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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 安倍内閣総理大臣記者会見

[場所] 
[年月日] 2016年3月29日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

【安倍総理冒頭発言】

 本日、来年度予算が成立いたしました。この予算によって一億総活躍社会の実現に向けた新しい取組が始まります。

 介護休業中の皆さんに支払われる給付は、賃金の40%から67%へとアップします。2020年代初頭までに50万人分の介護の受け皿を整備し、25万人の介護人材を確保するとの目標に向かって取組を一層加速いたします。

 介護しながら仕事を続けることができる。来年度予算は「介護離職ゼロ」の実現に向けて大きな一歩を踏み出す予算であります。

 中小・小規模事業者の皆さんが成長のための設備投資を行う場合、固定資産税は半分に軽減されます。自らのアイデアで地方創生にチャレンジする自治体を自由度の高い交付金で応援する新しい制度が動き出します。

 アベノミクスの温かい風を全国津々浦々に広げていく。来年度予算は、「戦後最大のGDP600兆円」に向けて「強い経済」を確かなものとする予算であります。

 子供が欲しいと願い、不妊治療を初めて受ける方には、治療費のほぼ100%に相当する30万円を助成します。

 この3年間、民主党政権時代の2倍以上のスピードで、30万人分の保育の受け皿を整備しています。来年度もこのペースを維持し、更に10万人分以上の保育の受け皿をつくります。病気になった子供たちの保育も拡充します。

 安心して子供を産み育てることができる社会を創る。来年度予算は「希望出生率1.8」という「的」に向かって力強い「矢」を放つ予算であります。

 幼児教育の無償化を一層進めます。所得の低い世帯では、第二子は半額、第三子以降は無償とします。ひとり親家庭への児童扶養手当の加算を倍増します。第二子は36年ぶり、第三子以降は22年ぶりの引上げとなります。

 家庭の経済事情にかかわらず、全ての子供たちが夢に向かって頑張ることができる社会を創る。そのための来年度予算です。

 3年間のアベノミクスによって国民総所得は40兆円近く増加し、国の税収は15兆円増えました。

 このアベノミクスの果実を活かし、誰もが活躍できる一億総活躍の時代を切り拓くための力強いスタートを切る、それが本日成立した28年度予算であります。

 日本の未来を創るのは、他の誰でもありません。私たち自身であります。少子高齢化の流れに歯止めをかけ、誰もが生きがいを感じられる社会を創る。これは立場の違いを超えた共通の目標であり、私たちが力を合わせて実現すべき課題であります。

 予算案の国会審議では、与党だけでなく、野党の皆さんからも建設的な意見をたくさんいただきました。

 さらに、この半年間、私は対話を重ねてきました。

 20代の若者たち、子育て中のお母さん、介護をしている皆さん、高齢者の方々、難病や障害のある方々、パートタイムや契約社員として働いている皆さんなど、様々な状況に置かれている方々から直接お話を伺うことができました。

 就職の際に新卒者が優遇される文化、再チャレンジを阻む「壁」、子育てや介護との両立という「壁」、定年退職・年齢の「壁」、やりたいと思うことがあっても、様々な「壁」が立ちはだかる現実を改めて実感いたしました。

 こうした「壁」を一つ一つ取り除く。「ニッポン一億総活躍プラン」を策定します。

 最大のチャレンジは「働き方改革」であります。

 多様な働き方が可能となるよう、労働制度や社会の発想を大きく転換しなければなりません。時間外労働の規制を見直し、長時間労働や働き過ぎを是正します。再チャレンジ可能な社会を創るためにも、「正規か非正規か」といった雇用の形態にかかわらない均等待遇を確保する。そして、同一労働同一賃金の実現に踏み込む考えであります。

 「生涯現役社会」を実現するため、定年引上げや雇用継続の延長に向けた環境を整えるとともに、「働きたい」と願う高齢者の皆さんへの就職支援も充実する必要があります。

 若者たちにチャンスあふれる社会を創る。多子世帯への支援、子育てや教育への支援を抜本的に拡充してまいります。

 家庭の経済事情に関係なく、希望すれば誰もが大学にも専修学校にも進学できるようにしなければなりません。本年から、児童養護施設や里親の下で育った子供たちが進学した場合、毎月家賃相当額に加えて5万円の生活費を支給し、そして、卒業後、5年間仕事を続ければ、その返還を免除する新しい制度を始めました。本当に厳しい状況にある子供たちには、返還が要らなくなる給付型の支援によってしっかりと手を差し伸べてまいります。

 そして、可能な限り速やかに、必要とする全ての子供たちが利子の無い奨学金を受けられるようにしてまいります。返済額についても、社会に出た後の所得に応じて変化させることで、過度な負担とならないように配慮いたします。

 介護や子育てをしながら仕事を続けることができる、そうした社会を創るためにも介護や保育の受け皿整備を一層加速します。未就学児のみならず、小学生の学童保育も含めた「待機児童ゼロ」の実現を目指してまいります。

 介護福祉士を目指し、専門学校で学んでいる一人の学生と先日、出会いました。

 「4月から介護の現場で働くことに大きな期待を感じています。」

 小金さんは最後にこう締めくくりました。

 「高い意識を持って、介護の現場で長く働いている人が数多くいる。」「介護の仕事は素晴らしく、本当にやりがいのある仕事だということを国民の皆さんに正しく理解してもらいたい。」

 「そして、介護の仕事を積極的に目指す人が一人でも増えることを願っています。」

 高い使命感と希望を持って、介護福祉士や保育士の道を選んだ人たちを私たちは国を挙げて応援していかなければなりません。経験に応じた給料アップの仕組みをつくりながら、処遇の改善にもしっかりと取り組んでまいります。さらに、保育補助者の活用などにより、「質」の向上を図りながら、現場の皆さんの負担を軽減いたします。

 10年先の未来を見据えながら、これまでの発想にとらわれない大胆かつ総合的な政策を「ニッポン一億総活躍プラン」として5月に取りまとめたいと考えています。

 さて、私はこれまで繰り返し、「来年度予算の早期成立こそが最大の経済対策」であると申し上げてきました。

 その実を挙げるためには、この予算を早期に執行することが必要です。可能なものから前倒し実施するよう、財務大臣に早速指示いたします。

 今年の春闘では3年連続多くの企業でベースアップが実現しました。民主党政権時代はもとより、それ以前も10年間達成できなかった、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが3年続いています。

 さらに、連合の調査では、今年、非正規労働者の皆さんの賃上げ水準は正規労働者を上回った。給料アップの流れはその裾野をどんどん広げています。

 有効求人倍率は24年ぶりの高い水準です。就業地別で見れば47の都道府県のうち46で1倍を超えている。一人の求職者に対して一つ以上の仕事がある状態となっています。

 こうした中で、昨年は正規雇用が8年ぶりに増加に転じ、26万人増えました。「非正規労働者ばかりが増えている」という批判もありましたが、昨年は非正規雇用の増加よりも正規雇用の増加が上回った。これは21年ぶりの出来事であります。

 我が国の雇用・所得環境は順調に改善を続けており、日本経済の回復傾向に変わりはないと考えております。

 他方で年明け以降、中国の景気減速への懸念、原油価格の低下などを背景に我が国を含め世界的に市場が大きく変動しており、世界経済の不透明さが増していることも事実であります。

 先月のG20でも世界経済の「下方リスクと脆弱性が高まっている」との認識で各国が一致いたしました。

 5月の伊勢志摩サミットでも現下の経済情勢が最大のテーマとなることは間違いありません。

 現在、ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ教授やクルーグマン教授など、国内外の有識者から現下の世界の金融経済情勢と、とるべき方策について直接話を伺い、率直な意見交換を行っています。

世界経済の持続的かつ力強い成長を実現するために、今、G7の政策協調が求められている。伊勢志摩サミットの行方に世界中が注目しています。そして、議長国・日本への大きな期待を感じています。

 明日からのワシントン訪問でも世界のリーダーたちと可能な限り首脳会談を行い、現下の経済情勢について忌憚のない議論を行う考えです。さらに、このチャンスを生かし、国際金融・経済に詳しい著名な有識者と意見交換をする機会も設けたいと考えています。

 こうした様々な議論を踏まえて、G7の議長国として新たな局面に入った、世界経済の舵取りにしっかりとリーダーシップを発揮していきたいと考えています。

 私からは以上であります。

【質疑応答】

(内閣広報官)

 それでは、皆様からの質問をいただきます。

 初めに幹事社からの質問をいただきます。質問される方は、所属とお名前を明らかにしてからお願いいたします。どうぞ。

(記者)

 幹事社のTBSの岩田と申します。

 来年度予算の成立を受けまして、安倍内閣として更なる経済対策を取りまとめる考えはおありでしょうか。その場合、取りまとめの時期や規模、また、補正予算案の編成についても考えをお聞かせください。

 また、来年4月の消費税率の10%への引上げについては、自民党内には景気対策という面からも先送りを容認する意見やそれを争点にした衆参ダブル選挙に期待する声がある一方で、安定した社会保障財源を確保するために予定どおり引き上げるべきという意見もあります。総理は消費増税の是非をいつまでにどのように判断されるおつもりでしょうか。また、衆参ダブル選についてのお考えはいかがでしょうか。

(安倍総理)

 これまでも繰り返し申し上げてきたわけでありますが、「来年度予算の早期成立こそが最大の景気対策」である、こう申し上げてきました。おかげさまで、今般、成立をいたしました。その実を挙げるために可能な限り前倒しで実施できるように財務大臣に指示をいたします。

 政権交代後、デフレ脱却まであと一息というところまで来ました。今こそ少子高齢化の流れに歯止めをかけて、誰もが生きがいを感じる社会を創るために、「ニッポン一億総活躍プラン」を早急に取りまとめてまいります。「GDP600兆円」、「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」という新たな目標に向かって、国民の皆さんと日本の未来を創っていきたいと考えています。

 今年の5月には伊勢志摩でG7サミットが開催されます。G7による政策協調が求められている中、我が国は議長国としてその責任を果たしていかなければなりません。

 世界経済の持続的かつ力強い成長を実現をしていくために、日本としてどのような貢献をしていくべきか、世界のリーダーたちと議論していきたいと考えています。世界のリーダーたちと正に議論を尽くしながら見極めていきたい、こう考えています。

 なお、来年4月の消費税率10%への引上げは、これまで何度も国会で申し上げているところでございますが、世界に冠たるこの社会保障制度を次世代にしっかりと引き渡していくため、また、市場や国際社会の信認を確保するために、リーマンショックあるいは大震災のような事態が発生しない限り、来年、予定どおり引き上げていく考えには変わりはございません。

 また、衆議院の解散ということについては、頭の片隅にもありません。

(内閣広報官)

 それでは、もう一社、幹事社。

 どうぞ。

(記者)

 幹事社の毎日新聞の田中と申します。

 安全保障法制が今日施行されました。駆けつけ警護の実施や米艦防護などのリスクが比較的高いとされる任務の実施が、多くは夏以降に先送りされています。法律の施行から中核となる任務の実施まで時間差が生じることになりますが、総理はそれをどのように受けとめ、それらを実施する見通しをいつ頃からとお考えでしょうか。

 あと、野党からは、時間差が生じることについて、参院選にこの安保法制に関することを影響させないようにするためだとの指摘も出ていますが、それについての総理の感想もお願いいたします。

(安倍総理)

 我が国を取り巻く安全保障環境は、厳しさを増しています。今年に入っても、それを多くの皆さんは実感しておられるのではないかと思います。今、世界において、どの国も一国のみで自国を守ることができない中において、正に今回の法制によって抑止力を高め、そして、それは戦争を未然に防ぐものであります。そして、国民の命を守り抜いていくと同時に、この平和で繁栄した日本を、そして地域を次世代に引き渡していく、その責任を果たすためのものでもあります。日本を守るためにお互いが助け合うことのできる同盟は、当然、その絆を強くするわけであります。絆の強い同盟によって、間違いなく抑止力は高まっていく。先般、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際、従来よりも、日米はしっかりと情報の共有あるいは体制整備、以前よりもその協力は格段に進歩したわけでありまして、これはハリス太平洋軍司令官もそう述べています。正に助け合うことのできる同盟は、その絆を強くした、その証左であろうと思います。

 他方で、法律の施行によって、自衛隊には正に今日、新たな任務が付与されたばかりであります。法律によって任務が付与されなければ、自衛隊は訓練を行うことはできません。駆け付け警護を含め、新たな任務を、安全を確保しつつ適切に遂行するためには、あらゆる面で万全の態勢を整え、そして、教育訓練を含め、時間をかけて周到な準備をしなければなりません。安全保障の現場というのはそういうものでありまして、政治的な都合によってそれを早めたりするということはあってはならないわけでありますから、当然、周到な準備を今日から始めていく。そして、それにはしばらく時間がかかるということでありまして、当然これは、参議院選挙があるから、ないから、先送りするどうかという話では全くないわけでありまして、その批判は極めて私は的外れ、現場を知らない話ではないかと思います。正に今日から安全を確保するため、日本を守るために周到な準備、そのための訓練が始まるということであります。

(内閣広報官)

 それでは、これから幹事社以外の方の質問をいただきますので、御希望される方は挙手をお願いいたします。私から指名いたしますので、改めまして所属とお名前を明らかにしていただきたいと思います。

 では、原さん。

(記者)

 NHKの原と申します。

 総理は日本経済の再生に向けて、これまで総理は賃上げなどに取り組んでこられたわけなのですけれども、個人消費や内需には弱さが見られます。この要因を何と考えておられるのか、分析されておられるのか。また、今後そういった内需、個人消費を拡大するためにどのような取組が重要だと考えられますか。

 また、与党内から消費税の引上げの先送り論も出ているわけなのですけれども、消費税の引上げを先送りした場合、社会保障の充実も先送りされることになりまして、将来不安が増して、より国民の財布のひもは締まるのではないかという指摘もあります。こうした指摘について、総理はどのように受け止めますでしょうか。

(安倍総理)

 このところ個人消費については、世界経済の不透明感が高まる中において、消費者マインドに足踏みが見られることなどから、おおむね横ばいとなっています。このため、アベノミクスの果実を活用して安心できる社会基盤を築くことで、消費などにも良い影響を与え、更に経済が成長していくという、成長と分配の好循環をつくり出していく必要があると思います。そのために全力を尽くさなければならない。5月には「ニッポン一億総活躍プラン」を取りまとめ、そして600兆円経済に向けた道筋と、子育てや介護の支援メニューをお示ししたいと考えています。

 また、更に賃金が上がっていくという実感も大切だろうと思います。企業が過去最高の収益を上げたことによって、今年の春闘では今世紀に入って最も高い水準の賃上げが3年連続続いています。3年連続でベースアップしたところもあります。安倍政権になるまで、ベースアップという言葉すら忘れ去られていたのも事実であって、私の地元の銀行などもベースアップをするに当たって、そのためのソフトがなかったという状況になっていた。ですから、今年のベースアップと昨年のベースアップを例えば比べて少し低いということよりも、3年続いてベースアップが実現をしている。しかも賃上げのレベルがこの15年間実現できていなかったレベルを3年連続続けているということをしっかりと、これは受けとめていただきたいと思いますが、更に連合の調査では、今年非正規で働く方の賃上げ水準は正規労働者を上回ったわけでありまして、まさに格差を是正する。これは高い方を低くするのではなくて、非正規の方を上げていくといういい形で格差の是正が進んでいるということではないかと思います。こうした流れをしっかりと続けていく、更に強くしていくことが、消費を上向かせることにつながっていくというふうに考えています。

 また、消費税率引上げを延期した場合という仮定の質問には、なかなかお答えできないのでありますが、来年4月の消費税率10%への引上げにつきましては、先ほど申し上げましたようにリーマンショックあるいは大震災級の事態にならない限り、予定どおり上げていく考えであります。

(内閣広報官)

 それでは、次の質問。イザベルさん。

(記者)

 ブルームバーグニュースのレイノルズです。

 先日、新聞のインタビューで、ドナルド・トランプ氏が日本に対して思いやり予算を大幅に増やさなければ、在日米軍を撤退させるかもしれないと発言したほか、日本は核兵器を持ってもいいと言いましたが、こうした考え方に対して総理の受け止めを聞かせてください。

(安倍総理)

 米国の大統領選挙は、我が国を始め世界の国々に大きな影響を与えるわけでありまして、その推移については注目をしております。

 しかし、大統領選における候補者のコメント逐一について、私が意見を言う、コメントをすることは差し控えたいと思います。また、コメントをすることは適切ではないのかなと思います。

 次の米国大統領が誰になるにせよ、日米同盟は日本外交の基軸であり、アジア太平洋や世界の平和と繁栄のために米国と緊密に協力をしていくことに変わりはないと、こう考えております。

(内閣広報官)

 それでは、もう一問だけいただきます。

 西垣さん。

(記者)

 フジテレビの西垣です。よろしくお願いいたします。

 待機児童問題についてお伺いします。先ほど総理は50万人の受け皿を目指す考え、また可能な限りの予算の前倒し執行をおっしゃられました。ただ、これから新年度を迎えるに当たり、お子さんを預ける先を見つけられない御両親については、こうした受け入れ先が政策の効果になると思われるのですが、こうした予算措置だけではそこには行き着かず、やはり自治体との協力などがなければ予算の早期執行をしてもそこに行き着かないと思われますが、そういった先のより丁寧なことに総理としてどういったリーダー、取組をされるのか、お考えをお伺いします。

(安倍総理)

 先ほどもお話をさせていただいたように、安倍政権においては民主党政権時代の倍のスピードで保育の受け皿を整備をしています。しかし、同時に、女性の輝く社会づくりを進めていく中において、多くの女性、90万人以上の女性が新たに仕事を始められた。そしてまた昨年4月には、求職活動中であっても、同居親族がいても、保育園に申し込めるようにいたしました。つまり、申し込みするための基準を広く緩やかにしたわけでありまして、そうしたことも含めて申込みが非常に増えてきたのは事実であります。

 従来の認可保育園だけではなくて、小規模で家庭的な雰囲気の保育、事業所内での保育など、希望に応じた保育サービスが受けられるように現在、更に努めているわけでありますし、先ほども申し上げましたように、50万人分の受け皿を確保していきたい、全力でそれに向かって努力をしていきたいと思います。

 また、この国会におきましても与野党から様々な御意見、御提案をいただきまして、そうした提案もよく検討しながら対応していきたいと思っておりますが、今、御質問にあったように国だけではできませんねという話だと思います。確かに、保育は自治事務でありまして、自治体が主役であります。国としては、自治体が直面している問題を十分にくみ取りながら、自治体を応援する形で取組を強化していきたいと思います。そのためにも、自治体と国がちゃんと連携をしていかなければ進んでいかないのは事実だろうと思いますので、連携をしっかりとしていきたい。待機児童問題は地域によって千差万別でありまして、特に待機児童が多い自治体とは意思疎通を密にして、一緒に考えていきたいと思います。

 5月に取りまとめる「ニッポン一億総活躍プラン」に保育士の確保のための待遇改善、更に中長期で取り組む課題についても位置づけていく考えであります。待機児童を解消し、安心して子供を産み育てられる社会を実現するため、全力で取り組んでいきたいと思います。

(内閣広報官)

 予定をした時刻を過ぎましたので、以上をもちまして安倍総理大臣の記者会見を終わらせていただきます。御協力ありがとうございました。

(安倍総理)

 どうもありがとうございました。