[文書名] 新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見
【菅総理冒頭発言】
今月3日、静岡県熱海(あたみ)市で発生した土石流は、これまでに9名の方の死亡が確認されるなど、甚大な被害が発生をしております。また、国内各地でも被害が発生しています。亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた全ての皆様に心よりお見舞い申し上げます。
熱海市では、現在も20名を超える方々の安否が確認できていないとの報告を受けており、警察、消防、海上保安庁、自衛隊が2,000名を超える体制で、懸命に救助活動に当たっております。引き続き速やかな救助と、被災者の支援に全力を挙げてまいります。
先ほど新型コロナ対策本部を開催し、東京都に緊急事態宣言を発出すること、沖縄県の緊急事態宣言は延長することとし、期間をそれぞれ8月22日までとすること、まん延防止等重点措置については、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府について8月22日まで延長し、北海道、愛知県、京都府、兵庫県、福岡県について7月11日をもって終了することを決定いたしました。
4月の初旬より措置を続けてまいりましたが、この間、ワクチンの接種が大幅に進展し、全国の多くの地域において新規感染者の減少が続いております。重症者数も大幅に減少し、医療の現場からは、負担が軽減されてきたという声も聞こえてきます。自治体及び医療従事者の皆さんに心より感謝申し上げます。
こうした中でも、残念ながら首都圏においては感染者の数は明らかな増加に転じています。その要因の1つが、人流の高止まりに加えて、新たな変異株であるデルタ株の影響であり、アルファ株の1.5倍の感染力があるとも指摘されています。デルタ株が急速に拡大することが懸念されます。
一方で、感染状況には従来とは異なる、明らかな変化が見られています。東京では、重症化リスクが高いとされる高齢者のワクチン接種が70パーセントに達する中、一時は20パーセントを超えていた感染者に占める高齢者の割合は、5パーセント程度までに低下しています。それに伴い、重症者用の病床利用率も30パーセント台で推移するなど、新規感染者数が増加する中にあっても、重症者の数や病床の利用率は低い水準にとどまっております。
しかしながら、東京の感染拡大は全国に広がり得るものであります。夏休みやお盆の中で、多くの人が地方へ移動することが予想されます。ワクチン接種が大きく進み、新型コロナとの闘いにも区切りが見えてきた中で、ここで再度、東京を起点とする感染拡大を起こすことは絶対に避けなければなりません。そうした思いで、先手先手で予防的措置を講ずることとし、東京都に緊急事態宣言を今一度(ひとたび)、発出する判断をいたしました。
措置の期間は、お盆明けの8月22日までといたしますが、ワクチンの効果が更に明らかとなり、病床の状況などに改善が見られる場合には、前倒しで解除することも判断いたします。
前回の宣言を解除してから3週間で再び宣言に至り、国民の皆様に様々な御負担をおかけすることは、大変申し訳ない思いであります。しかしながら、この期間を乗り越えて、必ず安心の日常を取り戻すとの決意で取り組んでまいります。
具体的には、東京、沖縄では、飲食による感染リスクを改めて封じ込めるために、飲食店における酒類の提供を一律に停止いたします。まん延防止等重点措置の対象となる地域でも、酒類の提供は原則停止とし、地域の状況に応じて判断いたします。
飲食店に対する協力金の支給の遅れもあり、営業時間の短縮や、酒類の提供のルールに御協力いただけない店舗が増えているとの御指摘もあります。また、多くの飲食店にとってお酒の提供が営業を続ける上での死活問題となっているという声も耳にします。支給の遅れが経営問題に直結することがないように、これまでの協力金を簡易な審査で速やかに支給するとともに、今後の措置に御協力いただける飲食店に対しては、協力金を事前に支払うことを可能とします。同時に、今後、各都府県において、飲食店への見回りを拡大し、対策の実効性を高めてまいります。
お酒を伴う飲食は、どうしてもマスクを外す時間が長くなり、大きな声での会話も避けられません。飲食店の皆さんには、度重なるお願いに大変申し訳なく思いますが、今一度、何とぞ御協力をお願い申し上げます。
また東京では、20代から50代の感染者が急増し、40代、50代では重症者も増えています。職場や家庭内の感染も顕著になっています。マスク、手洗い、3密の回避という基本的な感染対策を徹底し、取り分け会話の際にはマスクを着用するよう、お願いいたします。
全国の津々浦々でワクチン接種の加速化が進んでいます。自治体や医療などの関係者の御尽力により、今や世界でも最も速いスピードで接種が行われていると言われています。1週間の接種回数は900万回を超えています。本格的な接種が始まってから2か月余りで累計の回数は5,400万回を超え、既に高齢者の72パーセント、全国民の27パーセントが1回の接種を終えています。
先行してワクチン接種が進められた国々では、ワクチンを1回接種した方の割合が人口の4割に達した辺りから感染者の減少傾向が明確になったとの指摘もあります。今のペースで進めば、今月末には、希望する高齢者の2回の接種は完了し、1度でも接種した人の数は全国民の4割に達する見通しであります。
一方、予想を上回るペースで接種が進む中で、一部の自治体などからワクチンが足りないとの声が聞かれます。全体として、全国の自治体には先月までに9,000万回のファイザー社のワクチンが人口に応じて配分されております。そのうち4,000万回分が使用されずに、在庫となっていると見込まれます。その上で、7月から9月には、毎月2,500万回分が配分されます。このため、在庫を合わせて活用していただければ、1日120万回程度のペースで接種を続けていくことが可能です。
ワクチンの配分方法についても、来月から、接種の進む市町村に多く配分できるよう、見直しを行うこととし、また、配分量をできるだけ早期にお示しすることによって、接種が円滑に進むように努めてまいります。
加えて、モデルナ社のワクチンがこれまでに1,400万回分確保され、9月までに3,600万回分が追加されます。これを活用した企業や大学などの接種についても、先週までに200万回の接種が行われました。受け付けた申請の精査を速やかに行い、確実に対応してまいります。
多くの皆様に大変な御心配をおかけしましたが、このように9月までに希望される全ての国民に接種が可能となる2億2,000万回分の十分な量が確保されております。速やかに接種に万全を尽くしてまいります。
オリンピックの開幕まで、あと2週間です。緊急事態宣言の下で異例の開催となりました。海外から選手団、大会関係者が順次入国しています。入国前に2回、入国時の検査に加え、入国後も選手は毎日検査を行っており、ウイルスの国内への流入を徹底して防いでまいります。選手や大会関係者の多くはワクチン接種を済ませており、行動は指定されたホテルと事前に提出された外出先に限定され、一般の国民の皆さんと接触することがないように管理されます。
東京大会について、私は、これまで、緊急事態宣言となれば無観客も辞さない、このように申し上げてきました。そうした中で、この後の組織委員会、東京都、IOC(国際オリンピック委員会)などとの5者協議において、観客の取扱いが決められる予定です。世界で40億人がテレビを通じて視聴すると言われるオリンピック・パラリンピックには、世界中の人々の心を一つにする力があります。新型コロナという大きな困難に直面する今だからこそ、世界が一つになれることを、そして、全人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけることを、東京から発信したいと思います。
また、東京は、史上初めてパラリンピックを2度開催する都市となります。障害のある方もない方も、お年寄りも若者も、みんなが助け合って共に生きるという共生社会の実現に向けた心のバリアフリーの精神をしっかり伝えたいと思います。
今回の大会は、多くの制約があり、これまでの大会と異なりますが、だからこそ、安心・安全な大会を成功させ、未来を生きる子供たちに夢と希望を与える、歴史に残る大会を実現したいと思います。
昨年来、一進一退の感染対策が続き、国民の皆様にはその度に御迷惑をおかけしてまいりました。未知の敵との闘いは、私にとっても心が休まるときはありません。しかし、ワクチンによって、変異株であっても発症や重症化を大きく防ぐことができます。治療薬の開発も進んでいます。
今必要なことは、感染を抑えながら、1人でも多くの方にワクチンを接種していただくことです。それによって、新型コロナとの闘いに終止符を打って、安心できる日常を必ず取り戻すことができると信じています。皆様方の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。
【質疑応答】
(内閣広報官)
それでは、これから皆様より御質問を頂きます。
尾身会長におかれましては、所定の位置にお進みください。御質問の内容によりまして、尾身会長にも御説明いただきます。
指名を受けられました方は、お近くのスタンドマイクにお進みいただきまして、所属とお名前を明らかにしていただいた上で、1問ずつ御質問をお願いいたします。
まず、幹事社から御質問を頂きます。
北海道新聞、佐藤さん、どうぞ。
(記者)
北海道新聞の佐藤です。
総理にお伺いします。東京は、4度目の緊急事態宣言です。国内では、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言が解除されない状況が実に3か月続いています。総理は毎回感染を抑え込むと訴えていますが、約束は果たされず、いつまでこんな生活がだらだら続くのかと国民の疲労や不信感はピークに達しています。政府のこの間の対策は、感染拡大の見通しの甘さから、一つ一つのタイミングが遅く、内容も不十分だったのではないでしょうか。自らの責任と併せて認識を伺います。
また、度重なる宣言でその効果が薄れていると思いますが、今回の対策で実効性は十分なのか、今回が最後の宣言と言い切れるのか、お示しください。
さらに、いつになったら我々は普通の生活に戻れるのか、その見通しを総理の言葉で国民に語ってください。よろしくお願いします。
(菅総理)
まず、今年に入って2度の緊急事態宣言をお願いしておりますが、毎回、感染者数や病床の状況、ここについて判断を行い、飲食を中心に、できる限り的を絞って早期に感染をピークアウトさせる、そのために取り組んできました。その中で、国民の皆さんや事業者の方々には、大変御迷惑をおかけし、また、御協力を賜っておりますことに、感謝申し上げます。
こうした一進一退の状況から脱して感染対策の決め手となるのがワクチンだと思っています。7月末までには希望する65歳以上の高齢者の皆さんに2回接種を全国で終えられる、その予定であります。
また、これは世界を見てみましても、世界は日本よりもはるかに厳しいロックダウンを行う。そして、外出禁止、罰金、そうした厳しい状況にあっても何回となく同じことを繰り返してきているということも事実ではないでしょうか。正にそういう意味で、ワクチンを接種することによってかつての日常を取り戻すことができるというふうに思っています。
ですから、東京の新規感染者は、今、増加しています。高齢者の感染や重症者が少ない、こうしたことは、明らかに高齢者の皆さんに接種を始めていますから、そこは大きく変わっていることだというふうに思っています。また、東京から全国に飛び火をすることがないように、大変心苦しい判断でありましたけれども、今回、緊急事態宣言を発出させていただきました。
こうしてワクチン接種が進み、効果が現れるまで、全国的な感染爆発を防ぐための措置として御理解いただきたいというふうに思います。
諸外国の例を見ても、全人口の約4割に1回接種が達した辺りから、正にこの感染者というのは減少傾向になっているということが明確になっています。こうした日常を取り戻すためには、1日も早くこの4割に到達することも大事だというふうに思います。7月中には是非そこを目指していきたい、こういうふうに思っています。
(記者)
総理、最後の宣言と言い切れるのかどうか質問しているのですけれども。
(内閣広報官)
追加の御質問はお控えください。
(菅総理)
常に私自身は、今までこの感染対策を行ってきましたけれども、ワクチンというのは今回が初めてです。世界では、このワクチンによってかつての日常を取り戻している国が出始めています。ですから、ワクチン接種を最優先で行っているところであります。そのことによって大きく変わるだろうと、そこは強い信念を持って、今、やっています。
先生、よろしいですか。
(尾身会長)
せっかくですので、今、総理からの御指名がありましたので。
私は、今回、国が東京に対して緊急事態宣言を発出するという諮問を我々の専門家の方に出されたわけですけれども、私たちはこれに賛同いたしました。その理由は、大きく分けて、私は、背景といいますか、4つあったと思います。
1つ目は、これからの7月、8月、この1~2か月というのは、私は、今まで1年半以上にわたって行った我々のコロナ対策、取組の中で、最も重要な山場の1つだと思います。それが1つですね。
それから、もう総理もおっしゃったように、今、感染性の強いと思われるデルタ株の置き換わりが着実に進んでいるということがあります。
それから、ワクチンが非常に効果を、高齢者を中心に、出てきておりますけれども、1つだけ、我々の懸念、今、なぜ緊急事態宣言を発出するのがいいかと思った、1つの大きな理由は、実は高齢者の重症化というのは、比較的、今、ワクチンのおかげで少し抑えられていますが、実はこれ、恐らくデルタ株の影響だと思いますが、40代、50代の比較的若い年齢層の重症化、それから、入院する、実際に人工呼吸器を使うような人が、今までの第3波、第4波には見られなかったことがあります。
したがって、今回は、総理がおっしゃったように、多分私はこれを最後のということに期待します。これから何があるか分かりませんけれども、ワクチンがだんだん進んでいますので、その前にこの1~2か月の間に何としてもこの40代、50代の、これがかなりスピードが高いふうに入院患者数、重症者数が増えていますので、この期間に何とかしてこれが、感染が更に拡大して医療のひっ迫、このまま放っておくとそうなる蓋然性がかなり高いと我々は判断しています。そういう意味で今回国の方がこういう判断をしていただいたことに対して、今日もそれについては全員一致で合意したということだと思います。
(内閣広報官)
それでは、続きまして、産経新聞、杉本さん、どうぞ。
(記者)
産経新聞の杉本です。よろしくお願いいたします。
東京オリンピック・パラリンピックについてお伺いいたします。総理はこれまで緊急事態宣言が発令されれば無観客を辞さないというお考えを示されてきました。先ほど、総理、冒頭発言でオリンピックの意義について、世界が一つになれること、人類の努力と英知によってコロナを乗り越えられることを発信するというふうにおっしゃったと思うのですけれども、無観客であったとしてもこうした意義というのはあるというふうにお考えでしょうか。
あわせまして、7か月後になりますけれども、来年2月には中国の北京で冬のオリンピックが開催されます。恐らく中国政府はその中国の政治システムがコロナに勝利した証であるというふうな宣伝をする場としてオリンピックを利用するということも考えられると思いますけれども、その前に自由主義国家である日本がオリンピックを開催するということがどのようなメッセージを持つというふうに総理はお考えになりますでしょうか。よろしくお願いします。
(菅総理)
まず、東京大会の意義について2つ申し上げたいと思います。
やはり1つ目は新型コロナの中での安心・安全な大会の実現、正に人類が困難に直面する中にあって、今だからこそ世界が一つになれる、力を合わせてこの難局を乗り越えている、こうしたことをやはり世界に発信するいい機会だというふうに思います。
それと2つ目はやはりパラリンピックです。64年の東京オリンピックの際に初めてパラリンピック競技のパラリンピックという名称がそのところから使われた。そういう意味で歴史的な大会でありました。そして、障害者の皆さんはその大会の中で社会進出というものをしようという1つの大きな契機になったと言われてきています。そういう中で、このコロナの厳しい中で、障害のある人もない人も、また、お年寄りも若い人も、この共に助け合うという共生社会、その実現に向けて、正に心のバリアフリー、こうしたものをやはり世界に発信するということは極めて大事だというふうに思っています。
それと、今度の大会というのは、これからどうするかということを5者会議で決めるわけですけれども、世界で40億人の人がテレビでこのオリンピック・パラリンピックを視聴する、こう言われております。そうした意味合いにおいて、この大会というのは世界に発信できる最高の機会になる、このようにも思っております。
G7の先般のサミットにおいて、この宣言にも明記されていますけれども、日本だからこそこういうときにオリンピック・パラリンピックを開催できる、成功を皆さん祈るという、そうした趣旨も宣言の中に書き込まれております。そういう意味においては各国の期待にもしっかり応えられる、そういう大会にしたいと、こういうふうに思っています。
(内閣広報官)
それでは、これより幹事社以外の方から御質問を頂きたいと思います。
御質問を希望される方は挙手をお願いいたします。こちらで指名をさせていただきますので、マイクにお進みください。なるべく多くの方に御質問いただくためにも、質問は1問ずつ簡潔にお願いしたいと思います。御協力をお願いいたします。
それでは、日本テレビの山崎さん、どうぞ。
(記者)
日本テレビの山崎です。
先ほど、総理は東京オリンピック・パラリンピックについて異例の大会になるとおっしゃいました。緊急事態宣言下の開催になりますけれども、総理は前回の会見で、東京大会について、国民の安全・安心を守るのは総理としての私の仕事ですから、私が責任を持って行うと明言しました。こういう緊急事態宣言下の開催となるわけですが、感染者が増加した場合の責任について、総理はどのように考えていますか。
(菅総理)
まず、緊急事態宣言の中でこれから大会を迎えるわけであります。そうした中に、今回、緊急事態宣言の中に大きな成果を上げてきていたのが、やはり酒類の停止です。飲食店の酒類の停止、ここは大きな成果をこの感染拡大防止については上げてきているというふうに思っています。そうした中で、まず、この緊急事態宣言の中でありますから、そうしたことは当然、酒類は停止になります。また、まん延防止等重点措置のそれぞれの自治体についても、この首都3県ですか、東京以外の、そうしたところにもこれが適用されるというふうに思っています。
こうしたことの中で、やはり安全・安心ということについて、コロナの感染拡大措置というものも含めてこうしたいろいろな対応、あるいはこれは人流も多くなるんじゃないかと言われていますけれども、これは交通規制あるいはテレワーク、これは大分前から徹底して行ってきていることですけれども、こうしたことによって安全・安心の大会を実現できると、こういうふうに思っています。
(内閣広報官)
続きまして、それでは、奥の列、新潟日報の横山さん、どうぞ。
(記者)
新潟日報の横山と申します。よろしくお願いします。
新型コロナウイルスのワクチンの供給についてお伺いします。国からのファイザー製のワクチン供給の見通しが立たないことから、新潟県内でもワクチン接種の予約を一時停止したり、延期したりする市町村が出ています。首長からは、現場は大混乱になっている、国の見込み違いだと厳しい声も上がっています。また、県民の間にもいつ打てるのかと不安が広がっています。総理はワクチンの接種を先ほどからやはり早く進めたいとおっしゃっておられますけれども、こうした中で、地方でこれだけ混乱が起きているということについて、率直にどのように受け止めておられるのかお聞かせください。
また、先ほどワクチンの配分量を早期に示すとおっしゃいましたが、これも一刻も早く示してほしいと多くの自治体が思っていると思います。具体的にいつ頃お示しになる予定でしょうか。よろしくお願いいたします。
(菅総理)
まず、希望する国民の皆さんにできる限り早くワクチン接種を行うべく、全国でワクチン接種が加速しています。先ほど申し上げましたけれども、先進国の中でも最も速いスピードだと言われています。
一方、予想を上回るペースで接種が進む中で、一部の自治体からワクチンが足りないと不安の声も聞かれております。先ほど申し上げましたけれども、全国にこの6月末までに9,000万回のファイザーのワクチンについては、それぞれの人口割で配らせていただいています。そして、6月いっぱいの中で接種が5,000万を超えていますけれども、それ以外の約4,000万回分については自治体にあるというふうに思っています。ただ、これ2回ですから、2回のワクチンが入らないと接種しないとか、いろいろなこれは事情があろうというふうに思います。そうしたことに対して、7月にいつに何個行くということを、これを明確にしまして、そして、8月からも早く進んでいるところには傾斜配分するとか、そうしたことも示して混乱のないようにしたいというふうに思っています。
ただ、おかげさまで毎日130~140万回で増えている、そういう状況の中で皆さんに御協力、接種していただいていることには感謝申し上げたいというふうに思います。
(内閣広報官)
それでは、ドワンゴの七尾さん、どうぞ。
(記者)
連日お疲れさまです。よろしくお願いします。
すみません。ようやく抽選で会見に参加できまして、質問がやや長くなりますが、お許しください。
音楽ファン、アーティストが心待ちにしておりましたロック・イン・ジャパン・フェスティバル2021がやむなく中止となりました。4回目の緊急事態宣言でイベントや文化祭、修学旅行など、学校の行事の中止も多くなると思われます。それぞれ主催者や参加者が感染リスクを最小限にするための努力を進めてきた中で、なぜ五輪だけは許されるのか。こうした率直な疑問や怒りに対して総理はどうお答えになるのでしょうか。
また、昨年、特別定額給付金1人10万円の支給を実施しましたが、今は、経済的にも精神的にもはるかに厳しく、多くの国民は我慢してきたと思います。前回執行にかかった総額は約13兆円と言われておりますが、昨年度未執行の予算30兆円を残しております。国民への再度の支給について、お考えをお聞きします。よろしくお願いします。
(菅総理)
まず、御指摘のイベントですけれども、野外音楽フェスとしては正に最大級であって、若い方を中心に大変楽しみにされている、そういうふうに承知しています。中止になったことは大変残念に思います。
他方、このイベントの開催制限については、東京オリンピック・パラリンピック大会も実は同様の取扱いであります。緊急事態宣言の下では、午後9時以降は無観客での開催をお願いする、そういう9時以降はなっていますので、こうした点については御理解いただきたいというふうに思います。
ですから、これからどのような体制で東京オリンピック・パラリンピック大会を開催するかというのは、5者の方でこれから決められる予定であります。ただ、私自身も、この緊急事態宣言が発した際には、それは無観客も辞さないということを申し上げています。そういう中で、5者の中でどのような大会にするかということは決まっていくだろうというふうに思います。
いずれにしろ、感染の抑制とワクチン接種、全力で取り組んで、1日も早くかつての日常を取り戻すことができるように全力を挙げるのが私の仕事だというふうに思っています。
また、その10万円の件でありますけれども、コロナの中で大変な影響を受けている方、そうした方には様々な支援策、人件費や資金繰りなどの支援だとか、あるいは雇用調整の助成金だとか、いろいろな対策の中で、少しでもそうしたコロナ禍の中で厳しい状況の方にはお手伝いを国として対応するというのは、これは当然のことでありますので、そうした形で行っております。コロナによっていろいろな方が影響を受けていると思いますけれども、そうしたことで支援をさせていただきたい、いただいているというのが今の実情であります。
(内閣広報官)
それでは、日本経済新聞、重田さん、どうぞ。
(記者)
日本経済新聞の重田です。よろしくお願いします。
経済対策についてお伺いしたいと思います。今回、6週間という宣言の長期の発令となりまして、経済への目配り、これが不可欠になるかと思います。与党内なのですけれども、この夏にでも経済対策の骨格をまとめるべきだとの声があります。総理は月内にもその編成を指示されるお考えはありますでしょうか。同時に、コロナで打撃を受けた家計や企業にどういった対策が必要であるのか、また、想定する規模感なども併せて教えていただきたいと思います。
(菅総理)
まずは新型コロナの影響を受けていらっしゃる方をしっかりお支えするというのは、これは最優先だというふうに思っています。資金繰りの支援だとか、雇調金による人件費の支援、飲食店の協力金、そうしたことは早急にやっていきたいというふうに思います。
日本経済で申し上げれば、昨年度の税収、先日発表されましたけれども、最も高い水準になっています。さらに、今年度の経済成長率は3.7パーセントになる、こうした試算が示されており、今年度中にGDP(国内総生産)でコロナ前の水準を上回る見通しになるだろうという見通しもあります。さらに、ワクチン接種を加速されることによって、経済にも大きな良い影響が出るというふうに思っています。
こうした中で、新型コロナが国民の皆さんの日常の生活に影響することに十分目配りをしながら、当然、強い経済というものを、是非ともこれを大きな目標に掲げていますから、そうした強い経済をつくり、成長できるようなこの国にしたいというふうに思っています。
いずれにしろ、経済の状況を見ながら臨機応変にそこはしっかり対応するという、そういう中で、常に経済対策というのは頭の中に入れながら取り組んでおります。
(内閣広報官)
続きまして、それでは、NHK、長内さん。
(記者)
NHKの長内と申します。よろしくお願いします。
さきの東京都議会議員選挙を受けて、自民党内からは様々な意見も出ているわけですけれども、総理、次の衆議院選挙までに内閣改造を行うお考えはありますでしょうか。
(菅総理)
党内にいろいろな声があるということは私自身も承知しています。そういう中で、私、常に最優先ということを申し上げていますのは、コロナ、コロナ対策を最優先に私自身は取り組んでいきたいと、そういうふうに思っています。
それと同時に、私自身の任期、総裁としての任期、さらにまた、政治家としての衆議院の任期、そうしたことも当然間近に来るわけでありますから、そうした全体を考えながら、政策として様々なことをめぐらせながら取り組んでいきたいというふうに思っております。
(内閣広報官)
それでは、再び奥の列、Tribun newsのスシロさん、どうぞ。
(記者)
よろしくお願いします。インドネシアのTribun newsのスシロと申します。
今月6日から新しい水際対策に係る新たな措置が決定されました。例えばインドネシアの場合は10日間検疫の必要があります。この法律は五輪の関係者含めて、VIP関係者にも適用されますでしょうか。それから、特には、VIP関係者は海外から大体何か国来る予定でしょうか。よろしくお願いします。
(菅総理)
まず、海外から日本に来る選手や大会関係者については、入国前に2回、入国時に検査を行い、入国後3日間は毎日検査を実施、選手はその後も毎日検査を実施することになっています。さらに、デルタ株などの流行を受けて、インドネシアなどからの一般の入国者に対しては、今言われましたように水際対策が強化されています。
こうしたことを踏まえて、これらの国からの選手並びに関係者は、入国前7日間及び入国後3日間は毎日検査を行い、チーム以外の方と接触を行わないというルールが新たに導入されました。こうした厳しい措置を採っていることを前提に、五輪関係者の方には一般の入国者とは別のルールを適用しております。引き続き、安心・安全の大会を実現できるよう、水際対策をしっかりやっていきたい、このように思います。
(内閣広報官)
それでは、ジャパンタイムズ、杉山さん。
(記者)
ジャパンタイムズの杉山です。
総理にお伺いします。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が五輪に合わせ訪日する意向だと一部で報道されていますが、総理として文大統領と日韓首脳会談を行いたいというお考えでしょうか。また、行うのであれば、何らかの前提条件を求めるのでしょうか。
(菅総理)
まず、開会式への韓国からの出席者については、まだ決定していない、こういうふうに承知しています。その上で申し上げれば、現在の日韓関係というのは、正に旧朝鮮半島出身の労働者問題、あるいは慰安婦問題などによって非常に厳しい状況にあるというふうに思っています。日韓両国のこうした懸案を解決するためには、やはり韓国が責任を持って対応していく、このことが重要だと思います。
引き続き、韓国側に適切な対応を強く求めていくという立場に変わりはありません。ただ、その上で、訪日される場合は外交上丁寧に対応するということは、ここは当然のことだというふうに認識しています。
(内閣広報官)
それでは、共同通信、吉浦さん、どうぞ。
(記者)
共同通信の吉浦です。よろしくお願いします。
東京五輪・パラリンピックについて重ねてお聞きします。先ほど総理は、安心・安全な大会を成功させるとの決意を表明されました。この東京大会、どのような状況を実現すれば、この安心・安全な大会をできたと言えるのでしょうか。その具体的な判断基準について、総理の認識をお聞きします。
(菅総理)
まず、安全・安心な大会の実現に向けて、選手や大会関係者の徹底した検査や行動管理、こうしたことを行うことによって、ウイルスの国内への流入をまずは防ぎたいというふうに思っています。これによって選手が安心して大会に参加できるように、入国する選手や大会関係者によって国内の感染状況に影響が及ぶ、こうしたことがないように、ここはしっかりしたいというふうに思っています。
さらに、今回の大会が人流を引き起こし、感染拡大につながる、こうしたことは絶対に避けなければならないというふうに思っています。先ほど申し上げましたけれども、これ1年以上前から、例えば首都高の料金を1,000円上げるだとか、交通の規制、あるいは船もそうですけれども、オリンピック期間中の着岸、接岸ですか、そうしたことに対しての対応とか、そしてテレワークについても、オリンピックのときはこれだけやろうというのは、これは準備して進めていますから、そういう意味で、テレワーク、交通量の規制、大会のときの人流というのは、現在よりも極めて抑えられている、そういう見通しの中で行うことになっております。ですから、そういう中でそうしたウイルスが侵入されなかったと、感染拡大を阻止した、そうした結果というのは大事だというふうに思っています。
(内閣広報官)
それでは、ラジオ日本の伊藤(いとう)さん、いかがでしょうか。
(記者)
ラジオ日本の伊藤です。
総理にお尋ねします。先ほど頂いた資料を見ても分かりますように、ワクチンの加速化が、東京でも高齢者の感染者が少ないということはワクチンの効果だと思います。そこでお尋ねしたいのですけれども、例えば今、今回は東京への緊急事態宣言ですので、特に65歳以下の50代、40代、30代の方々に対して、今、各自治体に分散されている、あるいは確保されているワクチンを、例えば河野ワクチン担当大臣にコントロールしていただいて、例えばワクチンはあるけれども接種希望者が少ない自治体もあるわけです。そういうものを、例えば東京のそういう65歳以下の接種を希望する方に接種するようなお考えはございますか。お願いします。
(菅総理)
まず、ワクチン接種の基本ですけれども、やはり基本的には全国一律で、最も重症化すると言われる65歳以上の方を中心にやるべき。これは会長の尾身先生から、そうした専門家の御指摘の中で、65歳以上の方の2回を優先するようにという、これは全国の各都道府県にお願いさせていただいています。
そして、おかげさまで、1回目を65歳以上の方で接種した方は71パーセントまで今なっています。2回打った方は40パーセントです。そういう状況を見るにつれて、全国で1,741市町村あるのですけれども、そういう中で高齢者の皆さんは7月いっぱいで打っていただける、そういう予定で今、順調に進んでいます。
まず高齢者が最優先、その中で地方のものを都会にと、これは都会の自治体の首長さんも言っていらっしゃる方がいて、新聞等で報道されていますけれども、まずは、ここは全国一律に65歳以上の方はお願いして、あと、やはりどうしても東京とか大都市圏から感染リスクが地方は多いですから、そういう中で職域接種又は大学での接種、そうしたことを私どもは考えて、今、接種させていただいているということであります。
今、東京の中でも、もう既に64歳以下の人に接種券を発送しているところもありますので、そういうところについては、自衛隊の接種会場等も受付もしていますので、そういうところで来ていただいて進めていただければというふうに、接種していただければというふうに思っています。
(内閣広報官)
それでは、テレビ東京の篠原(しのはら)さん、どうぞ。
(記者)
テレビ東京の篠原です。
先ほどもお話がありましたが、自治体でワクチンの予約のキャンセルなどが相次いでおります。こうした事態に対処するために、現在、国内では、認可されているものの接種が始まっていないアストラゼネカ製のワクチンを国内で接種することについて、これを選択肢に入れる考えはありますでしょうか。
(菅総理)
アストラゼネカ社のワクチンを臨時接種で使用することについて、厚労省の審議会において、諸外国における状況などを踏まえながら、我が国においての利用、その状況について検討されているところであって、まだ結論は出ていないというふうに思っています。
こうした専門家による議論の動向を注視しながら、まずは9月までに全国民分のワクチンが、ファイザーとモデルナ、ここについては2億2,000万回分用意していますので、ここで今、進めてきていますので、ここでまず、そこは使い切っていきたい、このように思っております。
あと、いずれにしろそういう中で、アストラゼネカについては厚労省のその審議会というのですか、そうした中での結論を見る中で考えていきたいと思います。海外によっては60歳以上とか、いろいろな条件があるようですから、そうしたことを厚労省の中でもしっかり海外の情報を集める中で、今、これから審議するということだろうというふうに思っています。
(内閣広報官)
それでは、大変恐縮ですが、あと2問とさせていただきます。
それでは、毎日新聞の小山さん、どうぞ。
(記者)
毎日新聞の小山です。よろしくお願いします。
五輪の観客数について伺います。先ほど来から会見を聞いていますと、東京都については無観客という総理のお考えだと思いますけれども、他県の会場についてはどうお考えでしょうか。もちろん、この後の5者協議で決まるということは分かっているのですが、総理が国民の安全・安心に責任を持つと言っている以上、総理のお考えを国民が知りたいと思っていると思います。総理としての方針をここでお示しすることはできませんでしょうか。
(菅総理)
まず、これまで私、申し上げてきましたけれども、緊急事態宣言になれば無観客もこれは辞さない、こういうことを申し上げています。こうした中で観客の扱いについては、今、5者協議、これからですか、行われて方向性が出されるというふうに思います。ただ、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置のときのルールがあります。そこのルールに合った形の中で決められていくのだろうというふうに思っています。緊急事態宣言でも5,000人とかそういうルールをつくっていますから、そういう中で決めていくだろうというふうに思っています。
(内閣広報官)
それでは、最後に国際メディアから、アラブニュースのアズハリさん、どうぞ。
(記者)
アズハリ、ジャパン、アラブニュース、アラブインジャパン。
先週の熱海での土砂災害のように、気候変動や環境汚染、また、人的要因が大自然災害につながりました。菅政権は、これまでも地域の耐災化とインフラ整備を重視してこられましたが、今後、どのような対策を行うのでしょうか。ありがとう。
(菅総理)
近年は災害が頻発化し激甚化する中で、政府としては国土強靱(きょうじん)化、ここにしっかり取り組んでおります。こうした中で、中小河川の浚渫(しゅんせつ)や遊水池の整備だとか、また、インフラの老朽化、こうしたこと、防災・減災に対して、政府を挙げて国土強靱化対策にしっかり取り組んでいるところであります。
そうして、地方の活性化という中で、私自身はやはり観光、農業、そうしたものを中心に地方の所得を引き上げていきたい、こうしたことに取り組んでいるところであります。しっかりやっていきたいと思います。
(内閣広報官)
それでは、ただ今挙手いただいております皆様におかれましては、大変恐縮でございますけれども、この後、1問をメールでお送りいただきたいと思います。後日、回答を総理より書面にてお返しさせていただくとともに、ホームページで公開させていただきます。どうぞ御理解と御協力をよろしくお願いいたします。
それでは、以上をもちまして、本日の記者会見を終了させていただきます。
御協力ありがとうございました。