[文書名] オミクロン株に対応する包括強化策等についての会見(岸田内閣総理大臣)
先月下旬に出現したオミクロン株に対して、政府は、G7で最も厳しい水際対策を即座に講じ、慎重な上にも慎重な対応に努めてきました。オミクロン株は極めて感染力が強く、内外の専門家は、世界中で早晩、感染が拡大していくことは避けられないとしています。我が国のこの厳しい水際措置は、オミクロン株に関する情報が少しでも明らかになるまでの時間を稼ぎ、必要な準備をしていくための臨時異例の措置と位置づけています。
少しずつ明らかになってきたオミクロン株の情報や、デルタ株感染の拡大に関する主要国の状況に鑑み、我が国としては緊急に採っている水際措置に加え、以下の3本柱を内容とする予防・検査・早期治療の包括強化策を講じることといたします。これによって医療提供体制がひっ迫しないように全力を尽くしてまいります。
まず1点目、1つ目の柱ですが、ワクチン接種の前倒しです。昨日承認されたモデルナ社のワクチンを活用し、専門家の意見も伺った上で、医療従事者と高齢者約3,100万人の方々を対象として前倒しを行います。具体的には、まず、医療従事者等や重症化リスクの高い高齢者施設入所者などについて、接種間隔を2か月前倒しし、6か月に短縮いたします。加えて、来年2月以降、その他の一般の高齢者について、接種間隔を1か月前倒しし、7か月に短縮いたします。オミクロン株の感染拡大が懸念される中で、ワクチンの重症化予防効果が比較的早く低下し、かつ、重症化のリスクが高い高齢者の方々を優先して、前倒しを集中させるとの判断をいたしました。お年寄りを守るため、国民の御理解をお願いいたします。
2つ目の柱ですが、飲める治療薬の提供開始です。オミクロン株にも極めて効果が高いとの発表があった治療薬の提供を年末から開始いたします。国際的に比べても我が国は新型治療薬を早期に、かつ大量に用意することができました。まず、メルク社のモルヌピラビルについては、既に160万回分を確保しています。来週24日金曜日の専門家会合で審査予定であり、可とされれば速やかに承認し、年内から医療現場にお届けいたします。また、モルヌピラビルと作用の仕組みが異なるファイザー社の経口薬については、本日、ブーラ会長と私が直接電話会談を行い、200万回分の確保について基本合意することができました。納入時期を含めた最終合意に向けて、引き続き、厚生労働大臣を中心に交渉を続けてまいります。ファイザー社には、ワクチンについて、これまでの協力に感謝を伝えるとともに、引き続きの協力を働き掛けたところです。
3本目の柱ですが、検査体制の抜本強化です。飲食、イベント、帰省など、人との接触機会が増える年末年始に向けて、ワクチン接種を受けられない方を対象に、年内から、予約不要の無料検査を全ての都道府県で開始できるよう準備を進めているところです。就任以来、コロナ克服を最優先として政権運営することをお約束してきました。まず、全体像として、病床確保3割増、宿泊療養施設4割増を始めとする準備態勢をどのように充実・強化するか、お示しいたしました。それを実現するための補正予算も現在国会で審議いただいております。そして今回、オミクロン株など、新たな状況に対応する予防・検査・早期治療の包括強化策をお示しすることになりました。いずれも私自身が陣頭指揮を執ってまいります。日本国民への医療提供体制を守るために総理大臣として全力を尽くしてまいります。3密回避やマスク着用を始め、国民の皆さんのコロナ対策への細心の注意と協力、これは世界に誇るものであると思っています。もうしばらくの間、お一人お一人の協力を心からお願いいたします。なお、この後、厚生労働大臣、あるいはワクチン接種推進担当大臣が会見することになっていると承知しております。冒頭、私からは以上です。
(ファイザー社CEOとの電話会談の狙いについて)
もちろんこちらから、電話会談を申し入れ、電話会談が実現したということです。その結果として先ほど申し上げましたが、200万回分の経口治療薬について、基本合意に至ったということです。
(ワクチンの前倒し供給の交渉をしたかについて)
電話会談の中身については、先ほど申し上げた基本合意については合意に至ったわけですから明らかにさせていただきましたが、相手との関係もありますので、それ以外の詳細については控えさせていただきたいと思います。引き続き、担当閣僚も含め、日頃からコンタクトを取っていきたいと考えております。
(本日大阪市で起きた火災について)
まず、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますし、また負傷された方、被害を受けられた方には心からお見舞いを申し上げたいと思います。その上で、大変悲惨な事件が発生いたしました。これに向けて、まずは実態をしっかり把握し、そして原因、経緯について明らかにすることによって、再発防止に努めていかなければならないと思います。まずは被害を受けられた方、負傷された方等に対してしっかりと支援を行うと同時に、今申し上げた実態把握と再発防止に努めていきたいと考えております。
(ワクチン接種の前倒しを国と地方の在庫で行っていくのかについて)
ワクチンについては既に契約を済ませ、そして実際にワクチン、現物を国内に持ってくる、こういうスケジュールを立てているわけですが、そのスケジュールに基づいてワクチンの前倒し接種のスキームを動かしていきたいと考えております。