[文書名] まん延防止等重点措置の適用の要請等についての会見(岸田内閣総理大臣)
(まん延防止等重点措置の適用の要請等について)
御質問の対応も含めて、少し私の方から申し上げさせていただきたいと思います。まず、新型コロナの感染拡大が続き、国民の皆様方には大変な御負担をお掛けしております。感染拡大は続いていますが、国民の皆様方の御協力のお陰で、G7各国の状況と比較した場合に、我が国は大変低い感染状況を続けることができているというのが現状であります。そして、感染拡大のスピードも明らかに減少しています。先週と今週の比較ということで数字を見てみますと、例えば沖縄、あるいは広島、こういった地域においては、1.0倍を割り込む、すなわち、感染者数の増加は減少し始めているということであります。そして、東京でも足元1.1倍ということでありますので、まん延防止等重点措置がスタートした2週間前と比較して、半減しているという状況にあります。
改めて、まん延防止等重点措置あるいはマスクの装着など、基本的な感染防止策において、国民の皆様方に御協力いただいておりますこと、総理大臣として、心から御礼を申し上げる次第です。そして、医療や介護の最前線で御努力いただいている皆様方に対して、心から敬意と感謝を表し申し上げたいと思っています。
これまでと異なった性質のオミクロン株との戦いは、今、正に正念場を迎えていると感じています。未知のウイルスとの戦いです。感染拡大の防止と、そして社会経済活動の維持、この2つのバランスを取っていくために、専門家の皆さんの科学的な知見もしっかり踏まえながら、私の責任で、迅速で機動的な判断と実行を進めていきたいと考えます。自治体ともしっかり連携しながら、政府全省庁挙げて全力で取り組んでいきたいと考えています。そして、本日は、3点申し上げさせていただきたいと思います。
まず1点目は、今後の入院患者の確実な受入れに、更に万全を期すために、東京都の小池知事、そして大阪府の吉村知事と協力して、臨時の医療施設を合計約1,000床、新たに増設いたします。ポイントとなる看護師などの医療人材については、国が全面的に支援し、全国の公的・公立病院から派遣することといたします。
そして2点目は、2月13日に期限を迎える1都12県のまん延防止等重点措置については、更に3週間延期することで、明日諮問したいと思っています。また、新たに要請が出された高知県についても、同措置の適用を諮問いたします。
そして第3に、ワクチン接種について、2月中早期に1日100万回を達成するということを申し上げました。この目標達成に向けて、私自身が陣頭指揮を執り、自治体の接種、あるいは職域接種、さらには自衛隊の大規模接種、こうした全ての手段をフル稼働させていきたいと思っています。そして、以上、ポイントを申し上げましたが、以下、もう少し説明をさせていただきたいと思います。
先ほど、東京都の小池知事、そして大阪府の吉村知事と、それぞれ会談をいたしました。コロナとの戦いは、国と地方が心1つに協働して、国民の命を守り抜く戦いであると認識しています。両知事とは、引き続き連携して、対策に全力を挙げることを確認するとともに、国と東京都、そして大阪府が、相互に協力、補完し合う新たな形のプロジェクトとして、臨時の医療施設を合計約1,000床、協働で増設することといたしました。
具体的には、東京都と大阪府が、イーストタワー品川プリンスホテルなどの施設を活用することにより、設置・運営を担当いたします。他方、最大の課題は医療人材の確保でありますが、これについては、国が全国の公的・公立病院から看護師を派遣するなどして、必要な医療人材確保を全面的に支援いたします。このように、国と都・府が協働して、迅速に臨時医療施設を立ち上げてまいります。
この結果、例えば、東京都のコロナ対応のベッドは8,125床ですが、入院患者の確実な受け入れに、更に万全を期すために、合計660床を追加確保し、東京都が独自に追加確保する650床と合わせて9,400床以上、昨年夏の1.8倍まで受入れ余力を拡大いたします。
ワクチン接種については、VRS(ワクチン接種記録システム)入力ベースで、1週間平均で1日60万回程度、直近では80万回までペースが上がっています。今月末までに対象となる累計3,700万人分のワクチンを各地に供給いたしますので、これをフル活用されるよう、6か月が経過した方々への接種券送付を更に加速いたします。職域接種や地域のエッセンシャルワーカーに対する接種も始まります。職域接種については、当初3月からとしていましたが、準備が整って一定程度まとまった接種が可能な企業・大学等から、順次、来週からワクチン配送を開始いたします。これらも加えて、更に接種ペースを底上げし、1日100万回まで加速化を実現したいと考えております。是非、できるだけ早く、接種を受けていただきますようお願いをいたします。
引き続き、国民の皆様には、まん延防止等重点措置に御協力を頂くこととなりますが、引き続き、緊張感を持って、感染拡大の確実な減少につなげていきたいと思っておりますので、御理解と御協力を心からお願い申し上げる次第です。医療現場を守るため、そして、社会経済活動を維持していくため、改めて、基本的感染防止策の徹底やBCP、すなわち、事業継続計画の確認等をお願い申し上げる次第です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
(これまでの政府の対応についての認識及びまん延防止等重点措置解除への道筋について)
先ほど申し上げたように、国民の皆様方の御協力によって、感染拡大のスピードは明らかに落ちていると認識しています。先ほど、沖縄や広島の数字を申し上げました。1.0倍を切ったということ。あるいは東京都の数字、足元で1.1倍。まん延防止等重点措置がスタートした時点では2.6倍でしたから、それが1.1倍まで下がっている。こうしたことを考えますときに、一定の効果はあったと考えています。しかし、その一方で、感染者数は増加しているわけですから、専門家の皆様方からも、遅れて重症者が増加するリスクがあるといった指摘は受けております。社会経済活動の維持に支障を来す恐れにも、引き続き注意が必要でありますので、安心できるという状況ではないという判断から、まん延防止等重点措置を延長するということを、明日諮問させていただくということであります。そして、これまでも、オミクロン株の特性にしっかり配慮した形で、濃厚接触者の待機期間の短縮ですとか、さらには、増加する自宅療養者への対応を強化するとか、めりはりのついた行動制限をお願いするとか、こうした対策を進めてきています。こうしたことも、感染拡大のスピードが落ちていることにつながっていると感じているところです。
そして、出口について、何か見通しがあるかということでありますが、まん延防止等重点措置の終了については、医療のひっ迫の状況等を重視したレベル分類の考え方に立って、総合的に判断するというのが基本的な姿勢であります。こうしたレベル分類を参考にしつつ、専門家や、あるいは自治体の皆さんの意見も踏まえながら判断していくということになるのだと思います。出口においては、そういう考え方を持っていますが、引き続き、先ほど申し上げましたように、まん延防止等重点措置の延長をお願いするわけですので、政府としましては、緊張感を持って取組を続けていきたいと考えております。
(まん延防止等重点措置の適用期間及び新たな対策をこのタイミングで打ち出した意図について)
まず、適用期間について改めて申し上げますと、1都12県については、3月6日までの延長を、明日お諮りしたいと思っています。そして、新たに適用する高知県については、2月12日土曜日から3月6日日曜日までをお諮りしたいと思っています。
そして、先ほど申し上げました臨時の医療施設の増床の件ですが、今、東京、そして大阪、それぞれ、医療の提供体制、病床の状況については、ひっ迫という状況までは至っていないと思いますが、病床使用率はどんどん上がっています。そういったことでありますので、入院患者の皆さんの確実な受入れに、更に万全を期すためには、こうした病床を増床する、確保する、これは大変重要な取組だと思います。その際に、東京都、大阪府と国が連携して、これを実行する新たなプロジェクトを開始したいと考えています。そして、病床の設営・運営、これは東京都、そして大阪府にしっかり責任を担ってもらうわけですが、最もポイントになるのが医療人材の確保です。この部分については、国がしっかり責任を持って、全国の公的・公立病院から看護師等をしっかり派遣して、このプロジェクトを支えていく、こうしたことを考えています。このように、国と都と府が連携する形で、医療提供体制の充実に取り組んでいく、これは大変重要な取組だと考えて、東京都、大阪府の両者にも御理解を頂き、プロジェクトをスタートさせるといったことであります。
(今月20日が期限となる地域について)
20日に期限が来る地域については、状況は様々だと思います。それぞれ丁寧に状況をしっかり把握していかなければならないと思います。その上で、来週中には、期限が来る20日をどうするか、これを判断していかなければならないと思います。まん延防止等重点措置の効果の具合ですとか、それから現実の感染者の数、あるいは病床の状況、こういったものを総合的に来週中頃には判断していくことになると考えています。
(1日100万回という目標と、水際対策について)
まず、ワクチン接種につきましては、方針を変えたという御指摘ですが、これは別に変えたというのではなく、ワクチン接種については、昨年来、薬事承認を受け、そして第3回目の接種をスタートさせてきたわけでありますが、2回目の接種からの間隔の関係から、2月からいよいよ、一般高齢者の方々の前倒し接種が本格化するという時期を迎えることとなりました。こうした時期を迎えて、改めて、国、自治体、さらには職域接種においては企業、こういった方々の力を結集してペースアップを図っていかなければいけない、こういったことから1つの目標を掲げたということであります。先ほども紹介させていただきましたが、自治体において、そして職域接種において、そして自衛隊において、それぞれ、今、取組を進め、ペースアップを図るべく努力を続けています。是非、関係者、力を合わせて目標達成のために努力をしていきたい、このように思います。
そしてもう1点、水際対策についてですが、水際対策については、我が国として、G7でも最も厳しい水際対策を用意して、できるだけオミクロン株の侵入を遅らせるという取組を続けてきました。さらには、オミクロン株の科学的な知見、まだ十分集まっていないという時点でありましたので、なおさら水際対策は重要であるというふうに思って対策を採ってきました。その後、オミクロン株については科学的な知見が徐々に集まってきた、実態が少しずつ明らかになってきた、こういった状況でありますので、国内外の感染状況、さらには、このオミクロン株の特性を踏まえて、必要かつ適切な対応を今後考えていきたいとは思っています。とりあえず、水際対策については、考えていることは以上です。
(物の値上がりについて)
物の値上がりについては、様々な要因がこの背景にあります。エネルギーであったり、食料であったり、様々な、物の値段の値上がりが問題となっています。さらには、ウクライナ情勢等、今後想定される様々な事柄が影響するのではないか、こんなことも言われています。こうした物の値段の上昇については、しっかりと注視しながら、政府としての対策を考えていかなければならないと思いますが、一方で、物の値上がりに対して、やはり所得、賃金の引上げ、これがしっかり行われなければならない、こういった指摘もあります。是非、新しい経済モデルを考える上でも、賃金の引上げという課題についてしっかり取り組んでいかなければならない、こうした取組は、着実に進めていきたいと考えております。
(本日の安倍元総理との面会と、国内のLNGの一部をヨーロッパ向けに融通する方針について)
まず、おっしゃるように、本日、安倍元総理と会談をさせていただきました。主に、国際情勢についてのやり取りでありました。特にウクライナ情勢や、あるいは対ロシア外交など、そういった点が中心でありました。国際情勢、大変不透明なものも感じています。その中で、大変適切なアドバイスも頂きました。これから大いに参考にさせていただきたいと思っています。
そして2点目のLNGの融通の話でありますが、ウクライナ情勢をめぐる欧州の厳しいガス供給の事情を踏まえて、日本としてどんな貢献ができるのか、これを経済産業省を中心に検討してきたところです。我が国は昨年の冬の経験を踏まえて、電力・ガス各社には必要な在庫を確保してもらってきており、現在では、現時点で電力・ガス供給には問題はないと承知をしています。その上で、同盟国である米国からの要請、及び欧州の厳しいガス不足の状況を踏まえて、日本への安定供給が確保されることを大前提にした上で、余剰分を既に欧州に向かわせているというのが現状であります。
(臨時の医療施設に、全国の公的な病院から医療スタッフを派遣することについて)
もちろん、全国一律、それぞれの事情も考えずに医療人材を持ってくるというような、乱暴なことを考えているわけではありません。それぞれの事情もしっかり勘案した上で、適切な人材の派遣を考えていくということであります。詳細については、是非、厚生労働大臣等から聞いていただければと思っております。