[文書名] 新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見
【菅総理冒頭発言】
先ほど新型コロナ対策本部を開催し、緊急事態宣言の対象に栃木県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県及び福岡県の7つの府県を追加することを決定いたしました。期間は2月7日までであります。
さきの1都3県に続き、他の地域においても厳しい状況が続いています。皆さんも不安に感じておられることと思います。しかし、この厳しい状況を好転させるためには欠かせない措置であることを御理解賜りたいと思います。必要なことは、あらゆる手段を尽くして取り組んでまいります。制約の多い生活で御苦労をおかけいたしますが、何としても乗り越えていかなければなりません。国民の皆さんの御協力をお願い申し上げます。
追加した7つの府県については、新規感染者数、病床の利用率など、いわゆるステージ4に相当する指標が多いこと、東京圏、関西圏、中部圏、福岡県、こうした大都市として人口が集中しており、全国に感染が広がる前に対策を講じる必要があること、こうした要素に基づいて、専門家の御意見も伺い、判断をいたしました。
対策の内容は、前回と同じく、飲食店の夜8時までの時間短縮、テレワークによる出勤者数7割減、特に夜8時以降の不要不急の外出の自粛、スポーツ観戦・コンサートなどの入場制限、こうした4つの対策になります。
今回対象になる地域以外にも、ステージ4に向けて感染が拡大している地域については、緊急事態宣言に準じる措置として、飲食店の時間短縮など、同じ4つの対策を講じる場合には、国として宣言の対象地域と同じ支援を行うこととします。タイミングを逸することなく、効果的な措置を講じてまいります。
緊急事態宣言は、法律に基づいて幅広い措置を採るものであり、感染対策を徹底する強力な手段であります。一方で、皆さんの生活を大きく制約するものであり、政権として発出をするのか、いつ発出するかについては、最善の判断をする必要があると考えています。12月31日に東京都の感染者数が1,300人となりました。この数字を見て、私は、より強力な措置が避けられない、このように考えました。専門家からも、正に緊急事態宣言を発出する時期に至ったとの提言を頂きました。強い措置を一挙に講じることで、何としても感染拡大を食い止めるため、1都3県を対象に緊急事態宣言を決定しました。さらに今回は、全国への感染拡大を防ぐために対象地域を追加します。
これまで1年近くの経験に基づいて、効果があるものは全て対象とし、徹底的な対策を行います。特に、かねて感染リスクが最も高いと言われている飲食については、夜8時までの飲食店の時間短縮を要請します。さらに、不要不急の外出については、飲食店が閉まる夜8時以降だけでなく、日中も控えていただくよう、お願いをいたします。また、昼間の時間帯や夜8時までについても、お酒を飲んで大きな声を出す、距離を取らずに座るなど、感染リスクの高い飲食を避けていただきたいことはもちろんのことであります。
今回の対策全体が効果を挙げるには、国と都道府県がしっかり連携し、国民の皆さんの御協力を頂くことが極めて重要なことです。昨日、1都3県の知事と意見交換を行い、今後連携をして、対策を行っていくことを確認いたしました。今後、今回追加された府県を含めて、政府と各都府県との連絡会議を新たに設けます。この連絡会議の議論を通じて、感染拡大を何としても防ぐために、都道府県には地域の実情を踏まえた対策を実行していただくとともに、国としては最大限必要な支援を行ってまいります。
医療体制の確保にも全力を挙げています。東京都では、コロナ病床の確保のために国と一つのチームになって、国がしっかり財政支援を用意した上で、一つ一つの病院に直接働きかけを行い、今年になって500床の病床を確保しました。今後、他の地域においても同様の取組を行い、病床の確保を徹底的に進めてまいります。
ワクチンについては、できる限り2月下旬までには接種開始できるよう、各自治体において会場の設定などの準備に入っていただいており、国として接種の費用を全額負担し、全力で支援してまいります。
水際対策について、年頭の会見において私は、ビジネストラックに合意している相手国の国内で変異株が発見された際は即時運用を停止する、そうした方針を表明しました。同時に、入国に対しての検査も強化し、水際からの感染拡大防止に万全の対策を講じてまいりました。
これまで、ビジネストラック及びレジデンストラックに合意している11か国からの入国者に変異株の感染が確認された事例はありません。しかしながら、現在の国内の深刻な感染状況に加えて、直近では、英国からの帰国者によるクラスターで変異株が確認された事例、また、ブラジルからの帰国者で新たな変異株が確認された事例、こうしたことが相次ぎ、国民の皆さんの不安が更に高まっている現状を大変重く受け止めております。
国民の皆さんの命と暮らしを守る、あらゆるリスクを予防的に取り除くために、ビジネストラック及びレジデンストラックについては、緊急事態宣言が発令されている間、一時停止することにいたします。今後速やかに相手国との調整を完了し、これら11か国からの新規入国を一時的に停止いたします。
本日の決定により、飲食店20時までの時間短縮、不要不急の外出の自粛、テレワーク7割、イベントの入場制限という4つの措置が全国の大都市圏に拡大されます。あらゆるリスクを取り除くべく、水際規制についてもビジネストラック、レジデンストラック、一時停止します。この強力な枠組みによって事態を好転させてまいります。対象期間である2月7日までの間、徹底して行動を見直していただきたいと思います。
特に30代以下の若者の感染者が増えています。多くの方は無症状や軽症ですが、若者の外出や飲食により、知らず知らずのうちに感染を広げているという現実があります。今の状況を長引かせないために、国民の皆さん、そして国、自治体が同じ方向に向かって、制約のあるこの生活を乗り越えていかなければなりません。あらゆる方策を尽くし、国民の皆さんの命と暮らしを守ります。是非皆さんに今一度の御協力をお願いいたします。
【質疑応答】
(内閣広報官)
それでは、これから皆様から質問を頂きます。
尾身会長様、所定の位置にお進みください。
質問の内容により、尾身会長にも御説明いただくという形になります。指名を受けられました方は、近くのスタンドマイクにお進みいただきまして、所属とお名前を明らかにしていただいた上で1問ずつ質問をお願いいたします。質問が終わりましたら、自席までお戻りください。なお、自席からの追加の質問はお控えいただければと存じます。
最初は、慣例に従いまして、幹事社2社から質問を頂きます。
それでは、幹事社の方、どうぞ。
時事の大塚さんからどうぞ。
(記者)
幹事社の時事通信の大塚です。
緊急事態宣言の対象拡大について、菅総理は7日の記者会見ではそうした状況にはないと発言していました。結果的に見通しが甘かったのではないでしょうか。また、今後宣言を全国に拡大する可能性はあるのでしょうか。お願いします。
(菅総理)
まず、緊急事態宣言については、法律に基づく措置によって感染対策を徹底する強力な手段です。一方で、皆さんの生活を大きく制約もいたします。政権としては、発出に当たって最善の判断が求められます。先週の段階では、大阪の感染者が急増したのは直前のことであり、専門家の皆さんからもよく原因を分析すべきである、そうした評価でありました。それに基づいて、私は1都3県を対象とする判断をいたしました。
今回対象とした地域については、新規感染者数、病床の利用率、こうしたものがいわゆるステージ4に相当する指標が多いこと、大都市圏は人口が集中して全国に感染が広がるリスクがあること、こうした要素に基づいて判断をいたしました。
専門家の立場から、先生から、尾身会長からも。
(尾身会長)
今の御質問ですけれども、今回の決定の背景は、私は以下のようなことだと思っています。それは、東京の場合には12月に入ると徐々に感染が拡大してきましたよね。それで12月の中旬になると人口10万当たりの数がいわゆるステージ4に当たる25を超えてきて、しかも12月29日には東京都のモニタリング会議でもこれはかなりひっ迫しているという状況で、それで31日になって急上昇ということ。一方、大阪は実は東京と違って、年末までには下降の傾向を示していて、実際に先ほどの25ですね、10万対25という指標を超えたのは、実は年が明けて1月の確か4、5、6だったと思います。そういう意味では、東京と大阪、首都圏と関西で大ざっぱに言えば半月ぐらいの時間差があったということで、しかも、東京の場合にはもう皆さん御承知のように入院の調整をする、人の数が入院しているあるいは宿泊施設が多くてというようなこともあって、そういうことから今回の新たなものが加わった、そういう経緯だと私は思っております。
(内閣広報官)
それでは、幹事社の方、もう1社どうぞ。
では、テレ東の篠原(しのはら)さん。
(記者)
引き続きまして、幹事社テレビ東京の篠原です。
外国人ビジネス関係者の新規入国を全面停止するとのことですけれども、当初、菅総理は継続にこだわったとの見方もあります。方針転換だとすれば、それはどのような理由があったのでしょうか。また、本来であれば緊急事態宣言を最初に発出した段階で即時こうした措置を採るべきではなかったのでしょうか。東京オリンピック・パラリンピック開催を意識して判断が遅れたとの指摘もありますが、この点はいかがでしょうか。
(菅総理)
まず、東京オリンピック・パラリンピックを意識して判断が遅れたということはありません。実はこれまでも水際からの感染拡大防止に政府としては万全の対策を講じてきました。先ほど申し上げましたけれども、ビジネストラック、レジデンストラックの相手国からの入国者に変異株の感染が確認された事例はなかったのです。しかし、現在の国内の深刻な感染状況に加えて、最近では英国からの帰国者によるクラスターで変異株が確認された事例、また、直近ではブラジルからの帰国者に新たな変異株が確認された事例、こうしたことが相次ぎました。国民の皆さんの不安が更に高まっている現状というものを、重く私は受け止めました。国民の皆さんの命と暮らしを守る。あらゆる手段を講じて予防的にリスクを取り除く。こうしたことの観点から、今回、緊急事態宣言に合わせて発令されている間、一時停止をする、このように判断をいたしました。
(記者)
もっと早く発出すべきだったということについてはどのようにお考えですか。
(菅総理)
今、私が申し上げたとおり、まずビジネストラック、レジデンストラックからの相手国からの変異株というのは今までなかった。しかし、ここに来てイギリスからのクラスターによる変異株が発見されて、また、ブラジルからの帰国者でそうした変異株も発見されました。そうしたことによって国民の皆さんの不安が大きくなったということも事実だというふうに思います。そうしたことを踏まえた上で判断したと、そういうことであります。
(内閣広報官)
それでは、ここから幹事社以外の皆様から質問を頂きたいと思います。質問を希望される方は挙手をお願いいたします。
それでは、NHKの長内さん。
(記者)
NHKの長内と申します。
総理、先ほど国民への協力を重ねて呼びかけられましたが、自粛疲れやですね、慣れ、こういったものに対してはどのように取り組んでいかれるお考えでしょうか。
(菅総理)
まず、昨年の春と夏に続き3回目の感染拡大であって、確かに国民の皆さんには慣れや疲れがあるというふうに思っています。しかし、今回は諸外国を含めて、大都市圏を中心に過去最高水準の感染拡大が続いております。正に大きな波が来ている。何としてもこの感染拡大を減少方向に持っていかなければならない。そうしたことを国民の皆さんに強く訴えると同時に、引き続き、この飲食店の時間短縮を始めとする今回の4つの対策、こうしたものをしっかり実施して、国民の皆さんにも御協力を頂く中で、感染を減少させていきたい。このように思っております。
先生からもよろしいですか。
(尾身会長)
私は、今の国民の自粛疲れということで、去年ぐらいからなかなか協力が得られなかったですよね。これには私は幾つかの理由があると思います。1つは、やはりこのウイルスの特徴で、感染しても比較的無症状あるいは軽症の人が多いということが、これが4月に比べて分かったということと、それから、当然これは長い間もう自粛していますから、人間的にそういう、言わば辟易(へきえき)感というのがあったと。それから、今はもうこれで緊急事態宣言を出したことでそのことはなくなりましたけれども、一時、国と自治体の一体感が必ずしもなかったというようなことがあったと思います。
しかし、これで私は今、国民の行動変容という意味では、いろいろなことが大事ですけれども、私どもが今、最もやるべきことは、昼夜を問わず外出をなるべく控えることだと思います。
(内閣広報官)
それでは、次の御質問を頂きたいと思います。
では、中国新聞の下久保さん。
(記者)
中国新聞の下久保です。よろしくお願いします。
今回の緊急事態宣言には入っていませんが、罰則化についてお伺いします。
感染症法改正による罰則化の話が出ています。厚生労働省は保健所の調査への回答を拒否したり、虚偽の回答をした人への罰則を科すことを検討していることを明らかにしました。罰則化については世論に賛否があると思います。国民の幅広い理解を得るためには、やはり保健所の調査の回答拒否や虚偽回答が実際どれぐらいあるのか、また、どれほど深刻な問題かを裏付けるような具体的な数字を示してもらいたいと思います。手持ちの数字はあるものですか。また、今後、数字を公表する考えがあるのか、総理のお考えと、この罰則化について尾身先生の御意見も聞かせてください。
(菅総理)
まず、感染の拡大防止を図るために、新規陽性者の過去の行動を調査して、濃厚接触者の特定をして対策を講じることが、これは極めて重要なことであります。
一方で、現場からは、調査に協力いただけないケースがあり、感染者が増えるに従ってそうしたケースがどんどん増えてきている。そういうふうに報告を受けています。こうした調査がより実効性を上げることができるように、感染症法の改正を検討しており、こうした協力を頂けるような体制を採ることが大事だと思っています。
いずれにしろ、どのぐらいの協力を頂けないケースがあったのか、そうしたことも私、具体的には承知しておりませんが、そうした事例がたくさんあったという報告を受けていますので、そうしたことの実例について、やはり申し上げる必要があるというふうに思っています。
(尾身会長)
私自身は、罰則については分科会のメンバーの中でも、むしろ罰則というよりはしっかりと協力してもらえるような支援の仕組みというのをしたほうがいいのではないかという意見もあるし、それと同時に、一定程度の最低限の罰則というのも場合によってはやむを得ないのではないかという両方の意見があります。
むしろ分科会というか、我々専門家の方としては、今までこういう立場として1年以上この感染症対策に直接的に関与させていただいたわけですよね。そういう中で、実は今の感染症法の改正も、あるいは特措法の改正も、実は我々、こういう部分をもしかして改善していただければもっと感染対策が進んだろうと思うところがあります。
それは、例えば一つだけ今挙げますと、我々、この対策をするにおいて最も大事なことの一つは、疫学情報、重要な疫学情報を、もちろん個人情報を守るという条件ですけれども、なるべく早く迅速に自治体間あるいは自治体と国の間で共有するということ、これが極めて重要だと思うのですけれども、それが今回、なかなか、いろいろな様々な理由で、我々が望むレベルには必ずしも到達していない。これについては、是非国会で感染症法あるいは特措法の改正をするときに、その罰則と、あるいは協力金にするとかいう議論、お金のことと同時に、実際どういうことがあったので感染症対策が進まなかったということを十分、我々はまたそのことついてはしっかり問題提起をさせていただいて、そういうことも含めて議論していただければと思います。
(内閣広報官)
それでは、次の御質問を頂きたいと思います。
では、内閣記者会以外からで、外プレの方でブルームバーグ、ノブヒロさん。
(記者)
ブルームバーグのノブヒロと申します。
総理に医療体制についてお尋ねします。
現在、国内では感染は拡大しているところですが、例えば米国のように1日に万単位の感染者が出る国と比べるとかなり水準は違っています。こういう状況にもかかわらず、今、国内では医療崩壊の可能性というものが指摘されていますが、これは根本的に何か医療制度であったり、体制に関して、問題があるとお考えでしょうか。もしそうであれば、何らかの改革に取り組むお考えはあるでしょうか。
(菅総理)
まず、国によって医療提供体制の状況だとか、医療に対しての考え方も、これは国によって違うというふうに思っています。我が国では、コロナ対応の医療機関は通常診療を行いながら、その上に乗せる形で新型コロナのための診療を実施してもらっています。感染拡大が続く中に、まずは必要な医療、その提供を受けられるように病床を確保していく。このことが極めて重要だというふうに思います。
冒頭、私が申し上げましたけれども、国とこの宣言対象の都府県、その間に連絡会議を設けて緊密に連携しながら、地域のあらゆる医療資源を総動員して、まずそういう中でコロナに対応する病床を確保していくことが大事だということであります。
それで、都と国が正に一体となって財政的支援を国はさせていただきますから、そうしたことの中で、今年に入ってから東京都において500床を確保することができたという報告は受けております。こうしたことを全国に広げていくことが大事だというふうに思っています。
いずれにしろ、体系が違いますので、比べることはなかなか難しいと思いますけれども、日本の事情はそういうことであります。
(内閣広報官)
それでは、次の御質問へ行きたいと思います。
では、毎日新聞の笈田(おいた)さん。
(記者)
毎日新聞の笈田と申します。よろしくお願いします。
総理はこの間、特に大阪府に関して、早くから営業時間の短縮要請に取り組んで、結果、効果が出ていると高く評価されていたかと思うのですが、今回、その大阪府に対しても緊急事態宣言の発令をされることになりました。総理としては、飲食店への営業時間の短縮要請ということで、対策としては十分とお考えでしょうか。また、今後、休業要請等、より強い措置を採るお考えはありますでしょうか。お願いいたします。
(菅総理)
今回は、これまでの1年間、このコロナ対策を行ってきたその学習効果として、徹底的に対象を絞って、効果のあるものについては行っていきたいと思っています。
まず、飲食店につきましては、今回20時までの時間短縮をお願いします。実は私が申し上げた当時、大阪は21時までの時間短縮でありました。これは場所によって違うと思います。そういう中で、先ほど尾身先生からお話ししましたけれども、一時、去年の暮れぐらいは下降になってきたということも事実でありますので、私はそうしたことを申し上げました。
今回はさらに8時の短縮と同時に、テレワーク7割、8時以降の不要不急の外出の自粛、またイベントの入場制限、こうしたことを、この4つの対策をお願いしますので、効果は必ず出てくる、このように考えています。
また、専門的な観点から先生、よろしいですか。
(尾身会長)
今の大阪の時短あるいは休業要請のことですけれども、私は今、総理がおっしゃったように、今回の経験で時短というものが、今回の北海道だけではなくて、もう夏の頃から時短というものが一定程度、万能薬ではありませんけれども一定程度効果があったということは分かって、明確になっています。しかし、今回の緊急事態宣言を出すような今の状況においては、それだけでは感染を下火にすることはできないと思います。したがって、先ほど4つの柱というように、外出自粛や人の移動の自粛やテレワーク、イベントの制限、そういうことで幾つかめりはりのあるポイントがありますから、そういうことを総合的にやる必要があると思います。
大阪についても、もちろんこれから対策を打つ上で非常に重要なのは、2月7日になるまでモニターをしないということではなくて、適宜ですね、いろいろな評価、感染の動きを知るだけではなくて、いろいろな対策を打ちますので、それの効果があったのか、ないのかということを適宜、なるべく頻回に評価して、うまくいけば、ベスト・ケース・シナリオの場合はどんどん行くし、あるいは最悪のことも想定しなくてはいけませんので、そういう仮に最悪の場合、これが起きたということで、なりそうだとあれば、もっと強い、時短よりも休業要請ということも選択肢としては、そういう場合に選択肢としてはあり得るし、そうではないベスト・ケース・シナリオの場合は、また別のシナリオもあるということだと思います。
(内閣広報官)
それでは、次の御質問に行きたいと思いますが、では、産経の杉本さん。
(記者)
産経新聞の杉本と申します。
北朝鮮問題についてお伺いしたいと思います。
つい先日、北朝鮮の朝鮮労働党が党大会を開きまして、総書記になった金正恩氏が核戦力を強化すると。戦術核を開発するといったようなことを強調いたしました。この状況を踏まえて、総理はこれまで金正恩氏と直接対話するという姿勢を示していましたけれども、これは条件を付けずに対話を呼びかけるという姿勢は維持されるのでしょうか。そうだとすれば、今後どのようにそれを呼びかけていくか。例えば東京オリンピックなどの機会を通じて、北朝鮮側の幹部と対話の機会を模索する等といった総理のお考えをお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。
(菅総理)
まず、拉致問題は菅内閣にとっても最重要課題です。そして、拉致被害者の御家族の皆さんも御高齢になっており、一刻の解決に向かっての猶予はないと私は認識しています。そういう意味で、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意であります。
日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核・ミサイルといった諸懸案を包括的に解決して、不幸な過去を清算して、北朝鮮と国交正常化を目指す。この考えに変わりはありません。また、あらゆるチャンスを逃すことなく、と思っています。
東京大会の北朝鮮の参加については、これはIOC(国際オリンピック委員会)とか大会組織委員会などとの間で調整をされるのでしょうけれども、注視をして、チャンスというものを逃すことがないようにしたい、と思っています。
(内閣広報官)
それでは、大変恐縮ですが、次の日程がございますので、あと1問とさせていただきます。
では、内閣記者会以外の方で、日本ビデオニュース株式会社の神保さん。
(記者)
ありがとうございます。ビデオニュースの神保です。
総理、今日、会見を伺っていると、基本的に国民にいろいろ協力を求めるというお話をずっとされてきましたが、もう一つ我々が是非知りたいのは、その間、一体政府は何をやってきたのかと。国民に協力を求めるのはもちろん必要なのでしょうけれども、では政府は何をやっていたのかということを知りたい国民が多いと思います。
そこで、先ほど医療崩壊についての質問があったので、是非お伺いしたいのですけれども、先ほど日本は日本の独自の医療の仕組みがあるから、違うからというお答えだけでしたけれども、日本は病床数は世界で、人口当たりの病床数は世界一多い国ですよね。今、感染者数はアメリカの100分の1くらいですよね。それで医療がひっ迫していて、緊急事態を迎えているという状況の総理の説明が、単に医療の体制が違うんですというので果たしていいのでしょうか。つまり、体制を作っているのは政治なのではないかと。政治が法制度を変えれば、それは変えられるではないですか。
そこで質問です。もうすぐ国会が始まります。例えば医療法によって、今、政府は病院の病床の転換というのは病院任せにするしかない、お願いするしかない状況になっていますけれども、例えば医療法の改正というのは、ただ単にシステムが違いますではなくて、今の政府の中のアジェンダに入っていないのでしょうか。
それから、同じく感染症法の改正、これもコロナが当初あまりどういう病気か分からない段階で二類相当にしてしまった。なので、軽症者や無症状者でも非常に厳重に扱わなければいけなくなっている。それも医療に非常に大きな負担になっている。それも法制度を変えれば随分変わってくると思うのですが、そういうことがむしろ政府の仕事ではないのかと。なので、国民に対していろいろ犠牲をお願いすると同時に、政府側がこういうことをするという話が総理から出てくるのを待っていたのですけれども、なかなか出てこないので、是非そこは、特に国会が始まりますので、法制度の部分で2つの法律、今国会で改正されるおつもりがあるのかどうかも含めて御認識をお願いします。
(菅総理)
まず、このコロナ感染者への医療について、政府として、そこに対応してもらっているその医療機関に対して、しっかり御支援をさせていただいたり、あるいは保健所への人員の派遣、そうした体制を作ったり、クラスターが発生すると政府のチームがそこに行って対応するなど、そうしたことについて政府は対応を行ってきました。
そしてまた医療機関でありますけれども、日本には今の法律がある中で、ひっ迫状況にならないように、政府としては、ベッドは数多くあるわけでありますから、それぞれの民間病院に一定数を出してほしいとか、そういう働きかけをずっと行ってきているということも事実であります。
そして、この感染症については先ほど申し上げましたけれども、法律改正は行うわけでありますから、それと同時に医療法について、今のままで結果的にいいのかどうか、国民皆保険、そして多くの皆さんが診察を受けられる今の仕組みを続けていく中で、今回のコロナがあって、そうしたことも含めて、もう一度検証していく必要があると思っています。それによって必要であれば、そこは改正するというのは当然のことだと思います。
(記者)
現時点ではお考えになっていないという、医療法の改正については。
(菅総理)
今、申し上げましたように、それは検証する必要があると思っています。そして、その上のことだと思っています。
(内閣広報官)
大変恐縮ですが、次の日程がございますので、会見はこちらで結ばせていただきたいと思います。
今、挙手されている方につきましては、各1問メールでお送りください。後ほど総理の回答を書面でお返しをさせていただくとともに、ホームページでも公開をさせていただきますので、どうぞ御理解を頂きますようにお願いをいたします。
では、以上をもちまして、本日の総理記者会見を結ばせていただきます。
皆様の御協力に感謝を申し上げます。ありがとうございました。