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政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見

[場所] 
[年月日] 2020年12月25日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

【菅総理冒頭発言】

 本日は、新型ウイルスについて、国民の皆様に現状の御説明と、年末年始における私から改めてお願いがありまして、会見を行わせていただきます。

 ウイルスとの闘いが始まって1年がたとうとしております。初めての冬を迎える中で、首都圏を中心に感染が拡大しており、感染者数は1日3,000人を超える高い水準が続いており、皆様方の御不安も高まっているものと思います。

 まずは、最前線で闘っておられます医療従事者の皆様方、介護施設の皆様方、そして全ての皆様方に敬意と感謝を申し上げます。

 この間、私たちは一貫して、尾身先生を始め、専門家の提言を頂きながら、国民の皆さんの命と暮らしを守るべく、対策に取り組んできました。政府として雇用調整助成金などにより雇用を守り、事業を継続する取組を行い、現在に至るまで失業率は2.9パーセントと諸外国に比べて低い水準であります。飲食店の時間短縮、GoTo一旦停止、テレワークなど、国民の皆様には大変な御協力を頂き、深く感謝を申し上げます。

 この中で、先日の私の会食の件は、本来、大人数での会食を避けることを要請する立場にありながら、深く反省をいたしております。改めておわびを申し上げます。

 皆さん御承知のとおり、今月、東京都内の人出はほとんど減っておりません。このままでは更なる感染拡大が避けられない状況であります。国民の皆様には、明日からの年末年始は、是非御協力をお願いしたいと思います。静かな年末年始をお過ごしいただきたい。家族や友人で集まる機会も多いと思いますが、できる限り会合は控えていただき、何としてもこの年末年始で感染拡大を食い止めることができるように御協力をお願いいたします。

 年末年始は医療機関の体制も縮小せざるを得ない時期です。これ以上、医療機関に負担を増やさないためにも、お一人お一人の御協力が必要であります。政府としてもコロナ対応で派遣される医師、看護師への支援額を倍増し、医師には1時間1万5,000円、看護師は1時間5,500円補助をいたしています。さらに本日、2,700億円の追加予算でコロナ患者を受け入れている病院を緊急支援することを決定しました。現場で頑張っていらっしゃる方々を応援するために、全国で2万8,000床を対象に、1床当たり最大1,500万円の補助を緊急に配賦いたします。これを活用して、コロナに対応する病床を増やし、現場の方々の処遇を改善し、必要な方々が必要な医療を受けられるように、責任を持って医療体制を整備いたします。

 この間、専門家から一貫して指摘を頂いておりますのが、飲食の場の感染リスクです。東京の感染者の6割程度を占める、「見えない感染」の多くが飲食によるものとされております。感染対策として最も効果的と言われるのが、飲食店の時間短縮であります。御協力を頂いている飲食店の皆様には大変御苦労をおかけしております。申し訳なく思っております。今後更に各地域で御協力を頂いて、コロナ前の日常に一日も早く戻ることができるように、支援額を最大1か月60万円から、倍の120万円にしております。そのほか、事業者の皆様には最大4,000万円の無利子・無担保での貸付を始めとして、様々な支援メニューを用意しております。何とぞ御協力を頂きますようにお願いいたします。

 さらに、飲食店の時間短縮については、給付金と罰則をセットで、より実効的な措置が採れるように特措法の改正を検討します。ただし、罰則については専門家の皆さんによる分科会において、規制強化すべきという意見と、私権制限に慎重な意見の両方があります。今後、分科会において早急に検討を進めてまいります。

 水際対策も強化します。イギリスにおけるウイルスの変異種の問題については、昨日から英国に滞在歴のある外国人の入国拒否などの措置を強化しました。さらに、南アフリカに滞在歴のある外国人についても英国と同様に、入国拒否の対象にすることを決定いたしました。今後も国民の皆さんの健康と命を守り抜くことを最優先に、各国の状況を見ながら迅速に対策を強化していきます。

 その上で、最終的に感染対策の決め手になるのがワクチンです。米国、イギリスでは既に接種が始まっております。我が国も治験が始まっており、2月にはデータがまとまる予定です。その後、安全性、有効性、最優先に審査を行った上で、承認されたワクチンを必要な方にできるだけ早く接種を開始できるように、関係省庁一体となって作業を進めております。

 GoToについては7月にスタートしましたが、延べ約7,000万人の方々に御利用いただき、感染が判明したのは約340人です。地方経済の下支えに大きく貢献できたと思っております。先月、専門家の先生方の提言を受けて、北海道、大阪、東京で一旦停止する措置を採りました。更に私自身、悩みに悩み抜いた上での判断でありました。年末年始に集中的な対策を採るため、全国で一旦停止することにいたしました。

 この間、GoToについては地方の皆さんから御支援のお言葉を頂きました。また一方で、感染対策とGoToを同時に進めることは分かりにくい、不安である、お叱りも頂きました。私自身、新型コロナウイルス対策について、国民の皆さんへの御説明が十分ではなかった面がありました。今後、国民の皆様に丁寧にコミュニケーションを取ることに努めていきたいと思っています。

 就任して100日がたちました。総裁選でお約束したように、まずは新型コロナウイルス対策に全力を尽くし、さらに我が国で長い間先送りされてきた課題、グリーン社会、デジタル化、少子化対策について答えを出し、皆さんに我が国の将来の絵姿を具体的に示すべく、全力で取り組んできました。不妊治療については来月から助成の金額を拡大し、所得制限をなくし、22年度から保険適用いたします。携帯電話の料金については、大手が相次いで現在の半額程度となる20ギガ2,980円とするプランを発表いたしました。

 明るい将来に踏み出すために、まず必要なことは新型コロナウイルス、これ以上の感染拡大を食い止めることであります。4月の緊急事態宣言、夏の感染拡大に続いて度重なる御協力、お願いとなりますが、皆さんと皆さんの御家族、そして大切な方の命と暮らしを守るために、まずはワクチン接種が始まるまでの間、医療体制を何とか持ちこたえられるように静かな年末年始を重ねてよろしくお願いいたします。

 家族や大切な方と少人数で静かにお過ごしいただきたいと思います。一日も早く感染を収束させ、感染が始まる前と同様の日常を取り戻し、希望に満ちた社会を実現するために、是非お力をお貸しいただきますようによろしくお願いいたします。

 私からは以上であります。

【質疑応答】

(内閣広報官)

 それでは、これから皆様から御質問を頂きます。質問に関しましては総理と尾身会長に御対応いただきます。尾身会長、恐縮でございます、演台の方にお進みください。

 最初は慣例に従いまして、幹事社2社から御質問を頂きます。指名を受けられました方は、近くのスタンドマイクにお進みいただきまして、所属とお名前を明らかにしていただいた上で御質問をお願いいたします。

 それではまず、幹事社、TBSの後藤さん、どうぞ。

(記者)

 幹事社、TBSの後藤と申します。

 菅総理にお尋ねします。政府の新型コロナウイルス対応についてお尋ねします。11月の後半、政府は勝負の3週間として、国民に不要不急の活動自粛を呼びかけました。しかし、感染拡大の勢いは現状でも抑え切れていません。また、GoToトラベルの全国一斉停止の判断も遅かったのではとの指摘も挙がっています。そして、先ほども総理は会見で、御自身の大人数の会合について改めて謝罪しました。

 感染拡大がなぜ止まらないのか、総理はその理由についてどのようにお考えでしょうか。また、これまでの政府対応について反省すべき点についてお尋ねします。あわせて、来年の通常国会に向けて特措法改正案、どのように臨むお考えなのか、改めてお尋ねします。よろしくお願いします。

(菅総理)

 まず、特措法の改正案については、私、今読み上げたとおりであります。いずれにしろ、分科会の中で是非早急に議論を進めていきたい、このように思っています。

 それと、新規感染者数の増加についてであります。過去最多の水準となっております。要因については尾身会長がおりますので、尾身会長からの方がよろしいかと思います。

 私自身、政府として新型コロナウイルス対策、これに当たってきましたが、初めて経験する感染症でありました。毎日難しい判断の連続でありました。そういう中でGoToについては、これも冒頭申し上げましたとおりでありまして、延べ約7,000万名、今まで御利用いただいて、感染者は約350名であります。しかし、ステージ3になってから、尾身会長始め分科会から皆さんから、GoToも一時停止、そういう提案を頂きましたので、もちろん、提案された東京、大阪、北海道、これについては、そのようにしたのでありますけれども、私自身の判断で、年末年始の時間、この期間を通じて全国一斉に停止する、そういう判断をいたしました。

 それと、先ほど申し上げましたように、この特措法の改正、やはり飲食が一番の要因であるという、このことも尾身会長から、お尋ねをいただきたいと思いますけれども、そういう中で、やはり、政府とすれば、時間短縮と、それと、給付金、罰則、そうしたものをセットにしてやれば、より実効性ができるのかなという思いはありますけれども、分科会の先生方の御議論も踏まえながら、ここは、しっかり対応していきたいと思います。

(尾身会長)

  感染状況が、なぜ止まらないのか、それから、何をすべきかという点について、せっかくこういう機会を頂いたので、私の方から簡単に。今、北海道と大阪は、いち早く集中的な対応を強力にやっていただいたおかげで、北海道では、既に下方の方向に向かっています。それから、大阪も増加のスピードが鈍化していると、そういうことが少しずつ始まっています。

 そうした中、東京は、皆さん御承知のように感染拡大が継続していることで、その中で、近隣県に感染が、言わば染み出しているということがあって、その結果、東京と1都3県、埼玉、千葉、神奈川の感染例の示す割合が、全国の5割程度になっていることで、そうした中で、東京を中心とした首都圏の感染を早く下方に転じないと、全国の感染は、なかなか止まることは、私は難しいと思っています。

 年末年始が始まると、人の流れは一定程度抑制されると思います。しかし、ここで私は強調させていただきたいのは、年末年始が終わりますと、社会経済活動が活発になりまして、感染がまた再び急増する可能性が極めて高いと思います。したがって、今、この時期に下方に転じさせないと、一度、年末年始が終わって、感染が急拡大すると、それを下方に修正されるにはそう簡単ではなくて、かなり時間がかかります。恐らく、週単位では無理だと思います。したがって、今の時期に、この感染を下方にするために、できるだけのことをする必要があって、国と自治体、国民、事業者が、一体となって集中的に感染拡大を止める方向に。

 それで、もうちょっとだけ時間を頂きたいのですけれども、今やるべきことに関して、緊急事態宣言を出した4月の時点と今では、2つの点で大きな違いがございます。

 1点目は、4月の段階では、いわゆる最低7割、極力8割の接触機会の低減という、極めて広範で強力な対策を行っていました。しかし、今は、半年以上の経験のおかげで、経験をしたために、対策の言わば急所というものが分かっています。これが1点目の違いです。

 それから、2点目の違いは、多くの人が、国や、あるいは自治体の要請に応えていただいておりますが、しかし、言わば慣れというものがあって、要請に対する協力が、今、得られにくくなっている状況があります。

 したがって、私、急所と申し上げたものが3つあって、その3つのことを、今、集中的にやることが重要だと思います。

 1点目は、従来、私どもが申し上げている感染リスクが高まる5つの場面ということで示したように、先ほど総理からもお話があったように、飲食を介しての感染リスクが高い、そこを抑える、徹底的に抑えるということが1つ目の急所です。

 それから、2つ目の急所は、いわゆる飲食以外の場でも、少人数、できれば4人以下、それから、いつも一緒にいる人と、なるべく家族とか友人とか、いつも一緒にいる人と過ごすこと。

 それから、3番目が、国、自治体のリーダーが、更なる市民の協力を得るべく、一体感を持って、明確なメッセージと具体的な対策を提示することが必要で、こうした急所を、国、自治体、国民、事業者が一体となって行えば、私は、今の感染状況を下方に転ずることは可能だと思っています。

 ちょっと長くなりましたが、以上です。

(内閣広報官)

 それでは、幹事社の方、もう1社、どうぞ。

 それでは、毎日の笈田(おいた)さん、恐縮ですが、質問者の方は、質問内容のお話が終わりましたら、席にお戻りいただいて結構でございます。

(記者)

 毎日新聞の笈田と申します。よろしくお願いいたします。

 政治と金の問題についてお伺いいたします。

 安倍前総理が、本日、桜を見る会前夜祭での費用補塡の問題をめぐりまして、国会で説明をされましたが、野党からは説明が不十分であるとの声も上がっています。総理として、安倍前総理は、これで説明責任を果たされたとお考えでしょうか。また、結果的に、総理御自身も国会等で誤った答弁を繰り返されていたことになるわけですが、そのことについて、どのように受け止められて、今後どのように対応されるお考えでしょうか。具体的にお答えいただければと思います。

 また、吉川貴盛元農林水産大臣が御病気のため議員辞職されましたが、大手鶏卵会社の元代表からの現金提供疑惑に関して、本日、議員会館の事務所が家宅捜索を受けるなど、疑惑が深まっております。総理のお考えとして、吉川さんは、元閣僚としての説明責任を果たすべきだとお考えでしょうか。また、それを総理として促すお考えはありますでしょうか。

 よろしくお願いいたします。

(菅総理)

 まず、安倍前総理の件でありますけれども、国会などにおける安倍前総理の説明が事実と異なっている、こうしたことが明らかになったことに対して、私自身、非常に重く受け止めております。

 また、私自身、官房長官として国会でも答弁しております。安倍前総理が国会で答弁した内容について、必要に応じては安倍前総理に確認しながら国会で答弁をしてきたということが事実です。しかしながら、事実と異なる答弁になってしまったことについては、国民の皆さんに大変申し訳なく思い、この場をお借りしまして改めておわびを申し上げます。また、国会の中でも、始まりますといろいろな機会があると思います。そういう中で丁寧に説明させていただきたい、このように思います。

 吉川議員について、本人のコメントにありますように、心臓の病気のために手術をされたようなことであり、術後は国会議員として責務を果たせない、そういう形で議員を辞職されました。また、捜査機関の活動内容について承知しておりませんので、私の立場で答えることは控えたいと思いますが、いずれにしろ政治家自ら襟を正し、説明責任を果たしていくべきである、このように思います。

(内閣広報官)

 それでは、幹事社以外の皆様から御質問を頂きます。質問を希望される方は、意思表示は発声でなく挙手をお願いいたします。私が指名いたします。近くのマイクにお進みいただきまして、所属とお名前を明らかにした上で質問をお願いいたします。お一方1問でお願いしたいと思います。

 それでは、フジの鹿嶋(かしま)さん、お願いします。

(記者)

 フジテレビの鹿嶋です。

 時短要請についてお伺いします。東京都の新たな感染者数ですけれども、2日連続で800人を超えました。東京都は現在、1月11日まで飲食店などに対して午後10時まで時短要請をしていますが、更なる時間の前倒しの是非について、小池都知事はその有効性を疑問視するような形で発信されていますけれども、菅総理自身はこの時短要請を更に前倒しすることについてはどのようにお考えでしょうか。

 もう1点、尾身先生からも今、言及がありましたが、緊急事態宣言の今後の可能性についてですけれども、今後の年末年始の感染状況次第で、例えば全国一律ではなく、1都3県など地域を限定して緊急事態宣言を出す可能性はあるのでしょうか。お願いします。

(菅総理)

 まず、小池都知事についてであります。北海道、大阪、東京、愛知を始めとして、現在は14の県で時間短縮を行っています。

 東京については、私ども政府から、西村大臣から知事にも要請をさせていただいていますし、更なる時短について尾身会長からも御要請を頂いていると思っています。ただ、このことについては、権限は都道府県にありますので、そういう形で、時短でなくて違う対応も、10時でその他の、イルミネーションとか、いろいろな対応もしているということも私は承知をいたしております。

 さらに、緊急事態宣言についてであります。緊急事態宣言については尾身会長からも、今は緊急事態宣言を出すような状況ではない、こうした発言があったことを私は承知しています。いずれにしろ、4月の緊急事態宣言を出したときと比較をして、感染を収束させるために当時は行ったわけでありますけれども、その後の経験の中でいろいろなことを学んできたということも事実だと思います。これも、尾身会長からも付け加えることがあれば言っていただければと思います。

(尾身会長)

 緊急事態宣言の御質問ですけれども、先ほど申し上げましたように急所が分かってきたということですよね。

 それで、実は今、感染がなぜこうなっているかということを一言で言えば、経済が活動を、社会がしたいという中で、本来、急所を押さえればある程度感染拡大を防止するのですけれども、急所が十分に、国民の多くの方に協力していただいたことに我々も感謝しますけれども、結果としては、十分、先ほど私が申し上げた3つの急所が、十分に押さえられていないというのが、私は今の感染拡大の原因であると思います。

 したがって、先ほど申し上げたことは、今やれること、急所、求められることを、今やるということが極めて重要で、そこに国と自治体が一体感を持ったメッセージを出してもらって、国民が、みんなが同じ方向に向かうことが今一番求められる。そうでないと、先ほど申しましたように、年末年始の休暇が終わると、ほぼ、かなりの蓋然性をもって感染拡大が行きますので、それを防ぐために今の時期にできるだけ急所を押さえて、なるべく感染を下の方に転化していくことが極めて重要だと思います。

(内閣広報官)

 それでは、次の御質問に行きたいと思います。

 共同の吉浦さん。

(記者)

 共同通信の吉浦です。よろしくお願いします。

 菅総理に、衆院解散と新型コロナの関係についてお伺いします。

 菅総理は、先日のテレビ番組で、新型コロナウイルスを完全に拡大防止できないと衆院解散をするべきではないとの認識を示されました。新型コロナワクチンの国内接種の普及は、総理の衆院解散判断に影響するでしょうか。御所見をお伺いします。

(菅総理)

 まず、当面は御指摘のワクチン接種も含めた新型コロナウイルス対策、そこに全力で取り組んでいきたいと思います。

 そして、来年の秋まで、衆議院解散というのはもう時間が決まっていますから、いずれにしろ、まず私に対しての国民の皆さんの責務というのは、感染拡大防止がそうだと思います。接種した結果がどうか。まだこれからのことでありますから、仮定については答えるべきではないと思います。とにかく感染拡大防止を全力でやる。

(内閣広報官)

 それでは、内閣記者会以外の方からも御質問いただきたいと思います。

 ラジオ日本さん、伊藤(いとう)さん、お願いいたします。

(記者)

 ラジオ日本の伊藤です。

 ワクチンの確保と今後の接種計画は現在どうなっていますか。お尋ねいたします。

(菅総理)

 まず、これまでの取組によって、製薬企業3社から合計で2億9,000万回分、これは2回接種の場合は1億4,500万人分、この供給を受けることで合意はされています。そのうちファイザー社からは12月18日に承認申請がありました。国内治験で既に2回の接種が終わっており、来年2月までにデータをまとめる予定であります。

 こうしたデータに基づいて審査した上で、承認したものについては、医療従事者が1番、そして高齢者、次いで基礎疾患を有する方や高齢者施設で従事されている方、こうした方を優先で、全額国の負担で接種していきたい、このように思っております。

 また、これは特にファイザー社はマイナス70度という輸送や保管が必要でありますので、既に官邸に各省庁からチームを作って、承認が下りたらできるだけ早く接種できるような、そういう体制は今既に作って進んでいます。

(内閣広報官)

 それでは、次の御質問に行きたいと思います。

 では、テレ朝の吉野さん。

(記者)

 テレビ朝日の吉野と申します。

 コロナ対策のスピード感という観点からお伺いしたいのですけれども、例えば今のワクチンの話ですけれども、2月の接種は総理、見込んでいらっしゃるのかということがまず1つ。

 それと、特措法なのですけれども、先日テレビでは通常国会というようなことも、今もおっしゃったかなとも思うのですけれども、成立の時期はいつ頃を見込んでいらっしゃるでしょうか。それと、スピード成立に向けて、法案の提出前に、法案の必要性はどうも与野党で一致しているようですので、野党側との法案提出前の協力を模索するお考えはありますでしょうか。

 以上です。

(菅総理)

 まず今、このコロナ対策に与野党協議会というのがあります。そこで感染拡大防止や経済対策、いろいろな御意見を伺いながら、そこで出たことについて決定をしていることもあります。いずれにしろ、そうした各党の御提案を頂きながら、ここは進めていく問題であると、このように私は思っています。このコロナはそういう形で進めていきたいというふうに思っています。

 それで、ワクチンですけれども、今、申し上げましたけれども、2月までには主要なデータがそろう、こう言われています。ですから、そのデータが出てきたところで、そこから審査をしての接種につながるわけでありますから、そういう意味において、そのデータで安全性とか有効性がいかに担保されるかという、そういうことによっても違ってくるのだろうというふうに思います。いずれにしろ2月までにはデータがそろう、こういうふうに報告を受けています。できるだけ早くしたいと思います。

(記者)

 特措法の成立の時期。

(内閣広報官)

 すみません。申し訳ありません。お一人1問でお願いいたします。

(菅総理)

 先ほど質問がありましたので。

 できるだけ早くしたいと思います。

(内閣広報官)

 恐縮です。

 それでは、それ以外の御質問の方、ありましたらお願いします。

 それでは、時事の大塚さん、お願いします。

(記者)

 時事通信の大塚です。

 水際対策についてお伺いします。先ほど南アフリカも対象と、強化とすると説明がありましたが、変異株は他にも、他の国にも広がっております。水際対策を更に強化するお考えはありますでしょうか。

(菅総理)

 もちろん英国、南アフリカというのが今、出ていますけれども、他でもいろいろな事案が出ていることは承知しています。そうしたことを確認しながら、そこは水際対策はしっかりと早急にやっていきたい、このように思います。

(内閣広報官)

 それでは、外国プレスの方からも御質問を頂きたいと思います。

 では、ウォール・ストリートのピーター・ランダースさん、お願いします。

(記者)

 ウォール・ストリート・ジャーナルのランダースと申します。

 先ほどグリーン戦略のお話があったと思いますけれども、今日の発表では、2030年代の半ば頃までに全ての新車を電動車にすると。ガソリン車は駄目だということで、新しい発表があったように思いますけれども、この前、自動車工業会の豊田会長が、急に電気自動車、EV(電気自動車)にシフトしてしまうと、自動車産業のビジネスモデルが崩壊するのではないかと懸念を示していると思いますが、総理は自動車業界のビジネスモデルが崩壊するという懸念に対してどのようにお考えですか。

(菅総理)

 私も新聞報道で自動車工業会の豊田会長の記事を読みました。それで私自身、確認をしました。御指摘の場では、むしろ、菅総理がカーボンニュートラルを政策の柱としたことは、自動車業界にとって大変ありがたい、今後全力でチャレンジしていく、自動車工業会の決定をしたと述べていると私は承知しております。ですから、私自身は2050年のこのカーボンニュートラルを実現するというのは、正に成長の制約ではなくて、成長戦略として取り組んでいくべきであり、経済と環境の好循環を生み出す、こういう方向で進めていきたい、こう思います。

(内閣広報官)

 それでは、次の御質問に行きたいと思います。

 では、読売の黒見さん、お願いします。

(記者)

 総理、読売新聞の黒見です。

 先ほど総理、冒頭の発言で、新型コロナ対策で国民への説明が十分ではない面があったと。今後、コミュニケーションをより図っていきたいということをおっしゃられたのですけれども、具体的にどの点で説明が不十分だったというふうに反省されますでしょうか。今後、どのような対応を具体的に採られるお考えでしょうか。

(菅総理)

 例えばGoToトラベルを私自身が全国一斉に停止をさせていただきました。そうした中で、説明が足りないとか遅過ぎるとか、いろんな御議論もいただいておりますので、そういうことについてはしっかりと説明をしながら進めていかなきゃならないというふうに思っています。ただ、この判断というのは本当に悩んで悩んで行ったことだけは御理解を頂きたい。こういうふうに思います。

(内閣広報官)

 それでは、テレ東の篠原(しのはら)さん。

(記者)

 テレビ東京の篠原です。

 先ほど尾身先生の方からも緊急事態宣言については現段階では否定的なお考えありましたが、一方で、以前に比べて国民のこういう行動変容の協力が得られにくくなっているというお話もありました。この緊急事態宣言の発令なしに国民のこの行動変容というのは可能だというふうにお考えでしょうか。この点、お伺いします。

(菅総理)

 私ですか。

(記者)

 総理と尾身先生に。

(菅総理)

 私自身は可能だと思っております。ありとあらゆる機会に現状を丁寧に説明させていただければ、必ず私は御理解を頂ける、このように思っております。

(尾身会長)

 私は、先ほど申し上げましたように、4月の緊急事態宣言というのは非常に広範な強い対策を打ったわけですよね。その中には、今から考えると必ずしも必要でないのもあった可能性があります。なぜかというと、あのときは何をしたらいいかまだ分からなくて、暗中模索な状況だったですよね。ただ、今はだんだんと分かってきているので、そういう中では、先ほどいろいろな特措法の話もありますけど、私はやはり今までの対策振り返って、こうあったらいいなというものがあるわけですよね、そのことを、緊急事態宣言を出すとか出さない、今やるべきことの一つは、私は、例えば先ほど時短の話がありましたけども、一方で、それはしっかりとした知事が明確なメッセージをしっかりと出して、強力なメッセージを出してもらうことが必要だと思いますけれども、国の方でもやっぱりそういう何か要請するには、それを守ってもらうようなインセンティブのようなものをしっかりとするということが、緊急事態宣言を出してもそういうことがないとなかなか難しいということが分かったわけで、むしろ私は先ほど言った、これまでの半年以上の対応があったので、その中で何が問題だったということを十分吟味して、その問題のところをしっかりと押さえていくという、その結果、特措法の改正だったり、法律、そういうふうにするのが私は一番効果的だし、一番現実的だし、それが求められていると思います。

(内閣広報官)

 それでは、内閣記者会以外の方からも御質問いただきたいと思います。

 では、岩上さん。

(記者)

 インターネット報道メディアの岩上安身と申します。よろしくお願いします。

 総理のお話を承っておりまして、この突然変異のウイルスの唐突の出現についての危機感がいささか足りないのではないかなというふうに不安になりました。英国だけではなく、南アフリカ、そして、すぐにナイジェリアでも出現しておりまして、感染拡大が急拡大しております。そして全世界の学者や専門家や政治家たちが今、議論を熱心にしていることは、この同時多発突然変異種の登場という事態、全く新しい事態ではないか。そして、それはここまで約1年かけて開発されたワクチンというものが効かないのではないか。これについて真剣な議論が始まっております。

 このケンブリッジ大学のグプタ教授という方は、このウイルスの登場をワクチンからの逃亡過程の始まりである。その最初の第一歩であるというふうにおっしゃっております。我が国でもワクチン頼みという、ワクチンが最後の手段だというだけにこだわるのではなく、それ以前の段階でこうした同時多発突然変異種に対してどのように向き合っていくのか、新しい新時代に向き合っていくのかということをもっと真剣に取り組むべきではないだろうかというふうに感じるのですが、その際、やはりこの1年間、全世界がコロナと闘ってきて、その戦略においてPCR検査と隔離というものを、全量検査を徹底して、その挙げ句、抑え込んで、そして、経済的にも成長させたのは中国であるということは明白なわけですね。他の国々は惨憺(さんたん)たる状況にあるわけです。日本も全量検査ということには熱心でありませんでした。

 安全保障上、反中親米ということがあろうかと思いますけれども、少なくともコロナの対策においては、こうした突然変異の登場も含めて、ワクチンは突然変異には有効ではないかもしれませんけれども、検査を行うということに関しては有効であるはずですから、中国方式を本気で考えて全国民にPCRというものを行っていく。幸いに民間のものは3,000円、2,000円というものが出ております。そうしますと、3,000億程度でできるはずです。これだけの補正予算を組んでいる中で、隔離予算を組んだって5,000億で済むはずです。本気でここら辺りで全面的にこの1年間の政策を総括して展開を、戦略的な展開を行うということをお考えになってもらえないでしょうか。

 両者に、お二人にお聞きしたいというふうに思っております。よろしくお願いします。

(菅総理)

 まず、私から申し上げますけれども、ウイルスは絶えず変異を起こしていくものであり、変異があったことで必ずしもワクチンの効果がなくなるというわけではないというふうに承知しています。また、英国やWHO(世界保健機関)も現時点で今回の変異がワクチンの有効性に影響を与えるとのエビデンスは得られていない。このように述べているということも承知しています。

 いずれにしろ、今後、審査部門において変異株に関する情報を含めて、引き続き様々な情報を収集しながら、有効性・安全性、こうしたことを確認して対応していきたい。このように思います。

(記者)

 PCRに関してはいかがでしょうか。

(菅総理)

 全国、全員ということは、私は、いろんなところに相談しますけど、そうした必要性はない。こういうふうに思っています。

(内閣広報官)

 尾身先生、お願いいたします。

(尾身会長)

 2つ御質問があったと思います。1つは変異株の話ですよね。変異株がイギリスなどの情報だと、これが流行すると実効再生産数が40パーセントぐらいということで、仮に今、この変異株が日本に来て感染が拡大、流行に関与すると、今、来た場合、今でも医療体制等々がひっ迫、もう機能不全に近い段階に近づきつつある。これは極めて危機的な状況が起こると思います。

 したがって、昨日、政府の方で英国については決断をしていただいたので、恐らく御質問はその他の国ですよね。その他の国でもウイルスが見つかり、感染がもう維持されている所と、まだそうではないかもしれないけれども、感染例が報告された国とありますよね。今、私は、国にお願いして、その方向で感染研を中心にやっていただいていると思うのは、ともかく早く、特に水際のところでの検体を早く採取して、早く遺伝子的な解析をする。

 実は、日本の遺伝子の感染例の中でどれだけ遺伝子解析、いわゆるゲノム分析をしているかというのは、実は10パーセントです。イギリスなどとほぼ一緒。だけれども、実は地域における感染のゲノムは今まで、ちょっと時間差がありますから、11月末のことまでは分かっているけれども、いわゆるリアルタイム、リアルタイムといっても今やってすぐということはできませんけれども、ストレインというか、株が採れてすぐに、なるべくというのはちょっと地域ではできない。今までの地域の感染には。しかし、こういう時期に備えて、今、感染研が中心に、水際のものはかなり早くゲノム解析ができて、恐らく1週間たたないでできる、リアルタイム。今日も私、感染研の代表の人と話してきましたけれども、更にスピードを持って遺伝子解析ができるというテクノロジーもそんなに、何か月もかからないと思います。そういう中で、今の英国以外の国についてのありとあらゆることを分析して、遺伝子の分析も含めてどのようにすべきかというのを今、私は、そんなに1週間も2週間もたたないうちに明確な提言が来るというふうに私は期待しています。多分そうなるのではないかと思います。

 それと検査については、これは我々も何度も申し上げているように、検査については、我々分科会が7月に出したもので、有症者の人、我々が言ういわゆる1というカテゴリー、多分、政治部の方も御存じ、無症状者が2、こちらが2つのカテゴリーで、2、いわゆる無症状者の人でも事前確率が高い、例えば高齢者施設とか、あるいは感染の高い、感染がもう既にかなり進行している所ではほとんど一例がなくても、こういう方向でやることが実は感染拡大の防止に極めて有効なのです。

 さて、2bの話ですね。一般の人たちについては、今、国難ですよね。これは国もやるべきことをやるけれども、民間の活力を活用する。今、民間の人がいろいろやっていて、特に2つの、2aの方は感染拡大防止という極めて明確な目的がある。2bの方の目的はむしろ、それよりも一般の人が安心して、おじいさん、おばあさんに帰省するところ。それからもう一つは、ビジネスのこともそうですね、外国。それからもう一つは、何かスポーツイベントをしたりするときにやはり安心してということと、それから経済活動が安心したらできますよね、そういうことの目的があるので、ただ、それについては私ももっと推進した方がいいと思いますけれども、前から申し上げているのは、2つ、しっかりと課題を乗り越えて、民間の活力を活用してもらいたい。

 その2つの課題の1つは、実は品質の管理ですね。なかなか今のところ民間のテストがどのぐらいのクオリティーなのかまだ正確に分かる、それはなるべくそういうことを担保してほしいということと、民間で検査をして陽性になった人が必ずしっかりと公的なところに報告される。この2つの条件を十分満たしながら民間の活力、そういうことで今、ニーズがありますから、そういうふうな考えでやったらいいと私は思っています。

(内閣広報官)

 ありがとうございました。

(記者)

 有効ではないかもしれないという懸念が出ているという。

(内閣広報官)

 申し訳ありません。

(尾身会長)

 そのことはいろいろな、今、感染の力が極めて強いということはどうも、我々もそうだと思います。それ以外の、例えば重症化が今までよりも、同じ10人が感染した、その何割がということについては、まだこれはしっかりしたエビデンスがないし、このことがワクチンを今、逃亡とおっしゃいましたね。その可能性はありますけれども、そういうことが今、起きているかどうかは少しまだ判断をするのは時期尚早だと思います。ただ、その可能性については危機管理の要諦ですから、最悪のことも当然考える。そういうことも想定して、いろいろなシナリオは考えておくべきだと。

(記者)

 検討されていくと。

(尾身会長)

 それは検討すべきだと思います。それは今ある、これから、いろいろな外国のワクチンがどういう性質によるかにもよりますね。

(内閣広報官)

 先生、失礼いたしました。

 それでは、大変恐縮ですが、時間の関係がございまして、最後の一問とさせていただきます。それでは、朝日の星野さん、お願いします。

(記者)

 朝日新聞の星野です。よろしくお願いします。

 先ほど幹事社の質問で回答漏れが1点ありまして、今日の安倍前総理の国会答弁等について、昨日の記者会見もそうなのですけれども、説明責任を果たされたかどうか、どう感じられるのかということをまずお伺いしたいのと、その理由をお聞かせいただけますでしょうか。

(菅総理)

 説明責任を果たされたかどうか。今回のことにおいて、安倍前総理は、記者会見をされて、そして国会の求めに応じて、今日、国会で説明をされているというふうに思っています。ですから、そのことにおいて説明はされてきたのではないでしょうか。

(記者)

 中身は。

(菅総理)

 私、中身については、テレビを見ておりませんでした。いずれにしろ、これからそこはしっかり精査したい、こういうふうに思っています。

(内閣広報官)

 それでは、大変申し訳ございません。時間、次の予定がございまして、会見の方は終了させていただきます。

 今、質問を希望して挙手されている方、たくさんおられますので、各1問、後ほど事務局の方にメールで頂きますれば、またこちらの方で総理のお答えを書面で返させていただきますので、どうぞ御理解いただきますようにお願いを申し上げます。

(記者)

 締切りみたいなのはありますか。

(内閣広報官)

 それに関しましても後ほどメールでお知らせをしたいと思いますので、そちらの方を御覧いただければと存じます。

 それでは、以上をもちまして、本日の総理記者会見を結ばせていただきます。様々御協力いただきまして、ありがとうございました。

 では、以上で終了いたします。