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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見

[場所] 
[年月日] 2021年4月23日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

【菅総理冒頭発言】

 先ほど新型コロナ対策本部を開催し、緊急事態宣言の発出を決定いたしました。

 東京都、京都府、大阪府、兵庫県を対象として、期間は4月25日から5月11日までであります。また、まん延防止等重点措置について、この期間において愛媛県を追加し、宮城県、沖縄県も5月11日までとすることを決定いたしました。

 全国の感染者数は、先月以来増加が続き、重症者も急速に増加いたしております。大阪、兵庫の感染者数は、いわゆるステージ4の中でも高い水準にあり、医療提供体制はこれまでになく厳しい状況にあります。東京、京都においても感染者数の増加ペースが日増しに高まっており、いわゆるステージ4の水準に至っております。特に懸念されるのは変異株の動きです。陽性者に占める割合は、大阪、兵庫で約8割、京都で約7割、東京でも約3割に上昇するなど、強い警戒が必要であります。このまま手をこまねいていれば、大都市における感染拡大が国全体に広がることが危惧されます。

 こうした中で、再び緊急事態宣言を発出し、ゴールデンウィークという多くの人々が休みに入る機会を捉え、効果的な対策を短期間で集中して実施することにより、ウイルスの勢いを抑え込む必要がある。このように判断をいたしました。私自身、これまで、再び宣言に至らないように全力を尽くすと申し上げてきましたが、今回の事態に至り、再び多くの皆様方に御迷惑をおかけすることになります。心からおわびを申し上げる次第でございます。

 今回の宣言の下では、感染源の中心である飲食に対する対策を、夜間に限らず徹底します。同時に、大都市における人流や都市間の移動を抑え、人と人の接触を減らすために、これまで以上に踏み込んだ対策を実施します。

 第1に、飲食店における酒類の提供を控えていただきます。お酒を伴う飲食の機会は、ともすれば、大声、長時間となり、感染リスクが高いことがこれまでも指摘されています。飲食店においては、20時までの時間短縮と併せ、終日、酒類提供の停止を要請いたします。また、路上などで、飲食店以外であってもお酒を飲むことが感染につながることのないよう、十分な注意をお願いいたします。さらに、カラオケの提供も停止を要請いたします。

 第2に、一段と感染レベルを下げるために、人流を抑え、人と人の接触機会を減らすための対策です。外出を通じた人の接触は感染のきっかけになり得るとの専門家の御指摘もあります。デパート、テーマパークに加え、一定の規模を上回る商業施設や遊興施設など多くの集客が見込まれる施設について休業を要請いたします。また、イベントやスポーツの原則無観客での開催を要請いたします。併せて、皆様には不要不急の外出、さらには帰省や行楽を始め、感染拡大地域との往来はできるだけ控えていただきますようにお願いいたします。そして、テレワークや休暇の活用により、出勤者を例年並みの7割減とするよう、要請いたします。

 これまでガイドラインを遵守しながら事業を続け、感染防止に取り組んでこられた多くの方々がおられます。期間を限った措置とはいえ、休業といった踏み込んだ対策をお願いすることは誠に心苦しく、申し訳ない限りであります。

 しかし、今回の厳しい対策の背景の一つには、若年層で感染が拡大しているという現実があります。そして医療の現場では極限の闘いが続いています。若い世代での感染を抑制し、リスクの高い高齢者への波及を防ぐ、そうした意識を社会で共有することが強く求められております。

 また、クラスターも多様化し、福祉施設、医療機関、飲食店に加え、職場や大学のクラブ活動など、様々な場面での発生が報告されております。福祉施設等の定期検査に加え、一人一人が意識をもって行動し、マスク、手洗い、3密の回避という基本的な予防対策を徹底するよう、お願いいたします。

 今回、大きな影響が避けられない飲食、宿泊、商業施設などに、事業の継続に支障が出ることのないよう、資金繰り対策に万全を期すこととし、私が先ほど本部で速やかな対応を全閣僚に指示しました。また、雇用調整助成金を活用して雇用を守るとともに、緊急小口資金などにより暮らしを守ってまいります。休業や時間短縮を伴う飲食店は、事業規模に応じた協力金で支援を続けてまいります。大規模施設の休業要請に対しては、施設の中の店舗を含め、雇用調整助成金に加え、新たな協力金で支援します。宣言による人出の減少で大幅に売上げが減少する事業者には、新たに一時金を支給します。また、宿泊事業者の感染防止などの取組を支援してまいります。さらに、都道府県による事業者支援を後押しするために、5,000億円の臨時交付金を措置します。

 大阪府においては、医療の現場に危機的な状況が続いています。国と自治体が一体となって病床確保の調整を行い、400床近くを新たに確保できる見込みです。また、全国から看護師の広域派遣を含め、約200名を新たに確保しています。引き続き国と自治体が協力し、医療体制の確保に全力で対応してまいります。

 ワクチンの接種が始まっています。多くの方々に速やかに受けていただくため、できることは全てやる覚悟で取り組んでいます。まずは医療従事者への接種を早急に終えます。そして、ゴールデンウィーク明けまでには約700万回分、それ以降は毎週約1,000万回分を全国の自治体に配布し、6月末までには合計1億回分を配布できるようにいたします。その上で、接種のスケジュールについては、希望する高齢者に、7月末を念頭に各自治体が2回の接種を終えることができるよう、政府を挙げて取り組んでまいります。

 自治体の多くで課題とされる人材確保のために、全国の接種会場への看護師の派遣と歯科医師による接種を可能とします。先般の訪米では、ファイザー社のCEOに要請を行い、本年9月までに全ての対象者に確実に供給できるめどが立ちました。高齢者への接種の状況を踏まえ、必要とする全ての方々への速やかな接種が済むよう、取り組んでまいります。

 新型コロナとの闘いは世界でも一進一退であり、また、予期せぬ変異を繰り返すウイルスの動きには全く予断を許さないものがあります。しかし、これまでの闘いの中で我々が学んだ知見の積み重ねもあります。ワクチンという武器もあります。厳しい闘いにも必ず終わりが見えてくると確信をしています。まずは緊急事態宣言に基づく酒類提供の停止、そして人流の抑制から成る新たな対策への、皆さんの御協力を心からお願いを申し上げます。

 この危機を乗り越えて、安心できる日常を取り戻すことができるように、自治体との協力、病床の確保、ワクチンの接種など、内閣総理大臣としてできることは全て全力を尽くしてやり抜きます。国民の皆さんの御理解をお願い申し上げます。

 私からは以上です。

【質疑応答】

(内閣広報官)

 それでは、これから皆様より御質問を頂きます。

 尾身会長におかれましては所定の位置にお進みください。御質問の内容によりまして、尾身会長にも御説明を頂きます。

 指名を受けられました方は、お近くのスタンドマイクにお進みいただきまして、所属とお名前を明らかにしていただいた上で、1問ずつ御質問をお願いいたします。

 それでは、まず幹事社から御質問を頂きます。テレビ朝日、吉野さん、どうぞ。

(記者)

 菅総理、よろしくお願いします。テレビ朝日の吉野です。

 まず、解除の基準についてですけれども、我々は何を達成すれば解除となるのでしょうか。例えば仮にステージ3をクリアできなかった場合には延長ということになるのでしょうか。

 それと、オリパラについてです。この状況ですけれども、菅総理はやりたいと、できるとお考えになりますでしょうか。

(菅総理)

 まず、宣言の解除であります。そのときの状況を総合的に考えた上で判断することとなります。ただ、今回はゴールデンウィークの短期集中、そして飲食の対策を強化して、お酒の提供を停止する、さらに人の流れを止めるために店舗や劇場の休業要請、こうしたあえて強い措置を講じるものであり、そうした前提で、まずは対策を徹底して結果を出したいと思います。

 オリパラに向けては、足元の感染拡大を静めることに、まずは全力で取り組みます。IOC(国際オリンピック委員会)は東京大会を開催することを、これは既に決定しています。IOCとして。そのことは各国のオリンピック委員会とも確認しております。政府としては東京都、組織委員会、IOC、しっかり連携を取って、安全安心の大会にすることができるように対策をしっかり講じてまいりたいと思います。

(内閣広報官)

 続きまして、ジャパンタイムズ、杉山さん、どうぞ。

(記者)

 ジャパンタイムズの杉山です。

 総理にお伺いします。昨年末には既に海外で変異株の報告がありました。そして、専門家が警告を発している中で、総理は2度目の緊急事態宣言の解除に踏み切りました。結果としてまん延を許し、感染が急拡大しましたが、政権の変異株に対する認識が甘かったのではないでしょうか。

 また、冒頭発言にもありましたが、3月18日の会見で、総理は、再び緊急事態宣言を出すことがないように、こうした5つの対策をしっかりやるのが私の責務だというふうに思っていますと述べていますが、5つの対策にもあるワクチン接種もまだ十分に広まっていない中で、再び緊急事態宣言を出すことに当たっての総理の政治責任について、どのようにお考えでしょうか。

(菅総理)

 まず、先般の緊急事態宣言の解除については、感染者数や病床など、状況に基づいて専門家の意見を伺った上で解除しました。例えば大阪ですけれども、実際は、当時、解除したときは、新規感染者数は72名でした。私たちはステージ4からステージ3になれば、1つの目安に、解除するものとしておりました。ステージ3が315まで、ステージ2が189までです、大阪では。それが72名。そして病床も、ステージ4が50、そしてステージ2が20。そのとき病床は29.8でありましたけれども、全体としてこのような状況の中で解除をしたということであります。

 そして、今回の緊急事態宣言に至ったというのは、やはり変異株が、私、冒頭申し上げましたけれども、大阪、兵庫では8割が変異株でありますから、そうした変異株の対策を行うことが大事だというふうに思っています。ただ、その対策を講じることというのは、基本的な従来の対策をしっかりやること、そういうことの中で対策を、そちらの勢いの方が強かったということだというふうに思います。それで、今回、人流を、このゴールデンウィークを中心として、短期間の間ですけれども止めさせていただく、そういう対策を講じたということです。

(内閣広報官)

 それでは、幹事社以外の方から御質問を頂きたいと思います。

 御質問を希望される方は挙手をお願いいたします。こちらで指名させていただきますので、マイクにお進みください。なるべく多くの方に御質問いただくためにも、質問は1問ずつ簡潔にお願いしたいと思います。御協力をお願いいたします。

 それでは、北海道新聞、佐藤さんからお願いします。

(記者)

 北海道新聞の佐藤です。

 総理にお伺いします。政府は飲食の場を急所と定めて中心に対策を打ってきましたが、今回、1年前のゴールデンウィークと同様、人の流れの抑制という強い措置への転換を迫られました。飲食中心のまん延防止措置の効果がなかったとは言いませんが、変異株の拡大の懸念がある中、この間、毎週末対策強化を迫られたことを考えると、この判断は誤りだったのではないでしょうか。見解をお伺いします。

(菅総理)

 今、私。

(記者)

 もう1つあります。すみません。

 まん延防止措置に関連して、感染者が急増する北海道も適用の要請検討を表明しました。北海道の現状をどう分析しているか、近々の適用もあるのかどうかと併せてお伺いします。

(菅総理)

 まず、北海道については日々緊密に連携を取っており、来週火曜日から21時までの時間短縮を行うというふうに聞いております。いずれにしろ、連携しながら、感染拡大を食い止めていきたい、このように思います。

 それで、今回の緊急事態宣言に至ったという過程の中で、先ほど私が申し上げましたとおりに、やはり変異株が大阪、兵庫を中心として約8割でありますから。拡大が大きく続いているという、そういう中で、若い人が感染する方が非常に今回多いのが特徴でありまして、若い人から家庭に帰って家族にという、そうしたことを考えたときに、人流を止める必要があるという、尾身先生を始め専門家の先生方の御指摘の中で今回採らせていただきました。先生からもよろしいですか。

(尾身会長)

 御質問は、前は飲食の場というのを中心にやっていたのを、今回は人の流れということで、なぜ変えたかということだと思いますけれども。私は基本的には、変異株のこともあって、今の日本の状況は間違いなく新しいフェーズに入ったと思います。それには幾つか理由がありまして、1つは感染の場が多様化しているということであります。それから、今、総理もおっしゃったように、変異株の影響もあって感染がしやすくなっていると同時に、比較的若い年齢層でも重症化しているというようなこともあります。

 今、ここまで感染が広がってきますと、いわゆる飲食店での時短というのはこれからももちろん重要ですけれども、実は人と人との接触の機会をなるべく避けるということが今一番求められていると思います。そういう意味では、商業店の休業要請というようなものは、実は人と人の接触の機会をできるだけ避けるための環境づくりということだと思いますので、今回はこういう状況になっていますので、人と人の接触の機会をできるだけ避けるということが私は最大の目標だと思います。

(内閣広報官)

 それでは、日本テレビの天野さん、どうぞ。

(記者)

 日本テレビの天野と申します。よろしくお願いします。

 総理にお伺いします。今年に入り4か月中およそ3か月は緊急事態宣言かまん延防止等重点措置が発出されています。また、それらの措置を求めるたびに、ここで感染拡大を抑えると述べられてきましたが、結果的に、現在出ているまん延防止等重点措置の効果の検証も行われないまま、緊急事態宣言を選択されました。

 先ほど若い世代での感染を抑制するとおっしゃっていましたが、その若い世代に影響力のある歌手の野田洋次郎さんら著名人が、今回、宣言なんて聞く気になれないと吐露するなど、措置の対象地域の国民の自粛疲れはピークに達しています。今回の緊急事態宣言の効果を最大化するためにも、総理は改めて、このような国民感情にどのように向き合い、どのように協力を求めていくお考えでしょうか。お願いします。

(菅総理)

 冒頭、申し上げましたけれども、宣言の発出に当たり、再び多くの方に御迷惑をおかけします。特に政府の今日までの対策に御協力いただいて、自ら様々な対策を採ってきてくれた方、そしてクラスターの発生をしていない、そうした方にも、今回、人流を止めるために制約を強いられる結果になったことについて、大変申し訳なく思っております。感染対策を実効のあるものにしていくためには、そうした皆さんにも再度協力をお願いしなければならない、このことについて、私、先ほど申し上げたとおりであります。

 ただ、そこもできるだけ短い期間と思いまして、このゴールデンウィークという休みの期間を活用させていただいて、短期にそうした人流を止めさせていただきたい、そういうふうに思っています。こうした、新しい、今日発出しました緊急事態宣言、対策にも、国民の皆さんに是非もう一度御協力をお願いしたい、そういう思いであります。

 尾身会長からもよろしいでしょうか。

(尾身会長)

 先ほど、重点措置を発出するから、今回3回目の緊急事態宣言になったということですけれども、私は、この感染症は実は感染をゼロにすることはできないので、以前からリバウンドが起きるということを申し上げていました。したがって、これからも、私はリバウンドの予兆を早く見つけるということで、実は4月15日に私ども分科会はなるべく早く予兆を見つけて、重点措置の強い対策を打つタイミングについて、前よりも踏み込んだ提案をさせていただきましたので、これから一度下がってもまた必ず来ますから、それが大きな医療のひっ迫にならないように、早く、特に重点措置については機動的に先手を打つということで、是非私どもが提案させていただいたタイミングを、打つ指標というのをつくりましたから、それを各自治体は参考にしていただければと思います。

(内閣広報官)

 それでは、奥の列からドワンゴの七尾さん、お願いします。

(記者)

 ドワンゴニコニコ動画の七尾です。連日お疲れさまです。よろしくお願いします。

 今回の宣言期間中は、基本、会社の休みが多いとは思うのですけれども、連休明け、宣言明けには、要請だけでは再び都市部で通勤ラッシュが始まる可能性があると思います。日本生産性本部の今月の調査によりますと、8割以上が何とテレワークを実施しておりません。飲食店、商業施設などだけが痛みを負い続けていて、エッセンシャルワーカーの皆さんなどを除き、テレワークに何も対応していない企業、会社経営者がかなり多いというのは、これはフェアではないのではないでしょうか。

 現状の改正特措法では、オフィスの立入禁止、通勤の削減はできません。インド二重変異ウイルスも5件確認されている中、最後のカードでありますこの緊急事態宣言では効果が見られないケースも想定して、通勤者の削減を要請ではなく確実に担保する新たなカードの必要性についてお聞きします。よろしくお願いします。

(菅総理)

 職場内で感染拡大も進んでいることも事実であります。人の流れを止めるためにも、テレワークの徹底を含めた職場での感染対策も、ここは極めて重要だと思います。

 こうした観点から、今、御指摘を頂いたことも一つの考え方だというふうに思います。まずはテレワークの、休暇、その活用によるそうした環境を、もう一度私ども、改めて経済界、いろいろな会社の皆さんにもお願いをして、まずここは緊急の中でテレワークの実施をお願いさせていただく、そういうことになっております。

 当初、この緊急事態宣言を行ったときは、7割ものテレワークの方がいらっしゃいまして、そういう状況がありましたので、もう一度、今回改めてお願いをさせていただきたいと、こういうふうに思います。

(内閣広報官)

 それでは、NHKの長内さん。

(記者)

 NHKの長内と申します。

 総理にお伺いします。今回大型連休に合わせて短期集中的な対策を講じるということですけれども、同じように休む人が多かった年末年始に人の流れを十分に抑制できなかったことについては、どのようにいかしていくお考えでしょうか。

(菅総理)

 昨年から今年にかけての年末年始、特に年末の忘年会が多いとき、クリスマスとか、そういう中で感染者が拡大したことは、ここは事実であったというふうに思います。そうした反省の上に立って、今回、思い切って人流まで踏み込ませていただきました。いずれにしろ御迷惑をおかけするわけでありますけれども、できる限り最小限にするためには、このゴールデンウィークをいかに活用するかということを考えて、そういう中で今回、専門家委員会にかけてこのような対策を講じさせていただくことにいたしました。

 先生からもちょっとよろしいですか。尾身会長からもよろしいですか。

(尾身会長)

 今、御指摘のあったように、実は去年の第2回目の緊急事態宣言を出した一つの要因は、再三再四にわたる国や自治体からの要請にもかかわらず、様々な理由で年末年始、やめてくださいということがあったのですけれども、これがなかなか伝わらなかったという。これは、こういうことを通して、我が国の場合は恒例行事を通して感染が急に拡大することというのは、もうほぼ十分に我々は学んだわけですよね。そういう意味では、私は今回、緊急事態宣言の期間内にゴールデンウィーク、もう本当にこれは一般の人は楽しみたいというので、私も一個人としては残念だと思いますけれども、同じようなことを起こさないために、ここは是非ともゴールデンウィークの間は必要な外出を控えるということをするということが非常に重要で。と同時に、先ほど解除するとまた人が上がっちゃうんじゃないかということで、私は5月11日にまた評価するときに、やっぱりリバウンドをしないという、ある程度、ことを十分に、変異株の感染力とか重症化の影響に加えて、リバウンドへの可能性ということを十分考慮した上に解除することが、私は必要だと思います。

(内閣広報官)

 それでは、時事通信、大塚さん。

(記者)

 時事通信の大塚です。

 総理は事業者への支援について説明されました。財源確保のために今年度の補正予算を編成されるお考えはあるでしょうか。

(菅総理)

 今回の緊急事態宣言というのは、ゴールデンウィークを中心に短期集中で対策を講じる、その間、様々な支援策により、休業要請や人出の減少によって影響を受けられる方々をしっかり支えて、事業と暮らしを守っていきたい、そうした思いであります。

 そのためには、財源についてはこれまで措置した予算、さらに必要に応じて5兆円のコロナの予備費、こうしたものを活用してしっかり対応していきたいと思います。ですから、補正予算は考えておりません。

(内閣広報官)

 それでは、奥の、ビデオニュースの神保さん。

(記者)

 ありがとうございます。ビデオニュースの神保です。

 総理、先ほど総理は、内閣総理大臣としてできることは全てやるというふうにおっしゃられました。非常に重い言葉だと思いました。そこで質問なのですが、今回の緊急事態宣言というのは、確かに感染者が増えていることは増えていますが、その数としては、まだ、例えば欧米のピーク時に比べればはるかにまだ少ないですし、結局、緊急事態を出さなきゃいけなくなった一番の原因は、やはり日本の非常に脆弱(ぜいじゃく)な医療体制、簡単に医療がひっ迫してしまうということと切り離して考えることはできないんだと思うのですね。

 そこで御質問なのですが、日本は、内閣総理大臣が全てやる、その権限をもってしても、いまだに世界一の病床数があるものの1パーセントくらいしかコロナ病床がないという状況を変えることができない。つまり、もう日本は、総理の権限では病床数、コロナ病床数を、ちょっとずつは増えていますけれども、増やすことができないということをおっしゃっているのか、それとも、それは必ずしもプライオリティーが高くない、それほど優先的に取り組んでいないから、いまだに病床数が増えていなく、結果的に、これしきの感染者というのはちょっと言葉が違うかもしれませんが、すぐに緊急事態宣言を出さなきゃいけなくなっているのか。そして、もしできないのだとすれば、それはなぜなのかですね。総理はやりたいのだけれども、もしやろうとしている、できることは全てやっているのに増えないのだとしたら、それはなぜなのか。なぜ日本ではコロナの病床数が一向に増えないのか。是非そこを、皆さん知りたいと思っていると思いますので、そこをお願いします。

(菅総理)

 まず、今回のコロナの中で、やはりそうした医療関係者に対しての政府の権限というのは、現在、お願い、要請ベースでしかなかなかないというのがこれは現実です。そして、ワクチンも世界と比べれば遅れているとよく批判されます。このワクチンについても、国内治験。海外は国内治験を実は必要としない国がほとんどです。米国でこのワクチンが完成されればそれを使えるわけですけれども、日本は国内でも治験をやるように、そうした仕組みになっています。ですから、こうした緊急事態に対しての対応の法律を改正しなければならないと、私自身そこは痛切に感じています。病院にも、これは国の予算で支援しているところもありますけれども、ただ、国はそこの権限はないということです。こうした緊急事態の際に、そうしたことをやはり、この感染症で私たちは今、学習をさせていただいていますから、そうしたことを、落ち着いたら、そうした緊急事態の際の特別措置というものをつくらなきゃならない。こういうふうに私は思っています。

 ただ、今は、政府、地方自治体、協力して、お願い、要請の中でも手伝っていただいている方もたくさんいらっしゃいますし、現場の中で大変な思いで頑張っていらっしゃる方もたくさんいらっしゃいますので、そうしたことを考えたときに、日本は今の状況の中で緊急事態宣言をやらなければならない、そうした状況にあるということは御理解いただきたいと思います。

 ただ、緊急事態について、例えばワクチン、あるいは治療薬、こうしたものも治験をやると数が少ないですからなかなか出てこないことも事実なのです。そうしたことがないように、しっかり平時のときに法律をつくっておきたい。このように思っています。

(内閣広報官)

 続きまして、東京新聞、清水さん。

(記者)

 東京新聞、中日新聞の清水です。

 東京五輪・パラリンピック開催の判断基準についてお伺いします。前回の緊急事態宣言で感染が微増傾向だったにもかかわらず解除したのは、聖火リレー開始時に宣言が解除されていることを優先したためとの指摘がありました。また、今回、緊急事態宣言の期限を来月11日までとしたのも、IOCのバッハ会長の来日前に解除するためだとの指摘が今日の厚生労働委員会でもありました。

 各種世論調査では、今年の夏に予定どおりオリンピックを開催すべきだとの意見は少数で、多くの国民は、こんな状況で五輪ができるはずがないと今、思っています。総理は、緊急事態宣言を出しても五輪には影響がないと今週の火曜日におっしゃいましたけれども、コロナ対策と関係なく開催を前提にしているように見えます。国民の命を守ることよりも五輪が優先されていませんか。感染状況がどの時点で、どんな数値になれば五輪を開催し、どんな数値だったら開催しないという具体的な分かりやすい基準を国民に示すべきではないでしょうか。

(菅総理)

 オリンピックの聖火リレーがあるから解除したとか、しないとか、そういうことは全く関係しておりません。

 まず、東京オリンピックですけれども、これの開催はIOCが権限を持っております。IOCが東京大会を開催することを、既に世界のそれぞれのIOCの中で決めています。そして、安全安心の大会にするために、東京都、組織委員会、そして政府の中で、感染拡大を防ぐ中でオリンピック開催という形の中で、今、様々な対応を採らせていただいています。外国人の観客を入れないというのもその一例だというふうに思います。そこについて、コロナの感染拡大を防止する、国民の命を守る、これは当然、私どもの役割であります。そこはしっかりやりながら、オリンピックも対応していきたい。このように思います。

(内閣広報官)

 では、フリーランスの江川さん、どうぞ。

(記者)

 今のに関連してお伺いいたします。フリーランスの江川紹子と申します。よろしくお願いします。

 今、総理は、オリンピックについてはIOCが権限を持っているとおっしゃいました。しかし、IOCは日本国民の命や健康に責任を持っているものではありません。そういう観点で、しかも、さっき総理はスピーチで事態は全く予断を許さないとおっしゃいました。尾身会長からもリバウンドは必ず来るというようなお話もありました。そういう中で、何とかやりたいというのはすごく分かるのですけれども、もしかしたら、どのような状況になったら中止もやむを得ないというような判断基準のようなものは総理の中にあるのでしょうか。あるとすれば、それは何でしょうか。これをお伺いするのは、それが国民の安心につながるからだと思います。

 そして、今、海外からの観客は来ないというふうにおっしゃいましたけれども、オリンピック委員会や競技団体の関係者、そして、多数の報道陣が世界中から来るということが考えられるわけです。こういう人たちによって新たな変異ウイルスが持ち込まれない、あるいはそれが広がらないというための対策は、どのようなことを具体的に考えていらっしゃいますでしょうか。この問題については尾身先生の御意見も伺えるとありがたいです。

(菅総理)

 まず、IOC、オリンピックですけれども、IOCがそれぞれの国のオリンピック委員会と協議した上で決定しています。当然、日本が誘致していましたから、それは日本も当然、東京都、組織委員会、その中に入るわけですけれども、そういう中で、開催する方向で今、動いています。それで、開催する中で、IOCと東京都、組織委員会、そして日本政府、そういう中で会合をして、例えば先ほど申し上げましたけれども、外国人の、いわゆる応援される観光客の方には遠慮してもらうことをまずは決めています。それぞれ選手団の中で何人とかそうしたことも一つ一つ、日本に入国する人数も精査しながら行っているということを承知しています。

 それで、水際対策ですけれども、ここも水際対策、厳しく行っています。そこについては、PCR検査を来る前に受ける、日本で受ける、そして日本の中でオリンピック会場、行動も全て、そこは行動についてもしっかり抑制するように、そこのところの通勤だけ、選手村と例えば競技会場に行く特別の交通機関とかバスとか、そういう中で行くとか、そういうことを今、一つずつ決めているところです。ですから、変異株を持っていらっしゃる方が日本には入ることができないように水際でしっかり止めています。

(記者)

 やらないという。

(内閣広報官)

 自席からの御発言は避けていただきますよう、すみません、御協力をお願いいたします。

(尾身会長)

 私にもあったので、私は、オリンピックを開催するか、しないかに関わらず、我々日本に住む人々の健康と日本の医療を守るために、感染が拡大して医療がひっ迫するような状況は、私は絶対に避けた方がいいと思います。

(内閣広報官)

 それでは、フジテレビの千田さん、どうぞ。

(記者)

 フジテレビの千田です。

 自民党総裁選について伺います。さきの日米首脳会談を受けまして、総理は、バイデン大統領について、これからも付き合い続けていける、一緒にやりたい人という思いはものすごく強く思っていると話されました。バイデン大統領の任期は4年近くあります。総理がバイデン大統領と付き合い続けるためには再選が必須になってきますが、総裁選に再出馬する考えはありますでしょうか。

(菅総理)

 まず、総裁選ですけれども、私、いろいろなところで総裁選について質問を受けています。私は、まず、コロナ感染拡大を防止することが私の最優先である、こうしたことを申し上げています。ただ、任期があるということも事実でありますので、そういう私の総裁としての任期の中で、やはり機会を見て解散総選挙というのは考えなければならないというふうに思っています。ただ、最優先はやはりコロナの感染拡大を防止する、そのことであります。

(内閣広報官)

 それでは、共同通信の吉浦さん。

(記者)

 共同通信の吉浦です。よろしくお願いします。

 日本経済に与える影響について伺います。今回の緊急事態措置は短期集中でということですが、一方で休業要請など非常に具体的で強力な内容も含んでいます。これによって日本経済へのマイナスの影響をどの程度になるとお考えでしょうか。年間GDP(国内総生産)や四半期GDP、数値など、この程度にとどめたいなど、目安などがありましたら併せてお聞きします。

(菅総理)

 まず、今回の緊急事態宣言というのは、多くの企業が休みに入るゴールデンウィークの機会に短期集中で実施するものであります。様々な支援策を併せて講じて人出の減少、そうしたことによって、事業者を、できる限り影響を抑えたい、そういう中で、今回、人流を断つためにいろいろ御協力を頂いています。ですから、今度の期間の中で感染拡大を防止することができれば、そこの影響はそんなに大きくはないだろうと思います。ただ、協力を頂いた方にはしっかり支援策は行っていきたい、このように思います。

(内閣広報官)

 それでは、日本経済新聞、藤田さん。

(記者)

 日本経済新聞の藤田と申します。よろしくお願いします。

 新型コロナウイルスのワクチンについてお伺いします。大型連休明けから全国各地で本格的にワクチンの接種が始まると思います。最初の御発言の中で高齢者の接種、2回目を7月末までに終えたいというふうにお話がありましたが、地方からは打ち手不足だとか、準備の遅れを懸念する声があります。先日、武田総務大臣と河野大臣に準備を加速するようにと指示をされたと思うのですけれども、今、足りないこと、何を強化していくべきかどういうお考えか、総理のお考えをお聞かせください。

(菅総理)

 まず、地方自治体の皆さんにはワクチンがなかなか、手元に来ることを、いつ来るのだということを、やはり非常に気にしていました。冒頭申し上げましたように、ワクチンがまず連休までには全体で700万回分、そして連休明け後は毎週1,000万回分、そして6月末までには約1億回分、そうしたことが、めどがしっかり立っていますので、そういう中で接種体制をしっかりつくり上げてお願いするということであります。その中で、やはり医師がいないところもありますし、あるいは看護師さんもいないところもあります。そうした人員も含めて必要なところには政府としては支援をさせていただきながら、7月末を目途に高齢者の皆さんには2回接種を終えたい。こういう思いであります。

(内閣広報官)

 それでは、大変恐縮でございますけれども、あと2問とさせていただきます。

 読売新聞、黒見さん、どうぞ。

(記者)

 総理、読売新聞の黒見です。

 今回、政府は人流の抑制ということで経済活動を強力に制限する措置に出るわけなんですけれども、宣言のスタートはもう明後日に迫っておりまして、ほとんど周知期間が確保されていません。これでは国民生活に混乱が生じるのではないでしょうか。

(菅総理)

 まず、ゴールデンウィークという多くの人々が休みに入る機会を捉えて強力な対策を短期集中で実施し、感染を抑え込む必要があるということを判断いたしました。そうした中で今、連日、御商売をやっていらっしゃる方、あるいはスポーツをやっていらっしゃる方、そうした皆さんには大変御迷惑をおかけすることになるわけでありますけれども、この期間の中で抑え込むためには、そうしたことを、御無理をお願いして、今、こうして緊急事態宣言を発したわけであります。そして、そうしたいろいろな、例えば劇場の人だとか野球、サッカーとか、そういう皆さんには日頃からこの感染対策というものをしっかり皆さんが採っていただいて行っている、そういう皆さんにも人流を絶たなければならないという中で、あえてお願いをさせていただいているということであります。大変申し訳ないことだと思っています。

(内閣広報官)

 それでは、最後の質問、奥の列から、ニッポン放送、畑中さん、どうぞ。

(記者)

 ニッポン放送、畑中と申します。よろしくお願いいたします。

 緊急事態宣言3度目ということなんですが、これまでの2回は所定の1か月を全て延長しているということがございます。今回、変異株という強力な敵の中で2週間余りという期間というのは我々、どう解釈したらいいんでしょうか。何かもやもやとした気持ちが拭えません。総理は先ほどいみじくもまずはという言葉を2回使われましたけれども、この2週間余りというのは必ず2週間余りでということなのか、まずは2週間余りということなのか。必ずというのであれば、何か科学的な根拠があるのかどうか知りたいところです。そうでないと、何かバッハ会長の来日に合わせたんじゃないかという、そんな勘ぐりも聞こえてきますけれども、その辺りまとめてちょっと教えていただけますでしょうか。

(菅総理)

 まず、今回、緊急事態宣言をした場所についてはまん延防止等重点措置、こうしたことを採っている場所であります。ですから、今まで続いているということも事実です、このまん延防止対策が。その中でこれからの今の2週間、そこに時間を取らせていただいたということです。今から始まる2週間でなくて、今日までまん延防止策、続いている場所でありましたので、そういう対応をさせていただいたということです。

 先生よろしいですか。尾身会長からも。

(尾身会長)

 2週間とか期間についてはいろいろな意見がありますが、私はその期間のことも非常に重要ですけれども、再三申し上げるように、今回はまた医療のひっ迫というものになることを防ぎたいわけですよね。そういう意味では、私はある程度どういう状況になったら解除するかという目安、その際にはもう基本的対処方針に書かれている原則は私は守ったらいいんじゃないかと思います。それは最低、ステージ3に入ることと、それからステージ2への安定的な下方、そういう見込みはあるということ。それから解除した後というものも大事で、そのときはやはり変異株の影響なんかがありますから、しっかりとどういう対策をやっていくかという、そういうことも含めてやることが、私は大事で、そのことを前もって明らかにしておくことは大事だと思います。

(内閣広報官)

 それでは、以上をもちまして、本日の会見を終了させていただきます。

 ただ今挙手されている皆様方におきましては、恐縮でございますけれども、それぞれ1問、メールでお送りいただきますと、後ほど総理の回答を書面でお返しをさせていただくとともに、ホームページでも公開をさせていただきます。御理解賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、以上をもちまして、本日の記者会見を終了させていただきます。

 御協力に感謝申し上げます。ありがとうございました。