[文書名] 新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見
【菅総理冒頭発言】
先ほど新型コロナ対策本部を開催し、北海道、宮城県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、岡山県、広島県に緊急事態宣言を発出するとともに、高知県、佐賀県、長崎県、宮崎県にまん延防止等重点措置を適用し、期間は、それぞれ8月27日から9月12日までとすることを決定いたしました。
新規感染者数は過去最大の水準を更新し続けています。特に中部圏などにおいて高い増加を示しています。全国的にほぼ全ての地域でこれまでに経験のない感染拡大が継続いたしております。保健所の体制や医療提供体制も厳しい状況が続いています。こうした中で、各地域の病床の状況などを踏まえ、対象を追加する判断をいたしました。
先週、私は、こうした地域において、医療体制の構築、感染防止、そしてワクチン接種という3つの柱から成る対策を徹底していくと申し上げました。国民の皆様の御協力を頂きながら、この危機を何としても乗り越えていく、そうした決意に変わりはありません。
感染拡大が急速に広がる中で、多くの方々が不安な気持ちで過ごされていると思います。確実に医療を受けることができるよう、緊急的な医療対策を速やかに進めてまいります。国民の命と暮らしを守るため、必要なことを一つ一つやり遂げてまいります。
医療体制の確保ですが、まず第1に自宅療養者への対策です。自宅で療養されている方は、大変心細い気持ちで過ごされていると思います。患者さんが最初に受診した診療所などにおいても健康観察や相談、電話診療などを行っていただける体制を地域の実情に応じて、医師会の協力も得て、速やかに構築してまいります。
先日、自宅療養中の妊婦さんが、受入病院の調整に困難をきたし、赤ちゃんを亡くされるという大変痛ましいことがありました。新型コロナに感染した妊婦に対応できる高度な医療体制についても、地域での確保を進め、緊急時でも迅速な搬送を行えるよう、病院、都道府県と消防機関の情報共有と連携の強化を徹底してまいります。
第2に病床の確保であります。一昨日、都内の医療機関に対して、最大限の入院患者の受入れなどについて、感染症法に基づく要請を国と東京都で共同で行いました。また、今回の緊急事態宣言の発出に当たり、国からそれぞれの都道府県に対し、最大限の病床を確保し、医療体制を速やかに強化するよう、お願いいたしました。
国としても、自治体の医療強化の取組には、全面的な支援を行ってまいります。そして、国立病院機構においては、新型コロナ対応の病床を東京全体で200床まで拡大し、全国の新型コロナ対策センターとしての役割を果たしてまいります。
今回の感染拡大に際し、いわゆる野戦病院をつくるべきだ、こうした多くの指摘を頂いております。病院の空きベッドや、それ以外の施設も活用し、酸素の投与を可能とする緊急の施設は、これまでに全国14か所に設けられてきました。こうした一時的な療養施設を緊急事態宣言地域を中心に更に増やしてまいります。
第3に新薬による重症化防止です。新たに中和抗体薬は既に1,400の医療機関で1万人に投与され、重症化を防ぐ、極めて高い効果が出ているとの声が現場から寄せられております。これまでその対象は入院患者のみとされてきましたが、入院せずとも使うことができるよう、外来で使うことも可能とします。必要な数量はしっかりと確保しております。今後とも50代以上の方や、基礎疾患のある方を対象として集中的に使用し、重症化を防いでまいります。
残念ながら、子供たちの感染も増えています。9月の新学期を控え、できる限り教育の機会が損なわれることのないよう、子供たちの対策を進めていきます。
まず、学校での感染が大きく広がることのないよう、チェックリストの周知を進め、発熱等の症状がある場合は登校しないことなど、基本的な感染対策を徹底してまいります。
次に、幼稚園、小中学校に約80万回分の検査キットを配布し、早期の発見、対応に努めてまいります。
さらに、教職員のワクチン接種を進めていきます。これまでも自治体の大規模接種会場や、700を超える大学の接種会場では、学校教職員の接種が行われておりますが、そうした機会をさらに活用し、希望する教職員へのワクチン接種を行ってまいります。
その上で、国から全国一斉の休校を要請することは考えておりませんが、学校で感染者が出た場合には、学校や自治体が濃厚接触者の特定や、休校の判断を適切に行えるよう、速やかにガイドラインを示してまいります。
繰り返しになりますが、マスク、手洗い、3密の回避という基本的な予防策を徹底し、特に会話をするときのマスク着用を改めてお願いいたします。
飲食店の時間短縮、大規模商業施設の入場整理を行います。感染力の強いデルタ株に対処し、現場で分かりやすい感染対策を進めることができるように、百貨店など多くの利用者と接する職場を中心に、業種別ガイドラインを見直していきます。
テレワークについても、それぞれの職場で更なる工夫を重ねて、昨年春に多くの企業が達成した出勤者7割削減に向け、取組を進めていただきたいと思います。そして、お一人お一人がリスクの高い場所、リスクの高い行動を避けていただくようにお願いいたします。
ワクチン接種は8月の間も1日100万回以上のペースで進み、昨日まで全国民の54パーセントの方が少なくとも1回の接種を行い、43パーセントの方が2回の接種を完了し、総接種回数は1億2,000万回に達しております。企業や大学における接種は、当初の2,400の会場に加え、今月から新たに140の会場で行われ、来月半ばまでには、約1,500の会場で開始されます。そうした中で、8月末には全国民の半数近くの方が2回の接種を行い、9月末には6割近くの方が接種を終え、現在のイギリスやアメリカ並みに近づく見通しであります。
特に今回、目立って重症化の傾向が見られる50歳代については、これまでに約5割の方が1回の接種を行い、2回の接種を終えた方は3割となっていますが、そうした方々を含め、着実に接種を進めてまいります。
今週中に1兆4,000億円の予備費の使用を決定します。ワクチン接種の体制や、中和抗体薬の確保といった緊急の課題に対応し、雇用調整助成金や緊急小口資金などを続けていくため、万全の予算措置を講じていきます。
飲食店に対する協力金については、先月導入した早期給付への申請に対し、首都圏では、ほぼ全てが既に支給されております。今回追加された地域も含め、他の地域についても、都道府県と協力し、速やかな支給に努めてまいります。
緊迫した状況が続くアフガニスタンについてであります。昨晩もG7首脳テレビ会議に出席し、今後の対応や連携の在り方について、率直な議論を行いました。まずは在留邦人と大使館の現地職員などの安全な出国を最優先とし、既に現地に派遣した自衛隊機を活用しながら、しっかり対応してまいります。その上で、アフガニスタンが再びテロの温床になることを食い止め、現地で続く人道上の危機を回避し、女性などの権利を守っていくために、G7を含む関係国と緊密に連携してまいります。地政学上も要衝に位置するアフガニスタンの安定と復興は、我が国の国益にも深く関わっています。現地情勢とそれを取り巻く動向を見極めつつ、戦略的に取り組んでまいります。
感染力の強いデルタ株のまん延によって、感染者を押さえ込むことはこれまで以上に容易ではなくなっています。しかしながら、現在進めているワクチンの接種がデルタ株に対しても明らかな効果があり、新たな治療薬で広く重症化を防ぐことも可能です。明かりははっきりと見え始めています。
9月12日の宣言の期限については、ワクチンの接種状況、重症者の数や病床利用率などを分析し、判断を行ってまいります。その先にはワクチン接種証明書の積極的な活用の方法を含め、飲食店の利用、旅行、イベントなど、日常生活や社会経済活動の回復もしっかり検討いたします。全力でこの危機を乗り越えてまいります。国民の皆さんの御理解と御協力をお願い申し上げます。
【質疑応答】
(内閣広報官)
それでは、これから皆様より御質問いただきます。
尾身会長におかれましては、所定の位置にお進みください。御質問の内容によりまして、尾身会長にも御説明いただきます。
指名を受けられました方は、お近くのスタンドマイクにお進みいただきまして、社名とお名前を明らかにしていただいた上で、御質問をお願いいたします。
それでは、まず、幹事社から御質問いただきます。
北海道新聞、佐藤さん、どうぞ。
(記者)
北海道新聞の佐藤です。
総理は7月末の会見で、8月末までの間、今回の宣言が最後となるような覚悟で対策を講じると述べましたが、緊急事態宣言地域は21、まん延防止等重点措置地域を含めると33都道府県に拡大し、自宅療養者が重症化する例が連日報告されています。ワクチンに偏った政策や総理の言葉が国民に届いていないことが原因ではないでしょうか。この指摘にどう答えるか、自らの政治責任をどうお考えか伺います。
今回の宣言期限は9月12日に据え置かれました。新しい地域では期間が短く、自民党総裁選などの政治日程を考えたのではないでしょうか。お伺いします。
また、感染抑制には全国への緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の拡大、昨年春のような人出抑制策が必要ではないでしょうか。12日に宣言を解除できるのか、いつになったら我々は日常を取り戻せるのか、道筋をお示しください。
以上です。
(菅総理)
まず、デルタ株によって世界中で経験のない感染が広がって、我が国でも一変しております。私としては医療体制の構築を行う、このことを最優先に、感染防止対策、ワクチン接種という3本の柱から成る対策を徹底し、この危機を何としても乗り越えていく、それが総理大臣としての私に課された責任であると考えます。
また、私の言葉について厳しい御指摘を頂いています。しっかり受け止めて真摯に対応していきたい、このように思います。
また、今回の宣言の期限についてでありますけれども、これまでの地域と同様に医療体制の確保、感染防止、ワクチン接種を柱とする対策を進めるために、それらに必要な期間として9月12日を期限といたしました。
また、全国への宣言発出についてであります。これまでもお答えをしてきておりますように、感染状況や医療体制は地域によって大きな差があります。一部の県で皆さんに過剰なものとなってしまうおそれもあります。そうした中で今回の判断を行ったということであります。
また、感染防止対策について、政府としても飲食店の時間短縮や大規模商業施設の入場制限を徹底することに加えて、人流抑制のためのテレワークなどを強力に推進してきております。効果的な対策を講じていきたいというふうに思います。
また、出口戦略でありますけど、ワクチン接種が進む中にあって、出口に向かって、やはり医療体制をしっかり構築して、重症者を減らす対策を徹底するとともに、ワクチン接種というものをさらに推進していく、このように思っています。
尾身会長、出口戦略について。
(尾身会長)
それでは、出口戦略というのは恐らく今の文脈でいうと解除のことでよろしいですかね。解除については、私は、今回の緊急事態宣言も、それから以前の緊急事態宣言も、目的は明らかだったと思います。それは医療のひっ迫を何とか軽減したいということで、これは最初の1回目の去年の4月のときも、実はあのときも皆さん覚えられていると思います。オーバーシュートが起きたから緊急事態宣言を出したわけではなくて、医療のひっ迫が始まっているので出したということで、そのことは今回も一緒だと思います。
その中で、医療のひっ迫というのを私は2つの側面から考えるべきだと思います。1つ目はコロナの患者さんに十分な治療が供給できているかどうかという側面であります。もう一つの側面は、一般医療、診療の制限が、言わば許容レベルを超えているかどうかという見方だと思います。したがって、私は今回解除ということがいずれ話題になっていると思いますけれども、今申し上げた意味での医療のひっ迫がどの程度軽減されているかどうかというのが、私は最も、もちろん新規の感染者数、これが増減しているかということも大事ですけれども、ここが私は一番重要なことだと思います。
したがって、今、国があるいは都が始めようとしていただいている臨時の医療施設の開設とか、それから、今までコロナ診療に関わってきていなかった医療機関の先生にも、機関にも、できる範囲でこの時期は診療に関わってもらうというようなことが、今、求められていると思います。
(内閣広報官)
それでは、続きまして、産経新聞、杉本さん、どうぞ。
(記者)
産経新聞の杉本と申します。よろしくお願いいたします。
本日午前中に、総理は自民党の二階幹事長とお会いになられているかと思いますけれども、新型コロナ対策あるいは今後の政治日程についてどのようなお話をされたのかお聞かせください。
政治日程に関しては、仮にその会談の場で話されなかったとしても、総理御自身のお考えをお伺いしたいのですが、自民党総裁選挙の日程、その後に内閣改造、党役員人事をやるのかどうか、さらに臨時国会の召集、そして最後に総選挙の日程、これらについて現在のところ総理がどのような考えをお持ちなのかお聞かせください。よろしくお願いします。
(菅総理)
まず、二階幹事長との内容であります。今日このように緊急事態宣言、まん延防止等重点措置、こうしたことを踏まえて、この感染状況について説明いたしました。病床を確保することが極めて大事なことである。そういう中で、党として県連組織、そうしたものとも連携して、政府と与党として病床確保に協力していこうと、コロナに対してはそういうお話をさせていただきました。
そしてまた、総裁選挙ですけれども、これについては明日選挙管理委員会が開かれる、そういうことであります。
私自身についての今、御質問がありました。衆議院の解散総選挙、選択肢は非常に少なくなってきているというふうに思っています。ただ、私はあくまでも新型コロナ対策を最優先する、度々申し上げております。そういう中で判断していきたい、このように思います。
(内閣広報官)
ここからは幹事社以外の方から御質問をお受けいたします。
御質問を希望される方は挙手をお願いいたします。こちらで指名をさせていただきますので、マイクにお進みください。
それでは、NHK、長内(おさない)さん、どうぞ。
(記者)
NHKの長内と申します。
総理に重ねてお伺いします。自民党の中からは、次の衆議院選挙は厳しい選挙になるといった声も聞かれるわけですけれども、衆議院選挙の前に自民党の役員人事を行う考えはありますでしょうか。
(菅総理)
人事については全く白紙です。
(内閣広報官)
続きまして、それでは、ビデオニュース・ドットコムの神保(じんぼう)さん、どうぞ。
(記者)
ビデオニュースの神保です。よろしくお願いします。
総理、総理の任期ももう、自民党総裁としての任期ですね、残すところ一月余りとなりましたが、総理御自身は、もう早々に次の総裁選への出馬も表明されているというふうに理解しています。そこで御質問なのですが、次に誰が総理・総裁になったとしても、コロナ対策が最優先の政策課題であるということは論を俟(ま)ちません。ただ、そこで、総理御自身が次の総裁選への出場を表明されているということは、当然のことながら、総理御自身は、ここまでの菅政権のコロナ対策がうまくいっていると、機能しているというふうに評価しているというふうに我々は理解せざるを得ません。
なので、そこで御質問なのですが、総理は、まず、ここまでの菅政権のコロナ対策というのは本当にうまくいっていると、つまり、最優先課題であるところのコロナ対策がきちんと機能しているとお考えなのか。だとすると、何を根拠に今の日本のコロナ対策は機能しているとお考えなのか。また、もし問題があるというふうにお認めになるとすれば、どこに問題があって、仮に次の政権をまた担当されることになった場合に、どこを改める、どこを変える御用意があるのか。もし、その辺をできるだけ具体的にお話しいただけると幸いです。
(菅総理)
まず、私自身、昨年、自由民主党総裁に就任し、内閣総理大臣に就任してから、ある意味でこのコロナ対策、毎日のようにコロナ対策を中心にやってきていると、こう言ってもこれは過言ではないというふうに思っています。当初、この新型コロナというのは、全体像がなかなか分かりにくい、その中で対策を打たなければならないわけでありましたから、しかし、だんだん見えてきているのは、海外からしても、ロックダウンしてもなかなか感染が収まらなかったと。また感染が増え始めてきている。そして、諸外国はワクチン接種によってかつての日常を取り戻し始めることができているというふうに思っています。ですから、私自身も、このコロナのワクチン接種にこれは全力で取り組んできました。
日本はワクチンについては様々な歴史があって、なかなか慎重に、慎重にという、これは国会でも国内治験を行うべきだという、そうした条件(付帯決議)も付いています。通常、国内治験を行うと数か月も遅れてしまいます。私ども、この国内治験をやって、結果として3か月ぐらい他の国と、ヨーロッパとか、ワクチンの先進国というのですか、ワクチンを作っている国から遅れてきたというふうに思います。
それ以後については、ワクチン接種を始めてから、本格的には5月の連休明けでありますけれども、6月には毎日平均110万回、そして7月には150万回、平均で接種されてきています。今も、お盆休みはありますけれども、100万回は8月も超えてきております。そうした対策により、8月一杯、あるいは9月で、今のアメリカとかヨーロッパ、イギリス並みに接種が進んでいくということを先ほど申し上げました。
そういう意味において、私自身、このワクチン接種には全力で取り組んできて、そこは良かったというふうに思っています。一日も早く国民の皆さんに安心してかつての日常を取り戻すことができるように、このワクチン接種は全力で取り組んでいきたいというふうに思います。
それと、やはり医療体制の確保、今、尾身会長も言われましたけれども、そこは極めて大事だというふうに思っています。これについても、今申し上げましたけど、国立の病院関係でそうした病床をワクチンのために、治療のために、国として責任を持って出すと、そういうことも今始まっています。ですから、このコロナ対策をしっかり進めて、一日も早い、かつての日常を取り戻すことができるように全力でやっていきたい、こういうふうに思います。
(記者)
ワクチンを打たれたから、コロナ対策は、菅政権の対策は、ここまでは成功であると、そういうことでよろしいでしょうか。
(菅総理)
今、申し上げましたけれども、それは他の国と比較して、死者の数とかそうしたことを比べてみると、明らかになってくるのじゃないかというふうに思っています。こうした総力を挙げて全力で取り組んでいきたい、こう思います。
(内閣広報官)
続きまして、それでは、日本経済新聞の重田(しげた)さん、どうぞ。
(記者)
日本経済新聞の重田です。よろしくお願いします。
ワクチンの接種についてお伺いします。人口の7割が接種を終えているイスラエルなのですが、感染がここに来て急拡大しております。時間の経過とともにワクチンの有効性が低下する傾向が明らかになっておると思います。日本ですけれども、接種を開始して約半年が経(た)ちますが、3回目の接種について、これはいつから、どのような順番で進めるお考えでしょうか。
また、デルタ型の拡大で子供の感染が非常に目立ってきています。12歳以下の接種の判断に関しても、併せてお考えをお聞かせください。
(菅総理)
まず、イスラエルや英国では、2回目の接種を完了してから8か月近く経過しています。そういう中で、いわゆるブレークスルーという感染が増えており、3回目の接種が検討されている、そこは承知しております。なお、こうした国でも高い重症化の予防効果というのは現在も出ているというふうに思っています。
一方、我が国でありますけれども、まだそうした期間になっていません。ワクチンを2回接種した65歳以上の人、今85パーセント、1回目の人は88パーセントぐらいになっていますけれども、こうしたワクチンを接種したことによって、感染、死亡ということは大幅に減少していますので、ワクチン効果というのは強いものがあると思っています。
それで、3回目でありますけれども、来年3回目を打てる、ファイザーを始め、このワクチンは全て確保していますので、そこは3回目をいつからやるとか、そうしたことが正式に決まればできるような体制は整えています。
そういう中で、12歳未満の接種ですけれども、現在、企業の方で海外でやっている、今、治験をやっていますよね。そうしたことをしっかりと精査した上での対応になっていくというふうに思います。
(内閣広報官)
それでは、TBSの後藤さん、どうぞ。
(記者)
TBSの後藤と申します。
総理、お尋ねします。テレワークについてお尋ねします。政府は、テレワークを推奨することによって出勤者の7割の減少というのを今、目指しています。その場合、やはり政府のテレワークに対しての取組というのもかなり注目されると思います。菅総理は3月の下旬以降、一日丸々のお休みを取っていらっしゃいません。そして、常に私たちが観察していても、総理官邸あるいは公邸、あるいは議員宿舎で公務、仕事をなさっています。例えば菅総理自らがテレワークを行う、あるいは閣内のかなりの部分をテレワークというのを試みる、そういったお考えはございますか。お願いいたします。
(菅総理)
まず、テレワーク、これは率先してやらなければ駄目だというふうに思っています。そういう中で、今日この新たに緊急事態宣言地域とまん延防止等重点措置地域を決めた会合についてはテレワークでやらせていただきました。そういう意味で、一昨日もテレワークで私は規制改革会議ですか、やっています。そうしたことをこれからどんどんと増やしていかなければならないというふうに思っています。私自身もそういう意味で、進められるときは進めていきたい、こういうふうに思います。
(内閣広報官)
それでは、文化放送の山本さん、どうぞ。
(記者)
総理にコロナ対策についてお伺いします。
先ほど、ワクチンや抗体カクテル療法の効果を上げて、明かりが見え始めているとおっしゃいました。ただ、いまだ感染のピークも見通せません。ですから、国民にはその明かりは見えて、総理と同じ明かりは見えているのかどうかというのはちょっと疑問に感じています。いつになればその明かりは届くのでしょうか。
感染のピークが見通せない中、総理はロックダウンの効果は限定的だとお考えのようですけれども、緊急時限的措置としてもう一段踏み込むお考えはありますでしょうか。全国知事会では、例えば現行法制下でも可能なロードプライシングなど思い切った措置を含めて早期に検討するべきだというふうにも求めています。
また、尾身会長には、納得感のある対策をと指摘されていらっしゃいますが、具体的にどのような対策を今取れば、総理のおっしゃる明かりは国民に見えてくるのでしょうか。よろしくお願いします。
(菅総理)
先ほどから申し上げておりますように、やはり政府の戦略として、65歳以上の方から優先的な接種を進めました。そして現在、2回が85パーセントで1回目は88パーセントまで接種が進んでおります。結果として、かつてはこの感染者数で2割を占めていたのが3パーセント前後になっていますから、それは間違いなく効果が現れていることは事実だと思います。
それで、今、国民全体で第1回目の接種は54パーセントぐらいですかね。1回目が終わっています。これを65歳以上の方のように80パーセントとか、そうしたものに進めていけば、実際に感染も少なくなり、死者、死亡にもつながらないということは明確になってきていますから、そこは明らかであります。
それと、50歳の方で重症化しないような、この抗体のカクテル療法というの、ここがやはり、今、1万人の方にその療法をやって、効果がすこぶる高く出ています。そういう報告を受けていますので、そうしたことを進めていけば、重症化にもならないということも明らかになってきていますので、こうした、今は2つの武器を持っているわけでありますから、ここを進めていくということが大事だと思いますし、それと同時に、感染防止のために人流を少なくするテレワークだとか、あるいは病床をしっかり体制を構築して、コロナになってもそこで治療できるとか、そういう体制をしっかり整えていく。そういうことによって、この明かりが見え始めてきている。そういうことが具体的になり始めていますから、私は、明かりが出てきているということの、今、発言をさせていただきました。
(尾身会長)
今の合理的な、納得してもらえる体制がどういうことかという御質問ですけれども、実は今、東京なんかでは緊急事態宣言が出ているわけですよね。その中で、2週間前に政府の方からも人流を5割削減していただけないかという要請があった。多くの方の御協力で、一時は35パーセントまでいったのですよね。ところが、またここに来て人流がまた増えてきているということで、このことは、私はこれ、リアリティーだと思います。人々がなかなか協力しに、人々の協力を得られにくくなっているということは、これは現実として私は受け止めたほうがいいと思います。
したがって、緊急事態宣言等を単に出すことで無条件に問題を解決するというふうには私は思わないほうがいいと思います。そうする中で、一般の人にも納得してもらえる合理的な対策というのをこれからも打って、ますますこれからは重要になってきていると思います。
今、学校というものがまた始まって、感染がまた学校の再開に伴って、夏休みが終わるわけですから、ということが懸念されるということで、学校を一つの例として申し上げたいと思いますけれども、私は今から申し上げる、例えば4つの対策ですね。これを、学校といっても、保育所から大学までそれぞれ特徴がありますので、それぞれの特性に合わせて4つの対策、これは今、総理がおっしゃったように、ワクチンを、例えば保育所や幼稚園の先生にも打ってもらえる、これは非常に私は重要。
それから、2番目には、健康観察アプリというのがもうあるわけですよね。この健康観察アプリというのを活用した体調の確認と、少しでも具合が悪くなったら抗原検査をして、必要であればすぐに周辺をPCR。こういうことを徹底してやること。
それから、大学や高校の、特に運動系のフィジカルの接触は、これは当然やりたいですね。若い青春。この人たちの気持ちは当然分かるので、クラブ活動なんかをやる直前に抗原検査をやるということ。
さらに、4番目は、しかし、今、この時期は、やはり人流というものも大事なので、特に感染拡大という意味で非常に重要、大学では、やはり大学生というのは社会人に近い。活動量が多いですよね。この厳しい期間に限っては、大学に限ってはちょっとだけオンライン授業をやってみて、やっていただいて、これはテレワークと一緒ですよね。こういうことで、今は。
そういう意味では、私は、これからのやるべきことというのは、ワクチン、検査、その他、科学技術というものをフルに活用して、人々の協力、納得感ですよね。得ることが重要で、しかし、同時に、最悪の場合というのは常にあり得るわけで、そういうことで、今、さっきから申し上げているとおり、国会の議員、先生方に人々が感染対策に参加してもらえるような、可能にする、あるいは、医療機関なんかにも今まで以上に協力してもらえるようなことを可能にする法的な仕組みの構築というものを、しっかりと一般の人々と、タウンミーティングなんかでも開いて、そういうことを議論を始めていただければと思います。
(菅総理)
すみません。先ほどのTBSの後藤さんの質問で、テレワークとオンライン会議、こうしたことについて、混同してお答えしてしまいました。お詫(わ)び申し上げたいと思います。
(内閣広報官)
それでは、高知新聞の五十嵐(いがらし)さん、どうぞ。
(記者)
高知新聞の五十嵐です。
総理に、コロナ対策でお伺いします。今回、高知県を含め、4県が重点防止措置に追加されましたけれども、大都市圏以外の地方の感染状況について、政府の現状認識、今、どうお考えか。
あわせて、全国知事会の方が、緊急事態宣言かまん延防止等重点措置、いずれかを全国的に拡大するよう、その検討をするよう要請しておりますけれども、その点について、全国一律の措置の必要性についてどうお考えか、よろしくお願いします。
(菅総理)
まず、高知県ですけれども、新規感染者数が既にステージ4相当であることに加えて、急速な伸びがあったということで、病床使用率もステージ3という状況になったことを踏まえて、政府で高知県の意向もしっかりとお伺いした上で、本日の分科会に諮り、まん延防止等重点措置の対象としたと、このように理解しています。
それで、これ、全国のそれぞれの都道府県において一律という、1つずつ確認すると、そうでないところも結構あるのです。そういう中で、それぞれ地方の特殊事情というものがありますので、そうしたことを配慮しながら進めさせていただいているということであります。
(内閣広報官)
それでは、ジャパンタイムズ、杉山さん、どうぞ。
(記者)
ジャパンタイムズ、杉山です。
総理にお伺いします。アフガニスタン情勢について伺います。タリバンはアフガニスタン人の国外退避を認めない考えを示していますが、今後の状況次第では、アフガニスタンからの難民の方々を日本に受け入れるという考えはあるのでしょうか。
(菅総理)
まずは、出国を希望する邦人や現地職員などの、迅速で、そして、安全な退路の実現を最優先に、これは取り組んでおります。その上で、日本に来るアフガニスタン人に係る今後の対応についてというのは、関係国ともしっかり連携した上で、それぞれ置かれている状況、そうしたものも配慮しながら対応していきたい、こういうふうに思っています。
(内閣広報官)
それでは、テレビ東京、篠原(しのはら)さん、どうぞ。
(記者)
よろしくお願いします。
今日の決定で、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域が33都道府県に上りまして、長期間我慢を強いられている国民の間からは、個人向けの定額給付金の再支給を求める声も出始めています。改めて、総理、この個人向けの定額給付金の再支給について、現状、どういうふうにお考えでしょうか。
(菅総理)
まず、新型コロナの影響が長引く中にあって、国民の皆さんの雇用や暮らしを守るために、雇用調整助成金の特例によって人件費を支援し、手元資金にお困りの方については最大140万円の緊急小口資金を御利用いただいております。こうした中で、それぞれの事業者や個人の皆さんが受けている影響というのは、これは様々でありますので、こうしたそれぞれの状況に十分目配りしながら、それは対策を行っていくことが大事だというふうに思っています。
(内閣広報官)
それでは、西日本新聞、古川さん、どうぞ。
(記者)
西日本新聞の古川と申します。
総理にお尋ねします。先ほど、総理は、この危機を乗り越えていくと述べられましたけれども、本日、尾身会長は、国会で、政府はやや楽観的な分析があったというふうな指摘がございました。そもそも、分科会の専門家が見据える出口と、政府が見据えている想定はずれがあるのではないでしょうか。総理は政府にとって不都合なデータや、厳しい意見にも耳をこれまで傾けてこられたのでしょうか。お考えをお聞かせください。
(菅総理)
まず、この緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象については、当然、政府の考え方を分科会の中で説明して、了解を得た上で行っております。今回も、そうした対応の中で、今日、決めていただいて、私どもが対応しているということであります。ですから、常に西村担当大臣は尾身会長と連携しながら行っている。そういう報告を私は受けております。そうした中で、緊急事態宣言とか、あるいはまん延防止等重点措置、こうしたものを決めさせていただいているということであります。
(内閣広報官)
それでは、フリーランスの大川さん、どうぞ。
(記者)
フリーランスの大川興業の総裁、大川豊です。
連日のコロナ対策、お疲れさまでございます。
総理にお伺いします。私、知的障害者施設の現場に行っておりまして、実を申しますと、まだワクチン接種が遅れておりまして、利用者さんの皆さんというのは、どうしても行動障害があって、マスクができません。ですので、大変多くの方が、今、コロナになっております。
ですので、以前の質問で、高齢者に続いて福祉従事者、利用者、並びに家族に優先的に接種を行うというふうにおっしゃっていただいたのですが、まだ、それが実は遅れて、今クラスターが起きているという状況が起きています。これをいま一度調査して福祉従事者、利用者の方にワクチン接種を優先的に行う考えはありますでしょうか。
そして、施設で利用者さんも高齢化しております。ですので、家族が亡くなられたり、家族と連絡が取れないという状況がありまして、重症化した場合、ECMO(体外式膜型人工肺)をやるとなると、後見人の方がサインできないという状況が生まれております。ですので、今後のためにもそういった医療体制をどうするのか是非ともお考えを聞きたいのと、是非とも、まだかなりの多くの方が救急車でなかなか入れないという状況がありますので、オリパラ選手村等をコロナ専門野戦病院等にして、中小の機関から医療部隊を送り込んでもらう、そして、介護の方も、医療的な寝返りなどお得意な方がいますので、看護師法もあるとは思うのですが、介護ヘルパーの方にも医療資源として一緒に支援していただくという方法もお考えがありますでしょうか。是非ともお聞かせください。
(菅総理)
今御指摘をいただきました点でありますけれども、障害のある方、それぞれ特徴があります。そうしたものに配慮しながら感染防止対策、ここは極めて大事だというふうに思っています。このために障害者向けの感染症対応のマニュアルを作成し、サービス提供と同時に必要な感染防止対策を示していることになっています。そして、感染症対策の専門家による実地指導、こうしたものも行っているというふうに私自身は報告を受けています。
今いろいろなお話がありました。施設職員に対する検査の徹底やワクチン接種、これを行いつつ、現場の声も丁寧に伺いしながら効果的な対策を決めていく必要があるというふうに思っています。もう一度、ここは私、調べさせていただいて、また状況を改善していきたい、こういうように思います。
(内閣広報官)
それでは、恐縮でございますけれども、あと2問とさせていただきます。
共同通信、吉浦さん、どうぞ。
(記者)
共同通信の吉浦です。よろしくお願いします。
菅総理の外交日程についてお聞きします。来月9月下旬は自民党総裁選とアメリカニューヨークでの国連総会一般討論の日程が重なる可能性が高まっています。この一般討論の開催形態が最終的にどうなるかということにもよると思いますが、現時点で菅総理としては、アメリカを訪問して一般討論で演説したいとお考えでしょうか。また、同じ時期にアメリカでの開催が検討されている日米豪印、クアッドの首脳会合の調整状況についてもお聞かせください。
(菅総理)
まず、国連総会への参加や、あるいは今言われた日米豪印の日程について、現時点においてはまだ決まっていることはありません。そういうしっかりした日程が確定していないのが今の状況でありますので、それが確定してから考えたいと思います。
(内閣広報官)
それでは、京都新聞、国貞さん、どうぞ。これで最後とさせていただきます。
(記者)
すみません。京都新聞、国貞と申します。
総理にお伺いします。いわゆるロックダウンについてお伺いします。総理は、以前、日本にはロックダウンはなじまないというふうにおっしゃっていましたけれども、民主的な国家で言いますと、オーストラリアなどは厳しい規制を講じていって感染者を抑え込んでいます。日本は今までそうした強い対策を打ったことがない中で、総理は何を根拠になじまないというふうにおっしゃっていたのでしょうか。私には少なくともよく分かりません。例えば飲食など、休業、時短要請をした業者に対する補償のお金を出したくないという、そういう思いもひょっとしてあったのではないかというふうに思ってしまうのですけれども、総理のなぜなじまないのかということを御説明いただけますでしょうか。
(菅総理)
私、これ、日本になじまないと申し上げたのは、やはり憲法上の問題、そうしたものをクリアしなければなかなか難しい問題だというふうに思っていますから、なじまないというか日本に、現在の法律ではなかなか難しいというふうな思いの中で、私はそのように申し上げました。
(内閣広報官)
大変恐縮でございますけれども、挙手いただいております方につきましては、後ほど1問、メールでお送りください。後ほど書面にて回答させていただきます。
以上をもちまして、本日の会見を終了させていただきます。
御協力ありがとうございました。