[文書名] ゼレンスキー・ウクライナ大統領との電話会談等についての会見(岸田内閣総理大臣)
(ゼレンスキー大統領との電話会談について)
ただ今、ウクライナ、ゼレンスキー大統領と電話会談を行いました。その中で、日本はウクライナと共に在ること、ロシアの侵略による犠牲者への心からのお悔やみ、そしてウクライナの主権と領土的一体性に対する確固たる支持、こうしたものを伝えました。我が国は主権と領土、そして祖国と家族を守ろうと懸命に行動するウクライナの国民と共に在ります。また、ゼレンスキー大統領に対して、既に表明した1億ドル規模の借款に加え、困難に直面するウクライナの人々に対する人道支援として1億ドルの緊急人道支援を行うことを伝えました。昨日も申し上げたとおり、国際秩序の根幹を守り抜くため国際社会と結束して、我が国としても毅然(きぜん)と行動してまいります。そうした観点から、昨日申し上げた措置に加え、次の措置を採ります。日本も参加した欧米諸国の共同声明にある取組として、更に国際社会におけるロシアへの金融制裁の実効性を高めるため、今般、ロシア中央銀行との取引を制限する制裁措置を採ることを決定いたしました。ベラルーシに対する制裁については、今回の侵略に対するベラルーシの明白な関与に鑑み、ルカシェンコ大統領を始めとする個人、団体への制裁措置や輸出管理措置等を講じていきます。これらの我が国の取組に対し、ゼレンスキー大統領から高い評価と感謝の意が表明されました。また、今般、ウクライナにおける情勢の緊迫化を受け、本28日、ウクライナ国境に近いポーランド、ジェシュフ市に臨時の連絡事務所を開設することを決定いたしました。今般、キエフの在ウクライナ大使館及びウクライナ西部のリヴィウ市に設置した臨時の連絡事務所と連携し、在留邦人の安全確保及びウクライナからポーランドへ陸路で退避してくる邦人の受入れに万全を期してまいります。ウクライナの皆さんとの連帯の意思を更に強固にするため、帰国に不安を抱く在留ウクライナ人の方々の在留の延長を可能とする措置を採ることといたします。加えて、後ほど午前1時15分から、バイデン大統領が主催し、米国の同盟国及びパートナーが参加するウクライナ情勢に関する首脳電話会議に参加し、ロシアへの制裁を含む今後の対応やウクライナ及び周辺諸国への支援等について議論を行う予定です。今後も我が国として、G7を始めとする国際社会と連携しながら、引き続き適切に対応してまいります。
(邦人の退避に協力するウクライナ周辺国などへの支援についての検討及び電話会談での言及の有無について)
今後の情勢をしっかりと確認していきたいと思います。今、申し上げたとおり、我が国として、我が国の在留邦人を守り、そして安全に退避するために全力を注いでまいります。その際に既にポーランドには国境における受入れなど、協力をお願いしているわけですが、今後、状況に応じて周辺国の協力もお願いしなければならないと思っています。御質問はそういった国への支援を考えないかということでありますが、そういった点についても、それは適切に必要であれば、しっかりと対応していきたいと考えます。
(電話会談における、ロシアとウクライナの停戦交渉についての言及及びウクライナの情勢についてのゼレンスキー大統領からの説明の有無について)
先ほどの会議において、ゼレンスキー大統領の方からは現下のウクライナの情勢、また、ウクライナの政府の対応、こうしたことについて説明はありました。しかし、詳細については、外交のやり取りでありますので、控えさせていただきます。
(トヨタ自動車の取引先がサイバー攻撃を受け、明日、国内の全工場の稼働を停止するとの報道があることについて、政府の把握状況、ロシアなどとの関係性についての考え及び経済安全保障法案の早期成立の重要性の認識について)
まず、御指摘の点については、報道、承知しています。そして、政府としてもその点について実態を確認させているという状況であります。ですからロシアとの関係等についても、それはしっかり確認した上でなければお答えすることは難しいと思っています。それから経済安保法案の必要性ですが、要するに今回の件との関係については今回の件の実態を明らかにしないと、これはなんとも申し上げられないと思います。言うまでもなく、経済安全保障法案、これは重要な法律であると認識しています。
(午前1時15分から行われる首脳電話会議において、どのような議論をしたいかについて)
先ほど紹介した、午前1時15分から開催される首脳会談ですが、米国の主催によって、米国の呼び掛けを受けて参加する会議であります。出席者は米国の同盟国及びパートナーということでありますが、その会議の中で、ロシアへの制裁を含む今後の対応やウクライナ及び周辺諸国への支援等について議論を行うという予定であるということは承知しております。それ以上はとりあえず参加してどんなやり取りがあるのか、それを確認してからでないと、ちょっと申し上げることは難しい状況です。
(電話会談における、ゼレンスキー大統領からの新たな支援や日本の対応への要望の有無について)
具体的に今申し上げたこと以上のことについて要請があったということはなかったと思います。いずれにしろ、引き続き日本に対してウクライナに対する様々な協力や支援をお願いしたいという意向は表明されておられました。
(ゼレンスキー大統領の言葉を聞いた感想及び個人的に交わした言葉の有無について)
ゼレンスキー大統領、正に大変な困難の中にあり、我が身の危険にも直面している中での電話会談でありました。その真剣な姿勢については、感じたところです。それ以上詳細については申し訳ありませんが控えます。