[文書名] 福島県訪問等についての会見(岸田内閣総理大臣)
(東京電力福島第一原子力発電所の視察及び福島県産の食品に対する輸入規制の撤廃促進について)
まず、1点目ですが、福島第一原発については、私は前回2013年、外務大臣の時代に視察させていただきました。その際には確かJヴィレッジでかなり重装備の防護服に着替えて、現地に入ったことを記憶しております。今日は普段のスーツで視察することができた。こういったことを見ましても、様々な関係者の取組は進んでいるんだと感じました。しかし一方で、立ち並ぶ多くのタンクの姿等を見るときに、まだまだこの大きな課題がたくさん残っている、こうした現実も見ることとなりました。これから引き続き、二度とこんな事故は起こしてはならないんだと、強い思いを持って取組を進めていかなければならないと感じました。
それから原発のリプレース等について考えているかですが、私は従来から申し上げているように、今後の日本のエネルギーを考えた場合に再生可能エネルギーは大変重要な取組ではありますが、デジタル化等で我が国の電力使用量が、これから格段と高まることを考えますと、再生可能エネルギーの一本足打法では、価格とか、あるいは安定供給という観点において十分応えられないかもしれない。やはり複数の選択肢、エネルギー源が求められるということで、その中に原子力も考えていかなければならないと思っています。ただ、これについては、まだ再稼働という課題がこれから残っています。まずはこれに専念するということで、その状況を見た上で、次の議論を考えていくべきであると思っています。
それから、福島の食品の安全性、風評被害のお話ですが、福島のお米を始め、食品については、もう平素から官邸においても美味しく頂いています。そして最近になって米国が輸入規制を解除する、またEUにおいても大幅に解除の動きが進もうとしている。これは歓迎すべきことだと思います。ただ、まだ確か14か国ほど、輸入の規制を行っている国があると認識をしています。こうしたことに対しては、引き続き政府としてしっかりと取り組んでいかなければならないと思います。福島の産品、食品については、しっかりとした検査が行われている科学的見地から、食品の安全性についてしっかりと説明をする、こうした取組は政府としてもしっかり行っていかなければならないと思っています。
(ALPS(多核種除去設備)処理水の海洋放出、特定復興再生拠点区域外の避難指示解除及び放射性廃棄物の県外最終処分について)
3点御質問いただきましたが、1点目のALPS処理水については、今日、先ほど申し上げたように、あれだけ多くのタンクが並んでいる姿を見ても、先送りすることができない、大変重要な課題であることを痛感いたしました。ALPS処理水については、まずは科学的見地からIAEA(国際原子力機関)を始めとする国際機関の力も借りながら、安全性についてできるだけ透明性を持って説明をしていくことが大事であり、そういったことを通じて様々な懸念の払拭に政府としても全力で取り組まなければいけないと思っています。
2点目の拠点区域外への取組ですが、本年8月に行われた原災本部・復興推進本部の決定に基づいて、地元と十分に協議しながら検討していく、そして被災者の皆様の意向を丁寧に伺って、2020年代にかけて帰還を希望する全ての住民の方々が戻れるよう、帰還に必要な箇所の除染や住民コミュニティの再生に取り組んでいく、これが政府の方針でありますので、この方針に基づいてしっかりと取組を進めていきたいと思っています。
3点目の除去土壌については2045年までに県外で最終処分する方針、これは法律にも定められておりますので、国の責務であると認識しています。最終処分量を逓減するため、畑などでの再生利用も重要であると思います。そして、技術開発、再生利用の実証事業、理解醸成活動等、地元の皆さんの様々な声をしっかりと受け止めつつ、県外最終処分の実現に取り組んでいきたいと考えます。以上3点、申し上げましたが、引き続き被災地の皆さんの心に寄り添って、そして現場の声をしっかり聞きながら、福島の再生、そして復興にしっかり取り組んでいきたいと考えております。
(ALPS処理水の海洋放出について(再))
先の状況について予断をもって申し上げることは控えます。まずは先ほど申し上げたように、地元の皆さんの理解は大事であるということで、科学的に、そしてIAEAの協力も頂きながら、しっかりと安全性、透明性をもって説明していく、理解に努める、これが重要であると思います。そして理解を頂くためには、基金の設立など、様々な事態にも国としてしっかり責任を果たしていくという方針もしっかり示しながら御理解いただく努力を続けていく、これが国としての方針であり、その方針をしっかりと貫くことによって、理解を得るよう努力を続けていきたいと思っております。
(ALPS処理水の海洋放出について(再))
今申し上げたのが、政府の方針です。それに基づいて御理解を頂くよう努力を続けてまいります。