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政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見

[場所] 
[年月日] 2021年5月14日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

【菅総理冒頭発言】

 先ほど新型コロナ対策本部を開催し、緊急事態宣言について、北海道、岡山県、広島県を追加し、期間は5月16日から5月31日までとすること、まん延防止等重点措置について、群馬県、石川県、熊本県を追加し、期間は5月16日から6月13日までとすることを決定いたしました。

 全国の感染状況は、地域によって差が見られる中、感染が急速に拡大している地域があります。新規感染者数は、大阪では減少に転じていますが、東京はおおむね横ばいの状況であり、愛知、福岡では感染者数の増加が続いております。

 そうした中で、比較的人口規模も大きな北海道、岡山県、広島県において、新規感染者数が極めて速いスピードで増加しております。これらの地域においては、これまで地元の自治体と連携しつつ対策を進めてきましたが、今朝の分科会においては、専門家の方々からより厳しい対応が必要との考えが示されました。

 政府としても、変異株が広がる中で、今が感染を食い止める大事な時期だという考えに変わりはなく、専門家の御意見も尊重し、今回、追加の判断を行いました。期間は東京などの都府県と合わせて今月末までとし、その後の対応については、その時点で改めて判断を行ってまいります。

 緊急事態宣言の地域においては、それぞれの自治体と協力し、飲食店のお酒やカラオケの提供の停止、テレワークの促進など、高い緊張感の下で強い措置を講じてまいります。

 まん延防止等重点措置の地域においては、飲食店の時間短縮や見回りなどの集中的な対策を講じ、さらに飲食店のお酒の提供の停止など、緊急事態宣言と同様の措置もできることとしております。

 全国の自治体で、今週から順次、本格的なワクチン接種が進んでいます。ワクチンの接種は、皆さん一人一人の命を守る切り札となるものであります。自治体や医療関係者の御協力が進み、全国の85パーセントを占める1,490の市町村で7月末までに高齢者の接種を終えることができる予定となりました。また、各地で都道府県と大学病院などが協力して、大規模接種センターを設ける動きも進んでおります。今後も全ての自治体をしっかりサポートして、全ての皆さんが一日も早く接種できるように取り組んでまいります。

 さらに、来月中をめどに、高齢者の接種の見通しがついた市町村から、基礎疾患がある方々を含めて、広く一般の方々にも接種を開始いたします。併せて、全国の企業の産業医の方々の協力を得て、地域の方々や職場の方々への接種を進めてまいります。

 こうした中で、なかなか予約が取れないなど、皆様には御不便をおかけしておりますことを大変申し訳なく思います。しかし、必ず皆さんに受けていただけるように、6月末までには1億回分のワクチンを確保し、自治体など、関係者の皆さんとしっかりと協力してまいります。

 医療、介護などの現場では、関係者の方々が今日も懸命に御尽力をいただいておりますことを心より感謝申し上げます。

 一日も早く安心できる日常を取り戻すため、ワクチン接種の加速化を実行します。それまでの間は対策を徹底し、全国各地の感染レベルをできる限り抑えていきます。そのためには、マスク、手洗い、3密の回避という、欠かすことのできない予防策の徹底をお願いいたします。

 特にマスクなしの会話による感染が原因の大部分を占めるという調査結果があります。飲食や会話の場面、また、職場において、一人一人が必ずマスクを着用することは、感染防止の大きな力となります。皆様の御協力を心よりお願い申し上げます。

 以上です。

【質疑応答】

(内閣広報官)

 それでは、これから皆様より御質問を頂きます。

 尾身会長におかれましては、所定の位置にお進みください。

 御質問の内容によりまして、尾身会長にも御説明いただきます。

 指名を受けられました方は、お近くのスタンドマイクにお進みいただきまして、所属とお名前を明らかにしていただいた上で、1問ずつ御質問をお願いいたします。

 まず幹事社2社から御質問をいただきます。共同通信、吉浦さん、どうぞ。

(記者)

 共同通信の吉浦です。よろしくお願いします。

 政府は本日の基本的対処方針分科会で専門家の意見を受けて、当初は予定していなかった緊急事態宣言を3道県に適用することになりました。当初の政府の見通しが甘かったのではないかとの指摘にどのように答えますか。今回は専門家との事前の調整が不十分だったのでしょうか。3回目の緊急事態宣言から約3週間が経過しても感染拡大を抑えられず、むしろ地方に広がっている今の現状をどのように受け止めていらっしゃいますか。よろしくお願いします。

(菅総理)

 これまで政府としては、地域の感染状況を踏まえた感染防止対策を分科会に諮問するとともに、そこでの専門家の御意見を踏まえた上で、適切に対応してきました。

 今朝の分科会では、専門家からより強いメッセージを出すことが必要という御意見があり、そうした御意見を尊重し、比較的人口規模も大きく、影響が懸念されることを踏まえて、緊急事態宣言の対象とする、このことの判断をいたしました。

 緊急事態宣言を発出してから3週間が経過するわけでありますけれども、大阪においては、新規感染者数は減少に転じております。東京においては、おおむね横ばいの状況だと認識しています。引き続き感染拡大を食い止めるために、徹底して取り組んでいきたい、このように思います。

 尾身会長からもよろしいですか。

(尾身会長)

 政府とは、私ども専門家は、特に私の場合には、西村大臣とは毎日のように意見交換をして、危機感だとか情報の共有をしております。もちろん政府と、我々専門家の間では、視点や立場も異なりますので、個別のテーマあるいは個別の議論については、意見が違うことも当然、時々はあるわけであります。

 そうした中、本日、諮問を受けたわけですけれども、今回、北海道、岡山、広島について、このような意見を我々が述べさせていただいた理由は、いろいろありますけど、主に4点あったと思います。

 1つは、この3道県、北海道、岡山、広島については、いわゆるステージ分類で言えば、総合的に言えば、これはもうステージ4だと、このことが1点です。それから、変異株の影響が非常に最近強くなっているので、既に感染が拡大していますけれども、更なる感染の拡大というのが懸念されているということ。それから、3番目は、病床のひっ迫状況が数ではもういろいろ既に厳しいのですけれども、実態は数が示すよりも更に厳しい状況にあるというのが我々のいろいろなところからの判断です。それから、最後には、今、総理もおっしゃっていましたけれども、緊急事態宣言という強いメッセージ、これは重点措置よりは強いですね、この強いメッセージが今の状況を改善するには必要だと。

 そうした主な4点で、我々としてはこうしたことを率直に政府に述べるのが我々の責任だと思って述べましたところ、政府は非常に早い対応をして、我々の意見を採用していただいたということだと思います。

(内閣広報官)

 続きまして、東京新聞の清水さん、どうぞ。

(記者)

 東京新聞、中日新聞の清水です。

 東京五輪・パラリンピックと医療への負荷について伺います。大会組織委員会は、選手や関係者が新型コロナに感染した場合の指定病院を設けることにしていますが、複数の首都圏の知事から、とても対応できないとの声が出ています。国民も選手も等しく十分な治療を受けられる医療体制を五輪までに整えられるのでしょうか。

 また、感染対策を徹底すれば安全・安心な五輪は開催できるとの菅首相の説明について、懐疑的な世論が強いのが現状です。

 分科会の尾身会長は、本日の国会で、感染状況を踏まえ、医療への負荷を評価して決めるのが合理的、最悪のことも考慮するのが当たり前と指摘されました。国民の命を守るために、改めて専門家に諮り、具体的な基準を設け、科学的な根拠に基づいて開催するかしないかを判断するべきではないでしょうか。

(菅総理)

 オリンピックについては様々な声があることは承知しております。そうした中で、まずは感染拡大を食い止めて、国民の命と健康を守る、このことが最優先であります。

 いずれにしろ、選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じて、安心をして参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守っていく。これが開催に当たっての基本的な考え方であります。

 東京大会の医療体制については、地域医療に支障を来さないように確保できるよう調整しているところであります。現在、組織委員会が協力する医療機関の確保とともに、現在勤務されていない潜在看護師の方々や日頃から連携しているスポーツドクター、こうした方々に協力要請している、このように私は承知しています。

 また、ファイザーから各国選手へのワクチンの無償の提供が実現し、さらに選手や大会関係者と一般の国民が交わらないようにするなど、厳格な感染対策を検討しております。

 こうした対策を徹底することによって国民の命や健康を守り、安全・安心の大会を実現することは可能と考えており、しっかり準備をしていきたい、このように思います。

(内閣広報官)

 それでは、幹事社以外の方から御質問を頂きたいと思います。

 御質問を希望される方は挙手をお願いいたします。こちらで指名させていただきますので、マイクにお進みください。

 それでは、NHKの長内さん、どうぞ。

(記者)

 NHKの長内と申します。総理にお伺いします。

 先週に続いて、緊急事態宣言の対象が拡大されることになりました。変異ウイルスが拡大しておりまして、全国知事会からは宣言の全国への拡大も検討すべきではないかといった指摘もあるのですが、総理はどのようにお考えでしょうか。

(菅総理)

 まず、専門家からも感染状況について、全国的な感染拡大ではないが、地域差が大きく、感染が急速に拡大し、病床の状況が極めて厳しくなっている所もある、このように指摘をされております。

 こうした地域の感染状況を踏まえながら、全国一律というよりも地域ごとに効果的な対策を講じていく、このことが重要であるというふうに考えています。

 尾身会長からもよろしいですか。

(尾身会長)

 全国に今、緊急事態宣言を出すというような意見は、専門家の間では話としては出ますけれども、今日それを強く主張した委員は1人もいません。

 その理由は、今、全国的なレベルで見ますと、いわゆる実効再生産数というのを全国のレベルで見ますと、1よりも1.2とかということで、ちょうど1前後、今0.99ぐらいになっていて、多くの県が、急速に増えている県があると同時に、片方では感染がだんだんと改善しているような所があって、全国的なまん延という状況では今のところないということで、主に人口の多い所、今回の広島とか岡山もそうですけれども、感染はそういう所から染み出していくということが分かっているので、まずそういう人口の多い所を、元を断つということで、今回は先ほど申し上げたようなことを提案して、もちろんこれからいろいろな状況があるので、更に悪くなったらそういうことも当然話としては、可能性としてはあり得ますけれども、今日の時点での分科会のメンバーでそうしたことを勧める人は、今回はおりませんでした。

(内閣広報官)

 それでは、時事通信の大塚さん、どうぞ。

(記者)

 時事通信の大塚です。

 東京オリンピック・パラリンピックについてお伺いします。与野党では、秋に延期してはどうかという提案があります。ワクチン接種も秋にはかなり進むと思われます。総理は、この秋への延期論についてどうお考えでしょうか。

(菅総理)

 まず、現在の感染拡大を食い止めるために全力を尽くします。また、東京大会については、IOC(国際オリンピック委員会)は7月からの開催を既に決定しておりますが、開催に当たっては選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じて、安心して参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守っていく、ここが責務だというふうに思っております。

 こうした対策を徹底することで、国民の命と健康を守り、安心・安全の大会を実現することは可能と考えており、準備を進めていきたい、こういうふうに思います。

(内閣広報官)

 それでは、フリーランスの大川さん、どうぞ。

(記者)

 フリーライターの大川興行総裁、大川豊です。

 菅総理、尾身会長、連日のコロナ対策、お疲れさまです。あと、手話通訳の方、よろしくお願いします。

 ワクチン接種についてお伺いいたします。実は、障害者施設においては、福祉従事者の方がコロナを持ち込んでクラスターを発生させるということが起きております。ですので、今、高齢者に次いで第3番目の接種を福祉従事者の方にも拡大を考えられていますでしょうか。そうしないと、北海道においては飲食よりも福祉施設の方が感染者が増えているという状況があります。

 あと、尾身会長に、演劇、劇場、スポーツ観戦において、実はお客様はスポーツ観戦の前後まで協力をいただいています。ですので、それを含めた医学的エビデンスの実験をしていただいて、オリンピック・パラリンピックで世界に安心していただくようなことは、お考えはありますでしょうか。

 以上、よろしくお願いいたします。

(菅総理)

 まず、私から答えさせてください。

 ワクチン接種については、7月末を念頭に高齢者への2回目の接種を終わらせるとともに、来月中をめどに、高齢者の接種の見通しがついた市町村から、御指摘いただきました知的障害者の方を含めて接種を開始し、さらに広く一般の方への接種も進めていきたい、このように思っています。

 いずれにしろ、高齢者の接種の見通しがついたら、そうした福祉施設の方もそこは考えられる、このように思っております。そして、その後に広く一般の方に接種を進めていきたいと思います。

 私、冒頭に申し上げましたように、やはりワクチンは一人一人の命を守る切り札だと思っております。ワクチン接種の加速に向けて、政府を挙げて全力で取り組んでいきたい、こういうふうに思います。

(尾身会長)

 演劇だとかスポーツクラブその他、今の御質問は、今回の緊急事態宣言でも百貨店を含めてかなり強い対策をしたわけですけれども、そこには毎日クラスター感染が起きていないのになぜかという。もちろん演劇場だとかスポーツクラブ、あるいはショッピングセンターでも、感染のクラスターが起きたことは何例かはありますが、それが毎日起きているわけではないということは間違いない。

 そういう中で、実は今回も、何度も申し上げていますけれども、今の変異株の状況、今の感染拡大のスピード、これを抑えるのには、何としても人と人の接触を抑える、人流を抑えてということが、この方法をしないといけない状況に今はなって。なぜかというと、なかなか人々の協力も得にくくなっている、それから、クラスターの起こる場所が非常に多様化している、それで変異株。そういうことで今、緊急事態宣言下でそういうことをお願いしているわけですけれども、ここのことを延々続けるわけにはいかないので。もうそろそろ人々はこういう生活に、もうそろそろやめてほしいというのが、もう経済的にも人々の心の気持ちでも。そういう中で、私は、1つはワクチン。今までは人々の行動変容に頼る部分がありましたよね。しかし、これからはワクチンあるいは戦略的な抗原キットも含めて、今あるサイエンスとテクノロジーを十分使う余地が、今だんだんと土壌が出てきたので、それをワクチンと同時に検査の方も素早く、PCRもそうですけれども、抗原のキットをいろいろなところにうまく活用してもらうということが、人々が元の生活に戻るための私は条件だと思うので、是非それは政府を挙げてこの2点ですね。検査、それからワクチン。

 それと同時に、万が一また、一度解除しても必ず上がりますから、私はその後のリバウンドを、この重点措置も早く、この時期が、私は政府、我々も含めて日本社会の1つの課題は、上がったときに早く打つということが、ここは私は改善の余地があると思いますので、そうしたことを是非、これからワクチンが高齢者に行き渡るまで少なくとも数か月は、ここに全力を挙げてやっていただければと思います。

(内閣広報官)

 それでは、中国新聞の下久保さん、どうぞ。

(記者)

 中国新聞社の下久保です。よろしくお願いします。

 今回、中国地方で隣り合う広島、岡山に緊急事態宣言となりました。この中で広島県は大規模PCR検査や独自の時短要請など、県独自の取組を続けてきました。また、県民も努力してきました。しかし、今回このような決定となりましたが、総理はどのようにお考えでしょうか。

 また、あと、今回の決定のタイミングなのですが、金曜日ということで、14日決定して16日からの発令となると、やはり県であったり、住民であったり、いろいろな自治体であったり、戸惑うところがあるのだと思うのですけれども、このようなことについての御評価をください。

 あともう1つ、地方側には地方の求めているタイミングで、これまでまん延防止等重点措置や緊急事態宣言を国が出してくれないという不満がよく聞かれます。この点についてお聞かせください。

(菅総理)

 まず今回ですけれども、岡山県、広島県においては、それぞれの、広島県においては広島市、岡山県には岡山市で独自の判断で、時短を始めたばかりだったのです。ですから、政府としてはそうした状況を踏まえて、まん延防止等重点措置に基づいて時短要請だけではなくてお酒の提供禁止、これもまん延防止等重点措置でできますから、そうした強力な措置を講じていきたいというふうに考えていました。一方、分科会では、専門家の皆さんからより強いメッセージ、ここが必要といった御意見があります。ただ、この2県においては急速に感染が拡大していますので、そうした分科会の専門家の皆さんの御意見を受けさせていただいて、政府としては、この人口規模も大きく影響も懸念されますので、緊急事態宣言の対象とすることの判断をいたしました。

 いずれにしろ、それぞれの地方にはいろいろな御意見がありますけれども、この両県についてはそういう中でそれぞれの県独自の対応というのが、これは時短というのが始まったばかりでありましたので、政府としては、当初はやはりまん延防止等重点措置というふうに考えていましたけれども、専門家の皆さんの御意見の中でやはり変異株、急激に伸びている、そういった御意見があったということで、政府としては緊急事態宣言をさせていただきたい、そういう判断をしたということです。

 尾身会長から。

(尾身会長)

 私の方からは、今、広島県がPCRをかなり広範にしたけれども、また今度感染が拡大したのはなぜかというお話ですけれども。

 実はいわゆる一般の地域、コミュニティーに広くPCR検査をやる、その意味はあるのです。その意味は何かというと、その時点でのいろいろな感染の状況について、かなり詳細に分かるということであります。実際にいろいろなことが広島県は分かったと思いますけれども、我々の手元に届いている中で非常にこの意義が、なるほどと思って、これが実は抗原検査を使おうと我々が決断した一つの契機にもなっていますけれども。いろいろな、かなり幅広くやったわけですよね。その中には当然無症状者の人が多い。一部症状がある人もいる。その無症状者の人と症状のある人での陽性率はかなり違うのですね。無症状者の人は1パーセント以下で、症状のある人は9パーセントに近い。10倍ぐらい違うということが今回分かったということで。この広範囲にいわゆる事前確率といいますか、PCRの陽性率がかなり低いと思われるところにこれを感染防止対策でやろうと思ったら、これは頻回にやることが求められるのですけれども、実際にはなかなか難しいですよね。

 したがって、意味があるのですね、1回やるということで。今、政府の重点モニタリング検査とかもやっていますけれども、かなり陽性率が低いです、1パーセント、多分行かないでしょうね。そういうことですから、だけれども、やる意味はあるので、ただし、これで感染防御、感染の拡大を防止しようという観点から言うと、やはり事前確率の高いところに集中してやる。そういう意味では、先ほど、前回の総理の記者会見でこの機会を頂いたときに申し上げたのは、軽い症状のある人、まだ病院に行くほどではないけれどもちょっと具合の悪い人に対して検査をすると、かなり陽性率が高い。その何人かがいればその周辺は感染している可能性があるから、その周辺については確率が高いので、かなり広範にやるということで大クラスターを防ぐということで、そういうふうな大きな幅を広くやるのと、集中的に、そういうそれぞれの意味があるので、これは各地方自治体がそういうことを理解した上でうまく活用していただければと思います。

(内閣広報官)

 それでは、産経新聞の杉本さん、どうぞ。

(記者)

 産経新聞の杉本と申します。よろしくお願いします。

 緊急事態宣言の効果についてお伺いいたします。東京とか大阪で緊急事態宣言が発令されてから3週間近く経っておるわけでありますけれども、特に東京では新規感染者数が下がるというような結果には至っておりません。過去2回と比べて、今回の緊急事態宣言は期待したような効果がなかなか得られていないという現状だと思いますけれども、緊急事態宣言の効果を発揮させるために措置を強化するということはお考えでしょうか。例えば飲食店に対して命令に従わないところには過料が徴収できることになりましたけれども、なかなかそのケースというのは少ないのが現状だと思います。都道府県に対して過料の徴収も含めてその措置を強化するといったことを政府として働きかけるといったような考えはございますでしょうか。

(菅総理)

 緊急事態宣言の対象とした大阪府では、ここ数日、新規感染者は減少傾向にあることが明らかになってきています。東京においてはおおむね横ばいの状況が続いているというふうに思っています。その上で、既に東京都では時短要請に応じていただけない事業者に対し、罰則の適用も視野に、特措法に基づく特別要請を行っている、このように承知しております。引き続いて東京都の体制を強化する中で、政府として適切に対応していきたいと思っています。

(内閣広報官)

 それでは、奥の列から、ドワンゴの七尾さん、どうぞ。

(記者)

 ドワンゴ、ニコニコ動画の七尾です。連日、お疲れさまです。よろしくお願いします。

 WHO(世界保健機関)によりますと、インドで感染急増をもたらしている変異株、これはこれまでに44か国以上で見つかっているとのことで、現在東南アジアや南アジアでも拡大し始めております。現時点で最悪のシナリオの一つだと思うのですが、この感染力の強いインド由来の変異株が拡大していくことだと思うのですが、これを踏まえた、インドで足りないと言われておりました医療用酸素の十分な確保、あるいはその医療施設の受入体制の更なる向上など、具体的対応の必要性について総理にお聞きします。

 また、我々国民も今後高い意識をより持っていくために、もしよろしければ尾身会長には、インド由来の変異株に今後置き換わる可能性についてもお聞きしたいです。よろしくお願いします。

(菅総理)

 まず私から、大阪や兵庫において医療提供体制が極めて厳しい状況が続いています。このために、これまでも新型コロナ患者を受け入れる病院への強力な支援、これを行うと同時に、国と大阪市、府が一体となって病床確保を行ってきています。両者で現在では4月以降900床の病床を確保しているところであります。しかし、厳しい状況が続いていることは事実です。

 また、この医療用の酸素、これについては供給量が、ここは現在十分確保いたしております。引き続き、状況を見ながら、必要な方にそうしたものを供給することができるように、しっかりと対応していきたい。現時点においては十分に確保しているということであります。

(尾身会長)

 今の御質問は、インド株がイギリス株に取って代わる可能性はあるかということだと思うのですけれども、比較的しっかりした調査ができているのがイギリスです。イギリスの場合は、文字どおりイギリス株、英国株が主流だったのですけれども、そのイギリスで徐々にインド株が増えてきているということは分かってきています。少しずつ増えている。

 日本の中では、既に国内でもインド株が時々見つかっているということで、ぽつぽつと見つかっているということで。インド株がイギリス株をだんだんと超えていく、凌駕(りょうが)していくということは可能性としてはあり得るので、イギリス株についてモニターは、もう40パーセントというのはほとんど到達したと思いますから、そのリソースはもう分かっているわけで、インド株へのモニタリングというものに、リソースを少しずつシフトするべきだと私は思っております。

(内閣広報官)

 それでは、最前列、毎日新聞の小山さん。

(記者)

 毎日新聞の小山です。よろしくお願いします。

 今回の岡山、広島両県と福岡県は、まん延防止等重点措置を飛び越えて一気に緊急事態宣言の発令になりました。常々、総理は、まん延防止等重点措置を機動的に運用していくとおっしゃっていましたが、機動的な運用が今のところできていないのではないかという指摘もあります。この理由はなぜでしょうか。

 また、先ほど、都道府県の独自の措置をまず見極めた上で、いろいろなまん延防止等重点措置などを判断するとおっしゃっていましたが、都道府県の中には、都道府県だけでこの24条に基づく私権制限をするのはなかなかハードルが高いと。やはりこの国も一緒になるまん延防止等重点措置や緊急事態宣言の上で私権制限をやりたいという声もあるようです。その辺が原因になっているのではないかとも思われますが、いかがお考えでしょうか。

(菅総理)

 まず、まん延防止等重点措置でありますけれども、罰則付きの強い私権制限を課すものであり、先般の国会の附帯決議でも、まん延防止等重点措置について、国民の自由と権利の制限を最小限にすることについて、そこは一層配慮される、こうしたことが配慮すべきという、こうしたことが附帯決議で付いているのです。ですから、こうした中、政府としてはまず、自治体については飲食に関する時短を制限し、その効果を見ながらこのまん延防止等重点措置の適用を判断したい、こういうふうに考えております。

 今回については、先ほど来申し上げていますように、週明け以降に新規感染者数が極めて速いスピードで増加している。こうしたことを踏まえて、今日の分科会で専門家の皆さんから緊急事態宣言というお話の提案がありましたので、そうしたことの判断を、政府としてはさせていただいたということであります。

(内閣広報官)

 それでは、再び奥の列。では、フリーランスの江川さん、どうぞ。

(記者)

 フリーランスの江川紹子です。よろしくお願いします。

 オリンピックのことについてお伺いいたします。政府は、選手を守るということについてはすごくいろいろな工夫をされていると思うのですけれども、選手以外に、それよりはるかに多い最大9万人の外国人が来日するというふうに伝えられております。前回の記者会見でフランスのラジオ局の記者が海外の報道陣のことを挙げて、いろいろな取材をするつもりですと、行動監視は物理的に可能でしょうかというふうに質問されたのに対して、首相は、選手以外の方は様々な制約がある、水際も含めてありますとしかお述べになりませんでした。たとえ自主隔離を求めても守るとは限らないということもあります。五輪関係者、競技団体も含めて同じです。どうやってこの9万人もの人の行動をチェック、この人たちは一般ホテルに泊まるので、一般人と接触する可能性が大いにあるわけです。この問題をどういうふうにするつもりなのかを具体的に示していただきたいというふうに思います。

 そしてまた、尾身先生が国会で五輪に関して、感染リスクと医療の負荷について、前もって評価をしてほしいというふうに述べられたと思います。これについて政府はどう対応するのでしょうか。そういういろいろなケースを想定して評価するという場合には、それは国民にきちんと根拠とともに示していただけるのかと、このことをお伺いするとともに、尾身先生には、先ほどの感染リスクと医療の負荷についての評価が必要な理由についても教えてください。

(菅総理)

 まず、私から申し上げます。前回の質問の際に、マスコミの方が確か3万人ぐらい来られるというような話があったと思います。今、そうした方の入国者というのですかね、そうしたものを精査しまして、この間出た数字よりもはるかに少なくなるというふうに思いますし、そうした行動も制限をする。そして、それに反することについては強制的に退去を命じる。そうしたことを含めて、今検討しております。

 ですから、一般の国民と関係者で来られた人とは違う動線で行動してもらうようにしていますし、ホテルも特定のホテルに国として指定しておきたい。指定して、そうした国民と接触することがないようにと、そうしたことを今、しっかり対応している途中だという報告を受けています。

(記者)

 評価については。

(内閣広報官)

 すみません、自席からの御発言はお控えください。

(記者)

 だって答えていただいていないので。

 感染リスクと医療の負荷についての評価をしてほしいというふうな尾身先生からのお言葉について、これを実行するおつもりはあるのかということを伺いました。

(菅総理)

 この行動指針を決める際に、専門家の方からも2人メンバーになっていただいて、相談しながら決めさせていただきます。

(尾身会長)

 今の御質問は、なぜ医療への負荷の評価をしなくてはいけないかということですけれども、実は今、なぜこれだけ多くの人がオリンピックに関係なしに不安に思っているかというと、感染者が500行った、600行ったということよりも、今はやはり医療の負荷というものが、つまり一般医療に支障が来て、救急外来も断らなくてはいけない、必要な手術も断らなくてはいけない、しかも命に非常に直結するようなところまでという状況になっている。

 さらに、医療のひっ迫というのが重要なのは、これから正にワクチン接種というところに医療の人がまた、さらにいろいろな人が、オリンピックだろうが何だろうが多くの人が来れば、コロナにかかるかかからないかにかかわらず、多くの人が来ると一定程度必ず何か具合の悪いことになるというようなこともあるわけですよね。

 そういう中で私が申し上げた理由は、いずれ私は、関係者の方は何らかの判断を遅かれ早かれされると思うのですけれども、それは開催を仮にするとすれば、前の日にやるわけではないですよね。当然X週間、Xデー、Xマンスを、時間的余裕を持ってやるわけで、そのときの医療への負荷というものは、そのとき、分かりますよね、もう医療が本当にかなり良い状況、中くらいの状況、いろいろ分け方はあると思いますけれども、そのことの状況に応じて、仮にオリンピックをやるのであれば、そのX週間後にどのぐらいの負荷で、状況があれだけれども、更なる負荷ということになりますね。そのことをある程度評価するのは、オリンピックを開催する人たちの責任だと私は思います、ということで申し上げたということ。

(内閣広報官)

 それでは、大変恐縮でございますけれども、あと1問とさせていただきます。

 国際メディアの方、奥のパンオリエントニュースのアズハリさん、どうぞ。これで最後の質問となります。

(記者)

 サンキューベリーマッチ。アズハリ、パンオリエントニュース。

 日本と世界にとって、オリンピックを開催するメリットとデメリットは何でしょうか。そのバランスをどのようにお考えでしょうか。

 ありがとうございます。

(菅総理)

 オリンピック・パラリンピックは世界最大の平和の祭典であり、国民の皆さんに勇気と希望を与えるものであるというふうに認識しています。感染拡大する中で、国民の皆さんの間で東京大会について様々な御意見があるということは承知しておりますが、選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ、安心して参加することができるようにするとともに、国民の皆さんの命と健康を守っていく、これが開催するに当たっての政府の基本的な考え方であります。

(内閣広報官)

 以上をもちまして、恐縮ではございますけれども、本日の。

(記者)

 もう1問だけお願いします。

(内閣広報官)

 いえ。

(菅総理)

 いや、いいです。

(内閣広報官)

 よろしいですか。

 それでは、どうぞ。

(記者)

 北海道新聞の佐藤です。

 北海道では、連休前から変異株による感染拡大が指摘されていましたが、政府がまん延防止等重点措置を適用したのが5月9日で、昨晩も総理はまん延防止等重点措置を出したばかりだと発言されました。緊急事態宣言の発令も、今日、専門家から意見が相次いでようやく判断されました。この間の北海道への対策が常に小出しで、適切ではなかったのではないでしょうか。お伺いします。

 それと、尾身さんにも同じような質問をしたいのですが、尾身さんは先週時点で北海道への緊急事態宣言の必要性に触れていたと思うのですが、この間の政府の対策が遅れていたという評価はあるでしょうか。お願いします。

(菅総理)

 北海道でありますけれども、政府としては、北海道と毎日のように連携しながら取り組んできています。特に北海道というのは、皆さん御承知のとおり、九州2つ分よりも面積があるわけですから、その中で札幌(さっぽろ)市にこの感染者というのが7割ぐらい集中しています。ですから、そういう中でまん延防止等重点措置を集中的にできるわけでありますから、そうしたことでいいのかなという、政府は見解を持っていたということは、事実です。ここもまん延防止等重点措置で強制策もできるわけでありますから。しかし、分科会の先生方から、やはり厳しいメッセージが必要だと、そういう御指摘を頂きましたので、緊急事態宣言にさせていただいたと、そういうことであります。

(尾身会長)

 私にも聞かれたのですよね。

 特にこの緊急事態宣言というような私的の権利を制約するという決断は、これはなかなか重い決断ですよね。いろいろな考えが私はあると思います。遅かったんじゃないか、もっと早くやれば。私どもとしては、今日こういう諮問委員会というのが開かれるということで、このことについては、今の状況を見れば、これは今出さないと感染がひどくなるというよりも、医療の負荷が大変になって、大阪のようになる可能性だってあるので、それについては今日、我々の意見を申し上げて、政府もその我々の意見を採用してくれたということで。これから、決まったことを関係者が一丸になって、今の感染状況を改善するということに集中すべき時期だと私は思います。

(内閣広報官)

 それでは、以上をもちまして、本日の会見を終了させていただきます。

 すみません、自席からの御発言はお避けください。

 ただ今挙手されて、今回御指名できなかった皆様におかれましては、それぞれ後ほどメールでお送りいただければと思います。後日、回答を書面でお返しいただくとともに、ホームページでも公開させていただきますので、どうぞ御理解いただきますようお願いいたします。

 それでは、以上をもちまして、本日の会見を終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。