データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 福島県訪問等についての会見(岸田内閣総理大臣)

[場所] 
[年月日] 2021年12月4日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

(視察を踏まえ、今後のデジタル田園都市国家構想政策などの政策にどう活かすかについて)

 今日は会津若松市を視察させていただきました。民間企業、そして自治体、さらにはこの大学、産官学が連携する、協力する形でデジタルを活用したまちづくりを進めている姿、10年以上にわたってこうした取組を進めている成果について、見させていただきました。大変参考になる部分が多かったなと振り返っています。御案内のとおり、今の政権において、デジタル田園都市国家構想、こうした取組を進めて地方を元気にしていこうという取組をこれから進めていかなければならないわけですが、その際に会津若松市での取組、オプトイン原則に基づく市民の皆さんの協力に裏付けられた取組の方式ですとか、さらには今拝見させていただいた相乗りタクシー、それからワクチンパスポート、さらにはロボットによる配送の実証実験、こうしたものも見させていただきました。まずはこのデジタル田園都市国家構想において、全国の基盤となるデジタルインフラ、光ファイバーとか海底ケーブルとか、さらには5Gとか、こうした、そのインフラ部分は国がしっかりと地方を念頭に置きながら実装していく、これは大事なことだと思いますが、それをどう活用するかという部分において、今日の会津若松市での取組は大いに参考になるのではないかと思います。これを是非、横展開で、全国で共有する、こういったことも考えていってもらえばというふうに思いますし、さらには各地方がそれぞれまた工夫することによってバージョンアップが進む、こういったことも期待したいなということも思いました。そんなことを考えながら、大変有意義な視察をさせていただいたということを感じています。

(医療へのマイナンバーを利用した情報活用のための個人情報保護の規制緩和について)

 マイナンバーについては、今日の視察ももちろんですし、様々な関係者の皆さんの話を聞く中で、これからデジタル化を進めていく、デジタル社会を実現する上において基盤となる大変重要なインフラであるということを感じています。それをより使いやすくするためにどうしたらいいのか、今御指摘の点もその一つの提案だと思っています。是非、この大切なインフラでありますマイナンバー、あるいはマイナンバーカード、これを活用するために、国としてもしっかりとした環境整備を進めていきたいと思います。是非いろんな意見が、提案が出ていますので、国としてもしっかりと整理をして、具体的にどこから始めるか考えていきたいと思います。

(昨日到着便から施設待機だったものが自宅などでの待機になったのは、水際対策に支障が生じたためなのかについて)

 いや、それは全く、そういう観点での対応ではありません。オミクロン株については、まずしっかりとした待機措置を伴う水際対策を行っているわけですが、結局、世界で今感染が広がっているということで、今、その指定国、オミクロン株の指定国、62か国まで増えてきています。こうした中で、まずはこの待機施設についてもしっかりと増やしていかなければいけないということで、たちまち2,450室、この待機施設についても増やしたと。7,350に2,450加えるということで、待機施設も増やす。それから、市中においても、全陽性者に対するオミクロン株の検査を行う、こういった取組も行っていくわけですが、それに加えてオミクロン株でない変異株に対しては、ワクチン接種者に限って、自宅待機に切り替えたということです。これはどういう意味かというと、限られた医療資源をより、今大きな問題になっているオミクロン株に集中させるという考え方、これは専門家の皆さんによく意見を聞いた結果、これは大変合理的な考え方であるというアドバイスも頂いたので、そういう対策を取っているということです。

 今、世界で大きな問題になっているオミクロン株に対して、我が国においても国民の安心・安全のために、より、この限られた医療施設を集中させ、そして適切に活用するという観点から医療の専門家のアドバイスも受けながら対応しているというのが、今御指摘の方策ですので、是非そういった意味合いを、是非国民の皆さんにも理解していただいて、そして安心していただければと思います。意味合いについてもよく説明しながら、対策を進めていきたいと思っています。

(年内の総理の訪米を断念したのかについて)

 いやまだ、結論から言いますと、まだ調整中であります。訪米してバイデン大統領と会談をする、我が国の外交の基軸は日米関係でありますので、日米のトップでの対面での会談、これは重要であると思っています。ただ、米国の国内事情等もありますので、調整は続けていますが、国会終了後できるだけ早い時期に訪米することができればとは思っています。ただ、申し上げたように、そういった思いを持ちながらも調整を続けているというのが現状であります。