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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 安倍内閣総理大臣記者会見

[場所] 
[年月日] 2020年2月29日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

【安倍総理冒頭発言】

 新型コロナウイルスが世界全体に広がりつつあります。中国での感染の広がりに続き、韓国やイタリアなどでも感染者が急増しています。我が国では、そこまでの拡大傾向にはないものの、連日、感染者が確認される状況です。

 そして、現状においては、感染の拡大のスピードを抑制することは可能である。これが、今週発表された専門家の皆さんの見解であります。そのためには、これから1、2週間が、急速な拡大に進むか、終息できるかの瀬戸際となる。こうした専門家の皆さんの意見を踏まえれば、今からの2週間程度、国内の感染拡大を防止するため、あらゆる手を尽くすべきである。そのように判断いたしました。

 集団による感染をいかに防ぐかが極めて重要です。大規模感染のリスクを回避するため、多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベントについては、中止、延期又は規模縮小などの対応を要請いたします。スポーツジムやビュッフェスタイルの会食で感染の拡大が見られる事例がありました。換気が悪く、密集した場所や不特定多数の人が接触するおそれが高い場所、形態での活動も当面控えていただくとともに、事業者の方々には、感染防止のための十分な措置を求めたいと思います。

 そして、全国すべての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について、来週月曜日から春休みに入るまで、臨時休業を行うよう要請いたしました。子供たちにとって3月は学年の最後、卒業前、進学前の大切な時期です。学年を共に過ごした友達との思い出をつくるこの時期に、学校を休みとする措置を講じるのは断腸の思いです。卒業式については、感染防止のための措置を講じ、必要最小限の人数に限って開催するなど、万全の対応の下、実施していただきたいと考えています。

 学校が休みとなることで、親御さんには御負担をおかけいたします。とりわけ、小さなお子さんをお持ちの御家庭の皆さんには、本当に大変な御負担をおかけすることとなります。それでもなお、何よりも子供たちの健康、安全を第一に、多くの子供たちや教職員が日常的に長時間集まる、そして、同じ空間を共にすることによる感染リスクに備えなければならない。どうか御理解をいただきますようにお願いいたします。

 万が一にも、学校において子供たちへの集団感染のような事態を起こしてはならない。そうした思いの下に、今回の急な対応に全力を尽くしてくださっている自治体や教育現場の皆さんにも感謝申し上げます。

 企業の皆さんには、お子さんのおられる従業員の方々への配慮をお願いいたします。特に、日頃から人手不足に直面している中小・小規模事業者の皆さん、医療関係者、介護や保育の関係者の皆さんなどに大変な負担をおかけいたします。

 その軽減に向けて、小さいお子さんをお預かりできるよう、できる限りの対策を講じます。学童保育において、春休みと同様の対応を採ることなど、各自治体における様々な取組を国として全力で支援する考えです。保護者の皆さんの休職に伴う所得の減少にも、新しい助成金制度を創設することで、正規・非正規を問わず、しっかりと手当てしてまいります。

 私が決断した以上、私の責任において、様々な課題に万全の対応を採る決意であります。2,700億円を超える今年度予備費を活用し、第2弾となる緊急対応策を今後10日程度のうちに速やかに取りまとめます。

 新型コロナウイルスの感染が世界的な広がりを見せる中で、海外からの観光客の減少に加え、工場の製造ラインを維持できるのかといった不安も拡大しています。業種に限ることなく雇用調整助成金を活用し、特例的に1月まで遡って支援を実施します。

 中小・小規模事業者の皆さんが直面する課題について、その声を直接伺う仕組みをつくり、強力な資金繰り支援を始め、地域経済に与える影響にしっかりと対策を講じます。

 そして、この機に、感染拡大防止の観点からも、テレワークなど、IT技術を活用しながら、社会のあらゆる分野で遠隔対応を進め、未来を先取りする変革を一気に進めます。

 各地の主要な株式市場において、軒並み株価が大きく下落するなど、世界経済の動向も十分に注視しながら、そのインパクトに見合うだけの必要かつ十分な経済財政政策を行ってまいります。

 これまでに国内で新型コロナウイルス感染症を発症し、お亡くなりになった方は5名です。ダイヤモンド・プリンセス号の乗客の方からも6名がお亡くなりになられました。心より御冥福をお祈りするとともに、御遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。

 多くの国民の皆さんが、今回のウイルスについて様々な不安をお持ちであると思います。ただ、クルーズ船も含め、これまで日本国内で陽性と判定された方々のうち140名を超える皆さんが既に回復し、退院しておられます。このウイルスに感染しても、多くは軽症であるとともに、治癒する例も多い。これが専門家の皆さんの評価です。

 その上で、季節性インフルエンザよりも入院期間が長くなる事例が報告されており、特に高齢者、基礎疾患を有する方については、重症化するリスクが高いと考えられています。そのため、政府としては、感染拡大の防止に引き続き全力を挙げる一方、重症者の発生を最小限に食い止めるべく、盤石な検査体制、医療体制を構築していく考えであります。

 PCR検査については、国立感染症研究所における対応に加え、先月来、全国にある地方衛生研究所、民間の検査機関、大学に対して試薬などの検査キットを積極的に提供し、その能力構築に努めてまいりました。その結果、現時点で、全国で1日当たり4,000件を超える検査能力があります。現在も、地方にある民間検査機関、大学に試薬などを提供し、一層の検査能力の拡大に努めてまいります。

 PCR検査については、検査がしたくても保健所で断られ、やってもらえないという御指摘をたくさん頂いております。保健所は都道府県や政令市の組織ですが、政府として、医師の判断において感染を疑う場合には検査を行うよう、これまでも繰り返し依頼を行ってきたところです。また、その地域の検査能力に限界があるために断られるといったことが断じてないように、広域融通によって必要な検査が各地域で確実に実施できるよう、国において仲介を行います。

 来週中に、PCR検査に医療保険を適用いたします。これにより、保健所を経由することなく民間の検査機関に、直接、検査依頼を行うことが可能となります。民間検査機関の検査能力も大幅に増強されます。

 加えて、現在、検査の中で2、3時間を要しているウイルスを検出するための作業を15分程度に短縮できる新しい簡易検査機器の開発を進めています。この1か月間、試薬の開発、精度向上などに取り組んできたところであり、3月中の利用開始を目指します。

 こうした取組を総動員することで、かかりつけ医など、身近にいるお医者さんが必要と考える場合には、すべての患者の皆さんがPCR検査を受けることができる十分な検査能力を確保いたします。

 重症化予防の観点からは、治療のために必要な病床の確保も重要です。全国で2,000を超える感染症病床がありますが、緊急時には感染症指定医療機関の病床を最大限動員し、5,000床を超える病床を確保いたします。病院への支援を行い、現時点で空いているベッドをすべて維持してもらうことで、患者が大幅に増加する事態にも万全の医療提供体制を整えます。

 今回のウイルスには、現時点でインフルエンザのように有効性が確認された治療薬がない。この点が世界的な不安の最大の原因となっています。そのため、現在、我が国では、いわゆるアビガンを含む3つの薬について、新型コロナウイルスに有効性があるかどうかを見極めるため、観察研究としての患者への投与を既にスタートしています。いずれも新型コロナウイルスを用いた基礎研究では既に一定の有効性が認められていることから、実際の患者の皆さんにその同意を得て使用することで治療薬の早期開発につなげてまいります。

 危機にあっては、常に最悪の事態を想定し、あらかじめ備えることが重要です。北海道では鈴木知事が緊急事態宣言を発出し、この週末、外出を控えるよう、道民への呼びかけを行っています。国も雇用調整助成金の特例を設け、非正規の方も含めて、休業となる方々への支援をしっかりと行ってまいります。必要となる物資の提供など、あらゆる協力を惜しまない考えであります。

 更に今後、一定の地域において急激な感染の拡大などが見られた場合にどのような措置を採るか。その具体化はもはや待ったなしです。既に政府として基本方針をお示ししているところでありますが、あらゆる可能性を想定し、国民生活への影響を最小とするために、立法措置を早急に進めてまいります。今後とも国民の健康と安全を守ることを何よりも最優先に、必要な措置は躊躇(ちゅうちょ)なく実施する考えであります。

 今回のウイルスについては、いまだ未知の部分がたくさんあります。よく見えない、よく分からない敵との闘いは容易なものではありません。率直に申し上げて、政府の力だけでこの闘いに勝利を収めることはできません。最終的な終息に向けては、医療機関、御家庭、企業、自治体を始め、一人一人の国民の皆さんの御理解と御協力が欠かせません。

 皆さんの暮らしに直結する決断には、当然、様々な御意見、御批判が伴います。内閣総理大臣として、そうした声に真摯に耳を傾けるべきは当然です。しかし、それでもなお内閣総理大臣として国民の命と暮らしを守る。その大きな責任を果たすため、これからも先頭に立って、為すべきことは決断していく。その決意であります。

 終息への道のりは予断を許しません。険しく厳しい闘いが続いていく。そのことも覚悟しなければなりません。本当に大変な御苦労を国民の皆様にはおかけしますが、改めてお一人お一人の御協力を、深く深くお願いする次第であります。しかし、私たちは必ず乗り越えることができる。そう確信しています。

 最後となりましたが、ダイヤモンド・プリンセス号の現場対応を含め、先月以来、ウイルスとの闘いの最前線で頑張ってくださっている医療関係者の皆さんを始め、すべての関係者の皆さんの御努力に心より敬意を表するとともに、これからもこの闘いに御協力を賜りますようにお願いを申し上げる次第であります。

 私からは以上であります。

【質疑応答】

(内閣広報官)

 それでは、これから皆様方から御質問を頂戴いたします。

 質問を御希望される方、挙手をお願いいたします。私が指名いたしますので、指名を受けられた方は所属とお名前を明らかにされた上で御質問をお願いいたします。

 それでは、初めは幹事社の方からお願いいたします。はい、どうぞ。

(記者)

 朝日新聞の東岡です。

 全国の小学校、中学校、高校などへの臨時休校の要請についてお伺いいたします。

 総理は27日に突然、発表しましたけれども、その日のうちに政府からの詳しい説明はありませんでした。学校や家庭などに大きな混乱を招きました。まず、説明が遅れたことについて、どうお考えになるかについてお伺いします。

 それから、今回の要請については与党内からも批判が出ています。国民生活や経済への影響、そして感染をどこまで抑えることができるかなどについて、どのような見通しを持っているのか、教えてください。

 最後にもう一点伺います。中国の習近平国家主席の訪日や、東京オリンピック・パラリンピックは予定どおり行うかどうか、併せてお聞かせください。

 以上です。

(安倍総理)

 今回の要請に伴い、子供たちにとって学年の最後、卒業前、進学前の大切な時期に学校を休みとする、その決断を行わなければならないというのは、本当に断腸の思いであります。また、親御さんにも、地方自治体にも、あるいはまた教育関係者の皆様にも、大変な御負担をおかけすることとなります。

 それでもなお、これからの1、2週間が急速な拡大に進むのか、あるいは終息できるのかの瀬戸際との状況の中で、何よりも子供たちの健康、安全が第一である。学校において子供たちへの集団感染という事態は、何としても防がなければならない。そうした思いで決断をしたところであります。

 いわば、専門家の皆様も、あと1、2週間という判断をされた。いわば、判断に時間をかけているいとまはなかったわけでございます。十分な説明がなかった。与党も含めてですね、それは確かにそのとおりなのでありますが、しかし、それは責任ある立場として判断をしなければならなかったということで、どうか御理解を頂きたいと思います。

 その上で、これに伴う様々な課題に対しては、私の責任において、万全の対応を行ってまいります。今が正に感染拡大のスピードを抑制するために極めて重要な時期であります。国内の感染拡大を防止するためのあらゆる手を尽くしたい。尽くしていく考えであります。

 国民の皆様には、本当に大変な御苦労をおかけをいたすところでございますが、改めて、お一人お一人の御協力を深く深くお願い申し上げたいと思います。

 習主席の訪日についてでありますが、現時点では予定には変更ないものの、中国国家主席の訪日は、10年に一度のことであり、十分な成果を上げることができるものとする必要があるとの観点から、引き続き日中間で緊密に意思疎通していく考えであります。

 そしてまた、東京オリンピック・パラリンピックについては、引き続き大会開催に向けて、IOC(国際オリンピック委員会)や大会組織委員会、東京都との間で緊密に連携を取りながら、アスリートや観客にとって安全な、そして安心できる大会となるよう、万全の準備を整えていく考えであります。

(内閣広報官)

 それでは、幹事社からもう一問、頂きます。どうぞ。

(記者)

 テレビ朝日の吉野です。

 総理は、今ですね、新しい法律を準備されるという意向を表明されました。与野党からは、さらに補正予算を求める声もございます。更に生活面で言いますと、マスクやトイレットペーパーといった日用品がお店に行っても買えないという現象が起こっています。総理はこれらにどのような対策を検討していらっしゃるでしょうか。

 また、その法律なのですけれども、速やかに成立させる必要があると思います。野党側に対してですね、与野党党首会談も含めて、協力を求めていく考えはございますでしょうか。

(安倍総理)

 今後、一定の地域において急激な感染の拡大などが見られた場合にどのような措置を採るのか。常に最悪の事態を想定し、あらかじめ備えることが重要であります。あらゆる可能性を想定し、国民生活への影響を最小とするために、立法措置を早急に進めていきます。法案の一日も早い成立が必要であることは、与野党とも同じ考えであると思います。私自身、野党の皆様ともお話をさせていただきたいと思いますし、御協力をお願いしたいと思っています。

 また、予算措置についてはですね、今年度においては2,700億円を超える予備費があります。今年度といっても、あともう1か月でありますが、2,700億円の予備費がまだあります。まずはこれを活用して、第2弾となる緊急対応策を速やかに取りまとめます。今回の臨時休校により、休みを取らざるを得なくなった保護者の皆さんへの助成金制度の創設や、医療体制の強化、中小・小規模事業者を始めとする事業活動への対応など、必要な対応策を速やかに具体化させます。その上で、今後も日々刻々と変化する状況に対応し、必要な対策は躊躇なく実行していく考えです。

  マスクについてでありますが、増産支援を行っており、3月は1月の生産量の2倍を超える月6億枚以上、供給を確保します。例年の需要を十分に上回る供給を確保できますので、国民の皆様には、どうか冷静な購買活動をお願いをしたいと思います。

 なお、トイレットペーパーなどについて不足も一部で起きておりますが、これについてはですね、様々な、いわば噂(うわさ)が飛び回っている。事実でない噂が飛び回っているわけでありますが、ほぼ全量が、これは国内生産です。トイレットペーパーについてはほぼ全量が国内生産でありまして、中国を始めとしたサプライチェーンの問題は全く起きていません。全く関係ないわけであります。十分な供給量が、そして在庫が確保されていることから、これについても、冷静な購買活動をお願いをしたいと、このように思います。

 我々としても、こうした時期、身を守る、あるいは家族を守るために行動を取る。これは当然のことでありますが、それに対して、我々もですね、正確な情報をいち早く発信をしていきたいと考えております。

(内閣広報官)

 それでは、これから幹事社以外の皆様方から、外国のメディアの方も含めまして質問を頂きますので、御希望の方、挙手をお願いいたします。私が指しますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、松本さん。

(記者)

 NHKの松本と申します。よろしくお願いします。

 チャーター機、クルーズ船対応と、これまで対応が続いてきました。しかしですね、国内では感染拡大の状況が見られます。これまでとは違うフェーズの状況だと言えると思いますが、対応は依然続くとは思いますが、ここに至るまでの政府の対応として、反省すべき点について、どのようにお考えでしょうか。

 また、政治は結果だとよく言われます。この結果責任についてのお考えもお聞かせください。

(安倍総理)

 今回のウイルスについては、いまだ未知の部分が多い中、専門家の皆様の御意見も踏まえながら、前例に捉われることなく、国民の健康と安全を守るために必要な対策を躊躇なく講じてきたところであります。

 現在、国内では、連日、感染者が確認され、そういう状況でありますが、今が正に感染の拡大のスピードを抑える、抑制するために重要な時期であります。国内の感染拡大を防止するため、あらゆる手段を尽くしてまいります。

未知のウイルスとの闘いはとても厳しいものであります。その中で、現場の皆さんはベストを尽くしていただいているものと思います。同時に、それが常に正しい判断だったかということについて、教訓を学びながら自ら省みることも大切です。私自身も含めてですね。その上で、そうした教訓を学びながら、未来に向かっていかしていきたいと考えています。

 その上で、私はこれまでも、政治は結果責任であると、こう申し上げてきました。私自身、その責任から逃れるつもりは毛頭ありません。内閣総理大臣として、国民の命と暮らしを守る。その大きな責任を先頭に立って果たしていく。その決意に変わりはありません。

(内閣広報官)

 それでは、引き続きまして、幹事社以外の方。はい、どうぞ。

(記者)

 読売新聞の今井です。

 入国拒否措置についてお伺いします。

 政府は、これまでに中国の湖北省、浙江(せっこう)省、韓国の大邱(テグ)などからの入国を拒否しております。

 一方で、自民党内などからは中国全土に広げるべきとの意見も出ていますが、今後、中国全土を含め、対象を拡大していくお考えはありますでしょうか。

(安倍総理)

 政府においてはですね、これまで、新型コロナウイルス感染症が蔓(まん)延をしている地域から来訪する外国人や、感染症が発生しているおそれのある旅客船に乗船する外国人について、入管法に基づき、入国拒否の措置を講じてきたところであります。

 まず、感染の中心地である武漢市を含む湖北省を、その感染者数や移動制限措置の有無を踏まえて、2月1日に対象地域としたほか、13日には浙江省を追加したところであります。また、27日には感染者数の増加が顕著である韓国の大邱広域市等を対象としたところであります。

 感染拡大の状況が時々刻々と変化をしているわけでありますが、どこの地域を入国拒否の対象地域とするかについてはですね、政府として、今後も感染者数や移動制限措置の動向等をしっかりと分析をし、機動的な措置を、必要であれば、国民の健康を守るために躊躇なく講じていく考えであります。

(内閣広報官)

 外国系のメディアの方も含めて、時間的に最後の1問になりますが、では、眼鏡をかけられた女性、お願いします。

(記者)

 AP通信の山口と申します。よろしくお願いします。

 クルーズ船のダイヤモンド・プリンセスでは700人以上の乗客・乗員が感染するなど、検疫や船内での感染予防対策にも課題があると指摘されました。

 引き続き、国内でも感染が拡大する中、東京オリンピックを控え、特に日本としての危機管理能力が、今、試され、国際社会から注目されていると思うのですが、これまでのところで得られた教訓はどういうことであり、これを今後どのようにいかしていかれるかということを教えてください。

(安倍総理)

 ダイヤモンド・プリンセス号については、多数かつ多様な国籍の方々が乗船する大型客船内でのウイルス集団感染という、初めて直面する事態への対応が求められたところであります。

 クルーズ船の乗客や乗員の皆様に対しては、船内で感染が初めて確認された2月5日から、順次、全員にPCR検査を行うとともに、14日間の健康観察期間を設定し、感染拡大防止に最大限の措置を講じてきました。

 こういった状況の中で、チャーター便対応で得られた知見や、そして船内での感染拡大防止が有効に行われていたという専門家の御指摘も踏まえて、発症がなく観察期間を終了した方々について下船をしていただくという判断をしたところであります。

 国内における感染拡大を受けて、政府においては今が正に感染の流行を早期に収束させるために重要な時期であると認識をしています。対策の基本方針を踏まえて、時々刻々と変化する状況を踏まえながら、地方自治体や医療関係者、事業者、そして国民の皆様と一丸となって、先手先手で必要な対策を総動員して、躊躇なく実施をしてまいる所存でございますが、オリンピック・パラリンピックを控えているところでございますが、バッハ会長がですね、IOCからは、日本の迅速な対応について評価を得ているところであります。バッハ会長も、2020年東京大会が成功するよう全力を注ぐと発言をしておられます。我々は、この状況をなるべく早期に克服をし、アスリートの皆さん、観客の皆さんが安心して臨める、安全な大会、そのための準備をしっかりと進めていきたいと、こう考えています。

(内閣広報官)

 予定しておりました時間を経過いたしましたので、以上をもちまして、記者会見を終わらせていただきます。

 皆様、御協力どうもありがとうございました。