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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 自動車整備士等との車座対話等についての会見(岸田内閣総理大臣)

[場所] 
[年月日] 2022年1月13日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

(自動車整備士等との車座対話について)

 本日は自動車整備工場に足を運ばせていただき、まず最先端の整備の状況についてお話を聞かせていただき、あわせて来年1月から始まります車車検の電子化について、説明を受けました。その上で車座で、業界の関係者の皆さんの意見を聞かせていただきました。改めて感じたことは、今自動車の世界においては、急速に新しい技術の導入が進んでいます。その中で、安心・安全な車社会を支えている業界の皆様方の御苦労を実感し、こうした分野で頑張っている皆さんの環境整備にしっかり努めていかなければいけない、こういった思いを強く持ちました。

 整備士の不足についても御指摘がありました。こういったことについては、先ほども申し上げた車車検の電子化等によって、整備業務の生産性の向上に努めていかなければならないということなのだと思いますし、新技術に対応した様々な設備の導入ですとか、あるいは技術の習得、人材育成という点においても、様々な工夫が必要になってくるのではないか、このようなことも感じたところであります。

 あわせて、こうした自動車の分野で頑張っている皆さんの処遇改善、業界全体の収益力の向上と併せて、お一人お一人の賃上げ、こういったことも考えていかなければならない。今日限られた時間ですが、視察し、車座で話を聞く中で、今申し上げたようなことを感じた次第です。

(処遇改善の時期のめどについて)

 それぞれの分野、業界において実情は様々ですので、一律に申し上げることは難しいですが、特にコロナ禍において、影響の大きさは業界や立場によって随分違いますので、一律に申し上げることは難しいですが、社会の雰囲気として、賃上げというのが決してコストではなくして、新たな成長への投資であるという発想を持って、処遇改善や賃上げに取り組んでもらう、こうした雰囲気を作っていくことが大事だということを申し上げてきました。そのためにまずは国として、公的価格の引上げですとか、賃上げ税制、あるいは価格転嫁をスムーズに進めていくなど、そうした環境整備を進めていき、そして是非民間の皆さんにも、こうした国の取組を呼び水として賃上げに取り組んでいただきたい、こういったことをお願いしています。是非こうした御協力を、自動車業界の皆様方にも御理解いただき、それぞれの立場で賃上げの重要性、業界において更なる成長につなげていくために大事だという発想で協力を頂ければと願っています。

(濃厚接触者の待機期間の短縮等の検討状況について)

 オミクロン株については、まだ分からない部分も多いということで、柔軟な対応が必要であるという認識は持っています。その中で専門家の皆さん方から意見を聞く中で、感染が急拡大した場合に、医療や介護などの現場も含めて、社会機能が維持されることが困難にならないように、しっかりと工夫していかなければいけない、こういった御指摘も頂いています。いわゆるBCP(業務継続計画)の準備を呼び掛けるということもしていかなければならないと思いますが、それとあわせて、科学的な知見をしっかり集約させていかなければならない。そしてその上で、御指摘があったような濃厚接触者の隔離期間等についても、必要に応じて対応していくことも考えていきたいと思っています。今言ったような考えに基づいて、具体的にどうあるべきなのか、柔軟な対応を引き続き検討していきたいと思っています。

(感染症法の分類を変更する考えがあるか等について)

 今、現状感染が急拡大している状況の中で、分類の問題を変更するということは、たちまちは現実的ではないのではないか、今のタイミングでそれを言うということは適切なのかなとは思いますが、ただ御指摘のような分類の変更については、いろいろな議論がこれまでもありました。そして今、オミクロン株用に分類を考えたらいいのではないかという指摘がありましたが、その点については、私は新型コロナというもの自体が変異を繰り返すということが、様々な感染症との比較の中で、特に特筆すべき部分ではないかと思います。変異を繰り返すということを考えますと、感染症法上の分類を2から5に一旦変更してしまうと、その後また変異が生じた場合に、それからまた変更するなどということになると大きな問題を引き起こしてしまうので、単に分類の問題についても、変異を繰り返す新型コロナの特質をしっかり考えた上で、分類の変更も考えていかなければいけない、こういった課題であるということを、医師会を始め、専門家の皆さんからそういった指摘も受けたことがあります。そういった点は頭に入れておかなければいけないのではないかと思っています。