければいけない分野もありますが、従来のように年金、医療、介護が続いていくのだという安心をもたらさなければなりません。そこにもお金を入れていかなければいけないと思っています。

 もう一つ、今、給付の公平性ということを申し上げました。負担は今、現役世代中心ですね。現役世代どころか、将来の世代に負担を負わしている部分もあります。なぜならば、借金に頼っているからです。社会保障関係費、これまでは高齢者3経費は、いわゆる医療、年金、介護の分野は消費税をもともと充てることになっているのです。でも、足りないから、赤字国債に頼っていますね。

 そうすると、どんなことが起こっているかというと、皆さんが例えば年金をいただいて、おじいちゃん、おばあちゃんがお正月にお年玉をお孫さんにあげる。ほほえましい光景だと思います。お孫さんも喜ぶと思います。だけれども、実はそれは赤字国債に頼っていて、そのいわゆる行きつく先は、その子どもたちが、孫たちが大きくなったときに働いて得るであろう所得から前借しているのと同じということですから、実は複雑な光景なのですね。というように、現役世代だけではなくて将来世代に今、つけを回している。将来の世代のポケットに手を突っ込んで、今を生きる皆さんの社会保障に充てているという構図があります。ということで言うと、本当は負担なくして給付なしというのが原則だと思うのです。負担をするから給付がある。

 だけれども、要はそこがいびつの構造になっています。負担の公平性を考えたときに、公平な負担というのはどういうことか。世代間、あるいは将来の世代も見込んでの負担、公平感を担保するにはどうしたらいいか。基幹税で言うと、やはり消費税ではないのか。すべての世代で助け合い、支え合っていく、景気の動向に余り影響されない、そういう安定した財源が必要ではないか。それが私どもの基本的な考え方であります。もっと歳出削減したらいいではないか、お金の使い方を変えたらいいではないか。当然、そういう声があることは事実でございます。だけれども、現実を是非、皆様に見ていただきたいのです。

 今、日本の予算は、この間、成立したばかりでありますが、大体90兆円ですね。90兆円のうちの約2割は借金返済に充てられなければなりません。過去の政権がいっぱいつくってきた借金が山のようにあります。その山のようにある借金を少しずつ返していかなければいけない、利子も払っていかなければなりません、利払いがあります。これは今、20兆円を超えています。90兆円のうち、大体2割は借金返済に充てなければならないのです。

 もう一つ、地方交付税。国も大変だけれども、地方が疲弊をしていますね。ですから、地方交付税を我々は増やしてきました。政権交代以来、地方交付税を増やしてきました。これも大体ざくっというと全体の2割ぐらいあります。そうすると、地方交付税と借金の支払いで国の予算は4割なくなっていきます。では、6割残りますよね。その6割の半分以上を占めているのが、社会保障の関係費なのです。

 予算の関連で言うと、今は大体28兆円分ぐらいなのでしょうか。全体の3割をちょっと超えます、半分以上。ということは、先ほど28兆円台と言いましたけれども、防衛4兆台、教育4兆台、公共事業4兆円台。こういうほかのやらなければならない、いっぱい事業があります。全部、その他の事業を合わせたよりも、今、社会保障にお金を使わなければならないのです。

 その社会保障を先ほど申し上げたように充実させていかなければいけない分野もある。従来と同じような事業を継続するために、安定化させていかなければいけないこともある。とすると、教育を削れと言えますか。防衛を削れ、公共事業をもっと削れ、ではないと思います。勿論、無駄をなくしていく分野は聖域なく、これからもやっていかなければいけません。行政改革は徹底してやらなければいけないと思います。

 政治改革もやらなければなりません。議員の定数削減等をやらなくてはなりません。やりたいと思います。そういうことも併せても、先ほど申し上げたように、社会保障の比重が非常に高まっている。しかも、毎年高齢化が進んでいる分、放っておいても、現行制度を維持するだけでも1兆円ずつ増えていくのです。毎年、自然増と言います。1兆円ずつ増えていくのです。

 1兆円、ぴんと来ないかもしれません。すごいのですよ。先ほど、90兆とか何十兆とか言っていますが、豆腐の1丁とは違いますから。1兆円というのはすごいのです。1兆円毎年社会保障を維持するために自然増が増えると言いました。1兆円というのは、1万円札を平積みしていくと1万メートルになります。1万メートルということはエベレストよりも高いのです。JALが飛んでいる世界です。

 持ったらどうでしょう、1兆円。1万円札は1グラムです。100トンになるのです。私も0.1トンはありません。重たいです。宝くじが1,000万円当たったらうれしいと思います。使っていったらすごいですよね。毎日1,000万円使っていっても、1年間で36.5億円です。1兆円使い切るには300年間かかります。というぐらいのお金が毎年、放っておいても増えていくのですね。それは維持するためだけでもです。

 ということを考えたときに、現役世代ばかりには頼れない。将来の世代のポケットに手を突っ込むということも、借金に頼るということも、欧州の債務危機も対岸の火事ではありません。そういうことも気にしなければなりません。そうすると、公平な税金を充てて、みんなでやらなければならない分野を支えていこう、支え合っていこう。これが今回の趣旨でございます。

 勿論、社会保障と税の一体改革と言いますが、その前にやることがいっぱいあります。その前にというか、包括してやらなければいけないことがあります。例えば経済の再生。デフレを脱却し、経済の活性化を図らなければなりません。それをやったとしても、あの「三丁目の夕日」の時代のように、毎年10%成長率を確保できるということは困難です。我々は名目3%、実質2%の成長率を目標に掲げています。向こう10年間で実現をしようと思います。全力を尽くそうと思いますが、成長率を上げても、あるいは歳出削減をやっても、それだけでも私は足りないと思っています。

 だからこそ、こういう歳入改革という、国民の皆様に2014年から消費税の税率を4月から8%、2015年10月から10%お願いできるかどうか、まさにこれからの日本の社会保障が、そして日本の財政が持続可能となるかどうかという正念場だと思っています。このためには、是非、多くの国民の皆様に御理解をいただかなければいけないと思います。その意味からの今日は対話集会であるということを改めて確認をさせていただきまして、今日は皆様から忌憚のない御意見をたくさんちょうだいできればと思います。

 余り私ばかりがしゃべっていても、これだけ多くの皆様が来ていらっしゃるので、逆に皆様の声をお聞かせいただくことが政策の実現には大いに有効かと思いますので、是非、これからは皆さんの声をお聞かせいただきたいと思います。

 ありがとうございました。


(水岡総理補佐官)

 野田総理からお話をさせていただきました。総理、つい力が入って大きな声になっておりましたが、お許しをいただきたいと思います。

 質疑に入る前に、配付している資料について簡単に御説明をしておきたいと思います。

 お手元にこのような、「明日の安心 社会保障と税の一体改革とは」というコピーの資料と、同じく「明日の安心 社会保障と税の一体改革を考える」という水色のペーパーと2種類あると思います。

 その中でも、こちらのコピーの方の「明日の安心 社会保障と税の一体改革とは」という資料について、少しだけ私の方から説明をさせていただきたいと思います。

 ざくっとですが、4ページには少子高齢化が進む中での人口割合の推移を、6ページには消費税率引き上げ5%の使い道がすべて社会保障であること。それから7ページ以降、10ページまで消費税率の引き上げに併せ、さまざまな社会保障改革を実施されていること。11ページ、12ページに至っては、消費税を始めとする税制全体の改革の内容を、13〜14ページでは身を切る改革について載せているところです。

 全国で行われている対話集会について御説明をする時間があるのですが、今日は総理出席ですので、総理からのお話を中心にさせていただきたいということで、この説明は省略をいたしまして、後ほど、また皆さん方がこの資料をじっくり読んでいただきますようにお願いをしたいと思います。

 それでは、質疑の方に入りたいと思います。

 本日のお話をさせていただいたテーマは、非常に多岐にわたっております。ある程度、分野をまとめて総理からお答えをしたいと思いますが、その面でお一人、一つのテーマで御発言を願いたいと思います。できるだけたくさんの方に御発言をいただきたいと思いますので、どうぞ御協力をいただきたいと思います。

 テーマとしましては、一つは年金。二つ目にはその他の社会保障。例えば医療であるとか、介護であるとか、子育て等とまとめたいと思います。三つ目が税。最後にその他、全般でお話を伺いたいと思っております。

 では、最初に年金について御質問等がある方はおっしゃっていただきたいと思います。私が指名をした後、お名前を名乗っていただいた上で、御質問をお願いしたいと思います。できるだけまとめて、短めでお願いをしたいと思います。

 それでは、年金について御質問のある方、どうでしょうか。ざっくばらんに。

 では、後ろの黒い背広の若い方、どうぞよろしくお願いします。

(質問者)

 詳しい説明をして、すごくわかりやすかったのですけれども、私はまだ19歳で二十歳にもなっていないのですが、私たちの世代が何年かしたら負担が増えていくというお話をされていました。

 私が感じたのは、年金制度について続けることばかりを考えているのではないかなというのを一番感じたのですね。というのは、いずれにせよ税金を増税していくのは仕方がないことというか、わかっていることなのですが、年金への負担額というのも絶対に上がっていくことは避けられないと思っています。

 そうなるのであれば、1回どこかで打ち切って、その借金の分を若者が返していった方が、私たちの負担は少ないのではないかなと考えているのですけれども、どうでしょうか。

(水岡総理補佐官)

 済みません、お名前を伺っていなかったですかね。

(質問者)

 済みません、Aです。

(水岡総理補佐官)

 Aさん、ありがとうございました。

 そのほか、年金について。では、次にします。こちらのカメラの前にいらっしゃる方。

(質問者)

 ありがとうございます。会社員のBと申します。

 年金あるいは税金全体の社会保障について、全般の質問というか、コメントになってしまうのですけれども、ただいま総理がお金による充実、改革によって明日への安心というものを勝ち取っていこうという趣旨と理解したのですが、市民の立場から、将来の備えというのに対して何が足りないのかと。政府の立場から、税の財源の支出収入の問題があると思います。それは私も大変な状態を理解していますし、この20年間、支出で増えているのは国債であったり、社会保障関係費であるというのが実態であるのは理解していますので、税収をどうしていくのかという問題は大変重要な課題だと思います。

 一方、市民の立場から、何が将来の備えに対して足りないのか。消費税を上げることによって社会保障改革を充実したら、何か将来の備えが足りるのかというと、なかなかそのお金だけでは満足できない部分があるのですね。それはお金だけではない、将来に対する漠然とした不安というのがそれでとれるのか、とれないのかという問題があります。そこには何か足りないものとして、将来に対する不安があるので、逆に希望とか志が持てないという社会があると思います。

 なので、税収を上げることによって、その社会保障制度が改革されたら、そのような漠然とした不安がとれ、そして、将来に対する希望や志が持てるのかと思うと、なかなか現状では、そこまでいくのが厳しいのかなと感じております。むしろ、我々はそのような不安をとるというのは、将来年金が幾らもらえますよと今、言われても、そのお金がもらえたところで、将来の社会経済情勢がどうなっているのかわからないので、お金の相対的な価値もわからないから、それが実感としてわからないのですね。

 将来に対して何か漠然とした不安をとるためには、お金というよりは、そこで食っていけると。将来、不安がなく衣食住が十分足りているのだというところに、やはり不安感がとれるのではないかなと。ですので、税制をいかに改革していこうという手法もそうなのですが、それだけではなくて、食べること、着ること、住むこと。こうしたものに最低限、食いはぐれることがなく、将来安心できるというのが保障されるようなものがあれば、そうすることによって将来に対する漠然とした不安が和らいでいき、それによって貯蓄を。

(水岡総理補佐官)

 その辺りでおまとめください。

(質問者)

 はい。そういうような、単に税制制度を改革するだけではなくて、衣食住に何か安心させることによって改革していくことも必要ではないかなと感じております。

 ありがとうございました。

(水岡総理補佐官)

 では、もう一方。

(質問者)

 今日はありがとうございます。Cと申します。

 私も長い間、働いてきまして、年金をかけてまいりましたが、現在、遺族年金、基礎年金、厚生年金と3段階の年金を小額ですがいただいておりますが、将来、遺族年金という金額が減らされていくのでしょうか。何かの形で遺族年金を減らしていく形になっているような気がするのですが、それはいかがなものでしょうか。

 例えば、自分のかけた年金を生かすためにあなたの遺族年金は減らしますと言われましたけれども、将来、そういう形でどんどん遺族年金がなくなっていくのかなという感じを受けたのですが、いかがなものでしょう。 失礼しました。

(水岡総理補佐官)

 では、総理、お願いします。

(野田総理大臣)

 まず、2人目の御質問のBさんのお話が、年金も含めての包括的なお話だったと思いますし、一番最初に御質問されたAさんは年金に関わっていましたけれども、保険料率に関わっていたと思いますが、まとめてお話したいですが、最後の遺族年金は後にさせていただきます。

 社会保障と税の一体改革で、消費税を安定財源にさせることが将来の不安をなくすことができるかということが本質的な御質問だったと思うのです。それ以外にも不安に思うことがあるのではないかということだと思います。

 この失われた20年の中で最大の傾向というのは、今日より明日はよくなるという確信がないのです。実感もないのです。かつてはありました。先ほどちょっと触れた「三丁目の夕日」の時代はそうです。映画もやっています。鈴木オートの社長はばりばり働いて、東北から集団就職で来た堀北真希も一生懸命働いて、あのころは今日より明日はよくなるという希望があった時代です。今、あのころに比べれば豊かなのですが、ないのですね。

 今日より明日はよくなるという展望を持つためには、一番の不安を取り除くことが前提になるのではないか。一番の不安はいろいろあるかもしれないけれども、やはり社会保障の持続可能性ではないか。というのは、毎年、内閣府で国民生活の意識調査をやっています。老後に対する不安というのは、毎年、残念ながらまだ増え続けているのですね。

 これはある人が言っていたのですが、本当かうそかわかりません。60歳の人は5年後の65歳のときを心配している。70歳の人は5年後の75歳のときを心配している。あのきんさん、ぎんさんは100歳になっていて、テレビに出てコマーシャルに出たときのギャラをどう使いますかと言われたときには、老後のために蓄えると言ったと。100歳の人も105歳のときを心配していたかもしれない。際限なく老後に対する不安を持っている。先輩世代だったら、そうなのです。なおさら若い世代がそうですね。この制度は持続可能なのか。国民年金の未加入とか未納の問題というのは、背景にそういうことがあるのではなでしょうか。

 そのためにもやはり社会保障という一番の不安をなくしていくということは、今日より明日はよくなるという実感を持っていくための大前提になると思います。ほかにも不安をなくすためにはやらなければいけないことはいっぱいあると思いますが、一つの大前提になると思います。

 そこで最初の保険料、一定割合までいったら止めたらどうか、打ち切ったらどうかという話だったのですが、今、実際そうなのです。厚生年金も国民年金も一定の割合まで上げていくことは決まっていますが、それ以上は上げることはない。ということは、保険料に頼り続けるということは現役世代に頼るということでございますので、それは余りにも進み過ぎると、それこそ持続可能性がないということで、永遠に保険料率を引き上げ続けるということでは、社会保障、年金はもたないと思っています。

 最後に遺族年金のところは、特にこれをもって減らしていこうという意思は全くないと思いますが、現状は事務的の方に説明していただけますか。

(中村内閣官房社会保障改革担当室長)

 年金制度の給付についての見直しは、制度の予定はございません。遺族年金、例えば年金の額が変わるということは、物価が上がったり下がったりする、スライドの問題がございますけれども、制度改正によって遺族年金の水準を下げる。遺族年金に着目して下げるということはございません。

 今度、法律改正を提出しておりまして、公務員の方の年金と厚生年金を一緒にするという制度改正があります。そのときに遺族年金につきましては、公務員制度の方が厚生年金制度よりも少し優遇されておりますので、そこのところは水準の問題ではなくて、例えば遺族の方が亡くなったときに、その次の方に転給できるかというところは見直しをして、厚生年金制度に合わせるということでございます。

 総理が申し上げましたとおり、物価スライドは物価の状況によって変わっていきますが、それ以外の点で、特に遺族年金について水準が問題になっておりませんし、引き下げるということはございません。

 あと、制度的に言いますと、御自分の年金と遺族年金と額を比較して、有利な方を選択するという点があるので、その点と少し、もしかしたら御質問をされた方がごっちゃになっていたかもしれないと思いますので、そういうところについては年金機構の方で御相談いただければと思います。

 以上です。

(水岡総理補佐官)

 社会保障推進室から中村が参りまして、御説明をさせていただいたところです。

 それでは、年金に関してありますか。こちらの背広の方、どうぞ。

(質問者)

 現役世代のサラリーマン、Dと申します。よろしくお願いします。

 野田総理が先ほど、負担なくして給付なしということで、年金に関して、もらうためには負担しなければいけないと。私どもはサラリーマンをもう33年やっているのです。これまで、当然ながら給付はありません。負担してきました。

 これから、あと数年、65になるのだったら、あと10年弱のところで給付を受けるのですが、年間で今100兆円の給付をしているということで、国民1人当たり100万円のお金がもらえていると計算してよろしいかなと思うのです。

 ただ、給付を受けていない人間がいるわけなので、では、どこにそのお金が消えているのかなと。コストはどうなっているのか。年金に一人ひとりがもらっているお金と、我々が負担している部分の間にお金が消えていませんか。その部分の説明がないと非常に納得いかない。これを説明いただきたい。

(水岡総理補佐官)

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。それでは、真ん中の列の白い襟の方。

(質問者)

 Eと言います。サラリーマンです。

 50代なのですけれども、私の世代はおそらく負担したよりも給付額がほぼとんとんだと言われていますが、多分、子どもの世代になると全然少ないと思うのですけれども、逆に言ったら今、お年寄りの方々は負担したよりもはるかにたくさん給付いただいているわけですね。私も親がいますから、親もたくさん給付をもらっています。

 単純に思うのですが、逆に言ったら若者の考え方からすれば、今もらっている方々はもっと減らすべきではないかと。はっきり言って半分とか。半分は無理だとしても3分の2に減らすとか、5分の4とか、半分は極端だと思うので、そういう形の政府の姿勢とか考え方を示されてはいいのではないかと、私は若者ではないですけれども、そういう考えを持っています。

 以上です。

(水岡総理補佐官)

 では、年金はあと一方だけ。

では、こちらの列の女性の方。

(質問者)

 会社員をやっております、Fと申します。

 私は学生を卒業してからずっと働いて、子どもができたときにも育児休暇を1年とって、その会社には戻れなかったけれども、違う会社でずっと勤務しております。

 こういう私みたいな共働き世代は、年金、社会保険ですね。2人とも満額かけています。でも、専業主婦の方は3号で1円もかけずに、国民年金をかけたということになっていますよね。ですので、首相がおっしゃるように、負担なくしては受給なしというところに、3号の方はちょっと引っかかるのではないのかと思いますが、どうでしょうか。

(水岡総理補佐官)

 ありがとうございます。

 それでは、総理からお答えになる部分がもしあれば。

(野田総理大臣)

 まず、負担と給付の公平の話の中で、負担した分でどこかで消えている部分があるのではないかという、ちょっと御質問の趣旨がよくわからないのですが、例えば年金の事務費などに流用しているというお話でしょうか。ということならば、それは2,000億ぐらい年金の事務費に使っているということはあります。それはストレートに負担と給付には直結をしていないという部分でありますが、だんだんこれを減らしていくという方向にはなってきています。

 ということだとすると、一つの答えは今のことだと思います。ですから、基本的に極端にほかのところにがんがん使っているということは全くあり得ません。それは基本的には、納めた年金に合わせて給付があるという原則の下に、運営はさせていただいているということであります。

 これも給付と負担のバランスの問題で、もうちょっとお年寄りはカットした方がいいのではないかと。確かに世代によって納めた保険料、もらえる給付というところで違いが出てくることは事実であって、50代はとんとんというお話はそのとおりなのですけれども、一方で年金だけで公平感を担保するのかというと、私は必ずしもそうではないと思っています。年金に限っては今、御指摘のとおりの傾向はあるのですが、例えば介護を考えたときなのです。

 介護保険ができたのは2000年からですね。その前というのは、親の介護というとお子さんかお嫁さんが担当してきたのです。そうではなくて、介護は社会化していこうということで2000年から介護保険になりました。ということは、今の年金の受給世代はお父さんやお母さんのまさに介護を、負担を自分たちでしてきた世代なので、トータルで見ると何がバランスを取れているかというのはわからないのですね。

 そういうことも勘案すると、後から生まれてくる世代が全部損をしてくるわけではなくて、先輩世代は先輩世代で、家族の中で社会保障を担当してきたというところの御苦労もあったということも、総合的に勘案しなければいけないのではないかと。さはさりながら、余りにも不公平感があってはいけないということはあると思います。

 ということで、今回の国会でも法案を提出いたしますけれども、普通はもらえる年金を物価に応じて調整することになっているのです。だけれども、これをやってきませんでした。多く年金をお支払いをしてまいりました。その分を3年間かけて、年金加算された分を調整をさせていただくような法案とか、公平感を担保するような調整も、これからも随時行っていきたいと思っております。

 三番目は、これがなかなか難しい問題でありまして、働く女性、専業主婦、またそれも行ったり来たりということもあります。その辺の公平感が担保できるような改善は随時やっていきたいと思います。これは年金だけの問題ではなくて、これもいろいろ議論があると思います。配偶者控除の問題をどうするかとか、税制の問題とも含めて、しっかりバランスを取って、負担と給付というか、世代間のバランスではなくて、世代内の同性間のバランスという観点も大事だと思っております。

(水岡総理補佐官)

 それでは、次に医療・介護・子育て等、社会保障のいろいろな観点から御質問がある方は受け付けたいと思いますが、いかがでしょうか。

 前の、そうです。

(質問者)

 西宮市在住のGと申します。よろしくお願いいたします。

 地域における社会保障の将来について、お伺いしたいと思います。少子高齢化が進みまして、将来を見据えた我が国の社会保障につきましては、特に地域においては安心して暮らせる社会を考えるときに、今後、更に行政規模の縮小が余儀なくされてくると考えます。そういったときに地域における行政の果たすべき機能は、ますます縮小されてくるのかなと思っております。

 国、県、基礎自治体もそうですが、更にコンパクトになって、行政だけではなくて、市民あるいは地縁組織、更には新たな公共、そういった担い手の方、NPO法人などが考えられますけれども、行政の仕事自体をそういった方々に任せるような時代がやがて到来するのではないかと考えております。

 そのような中で昨年の東日本大震災、あるいは我々この阪神地域で言いますと、阪神淡路大震災のときに、行政だけではやはり地域が救えないということが明らかになってきていると考えております。一方、市民も行政だけに頼るだけではだめで、地域において助け合うことが何よりも重要であるということが再認識されたのではないかと思います。

 内閣府におかれましても、官だけではなくて、市民やNPOあるいは企業などが積極的に公共的な財であったり、サービスの提供の主体となる、あるいは身近な分野において共助の精神で活動するような、いわゆる新しい公共の推進が必要不可欠であるという研究がなされておりますが、現段階において総理の御見解をお伺いしたいと思います。

 以上です。

(水岡総理補佐官)

 それでは、後ろの白い背広の方。

(質問者)

 兵庫県医師会のHでございます。開業医をしております。

 ちょっと総理にお聞きしたいのですけれども、ごあいさつでもあったように、非常に日本のよいところというのは社会保障、皆保険制度が充実している。これは非常に世界にないことで、水と安全と医療というのが安いというのが日本の利点だと思います。そこのところは我々も思っているのですが、資料にあるように安い医療でも高齢者が非常に増えるから、グロスでやはり医療費は増えている。一つひとつは非常に安い医療を提供していると思うのです。

 そこで先般から言われているTPPを導入しますと、海外から生命保険会社、薬、非常に高い機器などが入ってくるわけなのです。そうすると、必然的に混合診療になるのですね。TPPが入ってきても、皆保険制度は維持するとおっしゃっているのですけれども、維持しても皆保険制度は所得の低い人用の保険になって、非常にいい医療を受けようと思ったら、やはり自費がいる。いわゆる混合診療になってしまう。

 ですから、混合診療というのは一つでも入れるとアリの一穴で、皆保険制度はあるが、国民に提供する医療というのが低下する。格差医療が出てくるというのはもう必然的なことなのですね。それに関して、混合診療を一言でも特区とかで入れるおつもりがあるのか。これは最高裁でも認められていないから、やはりだめなのか、そこら辺のところをお聞きしておきたい。

(水岡総理補佐官)

 もう一方。では、一番後ろの方。

(質問者)

 保育団体の役員をしております、Iと申します。本日はありがとうございました。

 私の方は質問というよりもむしろ要望ということで、既にいろいろな保育のことについても御認識いただいていると存じますが、私は社会保障というのは、ある意味、社会的弱者を支え合う、そして思いやるというのが根本のところにあると思うのです。

 子どもというのは、自分のことについて自分で発言するという力を持っていません。そしてまた投票権も持っておりません。そういった意味で本当に社会的弱者であります。今まで大人の都合で、ややもすれば子どもの立場に立って、あるいは子どもにとっての最善の利益というものが忘れがちで進められてきた気がしてなりません。

 今回、子ども・子育て新システムにおいて、本当にこの社会保障の中で一つの柱として取り組んでいただいたことは、本当に感謝したいと思うわけでございますが、まだまだ社会的なレベルの中では、子どもにかけるお金は本当に日本は低いと思っているところでございます。今回のこのことをきっかけに、7,000億ではなくて、更にいろいろな面で、子どもにとって必要なお金をかけていただきたいとのが第一点でございます。

 次に子ども新システムにも絡みまして、いわゆる地方分権の中で新しいシステムが、地方にいろいろな権限が任されていくわけでありますが、教育もそうでありますが、子育てもそうだと思います。いわゆる、こういったものは国の一定のナショナルミニマムといいますか、水準を保たれる中で地方のそういった独自性、あるいは地域の事情をかんがみてなされるべきだと思います。

 そういった意味におきまして、今回の新システムは、中には公的な責任が低下するのではないかというような危惧をされている方もいらっしゃいます。是非とも国の責任なり、あるいは公的責任を子育てにきちんと位置づけをする中で、勿論、財源を確保する中で進めていただきたいということでございます。

 三点目でございます。今、保育の現場は非常に厳しい職員の処遇があります。私は今、保育の現場はある意味、子育てのデパートみたいになっている。何でもかんでも保育所が担わなければならないという状況があります。その中で現場の保育者は非常に負担があります。

(水岡総理補佐官)

 そろそろおまとめください。

(質問者)

 ごめんなさい。そういった意味におきまして、保育サービスあるいは親育て、そういったものも関連しまして、非常に厳しい中で子どもの保育の質につながるべく、保育者の処遇改善のための財源確保をひとつよろしくお願いしたいということです。

 長くなりました。

(水岡総理補佐官)

 ありがとうございます。

 総理、お願いします。

(野田総理大臣)

 最初にG様から地域の将来に関わる中で、新しい公共という観点、NPO等のまさに担い手をしっかりと把握して、そして後押しをすべきではないかという視点だと思います。

 大震災、災害のお話もされましたが、今日のテーマの社会保障を考えたときにも、やはり地域として、どういう形で街づくりに社会保障を位置づけていくかということも大事だと思いまして、今回、私どもで提案しているのは地域包括ケアシステムという形で、医療であるとか介護であるとかという、いわゆる社会保障のさまざまなサービスをまちづくりと一体となってやっていただくような、それも一定の中学校単位とか、そういう形の範囲を考えながら、その中では公的なセクターもあるし、NPO等も含めて、さまざまな主体があると思います。そういう人たちを巻き込みながら、仕組みを地域の中でつくっていくことが大事ではないかなと思っています。

 特に高齢化率というのは、地方だけで進んでいるわけではないのですね。この西宮はわかりませんけれども、例えば私は千葉県なのですが、この間、千葉県の松戸という郊外の団地に行きましたけれども、その団地は高齢化率41%なのです。局所的にそういう町というのはもう出てきています。2050年代の日本を先取りしているのですね。

 今、生きている皆さんの平均年齢は45歳です。これはほかの先進国に比べると、はるかに高いです。町全体が老いていくという状況の中で、医療とか介護といった問題とまちづくりを本当に一つのシステムとして考えていかなければならない時代。それは公だけでは無理です。新しい公共をしっかりと育んでいかなければなりません。

 政権交代以降、新しい公共という概念に着目をしまして、例えば寄付金の優遇税制をつくったり、NPOの認定を緩和したり等々の私たちなりの努力をしてまいりました。これからも、そういうやり方は力強く推進していかなければいけないと考えております。

 H様からは医療のお話ですね。TPPにも触れられておりますが、我々が今、取り組んできたのは、少なくとも政権交代以降、診療報酬を2回、プラスの改定をしました。それは御存じだと思います。

 これまでの政権の中で、社会保障の総額を削る方向できていました、毎年2,200億。その結果が医療崩壊とか介護難民を生み出したと思います。その歯止めをかけるために診療報酬のプラス改定を行って、その中での配分も特に産科とか小児科とか救急とかに配分を手厚くする中で、医療の質を高めていくための努力、環境整備を我々はしてきたつもりでございます。これからも医療の質というものは、守っていかなければなりません。

 そのためには、TPPの関連では、私は国民皆保険は死守するということを申し上げました。国益の立場に立って、TPPでは今、交渉参加に向けて協議をしているわけでございますけれども、相手国が何を求めてくるかをしっかりと踏まえていきますが、今のところ、特に皆保険の問題と医療等について、特段の要望が出てきているわけではございませんが、最新の注意を払いながら、国益を損ねないように頑張っていきたいと考えております。

 最後は保育の関係の方でございました。子ども・子育て新システム7,000億ということについては、評価をしていただいたと思います。待機児童を解消します。そして、保育所の利用率を今24%ぐらいでしょうか。これを数年後には44%、フランス並みにまで引き上げる等々の事業を着実に実施していきたいと思いますし、保育所と幼稚園のよさを併せ持った総合こども園といった主体もつくっていく等々、質的にも量的にも、保育も含めた子どもの教育保育の分野が充実をするように全力を尽くしていきたいと思いますし、勤務軽減のこと、あるいはそのほかの財政の御要望もありましたけれども、そういうことも踏まえて対応させていただきたいと思います。

(水岡総理補佐官)

 時間が押してまいりましたので、今の社会保障全般ですが、お二人方だけ。

では、先ほどから続けて挙げておられる、そちらの方ですね。

(質問者)

 Jと申します。2年前に母を介護するために仕事を早期退職いたしました。

 いつも母を病院に連れて行っているのですが、その際に支払います薬代、これはアイセプトなどが入っておるのですけれども、1か月3,000円ほどなのです。しばらくすると、市役所の方から全体の医療費と明細が来るのですが、それを見ますと1か月で約3万円かかっております。

 それを見ますと、お年寄りを大事にするのは大切かもしれませんけれども、余りにも自己負担が安過ぎる。これでは医療費を幾ら公費でつぎ込んでも、それは賄い切れないのではないかと。ひいては、それがすべて若い人たち、現役の働いている人たちの方の組合健保とか、そういうところにいっております。ですから、高齢者の方でも比較的ゆとりのある方については、自己負担分を増やしていってもいいのではないかと思っております。

 以上です。

(水岡総理補佐官)

 ありがとうございます。御協力いただきました。

 では、そちらのグレーのセーターの方。

(質問者)

 私、西宮在住のKと申します。

税金の使い道という部分に入るかもしれないのですけれども、子育てに対して、予算をかなり確保しておられたということでお話を聞いているのですが、子どもそのものに対して本当にお金が使われているのかなと。

 例えば保育園を充実させる。それは働いている親、大人にとっては確かにいいかもしれません。でも、そこに入っている子どもたちの質の向上。先ほど総理が言われましたけれども、今の若者たちが肩車をして高齢者の方たちを支えていくとおっしゃいましたが、その子どもたちがよりいい意味で質的に筋肉質になっていけるような、子どもたちを本当によりよくしていくという部分でのお金の使い方というところにもう少し予算、消費税をもし上げられるのではあれば、そういうところに使っていただきたいなと。

 私、教師でもなんでもありません。自営業の立場なのですけれども、学校の先生たちと一緒にボランティアで子どもたちにスポーツを教えたりしています。でも、やはり見ていて、ちょっと弱いなということをすごく感じます。やはり子どもたちにもっと体力もそうですし知力もそうですが、そういうところをもっと高めていけるような教育に対する予算を出していく。それによって、国民みんながどんどん質が向上していく。

 少子高齢化でも、今まで昔だったら1人が何人か支えていても、1人の人が2人、3人、何人でも支えていけるような、そんないい意味での筋肉質を備えた子どもたち、そういう人たちを育てるためにお金を使っていけるような、そういうことも考えていただけないかと思って、質問をさせていただきました。

(水岡総理補佐官)

 ありがとうございます。

 では、総理、お願いします。

(野田総理大臣)

 Jさんから薬代のお話も含めて、お年寄りの自己負担を増やしてもいいのではないかというお話でした。薬だけに限らず、薬というよりはほかの分野があるのですが、高齢者の皆様にも御負担をいただく、あるいは世代内の公平を図るという観点からの改革をやっていかなければいけないのですね。

 例えば年金でも、いわゆる低所得の方に対しては加算をしていかなければいけないと思います。やはり年をとったときに、老後の生活が成り立たないということはあってはならないのですね。全部自己責任かと言うと、これは言い切れないと思います。

 どんな状況の中でも、やはり雨露しのぐ、住めるところがある、食べるものがある、飢えない。そして、寒いときには着るものがあるという状況を確保するためには、低所得者の方の年金は若干加算する。だけれども、同じように高所得のお年寄りもいらっしゃる。そこは見直しをさせていただくというようなバランスを取ることが必要だと思います。

 まだ消費税の話に出ていませんけれども、高齢者の皆様にも御負担をいただくというのが消費税なのです。それは子どもからお年寄りまでであります。でも、高齢者の皆さんは、いつもサービスを受けるのではなくて、御負担もいただくというのが消費税です。

 そういう中での全体調整という意味で御理解をいただきたいと思いますが、、今の2人目の御質問はその関連ですね。支える側は少ない、肩車になれば1人が1人を支える。では、下に入る人たちは筋肉質にしなければならないという御主張です。確かに日本の底力は人材ですから、知的にも体的にも、もっと筋肉質にしていかなければいけないと思います。たくましい、次の時代を担う子どもたちをつくることは、教育政策としてはあります。だけれども、社会保障としては下だけを鍛えるというのでは、私はこれはバランスを失していると思うのです。

 支える側、乗る側という年代でも、働きたいと思えば働けるとか、乗る側と乗る側をもうちょっとお互いをクロスさせないと行けないのですね。下だけ頑張るのではないのです。乗る側、支えられる側の人たちも働く意欲がある人たちがいる、力のある人たちもいる。もしかすると、支えられる側に筋肉質の人たちがまだいるかもしれません。そういう人たちがもっと働いてもらったり、貢献してもらったりすることもあるのではないでしょうか。というような転換期ではないかと思います。

(水岡総理補佐官)

 それでは、税の分野でお願いしたいと思います。

 一番後ろの方のえんじのセーターの方。

(質問者)

 甲南大学マネジメント創造学部3回生のLと申します。普段、こちらのキャンパスで経済学の勉強をさせてもらっています。

 千葉県の八千代出身なので総理とは同郷かとは思うのですけれども、二つ疑問に思ったことがあるので質問させていただきます。

 こちらの白黒の冊子の11ページの方に「なぜ消費税」という部分があるのですが、まず、世代間で公平な負担とありますが、これからの長いスパンで見ますと、これから消費の大部分を担っていくのは私たち若手と考えています。そうなると、これは本当に公平なのかなと思ったのが、まず一つの疑問です。

 次に、経済活動に与えるゆがみが小さいとありますが、正直これも本当なのかと思ったのが疑問で、まず2014年に消費税を増税しますね。恐らくたばこも増税したり、揮発油税も増税したりするのではないかと考えています。そうなってくると若手世代の嫌消費につながるのではないかと、消費を嫌がる若者が増えてくるのではないかと思います。

 実際、私の周りでも禁煙を始めた子もいますし、税金が高いから車も買わないという友達がいっぱいいます。総理のように18歳のころから1日2箱たばこを吸われているヘビースモーカーの方はたばこを止めないと思うのですけれども、実際問題、かなり値段が上がってしまうと買うのは厳しいのが私の現状です。ですので、これは経済の発展につながらないのではないかと考えます。結局、経済の不活性化につながるのではないかと考えています。

 総理は先ほどから「三丁目の夕日」時代には希望があったとおっしゃられていますが、本当に増税をすることで日本に希望は芽生えるのでしょうか。彼らの時代に希望があったのは、将来の安定があったからではなくて、目先の経済の発展があったからだと考えています。私は正直、これから何年生きていくのかわかりませんが、将来の安定よりも現在の日本の経済活動の方が不安です。

 ありがとうございました。

(水岡総理補佐官)

 ありがとうございました。

 では、その前の方。

(質問者)

 西宮のMと申します。民間のメーカーのサラリーマンです。

 私は直間比率を是正するということで、消費税の改定はベーシカリーには大賛成なのです。ただ、世代間の不公平感というよりも、私は今、申しましたように民間なので、サラリーマンなので、所得はガラス張りです。必要経費ほとんど認められていません。ですから、どんどん取りやすいところから取られているという感じを持っています。

 ですから、同じ世代の中でも、先ほどTPPの話もありましたが、既得権益で守られた業界と違って、メーカーは何の規制もされていません。完全な自由競争です。その中でも取りやすいところから税金を取られているというイメージを持っています。

 普通、これだけ赤字ですと、民間企業は完全に倒産です。倒産ということに対して、民間の人間は物すごく恐怖感を持って、必死で血のにじむような経費削減、収入の拡大をどうするかということをやっています。

先ほど、消費税税率アップということは賛成だと申し上げましたけれども、余りにも安易に収入拡大のやり方をしているのではないかなと。今日配付された資料を見ていますと、プライマリーバランスの赤字の半減を2015年度までにやりたいと。そのためには16.15兆円の財源を確保しないといけない。

 別のページを見ていますと、消費税を5%引き上げると13.5%の消費税の収入のアップになると。16.15兆円の収支改善をするのに13.5兆円も安易に収入を上げて、では、経費削減をどうするのですかといいますと、仕分けですとか人件費とか5,000億円ほど削りますだとか、そんなのでたかだか3〜4兆円ぐらいの経費削減しかしないで、余りにも安易なやり方ではないかなと。

 何が言いたいかと言いますと、もっと行政改革といいますか、支出の削減というところを思い切り、ドラスチックにやらないといけないのではないでしょうかと。私の会社はもうこの4月から給料5%カットということを有無を言わさず通告されています。それぐらい民間は厳しくやっています。

(水岡総理補佐官)

 おまとめください。お願いします。

(質問者)

 要は経費削減が甘いのではないかと。民間でしたら平気で80%運用してくださいとか、そういうことを押し付けてくるぐらいのことをやりますので、そういうことを国もやるべきではないかと。

それから、収入を増やす方でも、先ほど申し上げました、メーカーが外貨を稼いで今の日本の繁栄を外からお金を持ってきて、今の国をつくっているという自負を持っていますので、もっと民間の収入が上がって、税収が上がるような政策をやっていただけないかと思いますので、よろしくお願いします。

(水岡総理補佐官)

 ありがとうございます。

 もう一方だけ。全体的に言えば女性の方。

(質問者)

 西宮で自営業をしております、Nと申します。

 消費税は、私はどちらかと言えば賛成の方ですけれども、その時期が問題だと思っております。それと消費税にばかりしわ寄せを持ってこずに、私は持論としてずっと相続税を上げるようにということを、そこに議員さんもいらっしゃいますが、その方に提案したりもしております。

 なぜなら、例えばこの前、少しまた相続税が下がりましたけれども、妻が配偶者からいただくのは、内助の功というのでかまわなのではないか。でも、子どもが親が築いた財産をもらうことに対して、だれの子どもに産まれるかは、産まれる前からその子が努力したということは一つもないわけでありますから、その相続税を親が努力して子どもに残してやりたいと思ってつくり上げたものを、ただ、はい、ありがとうともらって、ただただありがとうで暮らしていただくのは、私は例えば鳩山さんなどはとてもその資格がないような気がいたします。

 もっと親が頑張ったものを物すごく頭のいい人でないと、いろいろな問題をクリアしていかないと、この山のような財産を相続できないというような形にしないことには、親の財産はいただけないよという形のものに考えていただきたい。そうすると、消費税の方に手を伸ばしていただかなくても、もっと国の財産が増えるのではないかと。そうして、死ぬまでにこの財産を使わなければいけないというかせがあればどんどん消費も増えて、子どもに、だったらこれに使えば相続税はまけてあげるよということであれば、もっと子どもに使うと思います。

 それから、1億も残して来年は死なねばならないという人があれば、子どもにそれが相続させられないのであれば、もっとどんどん車を100台ぐらい買おうかとかいうこともあるかと思います。

 ですので、消費税にばかり。私は消費税は仕方がないと思っていますので、野田首相がおっしゃることは受け入れたいと思いますが、相続税はもっと考えましょうということを提案したいです。

(水岡総理補佐官)

 ありがとうございます。

 では、総理、急いでお願いします。

(野田総理大臣)

 元八千代市民のLさんからの御質問で、世代間で公平な負担と言えるのかということがあります。やはり消費税は世代間で公平だと思います。これは間違いなく、それぞれの世代が買ったものに対しての一定の率がかかる分という意味では、どなたでも公平だと思います。

 それから、経済活動に与えるゆがみが小さい。これは先ほど景気動向に左右されないということを申し上げました。ほかの法人税や所得税に比べると、景気の動向に左右されないで安定をしているという意味では、基幹税の中では消費税が一番あると思います。ただし、それが経済に与える影響がどうあるかという意味においては、いろいろな議論があるかと思います。

 経済は当然のことながら、消費税が上がる分、持っている可処分所得が減ると。買い物をする分は減っていくということになるから影響があるだろうということもあり得る。ただし、将来の大きな不安をなくすということがあれば、消費を喚起して経済を活性化するという議論もあります。そこは大いにこれから議論をしていかなければいけないテーマではないかなと思います。

 M様からはサラリーマン、民間で勤めている方とそうではないところとの所得の補足の問題がまず前提にあったと思います。これは大事な観点でございまして、丸々ガラス張りの人とそうでない人との不公平感は同世代でもあると思います。そこを立て直していくために諸外国も取り上げているのですが、番号制度を導入し、マイナンバーという名前を付けて法案を提出させていただいておりますけれども、そうすることによって、いわゆる所得を把握するということで、どなたの所得も把握することによって公平感を担保していこうということをやろうと思っています。

 今のところは、低所得者の対策の御質問はまだいただいておりませんが、低所得者対策をやるときも給付つき税額控除などをやるときには、この番号制度が定着をしていくということが前提になっているということでございますので、そういう制度の改善は是非やっていきたいと思います。

 民間の感覚で言うと、もっと経費を削減しろというお話がございました。あるいはもっともうかるようにしろというお話もございました。それはそうだと思うのです。財政を考えたときには、やらなければいけないのは、一つは経費削減。もうかるところに投資して増収になるようにすること。それと、やはり歳入のところの改革。この三つだと思うのですが、その中の一つしか強調していないのではないかというイメージだと思いますが、そうではなくて、事業仕分け等でこれまでも無駄をなくす努力をやってまいりましたが、これからも終わりはないと思っています。

 前の首相の菅さんは、逆立ちしても鼻血が出なくなるまでと言いました。よく意味はわかりませんけれども、それぐらいの気合いを入れてやろうということなのですが、そのとおりだと思うのですね。

 我々も、例えば今、5%給与を削減されたというお話でしたよね。公務員の人件費、国家公務員の給与については、この間マイナス7.8%という減額措置を取らせていただきました。私の場合は3割削減ですけれども、そういうことをやりながら、政権交代後の公務員の人件費に限っては1割削減してきています。

 目標は2割なのでまだ到達線までいっていませんが、引き続き努力をしていきたいと思いますし、更に、いわゆる離れですき焼きを食べているのではないかと言われた特別会計を17から11にする。勘定を51から26にする。独立行政法人も4割削減する等々、やらなければならないメニューは今、明示をしています。

 これを今回の改革と合わせてしっかりとやりぬいていきたいと思いますし、今、行政改革だけ申し上げましたが、定数削減の問題を含めて、議員の身を切る覚悟をしっかりやっていきたいと思います。

 それから、N様からは消費税はいいけれども、相続税もしっかり改革しなさいというお話でした。相続税に対する改革を今回やるのですね。いわゆる基礎控除の見直し等々をやって、これはどちらかというと相続税を強化の方向です。一方で贈与税は、例えば90の方が亡くなって70歳の方が相続しても、それをもって、すぐ消費につながるか。経済活性化につながるか。つながらないのですね。もっと若いときに贈与できるようにする、あるいはお孫さんにできるようにする。そうすると、消費をする世代ではないですか。そちらにお金が回るような税制改正はやらせていただきたいと思いますし、相続税に限って言うと、これは負担をお願いする方向で今あります。

 ただし、それをもって社会保障の財源を支えられるかというと、大体今、国にお金が入ってくる税収は42〜43兆円なのですね。そのうちの7割以上が消費税と所得税と法人税、基幹3税というのですが、10兆円を超えるのが消費税と所得税です。かつては法人税は景気のいいときは10兆円を超えていましたが、今はそれより低いのです。

 相続税は規模が1兆か2兆なのです。そこだけ改革をしても、なかなか全体の財源確保はできませんが、中流階級の中でちょっと下に落ちてきている人がいっぱいいます。それを立て直すためには、社会保障強化というのは再分配の機能です。同じように相続税や所得税についても、持っている方にはもっと御負担をという方向での税制改正は行ってきているということは、併せて御理解をいただきたいと思います。

(水岡総理補佐官)

 総理もう時間が来ましたので、最後に一言だけよろしいですか。

(野田総理大臣)

 ずっと熱心にお聞きいただきまして、ありがとうございました。

 多分、もっと聞きたい、しゃべりたいという方はいっぱいいると思うのです。本当は全員の方から、それぞれの立場から、それこそ予算委員会並みの7時間ぐらいかけて議論をさせていただければ本当に有効だと思うのですが、本当に限られた時間で、本当にかいつまんだ話しかできなくて、本当に申し訳なく思います。

 ただし、これを契機に、これからの国会審議の動き等々、是非注意深く見守っていただいて、社会保障に充てるお金をどうするかなのです。これは社会保障以外には使わないのです。どこかで役所の無駄遣いになるのではないかと思っている方がいらっしゃったら、これは間違いなのです。すべて皆さんに還元される、社会保障にその消費税を充てるというのが今回の改革の一つの大事なポイントですので、そこだけは是非御理解をいただきますように改めて申し上げて、今日のお話は終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

(水岡総理補佐官)

 ありがとうございました。

 それでは、お手元にアンケートがございますので、是非お書きになってお帰りをいただきたいと思います。必ず目をとおすようにいたしますので、お願いを申し上げます。

 本日は本当にありがとうございました。