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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「人」を大切にする企業との車座意見交換会等についての会見(岸田内閣総理大臣)

[場所] 
[年月日] 2021年11月12日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

(「人」を大切にする企業との車座意見交換会について)

 今日は「人」を大事にしている企業の関係者の皆さんから、いかに人材育成を行っているか、人への投資を行っているか、そして、それを次の成長にしっかりつなげていく取組について、お話を聞かせていただきました。

 私も成長と分配の好循環ということを申し上げています。一人一人の国民の皆さんに成長の果実を実感してもらうことが重要であるということを申し上げていますが、その際の大きなポイントが人への投資であると思っています。そして、それが賃上げにもつながると考えていますので、今日のお話は、こうした取組を進める上で、大変参考になる話だったと思っています。

 なぜならば、政府としてもデジタル、あるいは新しい時代のスキル、こうしたものをしっかり身に付けて、そして、新しい時代に一人一人の国民の皆さんがしっかりと臨んでいく、そうした時代をつくっていくために、人材投資につきまして、抜本的に強化していきたいと考えています。

 3年間で4,000億円の施策パッケージを新たに創設いたします。しかし、その際に、このパッケージのポイントは、政府が一方的に中身を決めるというのではなく、是非、民間の企業や個人の皆さんからアイデアを広く募って内容を決めていきたいと思っています。この4,000億円のパッケージを具体的に動かす際に、今日のお話は色々参考になる話だったと感じています。是非、こうした今日の話も参考にしていただきながら、非正規の皆さんであったり、あるいは子育てを終えた女性の皆さんであったり、あらゆる方々に、これから用意する4,000億円の施策パッケージを活用してもらえる、そして、具体的な結果につながる、こういったことにつなげていきたいと思っています。

(原油価格の高止まりで企業の業績への影響が懸念されていることについて)

 今日の場では議論はしていませんが、政府においては、御指摘の原油価格の高騰は、今の日本の経済にとって大変重要な課題ですので、これまでも随分と対応については議論してきました。私からは既に、こうした状況に対して、関係大臣にしっかりと対応するように指示は出しているところです。

 しかし、今、引き続き、原油の高騰は続いているわけですので、それから、これから季節も寒くなってくる。なおさら、原油、さらには灯油、こうした価格の高騰は、国民生活にも大きな影響が出てくるわけですから、この状況について、より深刻に受け止めて、対応しなければいけないということで、既に指示は出しているものの、再度、私の方から指示を出しまして、関係閣僚に早急に具体策を取りまとめて、来週まとめる経済対策の中にしっかり盛り込めということを指示を出しました。

 急激な原油高が経済の足を引っ張らないように、しっかり政府としても所要の措置を講じなければならない。なおかつ、スピード感を持って、対応しなければならないと思っています。先ほど言いましたように、来週取りまとめる経済対策の中にもしっかりと具体的な対策を盛り込んで、こうした事態に備えていきたいと思っています。

(18歳以下の10万円相当の給付について)

 従来の児童手当を始めとする様々な制度を使って支給するということになっています。しかし、いずれにせよ、私は従来から、より困っておられる方々、非正規の方であったり、子育て世帯の方であったり、学生の皆さんであったり、こうした、より困っている方々にしっかり支援をするということを申し上げてきました。ですので、18歳以下のお子さんに対しても所得制限を付けるということになりましたし、一方で、18歳以上であっても、学生や専門学校の学生さんには去年やったような支援を用意しておりますし、様々な制度を組み合わせることによって、より困っている方に焦点を当てて支援を行うという形ができたと私は思っています。是非、そういったこともしっかり説明して、今回の対策の意味を国民の皆さんに御理解いただけるよう、説明という点においても、しっかり努力をし続けていきたいと思っています。

(給付の基準について)

 世帯主への支援ということになりますが、今言ったような制度の趣旨をしっかり説明していきたいと思っています。

(たとえば、世帯主が年収1,000万円だともらえないけれども、800万円で世帯年収が1,600万円だった場合はもらえるということかについて)

 世帯主ごとで判断するということにはなります。

(3年間で4,000億円のパッケージは補正予算に盛り込むのかについて)

 補正予算から始めます。補正予算から始めて、本予算と、しっかりと、どれだけ盛り込むということはこれから具体的に検討したいと思っています。

(人材育成の具体的なイメージについて)

 そのイメージは、正に先ほど言った、政府が決めるのではなく民間の皆さんの様々な工夫やアイデアをしっかり取り入れながらやりたいと思います。予算は用意しますが、具体的な執行の部分についてはしっかり工夫をしていきたいと思っています。