データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日仏共同記者会見

[場所] 
[年月日] 2019年6月26日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

【安倍総理冒頭発言】

 大統領として初めてとなる、マクロン大統領の訪日を改めて歓迎いたします。

 先ほどの首脳会談では、G20大阪サミットの成功に向けた日仏協力につき、じっくりと議論を行うことができました。国際社会では対立ばかりが強調されがちですが、G20大阪サミットでは、意見の違いではなく、共通点や一致点を粘り強く見いだしていきたいと思います。

 世界貿易、デジタル経済、環境、地球規模課題、女性活躍の推進など、様々な課題についてG20(金融・世界経済に関する首脳会合)として力強いメッセージを発信すべく、日仏で緊密に連携していきます。

 日仏両国は、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有する特別なパートナーです。

 本日、マクロン大統領との間で技術協力に新たな地平を開くロードマップを発出することで一致しました。特に、インド太平洋国家である日仏両国にとって、自由で開かれたインド太平洋の維持・強化は共に取り組むべき最優先課題の一つです。この地域へのマクロン大統領の力強いコミットメントを改めて歓迎します。

 本日の会談で、海洋安全保障、気候変動・環境・生物多様性、質の高いインフラ投資の3つの柱を中心に、日仏間の協力を具体化していくことで一致したことは大きな成果です。包括的海洋対話の早期開催等を通じて、また、本日発効した日仏ACSA(物品役務相互提供協定)も活用しつつ、日仏協力を具体化していきます。

 マクロン大統領の訪日に合わせ、開発協力、エネルギー、イノベーション、持続可能な移動、宇宙等の分野を含め、20を超える協力文書が作成されたことは、成熟した幅広い日仏関係を象徴するものです。

 北朝鮮については、安保理決議に従って、北朝鮮による全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全・検証可能かつ不可逆的な廃棄を実現すべく、日仏が緊密に連携していくことで改めて一致しました。また、瀬取り対策についても、引き続き日仏で協力していくことを確認しました。最重要課題である拉致問題の早期解決に向け、改めてマクロン大統領の支持を頂きました。こうした点でも、日仏が立場を同じくしていることを心強く思います。

 本日発出したロードマップを道しるべに、お互いにG20とG7の議長国としてエマニュエルと共に手を携えて、世界の平和と繁栄に向け、日仏で貢献してまいります。

 G20大阪サミットの開催に当たり、最初のゲストとしてG7議長国を務めるエマニュエルをお迎えできて、本当にうれしく思います。

 ありがとうございました。