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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] まん延防止等重点措置の適用の要請等についての会見(岸田内閣総理大臣)

[場所] 
[年月日] 2022年1月6日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

(まん延防止等重点措置の適用の要請について)

 まず本日、広島県、山口県、そして沖縄県の各県の知事より、まん延防止等重点措置を適用するよう要請があり、御指摘のように、関係大臣と議論を行いました。政府としては、これら3県の感染拡大への早期対応を図る観点から、要請のあった区域について、まん延防止等重点措置を適用するとの諮問を行うべきであるという結論に至りました。その際、併せて、オミクロン株の感染拡大の速さに鑑み、重点措置を2つの点で強化することとします。

 第1に、知事の判断により酒類の提供を停止することなど、更なる措置を可能とすることといたします。そして第2として、3県が策定した保健・医療提供体制確保計画に沿った医療体制の準備状況に関する自己点検を公表し、医療提供体制の確保に万全を期していただくことといたします。こうした対応を実施するため、明日、専門家による基本的対処方針分科会を開催し、そして国会にも報告した上で、正式に決定したいと考えています。

 全国で感染が拡大していますが、こうした状況も想定し、医療体制の準備や、予防、発見から早期治療への流れの強化に先手先手で取り組んできました。そして、確保された体制がしっかり機能するよう、各都道府県との密接な連携の下、高い警戒感を持って対応に当たってまいります。

 特に感染拡大が著しい沖縄県については、官邸や各省幹部とホットラインで対応するリエゾンチームを派遣し、県庁に常駐させることといたしました。また自衛隊等から医療現場への看護師の派遣を用意いたしました。機動的な対応を可能とする緊密な連携を図ってまいります。

 また、私の方から外務大臣に対しまして、これまで米側に対しては外出制限の導入を含め、感染拡大防止のための措置を徹底するよう求めてきましたが、2+2の機会を捉えて、厳格な措置を早急に講ずるよう米側に更に強く求めること、こうした指示を行ったところであります。

(小池東京都知事との面会での発言について)

 まず、レベルの基準については変えることは考えておりません。私から知事に申し上げたことは、オミクロン株の感染拡大の速さに鑑み、知事の判断により酒類の提供を停止することなど、重点措置の内容を強化する、こうしたことを考えているんだということを申し上げた次第であります。

(重症者が少ない中で、まん延防止等重点措置に踏み切る理由について)

 政府としては、医療への負荷をより重視し、今後想定される病床利用率等を踏まえながら各レベルに応じて必要な措置を講ずる、従来のこのレベルの考え方は全く変えるつもりはありません。

 今までのレベルの考え方においても、3県では足元で直ちに医療のひっ迫を招く状況になっていませんが、医療のひっ迫度、既にレベル2と判断されております。従来のレベルの考えにおいても、レベル2の後半からは、まん延防止等重点措置が可能になるという整理になっていたと承知をしています。さらに今後、このまま推移した場合には、感染の急速な拡大に伴って重症者等の絶対数が増加し、近い将来、医療提供体制に大きな負荷がかかりかねないことも見据えて、早急に感染拡大を防止する措置を講ずる必要があると判断し、各知事の要請を踏まえて、まん延防止等重点措置を適用する、こういったことを考えた次第です。

 ですから従来のレベル、考え方は全く変えておりませんし、それを基本として、今言ったような理由から、まん延防止等重点措置の要請を受けた、そして、その適用をするよう諮問すべきだという判断を大臣会合においても行った、こういったことであります。

(もう少し様子を見る考えがなかったかについて)

 おっしゃるように、いろんな考え方はあるんだと思いますが、オミクロン株については、現状まだ十分に実態が把握されていない部分もあるわけですから、基本的には慎重の上にも慎重を期す、最悪の事態を想定する、そういった考え方に基づいて対応することが緊急事態に対する基本的な考え方であると、私達はこうした厳しい状況に対して対応する基本的な考え方であると思っています。ですから、そういった考え方に基づいて、今までG7で最も厳しい水際対策を行ってきた、それによって時間を稼いだわけですが、その間にワクチンの3回目の接種も開始した、無料検査も全国で展開し始めた、そして経口治療薬も既に現場に届き始めている、こういった体制を作ってきました。是非、先ほど言いました医療体制の充実と併せてしっかりとオミクロン株に対応する、これがまず優先されるべきではないかと我々は思っています。是非、こうした考え方、国民の皆さんに協力していただかなければいけないわけですから、政府としてもしっかりと説明し、御協力をお願いしたいと思っています。

(今後、レベル2の段階で要請を行う地域が出た場合に認めていくかについて)

 それぞれの都道府県において、地元の実情をしっかり踏まえて要請するかどうかを判断してくるのだと思います。政府としては、この感染拡大を最小限にとどめるために、そうした要請を受けた場合にはしっかりと判断をしていかなければならないと思っています。こうした取組は、まだ十分に実態が分かっていないオミクロン株との闘いにおいて重要なことではないかと、私は思っています。

(沖縄の感染状況及び米軍基地との関係について)

 まず、沖縄の状況は緊張感を持ってしっかり臨まなければいけないと思います。今回、まん延防止等重点措置の要請が来た、これをしっかり受け止めて政府としても諮問を行い、明日、分科会から始まって一連の手続に入っていきたいと思います。その後の状況については、まずはそうした対応を行った上で、緊張感を持って推移を見守り考えていくべきであり、今からいきなりその先のことについて何か申し上げることは控えなければいけないのではないかと思います。

 そして米軍との関係について御質問がありました。政府としては米軍側の全ゲノム解析の結果を待っているところでありますので、現時点で感染拡大の原因ですとか、あるいは感染ルートを断定するということは難しいと思っています。しかしながら、先ほども申し上げましたが、私から外務大臣に対して、これまでも米側に対して外出制限の導入を含めて、感染拡大防止のための措置を徹底するように求めてきましたが、さらに2+2もこれから予定されています。こういった機会をしっかり捉えて、米側に対して厳格な措置を講ずるよう更に強く求める、こういった指示は行ったところであります。日本としても、こういった米側に対してしっかりと働き掛けを行うことによって、沖縄の皆さんの理解も得ていきたいと考えています。

(明日諮問する、広島、山口、沖縄のまん延防止等重点措置の適用期間について)

 先ほど言いましたように、これから諮問するわけですが、1月一杯でお諮りしたいと考えています。結果、その辺の判断は明日の一連の手続の中で決定されるものであると思っています。

(GoToトラベルの延期の検討状況について)

 GoToトラベルについては、従来から申し上げているように、感染の状況を見ながら、適切な時期が来たならば再開、さらにはバージョンアップした形での再開、これを可能とするような準備は進めていきたいと思っています。しかしながら、今の現状においては、まずはこの感染状況、大変な、全国的に感染拡大が報じられている状況でありますので、この状況に対してしっかり対応して、そして感染の状況を見極めた上で再開の時期等を考えるべきであり、今、具体的にいつから再開するなどということは言えるような状況ではないと思っています。

(まん延防止等重点措置の開始時期について)

 これは明日、先ほど言いました手続を行うわけですが、それを実施するためには、一応、関係者の皆さんの準備の都合もありますので、ある程度、一定の時間は必要になってくるのではないかと想像しておりますので、常識的な日数、といっても1日なのか、何時間なのか分かりませんが、そのぐらいの間隔を空けて、できるだけ早くスタートするということになるのではないかと考えます。

(今回の感染拡大と在日米軍の関係から日米地位協定の改定を検討するかについて)

 まず結論から言って、日米地位協定の改定等は考えておりません。先ほども言いましたように、まずは米側の全ゲノム解析の結果を待って、感染の原因とか感染ルートをしっかりと確認することは大事だと思っています。そして、こうした事態に当たっても日米の間でしっかり意思疎通を図って、現実的に、具体的に対応していくことが大事であるということで、外務大臣等を通じて米側との意思疎通を図っているということです。是非、こうした具体的な対応をしていくことが、まず大事であると考えて取り組んでいるところです。

(今回の感染拡大と在日米軍の関係から日米地位協定の改定を検討するかについて(再))

 まず、変えることは考えておりません。まず、現実的にどうなのか、実態を把握して、そして今のこの現実の中で最善の対応を考えていく、これが政府として優先で考えるべきことであると思っております。

(感染再拡大の際に行動制限を再導入する際の国民への説明について)

 説明については、もう既に要請を出されている県においては、知事さん方が、それぞれ地元において、いろいろな専門家の意見も聞きながら取組を進めてきました。それを今日、政府として要請を受けたということです。そしてそれについて我々もしっかり議論した上で、今日の大臣会合の結果についても、こうしてマスコミの皆さんを通じて、できるだけ広く国民の皆さんに考え方を説明させていただこうと、こうした努力をしています。そして明日も一連の手続、専門家の皆さんとの意見等もしっかり踏まえた上で進めていきたいと思います。そして、その結果についても、さらに国民の皆さんに説明する等、丁寧な対応はこれからも続けていきたいと思っています。

(ワクチン・検査パッケージについて)

 それについても、明日、分科会等において専門家の皆さんの意見も聞いていきたいと思います。重点措置の強化、あるいは現実への具体的な対応ということで、どう在るべきなのか、こういった意見を踏まえて判断していきたいと思っています。

(米軍基地から広がったという見方もあるが、米軍基地がある自治体に注意喚起を呼び掛けるといった考えがあるかについて)

 まず、米側の実態について全ゲノム解析を行っている、こうした状況についてはしっかり注視をしていきたいと思いますし、できるだけその実態について、国民の皆さんにも説明をしていかなければならないと思いますが、その一方で、米側にもしっかり努力をお願いしたいということで働き掛けを行っている、こうしたことです。この両方をしっかりと進めることによって、国民の皆さんの理解につなげていきたいと考えます。