データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 安倍内閣総理大臣記者会見

[場所] 
[年月日] 2018年12月10日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

 本日、臨時国会が閉会いたしました。この国会では、9,000億円余りの補正予算が成立しました。

 本年は、大阪府北部地震、7月豪雨、台風21号、北海道胆振(いぶり)東部地震など、全国各地で大きな自然災害が相次ぎました。被災者の方々の一日も早い生活の再建、道路や河川、ため池の復旧を進め、農業者の皆さんの営農再開、中小・小規模事業者の皆さんの事業再建に向けた努力を後押ししてまいります。

 北海道で起きた大停電によって、酪農を営む皆さんの生産活動に大きな支障を生じるなど、道民の皆様に大変な御苦労をおかけいたしました。電力や交通など、生活や産業活動に欠くことのできないインフラはいかなる災害が起きたとしてもしっかりと維持されるよう、万全を期してまいります。

 防災・減災、国土強靱化のための集中対策を急がなければなりません。全国のインフラの総点検を既に終えたところであり、二次補正予算を編成し、直ちに今年度から対策をスタートする考えです。来年度予算の編成に当たっては、景気への懸念を払拭し、経済の回復基調を持続させ、さらには新しい成長軌道を生み出すために万全な対策を盛り込みます。

 十二分の消費税対策を講じながら、来年10月からの幼児教育の無償化を実現いたします。未来を担う子供たちへしっかりと投資してまいります。

 この国会では、EU(欧州連合)との経済連携協定も承認されました。来年にはTPP(環太平洋パートナーシップ)11も発効します。これは安全でおいしい日本の農産品にとって大きなチャンスです。先の日中首脳会談において、習近平主席と共に新潟のお米の中国への輸出解禁を歓迎いたしました。

 70年ぶりとなる漁業法改正も行いました。今後、思い切った予算措置を講じ、浜の皆さんの未来に向けた取組を全力で応援していく考えです。

 本年も、農林水産物の輸出は過去最高を上回るペースで増加しています。二次補正予算も活用し、農家の皆さんの世界への挑戦を力強く後押ししてまいります。

 出入国管理法の改正案が成立しました。全国的な人手不足の中、優秀な外国人材の皆さんにもっと日本で活躍していただくためにこの制度は必要であります。直ちに、しっかりとした運用体制を構築してまいります。

 今回の制度は移民政策ではないかという懸念について、私はいわゆる移民政策ではないと申し上げてきました。受け入れる人数には明確に上限を設けます。そして、期間を限定します。皆様が心配されているような、いわゆる移民政策ではありません。

 現在、有効求人倍率は47全ての都道府県で1倍を超える中で、全国で多くの、特に地方において中小・小規模事業者の皆さんが深刻な人手不足に直面しています。この現実に向き合わなければなりません。中小・小規模事業者の皆さんは、設備投資などにより生産性向上に懸命に取り組んでおられます。こうした取組を行ってもなお、介護、農業、建設業など、特に人手不足が深刻な分野に限って就労の資格を設けます。即戦力となる外国人材を受け入れ、日本経済を支える一員となっていただく。そのために、日本人と同等の職場環境、賃金面での待遇はしっかりと確保していきたいと考えています。

 同時に、健康保険などの適用については、不正があってはなりません。今後、厳格な対策を講じます。

 出入国在留管理庁を新たに設置し、国民の皆さんの不安にしっかり応えられるよう、在留管理を徹底していきます。この国会における議論も十分に踏まえながら、技能実習制度を含め、今後、制度の運営に万全を期してまいります。

 皇位継承が行われる5月1日を国民の祝日とすることを決定いたしました。来年は、平成のその先の時代に向かって、新しい日本を切り開く一年であります。

 先日のアルゼンチンでのG20(金融世界経済に関する首脳会合)サミットでは、貿易をめぐる激しい議論が交わされました。グローバル化の急速な進展に対するさまざまな不安や不満に対して、公正なルールをしっかりと打ち立てることで、自由貿易を更に発展させていかなければなりません。国際社会には常にさまざまな課題がありますが、世界経済をリードするG20のリーダーたちには、率直な話し合いを通じて、その解決策を見出していく責任があります。半年後に我が国で初めて開催するG20サミットでは、そうした責任感のもとに、世界の課題についてリーダーたちとじっくりと話し合いたいと思います。

 秋にはラグビーワールドカップ、そして、年が明ければ東京オリンピック・パラリンピックがいよいよ日本にやってきます。2025年、国際博覧会を大阪で開催することが決定されました。1964年の東京五輪、そして、70年の大阪万博が開かれ、日本が大きく生まれ変わったあの時代のように、私たちは再び、オリンピック・パラリンピックと万博の両方のビッグイベントを立て続けに経験できます。次の時代を担う子供たちのために新たな時代の日本を切り開いていく。引き続きその先頭に立つ決意です。

 国民の皆様の御理解と御支援を賜りますように、よろしくお願いいたします。

 私からは以上であります。