[文書名] ASEAN関連首脳会議等についての会見(岸田内閣総理大臣)
(ASEAN関連首脳会議について)
御指摘のように、本日、日ASEAN(東南アジア諸国連合)、ASEAN+3(日中韓)、そして東アジア首脳会議(EAS)、この3つのASEAN関連首脳会議に、オンラインで参加いたしました。一連の会議においては、東シナ海、南シナ海、そして拉致問題を含む北朝鮮、ミャンマーなど喫緊の地域情勢について、毅然(きぜん)とした日本の立場を説明いたしました。また、香港、新疆(しんきょう)ウイグル自治区の人権状況や、台湾海峡の平和と安定の重要性にも言及いたしました。
ASEAN諸国からは、日本のワクチン協力やASEANアウトルックのための協力への謝意が示されるとともに、日本のリーダーシップを高く評価する、こういった声が多く寄せられました。
2023年に日ASEAN友好協力50周年の年を迎えますが、その際には日ASEAN各国の首脳を日本にお迎えいたします。今後も私自身、積極的に首脳外交を進め、自由で開かれたインド太平洋を実現すべく、ASEANとの戦略的な連携を一層深めていきたいと考えています。
(日本原水爆被害者団体協議会代表委員の坪井直氏の逝去について)
私もよく存じ上げている坪井直(すなお)さんがお亡くなりになったこと、誠に寂しい限りでありますし、坪井さんの御冥福を心からお祈り申し上げるとともに、御家族にお悔やみを申し上げたいと思います。
坪井さんとは同じ広島ということもあり、様々なところで御協力を頂き、また御意見を伺い、御指導も頂いてきました。特に印象に残っておりますのは、オバマ大統領が広島を訪問した際に、被爆者の思いを坪井さんが直接大統領に訴えておられた姿であります。今でもあの時の光景が浮かびます。私自身、被爆地出身の総理大臣として、核兵器のない世界の実現に向けて、坪井さんの思いを胸に刻みながら、前に進んでいく覚悟であります。
(核兵器禁止条約について)
これも従来何度も申し上げておりますが、核兵器禁止条約は、核兵器のない世界という大きな目標に向けて、出口に当たる重要な条約だと思います。しかしながら核兵器国は一国もこの条約に参加していない。この現実を前にして、私は外務大臣の経験の中で、核兵器国を動かさなければ現実は少しも変わらないという厳しい現実に何度も突き当たり、悩んだ記憶があります。
こういった状況の中で、唯一の戦争被爆国日本としては、核兵器国を動かして現実を変えていく、こうした努力をする責務があると信じております。是非、核兵器国を核兵器のない世界という大きな目標に動かしていくために、唯一の戦争被爆国として、しっかり具体的な行動をし、責任を果たしていきたいと強く思っています。その最初の取っ掛かりが唯一の同盟国であるアメリカであると信じています。アメリカ、バイデン政権ともしっかり意思疎通を図りながら、努力を進めていきたいと思っています。