[文書名] 佐渡金山の世界文化遺産登録に向けての検討状況等についての会見(岸田内閣総理大臣)
(佐渡金山の世界文化遺産登録に向けての検討状況について)
御指摘の佐渡の金山については、これまでユネスコ世界遺産の登録を実現するために、最も効果的な対応を図るとの観点から総合的な検討を行ってきました。佐渡の金山については、江戸時代に我が国固有の伝統的手工業を活用し、大規模かつ長期にわたって継続した稀有(けう)な産業遺産として、高い評価を有しています。他方、その高い価値にもかかわらず、本件登録に向けては、様々な議論、意見があるということは承知をしております。佐渡の金山の文化遺産としてのすばらしい価値が評価していただけるよう、冷静かつ丁寧な議論が求められます。そうした中で、いつ申請することが登録に向けて最も効果的なのかにつき、検討を重ねてまいりましたが、本年、申請を行い、早期に議論を開始することが、登録実現への近道であるという結論に至り、2月1日に閣議了解を経て、ユネスコに申請することといたしました。登録実現に向け、滝崎内閣官房副長官補をヘッドとし、関係省庁が参加する世界遺産登録等に向けたタスクフォースを設置し、歴史的経緯を含め様々な議論に対応するため、省庁横断的取組を強化してまいります。その際、民間の専門家の知見も積極的に活用してまいりたいと考えています。佐渡の金山の登録実現のため、政府一体となって取り組んでまいります。
(自民党の元国会議員の河合夫妻による大規模買収事件における検察審査会の議決及び自民党本部から提供された資金の流れの実態解明について)
お尋ねの検察審査会の議決については、承知はしておりますが、個別事件における検察審査会の判断に関わる事柄ですので、私の立場からはコメントは控えます。また、政治資金の話ですが、自民党から出された政治資金については、党において既に説明がされているものと承知しています。自民党としては、現在、改革実行本部を設置し、改革の議論は進めているところであります。引き続き、謙虚に様々な声に耳を傾けながら、信頼回復に向けて努力をしていきたいと考えています。
(佐渡の金山の件で、自民党内の保守派議員の意見を聞いて方針転換をしたという見方について)
全く当たらないと思っています。我々は先ほど申し上げたように、佐渡の金山は、すばらしい我が国の文化遺産だと思っています。この文化遺産が評価され、そして登録されるためには、何が効果的なのかということで、今年申請を出す案、あるいは来年以降申請を出す案、こうした案を俎上(そじょう)に載せて、どちらが効果的なのか、これをずっと議論してきました。そして、本日、丁寧な冷静な議論が求められるわけでありますが、そうであるならば、できるだけ早く議論を開始した方が効果的であるという判断の下に、今回、申請を行うということを、本日決定したわけであります。変わったとか、転換したという指摘は当たらないと思っています。
(佐渡の金山の推薦の決断に、安倍元首相等の意見が大きかったことが影響しているのかについて)
いろいろな意見がありましたので、それぞれの立場でいろいろなことを皆さんおっしゃっておられましたが、だからこそ、私たちとしては、この議論は文化遺産の評価の議論である。我が国のすばらしい文化遺産を登録するためには、どうすることが、いつ申請することが効果的なのか、こうした物差しに従って冷静に議論を続けてきました。検討を続けてきました。そういったことで判断をしたということであります。今、申し上げた物差しに基づいて検討した結果、本日、今年申請を出すことが登録への近道であるという判断を行ったということであります。
(推薦に当たり、韓国への対応について)
先ほど申し上げましたように、これは文化遺産の評価の問題です。そして、冷静に丁寧な議論が必要だと思っています。是非、こうした議論を開始して、評価について、しっかりとした登録への歩みを進めていきたいと思います。もちろん、いろいろな議論がある、あるいはいろいろな意見がある。これは承知しておりますが、だからこそ、冷静な丁寧な議論が必要であると我々は思っています。
(濃厚接触者の待機期間の短縮について)
濃厚接触者の待機期間の短縮についての質問ですが、感染者数の拡大が継続する中にあって、感染拡大を防止することの一方で、できるだけ社会経済活動を維持していく、この2つのバランスを取っていく必要があります。こうした観点から、御指摘の濃厚接触者の待機期間について、専門家の意見や、新たに判明した科学的根拠等を踏まえて、一般の方は10日間から7日間に変更し、また、いわゆるエッセンシャルワーカーについては、2回にわたる検査を組み合わせることにより、5日目に待機を解除することといたしました。具体的には、この後、後藤大臣から説明をさせていただきますので、そちらで御質問を頂ければと思います。
(佐渡金山のことについて、安倍元首相にどのように伝えたかについて)
関係者の方々に、決定をした後、連絡は取らせていただきました。どういった形で、どなたに連絡を取ったということについては、詳細は控えたいと思います。関係者の方々に決定した後、電話等で連絡をさせていただいた、こうしたことであります。
(なぜ今年推薦した方が登録されやすいと思ったのかについて)
これは文化遺産の評価の問題です。丁寧な冷静な議論が必要です。議論を早く始め、そして対話を積み重ねて、そして登録に向けての理解を進めていく。それには時間もかかります。早期に議論を開始して、できるだけ対話や議論を積み重ねていくことが結果にたどり着く近道である。これはもう時間ということを考えても、これは当然のことではないかと思います。こうした登録に向けて、何かその近道があるというものではなくて、丁寧なそして冷静な議論をこれから1つ1つ積み上げていく、そのためには早期に議論を開始する方が早い結果につながるのではないか、そういった判断であります。
(佐渡金山について、来年確実に世界遺産に登録できる見通しがあるかについて)
これは、これから丁寧な、そして冷静な議論をスタートするわけですから、最初から結論を予断を持って申し上げることは控えなければなりません。しかし、私達は佐渡の金山は我が国にとってすばらしい文化遺産だと確信をしておりますし、是非、このすばらしさを多くの方々に理解してもらうためにも、丁寧な説明を続けていきたいと思いますし、そして登録に向けて様々な意見があるということはそのとおりでありますが、だからこそ丁寧な議論を早期に始めたいと考えています。
(今回の推薦申請が日韓関係に影響するかについて)
先ほどから申し上げているように、これは文化遺産の評価の話です。佐渡の金山の文化遺産としての高い評価を丁寧に冷静にお話をしていく、これが大事だと思っています。もちろん韓国には、独自の意見があるということは承知しています。だからこそ、冷静で丁寧な議論、対話を行っていきたいと考えております。